JP7111665B2 - 異材接合用アークスタッド溶接法 - Google Patents
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しかしながら、アルミニウムの電気比抵抗は2.8×10-6Ω・cm、マグネシウムの電気比抵抗は4.4×10-6Ω・cmと鉄の10.0×10-6Ω・cmと比べて著しく小さい。すなわち、抵抗発熱ではアルミニウムやマグネシウムは発熱しにくく、容易には溶融しない。超高電流を流してアルミニウムやマグネシウムを貫通したとしても、溶融が不十分なため、形成される溶接金属にはアルミニウムやマグネシウムと鋼の混合物、つまり金属間化合物の形成、排除を防ぐことが出来ず、健全な溶接部が得られない。したがって、接合強度の安定性が悪く、低い場合が生じる。特許文献4に記載の接合法も上記と同様の課題が存在する。
(1) アルミニウム合金又はマグネシウム合金製の第1の板と、鋼製の第2の板と、を接合する異材接合用アークスタッド溶接法であって、
前記第1の板と前記第2の板を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
挿入部と非挿入部とを持った段付きの外形形状を有し、前記非挿入部の外径寸法が前記挿入部の外径寸法よりも大きく、かつ、前記挿入部の長さが、前記第1の板の板厚よりも長い、鋼製の接合補助部材を、非消耗式電極を介して前記第1の板に向けて移動させる第1移動工程と、
前記接合補助部材と前記第1の板の間にアークを発生させるアーク発生工程と、
アーク熱によって前記接合補助部材の挿入部の先端部、前記第1の板及び前記第2の板を溶融し、鋼とアルミニウム合金、又は、鋼とマグネシウム合金の溶融混合物を形成する溶融工程と、
前記接合補助部材を前記第2の板に向けて移動させ、前記溶融混合物を流動させて、前記接合補助部材の挿入部を前記第1の板内に挿入するとともに、前記接合補助部材と前記第2の板とを溶接する第2移動工程と、を備え、
前記アーク発生工程は、前記接合補助部材と前記第1の板の間に、低電流のパイロット電流を掛けるパイロットアーク発生工程と、高電流のメイン電流を掛けるメインアーク発生工程と、を備え、
前記パイロットアーク発生工程は、前記メイン電流より高電流かつ短時間のパルス電流を掛けるパルス工程を備える、異材接合用アークスタッド溶接法。
(2) 前記第1移動工程によって、前記接合補助部材を前記第1の板に接触させた後、前記パイロットアーク発生工程において前記非消耗式電極と前記接合補助部材とを一旦引き上げ、前記メインアーク発生工程において、前記接合補助部材を、前記非消耗式電極を介して前記第2の板に向けて移動させる、(1)に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(3) 前記挿入部の長さが、前記第1の板の板厚の1.05倍以上、2.0倍以下である、(1)又は(2)に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(4) 前記挿入部の先端部は、錐形状又は突起を有する形状である、(1)~(3)のいずれかに記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(5) 前記挿入部の断面は、非円形形状である、(1)~(4)のいずれかに記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(6) 前記非挿入部の挿入部側の面には、溝が設けられている、(1)~(5)のいずれかに記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(7) 前記挿入部の外周面には、溝が設けられている、(1)~(6)のいずれかに記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
(8) 前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の重ね合せ面に接着剤を塗布する工程を、更に備える、(1)~(7)のいずれかに記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
なお、先端部31aの形状は、円錐形状に限らず、四角錐等の他の錐形状であってもよく、あるいは、図3Aに示すように、突起を有する形状であってもよい。また、挿入部31全体を円錐(図3B参照)や四角錐などの形状としてもよい。
具体的に、電源には板厚等に応じて、コンデンサ方式(CD方式)、電力アーク方式、ショートサイクル方式が適用できる。コンデンサ方式は、大容量のコンデンサに電力を蓄え、アーク溶接時に電力を一気に放出する方式であり、非常に薄い板に適用される。電力アーク方式は、一般的な交流→直流変換と変圧回路を有した溶接電源を用いる方式で、比較的長時間のアーク発生が可能であり、大きな板厚を溶融できる。ショートサイクル方式は、電力アーク方式と電源の機構は同じであるが、短時間制御が可能なように改良された方式であり、適用板厚はコンデンサ方式と電力アーク方式の中間に位置する。これらの溶接用電源は一般的なアークスタッド溶接用のものを流用できる。
なお、ここでいう低電流であるパイロット電流A1は、後述するメインアーク発生工程TBにおける、高電流であるメイン電流A2よりも相対的に低い電流を意味しており、具体的な電流値は、溶接される材料のサイズや材質により異なるものであるため、一義的には決まらないが、例えば、30~100Aの範囲のものを想定することができる。
もし、溶接工程後に上板10の板厚Tよりも長い状態になってしまうと、上板10は接合補助部材30と下板20とに挟持されず、力をほとんどかけずとも上下に動いてしまう。挿入部31の長さLが、上板10の板厚Tの2.0倍以下であれば板厚分を残して溶融消費し、溶融化合物は溶接部Wから排出されるため、好ましい。一方、挿入部31の長さLが短いと液体状金属間化合物の排出が不十分で溶接部Wに残留してしまい、低継手強度になったり、更に、挿入部31の長さLが過度に短い場合は下板20を溶かすことなく、すなわち溶接そのものが達成できない状態になったりもする。挿入部31の長さLが、上板10の板厚Tの1.05倍以上であれば溶融化合物を溶接部外に押し出し、更に残った挿入部31の固体部分で上板10及び下板20間を締結することができるため好ましい。更に好ましくは、挿入部31の長さLは、上板10の板厚Tの1.2倍以上である。
そこで、溶接熱影響部を含めた溶接部Wの材質的健全化を目的として、凝固後、再度電力(電流)を供給し、抵抗発熱によって再度温度を高め、焼きなまし効果を与えることによって、延性に富んだ溶接金属組織とし、接合強度を高めることができる。その手段としては、単純に電流を一定時間供給する矩形波とするだけでなく、矩形波を繰り返すパルス状であってもよく、また徐々に電流を下げる三角波や台形波とすることもできる。材質に応じて最適な電流値と波形が選択されればよい。
また、挿入部31の溝35と非挿入部32の裏面に設けた溝34とを合わせて用いることは何ら問題ない。
あるいは、図15Bに示すように、更に好ましくは鋼製の接合補助部材30で接合後、樹脂製などのシーリング材62で非挿入部32との周囲全体を覆い、接触部を水密状態とするのが最も効果がある。
さらに、アーク発生工程は、接合補助部材30と上板10の間に低電流のパイロット電流A1を掛けるパイロットアーク発生工程TAと、高電流のメイン電流A2を掛けるメインアーク発生工程TBと、を備え、パイロットアーク発生工程TAは、メイン電流A2より高電流かつ短時間のパルス電流A3を掛けるパルス工程TCを備える。
これにより、Al合金又はMg合金の上板10と、鋼の下板20を、外観性能に優れ、強固かつ信頼性の高い品質で、更に高能率で接合でき、加えて、開断面構造にも閉断面構造にも制限無く適用できる。
10 上板(第1の板)
11 穴部
20 下板(第2の板)
30 接合補助部材
31 挿入部
31a 先端部
32 非挿入部
34,35 溝
40 非消耗式電極
50 溶接電源
60 接着剤
62 シーリング材
A 接合領域
A1 パイロット電流(低電流)
A2 メイン電流(高電流)
A3 パルス電流
h アーク熱によって熱せられた部分
IMC 金属間化合物(溶融混合物)
J 重ね合わせ部分
L 挿入部の長さ
PD 非挿入部の外径寸法
QD 挿入部の外径寸法
T 第1の板の板厚
TA パイロットアーク発生工程
TB メインアーク発生工程
TC パルス工程
W 溶接部
Claims (8)
- アルミニウム合金又はマグネシウム合金製の第1の板と、鋼製の第2の板と、を接合する異材接合用アークスタッド溶接法であって、
前記第1の板と前記第2の板を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
挿入部と非挿入部とを持った段付きの外形形状を有し、前記非挿入部の外径寸法が前記挿入部の外径寸法よりも大きく、かつ、前記挿入部の長さが、前記第1の板の板厚よりも長い、鋼製の接合補助部材を、非消耗式電極を介して前記第1の板に向けて移動させる第1移動工程と、
前記接合補助部材と前記第1の板の間にアークを発生させるアーク発生工程と、
アーク熱によって前記接合補助部材の挿入部の先端部、前記第1の板及び前記第2の板を溶融し、鋼とアルミニウム合金、又は、鋼とマグネシウム合金の溶融混合物を形成する溶融工程と、
前記接合補助部材を前記第2の板に向けて移動させ、前記溶融混合物を流動させて、前記接合補助部材の挿入部を前記第1の板内に挿入するとともに、前記接合補助部材と前記第2の板とを溶接する第2移動工程と、を備え、
前記アーク発生工程は、前記接合補助部材と前記第1の板の間に、低電流のパイロット電流を掛けるパイロットアーク発生工程と、高電流のメイン電流を掛けるメインアーク発生工程と、を備え、
前記パイロットアーク発生工程は、前記メイン電流より高電流かつ短時間のパルス電流を掛けるパルス工程を備える、異材接合用アークスタッド溶接法。 - 前記第1移動工程によって、前記接合補助部材を前記第1の板に接触させた後、前記パイロットアーク発生工程において前記非消耗式電極と前記接合補助部材とを一旦引き上げ、前記メインアーク発生工程において、前記接合補助部材を、前記非消耗式電極を介して前記第2の板に向けて移動させる、請求項1に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記挿入部の長さが、前記第1の板の板厚の1.05倍以上、2.0倍以下である、請求項1又は2に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記挿入部の先端部は、錐形状又は突起を有する形状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記挿入部の断面は、非円形形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記非挿入部の挿入部側の面には、溝が設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記挿入部の外周面には、溝が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
- 前記第1の板と前記第2の板の少なくとも一方の重ね合せ面に接着剤を塗布する工程を、更に備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の異材接合用アークスタッド溶接法。
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