JP7111511B2 - 止水プレートおよび止水壁構造体 - Google Patents
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このような止水壁cwの構築には、吊り機械cmのような大型の機械が必要になる上、構築作業の大部分が水中において潜水士により行われなければならない。潜水士による水中作業は、橋脚blの全周にわたって、かつ、高さ方向において止水壁cwが水面から出るまで続けなければならなかった。
また、止水壁cwが設置される設置面が凹凸を有する(不陸である)場合、橋脚blの補強・補修等の作業をするために橋脚と止水壁cwとの間にある水を排出してドライな作業空間wsを形成しても、最下位のセグメントプレートspと設置面との間の隙間から水が浸入してくる。したがって、セグメントプレートspと設置面との間の隙間を、コンクリート等を打設して止水部wcを形成して塞ぐ必要がある。止水部wcは、セグメントプレートspを設置面に対して固定しているため、止水壁cwの解体時には潜水士が止水部wcをはつる必要があった。
このように、従来の止水壁cwにおいては、構築・解体作業の際には潜水士による水中作業が必要となることが多く、潜水士への作業負担が大きく、また、作業コストが大きくなっていた。
止水壁構造体100は、例えば、図1に示すように、河川や海等の水中に立設された橋脚blの補強・補修を行う際に、橋脚blの周囲に作業空間wsを形成するために橋脚blを取り囲んで形成されている。止水壁構造体100は、複数の環状構造体(連結体)1を当該止水壁構造体100に対して高さ方向hに積み重ねて互いに連結して筒状に組み立てたものである。止水壁構造体100は、その高さ方向hにおいて最下段の環状構造体1の底面に止水プレート7を備える。
環状構造体1は、高さ方向hにおいて止水壁構造体100の最下段に位置する環状構造体1Aと、当該環状構造体1Aに高さ方向hにおいて積み重ねて連結されていく環状構造体1Bとを有する。
環状構造体1Aは、中空セグメント10Aを横方向lに連結して平面視矩形状になるように構成されている。環状構造体1Bは、中空セグメント10Bを横方向lに連結して平面視矩形状になるように構成されている。
中空セグメント10Aには、略直方体状の直方セグメント2と、この直方セグメント2を互いに直角をなすようにコーナ部Cにおいて連結する連結セグメント4とがある。中空セグメント10Bには、略直方体状の直方セグメント6と、この直方セグメント6を互いに直角をなすようにコーナ部Cにおいて連結する連結セグメント8とがある。
なお、説明の便宜上、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の長さ方向(横方向)を「l」、高さ方向(縦方向)を「h」、幅方向(厚さ方向)を「w」とする。
壁部は、直方セグメント2をその高さ方向hにおいて上側から覆う上側プレート23と、下側から覆う下側プレート(下面)24と、直方セグメント2を長さ方向lにおいて側方から覆う2枚の側方プレート25とを有する。
直方セグメント2は、外側プレート21、内側プレート22、上側プレート23、下側プレート24、および側方プレート25により中空の内部空間S1が画成されて箱状に形成されている。直方セグメント2は、さらに、内部空間S1を高さ方向hに対して垂直に仕切る2枚の仕切プレート(仕切壁)26を有する。直方セグメント2は、3つの内部空間S1に等分に分割されつつも、各内部空間S1は、互いに繋がっている。
外側プレート21は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
高さ方向hにおいて上側に配置された内側プレート22には、直方セグメント2の外部と直方セグメント2の内部空間S1との間で空気等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、内側プレート22に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S1へ空気を供給するための、例えば、ホース等の管部材T1(図9参照。)が接続される接続部材V1と、を有する。接続部材V1は、給気・排気の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V1を開くと、外部と内部空間S1とは連通され、外部から内部空間S1への空気の供給が可能になると共に、内部空間S1から外部への空気の排出(排気)が可能になる。接続部材V1を閉じると、外部と内部空間S1との連通は遮断され、外部から内部空間S1への空気の供給は防がれる。
高さ方向hにおいて最下位に配置された内側プレート22には、直方セグメント2の外部と直方セグメント2の内部空間S1との間で水(液体)等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、内側プレート22に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S1へ水を供給するための、例えば、ホース等の管部材T2(図9参照。)が接続される接続部材V2と、を有する。接続部材V2は、給水・排水の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V2を開けば外部と内部空間S1とは連通され、外部から内部空間S1への水の注入が可能になると共に、内部空間S1から外部への水の排出(排水)が可能になる。接続部材V2を閉じれば外部と内部空間S1との連通は遮断され、外部から内部空間S1への水の流出入は防がれる。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート23の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔23aが等間隔に形成されている。貫通孔23aは、直方セグメント2と、当該直方セグメント2に重ねられる後述する直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔23aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔23aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート24の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔24aが等間隔に形成されている。貫通孔24aは、直方セグメント2に止水プレート7を連結するためのボルト(図11参照。)が挿通される。
突出部分の貫通孔24aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔24aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず)が形成されていてもよい。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート25の部分には、高さ方向hに沿って複数の貫通孔25aが等間隔に形成されている。貫通孔25aは、直方セグメント2と、当該直方セグメント2に横方向lに隣接する直方セグメント2および連結セグメント4とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
仕切プレート26は、長さ方向lにおいて外側プレート21および内側プレート22に沿って延在しており、外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した突出部分を有する。仕切プレート26は、長さ方向lに沿って外側プレート21および内側プレート22と溶接されており、かつ幅方向wに沿って側方プレート25と溶接されている。
仕切プレート26には、分割された内部空間S1同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔26aが形成されている。なお、貫通孔26aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
仕切プレート26の突出部分には、足場27を取り付けるために2つの取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
壁部は、連結セグメント4をその高さ方向hにおいて上側から覆う平面視L字状の上側プレート43と、下側から覆う平面視L字状の下側プレート(下面)44と、連結セグメント4を側方から覆う2枚の側方プレート45とを有する。
連結セグメント4は、外側プレート41、内側プレート42、上側プレート43、下側プレート44および側方プレート45により中空の内部空間S2が画成されて平面視L字の箱状に形成されている。連結セグメント4は、さらに、内部空間S2を高さ方向hに対して垂直に仕切る2枚の仕切プレート(仕切壁)46を有する。連結セグメント4は、3つの内部空間S2に等分に分割されつつも、各内部空間S2は、互いに繋がっている。
各第1プレート47は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第1プレート47は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
各第2プレート48は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
各第1プレート49は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
各第2プレート50は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
各第2プレート50は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
高さ方向hにおいて上側に配置された第1プレート49には、連結セグメント4の外部と連結セグメント4の内部空間S2との間で空気等の流体を通流させる通流部が形成されている。通流部は、第1プレート49に形成された通流口(図示せず。)と、当該通流口に取り付けられた、外部から内部空間S2へ空気を供給するための、例えば、ホース等の管部材T1が接続される接続部材V1と、を有する。接続部材V1は、給気・排気の弁機能を有する公知の弁部材が使用される。
接続部材V1を開くと、外部と内部空間S2とは連通され、外部から内部空間S2への空気の供給が可能になると共に、内部空間S2から外部への空気の排出(排気)が可能になる。接続部材V1を閉じると、外部と内部空間S2との連通は遮断され、外部から内部空間S2への空気の供給は防がれる。
なお、接続部材V1は、第1プレート49ではなく、第2プレート50に設けられていてもよい。
接続部材V2を開くと、外部と内部空間S2とは連通され、外部から内部空間S2への水の注入が可能になると共に、内部空間S2から外部への水の排出(排水)が可能になる。接続部材V2を閉じると、外部と内部空間S2との連通は遮断され、外部から内部空間S2への水の流出入は防がれる。
なお、接続部材V2は、第1プレート49ではなく、第2プレート50に設けられていてもよい。
外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート43の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔43aが等間隔に形成されている。貫通孔43aは、連結セグメント4と、当該連結セグメント4に重ねられる後述する直方セグメント6および連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔43aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔43aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート44の突出部分には、長さ方向lに沿って複数の貫通孔44aが等間隔に形成されている。貫通孔44aには、止水プレート7を連結セグメント4に連結するためのボルト(図11参照。)が挿通される。
突出部分の貫通孔44aが形成されていな部分、例えば、隣り合う貫通孔44aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
仕切プレート46は、長さ方向lに沿って外側プレート41の第1プレート47および第2プレート48、ならびに内側プレート42の第1プレート49および第2プレート50に沿って延在しており、外側プレート41および内側プレート42から幅方向wに所定の長さだけ突出した突出部分を有する。仕切プレート46は、長さ方向lに沿って外側プレート41および内側プレート42と溶接されており、かつ幅方向wに沿って側方プレート45と溶接されている。
仕切プレート46には、分割された内部空間S2同士を繋ぐ(連通させる)ための貫通孔46aが形成されている。なお、貫通孔46aが形成されている位置および数は、特に限定されない。
仕切プレート46の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。
壁部は、直方セグメント6をその高さ方向hにおいて上側から覆う上側プレート63と、下側から覆う下側プレート64と、直方セグメント6を長さ方向lにおいて側方から覆う2枚の側方プレート65とを有する。
直方セグメント6は、外側プレート61、内側プレート62、上側プレート63、下側プレート64、および側方プレート65により中空の内部空間S3が画成されて箱状に形成されている。直方セグメント6は、さらに、内部空間S3を高さ方向hに対して垂直に仕切る1枚の仕切プレート(仕切壁)66を有する。直方セグメント6は、2つの内部空間S3に等分に分割されつつも、各内部空間S3は、互いに繋がっている。
外側プレート61は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
内側プレート62は、それぞれ高さ方向hに沿って配置されている。
高さ方向hにおいて最上位に配置された内側プレート62は、接続部材V1を有し、高さ方向hにおいて最下位に配置された内側プレート62は、接続部材V2を有する。各接続部材V1,V2は、直方セグメント2における接続部材V1,V2と同じ機能を有する。内側プレート62は、直方セグメント2の内側プレート22と同じ構成を有する。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート63の突出部分に形成された貫通孔63aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6に重ねられる直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
隣り合う貫通孔63aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されてもよい。上側プレート63は、直方セグメント2の上側プレート23と同じ構成を有する。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート64の突出部分に形成された貫通孔64aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6の下側の直方セグメント2,6または連結セグメント4,8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
隣り合う貫通孔64aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。下側プレート64は、直方セグメント2の下側プレート24と同じ構成を有する。
外側プレート61および内側プレート62から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート65の突出部分に形成された貫通孔65aには、直方セグメント6と、当該直方セグメント6に横方向lに隣接する直方セグメント6および連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。側方プレート65は、直方セグメント2の側方プレート25と同じ構成を有する。
外側プレート21および内側プレート22から幅方向wに所定の長さだけ突出した仕切プレート66の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。仕切プレート66は、直方セグメント2の仕切プレート26と同じ構成を有する。
壁部は、連結セグメント8をその高さ方向hにおいて上側から覆う平面視L字状の上側プレート83と、下側から覆う平面視L字状の下側プレート84と、連結セグメント8を側方から覆う2枚の側方プレート85とを有する。
連結セグメント8は、外側プレート81、内側プレート82、上側プレート83、下側プレート84および側方プレート85により中空の内部空間S4が画成されて箱状に形成されている。連結セグメント8は、さらに、内部空間S4を高さ方向hに対して垂直に仕切る1枚の仕切プレート(仕切壁)86を有する。連結セグメント8は、2つの内部空間S4に等分に分割されつつも、各内部空間S4は、互いに繋がっている。
各第1プレート87および第2プレート88は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。外側プレート81は、連結セグメント4の外側プレート41と同じ構成を有する。外側プレート81は、連結セグメント4の外側プレート41と同じ構成を有する。
各第1プレート89および第2プレート90は、平面視矩形状に構成されており、例えば、鋼板を波形状に湾曲させて形成した波状部を有する直線状の鋼矢板により形成された、いわゆるライナープレートである。波状部は、高さ方向hに沿って幅方向wに起伏して形成されている。
なお、接続部材V1および接続部材V2は、第1プレート89ではなく、第2プレート90に設けられていてもよい。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した上側プレート83の突出部分に形成された貫通孔83aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8に重ねられる直方セグメント6または連結セグメント8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔83aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔83aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。上側プレート83は、連結セグメント4の上側プレート43と同じ構成を有する。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した下側プレート84の突出部分に形成された貫通孔84aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8の下側の直方セグメント2,6または連結セグメント4,8とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。
突出部分の貫通孔84aが形成されていない部分、例えば、隣り合う貫通孔84aの間には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。下側プレート84は、連結セグメント4の下側プレート44と同じ構成を有する。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した側方プレート85の突出部分に形成された貫通孔85aには、連結セグメント8と、当該連結セグメント8に横方向lに隣接する直方セグメント6とを連結するためのボルト(図示せず。)が挿通される。側方プレート85は、連結セグメント4の側方プレート45と同じ構成を有する。
外側プレート81および内側プレート82から幅方向wに所定の長さだけ突出した仕切プレート86の突出部分には、足場27を取り付けるために取付孔(図示せず。)が形成されていてもよい。仕切プレート86は、連結セグメント4の仕切プレート46と同じ構成を有する。
止水プレート7には、環状構造体1Aにおいて直線部に対応する平面視矩形状の止水プレート70と、コーナ部Cに対応する平面視L字形の止水プレート75とがある。横方向lにおいて隣り合う止水プレート70同士の連結箇所(位置)、および止水プレート70と止水プレート75との連結箇所(位置)は、直方セグメント2同士(側方プレート25同士)の連結箇所(位置)、および直方セグメント2(側方プレート25)と連結セグメント4(側方プレート45)との連結箇所(位置)とは整合していない。つまり、各止水プレート70,75同士の連結箇所と、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所とは、横方向lにおいて互いにずらされている(千鳥状に配置されている。)。
プレート71は、平面視矩形の鋼板により形成されている。プレート71の幅方向wにおける両端部には長さ方向lに沿って複数の貫通孔71aが形成されている。プレート71の貫通孔71aは、最下段の環状構造体1Aにおける直方セグメント2および連結セグメント4の下側プレート24,44に形成された貫通孔24a,44aと整合して、プレート71を各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けるためのボルトB(図11参照。)が挿通される。
止水体73は、平面視I字形状、横断面視略四角形状および縦断面視略平行四辺形状の、例えば、ゴムスポンジ等により形成されている。止水体73は、プレート71の幅方向wにおいて中央に設けられ、プレート71の長さ方向lに沿って当該取付けプレート71の一端から他端にわたって延在している。
図7(b)に示すように、長さ方向lにおける止水体73の端面73a,73bは、互いに略平行をなしてプレート71の面71bに対して長さ方向(長手方向)lに傾斜している。図において左側の端面73aは、プレート71の側に引き込んでおり、図において右側の端面73bは、プレート71から離れるように突き出ている。
プレート76は、平面視L字形の鋼板により形成されている。プレート76の幅方向wにおける両端部には長さ方向lに沿って複数の貫通孔76aが形成されている。プレート76の貫通孔76aは、最下段の環状構造体1Aにおける直方セグメント2および連結セグメント4の下側プレート24,44に形成された貫通孔24a,44aと整合して、プレート76を各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けるためのボルトB(図11参照。)が挿通される。
止水体78は、プレート76の一方の面、具体的には、各直方セグメント2および連結セグメント4に取り付けられた場合、当該直方セグメント2および連結セグメント4とは反対側を臨む面に設けられている。
長さ方向lにおける止水体78の端面78a,78bは、プレート76に対して長さ方向lに傾斜している。図において左側の端面78aは、プレート76側に引っ込んでおり、図において右側の端面78bは、プレート76から離れるように突き出ている。
止水体73同士、又は止水体73と止水体78とが横方向lに隣り合う場合、止水体73,78それぞれの端面73a,73b,78a,78b同士は互いに略平行をなして接触するようになる。
さらに、シール部材Seは、高さ方向hにおいて隣接する直方セグメント2,6と、連結セグメント4,8との間および連結セグメント4,8同士の間であって、横方向lに隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所の上方に設けられている。
シール部材Seは、横方向lに隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所の上方および下方に設けられている。
シール部材Seは、隣り合う直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所への水の浸入を防ぐものであり、合成ゴムや合成樹脂等により形成された弾性部材である。シール部材Seは、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8の幅方向wに亘って延在している。
管部材T1は、通流部のそれぞれに取り付けられた接続部材V1に着脱自在に連結される複数の連結部T1aと、外部に通じかつ吸排気を可能にする少なくとも1つの給排部T1bとを有している。
管部材T2は、通流部のそれぞれに取り付けられた接続部材V2に着脱自在に連結される複数の連結部T2aと、外部に通じかつ給排水を可能にする少なくとも1つの給排部T2bとを有している。
次に、図10乃至図14を用いて、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体100の構築・解体方法について説明する。図10は、止水壁構造体の平面概略図である。図11は、中空セグメントへの止水プレートの取付け方法を説明するための概略図である。図12乃至図14は、本発明の実施の形態に係る止水壁構造体の構築方法を説明するための図である。
例えば、河川や海等の水中に立設された橋脚blの補強・補修を行う際には、一時的に橋脚blの周囲にドライな作業空間wsを確保する必要がある。作業空間wsを確保する仮設工法を、一般的に水中締切または仮締切と呼び、本発明では特に締切工法と呼ばれている。止水壁構造体100は、締切工法において使用される。
一般に、締切工法により形成される止水壁構造体100は、河川や海等の設備環境によっても異なるが、周囲の水による静水圧、水の流れによる流水圧、波による波圧等に対する十分な強度および止水性能が必要とされている。
図10に示すように、止水壁構造体100の構築前に、橋脚blに対して所定の間隔をあけて橋脚blの周囲に鋼製の縦枠9を水底部に打ち込む。次いで、縦枠9と橋脚blとの間に切梁91を設置する。
図11(a)に示すように、例えば、直方セグメント2の下側プレート24の端と、止水プレート70のプレート71の端とが一致しないように互いにずらして、下側プレート24の貫通孔24aと、プレート71の貫通孔71aを合わせ、ボルトBおよびナットNにより直方セグメント2に止水プレート70のプレート71を取り付ける。
直方セグメント2に取り付けられたプレート71の一部は、直方セグメント2から長さ方向lに突出した状態になっている。換言すると、直方セグメント2の下側プレート24の一部は、プレート71によって覆われていない状態になっている。直方セグメント2の一方の側方プレート25とプレート71とは、それぞれの面同士が互いに交差する位置関係にある。
直方セグメント2と止水プレート70とを連結する前に、直方セグメント2と止水プレート70と間にはシール部材Seを設置する。シール部材Seは、直方セグメント2から長さ方向に一部突出した状態になっている。つまり、シール部材Seは、直方セグメント2から突出していない部分においては、直方セグメント2と止水プレート70との間に挟まれて圧潰された状態にある。
ここで、直方セグメント2および連結セグメント4の各内部空間S1,S2は、外部に対して密に構成されている。つまり、直方セグメント2および連結セグメント4を水面wl上に降ろしても、直方セグメント2および連結セグメント4は、完全に水没することなく浮かんだ状態を維持する。
水面wl上に降ろした直方セグメント2および連結セグメント4を、橋脚blを囲むようにして横方向lに互いに連結して環状構造体1Aを構築する。具体的には、作業者が水面wl上に浮かんでいる複数の直方セグメント2および連結セグメント4の側方プレート25,45同士を互いの貫通孔25a,45aが整合するように当接させ、貫通孔25a,45aにボルトを挿通しナットをボルトに締結することにより、横方向lにおいて互いに隣接する直方セグメント2および連結セグメント4を連結する。
直方セグメント2の止水プレート70と、連結セグメント4の止水プレート75との連結も同様に行う。
この作業を横方向lにおいて繰り返すことにより、止水壁構造体100の最下段に設けられる環状構造体1Aを構築する。なお、環状構造体1Aの周方向に隣り合う止水プレート70,75同士の連結箇所は、直方セグメント2および連結セグメント4同士の連結箇所に対して周方向(横方向l)にずらされている(千鳥状に配置されている。)。
図12(b)に示すように、水面wl上に浮いた状態にある環状構造体1Aの上に、直方セグメント6および連結セグメント8を積み重ねて環状構造体1Aに連結しつつ、横方向lに連結して環状構造体1Bを構築する。
環状構造体1Aに対する直方セグメント6および連結セグメント8の連結は、直方セグメント2および連結セグメント4の上側プレート23,43における貫通孔23a,43aと、直方セグメント6および連結セグメント8の下側プレート64,84における貫通孔64a,84aとを整合させ、ボルトを挿通してナットを取り付けることにより行う。
ここで、環状構造体1A上への直方セグメント6および連結セグメント8は、直方セグメント6および連結セグメント8の重量により環状構造体1Aが傾かないように、環状構造体1A上で対向する位置に設置していくことが好ましい。
ここで、直方セグメント6および連結セグメント8の内側プレート62,82に設けられた各接続部材V1にも管部材T1を接続し、各接続部材V2にも管部材T2を接続する。
環状構造体1Aは、直方セグメント2および連結セグメント4の自重および水waの重量により水中に沈む。環状構造体1Aの沈降に伴い、重ねて連結された環状構造体1Bも沈降し、水面wl上にある環状構造体1Bが水中に沈む。かくして、水面wl上における作業スペースが新たに形成される。
最終的に、内部空間S3,S4が水waで満たされていない全ての直方セグメント6および連結セグメント8に注水する。これにより、止水壁構造体100は、全体としてその内部が水waにより満たされている。
作業空間wsが確保された後、高さ方向hにおいて隣接する足場27間に、止水壁構造体100の周方向における所定の位置で階段27lを設置する。これにより、異なる高さ位置に設置されている足場27への移動が可能になる。
なお、管部材T1,T2は、ドライ空間の作業空間wsが確保された場合、止水壁構造体100に取り付けられたままであってもよく、また、作業空間wsを確保するため水waをポンプ等により排水する過程において、各接続部材V1,V2から適宜取り外してもよい。
まず、環状構造体1Bの直方セグメント6および連結セグメント8の各内部空間S3,S4内に、管部材T1の給排部T1bを介して外部から空気を送り込み、内部空間S3,S4内の水waを管部材T2(または通流部)を介して外部に排水する。なお、各内部空間S3,S4が管部材T1の給排部T1bを介して外部と連通されていれば、管部材T2(または通流部)を介して内部空間S3,S4内の水waを吸引して外部に排水するようにしてもよい。
この作業を所定の回数、繰り返すことにより、互いに連結された環状構造体1Aおよび環状構造体1Bが浮上し始める。
最下段の環状構造体1Aが止水壁構造体100の設置面gfに到達することにより、止水プレート70,75の止水体73,78が設置面gfに接触する。図15(a)に示すように、例えば、横方向lに隣り合う止水プレート70の止水体73同士は、それぞれの端面73a,73bにおいて接触している。
図15(b)に示すように、止水プレート70が設置面gfに接触すると、止水プレート70には、積み重ねられた環状構造体1A,1Bおよび注水された水waの重みにより、設置面gfに対して垂直な力Fが働く。止水体73は、力Fにより(弾性)変形して設置面gfに対し密着する。設置面gfが不陸である場合、止水体73が変形して、凹凸のある設置面gfに密着することができる。
また、力Fにより、横方向lにおいて互いに接触する止水体73同士の端面73aと端面73bに対しては垂直な力F′が互いに向かって働く。互いに接触する端面73a,73b同士は略平行をなしているので、垂直な力F′と相俟って、端面73a,73b同士の密着度が高まることになる。止水体73および止水体78同士の接触においても、互いに接触する端面73a,73b,78a,78b同士は互いに略平行をなしているので、垂直な力F′と相俟って、端面73a,73b,78a,78b同士の密着度が高まることになる。
これにより、止水プレート70,75による止水壁構造体100と設置面gfとの間の止水に加えて、直方セグメント2および連結セグメント4と止水プレート70,75との間における止水、直方セグメント2,6および連結セグメント4,8同士の連結箇所における止水が達成される。かくして、止水壁構造体100は、全体として高い止水効果を奏することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、本発明の範囲を超えない範囲で適宜変更が可能である。例えば、上記の実施の形態においては、中空セグメント10A,10Bにおける内部空間S1~S4は、仕切プレート26,46,66,86により複数段に区切られて形成されているが、各中空セグメント10A,10Bの静水圧、流水圧、波圧等に対する強度が十分であれば、仕切プレート26,46,66,86を設けなくてもよい。
この場合、通流部は、環状構造体1A,1Bの周方向において、例えば、互いに対向する位置の直方セグメント2,6および連結セグメント4,8に設けられていればよい。これにより、内部空間S1~S4への注水時に、環状構造体1A,1Bが一方の側に過度に傾くことを防ぐことができる。
2,6 直方セグメント
4,8 連結セグメント
7(70,75) 止水プレート
71,76 プレート
73,78 止水体
73a,78a 端面
73b,78b 端面
Se シール部材
10A,10B 中空セグメント
100 止水壁構造体
l 横方向(長手方向)
h 縦方向
Claims (8)
- 壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体に取り付けられる止水プレートであって、
前記止水壁構造体の最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられ、前記止水壁構造体の自重により変形して前記止水壁構造体と該止水壁構造体が設置される設置面との間で水の通流を防ぐ止水体と、
前記下面に取り付けられるプレートと、
を備え、
前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して前記長手方向に傾斜している
ことを特徴とする止水プレート。 - 前記止水体は、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在していることを特徴とする請求項1に記載の止水プレート。
- 前記両端面のうち一方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に突き出ており、他方の端面は、前記プレートに対して前記長手方向に引き込まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の止水プレート。
- 壁面により内部空間が画成された中空セグメントを横方向および縦方向に連結して、少なくとも一部が水没した構造物との間に止水された空間を確保する止水壁構造体であって、
最下段に設けられている前記中空セグメントの下面に取り付けられて、前記止水壁構造体の自重により変形して当該止水壁構造体が設置される設置面との間で前記横方向に並んで取り付けられて水の通流を防ぐ複数の止水プレートを備え、
前記止水プレートは、前記下面に取り付けられるプレートと、
前記下面とは反対側の前記プレートの面に取り付けられて、前記プレートの長手方向における一端から他端にわたって延在する止水体と、
を有し、
前記止水体の長手方向における両端面は、前記プレートに対して長手方向に傾斜しており、
前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける止水体は、互いに前記端面同士が接触している
ことを特徴とする止水壁構造体。 - 前記横方向に隣り合う前記止水プレートにおける前記止水体の互いに接触する端面は、互いに平行をなしていることを特徴とする請求項4に記載の止水壁構造体。
- 隣り合う前記止水プレート同士の連結箇所と、隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所とは、互いに前記横方向にずれていることを特徴とする請求項4または5に記載の止水壁構造体。
- 前記中空セグメントと前記止水プレートとの間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項4から6までのいずれか一項に記載の止水壁構造体。
- 前記縦方向に連結された前記中空セグメント同士の間で、かつ前記横方向に隣り合う前記中空セグメント同士の連結箇所にシール部材が設けられていることを特徴とする請求項4から7までのいずれか一項に記載の止水壁構造体。
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