JP7112936B2 - 端末所持者検知システム、端末所持者検知方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
特許文献1には、発信端末の位置を推定する技術の一つとして、室内を移動する複数の人物のうちいずれの人物が発信端末を所持しているかを推定する際に、人物による電波の遮蔽を考慮して受信装置での受信強度の理論値を算出して、理論値と実測値との比較を行うことが開示されている。
特許文献1の技術においては、理論値の算出に際して電波の反射回数に上限を設けることによって、計算量の増大を抑えている。
典型的には、壁などによる反射を無視し、発信端末からの直接波についての理論値を実測値と比較することによって到来方向を検出できる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、強反射体が存在する監視空間において、必要最低限の計算量により発信端末の所持者を推定することを目的とする。
近年、スマートフォンやタブレット端末は小型化しており、このような端末を鞄や着衣に隠し持っていても外見からは分からないため機密情報を扱う部屋に容易に持ち込むことができる。
このため、以下に説明する実施形態では、発信端末としてスマートフォンやタブレット端末を想定する。しかし、発信端末はこれらの端末に限定されず、電波を発信する端末であれば他の種類の端末であってもよい。
図1は、機密性が高い部屋20の模式図である。部屋20には、発信端末41を着衣の中に隠し持つ人物40が存在している。
この例における端末所持者検知システムの目的は、人物40が発信端末を所持しているか否かを判定することである。
壁面などはそれぞれ一般的な建材を用いて作られており、完全な電波吸収体ではないが、後述する強反射体よりも大幅に低い強度で電波を反射する性質を持っている。
以上の部屋20の内部の構造に関する情報は、世界座標系にて表現されて既知であり、後述するようにシステム主装置の記憶部に構造情報として記憶されている。
位置検出装置200は人物40を検出できるよう設置され、図1に示すように、部屋の隅のおおよそ人物の腰から肩の高さに設置されるのが好適である。複数個の位置検出装置200が備わっていてもよい。
図3に、第1実施形態の端末所持者検知システムの概略構成の一例のブロック図を示す。端末所持者検知システム10は、既に説明した受信装置300、位置検出装置200のほか、システム主装置100を備える。
システム主装置100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサを備える。このプロセッサが、記憶部110に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、理論値算出部120、理論値バッファ130、実測値バッファ140、比較決定部150、出力部160の各機能を実現する。
記憶部110は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などの磁気媒体や半導体メモリなどの公知の手段にて実現される記憶手段である。システム主装置100全体の動作を制御するプログラムのほか、システム主装置100の各部を構成するプログラムモジュール、閾値などのパラメータ類、処理途中のデータを一時的に記憶するための領域、構造情報111を記憶する。記憶されている情報は、適宜システム主装置100の各部とやり取りされる。
例えば、図2(a)に示すように床面の隅を原点とした座標系(世界座標系)を定義し、壁面A23~壁面D28、天井面22、床面21、扉26、図示しない什器類の大きさ、位置などの幾何情報、壁面などの表面の形状を規定する数式情報および表面の材質情報、電波の反射率などがBIM(Building Information Model)などのモデル化手法にて表現された情報である。
強反射体の情報として、ロッカー210などの事務用キャビネット類のほか、薄い鉄板の筐体を有する他の物体、例えば、電気系統の分電盤、大型エアコンなどの情報が、構造情報111に含まれる。これら事務用キャビネット類、電気系統の分電盤、大型エアコンなどの筐体は、特許請求の範囲に記載の「強反射体」の一例であるが、強反射体はこれらのものに限定されない。強反射体は、所定値以上の電波の反射率を有する物体であれば他の種類の物体でもよい。
部屋20に強反射体が存在すると、発信端末41から発信された電波が強反射体の表面のみにて反射して受信装置300に到達する反射波の伝播経路と、発信端末41から受信装置300に直接到達する直接波の伝播経路の距離差が小さくなることがある。この場合には、強反射体のみに反射した反射波と直接波とが同等の強度で受信装置300に到達する。これらの電波は、強反射体以外の物体において反射して受信装置300に到達する電波に比べて支配的な強度にて受信装置300に到達し合成波として計測される。
このような強反射領域は、発信端末41から発信した電波が強反射体の表面での反射では殆ど減衰せずに受信装置300に到達する発信位置の範囲であり、例えばロッカー210等の近傍に存在する。また、受信装置300の近傍に強反射体が存在する場合にも強反射領域が発生し得る。
合成波理論値は、人物40の検出位置から受信装置300に直接到達する直接波に、前記の通りロッカー210にて反射された反射波が合成されて合成波となった状態で受信装置300にて受信される電波の強度の理論値である。
直接波理論値は、発信端末41が例えばロッカー210から離れた位置のように強反射領域の外側の位置にあり、直接波と反射波の伝播経路の差が大きく距離減衰を考慮すれば両者が区別できる場合の受信強度の理論値である。または、直接波理論値は、反射波が受信装置300に到達する前に部屋20の内部で反射を繰り返して事実上計測できないほどに減衰した場合の受信強度の理論値である。
図2(a)の例で人物40が発信端末41を所持している場合には、ロッカー210における反射を無視すれば大よそ-60度に最大強度(ピーク)を持つことになる。
理論値算出部120は、人物40の検出位置に発信端末41が存在した場合に、無指向性にて電波が発信され、壁面や什器等による反射を考慮して受信装置300に到達する経路を算出する。
理論値算出部120は、電波が所定の減衰量まで減衰するまでの伝播距離を、レイの長さ、すなわち電波が伝播し得る最大距離として求める。理論値算出部120は、強反射体以外による反射の回数に上限を設けてレイの長さを求めることができる。例えば反射の回数の最大値を2回にできる。
図4(a)では、図の簡単化のためにレイは9本示しており、各レイの最大距離までは示していない。レイの角度分解能は理論値の算出に影響するので、処理速度と必要な発信端末41の位置の推定精度とのバランスを考量して決定する。例えば、1度ごとにレイを算出することができる。
描画上、ロッカー210にて反射するレイは示してないが、この位置関係では壁等にも反射して減衰するので受信装置300で計測されることはない。
したがって、図4(a)のような発信位置は、強反射体の表面のみに反射した反射波と、直接波とが、同等の強度で受信装置300に到達する電波の発信位置であり、このような発信位置の集合が強反射領域となる。
図4(c)には、ロッカー210でのみ反射した反射波が十分な強度で受信装置300に到達し得る電波の発信位置の集合を外郭線で囲った領域の一例が、強反射領域410として示されている。
図5は、受信装置300に内蔵されているアレイアンテナの一例の模式図である。図2(a)を参照すると、図2(a)におけるx軸方向を正面(0度)として、所定個数のアンテナ素子を並べたものが示されている。
ここでは、例えば4個のアンテナ素子を並べ、整数k(k=1~4)を用いて個々のアンテナ素子(チャンネル)の番号を表す場合を想定する。
k番目のアンテナ素子に到達する電波Ek(t)は、次式(1)により表わされる。
ここで、アンテナ素子同士の距離を一般的な値であるλ/2とし、sin(θ2)-sin(θ1)=Bとおくと、Ek(t)(k=1、2,3,4)の位相項の正弦角が180度回転する位相差φは、番号1のアンテナの場合にπとなり、番号2のアンテナの場合にπ(B-1)となり、番号3のアンテナの場合にπ(2B-1)となり、番号4のアンテナの場合にπ(3B-1)となる。
図7(a)がφ=0~97、319~360度の場合のスペクトルを示し、図7(b)がφ=97~180度の場合のスペクトルを示し、図7(c)がφ=180~236度の場合のスペクトルを示し、図7(d)がφ=236~319度の場合のスペクトルを示す。
図7において横軸は、図2(b)を用いて説明したように受信装置300の正面を0度とした場合の左右方向の角度を表している。
そのため、強反射体による反射波が合成された合成波については、一意な理論値を算出してしまうと、実測値と理論値との一致を確保することが困難となる。
よって、理論値算出部120が理論値に対する強反射体の影響を無視できないと判定した場合に算出する理論値を、位相差φについての複数通りの理論値とすることによって、処理の増加を必要限度に抑えつつ実測値と理論値との一致を確保する効果をさらに高めることができる。
例えば、理論値算出部120は、人物40の検出位置から発信された電波がロッカー210のような強反射体の表面のみにて反射して受信装置300に到達する反射波の伝播経路と、人物40の検出位置から受信装置300に直接到達する直接波の伝播経路と、の間の距離差が所定閾値よりも小さくなるか否かに応じて、人物40の検出位置が強反射領域内であるか否かを判断する。
人物40の検出位置が強反射領域410内である場合には、算出条件を異ならせながら、すなわち異なる複数の算出条件をもちいて、1箇所の人物40の検出位置について複数の理論値を算出して、合成波理論値として理論値バッファ130に一時記憶する。
例えば、理論値算出部120は、複数の算出条件として、直接波と反射波との間の位相差φが異なる複数の値である場合の理論値をそれぞれ算出して合成波理論値として理論値バッファ130に一時記憶する。
例えば、受信装置300から検定点400への見込み角度を直接波の到来角度θ1とし、構造情報111を参照して定めた受信装置300からロッカー210への見込み角度を反射波の到来角度θ2として用い、位相差φを異ならせて合成波理論値を求める。
理論値算出部120は、このようにして求めた理論値を直接波理論値として理論値バッファ130に一時記憶する。
図8(a)には、発信端末41が強反射領域410の内部に位置していると仮定したときの合成波理論値が示されている。本実施の形態では、強反射領域410の内部の1箇所について位相差φを10度毎異ならせて算出した36種類の合成波理論値を算出する。
合成波理論値は、受信強度の角度スペクトルとして、角度ごと、例えば1度ごとの強度の値が所定の単位、例えばデシベル(dB)にて表された数値として表現されてテーブル形式で表現される。
理論値バッファ130は、適宜半導体メモリや磁気ディスクで実現できる。記憶部110から独立した記憶装置であってもよく、記憶部110に一定の領域を確保して、記憶部110と一体化して実現してもよい。
比較決定部150は、理論値と実測値との間の差分が所定値以下である場合に、位置検出装置200が検出した位置にいる人物が発信端末を所持すると決定する。
比較決定部150は、複数の合成波理論値のいずれかと実測値との差分が所定値以上であっても、他の合成波理論値のいずれか1個と実測値との間の差分が所定値未満であれば、位置検出装置200が検出した位置にいる人物が発信端末を所持すると決定する。
なお、図9のフローチャートを実行する前に、本システムの管理者により、図示しない操作入力部を用いて部屋20の内部構造に関する構造情報111を記憶部110に記憶させる。
ステップS110において受信装置300は、到来方向ごとの受信強度を測定して、その実測値を得る。その結果をシステム主装置100に送信して、システム主装置100は実測値バッファ140に格納する。
受信強度の実測値が、ノイズと判定される所定値以上の場合(ステップS120:Yes)には、処理はステップS130へ進む。
ステップS170において出力部160は、比較決定部150から入力された発信端末の所持者情報を外部に出力する。図示しない外部の装置は、例えば、発信端末の所持者に注意喚起などをするような報知処理を行う。その後に処理はステップS100へ戻る。
第1実施形態に係る端末所持者検知システムは、強反射体のみに反射する電波が受信装置へ到達する経路が存在する場合に、条件を変えて求めた複数の理論値を実測値と比較して電波の発信位置を判定する。このため、直接波と同等の強度で反射波が受信装置に到達する状況において、人物の検出位置の誤差や、受信強度の理論値の算出に使用する構造情報の誤差のために受信強度の角度スペクトルのパターンが変動して理論値と実測値とが近似しにくくなっても、条件を異ならせて算出した複数の理論値のいずれかが実測値と一致または差分が小さければ電波の発信位置を判定できる。さらに、強反射体のみに反射する電波が受信装置へ到達する経路が存在する場合に複数の理論値を算出するので、理論値の計算量を必要最低限に抑え、計算量の増大を回避できる。
以上、第1実施形態に係る端末所持者検知システムについて構成と動作を説明してきたが、本発明の範囲はそれに限られない。
発信端末41が強反射領域410の外に存在する場合は、発信端末41から受信装置300への直接波が計測結果において支配的になる。
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、部屋20に人物は主に1人のみがいるものとして説明してきたが、本発明の範囲はこれに限られない。第2実施形態の端末所持者検知システム10は、複数の人物が部屋20にいる場合に、いずれの人物が発信端末41を所持しているかを判定する。
そこで、第2実施形態のシステム主装置100では、各計測時点において、理論値算出部120が、複数の人物による電波の減衰を考慮して、前述のレイトレーシング法に準じて理論値をリアルタイムに求めて、理論値バッファ130に記憶させることとする。この方法は特許文献1に示されている方法に準じることとなる。
第2実施形態のシステム主装置100は、記憶部110、理論値算出部120、理論値バッファ130、実測値バッファ140、比較決定部150、出力部160に加えて、モデル生成部170を備える。
理論値算出部120は、検知モデルに基づいて、発信端末41から発信された電波が受信装置までどのような経路に沿って伝播し得るかを算出し、前述の合成波理論値と直接波理論値を各計測時点においてリアルタイムに求める。
理論値算出部120は、選択した候補者が所持している発信端末41から発信された電波が、モデル生成部170が人間モデル112を仮想的に配置した部屋20で伝播した場合に、ロッカー210のような強反射体の表面のみにて反射して受信装置300に到達する反射波の伝播経路と、発信端末41から受信装置300に直接到達する直接波の伝播経路の距離差が所定閾値よりも小さくなるか否かを判定する。
この場合に理論値算出部120は、候補者が所持している発信端末41から発信された電波が、モデル生成部170が人間モデル112を仮想的に配置した部屋20で伝播し、受信装置300の位置にて受信される場合の受信強度の複数の合成波理論値を算出する。理論値算出部120は、これら複数の合成波理論値を理論値バッファ130へ一時的に記憶させる。
なお、部屋20に複数人がいる場合、その全員が受信装置300からみて一直線上に並ぶ場合にはこれまで述べてきた方法では対応は困難となる。そこで受信装置300を複数用意することが望ましい。図1では受信装置300は壁A23の上方に取り付けている様子を図示しているが、例えばさらに壁B24の上方にも取り付ける。
ステップS200~S220の処理は、図9のステップS100~S120の処理と同様である。
受信強度の実測値がノイズと判定される値以上であり、いずれかの人物が発信端末を所持している可能性があると判定される値以上の場合(ステップS220:Yes)には、処理はステップS230へ進む。
ステップS240において理論値算出部120は、候補者が強反射領域410に存在するか否かを判定する。候補者が強反射領域410に存在する場合(ステップS240:Yes)には、処理はステップS250へ進む。候補者が強反射領域410の外側に存在する場合(ステップS240:No)には、処理はステップS260へ進む。
ステップS280において出力部160は、比較決定部150から入力された発信端末の所持者情報を外部に出力する。図示しない外部の装置は、例えば、発信端末の所持者に注意喚起などをするような報知処理を行う。その後に処理はステップS200へ戻る。
第2実施形態に係る端末所持者検知システムによれば、強反射体と複数の人物が存在する監視空間20において、人物の移動により時々刻々と変化する電波の遮蔽状況を考慮しながら強反射体からの反射波の影響で受信強度の角度スペクトルのパターンが変動し易くなっているか否かを判定できる。このため、強反射体と複数の人物が存在する室内にて、計算量の増大を回避しつつ、複数の人物のいずれが発信端末を所持しているかを推定する精度を向上できる。
以下、第3実施形態について説明する。第1実施形態及び第2実施形態では、合成波理論値と直接波理論値を各計測時点においてリアルタイムに求めるものとして説明してきたが、本発明の範囲はこれに限られない。第3実施形態の端末所持者検知システム10は、合成波理論値と直接波理論値を予め算出して記憶部110に記憶しておき、人物40の検出位置に応じてこれらの理論値を読み出して実測値と比較する。
また、記憶部110には、構造情報111に加えて、強反射領域情報113と、合成波理論値114と、直接波理論値115が記憶される。
図13を参照して、強反射領域情報113の生成方法の一例を説明する。図13は、図1に示した部屋20を天井から床に向かって見下ろした様子を示す。
例えば検定点400の密度は、x軸方向、y軸方向それぞれキャリア周波数に対して半波長以下ごとに設定するのが望ましい。例えば発信端末41から発信される電波が2.4GHzとすると、1~5cmごとに設定すればよい。
そして理論値算出部120は、強反射領域に含まれる検定点400の集合の外郭線を決定して、その領域を示す強反射領域情報113を記憶部110に記憶させる。
さらに伝播情報決定部180は、記憶部110に記憶されている強反射領域情報113を参照して、人物40の検出位置が強反射領域に含まれるか否かを判定する。
なお、伝播情報決定部180は、強反射体が人物40の前記検出位置の近傍又は受信装置300の近傍である場合に、人物40の検出位置が強反射領域に含まれると判断してもよい。
人物40の検出位置が強反射領域410に含まれない場合には、人物40の検出位置に対応づけて記憶された直接波理論値115を記憶部110から読み出して、理論値バッファ130に一時記憶させる。
比較決定部150、出力部160の動作は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
なお、図14のフローチャートを実行する前に、本システムの管理者により、図示しない操作入力部を用いて部屋20の内部構造に関する構造情報111を記憶部110に記憶する。
ステップS300において理論値算出部120は、記憶部110の構造情報111を参照し、レイトレーシング法に準じた方法により、部屋20内部に仮想的に設定した検定点400のそれぞれについて、当該検定点400から発信された電波が受信装置300にて受信される場合の受信強度の理論値を求める。
ステップS320においてシステム主装置100は、位置検出装置200により検出された部屋20内の人物40の検出位置として、例えば位置検出装置200から見た人物40の方角と距離を人物40の検出位置として受け付ける。その結果は伝播情報決定部180に入力される。
ステップS350にてシステム主装置100は、受信装置300が受信した電波の受信強度が所定値以上、例えばノイズと考えられる値以上であるか否かを判定する。
比較決定部150は、実測値バッファ140に記憶されている受信強度の実測値と理論値バッファ130に記憶されている複数の合成波理論値114を比較して差分をそれぞれ求める。その後に処理はステップS390へ進む。
比較決定部150は、実測値バッファ140に記憶されている受信強度の実測値と理論値バッファ130に記憶されている直接波理論値115を比較して差分を求める。
ステップS370において複数の合成波理論値114と実測値とのそれぞれの差分を求めた場合、比較決定部150は、複数の合成波理論値114のいずれかと実測値との差分が小さくても、他の合成波理論値114のいずれか1個と実測値との間の差分が小さければ、人物40が発信端末41を所持していると判定する。
第3実施形態の端末所持者検知システムによれば、合成波理論値と直接波理論値を予め算出して記憶部110に記憶しておくことにより、人物20を検出する度に合成波理論値と直接波理論値をリアルタイムに計算する必要がなくなる。これにより、システム主装置100の計算負荷を軽減し、発信端末の所持者を推定する速度を向上できる。また、強反射体のみに反射する電波が受信装置へ到達する経路が存在する場合に複数の合成波理論値を生成するので、記憶部110に合成波理論値を記憶ための記憶容量を節約できる。
なお、第3実施形態において部屋20に複数人が存在する場合は位置検出装置200がそれぞれの人物の部屋20における位置を検出する。そして、比較決定部60は、順次複数人から候補者を選択してそれぞれの候補者について求められた理論値と実測値の差分が最も小さい候補者が発信端末41を所持していると判定してもよい。
そして、所有者の検出位置に、人間モデルに基づいた近傍位置に相当する変位量を加味して電波の発信位置としてもよい。
理論値算出部120は、上記の伝播経路に加え、発信端末41の持ち方も考慮した伝播経路も算出してもよい。例えば理論値算出部120は、発信端末41の複数の持ち方についてそれぞれ理論値を算出してもよい。
Claims (8)
- 監視空間内の発信端末からの電波をアレイアンテナにて受信する受信装置と、前記監視空間内の人物の位置を検出する位置検出装置と、システム主装置と、を備える端末所持者検知システムであって、
前記システム主装置は、
前記監視空間内の各所における電波の反射率、前記受信装置の位置、及び所定値以上の前記反射率を有する強反射体の位置を含む構造情報を記憶しておく記憶部と、
前記構造情報および前記人物の検出位置に基づいて、前記人物が前記発信端末を所持していた場合の発信位置から発信され前記受信装置にて受信される電波の理論値を算出する理論値算出部と、
前記人物が検出された時に前記受信装置にて受信された電波の実測値と前記理論値との差分が所定値以下の場合に、前記人物が前記発信端末を所持すると決定する比較決定部と、
を備え、
前記発信位置からの電波が前記強反射体のみに反射して前記受信装置にて受信される経路が存在する場合、前記理論値算出部は、異なる複数の条件にて複数の前記理論値を算出し、前記比較決定部は、前記複数の理論値と前記実測値とを比較する、
ことを特徴とする端末所持者検知システム。 - 前記理論値算出部は、
前記発信位置からの電波が所定の減衰量以下で前記受信装置まで到達しうる経路を算出し、
前記発信位置からの電波が前記強反射体のみで反射して前記受信装置へ到達する第1経路の経路長と、前記発信位置からの電波が受信装置へ直接到達する第2経路の経路長との差が所定値以下の場合に、前記複数の理論値を算出し、
前記第1経路の経路長と前記第2経路の経路長との差が所定値より大きい場合に、単一の前記理論値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末所持者検知システム。 - 前記理論値算出部は、前記強反射体が前記人物の前記検出位置の近傍又は前記受信装置の近傍である場合に、前記複数の理論値を算出することを特徴とする請求項1に記載の端末所持者検知システム。
- 監視空間内の発信端末からの電波をアレイアンテナにて受信する受信装置と、前記監視空間内の複数の人物のそれぞれの位置を検出する位置検出装置と、システム主装置と、を備える端末所持者検知システムであって、
前記システム主装置は、
前記監視空間内の各所における電波の反射率、前記受信装置の位置、所定値以上の前記反射率を有する強反射体の位置を含む構造情報、人間の形状および前記人間の表面における電波の反射率を含む人間モデル、を記憶しておく記憶部と、
前記構造情報と前記人間モデルとに基づいて、前記複数の人物の検出位置のそれぞれに前記人間モデルが仮想的に配置された検知モデルを生成するモデル生成部と、
前記複数の人物の中から候補者を順次選択し、前記検知モデルに基づいて前記候補者が前記発信端末を所持している場合の発信位置から発信されて前記受信装置にて受信される電波の理論値を算出する理論値算出部と、
前記複数の人物が検出された時に前記受信装置にて受信された電波の実測値と前記理論値とを比較して、前記実測値と前記理論値との差が最も小さい候補者が前記発信端末を所持すると決定する比較決定部と、
を備え、
前記発信位置からの電波が前記強反射体のみに反射して前記受信装置にて受信される到達する経路が存在する場合、前記理論値算出部は、異なる複数の条件にて複数の理論値を算出し、
前記比較決定部は、前記複数の理論値と前記実測値とを比較する、
ことを特徴とする端末所持者検知システム。 - 監視空間内の発信端末からの電波をアレイアンテナにて受信する受信装置と、前記監視空間内の人物の位置を検出する位置検出装置と、システム主装置と、を備える端末所持者検知システムであって、
前記システム主装置は、
前記監視空間内の各発信位置からそれぞれ発信された電波が前記受信装置にて受信される場合の受信強度の理論値を、前記各発信位置に対応づけて記憶しておく記憶部と、
前記人物の検出位置に対応する前記発信位置に対応づけられた前記理論値と前記受信装置にて受信された受信強度の実測値との差分が所定値以下の場合に、前記検出位置にいる前記人物が前記発信端末を所持すると決定する比較決定部と、
を備え、
前記記憶部は、前記発信位置からの電波が所定値以上の反射率を有する強反射体のみに反射して前記受信装置にて受信される経路については当該経路の発信位置に対応づけて異なる複数の条件で求めた複数の理論値を記憶し、
前記比較決定部は、前記検出位置に対応する前記発信位置に前記複数の理論値が対応づけられている場合、当該複数の理論値と前記実測値とのそれぞれの差分に基づいて、前記検出位置にいる前記人物が前記発信端末を所持するか否かを決定する、
ことを特徴とする端末所持者検知システム。 - 前記複数の理論値は、前記強反射体のみで反射して前記受信装置へ到達する電波と受信装置へ直接到達する電波との間の位相差を異ならせて求められることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の端末所持者検知システム。
- アレイアンテナを有する受信装置により監視空間内の発信端末からの電波を受信する受信ステップと、
前記監視空間内の人物の位置を検出する検出ステップと、
前記監視空間内の各所における電波の反射率、前記受信装置の位置、及び所定値以上の前記反射率を有する強反射体の位置を含み、予め記憶装置に記憶された構造情報と、前記人物の検出位置に基づいて、前記人物が前記発信端末を所持していた場合の発信位置から発信され前記受信装置にて受信される電波の理論値を算出する理論値算出ステップと、
前記人物が検出された時に前記受信装置にて受信された電波の実測値と前記理論値との差分が所定値以下の場合に、前記人物が前記発信端末を所持すると決定する比較決定ステップと、を含み、
前記発信位置からの電波が前記強反射体のみに反射して前記受信装置にて受信される経路が存在する場合、前記理論値算出ステップにおいて異なる複数の条件にて複数の前記理論値を算出し、前記比較決定ステップにおいて前記複数の理論値と前記実測値とを比較する、ことを特徴とする端末所持者検知方法。 - コンピュータに、
監視空間内の発信端末からの電波をアレイアンテナにて受信する受信装置が受信した電波の実測値を入力するステップと、
前記監視空間内の人物の位置を検出する位置検出装置が検出した前記人物の検出位置を入力するステップと、
前記監視空間内の各所における電波の反射率、前記受信装置の位置、及び所定値以上の前記反射率を有する強反射体の位置を含み、予め記憶装置に記憶された構造情報と、前記人物の検出位置に基づいて、前記人物が前記発信端末を所持していた場合の発信位置から発信され前記受信装置にて受信される電波の理論値を算出する理論値算出ステップと、
前記人物が検出された時に前記受信装置にて受信された電波の実測値と前記理論値との差分が所定値以下の場合に、前記人物が前記発信端末を所持すると決定する比較決定ステップと、を実行させ、
前記発信位置からの電波が前記強反射体のみに反射して前記受信装置にて受信される経路が存在する場合、前記理論値算出ステップにおいて異なる複数の条件にて複数の前記理論値を算出し、前記比較決定ステップにおいて前記複数の理論値と前記実測値とを比較する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
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黒崎 雄太 ほか,"多次元信号部分空間を用いた拡張位置指紋法による屋内無線端末位置推定",電子情報通信学会論文誌 (J93-B),日本,社団法人電子情報通信学会,2010年02月01日,Vol.J93-B, No.2,pp.322-331,ISSN:1344-4697 |
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