JP2008287055A - 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、大型で高配向の偏光子を製造可能な偏光子の製造方法を提供する。
【解決手段】 親水性ポリマーフィルム1の幅方向の両端を把持手段により把持し、前記把持手段を前記フィルム1の長手方向に進行させると共に、フィルム1の両端を把持する把持手段の少なくとも一方をフィルム1の幅方向の外側にも移動させることでフィルム1を幅方向に延伸する幅方向延伸工程と、フィルム1を二色性物質により染色処理する染色工程とを有し、前記幅方向延伸工程を、前記染色工程および前記染色工程とは別の工程の少なくとも一つの工程において実施する偏光子の製造方法であって、前記幅方向延伸工程および前記染色工程が、フィルム1の少なくとも一方の面に、気相中で処理液61aを接触させることで実施され、処理液61aの接触後、フィルム1表面に付着している処理液61bを液切手段62により分離除去する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置に関する。
テレビ、パソコン、携帯電話等の各種液晶表示装置(LCD)には、偏光子が用いられている。通常、前記偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを染色・一軸延伸することで作製されている。PVAフィルムを一軸延伸すると、PVA分子に吸着(染色)した二色性物質が配向するため、偏光子となる。
近年、テレビ用としてのLCDの用途が急増しており、画面のサイズも大型化している。これに伴い、テレビに用いられる偏光子にも、大型化が要求されている。このような大型の偏光子を製造する方法として、PVAフィルムを長手方向に一軸延伸する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、大型の原反フィルムを用意する必要があるが、原反フィルムのサイズは限られている。また、この方法では、高配向の偏光子を得るために、PVAフィルムの延伸倍率を大きくする場合、延伸機が大型化するという問題があった。
特開2001−305347号公報
そこで、本発明は、大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、大型で高配向の偏光子を得ることができる偏光子の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の偏光子の製造方法は、
連続的に供給される親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持し、前記把持手段を前記親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、前記親水性ポリマーフィルムの両端を把持する前記把持手段の少なくとも一方を前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで前記親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸する幅方向延伸工程と、
前記親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色処理する染色工程とを有し、
前記幅方向延伸工程を、前記染色工程および前記染色工程とは別の工程の少なくとも一つの工程において実施する偏光子の製造方法であって、
前記幅方向延伸工程および前記染色工程が、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面に、気相中で処理液を接触させることで実施され、前記処理液の接触後、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着している処理液を液切手段により分離除去することを特徴とする。
本発明の偏光子は、前記本発明の偏光子の製造方法により製造された偏光子である。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が積層された偏光板であって、前記偏光子が、前記本発明の偏光子であることを特徴とする。
本発明の光学フィルムは、偏光子または偏光板の少なくとも一方の表面に位相差板が積層された光学フィルムであって、前記偏光子が、前記本発明の偏光子であり、前記偏光板が、前記本発明の偏光板であることを特徴とする。
本発明の画像表示装置は、偏光子、偏光板および光学フィルムの少なくとも一つを含む画像表示装置であって、前記偏光子が、前記本発明の偏光子であり、前記偏光板が、前記本発明の偏光板であり、前記光学フィルムが、前記本発明の光学フィルムであることを特徴とする。
本発明の偏光子の製造方法では、前記親水性ポリマーフィルムの少なくも一方の表面に、気相中で処理液を接触させて幅方向に延伸するので、大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、大型で高配向の偏光子を得ることができる。一方、前記処理液を接触させながら幅方向延伸等の各処理をする場合、得られる偏光子の光学特性にバラツキが生じることを、本発明者等は見出した。この問題は、大型の偏光子においては、問題である。この問題について、検討したところ、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着している処理液を液切手段により分離除去すれば、光学特性が均一な偏光子を得ることができることを見出した。したがって、本発明の製造方法によれば、大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、光学特性の均一性に優れ、高配向で大型の偏光子を得ることができる。本発明の製造方法は、大型の偏光子の製造に好ましく用いられるが、これに限定されず、各種サイズの偏光子の製造にも適用できる。
本発明において、前記光学特性には、例えば、位相差、偏光特性等が含まれる。
本発明の製造方法において、前記液切手段が、スクレイパー、エアーナイフ、ピンチロールおよび吸水ロールからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。なお、本発明において、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着している処理液の分離除去は、加熱乾燥等の乾燥は含まない。乾燥により前記処理液を分離除去しても偏光子の光学特性の不均一性を解決できないからである。
本発明の製造方法において、前記液の接触を、前記液の噴霧および塗布の少なくとも一方により実施することが好ましい。
本発明の製造方法において、さらに、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に収縮する長手方向収縮工程を有し、前記幅方向延伸工程後、前記長手方向収縮工程を実施することが好ましい。この理由は、つぎのとおりである。すなわち、まず、親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸する方法では、通常、親水性ポリマーフィルムの延伸方向(幅方向)に対して垂直な方向(長手方向)が固定されているため、親水性ポリマーフィルムの長手方向の収縮が制限される。この結果、この方法で得られる偏光子には、二軸性が発現する恐れがある。そこで、幅方向延伸工程後に、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に収縮する長手方向収縮工程を実施すれば、二軸性の発現を抑制できる。
前記長手方向収縮工程は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムを前記把持手段から開放した後、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に2本以上のロールで搬送しながら、前記親水性ポリマーフィルムの進行方向の上流側の前記ロールの回転速度に対し、下流側の前記ロールの回転速度を遅くすることで実施してもよい。
前記長手方向収縮工程は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を前記把持手段で把持したまま、前記把持手段の前記親水性ポリマーフィルムの長手方向への移動速度を前記フィルムの進行方向の下流にいくに従い順次遅くすることで実施してもよい。
前記長手方向収縮工程は、前記方法に加え、例えば、前記親水性ポリマーフィルムの含水率を減少させること実施してもよい。この場合において、前記親水性ポリマーフィルムの含水率の減少は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムに加熱乾燥処理を施すことにより実施することができる。
前記長手方向収縮工程における前記親水性ポリマーフィルムの収縮率は、特に制限されないが、例えば、1〜60%の範囲であり、好ましくは、3〜30%の範囲であり、より好ましくは、5〜20%の範囲である。
本発明の製造方法において、前記別の工程は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程、および前記親水性ポリマーフィルムを架橋する架橋工程等がある。
本発明の製造方法において、前記膨潤工程、前記染色工程および前記架橋工程の少なくとも一つの工程において、前記処理液の接触は、前記処理液の噴霧および塗布の少なくとも一方により実施することが好ましい。これらの工程において、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した処理液を液切手段により分離除去することが好ましい。
本発明において、前記処理液には、例えば、後述の膨潤液、染色液、架橋液、延伸液、調整液等が含まれる。
本発明の製造方法において、前記親水性ポリマーフィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく、前記二色性物質はヨウ素が好ましい。
つぎに、本発明の偏光子の製造方法について、例を挙げて、以下に説明する。本発明の製造方法は、親水性ポリマーフィルムを材料とし、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、調整工程、乾燥工程等の一連の工程を有し、これらの工程の少なくとも一つにおいてまたは別個に前記幅方向延伸工程を実施する。また、前述のように、前記幅方向延伸工程後に、前記長手方向収縮工程を実施することが好ましい。すなわち、本発明の偏光子の製造方法は、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、幅方向延伸工程、調整工程、長手方向収縮工程および乾燥工程の順番に実施することが好ましく、前記乾燥工程を除く各工程で前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した処理液を液切手段により分離除去することが好ましい。ただし、本発明は、この順番に限定されず、かつ、処理液の液切手段による分離除去も、全部の工程で実施する必要なく、少なくとも前記延伸工程および前記染色工程で実施すればよい。
(1)処理液の分離除去
まず、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した処理液の分離除去について説明する。前述のように、前記処理液の分離除去は、液切手段により実施される。前記液切手段は、例えば、スクレイパー、エアーナイフ、ピンチロールおよび吸水ロールがある。図6(A)〜(D)に、これらの液切手段を用いた処理液の分離除去の例を示す。これらの図において、同一箇所には同一符号を付している。
図6(A)は、スクレイパーを用いた処理液の分離除去の一例を説明する模式図である。図示のように、親水性ポリマーフィルム1は、二本のロールR1、R2により、その長手方向Aに搬送されている。前記搬送の上流側において、スプレー手段S1により、処理液61aが、前記フィルムの片面(同図において下側の面)に対し、矢印d1で示す方向に噴霧される。この噴霧によって、前記フィルム1の片面に、処理液61aが付着する。同図において、61bは付着した処理液を示す。そして、前記搬送の下流側に、スクレイパー62が、その端部が前記フィルム1の片面に接触する状態で設置されている。前記スクレイパー62により、前記フィルム1が搬送されることによって、付着した処理液61bが掻き落とされて、付着した処理液61bが分離除去される。同図において、61cは、掻き落とされた処理液を示す。
前記スクレイパーの材質としては、例えば、樹脂、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。前記樹脂としては、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエステル、ポリアセタール等が挙げられる。図7(A)に、前記樹脂製のスクレイパーの形状の一例を示す。図示のように、前記樹脂製のスクレイパーは、その側面Sの先端がテーパー状のものが好ましい。前記スクレイパーの大きさは、特に制限されないが、例えば、その長さ(同図におけるL)が50mm、その幅(同図におけるW)が2000mm、その厚み(同図におけるt)が1.0mmである。また、前記スクレイパーにおいて、前記側面Sの先端のテーパー角(同図におけるθ)は、特に制限されないが、例えば、15°である。図7(B)に、前記SUS製のスクレイパーの側面の形状の一例を示す。図示のように、前記SUS製のスクレイパーは、その側面Sの先端がラウンド型(半円形)のものが好ましい。前記SUS製のスクレイパーの大きさは、前記樹脂製のスクレイパーの大きさと同様である。これらのスクレイパーとしては、市販品を用いてもよい。前記市販品のスクレイパーとしては、例えば、(株)エコーブレード製の商品名「ドクターブレード」等が挙げられる。
図6(B)は、エアーナイフを用いた処理液の分離除去の一例を説明する模式図である。処理液61aが親水性ポリマーフィルム1表面に付着するまでは、図6(A)と同様である。そして、本例では、前記搬送の下流側にエアーナイフ63が配置されており、前記フィルム1の片面(同図において下側の面)に対し、前記エアーナイフから、エアー63aが吹き付けられる。前記エアー63aの吹きつけによって、付着した処理液61bが、分離除去される。
図6(C)は、ピンチロールを用いた処理液の分離除去の一例を説明する模式図である。処理液61aが親水性ポリマーフィルム1表面に付着するまでは、図6(A)と同様である。そして、本例では、前記搬送の下流側に一対のピンチロール64a、64bが配置されており、前記一対のピンチロール64a、64bで、前記フィルム1が挟まれた状態になっている。前記ピンチロール64a、64bにより付着した処理液61bが、分離除去される。
図6(D)は、吸水ロールを用いた処理液の分離除去の一例を説明する模式図である。処理液61aが親水性ポリマーフィルム1表面に付着するまでは、図6(A)と同様である。そして、本例では、前記搬送の下流側に、前記フィルム1の片面(同図において下側の面)に接する状態で吸水ロール65が配置されている。前記吸水ロール65は、例えば、ロール表面が不織布が巻かれたものであり、ロール内部に空気を通す流路を有し、前記流路はバキュームポンプ(図示せず)に連結されている。前記バキュームポンプにより発生した陰圧で、前記ロール表面から処理液61bを吸水して前記フィルム1から分離除去する。前記バキュームポンプの吸引圧力は、前記ロールのロール幅等に応じて適宜決定されるが、例えば、450mm幅のロールで、例えば、53.9kPaである。前記吸水ロールとしては、市販品を用いてもよい。前記市販品の吸水ロールとしては、例えば、増田製作所製の商品名「マスロール」等が挙げられる。
スクレイパー、エアーナイフ、ピンチロールおよび吸水ロールの中で、フィルム表面の損傷防止という観点から、エアーナイフ、吸水ロールが好ましい。また、装置の簡略化の点からは、スクレイパーを使用することが好ましい。
なお、処理液の接触は、特に制限されないが、親水性ポリマーフィルムを水平方向に搬送する場合は、フィルムの下側の面に接触させることが好ましい。フィルムの上面から処理液を接触させると、処理液の自然落下がなく、しかも、スクレイパー、エアーナイフおよびピンチロールを用いた場合、処理液の逃げる方向がフィルムの幅方向両端部しかなく、分離除去の効率が低くなるからである。これに対し、フィルムの下側の面に処理液を接触させれば、自然落下により、付着する処理液の量も少なくなり、また、スクレイパー、エアーナイフおよびピンチロールを用いた場合であっても、下方向に処理液を落とせばよいから、分離除去効率が高くなる。
前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した処理液の分離除去は、例えば、後述の幅方向延伸工程における延伸処理と同時に行われる。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、前記処理液の分離除去をしてから、前記延伸処理を行ってもよいし、前記延伸処理をしてから、前記処理液の分離除去を行ってもよい。
(2)親水性ポリマーフィルム
前記親水性ポリマーフィルムとしては、特に制限されず、従来公知のフィルムが使用できる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム等の親水性ポリマーフィルム等が挙げられる。また、これらの他にも、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム、延伸配向されたポリビニレン系フィルム等も使用できる。これらの中でも、後述する二色性物質であるヨウ素による染色性に優れることから、PVA系ポリマーフィルムが好ましい。
前記PVA系ポリマーフィルムの原料ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに対して、少量の不飽和カルボン酸や不飽和スルホン酸等の共重合可能なモノマーを共重合したポリマー等が挙げられる。前記PVA系ポリマーの重合度は、特に制限されないが、水に対する溶解度の点等から、500〜10000の範囲が好ましく、より好ましくは、1000〜6000の範囲である。また、前記PVA系ポリマーのケン化度は、75モル%以上が好ましく、より好ましくは、98〜100モル%の範囲である。
前記親水性ポリマーフィルム(例えば、PVA系フィルム)は、ロールに巻き回した原反フィルムの形態が好ましい。前記親水性ポリマーフィルム(例えば、PVA系フィルム)の厚みは、特に制限されないが、例えば、15〜110μmの範囲であり、好ましくは、38〜110μmの範囲であり、より好ましくは、50〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは、60〜80μmの範囲である。
(3)膨潤工程
前記原反親水性ポリマーフィルムを、まず、膨潤液に接触させて膨潤させる。
前記膨潤液としては、例えば、水、グリセリン水溶液、ヨウ化カリウム水溶液等が使用できる。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施する場合の前記親水性ポリマーフィルムに前記膨潤液を噴霧または塗布する手段および条件等については、後述の前記幅方向延伸工程で述べるとおりである。また、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した膨潤液の分離除去は、前述のようにして実施できる。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施しない場合(例えば、無延伸処理、以下同じ)には、前記膨潤液の接触は、例えば、前記膨潤液への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬等により行われてもよい。この場合には、膨潤浴が用いられる。この場合における前記膨潤液(膨潤浴)への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、20〜300秒の範囲であり、好ましくは、30〜200秒の範囲であり、より好ましくは、30〜120秒の範囲であり、前記膨潤液(膨潤浴)の温度は、例えば、20〜45℃の範囲であり、好ましくは、25〜40℃の範囲であり、より好ましくは、27〜37℃の範囲である。
(4)染色工程
つぎに、前記膨潤後の親水性ポリマーフィルムを、二色性物質を含む染色液に接触させる。前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した前記染色液の分離除去は、前述のようにして実施できる。
前記二色性物質としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ヨウ素や有機染料等が挙げられる。前記有機染料を使用する場合には、例えば、可視光領域のニュートラル化を図る点より、二種類以上を組み合わせることが好ましい。
前記染色液としては、前記二色性物質を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば、水が使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒がさらに添加されてもよい。前記溶液における二色性物質の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.005〜0.40重量%の範囲であり、好ましくは、0.01〜0.30重量%の範囲である。
また、前記二色性物質としてヨウ素を使用する場合、溶解度、染色効率等をより一層向上できることから、ヨウ素に加えて、助剤としてヨウ化物をさらに添加することが好ましい。前記ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等があげられる。これらのヨウ化物の添加割合は、前記染色液において、0.05〜10重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.10〜5重量%の範囲である。
例えば、ヨウ素とヨウ化カリウムとを組み合わせて使用する場合、前記溶液におけるヨウ素(A)とヨウ化カリウム(B)の割合(A:B(重量比))は、例えば、1:5〜1:100の範囲であり、好ましくは、1:7〜1:50の範囲であり、より好ましくは、1:10〜1:30の範囲である。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施する場合の前記親水性ポリマーフィルムに前記染色液を噴霧または塗布する手段および条件等については、後述の幅方向延伸工程で述べるとおりである。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施しない場合には、前記染色液の接触は、例えば、前記染色液への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬等により行われてもよい。この場合には、染色浴が用いられる。この場合における前記染色液(染色浴)への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、10〜90秒の範囲であり、好ましくは、15〜60秒の範囲であり、より好ましくは、20〜45秒の範囲であり、前記染色液(染色浴)の温度は、例えば、5〜42℃の範囲であり、好ましくは、10〜35℃の範囲であり、より好ましくは、12〜30℃の範囲である。
(5)架橋工程
つぎに、前記染色処理後の親水性ポリマーフィルムを、架橋剤を含む架橋液に接触させる。前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した前記架橋液の分離除去は、前述のようにして実施できる。
前記架橋剤としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物等があげられる。これらは一種類で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。前記架橋液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解した溶液が使用できる。前記溶媒としては、例えば、水が使用できるが、さらに水と相溶性のある有機溶媒を含んでもよい。
前記溶液における架橋剤の濃度は、特に制限されないが、例えば、前記溶媒(例えば、水)100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、1.5〜8重量部の範囲であり、さらに好ましくは、2〜6重量部の範囲である。
前記架橋液は、偏光子の面内の均一な特性が得られる点から、前記ホウ素化合物の他に、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物等の助剤を含んでいてもよい。これらの中でもホウ酸とヨウ化カリウムとの組み合わせが好ましい。前記溶液における前記助剤の含有量は、例えば、0.05〜15重量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜8重量%の範囲である。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施する場合の前記親水性ポリマーフィルムに前記架橋液を噴霧または塗布する手段および条件等については、後述の幅方向延伸工程で述べるとおりである。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施しない場合には、前記架橋液の接触は、例えば、前記架橋液への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬等により行われてもよい。この場合には、架橋浴が用いられる。この場合における前記架橋液(架橋浴)への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、5〜150秒の範囲であり、好ましくは、10〜90秒の範囲であり、より好ましくは、20〜40秒の範囲であり、前記架橋液(架橋浴)の温度は、例えば、20〜70℃の範囲であり、好ましくは、40〜60℃の範囲である。
(6)幅方向延伸工程
つぎに、フィルム幅方向に延伸する幅方向延伸工程について説明する。なお、偏光子の製造は、例えば、膨潤工程、染色工程、架橋工程、調整工程、乾燥工程という順で実施することが一般的である。前述のように、前記幅方向延伸工程は、これらの各工程で実施してもよいし、別個独立に実施してもよい。図1に、本工程の一例を模式的に示す。図示のように、本工程においては、連続的に供給される親水性ポリマーフィルム1の幅方向(同図において左右方向)の両端を、把持手段2により把持する。そして、矢印Aに示すように、前記把持手段2を前記親水性ポリマーフィルム1の長手方向(同図において上方向)に進行させる。これにより、矢印Bに示すように、前記親水性ポリマーフィルム1は、その長手方向(同図において上方向)に搬送される。それと共に、矢印Cに示すように、前記親水性ポリマーフィルム1の両端を把持する前記把持手段2の双方を前記親水性ポリマーフィルム1の幅方向にも移動させることで、前記親水性ポリマーフィルム1を幅方向に延伸する。なお、図1は、前記親水性ポリマーフィルム1の両端を把持する前記把持手段2の双方を前記親水性ポリマーフィルム1の幅方向の外側に移動させることで、前記親水性ポリマーフィルム1を幅方向に延伸する場合を示している。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、前記親水性ポリマーフィルム1の両端を把持する前記把持手段2の一方のみを前記親水性ポリマーフィルム1の幅方向の外側に移動させることで、前記親水性ポリマーフィルム1を幅方向に延伸してもよい。
前記把持手段2により前記親水性ポリマーフィルム1が把持された状態を、図2に示す。図2(A)に示すように、この把持手段2は、回転軸21、上把持部22および下把持部23を備える。前記上把持部22は、前記回転軸21により前記把持手段2の内側(同図において左側)に動かすことが可能である。この状態で、図2(B)に示すように、前記親水性ポリマーフィルム1の幅方向の一端を前記下把持部23の上に載せ、前記上把持部22を前記親水性ポリマーフィルム1の上面と接するまで前記把持手段2の外側(同図において右側)に動かすことで、前記親水性ポリマーフィルム1を把持する。
図3は、図1の一部の拡大図である。前記把持手段2により前記親水性ポリマーフィルム1が把持される部分(つかみしろ)の長さ(同図におけるa)は、特に制限されないが、例えば、10〜100mmの範囲であり、好ましくは、10〜75mmの範囲であり、より好ましくは、25〜75mmの範囲であり、前記つかみしろの幅(同図におけるb)は、特に制限されないが、例えば、5〜50mmの範囲であり、好ましくは、10〜30mmの範囲であり、より好ましくは、10〜20mmの範囲である。また、前記親水性ポリマーフィルム1の長手方向に隣接する前記把持手段2の間の距離(同図におけるc)は、短いほど好ましいが、例えば、1〜20mmの範囲であり、好ましくは、3〜10mmの範囲であり、より好ましくは、3〜6mmの範囲である。
前述のとおり、本工程において、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に延伸用の処理液を接触させることが好ましい。前記処理液の接触は、前記液の噴霧および塗布の少なくとも一方により実施することが好ましい。前記親水性ポリマーフィルム表面に付着した処理液の分離除去は、前述のようにして実施できる。
前記親水性ポリマーフィルムに前記処理液を噴霧する手段としては、任意の適切な噴霧装置が用いられる。前記噴霧装置としては、例えば、扶桑精機(株)製の商品名「MKシリーズ」、DeVILBISS社製の商品名「T−AFPV」、ACCUSPRAY社製の商品名「56シリーズ」等が挙げられる。前記噴霧装置において、噴霧用ノズルの数は、例えば、1〜10個の範囲であり、好ましくは、1〜8個の範囲であり、より好ましくは、1〜4個の範囲であり、前記噴霧用ノズルの孔径は、例えば、0.3〜2mmの範囲であり、好ましくは、0.5〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは、0.75〜1mmの範囲であり、前記噴霧用ノズル1個当たりの流量は、例えば、10〜1200mL/秒の範囲であり、好ましくは、10〜700mL/秒の範囲であり、より好ましくは、50〜400mL/秒の範囲であり、噴霧空気圧力は、例えば、0.03〜3MPaの範囲であり、好ましくは、0.1〜1MPaの範囲であり、より好ましくは、0.2〜0.5MPaの範囲であり、噴霧角度は、例えば、45°〜135°の範囲であり、好ましくは、60°〜120°の範囲であり、より好ましくは、80°〜100°の範囲である。
前記処理液の噴霧において、前記噴霧用ノズルと前記親水性ポリマーフィルムとの間の距離は、前記噴霧空気圧力等に応じて適宜に決定することができるが、15cm以下の範囲が好ましい。前記距離を前記範囲とすることで、前記液をロスなく、確実に前記親水性ポリマーフィルムに接触させることができる。
前記液の噴霧時間は、特に制限されないが、20秒以上の範囲が好ましく、より好ましくは、30〜120秒の範囲であり、さらに好ましくは、40〜60秒の範囲である。また、前記親水性ポリマーフィルムへの前記液の噴霧量は、特に制限されないが、0.06〜0.19mL/1cmの範囲が好ましい。そして、前記液の温度は、特に制限されないが、例えば、40〜70℃の範囲であり、好ましくは、50〜70℃の範囲であり、より好ましくは、60〜70℃の範囲である。
前記親水性ポリマーフィルムに前記液を塗布する手段としては、ロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、従来公知の手段を取ることができる。なお、前記液の接触においては、前記液の噴霧および塗布を併用してもよい。
前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の延伸処理は、例えば、従来公知のテンター延伸機等を用いて実施することができる。この幅方向延伸工程における前記親水性ポリマーフィルムの合計延伸倍率は、例えば、延伸前のフィルム(原反)の長さに対して、例えば、2〜12倍の範囲であり、好ましくは、3〜10倍の範囲であり、より好ましくは、4〜8倍の範囲であり、特に好ましくは5〜6倍である。
前記幅方向延伸工程は、前述のように、膨潤工程、染色工程、架橋工程、調整工程等の各工程で実施してもよいし、別個独立に実施してもよい。前記幅方向延伸工程を、別個独立に実施する場合には、例えば、前記親水性ポリマーフィルムを、延伸溶の処理液に接触させながら延伸する。
前記延伸用の処理液としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸、ヨウ化カリウム、各種金属塩やその他のヨウ化化合物、亜鉛化合物等を含む溶液が使用できる。この溶液の溶媒としては、例えば、水、エタノール等が使用できる。具体的には、例えば、ホウ酸およびヨウ化カリウムを含むことが好ましく、前記両者の含有量は、例えば、合計で2〜18重量%の範囲であり、好ましくは、合計で4〜17重量%の範囲であり、より好ましくは、合計で6〜15重量%の範囲である。また、前記ホウ酸(A)とヨウ化カリウム(B)との含有割合(A:B(重量比))は、例えば、1:0.1〜1:4の範囲であり、好ましくは、1:0.2〜1:3.5の範囲であり、より好ましくは、1:0.5〜1:3の範囲である。
(7)調整工程
つぎに、前記親水性ポリマーフィルムをヨウ化物含有水溶液(調整液)に接触させる。前記親水性ポリマーフィルムに付着した調整液の除去は、前述のようにして実施できる。
前記ヨウ化物含有水溶液におけるヨウ化物としては、前述のものが使用でき、その中でも、例えば、ヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム等が好ましい。このヨウ化物含有水溶液によって、前記幅方向延伸工程において使用した残存するホウ酸を、親水性ポリマーフィルムから洗い流すことができる。
前記水溶液が、ヨウ化カリウム水溶液の場合、その濃度は、例えば、0.5〜20重量%の範囲であり、好ましくは、1〜15重量%の範囲であり、より好ましくは、1.5〜7重量%の範囲である。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施する場合の前記親水性ポリマーフィルムに前記調整液を噴霧または塗布する手段および条件等については、前記幅方向延伸工程で述べたとおりである。
本工程において、前記幅方向延伸工程を実施しない場合には、前記調整液の接触は、例えば、前記調整液への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬等により行われてもよい。この場合には、調整浴が用いられる。この場合における前記調整液(調整浴)への前記親水性ポリマーフィルムの浸漬時間は、特に制限されないが、例えば、2〜15秒の範囲であり、好ましくは、3〜12秒の範囲であり、前記調整液(調整浴)の温度は、例えば、15〜40℃の範囲であり、好ましくは、20〜35℃の範囲である。
(8)長手方向収縮工程
前記調整工程後、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に収縮する。前記長手方向収縮工程の実施時期は、前記幅方向延伸工程後であれば、特に制限されない。前記長手方向収縮工程は、前記幅方向延伸工程直後に行われてもよい。また、前記幅方向延伸工程後、前記長手方向収縮工程を実施する前に、別の工程を含んでもよい。ただし、前記別の工程を含む場合には、前記別の工程が実施されている間、前記親水性ポリマーフィルムの両端が前記把持手段により把持し続けられていることが好ましい。
前述のとおり、本工程は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムを前記把持手段から開放した後、前記親水性ポリマーフィルムを長手方向に2本以上のロールで搬送しながら、前記親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)の上流側の前記ロールの回転速度に対し、下流側の前記ロールの回転速度を遅くすることで実施してもよい。この場合において、前記ロールの数は、例えば、2〜20本の範囲であり、好ましくは、2〜10本の範囲であり、より好ましくは、2〜5本の範囲である。前記ロールが3本以上である場合には、前記親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)の下流側にいくに従い、前記ロールの回転速度を順次遅くしていく。前記親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)において隣接する前記ロールの間の距離は、短いほど好ましいが、前記幅方向延伸工程後の前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の長さをW(mm)とすると、例えば、0.025W〜0.5Wmmの範囲であり、好ましくは、0.025W〜0.25Wmmの範囲であり、より好ましくは、0.025W〜0.125Wmmの範囲である。前記親水性ポリマーフィルムの進行方向(長手方向)において隣接する前記ロールの回転速度の差は、特に制限されないが、例えば、1〜10m/分の範囲であり、好ましくは、1〜5m/分の範囲であり、より好ましくは、1〜2m/分の範囲である。また、回転速度の最も速い前記ロールと回転速度の最も遅い前記ロールの回転速度の差は、特に制限されないが、例えば、0.4〜9.9m/分の範囲であり、好ましくは、0.4〜4.95m/分の範囲であり、より好ましくは、0.4〜1.98m/分の範囲である。
前述のとおり、本工程は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を前記把持手段により把持したまま、前記把持手段の前記親水性ポリマーフィルムの長手方向への移動速度を前記フィルムの進行方向(長手方向)の下流にいくに従い順次遅くすることで実施してもよい。この場合において、前記遅くする前の前記把持手段の前記移動速度は、例えば、1〜10m/分の範囲であり、好ましくは、1〜5m/分の範囲であり、より好ましくは、1〜2m/分の範囲であり、前記遅くした後の前記把持手段の前記移動速度は、例えば、0.4〜9.9m/分の範囲であり、好ましくは、0.4〜4.95m/分の範囲であり、より好ましくは、0.4〜1.98m/分の範囲である。
前述のとおり、本工程は、前記二つの方法に加え、例えば、前記親水性ポリマーフィルムの含水率を減少させることで実施してもよい。この場合において、前記減少後の前記親水性ポリマーフィルムの含水率は、例えば、10〜50%の範囲であり、好ましくは、20〜45%の範囲であり、より好ましくは、30〜40%の範囲である。
前記親水性ポリマーフィルムの含水率の減少は、例えば、前記親水性ポリマーフィルムに加熱乾燥処理を施すことで実施することができる。前記加熱乾燥処理において、処理温度は、例えば、25〜60℃の範囲であり、好ましくは、30〜50℃の範囲であり、より好ましくは、30〜45℃の範囲であり、処理時間は、例えば、0.5〜5分の範囲であり、好ましくは、0.5〜3分の範囲であり、より好ましくは、0.5〜1.5分の範囲である。
本工程は、前記ロールの回転速度比による方法のみで実施してもよいし、前記把持手段の移動速度を遅くする方法のみで実施してもよい。さらに、これらの方法に前記親水性ポリマーフィルムの含水率の減少による方法を実施してもよい。本工程は、前記ロールの回転速度比による方法と前記親水性ポリマーフィルムの含水率の減少による方法との組み合わせ、または前記把持手段の移動速度を遅くする方法と前記親水性ポリマーフィルムの含水率の減少による方法との組み合わせで実施することが好ましい。また、本工程は、前記ロールの回転速度比による方法と前記把持手段の移動速度を遅くする方法とを組み合わせて実施してもよい。この場合には、前記親水性ポリマーフィルムの両端を前記把持手段で把持したままとする。さらに、本工程は、前記3つの方法を全て組み合わせて実施してもよい。
本工程における前記親水性ポリマーフィルムの収縮率については、前述のとおりである。
(9)乾燥工程
最後に、前記親水性ポリマーフィルムを乾燥することにより、偏光子を得ることができる。
乾燥は、例えば、自然乾燥、風乾、加熱乾燥等、従来公知の方法で実施すればよい。加熱乾燥の場合は、特に制限されないが、温度25〜60℃の範囲が好ましく、より好ましくは、30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは、30〜45℃の範囲である。
以上、膨潤工程、染色工程、架橋工程、幅方向延伸工程、調整工程、長手方向収縮工程および乾燥工程について、説明してきた。これらの工程は、別々に実施してもよいが、一工程にまとめることが可能な工程は、まとめて実施してもよい。また、各工程終了ごとに、調整工程および乾燥工程を実施してもよい。
このような一連の工程を経て、偏光子を製造することができる。偏光子は、通常、所定の大きさにカットして使用される。
(10)偏光子
本発明の偏光子の厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜40μmの範囲であり、好ましくは、10〜37μmの範囲であり、より好ましくは、15〜35μmの範囲である。
(11)偏光板
つぎに、本発明の偏光板は、前記本発明の偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が積層された構成である。前記保護層は、前記偏光子の片面のみに積層されてもよいし、両面に積層されてもよい。両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の保護層を使用してもよいし、異なる種類の保護層を使用してもよい。
図4に、本発明の偏光板の一例の断面図を示す。図示のように、この偏光板40は、前記偏光子41の両面に保護層42がそれぞれ積層されている。
前記保護層42としては、特に制限されず、従来公知の保護フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロール(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、アクリル系、アセテート系、ポリオレフィン系等の樹脂等があげられる。また、前記アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等もあげられる。
この他にも、特開2001−343529号公報やWO 01/37007号公報に記載されているような、例えば、イソブテンおよびN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の混合押出物からなるフィルム等も使用できる。
さらに、これらの保護フィルムは、例えば、その表面が、アルカリ等によってケン化処理されてもよい。これらの中でも、偏光特性や耐久性等の点から、TACフィルムが好ましく、より好ましくは、その表面がケン化処理されたTACフィルムである。
前記保護層の厚みは、適宜に決定しうるが、強度や取扱性等の作業性、薄型化等の観点から、例えば、1〜500μmの範囲である。前記保護層の厚みが前記範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子の収縮が防止され、安定した光学特性を保持できる。前記保護層の厚みは、好ましくは、5〜200μmの範囲であり、より好ましくは、10〜150μmの範囲である。
前記保護層には、位相差値が最適化されたものを用いることが好ましい。そのような保護層を用いれば、画像表示装置の視野角特性に影響を及ぼすことがない。
前記保護層の位相差値としては、フィルム面内の位相差値(Re)が、好ましくは、0〜5nmの範囲であり、より好ましくは、0〜3nmの範囲であり、さらに好ましくは、0〜1nmの範囲であり、厚み方向の位相差値(Rth)が、好ましくは、0〜15nmの範囲であり、より好ましくは、0〜12nmの範囲であり、さらに好ましくは、0〜5nmの範囲であり、最も好ましくは、0〜3nmの範囲である。
前記保護層は、例えば、偏光子に前記各種透明樹脂を塗布する方法、前記偏光子に前記樹脂製フィルム等を積層する方法等、従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
また、前記保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、拡散やアンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。
前記偏光子と前記保護層との接着方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、粘着剤やその他の接着剤等が使用され、その種類は、偏光子や保護層の種類等によって適宜決定できる。具体的には、例えば、PVA系、変性PVA系、ウレタン系ポリマーから構成される接着剤や粘着剤が挙げられる。これらの接着剤や粘着剤は、耐久性の向上のため、例えば、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸、キチン、キトサン、金属塩、アルコール系溶剤等のような、ビニルアルコール系ポリマーを架橋させる水溶性架橋剤が添加されてもよい。前記偏光子が、例えば、PVA系フィルムの場合、接着処理の安定性等の点から、PVA系の接着剤や粘着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、接着剤や粘着剤の水溶液として、そのまま偏光子や保護層の表面に塗布して接着層や粘着剤層を形成してもよいし、前記接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような接着層や粘着剤層を前記表面に配置してもよい。なお、前記接着剤や粘着剤を塗布する場合は、例えば、前記水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層や粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜500nmの範囲であり、好ましくは、10〜300nmの範囲であり、より好ましくは、20〜100nmの範囲である。
前記偏光子と前記保護層とを前記接着剤によって接着した場合、例えば、湿度や熱の影響によって剥れることを防止し、光透過率や偏光度に優れた偏光板とするために、乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥温度としては、特に制限されず、例えば、20〜90℃の範囲であり、好ましくは、30〜60℃の範囲である。乾燥時間は、特に制限されないが、例えば、1〜20分の範囲であり、好ましくは、3〜20分の範囲である。
また、本発明の偏光板は、例えば、液晶セル等への積層が容易になることから、その最外層に、さらに粘着剤層を有していることが好ましい。図5に、このような粘着剤層を有する偏光板の断面図を示す。図5において、図4と同一部分には、同一符号を付している。図示のように、偏光板50は、前記偏光板40の一方の保護層42の表面にさらに粘着剤層51が配置されているという構成である。
前記保護層表面への前記粘着剤層の形成は、例えば、粘着剤の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、前記保護層の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを前記保護層の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような粘着剤層は、前記図5のように偏光板のいずれか一方の表面に形成してもよいが、これには限定されず、必要に応じて両面に配置してもよい。
前記粘着剤層としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の従来公知の粘着剤を適宜使用して形成できる。特に、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、さらに高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成等の点から、吸湿率が低く、耐熱性に優れる粘着剤を使用することが好ましい。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、アクリルシリコーン系、ポリエステル系、耐熱ゴム系等の粘着剤が挙げられる。また、前記粘着剤層は、微粒子を含有する光拡散性を示す粘着剤層等であってもよい。
また、前記粘着剤層の表面は、汚染防止等を目的として、セパレータによってカバーすることが好ましい。このセパレータは、前記保護フィルム等のような薄層のフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成できる。
前記粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、例えば、5〜35μmの範囲であり、好ましくは、10〜25μmの範囲であり、より好ましくは、15〜25μmの範囲である。
(12)光学フィルム
つぎに、本発明の光学フィルムは、前記本発明の偏光子または前記本発明の偏光板の少なくとも一方の表面に位相差板が積層された構成である。
前記位相差板の種類は、例えば、1/2λ板や1/4λ板等の各種波長板、液晶層の複屈折による着色の補償や視野角拡大等の視覚の補償を目的にしたもの等、使用目的に応じた位相差を有するものでもよく、厚み方向の屈折率を制御した傾斜配向フィルムであってもよい。また、2種以上の位相差板を積層し、位相差等の光学特性を制御した積層体等でもよい。
前記位相差板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、PVA、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリノルボルネン等のポリマーフィルムを延伸処理した複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムで支持した積層体等が挙げられる。
前記傾斜配向フィルムは、例えば、ポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着して、加熱によるその収縮力の作用の下に、前記ポリマーフィルムに延伸処理や収縮処理を施す方法や、液晶ポリマーを斜め配向させる方法等により得ることができる。
前記位相差板は、自作してもよいし、市販品を用いてもよい。
(13)用途
本発明の偏光子、偏光板および光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)やELディスプレイ(ELD)等の各種の画像表示装置に好ましく用いることができる。本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光子、偏光板および光学フィルムの少なくとも一つを用いること以外は、従来の液晶表示装置と同様の構成である。本発明の液晶表示装置は、例えば、液晶セル、本発明の偏光子等の光学部材、および必要に応じて照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
本発明において、液晶表示装置の構成は、特に制限されず、液晶セルの片側又は両側に本発明の偏光子等の光学部材を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いた液晶表示装置等が挙げられる。液晶セルの両側に本発明の偏光子等の光学部材を配置する場合、それらは同一でもよいし、異なっていてもよい。さらに、本発明の液晶表示装置には、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止層、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート等の光学部材および光学部品を配置してもよい。
本発明の画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等が挙げられる。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、実施例および比較例における光学特性の均一性は、下記の方法により評価した。
(光学特性の均一性)
偏光子における光学特性の均一性は、図8に示すように、得られた偏光子1において、縦×横=8×8=64箇所の測定ポイントにおける単体透過率の測定により実施した。図8において、円で囲んだ図は、測定ポイントの拡大図である。図示のように、隣接するポイント間の距離(ピッチ)は、縦e2および横e1共に20mmである。また、単体透過率は、光学材料検査装置(大塚電子(株)製、商品名「RETS−1200VA」)を用いて測定した。光学特性の均一性は、前記64箇所の測定ポイントの標準偏差を算出して評価した。
[実施例1]
(PVAフィルムの準備)
重合度2400のPVAからなる厚み75μm、幅0.13m、長さ50mのロールに巻き回した原反PVAフィルム(クラレ社製、商品名「VF−PS」)を準備した。前記原反PVAフィルムを順次繰り出し、前記PVAフィルムの幅方向の両端を把持手段(テンタークリップ)により把持し、テンター延伸機で速度1m/分で前記PVAフィルムの長手方向に搬送した。この際、前記把持手段(テンタークリップ)によるつかみしろの長さは15mm、幅は50mmとした。また、前記PVAフィルムの長手方向に隣接する前記把持手段(テンタークリップ)の間の距離は、5mmとした。
(偏光子の作製)
(1)膨潤工程および幅方向延伸工程
30m/分で前記PVAフィルムの幅方向に往復運動する噴霧装置(スプレー)を用いて、16mL/分の流量で、前記PVAフィルムの両面に、気相中で、30℃の水(膨潤液)を30秒噴霧しながら、前記把持手段(テンタークリップ)により、前記PVAフィルムを原反の2.2倍の長さになるように幅方向に延伸した。その際、前記膨潤液の噴霧直後に、図6(A)で示すように、スクレイパーを用いて前記PVAフィルムに付着した膨潤液を分離除去した。前記スクレイパーとしては、図7(A)に示した形状のテフロン(登録商標)製のスクレイパー((株)エコーブレード製、商品名「ドクターブレード」)を用いた。前記スクレイパーの長さは50mm、幅は1000mm、厚みは4mm、テーパー角は15°とした。
(2)染色工程および幅方向延伸工程
前記噴霧装置(スプレー)を用いて、前記膨潤後のPVAフィルムの片面に、気相中で、0.2重量%のヨウ素を含む30℃の水溶液(染色液)を25秒噴霧しながら、前記把持手段(テンタークリップ)により、前記PVAフィルムを原反の3.3倍の長さになるように幅方向に延伸した。その際、前記染色液の噴霧直後に、前述と同様にしてPVAフィルムに付着した処理液を分離除去した。
(3)架橋工程および幅方向延伸工程
前記噴霧装置(スプレー)を用いて、前記染色処理後の前記PVAフィルムの片面に、気相中で、3重量%のホウ酸と3重量%のヨウ化カリウムとを含む30℃の水溶液(架橋液)を10秒噴霧しながら、前記把持手段(テンタークリップ)により、前記PVAフィルムを原反の3.6倍の長さになるように幅方向に延伸した。その際、前記架橋液の噴霧直後に、前述と同様にしてPVAフィルムに付着した処理液を分離除去した。
(4)幅方向延伸工程
前記噴霧装置(スプレー)を用いて、前記架橋後の前記PVAフィルムの片面に、4重量%のホウ酸と5重量%のヨウ化カリウムとを含む60℃の水溶液(延伸液)を60秒噴霧しながら、前記把持手段(テンタークリップ)により、前記PVAフィルムを原反の5.9倍の長さになるように幅方向に延伸した。その際、前記延伸液の噴霧直後に、前述と同様にしてPVAフィルムに付着した処理液を分離除去した。
(5)調整工程
前記噴霧装置(スプレー)を用いて、前記延伸処理後の前記PVAフィルムの片面に、4重量%のヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液(調整液)を10秒噴霧した。その際、前記調製液の噴霧直後に、前述と同様にしてPVAフィルムに付着した処理液を分離除去した。
(6)乾燥工程
前記収縮後の前記PVAフィルムに60℃で1分間乾燥処理を施した。前記乾燥後の偏光子をポリエチレンテレフタレートを合紙として巻き取ることで、連続の偏光子を得た。
[比較例1]
前記各工程において、PVAフィルムに付着した処理液を分離除去しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、連続の偏光子を得た。
図9のグラフに、実施例1の偏光子の単体透過率の標準偏差と、比較例1の偏光子の単体透過率の標準偏差を示す。図示のように、PVAフィルム表面に付着した処理液をスクレイパーで分離除去した実施例1では、標準偏差が約0.11と低く、光学特性の均一性に優れていた。これに対し、PVAフィルム表面に付着した処理液を分離除去しなかった比較例1では、標準偏差が約0.26と高く、光学特性の均一性が悪かった。
以上のように、本発明の偏光子の製造方法によれば、大型の原反フィルムおよび延伸機を必要とすることなく、大型で高配向の偏光子を得ることができ、且つ、光学特性の均一性に優れた偏光子を製造可能である。本発明の偏光子およびそれを用いた偏光板、画像表示装置の用途は、例えば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等が挙げられ、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
図1は、本発明の幅方向延伸工程の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の把持手段による親水性ポリマーフィルムの把持について説明する図である。 図3は、図1の一部の拡大図である。 図4は、本発明の偏光板の構成の一例を示す断面図である。 図5は、本発明の偏光板の構成のその他の例を示す断面図である。 図6(A)〜(D)は、本発明の製造方法における処理液の分離除去の例を示す模式図である。 図7(A)は、本発明に用いるスクレイパーの形状の一例を示す斜視図であり、図7(B)は、本発明に用いるスクレイパーの側面の形状の一例を示す図である。 図8は、本発明の実施例における光学特性の均一性の評価方法を説明するための模式図である。 図9は、本発明の実施例における偏光子の光学特性の均一性の評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 親水性ポリマーフィルム
2 把持手段
21 回転軸
22 上把持部
23 下把持部
40、50 偏光板
41 偏光子
42 保護層
51 粘着剤層
61a、61b、61c 処理液
62 スクレイパー
63 エアーナイフ
63a エアー
64a、64b ピンチロール
65 吸水ロール
A、B、C、d1、d2 矢印
R1、R2 ロール
S1 スプレー

Claims (11)

  1. 連続的に供給される親水性ポリマーフィルムの幅方向の両端を把持手段により把持し、前記把持手段を前記親水性ポリマーフィルムの長手方向に進行させると共に、前記親水性ポリマーフィルムの両端を把持する前記把持手段の少なくとも一方を前記親水性ポリマーフィルムの幅方向の外側にも移動させることで前記親水性ポリマーフィルムを幅方向に延伸する幅方向延伸工程と、
    前記親水性ポリマーフィルムを二色性物質により染色処理する染色工程とを有し、
    前記幅方向延伸工程を、前記染色工程および前記染色工程とは別の工程の少なくとも一つの工程において実施する偏光子の製造方法であって、
    前記幅方向延伸工程および前記染色工程が、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の表面に、気相中で処理液を接触させることで実施され、前記処理液の接触後、前記親水性ポリマーフィルム表面に付着している処理液を液切手段により分離除去することを特徴とする偏光子の製造方法。
  2. 前記液切手段が、スクレイパー、エアーナイフ、ピンチロールおよび吸水ロールからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1記載の偏光子の製造方法。
  3. 前記液の接触を、前記液の噴霧および塗布の少なくとも一方により実施する請求項1または2記載の偏光子の製造方法。
  4. 前記別の工程が、前記親水性ポリマーフィルムを膨潤させる膨潤工程および前記親水性ポリマーフィルムを架橋する架橋工程の少なくとも一方の工程を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  5. 前記膨潤工程、前記染色工程および前記架橋工程の少なくとも一つの工程において、気相中で、前記親水性ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に液を接触させる請求項4記載の偏光子の製造方法。
  6. 前記液の接触を、前記液の噴霧および塗布の少なくとも一方により実施する請求項5記載の偏光子の製造方法。
  7. 前記親水性ポリマーフィルムが、ポリビニルアルコール系フィルムであり、前記二色性物質がヨウ素である請求項1から6のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された偏光子。
  9. 偏光子の少なくとも一方の表面に保護層が積層された偏光板であって、前記偏光子が、請求項8記載の偏光子である偏光板。
  10. 偏光子または偏光板の少なくとも一方の表面に位相差板が積層された光学フィルムであって、前記偏光子が、請求項8記載の偏光子であり、前記偏光板が、請求項9記載の偏光板である光学フィルム。
  11. 偏光子、偏光板および光学フィルムの少なくとも一つを含む画像表示装置であって、前記偏光子が、請求項8記載の偏光子であり、前記偏光板が、請求項9記載の偏光板であり、前記光学フィルムが、請求項10記載の光学フィルムである画像表示装置。
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