JP2016053624A - 非偏光部を有する偏光子の製造方法 - Google Patents

非偏光部を有する偏光子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外観に優れた偏光子を提供可能な非偏光部を有する偏光子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の非偏光部を有する偏光子の製造方法は、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を湿式処理する工程と、該偏光フィルム積層体表面に付着した該湿式処理で用いた処理液を除去する工程とを含み、該処理液を除去する工程が露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより行われる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非偏光部を有する偏光子の製造方法に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピューター(PC)等の画像表示装置には、カメラ等の内部電子部品が搭載されているものがある。このような画像表示装置のカメラ性能等の向上を目的として、種々の検討がなされている(例えば、特許文献1〜6)。しかし、スマートフォン、タッチパネル式の情報処理装置の急速な普及により、カメラ性能等のさらなる向上が望まれている。また、画像表示装置の形状の多様化および高機能化に対応するために、部分的に偏光性能を有する偏光板が求められている。これらの要望を工業的および商業的に実現するためには許容可能なコストで画像表示装置および/またはその部品を製造することが望まれるところ、そのような技術を確立するためには種々の検討事項が残されている。
特開2011−81315号公報 特開2007−241314号公報 米国特許出願公開第2004/0212555号明細書 韓国公開特許第10−2012−0118205号公報 韓国特許第10−1293210号公報 特開2012−137738号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を用いて湿式処理を行った場合であっても、優れた外観を有する偏光子を提供可能な偏光子の製造方法を提供することにある。
本発明の非偏光部を有する偏光子の製造方法は、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を湿式処理する工程と、該偏光フィルム積層体表面に付着した該湿式処理で用いた処理液を除去する工程とを含み、該処理液を除去する工程が露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより行われる。
1つの実施形態においては、上記処理液除去用部材はウエス、布、スポンジ、セームタオル、および、セーム皮からなる群より選択される少なくとも1種である。
1つの実施形態においては、上記処理液を除去する工程において、上記処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを0.1kPa〜500kPaの圧力をかけて接触させる。
1つの実施形態においては、上記処理液を除去する工程は、回転体に取り付けられた前記処理液除去用部材により行われる。
1つの実施形態においては、本発明の非偏光部を有する偏光子の製造方法は、上記湿式処理として塩基性溶液によるアルカリ処理、酸性溶液による酸処理塩基性溶液を用いた湿式処理、および、洗浄工程からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
所望の部分にのみ湿式処理を施す目的で、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を用いて湿式処理を行う場合がある。この偏光フィルム積層体では、表面保護フィルム側表面と露出部との間に凹凸が生じる。そのため、露出部内に湿式処理で用いた処理液が残存し得る。通常、湿式処理後には、処理液を除去する工程が設けられる。しかしながら、露出部を有する偏光フィルム積層体を用いる場合には、露出部内に残存した処理液を十分に除去することができない場合がある。残存した処理液は乾燥することにより水跡となり、得られる偏光子の外観を損ねる場合がある。また、露出部に処理液が残存したまま、表面保護フィルムを剥離すると、未処理部分に処理液が付着し、特に露出部とそれ以外の部分との境界でその特性に悪影響を与える場合がある。
本発明の製造方法によれば、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を用いて湿式処理を行う場合であっても、優れた外観を有する偏光子を提供することができる。本発明の製造方法は、上記偏光フィルム積層体を湿式処理し、偏光フィルム積層体表面に付着した湿式処理に用いた処理液を除去する工程において、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させる。露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを、偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより、処理液除去用部材が露出部内に進入し、偏光フィルム積層体の露出部に残存した処理液をも除去することが可能となる。これにより、外観に優れた偏光子を提供することができる。また、露出部に残存した処理液が偏光フィルム積層体からの表面保護フィルムの剥離に伴い、湿式処理が施されていない部分へと流出することを抑えることができるため、未処理部分、特に境界部分の特性への悪影響をも防止し得る。
本発明の1つの実施形態で用いられる偏光フィルム積層体の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態で用いられる表面保護フィルムの概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による表面保護フィルムの概略斜視図である。 本発明の1つの実施形態による表面保護フィルムを用いた偏光子の製造方法における表面保護フィルムと偏光板との貼り合わせを説明する概略斜視図である。 本発明の1つの実施形態により行われる処理液除去工程を示す概略図である。 本発明の他の実施形態により行われる処理液除去工程を示す概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の非偏光部を有する偏光子の製造方法は、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を湿式処理する工程と、該偏光フィルム積層体表面に付着した該湿式処理で用いた処理液を除去する工程(以下、処理液除去工程とも言う)とを含む。本発明の製造方法では、該処理液を除去する工程が露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより行われる。これにより、処理液除去用部材が露出部内に進入し、処理液除去工程で偏光フィルム積層体の露出部に残存した処理液も除去することが可能となり、外観に優れた偏光子を提供することができる。また、露出部に残存した処理液が偏光フィルム積層体からの表面保護フィルムの剥離に伴い、湿式処理が施されていない部分へと流出することを抑えることができるため、未処理部分、特に境界部分の特性への悪影響をも防止し得る。なお、非偏光部を形成する前の偏光子は、厳密には本発明の製造方法により得られる非偏光部を有する偏光子の中間体であるが、本明細書においては単に偏光子と称する。当業者であれば、本明細書の記載を見れば、「偏光子」が中間体を意味するか本発明の製造方法により得られる非偏光部を有する偏光子を意味するかを容易に理解することができる。
A.偏光フィルム積層体の作製工程
本発明の偏光子の製造方法では、偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を用いて湿式処理を行う。この偏光フィルム積層体は、偏光子が露出した露出部を有するため、湿式処理において、偏光子の露出した部分のみが湿式処理を施されることになる。
図1は本発明の1つの実施形態で用いる偏光フィルム積層体の概略断面図である。この実施形態では、偏光子/保護フィルムの構成を有する偏光板を用いる。偏光フィルム積層体100は、偏光子10/保護フィルム20の積層体の偏光子10の表面に湿式処理を行う際に、湿式処理を行わない部分を保護する表面保護フィルム50が積層されている。表面保護フィルム50は、長尺方向および/または幅方向に所定の間隔で(すなわち、所定のパターンで)配置された貫通孔61を有する。偏光フィルム積層体100は、貫通孔61から偏光子10が露出した露出部51を有する。表面保護フィルム50は、任意の適切な粘着剤を介して偏光板(実質的には、偏光子10)に剥離可能に積層される。なお、偏光板の形態以外の形態を有する偏光子(例えば、単一の樹脂フィルムである偏光子、樹脂基材/偏光子の積層体)についても同様の手順が適用され得ることは言うまでもない。
また、この実施形態では、偏光板の保護フィルム20にさらに別の表面保護フィルム30が積層されている。以下、貫通孔を有する表面保護フィルム50を第1の表面保護フィルム、偏光フィルム積層体100の貫通孔を有する表面保護フィルムが積層されていない側に積層された表面保護フィルム30を第2の表面保護フィルムともいう。
図2は、本発明の1つの実施形態で用いる表面保護フィルムの概略断面図である。表面保護フィルム50は、樹脂フィルム70と樹脂フィルム70の一方の面に設けられた粘着剤層80とを有する。表面保護フィルム50は、長尺方向および/または幅方向に所定の間隔で(すなわち、所定のパターンで)配置された、樹脂フィルム70および粘着剤層80を貫通する貫通孔61を有する。貫通孔61の配置パターンは、目的に応じて適切に設定され得る。図3は、本発明の1つの実施形態による表面保護フィルムの概略斜視図である。貫通孔61は、例えば、図3に示すように、長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔で配置され得る。なお、「長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔」とは、長尺方向の間隔が等間隔であり、かつ、幅方向の間隔が等間隔であることを意味し、長尺方向の間隔と幅方向の間隔とが等しい必要はない。例えば、長尺方向の間隔をL1とし、幅方向の間隔をL2としたとき、L1=L2でもよく、L1≠L2であってもよい。
図4は、本発明の1つの実施形態による表面保護フィルムを用いた偏光子の製造方法における表面保護フィルムと偏光板との貼り合わせを説明する概略斜視図である。1つの実施形態においては、長尺状の偏光子および長尺状の粘着剤層を有する表面保護フィルムを用いて、偏光フィルム積層体を作製する。粘着剤層を有する表面保護フィルムを用いることにより、図4に示すようにロールトゥロールにより、偏光フィルム積層体を作製することができる。
A−1.偏光子の作製
偏光フィルム積層体100に用いられる偏光子10としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。偏光子は、代表的には樹脂フィルムで構成される。樹脂フィルムは、代表的には、ヨウ素や有機染料等の二色性物質を含むポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と言う)フィルムである。偏光子を構成する樹脂フィルム(代表的には、PVA系樹脂フィルム)は、単一のフィルムであってもよく、樹脂基材上に形成された樹脂層(代表的には、PVA系樹脂層)であってもよい。
偏光子は、任意の適切な方法により作製され得る。偏光子が単一のPVA系樹脂フィルムである場合には、偏光子は当業界で周知慣用されている方法により作製され得る。偏光子が樹脂基材上に形成されたPVA系樹脂層である場合には、偏光子は、例えば、特開2012−73580号公報に記載の方法により作製され得る。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。厚みは、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm未満である。一方で、厚みは、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。このような厚みであれば、優れた耐久性と光学特性とを有する偏光子が得られ得る。また、湿式処理としてアルカリ処理を含む場合、厚みが薄いほど、非偏光部が良好に形成され得る。例えば、アルカリ処理による脱色により非偏光部を形成する場合に、処理液と樹脂フィルム(偏光子)との接触時間を短くすることができる。
偏光板を用いて偏光フィルム積層体を作製する場合、1つの実施形態においては、単一の樹脂フィルムである偏光子の片面または両面に保護フィルムが貼り合わせられる。別の実施形態においては、樹脂基材/偏光子の積層体の偏光子表面に保護フィルムが貼り合わせられ、次いで樹脂基材が剥離され、さらに、必要に応じて樹脂基材の剥離面に別の保護フィルムが貼り合わせられ得る。なお、本明細書において単に保護フィルムというときは、上記のような偏光子保護フィルムを意味し、表面保護フィルム(作業時に偏光板を一時的に保護するフィルム)とは異なるものである。保護フィルムの貼り合わせは、代表的にはロールトゥロールにより行われ得る。
保護フィルムの形成材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。保護フィルムは、代表的には、接着層(具体的には、接着剤層、粘着剤層)を介して偏光子に積層される。接着剤層は、代表的にはPVA系接着剤や活性化エネルギー線硬化型接着剤で形成される。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。
また、偏光板は、目的に応じて任意の適切な光学機能層をさらに有していてもよい。光学機能層の代表例としては、位相差フィルム(光学補償フィルム)、表面処理層が挙げられる。
A−2.表面保護フィルムの作製
表面保護フィルム50は、得られる偏光子の湿式処理を施したい部分(すなわち、偏光フィルム積層体の露出部51に相当する部分)に対応する貫通孔61が設けられる。1つの実施形態においては、表面保護フィルムは、任意の適切な樹脂フィルムと該樹脂フィルムの一方の面に設けられた粘着剤層とを有する積層体であり、該樹脂フィルムと該粘着剤層とを貫通する貫通孔を有する(図2の表面保護フィルム)。
表面保護フィルム50の貫通孔61は、例えば、上述のように、長尺方向および幅方向のいずれにおいても実質的に等間隔で配置され得る(図3)。あるいは、貫通孔61は、長尺方向に実質的に等間隔で配置され、かつ、幅方向に異なる間隔で配置されてもよく;長尺方向に異なる間隔で配置され、かつ、幅方向に実質的に等間隔で配置されてもよい(いずれも図示せず)。長尺方向または幅方向において貫通孔が異なる間隔で配置される場合、隣接する貫通孔の間隔はすべて異なっていてもよく、一部(特定の隣接する貫通孔の間隔)のみが異なっていてもよい。また、表面保護フィルム50の長尺方向に複数の領域を規定し、それぞれの領域ごとに長尺方向および/または幅方向における貫通孔61の間隔を設定してもよい。
1つの実施形態においては、貫通孔61は、長尺方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、長尺方向に対して実質的に平行であり、ならびに、幅方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、幅方向に対して実質的に平行であるように配置される。別の実施形態においては、貫通孔61は、長尺方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、長尺方向に対して実質的に平行であり、ならびに、幅方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、幅方向に対して所定の角度θを有するように配置される。さらに別の実施形態においては、貫通孔61は、長尺方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、長尺方向に対して所定の角度θを有し、ならびに、幅方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、幅方向に対して所定の角度θを有するように配置される。θおよび/またはθは、好ましくは0°を超えて±10°以下である。ここで、「±」は、基準方向(長尺方向または幅方向)に対して時計回りおよび反時計回りのいずれの方向も含むことを意味する。このように貫通孔が配置された表面保護フィルムを用いることにより、長尺状の偏光子をロール搬送しながら所望のパターンで非偏光部を形成することができる。その結果、長尺状の偏光子の全体にわたって配置パターンを精密に制御して非偏光部を形成することができる。ここで、画像表示装置によっては表示特性を向上させるために偏光子の吸収軸を当該装置の長辺または短辺に対して最大で10°程度ずらして配置することを要求される場合がある。偏光子の吸収軸は長尺方向または幅方向に発現するので、上記の表面保護フィルムを用いて非偏光部を形成することにより、このような場合において、非偏光部と吸収軸との位置関係を長尺状の偏光子全体において統一的に制御でき、軸精度に優れた(したがって、光学特性に優れた)最終製品を得ることができる。したがって、裁断(例えば、長尺方向および/または幅方向への切断、打ち抜き)された枚葉の偏光子の吸収軸の方向を所望の角度に精密に制御することができ、かつ、偏光子ごとの吸収軸の方向のばらつきを顕著に抑制することができる。なお、貫通孔の配置パターンが図示例に限定されないことは言うまでもない。例えば、貫通孔61は、長尺方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、長尺方向に対して所定の角度θを有し、ならびに、幅方向において隣接する貫通孔を結ぶ直線が、幅方向に対して実質的に平行であるように配置されてもよい。また、表面保護フィルム50の長尺方向に複数の領域を規定し、それぞれの領域ごとにθおよび/またはθを設定してもよい。
表面保護フィルムの貫通孔の平面視形状は、目的に応じて任意の適切な形状が採用され得る。具体例としては、円形、楕円形、正方形、矩形、ひし形が挙げられる。
表面保護フィルムの貫通孔は、例えば、機械的打ち抜き(例えば、パンチング、彫刻刃打抜き、プロッター、ウォータージェット)または第1の表面保護フィルムの所定部分の除去(例えば、レーザーアブレーションまたは化学的溶解)により形成され得る。
表面保護フィルムは、硬度(例えば、弾性率)が高いフィルムが好ましい。搬送および/または貼り合わせ時の貫通孔の変形が防止され得るからである。表面保護フィルムの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。好ましくは、エステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂)である。このような材料であれば、弾性率が十分に高く、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいという利点がある。
表面保護フィルムの厚みは、後述する処理液除去工程において、処理液を効率良く除去できるという点から、代表的には20μm〜250μmであり、好ましくは25μm〜200μmである。また、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいという利点を有することから、表面保護フィルムの厚みが、30μm〜150μmであってもよい。
表面保護フィルムの弾性率は、好ましくは2.2kN/mm〜4.8kN/mmである。表面保護フィルムの弾性率がこのような範囲であれば、搬送および/または貼り合わせ時に張力をかけても貫通孔の変形が生じにくいという利点を有する。なお、弾性率は、JIS K 6781に準拠して測定される。
表面保護フィルムの引張伸度は、好ましくは90%〜170%である。表面保護フィルムの引張伸度がこのような範囲であれば、搬送中に破断しにくいという利点を有する。なお、引張伸度は、JIS K 6781に準拠して測定される。
また、偏光フィルム積層体100は、上述のように、上記表面保護フィルムが配置されていない側に第2の表面保護フィルム30がさらに積層されていてもよい。この第2の表面保護フィルムは、貫通孔が設けられていないこと以外は上記表面保護フィルムと同様のフィルムが用いられ得る。さらに、第2の表面保護フィルムとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)フィルムのような柔らかい(例えば、弾性率が低い)フィルムも用いることができる。第2の表面保護フィルムを用いることにより、湿式処理としてアルカリ処理を含む場合において、偏光板(偏光子/保護フィルム)をさらに適切に保護することが可能となり、結果として、アルカリ処理をより良好に行うことができる。
また、長尺状のフィルムを第2の保護フィルムとして用いることにより、ロールトゥロールにより第2の保護フィルムを積層することもできる。この場合、第2の表面保護フィルムは、上記貫通孔を有する表面保護フィルムと同時に貼り合わせてもよく、貫通孔を有する表面保護フィルムを貼り合わせる前に貼り合わせてもよく、貫通孔を有する表面保護フィルムを貼り合わせた後に貼り合わせてもよい。
粘着剤層としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な粘着剤層が採用され得る。粘着剤のベース樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。耐薬品性、浸漬時における処理液の浸入を防止するための密着性、被着体への自由度等の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。また、粘着剤は架橋剤を含んでいてもよく、粘着剤に含まれ得る架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物が挙げられる。粘着剤は、例えば、シランカップリング剤を含んでいてもよい。粘着剤の配合処方は、目的に応じて適切に設定され得る。
粘着剤層は、任意の適切な方法により形成され得る。具体例としては、樹脂フィルム上に粘着剤溶液を塗布し乾燥する方法、セパレーター上に粘着剤層を形成し当該粘着剤層を樹脂フィルムに転写する方法等が挙げられる。塗布法としては、例えば、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法が挙げられる。
粘着剤層の厚みは、好ましくは5μm〜60μmであり、より好ましくは5μm〜30μmである。厚みが薄すぎると、粘着性が不十分となり、粘着界面に気泡等が入り込む場合がある。厚みが厚すぎると、粘着剤がはみ出すなどの不具合が生じやすくなる。粘着剤層の厚みは表面保護フィルムの厚みが上記の範囲内となるよう、上記樹脂フィルムの厚みと併せて調整され得る。
B.湿式処理工程
本発明の製造方法では、上記の工程により得られた偏光フィルム積層体を用いて、湿式処理を行う。これにより、偏光子の所望の部分にのみ湿式処理を行うことができる。具体的には、湿式処理として塩基性溶液によるアルカリ処理を行う場合、偏光子の表面保護フィルムから露出した部分にのみアルカリ処理を行うことができ、この部分にのみ非偏光部を形成することができる。また、本発明の製造方法では、湿式処理後に行う処理液除去工程において、処理液を実質的に全て除去し得る。そのため、残存した処理液が蒸発し形成される水跡等による偏光子の外観への悪影響を防止し得る。また、露出部に残存した処理液が偏光フィルム積層体からの表面保護フィルムの剥離に伴い、湿式処理が施されていない部分へと流出することを抑えることができるため、未処理部分、特に境界部分の特性への悪影響をも防止し得る。
湿式処理における処理液と偏光フィルム積層体との接触方法は、特に制限はなく、処理液への浸漬、処理液の滴下、塗布または噴霧等が挙げられる。また、偏光フィルム積層体と処理液との接触時間は、湿式処理の目的、処理液の濃度、偏光フィルム積層体の厚み等の条件に応じて、任意の適切な時間に設定され得る。
上記偏光フィルム積層体が供され得る湿式処理としては、特に制限はなく、偏光子の製造工程で用いられ得る湿式処理が挙げられる。代表的には、非偏光部を有する偏光子の製造方法では、塩基性溶液を用いた湿式処理、酸性溶液を用いた湿式処理、および、塩基性溶液および/または酸性溶液による湿式処理後の洗浄工程を含む。
B−1.塩基性溶液を用いた湿式処理(アルカリ処理)
塩基性溶液を用いた湿式処理(以下、アルカリ処理ともいう)は、偏光フィルム積層体と塩基性溶液とを接触させることにより、行われ得る。塩基性溶液を用いた湿式処理により、露出部分が脱色され、該脱色により非偏光部が形成され得る。なお、塩基性溶液を用いた湿式処理を行う場合、偏光フィルム積層体に用いられる偏光子としては、ヨウ素を含む偏光子が好ましい。偏光子が二色性物質としてヨウ素を含む場合、偏光子の露出部と塩基性溶液とを接触させることにより、露出部のヨウ素濃度を低減させ、結果として、露出部のみに選択的に非偏光部を形成することができる。そのため、複雑な操作を伴うことなく非常に高い製造効率で、偏光子の所定の部分に選択的に非偏光部を形成することができる。なお、偏光子にヨウ素が残存している場合、ヨウ素錯体を破壊して非偏光部を形成したとしても、偏光子の使用に伴い再度ヨウ素錯体が形成され、非偏光部が所望の特性を有さなくなるおそれがある。本実施形態では、後述の塩基性溶液の除去によって、ヨウ素自体が偏光子(実質的には、非偏光部)から除去される。その結果、偏光子の使用に伴う非偏光部の特性変化を防止し得る。
偏光フィルム積層体と塩基性溶液との接触は、上記の通り、任意の適切な手段により行われ得る。偏光フィルム積層体として、長尺状の偏光フィルム積層体を用いる場合には、偏光フィルム積層体を搬送しながら脱色処理を行うことができるので、製造効率が顕著に高くなるという点から浸漬が好ましい。上記のとおり、第1の表面保護フィルム(および、必要に応じて第2の表面保護フィルム)を用いることにより、偏光フィルムの露出部以外の部分ではヨウ素濃度が低減しないため、浸漬により非偏光部を形成することが可能となる。具体的には、塩基性溶液に偏光フィルム積層体を浸漬することにより、偏光フィルム積層体における露出部のみが塩基性溶液と接触する。
塩基性溶液による非偏光部の形成について、より詳細に説明する。偏光フィルム積層体における偏光子の露出部との接触後、塩基性溶液は露出部内部へと浸透する。露出部に含まれるヨウ素錯体は塩基性溶液に含まれる塩基により還元され、ヨウ素イオンとなる。ヨウ素錯体がヨウ素イオンに還元されることにより、露出部の偏光性能が実質的に消失し、露出部に非偏光部が形成される。また、ヨウ素錯体の還元により、露出部の透過率が向上する。ヨウ素イオンとなったヨウ素は、露出部から塩基性溶液の溶媒中に移動する。その結果、後述の塩基性溶液の除去により、塩基性溶液と共にヨウ素イオンも露出部から取り除かれる。このようにして、偏光子の所定部分に選択的に非偏光部が形成され、さらに、当該非偏光部は経時変化のない安定なものとなる。なお、第1の表面保護フィルムの材料、厚みおよび機械的特性、塩基性溶液の濃度、ならびに偏光フィルム積層体の塩基性溶液への浸漬時間等を調整することにより、塩基性溶液が所望でない部分まで浸透すること(結果として、所望でない部分に非偏光部が形成されること)を防止することができる。
上記塩基性溶液に含まれる塩基性化合物としては、任意の適切な塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ金属塩、酢酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア水等が挙げられる。塩基性溶液に含まれる塩基性化合物は、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムである。アルカリ金属の水酸化物を含む塩基性溶液を用いることにより、ヨウ素錯体を効率良くイオン化することができ、より簡便に非偏光部を形成することができる。これらの塩基性化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記塩基性溶液の溶媒としては、任意の適切な溶媒を用いることができる。具体的には、水、エタノール、メタノール等のアルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルム、および、これらの混合溶媒が挙げられる。ヨウ素イオンが良好に溶媒へと移行し、後の塩基性溶液の除去において容易にヨウ素イオンを除去できることから、溶媒は水、アルコールが好ましい。
上記塩基性溶液の濃度は、例えば、0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、より好ましくは0.1N〜2.5Nである。塩基性溶液の濃度がこのような範囲であれば、効率よく偏光子内部のヨウ素濃度を低減させることができ、かつ、露出部以外の部分におけるヨウ素錯体のイオン化を防止することができる。
上記塩基性溶液の液温は、例えば、20℃〜50℃である。偏光フィルム積層体(実質的には、偏光子の露出部)と塩基性溶液との接触時間は、偏光子の厚みや、用いる塩基性溶液に含まれる塩基性化合物の種類、および、塩基性化合物の濃度に応じて設定することができ、例えば、5秒間〜30分間である。
上記塩基性溶液は、偏光子の露出部と接触後(非偏光部の形成後)、必要に応じて任意の適切な手段により除去され得る。塩基性溶液の除去方法の具体例としては、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、後述する処理液除去用部材を用いた処理液除去工程や洗浄等が挙げられる。塩基性溶液を乾燥により除去する場合の乾燥温度は、例えば、20℃〜100℃である。
B−2.酸性溶液を用いた湿式処理(酸処理)
酸性溶液を用いた湿式処理(以下、酸処理ともいう)は、偏光フィルム積層体と酸性溶液とを接触させることにより、行われ得る。酸性溶液を用いた湿式処理は、上記アルカリ処理と組合せて行われ、かつ、アルカリ処理の後、酸性溶液による湿式処理が行われることが好ましい。アルカリ処理の後、酸性溶液と接触させることにより、非偏光部に残存する塩基性溶液をさらに良好なレベルまで除去することができる。また、酸性溶液と接触させることにより、非偏光部の寸法安定性および耐久性が向上し得る。
偏光フィルム積層体と酸性溶液との接触は、任意の適切な手段により行われ得る。具体的には、偏光フィルム積層体の酸性溶液への浸漬、あるいは、酸性溶液の偏光フィルム積層体への滴下、塗布または噴霧が挙げられる。酸性溶液との接触は、塩基性溶液との接触の場合と同様に、浸漬が好ましい。酸性溶液との接触は、塩基性溶液の除去を行った後に行ってもよく、塩基性溶液を除去することなく行ってもよい。
上記酸性溶液に含まれる酸性化合物としては、任意の適切な酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、安息香酸等の有機酸等が挙げられる。酸性溶液に含まれる酸性化合物は、好ましくは無機酸であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸、硝酸である。これらの酸性化合物は単独で使用しても、混合して使用しても良い。
上記酸性溶液の溶媒としては、上記塩基性溶液の溶媒として例示したものを用いることができる。上記酸性溶液の濃度は、例えば、0.01N〜5Nであり、好ましくは0.05N〜3Nであり、より好ましくは0.1N〜2.5Nである。
上記酸性溶液の液温は、例えば、20℃〜50℃である。偏光フィルム積層体(実質的には、偏光子の露出部)と酸性溶液との接触時間は、樹脂フィルム(偏光子)の厚みや、用いる酸性溶液に含まれる酸性化合物の種類、および、酸性化合物の濃度に応じて設定することができ、例えば、5秒間〜30分間である。必要に応じて、偏光フィルム積層体と酸性溶液とを接触させた後、直ちに除去してもよい。
上記酸性溶液は、偏光子の露出部と接触後、必要に応じて任意の適切な手段により除去され得る。酸性溶液の除去方法の具体例としては、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、後述する処理液除去用部材を用いた処理液除去工程や洗浄等が挙げられる。乾燥により酸性溶液を除去する場合、例えば偏光フィルム積層体をオーブン内で搬送することにより行われ得る。乾燥温度は、例えば20℃〜100℃であり、乾燥時間は例えば5秒〜600秒である。
B−3.洗浄
洗浄は、各工程で偏光フィルム積層体表面に付着した処理液や異物を除去するために行われ得る。例えば、本発明の製造方法においては、上記アルカリ処理および/または酸処理の後に行われ得る。
洗浄に使用する液は、例えば、水(純水)、メタノール、エタノール等のアルコール、酸性水溶液、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくは、水である。洗浄は、1回であってもよく、複数回の洗浄を一工程として行ってもよい。
洗浄後の処理液は、必要に応じて任意の適切な手段により除去され得る。洗浄後の処理液の除去方法の具体例としては、吸引除去、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、後述する処理液除去用部材を用いた処理液除去工程が挙げられる。後述する処理液除去用部材を用いた処理液除去工程により、除去されることが好ましい。洗浄工程は、通常、偏光子の製造工程に含まれ得る湿式処理の最後に行われ得る。そのため、洗浄処理後の処理液を処理液除去用部材を用いて除去することにより、得られる偏光子の外観が残存した処理液が蒸発することによる水跡等により損なわれることを防止し得る。また、偏光フィルム積層体の露出部に残存した処理液が表面保護フィルムの剥離に伴い、湿式処理が施されていない部分へと流出することを抑えることができるため、偏光子の未処理部分、特に境界部分の特性への悪影響をも防止し得る。
C.処理液除去工程
本発明における処理液除去工程では、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより行われる。これにより、処理液除去用部材が露出部に進入し、偏光フィルム積層体の露出部に残存した処理液をも除去することが可能となり得る。その結果、露出部での残存した処理液が蒸発することによる水跡等により、偏光子の外観が損なわれることを防止し得る。また、湿式処理に用いられる処理液によっては、偏光子の特性に影響が生じ得る。そのため、露出部に残存した処理液の除去が不十分である場合、表面保護フィルムを剥離した際に処理液が偏光子の露出部以外の部分にも付着し得る。この場合、偏光子の湿式処理されていない部分の特性が変化し、表面保護フィルムを用いて露出部のみに処理する効果が十分に得られない可能性がある。しかしながら、湿式処理後に処理液除去工程を経ることにより、残存した処理液による偏光子の未処理部分の特性への影響を防止することができる。そのため、表面保護フィルムを用いて所望の部分にのみ処理を行う効果がより一層発揮され得る。
非偏光部を有する偏光子の製造方法において、複数の湿式処理を行う場合、処理液除去工程は最後の湿式処理の後のみに行ってもよく、各湿式処理ごとに行ってもよく、任意の湿式処理の後のみに行ってもよい。
処理液除去用部材と偏光フィルム積層体との接触は、ロール等の手段を用いて連続で行ってもよく、手で1枚ごとに処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを接触させて行ってもよい。処理液除去工程は、ロール等の回転体に処理液除去用部材を取り付け、偏光フィルム積層体を一組の回転体間を通過させることにより行うことが好ましい。回転体に処理液除去用部材を取り付けて処理を行う場合、長尺状の偏光フィルム積層体が好適に用いられる。このようにして、処理液除去工程を行うことにより、非偏光部を有する偏光子の製造効率を向上させることができる。以下、処理液除去工程について、長尺状の偏光フィルム積層体を例として、具体的に説明する。
図5は、本発明の1つの実施形態による処理液除去工程を示す概略図である。湿式処理が施された偏光フィルム積層体100は、処理浴から巻き取られ、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材200,200´がその周を囲むように取り付けられたロール等の回転体300,300´間を通過し、後の工程に供される。これにより、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材200が露出部内に進入し、残存した処理液が除去される。好ましくは、偏光フィルム積層体100は任意の適切な圧力が付加された状態で回転体300,300´間を通過する。図示例では、回転体300と300´の両方に処理液除去用部材200,200´が取り付けられているが、処理液除去用部材は少なくとも偏光フィルム積層体の露出部51と接する側の回転体に取り付けられていればよい。
処理液除去用部材200は、偏光フィルム積層体の表面保護フィルム50側から接触することにより、偏光フィルム積層体の表面に付着した処理液を除去する部材である。処理液除去用部材は、露出部に追従可能な材料で構成されている。これにより、処理液除去用部材200は表面保護フィルムと接触する際に、露出部51内に進入し、貫通孔61の壁面および/または表面保護フィルムから露出した偏光子の表面と接触し得る。露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材が貫通孔61の壁面および/または表面保護フィルムから露出した偏光子の表面と接触することにより、露出部内に残存した処理液が除去され得る。処理液除去用部材は、吸水性を有していることが好ましい。吸水性を有する処理液除去用部材を用いることにより、処理液をさらに効率良く除去することが可能となる。なお、図示例では、処理液除去用部材200,200´の表面形状は平坦であるが、処理液除去用部材の表面が凹凸を有していてもよい。処理液除去用部材の表面が凹凸を有する場合、この凹凸は用いる部材由来の凹凸(例えば、繊維により形成され得る布表面の凹凸)であってもよく、任意に形成された凹凸であってもよい。
処理液除去用部材を構成する材料としては、任意の適切な材料を用いることができる。例えば、ウエス、布、スポンジ、セームタオル、および、セーム皮等が挙げられる。偏光フィルム積層体の露出部の形状にも追従可能であることから、柔軟性を有する部材を用いることが好ましい。吸水性を有し、かつ、柔軟性を有する部材が特に好適に用いられる。処理液除去用部材は、1種の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料を組み合せて構成されていてもよい。
処理液除去用部材として用いられる布は、織布であってもよく、不織布であってもよい。処理液除去用部材として用いられる布を構成する繊維としては、任意の適切な繊維を用いることができる。繊維としては、例えば、綿、羊毛、レーヨン、ポリアミド系繊維(具体的には、ナイロン)、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール(PVA)系繊維等が挙げられる。吸水性および柔軟性に優れるという点から、PVA系繊維が好ましい。
処理液除去用部材として用いられるスポンジは、任意の適切な材料を用いて構成することができる。スポンジを構成する材料としては、例えば、海綿、天然ゴムまたは合成ゴム等のゴム、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、PVA系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂等が挙げられる。吸水性および柔軟性に優れるという点から、PVA系樹脂が好ましい。長尺状の偏光フィルム積層体を用いて非偏光部を有する偏光子を製造する場合、スポンジで構成されるスポンジロールが好適に用いられる。
処理液除去用部材として用いられるセームタオルは、任意の適切な材料で構成される。セームタオルを構成する材料としては、PVA系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、セーム皮としては、天然のセーム皮を用いてもよく、合成のセーム皮を用いてもよい。合成のセーム皮の材料としては、任意の適切な材料を用いることができる。
処理液除去用部材としてスポンジを用いる場合、スポンジの空隙率が80%以上であるものが好ましく、90%以上であるものがより好ましく、95%以上であるものがさらに好ましい。スポンジの空隙率が80%以上であることにより、吸水性が高く、処理液の除去効率に優れた処理液除去用部材が得られ得る。
処理液除去用部材に用いられる部材は、吸水率が50%以上であるものが好ましく、100%以上がより好ましく、200%以上であることがさらに好ましく、300%以上であることが特に好ましい。吸水率が50%以上である部材を用いることにより、より好適に処理液を除去することができる。吸水率は高いほど好ましく、上限値は用いる部材によって変わり得る。本明細書において、処理液除去用部材の吸水率は、下記式により求められた値をいう。

吸水率(%)=(浸漬後の試験片の重量−浸漬前の試験片の重量)/浸漬前の試験片の重量×100
処理液除去用部材は、例えば、スポンジ硬度が0〜80であり、好ましくは10〜30である。スポンジ硬度が上記の範囲内であれば、処理液除去用部材と表面保護フィルムの露出部とを十分に接触させることができ、露出部に残存した処理液を十分に除去することができる。本明細書において、スポンジ硬度は、SRIS 0101に準拠したアスカーC型硬度計で測定した値をいう。
処理液除去用部材の厚みは、露出部の深さ(すなわち、表面保護フィルムの厚み)に応じて、任意の適切な値に設定され得る。処理液除去用部材の厚みは、例えば5mm〜50mmであり、好ましくは 7mm〜30mmであり、より好ましくは10mm〜25mmである。処理液除去用部材の厚みが上記の範囲内であることにより、効率良く処理液の除去を行うことができる。また、圧力を加えた場合であっても、処理液除去用部材の厚みを十分に保つことができ、除去効率を維持することができる。
図5では、処理液除去用部材200,200´が取り付けられた回転体300,300´は一組であるが、二組以上の回転体を配置して処理液除去工程を行ってもよい。二組以上の回転体を用いて処理液除去工程を行う場合、各回転体に取り付けられる処理液除去用部材は同一であってもよく、異なっていてもよい。
処理液除去工程は、偏光フィルム積層体と処理液除去用部材とを任意の適切な圧力をかけながら接触させることにより行うことが好ましい。圧力をかけながら、偏光フィルム積層体と処理液除去用部材とを接触させることにより、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と偏光フィルム積層体の露出部とがより密着し得る。そのため、偏光フィルム積層体の表面、特に露出部からの処理液の除去をより好適に行うことができる。
図6は本発明の別の実施形態における処理液除去工程を示す概略図であり、長尺状の偏光フィルム積層体を圧力をかけながら、処理液除去工程を行う場合の概略図である。この実施形態では、圧力をかけることにより、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材が露出部とより密着することが可能となる。この実施形態では、処理液除去用部材200,200´が取り付けられたロール300,300´に任意の適切な圧力をかけながら、これらのロール間に偏光フィルム積層体100を通過させる。圧力がかけられることにより、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材200は露出部51内により深く進入し、少なくとも露出部51の底部(すなわち、偏光子の表面)に接触する。圧力をかけることにより、処理液除去用部材が露出部51の形状に十分に追従するよう接触することが好ましい。通常、露出部の底部の壁面に付着した処理液は表面張力により、露出部の底面にも接している。そのため、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材が少なくとも露出部の底面と接することにより、処理液を除去することが可能となり得る。また、露出部に追従可能な材料は柔軟性を有するため、処理液除去用部材は緩衝材としても機能する。そのため、圧力をかけながら処理液除去工程を行う場合でも偏光フィルム積層体への過度の負荷を防止し得る。
処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを接触させる際の圧力は、任意の適切な値に設定され得る。処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを接触させる際の圧力は、好ましくは0.1kPa〜500kPaであり、より好ましくは1kPa〜100kPaである。圧力が上記の範囲内であることにより、偏光フィルム積層体に過度の負荷をかけることなく、処理液を除去することができる。
また、処理液除去用部材による処理液除去工程の前に、水切りブロワー等の他の手段により予め処理液を除去してもよい。水切りブロワー等により予め処理液を除去することにより、露出部に残存する処理液の量を減少することができ、処理液除去工程による処理液の除去効率をさらに向上させることができる。
D.他の工程
上記処理液除去工程の後、任意の適切な手段により、さらに乾燥工程を行ってもよい。上記処理液除去工程を経た偏光フィルム積層体では、処理液が十分に除去されている。そのため、その後、乾燥処理に供した場合であっても、残存した処理液による水跡等が形成されることを防止され得る。そのため、最終的に得られる偏光子の外観不良を防止し得る。
乾燥手段としては、任意の適切な方法により行うことができる。乾燥手段としては、例えば、オーブン、IRヒーター、温風乾燥等が挙げられる。乾燥温度および乾燥時間は、偏光フィルム積層体の厚みや特性等に応じて、任意の適切な値に設定され得る。乾燥温度は、例えば、30℃〜80℃に設定され得る。乾燥時間は、例えば、0.2分〜30分に設定され得る。
必要な工程が終わった後、表面保護フィルムは偏光フィルム積層体から剥離され得る。
E.非偏光部を有する偏光子
本発明の製造方法は、上記の通り、露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させる処理液除去工程を含む。そのため、湿式処理に用いた処理液が残存し、残存した処理液が蒸発することにより水跡等が形成されることが防止され得る。したがって、本発明の製造方法により得られる非偏光部を有する偏光子は優れた外観を有する。さらに、該処理液除去工程を経ることにより、露出部に残存した処理液が偏光フィルム積層体からの表面保護フィルムの剥離に伴い、湿式処理が施されていない部分へと流出することを抑えることができるため、未処理部分、特に境界部分の特性への悪影響をも防止され得る。
得られる偏光子(非偏光部を除く)の単体透過率(Ts)は、好ましくは39%以上、より好ましくは39.5%以上、さらに好ましくは40%以上、特に好ましくは40.5%以上である。なお、単体透過率の理論上の上限は50%であり、実用的な上限は46%である。また、単体透過率(Ts)は、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値であり、例えば、顕微分光システム(ラムダビジョン製、LVmicro)を用いて測定することができる。偏光子の偏光度(非偏光部を除く)は、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.93%以上、さらに好ましくは99.95%以上である。
非偏光部の透過率(例えば、23℃における波長550nmの光で測定した透過率)は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは75%以上であり、特に好ましくは90%以上である。このような透過率であれば、非偏光部としての所望の透明性を確保することができる。その結果、非偏光部が画像表示装置のカメラ部に対応するよう偏光子を配置した場合に、カメラの撮影性能に対する悪影響を防止することができる。
非偏光部の平面視形状は、偏光子が用いられる画像表示装置のカメラ性能に悪影響を与えない限りにおいて、任意の適切な形状が採用され得る。非偏光部の平面視形状は、第1の表面保護フィルムの貫通孔の形状に対応する。
1つの実施形態においては、偏光子の吸収軸は長尺方向または幅方向に実質的に平行であり、かつ、偏光子の両端部は長尺方向に平行にスリット加工されている。このような構成であれば、偏光子の端面を基準にして裁断作業を行うことにより、非偏光部を有しかつ適切な方向に吸収軸を有する複数の偏光子を容易に製造することができる。
偏光子は、実用的には偏光板として提供され得る。偏光板は、偏光子と偏光子の少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する(図示せず)。実用的には、偏光板は、最外層として粘着剤層を有する。粘着剤層は、代表的には画像表示装置側の最外層となる。粘着剤層には、セパレーターが剥離可能に仮着され、実際の使用まで粘着剤層を保護するとともに、ロール形成を可能としている。
偏光板は、目的に応じて任意の適切な光学機能層をさらに有していてもよい。光学機能層の代表例としては、位相差フィルム(光学補償フィルム)、表面処理層が挙げられる。例えば、保護フィルムと粘着剤層との間に位相差フィルムが配置され得る。位相差フィルムの光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向位相差)は、目的、画像表示装置の特性等に応じて適切に設定され得る。例えば、画像表示装置がIPSモードの液晶表示装置である場合には、屈折率楕円体がnx>ny>nzである位相差フィルムおよび屈折率楕円体がnz>nx>nyである位相差フィルムが配置され得る。位相差フィルムが保護フィルムを兼ねてもよい。この場合、保護フィルムは省略され得る。逆に、保護フィルムが、光学補償機能を有していてもよい(すなわち、目的に応じた適切な屈折率楕円体、面内位相差および厚み方向位相差を有していてもよい)。なお、「nx」はフィルム面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」はフィルム面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
表面処理層は、偏光板の視認側に配置され得る。表面処理層の代表例としては、ハードコート層、反射防止層、アンチグレア層が挙げられる。表面処理層は、例えば、偏光子の加湿耐久性を向上させる目的で透湿度の低い層であることが好ましい。ハードコート層は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に設けられる。ハードコート層は、例えば、アクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を表面に付加する方式などにて形成することができる。ハードコート層としては、鉛筆硬度が2H以上であることが好ましい。反射防止層は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に設けられる低反射層である。反射防止層としては、例えば、特開2005−248173号公報に開示されるような光の干渉作用による反射光の打ち消し効果を利用して反射を防止する薄層タイプ、特開2011−2759号公報に開示されるような表面に微細構造を付与することにより低反射率を発現させる表面構造タイプが挙げられる。アンチグレア層は、偏光板表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に設けられる。アンチグレア層は、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式、透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて表面に微細凹凸構造を付与することにより形成される。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。表面処理層を設ける代わりに、視認側の保護フィルムの表面に同様の表面処理を施してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
樹脂フィルム(厚み38μm)の一方の面に粘着剤(アクリル系粘着剤)を厚みが10μmになるよう塗布した。次いで、得られた樹脂フィルムと粘着剤層との積層体にピクナル刃を用いて直径4mmの貫通孔を作製し、表面保護フィルムを得た。
総厚30μmの偏光板(偏光子(透過率42.3%、厚み5μm)/保護フィルム(厚み25μm))の偏光子側表面と表面保護フィルムの粘着剤層側とが接するように貼り合せ、偏光フィルム積層体を得た。得られた偏光フィルム積層体の表面保護フィルムから偏光子が露出した部分に常温の水酸化ナトリウム水溶液(0.5mol/L(0.5N))を滴下し、1分間放置した。次いで、滴下した水酸化ナトリウム水溶液を処理液除去用部材としてウエスを用いて、拭き取ることにより除去した。除去後、偏光フィルム積層体を40℃のオーブンで1分間乾燥させた。乾燥後、表面保護フィルムを剥離し、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の非偏光部の周辺では処理に用いた液体の痕跡は見られなかった。
[実施例2]
処理液除去用部材として布(合成セーム皮)を用いた以外は、実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の非偏光部の周辺では処理に用いた液体の痕跡は見られなかった。
[実施例3]
処理液除去用部材としてスポンジロール(PVAスポンジ)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液を滴下後、1分間放置した偏光フィルム積層体を2個のスポンジロール間に通過させた以外は、実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の非偏光部の周辺では処理に用いた液体の痕跡は見られなかった。
[実施例4]
水酸化ナトリウム水溶液に代えて純水を用いた以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
得られた偏光板の表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板の表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分周辺では処理に用いた液体の痕跡は見られなかった。
(比較例1)
処理液除去用部材との接触工程を行わなかった以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の表面保護フィルムからの露出部分(水酸化ナトリウム水溶液で処理された部分)に白い粉が析出していた。
(比較例2)
処理液除去用部材として金属ブレードを用いた以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の表面保護フィルムからの露出部分(水酸化ナトリウム水溶液で処理された部分)では非偏光部の周辺に円形状(貫通孔の形状に相当)に白い粉が析出した。
(比較例3)
処理液除去工程で処理液除去部材に代えてブロワーを用いた以外は実施例1と同様にして、非偏光部を有する偏光板を得た。
得られた偏光板の非偏光部(表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分)周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板では偏光子の露出部(表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分)が非偏光部となる。得られた偏光板の表面保護フィルムからの露出部分(水酸化ナトリウム水溶液で処理された部分)では非偏光部の周辺に円形状(貫通孔の形状に相当)に白い粉が析出した。
(比較例4)
水酸化ナトリウム水溶液に代えて純水を用いたこと、および、処理液除去工程で処理液除去用部材に代えてブロワーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光板を得た。
得られた偏光板の表面保護フィルムの貫通孔から露出した部分周辺を目視で観察し、外観を評価した。得られた偏光板の表面保護フィルムの貫通孔に対応する部分周辺では円形状(貫通孔の形状に相当)に水跡が発生していた。
処理液除去用部材と、該表面保護フィルムおよび該偏光子の表面保護フィルムから露出した部分とを接触させることにより液体を除去した実施例1〜4では、得られた偏光板に処理に用いた液体の痕跡は見られず、優れた外観を有する偏光板が得られた。
処理液除去工程を行わなかった比較例1では、偏光板の湿式処理を施した部分に白い粉が析出した。処理液除去用部材として金属ブレードを用いた比較例2では、非偏光部(貫通孔の周に対応する部分)の周辺に白い粉が析出した。露出部への追従が困難である金属ブレードは、偏光子の露出部分との接触が十分ではないため、湿式処理に用いた液体が露出部内、特に縁の部分に残ったと考えられた。また、接触ではなく、ブロワーを用いて空気を吹付けることにより液体を除去した比較例3でも非偏光(貫通孔の周に対応する部分)の周辺に白い粉が析出した。ブロワーを用いた場合にも、空気の吹付けにより露出部の壁面部分に処理に用いた液体が吹付けられ、結果として露出部の周に対応する部分に白い粉が析出したと考えられた。比較例1〜3では、湿式処理に水酸化ナトリウム水溶液を用いている。そのため、比較例1〜3で得られた偏光板では、水酸化ナトリウムが析出したと考えられた。また、水酸化ナトリウム水溶液に代えて、純水を用いた比較例4においても貫通孔の周に対応する部分に乾燥で蒸発した水による跡が見られた。
本発明の偏光子は、スマートフォン等の携帯電話、ノート型PC、タブレットPC等のカメラ付き画像表示装置(液晶表示装置、有機ELデバイス)に好適に用いられる。
10 偏光子
20 保護層
30 第2の表面保護フィルム
50 第1の表面保護フィルム
70 樹脂フィルム
80 粘着剤層
100 偏光フィルム積層体
200 処理液除去用部材
300 回転体

Claims (5)

  1. 偏光子と該偏光子の一方面側に配置された表面保護フィルムとを備え、該一方面側に偏光子が露出した露出部を有する偏光フィルム積層体を湿式処理する工程と、
    該偏光フィルム積層体表面に付着した該湿式処理で用いた処理液を除去する工程とを含み、
    該処理液を除去する工程が露出部に追従可能な材料で構成された処理液除去用部材と該偏光フィルム積層体とを、該偏光フィルム積層体の表面保護フィルム側から接触させることにより行われる、非偏光部を有する偏光子の製造方法。
  2. 前記処理液除去用部材がウエス、布、スポンジ、セームタオル、および、セーム皮からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の非偏光部を有する偏光子の製造方法。
  3. 前記処理液を除去する工程において、前記処理液除去用部材と偏光フィルム積層体とを0.1kPa〜500kPaの圧力をかけて接触させる、請求項1または2に記載の非偏光部を有する偏光子の製造方法。
  4. 前記処理液を除去する工程が、回転体に取り付けられた前記処理液除去用部材により行われる、請求項1から3のいずれかに記載の非偏光部を有する偏光子の製造方法。
  5. 前記湿式処理として塩基性溶液によるアルカリ処理、酸性溶液による酸処理塩基性溶液を用いた湿式処理、および、洗浄工程からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1から4のいずれかに記載の非偏光部を有する偏光子の製造方法。
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