JP7111109B2 - クラックを有するフィルムの製造方法 - Google Patents

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    • C08J5/18Manufacture of films or sheets

Description

本発明は、クラックを有するフィルムの製造方法に関するものである。
従来から、フィルムの高機能化を目的に、表面に微細なクラックを形成したフィルムが検討されている。このようなフィルム表面に微細なクラックを形成する方法としては、例えば、所望の形状を予め付与した金型を用いる方法、マスクを用いたリソグラフィーによる方法、レーザー照射法、フィルム表面に先端が鋭角の支持体等を押し付けてフィルムを折り曲げる方法(特許文献1~3を参照)等が検討されている。
特許第3156058号公報 特開平7-146403号公報 特開平8-85161号公報
しかしながら、金型を用いる方法では、大面積のフィルムに適用可能な金型を製造することが困難であり、リソグラフィーによる方法では大面積のフィルムに適用するためのレジスト膜を準備することが困難であった。また、レーザー処理法及びフィルムに支持体を押し付けて折り曲げる方法では、高速化が困難であった。
そこで、本発明は、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するべく検討した。その結果、本発明者は、樹脂フィルムを、良溶媒の蒸気に暴露しかつ、該樹脂フィルムに所定の曲げ応力を印加するか、又は樹脂フィルムに、良溶媒と貧溶媒とを所定割合で含む混合溶媒を塗布しかつ、該樹脂フィルムに所定の曲げ応力を印加することで、フィルム面積が大きくても高速でクラックを形成可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕 一方向以上の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法であって、
樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを1MPa以上印加し、かつ、前記樹脂フィルムの面を良溶媒の蒸気に暴露し、前記クラックを形成する工程であって、前記樹脂フィルムの前記面は前記巻き掛けにおいて前記クラック形成ローラーと接触する面とは反対側の面であり、前記曲げ応力Fは、下記式(1)から算出される値である、工程(A1)を含む、クラックを有するフィルムの製造方法:
F=(E×t)/(1000X+t) (1)
(前記式(1)中、Eは前記樹脂フィルムの引張弾性率(MPa)、tは前記樹脂フィルムの厚み(μm)、Xは前記クラック形成ローラーの径(mm)を示す)。
〔2〕 前記良溶媒は、前記クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものである、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕 一方向以上の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法であって、
樹脂フィルムに混合溶媒を塗布し、かつ、前記樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを1MPa以上印加し、前記クラックを形成する工程であって、前記混合溶媒は、良溶媒及び貧溶媒を含み、前記混合溶媒中の前記貧溶媒の割合は10重量%以上90重量%以下であり、前記曲げ応力Fは、下記式(1)から算出される値である、工程(A2)を含む、クラックを有するフィルムの製造方法:
F=(E×t)/(1000X+t) (1)
(前記式(1)中、Eは前記樹脂フィルムの引張弾性率(MPa)、tは前記樹脂フィルムの厚み(μm)、Xは前記クラック形成ローラーの径(mm)を示す)。
〔4〕 前記混合溶媒は、前記クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものである、〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕 前記クラックを有するフィルムにおける残留溶媒が100ppm以下である、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔6〕 前記クラックを有するフィルムの厚みが10~500μmである、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔7〕 前記クラックを有するフィルムの全光線透過率が80%以上である、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔8〕 前記樹脂フィルムを挟んで前記クラック形成ローラーと対向する位置に配される補助ローラーが、当該樹脂フィルムを支持しつつ搬送する、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔9〕 前記クラック形成ローラーの回転軸を、前記樹脂フィルムの長手方向に対して斜め方向に傾けることで、前記樹脂フィルムの長手方向及び当該樹脂フィルムの幅方向以外の方向にクラックを形成する、〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の製造方法。
〔10〕 前記工程(A1)又は前記工程(A2)を行った後の樹脂フィルムを、延伸する工程Bを含む、〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することができる。
図1は、実施形態1のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。 図2は、樹脂フィルムに印加する曲げ応力の計算方法を説明するための図であって、クラック形成ローラーの上で湾曲されたフィルムを模式的に示した断面図である。 図3は、限界応力の測定に用いる治具の断面図である。 図4は、延伸工程の前後におけるクラック開口径の変化を示す、樹脂フィルムの部分断面図である。 図5は、実施形態1の変形例において、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルムに対して斜め方向に傾けてクラックを形成する様子を模式的に示した平面図である。 図6は、実施形態2のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。 図7は、実施形態3のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。 図8は、樹脂フィルムに印加する曲げ応力の計算方法を説明するための図であって、クラック形成ローラーの上で湾曲されたフィルムを模式的に示した断面図である。 図9は、延伸工程の前後におけるクラック開口径の変化を示す、樹脂フィルムの部分断面図である。 図10は、実施形態3の変形例において、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルムに対して斜め方向に傾けてクラックを形成する様子を模式的に示した平面図である。 図11は、実施形態4のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。 図12は、樹脂フィルムに混合溶媒を塗布しかつ、曲げ応力を印加する様子を模式的に示した斜視図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。長尺のフィルムの長さの上限は特に制限は無く、例えば、幅の広さの10万倍以下としうる。
以下の説明において、要素の方向が「平行」、及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±8°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
また、以下の説明において、樹脂フィルムの搬送方向とは、製造ラインにおける樹脂フィルムの搬送方向であり、通常は長尺のフィルムの長手方向と平行である。
さらに、以下の説明において、樹脂フィルムの幅方向とは、通常は長尺のフィルムの幅方向であり、樹脂フィルムの搬送方向に垂直な方向である。
また、以下の説明において、樹脂フィルムの斜め方向とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内方向であって、当該フィルムの幅方向に平行でもなく垂直でもない方向を示す。
[概要]
本発明の製造方法は、一方向以上の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法である。本発明の製造方法は、特定の工程(A1)又は工程(A2)を含む。
工程(A1)は、樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを印加し、かつ、樹脂フィルムの面を良溶媒の蒸気に暴露し、クラックを形成する工程である。ここで、暴露対象となる樹脂フィルムの面は、巻き掛けにおいてクラック形成ローラーと接触する面とは反対側の面である。
工程(A2)は、樹脂フィルムに特定の混合溶媒を塗布し、かつ、樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを印加し、前記クラックを形成する工程である。
以下において、工程(A1)を含む製造方法を、その例である実施形態1及び実施形態2を参照して説明し、工程(A2)を含む製造方法を、その例である実施形態3及び実施形態4を参照して説明する。
[1.実施形態1]
本発明において、「樹脂フィルムの面を良溶媒の蒸気に暴露する」とは、良溶媒の蒸気を、樹脂フィルムの面と接触させることをいう。
以下、本発明の製造方法の一実施形態である、実施形態1に係るクラックを有するフィルムの製造方法について、図1~図5を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る製造方法において用いる製造装置100は、樹脂フィルム1を良溶媒の蒸気に暴露する溶媒暴露装置110と、樹脂フィルム1にクラックを形成するクラック形成ローラー120と、クラック形成ローラー120とともに樹脂フィルム1を支持しつつ搬送する補助ローラー130と、工程(A1)を行った後に得られる樹脂フィルム10を延伸する延伸装置150と、樹脂フィルム10を延伸した後(工程Bを行った後)に得られる樹脂フィルム20を巻き取る巻取装置102と、を備える。
[1.1.工程(A1)]
実施形態1において、工程(A1)は、繰り出し装置101から繰り出された樹脂フィルム1を、クラック形成ローラー120に巻き掛けて、曲げ応力Fを1MPa以上印加し、かつ、樹脂フィルム1の面を、良溶媒の蒸気に暴露し、クラックを形成する工程である。本実施形態では、繰り出し装置101から繰り出された樹脂フィルム1は補助ローラー130に搬送される。その後、樹脂フィルム1を介して補助ローラー130と対向する位置に配置されているクラック形成ローラー120にて、樹脂フィルム1に曲げ応力Fが印加される。樹脂フィルム1に対して工程(A1)を行うことにより得られる樹脂フィルム10には、クラックが形成される。
工程(A1)において、樹脂フィルム1への曲げ応力Fの印加と、樹脂フィルム1の面への良溶媒の蒸気の暴露は、同時に行ってもよいし、いずれか一方を先に行い他方を後で行ってもよい。
[1.2.樹脂フィルム]
本発明において、樹脂フィルム1としては、特に限定はないが、生産効率に優れるという観点から、長尺の樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルム1に含まれる樹脂としては、使用用途によって適宜選択することが可能である。樹脂フィルム1に含まれる樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。
このような熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造含有重合体樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ジアセチルセルロース樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリケトンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のその他の樹脂;(メタ)アクリル酸エステル-ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、イソブテン/N-メチルマレイミド共重合体樹脂、スチレン/アクリルニトリル共重合体樹脂等の共重合体樹脂;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。これらの中でも、ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造含有重合体樹脂が好ましい。脂環式構造及びノルボルネン系樹脂の詳細は、例えば、国際公開第2015/064645号に示されている。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はないが、10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、20000以上が特に好ましく、100000以下が好ましく、80000以下がより好ましく、50000以下が特に好ましい。熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)が、前記範囲内であることにより、クラックを有するフィルムの機械的強度および成形加工性を高度にバランスさせることができる。なお、ここで、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン換算の重量平均分子量である。ただし、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにおいて、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合には溶媒としてトルエンを用いてもよい。溶媒としてトルエンを用いた場合は、ポリスチレン換算の重量平均分子量とする。
熱可塑性樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、特に制限はないが、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が特に好ましく、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.7以下が特に好ましい。熱可塑性樹脂の分子量分布を上記下限値以上にすることで、熱可塑性樹脂の生産性を高め、製造コストを抑制することができる。また、熱可塑性樹脂の分子量分布を上記上限値以下にすることで、低分子成分の量が小さくなるので、高温暴露時の緩和を抑制して、クラックを有するフィルムの安定性を高めることができる。
樹脂フィルム1の平均厚みとしては、特に制限はないが、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。樹脂フィルムの平均厚みが、前記範囲内であることにより、クラックを形成した後のフィルムの破断発生を抑制することができる。樹脂フィルムの平均厚みは、樹脂フィルムの幅方向において5cm間隔の複数の地点で厚みをスナップゲージにより測定し、それらの測定値の平均値を計算することにより求める。
樹脂フィルム1として、好適に用いることができる脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムの具体例としては、例えば、ゼオノアフィルム(日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
樹脂フィルム1としては、原料をフィルム状に成形して得られる原反フィルムを、延伸せず用いてもよいし、原反フィルムを延伸して得られる延伸フィルムを用いてもよい。原反フィルムを延伸して樹脂フィルムとする際の延伸の条件は、所望の樹脂フィルムが得られるよう適宜選択しうる。例えば、原反フィルムを延伸して樹脂フィルムとする際の延伸の態様は、一軸延伸、二軸延伸等の任意の態様としうる。また、原反フィルムが長尺状のフィルムである場合、延伸の方向は、縦方向(長尺状のフィルムの長手方向に平行な方向)、横方向(長尺状のフィルムの幅方向に平行な方向)、及び斜め方向(縦方向でも横方向でも無い方向)のいずれであってもよい。原反フィルムの延伸は、延伸方法に応じた延伸装置を用いて行われる。
原反フィルムの延伸において用いられる延伸装置としては、縦一軸延伸機、テンター延伸機、ブロー延伸機、及びローラー延伸機等が挙げられる。延伸装置は延伸方法等に応じて選択されうる。
原反フィルムを延伸して樹脂フィルムとする場合の延伸倍率は、特に制限はないが、1.05倍以上が好ましく、1.10倍以上がより好ましく、1.15倍以上が特に好ましく、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下が特に好ましい。延伸倍率を前記下限値以上にすることにより延伸フィルムにおける分子の配向の大きさ及び方向を、より正確に制御することができ、また、延伸倍率を上限値以下にすることにより延伸フィルムの破断を抑制することができる。
[1.3.樹脂フィルムへの曲げ応力Fの印加]
工程(A1)における巻き掛けの結果、樹脂フィルム1はクラック形成ローラー120に沿って曲げられ、樹脂フィルム1に、曲げ応力Fが印加される。本発明においては、樹脂フィルム1の曲げ方向(湾曲方向)は特に限定されないが、本実施形態においては、樹脂フィルム1は、その幅方向TDに対して平行に湾曲される。樹脂フィルム1をその幅方向TDに対して平行に湾曲させる場合、クラック形成ローラーは、回転軸が、樹脂フィルム1の幅方向TDに対して平行になるように配される。
曲げ応力Fは、1MPa以上であり、好ましくは3MPa以上、より好ましくは5MPa以上であり、好ましくは150MPa以下、より好ましくは100MPa以下、特に好ましくは50MPa以下である。曲げ応力Fを1MPa以上とすることにより、樹脂フィルムの表面にクラックを形成することができ、曲げ応力Fを前記上限値以下とすることによりクラックを形成した後のフィルムにおける破断の発生を有効に防止することができる。
曲げ応力Fは下記式(1)により算出される。
F=(E×t)/(1000X+t) (1)
式(1)中、Eは樹脂フィルムの引張弾性率(MPa)、tは樹脂フィルムの厚み(μm)、Xはクラック形成ローラーの径(mm)を示す。
曲げ応力Fの計算方法について、図2を参照しながら説明する。
図2において、tは樹脂フィルム1の厚み(μm)、Xはクラック形成ローラー120の径(mm)を示す。図2においては、樹脂フィルム1の湾曲部分を半円と仮定して以下のように式(1)が導出される。
曲げ応力Fは、下記式(2)に示すように、樹脂フィルムの引張弾性率Eと樹脂フィルムの歪みεとの積により算出される。
F=ε×E (2)
樹脂フィルムの歪みεは、曲げ応力を印加する前の樹脂フィルムの長さLに対する、曲げ応力印加後の樹脂フィルムの伸びΔLの比であり、下記式(3)により表すことができる。
ε=ΔL/L (3)
本発明において、Lは、樹脂フィルムの厚み方向における中心部分の長さ(図2において点線で示した半円の周の長さ)であり、下記式(4)により表すことができる。
L=π(1000X+t)/2 (4)
応力印加後の樹脂フィルムの伸びΔLは、樹脂フィルム表面の長さ(図2における最外周の半円の周の長さ)と、Lとの差から算出され(下記式(5)を参照)、下記式(6)により表すことができる。
ΔL=π(1000X+2t)/2-π(1000X+t)/2 (5)
ΔL=tπ/2 (6)
式(2)に式(3)、式(4)及び式(6)を代入すると、F=(E×t)/(1000X+t)となる。
樹脂フィルムの引張弾性率は、例えば、東洋ボールドウィーン社製「テンシロン UTM-10T-PL」を用いて測定しうる。測定に際し、引張速度は500mm/min、荷重はロードセル50kgf、試料形状は幅10mm×長さ50mmとしうる。測定を5回行い、その平均値を、引張弾性率Eの値として採用しうる。
[1.4.補助ローラー]
本実施形態では、工程(A1)において、図1に示すように、樹脂フィルム1を挟んでクラック形成ローラー120と対向する位置に配される補助ローラー130が、当該樹脂フィルム1を支持しつつ搬送する。樹脂フィルム1の幅寸法が大きい場合であっても、クラック形成ローラー120と、補助ローラー130と、により樹脂フィルムが支持されるので、樹脂フィルム1の撓みが防止される。
このような補助ローラー130としてはクラック形成ローラーよりも径が大きいものが好ましい。補助ローラー130の径は、好ましくは、クラック形成ローラーの径の5倍以上、より好ましくは10倍以上、好ましくは100倍以下、より好ましくは50倍以下である。
[1.5.良溶媒への暴露]
樹脂フィルムの面への良溶媒の蒸気の暴露は、良溶媒の蒸気を樹脂フィルムと接触させることにより行われる。暴露は、樹脂フィルムのおもて面及び裏面の2つの主面のうちの少なくとも一方の面に対して行う。かかる一方の面は、クラック形成ローラー120と接触する面とは反対側の面であり、図1においては樹脂フィルム1の上側面である。樹脂フィルムの他方の面は、良溶媒の上記に暴露されてもよく、暴露されなくてもよい。
良溶媒の蒸気を樹脂フィルムの面に接触させる溶媒暴露装置110としては特に限定はない。溶媒暴露装置110の例としては、良溶媒の蒸気を所定濃度に管理した処理部内に樹脂フィルムを搬入して、良溶媒の蒸気と接触させる態様の溶媒暴露装置等が挙げられる。
[1.5.1.良溶媒]
本発明において、「良溶媒」は、あるフィルムを構成する材料について、限界応力100kgf/cm未満をもたらす溶媒である。即ち、ある製造方法において用いられるある溶媒が良溶媒であるか否かは、当該製造方法において、溶媒が作用する対象となるフィルムを構成する材料との関係において規定される。
例えば樹脂フィルムが脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムである場合の良溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジオクチルフタレート(DOP)、リモネン等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサン及びMIBKが好ましい。良溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、回収が容易であるとの観点から、1種を用いるのが好ましい。溶剤回収の観点から良溶媒としては沸点が50℃~180℃のものが好ましい。
ある溶媒が良溶媒であるか否かを評価するための、樹脂フィルムの限界応力の測定方法について図3を参照しつつ説明する。
樹脂フィルムの限界応力は、樹脂フィルムの試験片(厚さ0.1cm)を、楕円治具J(1/4楕円形状の治具)に沿って固定し、評価対象の溶媒に1時間浸漬した後に取り出して、クレーズの発生する様子を観察することにより行われる。図3で示される治具Jの断面形状は、x/100+y/40=1で表される曲線を有する楕円を四分の一に切った形状(1/4楕円形状)となっている。図3においてPはクレーズの発生限界点である。限界応力の測定に用いる試験片(図示せず)としては樹脂フィルムを厚み0.1cmの板としたものを用いる。樹脂フィルムが2層以上の複層構造の場合は樹脂フィルムの各層の厚み比と、厚み0.1cmの板における各材料からなる層の厚み比とが同じになるようにして、厚み0.1cmの板を製造する。
治具Jに装着された試験片は楕円の曲率に沿って歪みが連続的に変化しているので、クレーズの入った位置を測定することにより、どの程度の応力でクレーズが発生するのかを評価することができる。
楕円治具法による限界応力の測定は、図3に示すクレーズの発生限界点Pの測定することにより楕円の中心OからX軸方向で距離xcmの位置におけるサンプルの歪みEsが下記式(7)により求められる。式(7)中、tは試験片の厚さ(cm)である。
Es=0.02×(1-0.0084×x-3/2×t (7)
この歪みEsと曲げ弾性率Ebとの積(Es×Eb)からクレーズ発生限界点における応力(限界応力)が算出される。
クラックを有するフィルムの機能を有効に発現させる観点から、良溶媒は、クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものであることが好ましい。「固形分が残存しない」とは、クラックを形成した後の樹脂フィルムを肉眼視で観察した際に固形分が認めらないことを意味する。
良溶媒の濃度及び良溶媒の蒸気の暴露時間は、樹脂フィルムに含まれる樹脂の種類等に応じて適宜設定することが可能であるが、本発明の製造方法により得られるクラックを有するフィルムにおける残留溶媒が100ppm以下となるように設定するのが好ましい。
樹脂フィルムとして脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムを用いる場合、良溶媒の濃度は、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300ppm以上であり、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下である。良溶媒の濃度を上限値以下とすることにより、本実施形態により得られるクラックを有する樹脂フィルムにおける残留溶媒の量を少なくすることができ、良溶媒の濃度を下限値以上とすることにより、有効に樹脂フィルムの表面にクラックを形成することができる。良溶媒の濃度は、市販のVOCセンサー(例えば、オー・エス・ピー社製、ハンディVOCセンサー VOC-121H)を用いて測定することができる。
樹脂フィルムとして脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムを用いる場合、良溶媒の蒸気の暴露時間は、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.03秒以上であり、好ましくは30秒以下、より好ましくは10秒以下である。良溶媒の蒸気の暴露時間を上限値以下とすることにより、本実施形態により得られるクラックを有する樹脂フィルムにおける残留溶媒の量を少なくすることができ、良溶媒の蒸気の暴露時間を下限値以上とすることにより、有効に樹脂フィルムの表面にクラックを形成することができる。
[1.6.延伸工程(工程B)]
本実施形態のクラックを有するフィルムの製造方法は、工程(A1)を行った後に得られる樹脂フィルム10を延伸する工程Bを含む。工程(A1)を行った後に得られる樹脂フィルム10においてもクラックが形成されているので、本発明において工程Bは必須ではないが、工程Bを行うことにより、工程(A1)により形成されたクラックを大きくすることができる(図4参照)。
図4は工程Bの前後におけるクラック開口径の変化を示す、樹脂フィルムの部分断面図である。図4における、上側には、工程Bを行う前の樹脂フィルム10を示し、下側に工程Bを行った後の樹脂フィルム20を示しており、図4中、10Wは工程Bを行う前の樹脂フィルム10の、ある位置からもう一つのある位置までの間の寸法であり、20Wは工程Bを行った後の樹脂フィルム20の、10Wに対応する位置間の寸法である。図4においては、樹脂フィルム10のクラック11A,11B,11Cと、樹脂フィルム20のクラック21A,21B,21Cと、が対応している。図4に示すように、工程Bを行った後の樹脂フィルム20のクラック21Bの開口径21Wは、工程Bを行う前の樹脂フィルム10のクラック11Bの開口径11Wよりも大きい。つまり工程Bを行うことにより、工程(A1)により形成されたクラック11Bの開口径11Wを大きくすることができる。
工程Bにおける樹脂フィルム10の延伸方法としては、当該フィルムを幅方向に延伸する横延伸;当該フィルムを斜め方向に延伸する斜め延伸;当該フィルムの搬送方向に延伸する縦延伸;一方向に延伸した後、他方向に延伸する逐次二軸延伸;2つの方向に同時に延伸する同時二軸延伸が挙げられる。工程Bは延伸方向の相違する2つの延伸工程を含んでいてもよく、延伸方向が同一の2つの延伸工程を含んでいてもよい。
工程Bにおける、樹脂フィルムの延伸方向は、特に限定されないが、クラック開口径をより大きくすることができるという観点から、工程Bにおける樹脂フィルムの延伸方向は、工程(A1)におけるクラック形成方向とは相違する方向であるのが好ましい。
工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は、工程(A1)で一方向のクラックを形成した場合は、形成されたクラックの方向に対して、フィルム面内における垂直方向に一軸延伸することが好ましい。工程(A1)で二方向以上のクラックを形成した場合、工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は同時二軸延伸することや逐次二軸延伸することなどの複数の延伸工程を含むことが好ましく、工程Bにおける延伸方向は、工程(A1)における各クラック形成方向に対してフィルム面内における垂直方向であることが好ましい。工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は、延伸方法に応じた延伸装置を用いて行われる。延伸装置としては原反フィルムの延伸で用いられる延伸装置と同じのものを用いることができる。
工程Bにおける延伸倍率は、特に制限はないが、1.05倍以上が好ましく、1.10倍以上がより好ましく、1.15倍以上が特に好ましく、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下が特に好ましい。延伸倍率を前記下限値以上にすることにより延伸後のクラックを有するフィルムにおける分子の配向の大きさ及び方向を、より正確に制御することができ、また、延伸倍率を上限値以下にすることにより延伸後のクラックを有するフィルムの破断を抑制することができる。工程Bが複数の延伸工程を含む場合は、それぞれの延伸工程において、延伸倍率が上に述べた範囲内であることが好ましい。
[1.7.他の工程]
本実施形態においては、工程Bを行った後の樹脂フィルム20は、その両端部をトリミングした後、巻取装置により巻き取られ(巻取工程)、種々の用途に用いられる。
本発明においては、巻取工程の前であって、工程(A1)の後または工程Bの後に、樹脂フィルムを加熱して、樹脂フィルムに残存する良溶媒を除去する加熱工程を行ってもよい。
[1.8.本実施形態の製造方法により得られたクラックを有するフィルム]
本実施形態の製造方法においては、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルム1の幅方向TDに対して平行に配して曲げ応力を印加するので、本実施形態の製造方法により得られるクラックを有するフィルムにおいては、その幅方向に対して略平行なクラックが形成される。したがって、得られるフィルムは、一方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムとなる。
本実施形態により得られたクラックを有するフィルムにおける残留溶媒は好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは50ppm以下であり、下限は特に制限されないが0ppm以上である。クラックを有するフィルムにおける残留溶媒の量は例えば熱分解ガスクロマトグラフィー等の分析法により測定しうる。
本実施形態の製造方法により得られたクラックを有するフィルムの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。クラックを有するフィルムの平均厚みが、前記範囲内であることにより、フィルムの破断発生を抑制することができる。クラックを有するフィルムの平均厚みは、当該フィルムの幅方向において5cm間隔の複数の地点で厚みをスナップゲージにより測定し、それらの測定値の平均値を計算することにより求める。
クラックを有するフィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。クラックを有するフィルムの全光線透過率を下限値以上とすることにより、透明性に優れたフィルムとすることができ、透明性が求められる用途(例えば光学フィルム等)において好適に用いることができる。
クラックを有するフィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定し得る。測定装置としては、ヘイズメーター(東洋精機社製「ヘイズガードII」)を用い得る。
[1.9.本実施形態により得られる樹脂フィルムの用途]
本実施形態においては、樹脂フィルム1に含まれる樹脂を用途に応じて選択し、良溶媒の蒸気を暴露する条件等を制御することにより、光学分野以外に、例えばバイオミメティックス分野等で求められるフィルムとして用いることができる。
[1.10.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、樹脂フィルムを、クラックを形成するクラック形成ローラーに巻き掛けて、式(1)で定義される曲げ応力Fを1MPa以上印加し、かつ、樹脂フィルムの、クラック形成ローラーと接触する面とは反対側の面を、良溶媒の蒸気に暴露する工程(A1)を含むので、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することができる。
[1.11.実施形態1の変形例]
実施形態1の製造方法では、一方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムを得たが、本発明の製造方法はこれに限られず、クラックを有するフィルムとして、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルム(即ち、ある一方向の平行な方向に配向する一群のクラックと、別のある一方向の平行な方向に配向するもう一群のクラックとを有するフィルム)を得る製造方法であってもよい。さらには、それより多い方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムを得る製造方法であってもよい。
以下、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法の例として、実施形態1の変形例について図5を参照しつつ説明する。本例では実施形態1における工程(A1)において、図5に示すクラック形成ローラー122A,122Bを用いる。図5は、変形例1において、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルム10の長手方向MDに対して斜め方向に傾けてクラックを形成する様子を模式的に示した平面図である。
本例においては、図5に示すように、回転軸(Y-Y線)が樹脂フィルムの幅方向Qに対してθ1となるように配された第1のクラック形成ローラー122Aに、樹脂フィルム1を巻き掛けて、曲げ応力Fを印加する。その後、さらに、回転軸が樹脂フィルム1の幅方向Rに対してθ2となるように配された第2のクラック形成ローラー122Bに、樹脂フィルムを巻き掛けて、曲げ応力Fを印加することで、樹脂フィルムにクラックが形成される。
本例においては、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルム1の長手方向MDに対して斜め方向に傾けて曲げ応力を印加するので、本例により得られるクラックを有するフィルムにおいては、樹脂フィルムの幅方向に対して斜め方向(樹脂フィルムの長手方向及び幅方向以外の方向)にクラックが形成される。そして、複数のクラック形成ローラーを使用したクラックの形成を行った結果、得られるフィルムは、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムとなる。
[2.実施形態2]
以下、本発明の製造方法の一実施形態である、実施形態2に係るクラックを有するフィルムの製造方法について図6を参照しつつ、説明する。本実施形態は補助ローラーを備えない点で実施形態1と相違する。以下の説明において、実施形態1と同じ構成及び重複した説明は省略する。
図6は、実施形態2のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る製造方法において用いる製造装置200は、樹脂フィルム2を繰り出す繰り出し装置201と、樹脂フィルム2を良溶媒の蒸気に暴露する溶媒暴露装置210と、樹脂フィルム2にクラックを形成するクラック形成ローラー220と、工程(A1)を行った後に得られる樹脂フィルム12を延伸する延伸装置250と、延伸後(工程Bを行った後)に得られる樹脂フィルム22を巻き取る巻取装置202と、を備える。
本実施形態によっても、実施形態1と同じく、樹脂フィルム2を、クラックを形成するクラック形成ローラー220に巻き掛けて、式(1)で定義される曲げ応力Fを1MPa以上印加し、かつ、樹脂フィルム2の、クラック形成ローラー220と接触する面とは反対側の面を、良溶媒の蒸気に暴露する工程(A1)を含むので、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することができる。
また、本実施形態においては、補助ローラーを用いないので、実施形態1よりもクラック形成フィルムの製造装置を簡素化することができる。
[3.実施形態3]
本発明において、「樹脂フィルムに混合溶媒を塗布する」とは、混合溶媒を液体の状態で、樹脂フィルムの面と接触させることを言う。
以下、本発明の製造方法の一実施形態である、実施形態3に係るクラックを有すフィルムの製造方法について、図7~図11を参照しつつ説明する。
図7は、実施形態3のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置を模式的に示した側面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る製造方法において用いる製造装置300は、樹脂フィルム1に混合溶媒を塗布する塗布装置310と、混合溶媒塗布後の樹脂フィルム30にクラックを形成するクラック形成ローラー320と、クラック形成ローラー320とともに樹脂フィルム30を支持しつつ搬送する補助ローラー330と、クラックが形成された樹脂フィルム35を延伸する延伸装置350と、延伸後のクラックを有するフィルム40(工程Bを行った後の樹脂フィルム)を巻き取る巻取装置302と、を備える。
[3.1.工程(A2)]
工程(A2)は、樹脂フィルム1に特定の混合溶媒を塗布し、かつ、樹脂フィルム1をクラック形成ローラー320に巻き掛けて曲げ応力Fを1MPa以上印加し、クラックを形成する工程である。本実施形態では、繰り出し装置301から繰り出された樹脂フィルム1は、混合溶媒を塗布され、混合溶媒の層を有する樹脂フィルム30となり、補助ローラー330に搬送される。その後、樹脂フィルム30を介して補助ローラー130と対向する位置に配置されているクラック形成ローラー320にて、樹脂フィルム30に曲げ応力Fが印加される。樹脂フィルム1に対して工程(A2)を行うことにより得られる樹脂フィルム35には、クラックが形成される。
本実施形態においては、工程(A2)において、樹脂フィルム1の面への混合溶媒を塗布した後、樹脂フィルムへの曲げ応力の印加を行うが、樹脂フィルム1への曲げ応力Fの印加と、樹脂フィルムの面への混合溶媒の塗布とは、同時に行ってもよいし、樹脂フィルム1への曲げ応力Fの印加の後、樹脂フィルムの面への混合溶媒の塗布を行ってもよい。
実施形態3において用いられる樹脂フィルム1の例としては、実施形態1において用いられる樹脂フィルム1の例として挙げたものと同じ例が挙げられる。
[3.2.混合溶媒の塗布]
樹脂フィルムの面(図7においては樹脂フィルムの上側面)への混合溶媒の塗布は、液体状態の混合溶媒を樹脂フィルムと接触させることにより行われる。図7中、塗布装置310の下方には塗布ロール311が配置されている。この例において、塗布ロール311は、樹脂フィルム1を下側から支承し、それにより塗布装置310による塗布の均一性及び円滑性を向上させる。
混合溶媒を樹脂フィルム1に塗布する塗布装置としては特に限定はないが、例えばグラビアコーター、搬送ロールコーター、ダイコーター等が挙げられる。
[3.2.1.混合溶媒]
混合溶媒は、良溶媒及び貧溶媒を含む溶媒であり、通常は、良溶媒と、貧溶媒とを混合して得られる。
[3.2.2.貧溶媒]
混合溶媒における「貧溶媒」は、あるフィルムを構成する材料について、限界応力140kgf/cm以上をもたらす溶媒である。
例えば樹脂フィルムが脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムである場合の貧溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルセルソルブ等が挙げられる。これらのうち、後述の良溶媒全般との相溶性がよく、好適な良溶媒よりも沸点が低いとの観点から、アセトン及びMEKが好ましい。貧溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、回収が容易であるとの観点から、1種を用いるのが好ましい。
混合溶媒中の貧溶媒の割合は10重量%以上90重量%以下である。混合溶媒中の貧溶媒の割合は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは、87重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。貧溶媒の割合を下限値以上とすることにより、樹脂フィルムの破断の発生を抑制し、貧溶媒の割合を上限値以下とすることにより、クラックを有効に発生させることができる。
[3.2.3.良溶媒]
混合溶媒における「良溶媒」は、あるフィルムを構成する材料について、限界応力100kgf/cm未満をもたらす溶媒である。
例えば樹脂フィルムが脂環式構造含有重合体樹脂を含むフィルムである場合の良溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジオクチルフタレート(DOP)、リモネン等が挙げられる。これらのうち、前述の貧溶媒全般との相溶性がよく、好適な貧溶媒よりも沸点が高いとの観点から、シクロヘキサノン、トルエン及びMIBKが好ましい。良溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、回収が容易であるとの観点から、1種を用いるのが好ましい。
混合溶媒中の良溶媒の割合は10重量%以上90重量%以下である。混合溶媒中の良溶媒の割合は、好ましくは12重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、好ましくは、80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。良溶媒の割合を下限値以上とすることにより、クラックを有効に発生させることができ、樹脂フィルムの破断の発生を抑制し、良溶媒の割合を上限値以下とすることにより、樹脂フィルムの破断の発生を抑制することができる。
ある溶媒が良溶媒であるか否かを評価するための樹脂フィルムの限界応力の測定方法、及びある溶媒が貧溶媒であるか否かを評価するための樹脂フィルムの限界応力の測定方法は、実施形態1の説明において述べた測定方法の通りである。したがって、ある製造方法において用いられるある溶媒が良溶媒であるか否か、及びある製造方法において用いられるある溶媒が貧溶媒であるか否は、当該製造方法において、溶媒が作用する対象となるフィルムを構成する材料との関係において規定される。
クラックを有するフィルムの機能を有効に発現させる観点から、混合溶媒は、クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものであることが好ましい。「固形分が残存しない」とは、クラックを形成した後の樹脂フィルムを肉眼視で観察した際に固形分が認められないことを意味する。
混合溶媒の塗布量は、樹脂フィルムに含まれる樹脂の種類等に応じて適宜設定することが可能であるが、本発明の製造方法により得られるクラックを有するフィルムにおける残留溶媒が100ppm以下となるように設定するのが好ましい。また、ウエット時の塗布厚みで1~20μm程度にするのが好ましい。前記ウエット時の塗布厚みは、分光光度計(日本分光社製、ポータブル分光光度計MV-3150)を用いて測定することができる。ウエット時とは塗布直後の状態をいう。
[3.3.樹脂フィルムへの曲げ応力Fの印加]
工程(A2)における巻き掛けの結果、樹脂フィルム30はクラック形成ローラー320に沿って曲げられ、樹脂フィルム1に、曲げ応力Fが印加される。本発明においては、樹脂フィルム1の曲げ方向(湾曲方向)は特に限定されないが、本実施形態においては、樹脂フィルム1は、その幅方向TDに対して平行に湾曲される。樹脂フィルム1をその幅方向TDに対して平行に湾曲させる場合、クラック形成ローラーは、回転軸が、樹脂フィルム1の幅方向TDに対して平行になるように配される。
曲げ応力Fは、1MPa以上であり、好ましくは3MPa以上、より好ましくは5MPa以上であり、好ましくは150MPa以下、より好ましくは100MPa以下、特に好ましくは60MPa以下である。曲げ応力Fを1MPa以上とすることにより、樹脂フィルムの表面にクラックを形成することができ、曲げ応力Fを前記上限値以下とすることによりクラックを形成した後のフィルムにおける破断の発生を有効に防止することができる。
曲げ応力Fは下記式(1)により算出される。
F=(E×t)/(1000X+t) (1)
曲げ応力Fの計算方法について、図8を参照しながら説明する。
図8において、tは樹脂フィルム30の厚み(μm)、Xはクラック形成ローラー320の径(mm)を示す。図8においては、樹脂フィルム30の湾曲部分を半円と仮定して式(1)が導出される。式(1)の導出の具体的な説明は、実施形態1の説明において述べた導出方法の通りである。
[3.4.補助ローラー]
本実施形態では、工程(A2)において、図7に示すように、樹脂フィルム30を挟んでクラック形成ローラー320と対向する位置に配される補助ローラー330が、当該樹脂フィルム30を支持しつつ搬送する。樹脂フィルム1(樹脂フィルム30)の幅寸法が大きい場合であっても、クラック形成ローラー320と、補助ローラー330と、により樹脂フィルムが支持されるので、樹脂フィルムの撓みが防止される。
このような補助ローラー330としてはクラック形成ローラー320よりも径が大きいものが好ましい。補助ローラー330の径は、好ましくは、クラック形成ローラー320の径の5倍以上、より好ましくは10倍以上、好ましくは100倍以下、より好ましくは50倍以下である。
[3.5.延伸工程(工程B)]
本実施形態のクラックを有するフィルムの製造方法は、工程(A2)を行った後に得られる樹脂フィルム35を延伸する工程Bを含む。工程(A2)を行った後に得られる樹脂フィルム35においてもクラックが形成されているので、本発明において工程Bは必須ではないが、工程Bを行うことにより、工程(A2)により形成されたクラックを大きくすることができる(図9参照)。
図9は工程Bの前後におけるクラック開口径の変化を示す、樹脂フィルムの部分断面図である。図9における、上側には、工程Bを行う前の樹脂フィルム35を示し、下側に工程Bを行った後の樹脂フィルム40を示しており、図9中、35Wは工程Bを行う前の樹脂フィルム35の、ある位置からもう一つのある位置までの間の寸法であり、40Wは工程Bを行った後の樹脂フィルム40の、35Wに対応する位置間の寸法である。図9においては、樹脂フィルム35のクラック351A,351B,351Cと、樹脂フィルム40のクラック41A,41B,41Cが対応している。図9に示すように、工程Bを行った後の樹脂フィルム40のクラック41Bの開口径41Wは、工程Bを行う前の樹脂フィルム35のクラック351Bの開口径351Wよりも大きい。つまり工程Bを行うことにより、工程(A2)により形成されたクラック351Bの開口径351Wを大きくすることができる。
工程Bにおける樹脂フィルム35の延伸方法としては、当該フィルムを幅方向に延伸する横延伸、当該フィルムを斜め方向に延伸する斜め延伸、当該フィルムの搬送方向に延伸する縦延伸、縦と横方向に延伸する同時二軸延伸が挙げられる。工程Bは延伸方向の相違する2つの延伸工程を含んでいてもよく、延伸方向が同一の2つの延伸工程を含んでいてもよい。
工程Bにおける、樹脂フィルム35の延伸方向は、特に限定されないが、クラック開口径をより大きくすることができるという観点から、工程Bにおける樹脂フィルムの延伸方向は、工程(A2)におけるクラック形成方向とは相違する方向であるのが好ましい。
工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は、工程(A2)で一方向のクラックを形成した場合は、形成されたクラックの方向に対して、フィルム面内における垂直方向に一軸延伸することが好ましい。工程(A2)で二方向以上のクラックを形成した場合、工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は同時二軸延伸することや逐次二軸延伸することなどの複数の延伸工程を含むことが好ましく、工程Bにおける延伸方向は、工程(A2)における各クラック形成方向に対してフィルム面内における垂直方向であることが好ましい。工程Bにおける樹脂フィルムの延伸は、延伸方法に応じた延伸装置を用いて行われる。延伸装置としては原反フィルムの延伸で用いられる延伸装置と同様のものを用いることができる。
工程Bにおける延伸倍率は、特に制限はないが、1.05倍以上が好ましく、1.10倍以上がより好ましく、1.15倍以上が特に好ましく、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下が特に好ましい。延伸倍率を前記下限値以上にすることにより延伸後のクラックを有するフィルムにおける分子の配向の大きさ及び方向を、より正確に制御することができ、また、延伸倍率を上限値以下にすることにより延伸後のクラックを有するフィルムの破断を抑制することができる。工程Bが複数の延伸工程を含む場合は、それぞれの延伸工程において、延伸倍率が上に述べた範囲内であることが好ましい。
[3.6.他の工程]
本実施形態においては、工程Bを行った後の樹脂フィルム40は、その両端部をトリミングした後、巻取装置により巻き取られ(巻取工程)、種々の用途に用いられる。
本発明においては、巻取工程の前であって、工程(A2)の後または工程Bの後に、樹脂フィルムを加熱して、樹脂フィルムに残存する良溶媒を除去する加熱工程を行ってもよい。
[3.7.本実施形態の製造方法により得られたクラックを有するフィルム]
本実施形態の製造方法においては、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルム1の幅方向TDに対して平行に配して曲げ応力を印加するので、本実施形態の製造方法により得られるクラックを有するフィルムにおいては、その幅方向に対して略平行なクラックが形成される。したがって、得られるフィルムは、一方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムとなる。
本実施形態により得られたクラックを有するフィルムにおける残留溶媒は好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、下限は特に限定されないが0ppm以上である。クラックを有するフィルムにおける残留溶媒の量は例えば熱分解ガスクロマトグラフィー等の分析法により測定しうる。
本実施形態の製造方法により得られたクラックを有するフィルムの厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。クラックを有するフィルムの平均厚みが、前記範囲内であることにより、フィルムの破断発生を抑制することができる。クラックを有するフィルムの平均厚みは、当該フィルムの幅方向において5cm間隔の複数の地点で厚みをスナップゲージにより測定し、それらの測定値の平均値を計算することにより求める。
クラックを有するフィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。クラックを有するフィルムの全光線透過率を下限値以上とすることにより、透明性に優れたフィルムとすることができ、透明性が求められる用途(例えば光学フィルム等)において好適に用いることができる。
クラックを有するフィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定し得る。測定装置としては、ヘイズメーター(東洋精機社製「ヘイズガードII」)を用い得る。
[3.8.本実施形態により得られる樹脂フィルムの用途]
本実施形態においては、樹脂フィルム1に含まれる樹脂を用途に応じて選択し、混合溶媒塗布の条件等を制御することにより、光学分野以外に、例えばバイオミメティックス分野等で求められるフィルムとして用いることができる。
[3.9.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、樹脂フィルムに、所定割合の良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を塗布し、かつ樹脂フィルムを、クラックを形成するクラック形成ローラーに巻き掛けて、式(1)で定義される曲げ応力Fを1MPa以上印加する工程(A2)を含むので、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することができる。
[3.10.実施形態3の変形例]
実施形態3の製造方法では、一方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムを得たが、本発明の製造方法はこれに限られず、クラックを有するフィルムとして、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムを得る製造方法であってもよい。さらには、それより多い方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムを得る製造方法であってもよい。
以下、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法の例として、実施形態3の変形例について図10を参照しつつ説明する。本例では実施形態3における工程(A2)において、図10に示すクラック形成ローラーを用いる。図10は、変形例において、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルム30の長手方向MDに対して斜め方向に傾けてクラックを形成する様子を模式的に示した平面図である。
本例においては、図10に示すように、回転軸(Y-Y線)が樹脂フィルムの幅方向Qに対してθ1となるように配された第1のクラック形成ローラー322Aに、樹脂フィルム30を巻き掛けて、曲げ応力Fを印加する。その後、さらに、回転軸が樹脂フィルム30の幅方向Rに対してθ2となるように配された第2のクラック形成ローラー322Bに、樹脂フィルムを巻き掛けて、曲げ応力Fを印加することで、樹脂フィルムにクラックが形成される。
本例においては、クラック形成ローラーの回転軸を、樹脂フィルムの長手方向MDに対して斜め方向に傾けて曲げ応力を印加するので、本例により得られるクラックを有するフィルムにおいては、樹脂フィルムの幅方向に対して斜め方向(樹脂フィルムの長手方向及び幅方向以外の方向)にクラックが形成される。そして、複数のクラック形成ローラーを使用したクラックの形成を行った結果、得られるフィルムは、二方向の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムとなる。
[4.実施形態4]
以下、本発明の製造方法の一実施形態である、実施形態4に係るクラックを有するフィルムの製造方法について図11及び図12を参照しつつ、説明する。本実施形態は補助ローラーを備えない点で実施形態3と相違する。以下の説明において、実施形態3と同じ構成及び重複した説明は省略する。
図11は、実施形態4のクラックを有するフィルムの製造方法において用いる製造装置400を模式的に示した側面図である。図12は、樹脂フィルム2に混合溶媒を塗布しかつ、曲げ応力を印加する様子を模式的に示した斜視図である。
図11に示すように、本実施形態に係る製造方法において用いる製造装置400は、樹脂フィルム2を繰り出す繰り出し装置401と、樹脂フィルム2に混合溶媒を塗布する塗布装置410及び塗布ロール411と、樹脂フィルム2にクラックを形成するクラック形成ローラー420と、工程(A2)を行った後に得られる樹脂フィルム36を延伸する延伸装置450と、延伸後(工程Bを行った後)に得られる樹脂フィルム42を巻き取る巻取装置402と、を備える。
図12において、格子状の模様が付されている部分は、樹脂フィルム32の混合溶媒が塗布されている部分であり、樹脂フィルム36の幅方向に略平行な破線が付されている部分は、クラック361が形成されている部分である。
本実施形態によっても、実施形態3と同様に、樹脂フィルム2に、所定割合の良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を塗布し、かつ樹脂フィルムを、クラックを形成するクラック形成ローラーに巻き掛けて、式(1)で定義される曲げ応力Fを1MPa以上印加する工程(A2)を含むので、大面積のフィルムであっても高速でクラックを形成可能な、クラックを有するフィルムの製造方法を提供することができる。
また、本実施形態においては、補助ローラーを用いないので、実施形態3よりもクラック形成フィルムの製造装置を簡素化することができる。
[5.他の実施形態]
本発明は以下の態様とすることもできる。
(1)実施形態1及び実施形態3において、補助ローラー(130又は330)はクラック形成ローラー(120又は320)よりも搬送方向における上流側(図1及び図7に示す左側)に配されているが、補助ローラーの位置は、クラック形成ローラーよりも下流側であってもよい。
(2)上記実施形態及び変形例においては、クラック形成ローラーの回転軸を樹脂フィルムの幅方向に平行に配してクラックを形成する例、クラック形成ローラーの回転軸を樹脂フィルムの長手方向に斜め方向に傾けて配してクラックを形成する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の製造方法においては、クラック形成ローラーの回転軸を樹脂フィルムの長手方向に平行に配してクラックを形成してもよいし、回転軸の配置方向が相違するクラック形成ローラーを2以上用いてクラックを形成してもよい。
(3)上記実施形態では、工程(A1)又は工程(A2)を行った後の樹脂フィルムを延伸する工程Bを含む製造方法を示したが、本発明の製造方法は工程Bを含まない製造方法であってもよい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の請求の範囲およびその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施し得る。
以下に説明する操作は、特段の規定がない限り、常温および常圧の条件において行った。また、以下の実施例および比較例において、量を表す「%」および「部」は、特段の規定がない限り、重量基準である。
〔評価方法〕
[全光線透過率]
各例により得られたフィルムの全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して、ヘイズメーター(東洋精機社製「ヘイズガードII」)を用いて測定した。
[クラックの観察]
顕微鏡(株式会社キーエンス製、「デジタルマイクロスコープVHX-5000」)を用いて、各例で得られたフィルムにおける、クラックの有無及びクラックの状態(幅寸法及び方向)を観察した。
[破断の有無]
各例において得られたフィルムの破断の発生の有無を肉眼により観察し、破断の発生が認められたものを「あり」とし、破断の発生が認められなかったものを「なし」とした。
[残留溶媒量の測定]
各例において得られたフィルムの残留溶媒量を熱分解ガスクロマトグラフィーにより測定した。
[フィルムの平均厚み]
各例において得られたフィルムの平均厚みは、当該フィルムの幅方向において5cm間隔の複数の地点で厚みをスナップゲージにより測定し、それらの測定値の平均値を計算することにより求めた。
[フィルムの引張弾性率]
フィルムの引張弾性率は、東洋ボールドウィーン社製「テンシロン UTM-10T-PL」を用いて測定した。引張速度は500mm/min、荷重はロードセル50kgf、試料形状は幅10mm×長さ50mmとした。測定を5回行い、その平均値を、引張弾性率の値として採用した。
(実施例a1)
(a1-1)樹脂フィルムAの調製
溶融押出法により得られた脂環式構造含有重合体を含む樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、ゼオノアフィルム ZF14-188、厚み188μm、Tg136℃、幅1330mm、長さ3900m)を樹脂フィルムAとした。
(a1-2)クラックを有するフィルムの製造
クラック形成ローラー(ローラー径5mm)を、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向に対して平行な方向になるように配し、以下の手順により、クラックを有するフィルムを得た。
シクロヘキサン(樹脂フィルムに対する限界応力:53kgf/cm、沸点:80.7℃)の濃度を500ppmに管理した雰囲気下、樹脂フィルムAをクラック形成ローラーに巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加し、樹脂フィルムAの面のうち、クラック形成ローラーと接する面とは反対側の面にクラックを形成し、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例a2)
実施例a1の(a1-2)において、シクロヘキサンに代えてMIBK(樹脂フィルムに対する限界応力:67kgf/cm、沸点:116℃)を用いたこと以外は、実施例a1と同じ操作により、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例a3)
シクロヘキサンの濃度を500ppmに管理した雰囲気下、図5に示すように、第1のクラック形成ローラーに、樹脂フィルムA(実施例a1の(a1-1)と同じ操作により調製したもの)を巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加した。その後、さらに、第2のクラック形成ローラーに、樹脂フィルムAを巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加した。この操作において、第1のクラック形成ローラーは、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向Qに対して45°(θ1=45°)となるように配置し、第2のクラック形成ローラーは、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向Rに対して45°(θ2=45°)となるように配置した。この操作により、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表1に示した。
(実施例a4)
実施例a1で得られたクラックを有するフィルム(工程(A1)を行った後のクラックを有するフィルム)を、延伸倍率2倍で縦方向に延伸して、クラックを有するフィルムであって延伸されたもの(以下において「クラックを有する延伸フィルム」という場合がある。)を得た。得られたクラックを有する延伸フィルムについて評価を行い、結果を表1に示した。
(比較例a1)
実施例a1の(a1-2)において、シクロヘキサンに代えてMEK(メチルエチルケトン)(樹脂フィルムに対する限界応力:176kgf/cm、沸点:79.6℃)を用いたこと以外は、実施例a1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムにはクラックが認められなかった。
(比較例a2)
実施例a1の(a1-2)において、シクロヘキサンに代えてアセトン(樹脂フィルムに対する限界応力:194kgf/cm、沸点:56℃)を用いたこと以外は、実施例a1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムにはクラックが認められなかった。
表1および表2に、実施例a1~a4及び比較例a1~a2の評価結果を示す。表1及び表2には、ライン速度(樹脂フィルムの搬送速度)、樹脂フィルムに印加した曲げ応力、各例により得られたフィルムの厚み及びクラック形成ローラーの径、暴露時間(S(秒))、溶媒の種類、樹脂フィルムに対する溶媒の接触方法も併せて示す。
Figure 0007111109000001
Figure 0007111109000002
実施例a1~a4の製造方法によれば、幅寸法が大きく大面積の樹脂フィルムに、高速(ライン速度10m/分)で、クラックを形成することができることがわかった。
(実施例b1)
クラック形成ローラー(ローラー径5mm)を、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向に対して平行な方向になるように配し、以下の手順により、クラックを有するフィルムを得た。
ダイコーター(株式会社ムサシノキカイ製)により、MEK(樹脂フィルムに対する限界応力:176kgf/cm、沸点:79.6℃)75重量%と、MIBK(樹脂フィルムに対する限界応力:67kgf/cm、沸点:116℃)25重量%とを混合した混合溶媒1を樹脂フィルムA(実施例a1の(a1-1)と同じ操作により調製したもの)に塗布した後、この樹脂フィルムAをクラック形成ローラーに巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加し、樹脂フィルムAの面のうち、クラック形成ローラーと接する面とは反対側の面にクラックを形成し、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表3に示した。
(実施例b2)
混合溶媒1に代えて、MEK80重量%と、トルエン(樹脂フィルムに対する限界応力:67kgf/cm、沸点:110.6℃)20重量%とを混合した混合溶媒2を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作により、クラックを有するフィルムを得た。
このクラックを有するフィルム(工程(A2)を行った後のクラックを有するフィルム)を、延伸倍率2倍で縦方向に延伸して、クラックを有する延伸フィルムを得た。このように得られた、クラックを有する延伸フィルムについて評価を行い、結果を表3に示した。
(実施例b3)
混合溶媒1に代えて、アセトン(樹脂フィルムに対する限界応力:194kgf/cm、沸点:56℃)75重量%と、シクロヘキサノン(樹脂フィルムに対する限界応力:61kgf/cm、沸点:155.6℃)25重量%とを混合した混合溶媒3を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作により、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表3に示した。
(実施例b4)
混合溶媒1に代えて、アセトン80重量%と、シクロヘキサノン20重量%とを混合した混合溶媒4を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作により、クラックを有するフィルムを得た。
このクラックを有するフィルム(工程(A2)を行った後のクラックを有するフィルム)を、延伸倍率2倍で縦方向に延伸して、クラックを有する延伸フィルムを得た。このように得られた、クラックを有する延伸フィルムについて評価を行い、結果を表3に示した。
(実施例b5)
ダイコーター(株式会社ムサシノキカイ製)により、MEK75重量%と、MIBK25重量%とを混合した混合溶媒1を樹脂フィルムA(実施例a1の(a1-1)と同じ操作により調製したもの)に塗布した。混合溶媒塗布後の樹脂フィルムAを、図10に示すように、第1のクラック形成ローラーに巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加した。その後、さらに、第2のクラック形成ローラーに、樹脂フィルムAを巻き掛けて、曲げ応力40MPaを印加した。この操作において、第1のクラック形成ローラーは、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向Qに対して45°(θ1=45°)となるように配置し、第2のクラック形成ローラーは、回転軸が樹脂フィルムAの幅方向Rに対して45°(θ2=45°)となるように配置した。この操作により、クラックを有するフィルムを得た。得られたクラックを有するフィルムについて評価を行い、結果を表3に示した。
(比較例b1)
混合溶媒1に代えて、MEK5重量%と、MIBK95重量%とを混合した混合溶媒C1を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムには破断が認められ、各評価試験を行うことができなかった。
(比較例b2)
混合溶媒1に代えて、MEK95重量%と、トルエン5重量%とを混合した混合溶媒C2を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムにはクラックが認められなかった。
(比較例b3)
混合溶媒1に代えて、アセトン5重量%と、シクロヘキサノン95重量%とを混合した混合溶媒C3を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムには破断が認められ、各評価試験を行うことができなかった。
(比較例b4)
混合溶媒1に代えて、アセトン95重量%と、シクロヘキサノン5重量%とを混合した混合溶媒C4を用いたこと以外は、実施例b1と同じ操作を行ったが、得られたフィルムにはクラックが認められなかった。
表3および表4に、実施例b1~b5及び比較例b1~b4の評価結果を示す。表3及び表4には、ライン速度(樹脂フィルムの搬送速度)、樹脂フィルムに印加した曲げ応力、各例により得られたフィルムの厚み及びクラック形成ローラーの径、混合溶媒の種類、樹脂フィルムに対する溶媒の接触方法も併せて示す。
Figure 0007111109000003
Figure 0007111109000004
実施例b1~b5の製造方法によれば、幅寸法が大きく大面積の樹脂フィルムに、高速(ライン速度10m/分)で、クラックを形成することができることがわかった。
1,2…樹脂フィルム
10,12…工程(A1)を行った後に得られる樹脂フィルム(工程Bを行う前の樹脂フィルム)
10W…工程Bを行う前の樹脂フィルムの幅寸法
11A,11B,11C…工程Bを行う前の樹脂フィルムのクラック
11W…工程Bを行う前の樹脂フィルムのクラック開口径
20,22…工程Bを行った後の樹脂フィルム(クラックを有するフィルム)
20W…工程Bを行った後の樹脂フィルムの幅寸法
21A,21B,21C…工程Bを行った後の樹脂フィルムのクラック
21W…工程Bを行った後の樹脂フィルムのクラック開口径
100,200…クラックを有するフィルムの製造装置
101,201…繰り出し装置
102,202…巻取装置
110,210…溶媒暴露装置
120,220…クラック形成ローラー
122A…第1のクラック形成ローラー
122B…第2のクラック形成ローラー
130…補助ローラー
150,250…延伸装置
30,32…(混合溶媒塗布後の)樹脂フィルム
35,36…工程(A2)を行った後に得られる樹脂フィルム(工程Bを行う前の樹脂フィルム)
35W…工程Bを行う前の樹脂フィルムの幅寸法
351A,351B,351C…工程Bを行う前の樹脂フィルムのクラック
351W…工程Bを行う前の樹脂フィルムのクラック開口径
40,42…工程Bを行った後の樹脂フィルム(クラックを有するフィルム)
40W…工程Bを行った後の樹脂フィルムの幅寸法
41A,41B,41C…工程Bを行った後の樹脂フィルムのクラック
41W…工程Bを行った後の樹脂フィルムのクラック開口径
300,400…クラックを有するフィルムの製造装置
301,401…繰り出し装置
302,402…巻取装置
310,410…塗布装置
311,411…塗布ロール
320,420…クラック付与ローラー
322A…第1のクラック付与ローラー
322B…第2のクラック付与ローラー
330…補助ローラー
350,450…延伸装置
θ1…第1のクラック形成ローラーの回転軸とフィルムの幅方向とのなす角
θ2…第2のクラック形成ローラーの回転軸とフィルムの幅方向とのなす角
TD…樹脂フィルムの幅方向
MD…樹脂フィルムの長手方向

Claims (11)

  1. 一方向以上の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法であって、
    樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを1MPa以上印加し、かつ、前記樹脂フィルムの面を良溶媒の蒸気に暴露し、前記クラックを形成する工程であって、前記樹脂フィルムの前記面は前記巻き掛けにおいて前記クラック形成ローラーと接触する面とは反対側の面であり、前記曲げ応力Fは、下記式(1)から算出される値である、工程(A1)を含む、クラックを有するフィルムの製造方法:
    F=(E×t)/(1000X+t) (1)
    (前記式(1)中、Eは前記樹脂フィルムの引張弾性率(MPa)、tは前記樹脂フィルムの厚み(μm)、Xは前記クラック形成ローラーの径(mm)を示す)。
  2. 前記良溶媒は、前記クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(A1)を行った後の樹脂フィルムを、延伸する工程Bを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 一方向以上の平行な方向に配向するクラックを有するフィルムの製造方法であって、
    樹脂フィルムに混合溶媒を塗布し、かつ、前記樹脂フィルムをクラック形成ローラーに巻き掛けて曲げ応力Fを1MPa以上印加し、前記クラックを形成する工程であって、前記混合溶媒は、良溶媒及び貧溶媒を含み、前記混合溶媒中の前記貧溶媒の割合は10重量%以上90重量%以下であり、前記曲げ応力Fは、下記式(1)から算出される値である、工程(A2)を含む、クラックを有するフィルムの製造方法:
    F=(E×t)/(1000X+t) (1)
    (前記式(1)中、Eは前記樹脂フィルムの引張弾性率(MPa)、tは前記樹脂フィルムの厚み(μm)、Xは前記クラック形成ローラーの径(mm)を示す)。
  5. 前記混合溶媒は、前記クラックを有するフィルムの表面に固形分が残存しないものである、請求項に記載の製造方法。
  6. 前記工程(A2)を行った後の樹脂フィルムを、延伸する工程Bを含む、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 前記クラックを有するフィルムにおける残留溶媒が100ppm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記クラックを有するフィルムの厚みが10~500μmである、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記クラックを有するフィルムの全光線透過率が80%以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記樹脂フィルムを挟んで前記クラック形成ローラーと対向する位置に配される補助ローラーが、当該樹脂フィルムを支持しつつ搬送する、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記クラック形成ローラーの回転軸を、前記樹脂フィルムの長手方向に対して斜め方向に傾けることで、前記樹脂フィルムの長手方向及び当該樹脂フィルムの幅方向以外の方向にクラックを形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
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