JP7110908B2 - エレクトロニックコントロールユニット - Google Patents

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本発明の実施形態は、エレクトロニックコントロールユニットに関する。
車両IDや乱数生成手段によって生成される乱数等を暗号キーとして、車両のセキュリティに関連するデータを暗号化して、不揮発性メモリに保存する技術が開発されている。
特許第4153283号公報 特開2001-301572号公報 特開2006-31617号公報
しかしながら、車両IDは車両固有の情報であるが、乱数性を有しないため、車両IDを用いたデータの暗号化はセキュリティ性が低くなる可能性がある。また、乱数生成手段によって生成される乱数を用いてデータを暗号化する技術は、車両内に専用の乱数生成手段や暗号キーを記憶する専用のメモリ領域を設けなければならず、データのセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑になる。
そこで、実施形態の課題の一つは、専用の乱数生成手段や専用のメモリ領域等を用いることなく、エレクトロニックコントロールユニット内に記憶されるデータのセキュリティ性を向上させることができるエレクトロニックコントロールユニットを提供することである。
実施形態のエレクトロニックコントロールユニットは、一例として、自ユニットから制御対象機器に対して出力する電流信号の誤差の補正に用いる電流学習値、および車両に関する車両情報を記憶する不揮発性の記憶媒体と、記憶媒体に記憶される電流学習値を用いて、電流信号を補正して制御対象機器に出力するインテリジェントパワーデバイスと、外部から車両情報が入力された場合に、記憶媒体から電流学習値を読み出し、読み出した電流学習値を暗号キーとして入力された車両情報を暗号化し、当該暗号化した車両情報を記憶媒体に保存する暗号化処理部と、を備える。よって、一例として、記憶媒体に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化することを防止できる。また、電流学習値は乱数となる特性を有するため、暗号化された車両情報のセキュリティ性を高くすることができる。
また、実施形態のエレクトロニックコントロールユニットは、一例として、外部装置に対して車両情報を出力する場合、記憶媒体から電流学習値および出力対象の車両情報を読み出し、読み出した電流学習値および車両情報を外部装置に出力する出力部をさらに備える。よって、一例として、外部装置に出力する車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化することを防止できる。
また、実施形態のエレクトロニックコントロールユニットは、一例として、記憶媒体から電流学習値および車両情報を読み出し、読み出した電流学習値を用いて、読み出した車両情報を復号化する復号化処理部と、復号化した車両情報に基づいて、電流信号を生成する制御部と、を備える。よって、一例として、記憶媒体に記憶される車両情報のセキュリティ性を保ちつつ、記憶媒体に記憶される車両情報を用いて、車両に関わる制御処理を実行することができる。
図1は、本実施形態にかかる車両に搭載される車両制御システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。 図2は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUの機能構成の一例を示すブロック図である。 図3は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両情報の暗号化処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図4は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図5は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両情報の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によって実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも1つを得ることが可能である。
まず、図1を参照して、本実施形態にかかる車両に搭載される車両制御システムのシステム構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる車両に搭載される車両制御システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
図1に示されるように、車両制御システムは、制動システム101と、加速システム102と、操舵システム103と、変速システム104と、障害物センサ105と、走行状態センサ106と、通信インターフェース(I/F)107と、車載カメラ108と、モニタ装置109と、車両制御装置110と、車載ネットワーク150と、を有している。
制動システム101は、車両の減速を制御する。制動システム101は、制動部101aと、制動制御部101bと、制動部センサ101cと、を有している。
制動部101aは、例えば、ブレーキペダルなどを含んだ、車両を減速させるための装置である。
制動制御部101bは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部101bは、車両制御装置110からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部101aを作動させることで、車両の減速度合を制御する。
制動部センサ101cは、制動部101aの状態を検出するための装置である。例えば、制動部101aがブレーキペダルを含む場合、制動部センサ101cは、制動部101aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ101cは、検出した制動部101aの状態を車載ネットワーク150に出力する。
加速システム102は、車両の加速を制御する。加速システム102は、加速部102aと、加速制御部102bと、加速部センサ102cと、を有している。
加速部102aは、例えば、アクセルペダルなどを含んだ、車両を加速させるための装置である。
加速制御部102bは、例えば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部102bは、車両制御装置110からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部102aを作動させることで、車両の加速度合を制御する。
加速部センサ102cは、加速部102aの状態を検出するための装置である。例えば、加速部102aがアクセルペダルを含む場合、加速部センサ102cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ102cは、検出した加速部102aの状態を車載ネットワーク150に出力する。
操舵システム103は、車両の進行方向を制御する。操舵システム103は、操舵部103aと、操舵制御部103bと、操舵部センサ103cと、を有している。
操舵部103aは、例えば、ステアリングホイールやハンドルなどを含んだ、車両の転舵輪を転舵させる装置である。
操舵制御部103bは、例えば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部103bは、車両制御装置110からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部403aを作動させることで、車両の進行方向を制御する。
操舵部センサ103cは、操舵部103aの状態を検出するための装置である。例えば、操舵部103aがステアリングホイールを含む場合、操舵部センサ103cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。操舵部103aがハンドルを含む場合、操舵部センサ103cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ103cは、検出した操舵部103aの状態を車載ネットワーク150に出力する。
変速システム104は、車両の変速比を制御する。変速システム104は、変速部104aと、AT用ECU104bと、変速部センサ104cと、を有している。
変速部104aは、例えば、シフトレバーなどを含んだ、車両の変速比を変更するための装置である。
AT用ECU104bは、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと言う)を備えるECUである。AT用ECU104bは、車両の変速比の制御等を実行する。具体的には、AT用ECU104bは、車両制御装置110からの指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部104aを作動させることで、車両の変速比を制御する。
変速部センサ104cは、変速部104aの状態を検出するための装置である。例えば、変速部104aがシフトレバーを含む場合、変速部センサ104cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ104cは、検出した変速部104aの状態を車載ネットワーク150に出力する。
障害物センサ105は、車両の周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ105は、例えば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ105は、検出した情報を車載ネットワーク150に出力する。
走行状態センサ106は、車両の走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ106は、例えば、車両の車輪速を検出する車輪速センサや、車両の前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両の旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ106は、検出した走行状態を車載ネットワーク150に出力する。
通信インターフェース107は、車両制御システムと外部装置との間の通信を実現するインターフェースである。例えば、通信インターフェース107は、車両制御システムと、管制装置や端末装置等の外部装置と、の間の無線通信による信号の送受信等を実現する。
車載カメラ108は、車両の周辺の状況を撮像するための装置である。例えば、車載カメラ108は、車両の前方、後方、および側方(左右両方)の路面を含む領域を撮像するように複数設けられる。車載カメラ108によって得られた画像データは、車両の周辺の状況の監視(障害物の検出も含む)に使用される。車載カメラ108は、得られた画像データを車両制御装置110に出力する。
モニタ装置109は、車両の車室内のダッシュボードなどに設けられる。モニタ装置109は、表示部109aと、音声出力部109bと、操作入力部109cと、を有している。
表示部109aは、車両制御装置110の指示に応じて画像を表示するための装置である。表示部109aは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等によって構成される。
音声出力部109bは、車両制御装置110の指示に応じて音声を出力するための装置である。音声出力部109bは、例えば、スピーカによって構成される。
操作入力部109cは、車両内の乗員の入力を受け付けるための装置である。操作入力部109cは、例えば、表示部109aの表示画面に設けられるタッチパネルや、物理的な操作スイッチなどによって構成される。操作入力部109cは、受け付けた入力を車載ネットワーク150に出力する。
車両制御装置110は、車両制御システムを統括的に制御するためのECU110aを有している。ECU110aは、プロセッサ110bおよびメモリ110cといったハードウェアを有したコンピュータとして構成されている。
プロセッサ110bは、例えば、CPU等によって構成され、車両制御装置110を統括的に制御する。プロセッサ110bは、メモリ110c等に記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションに従って各種の機能を実現する。
メモリ110cは、例えば、ROMやRAM等を含み、プロセッサ110bにより実行される各種の処理に必要なデータの保存や、当該プロセッサ110bの作業領域の提供等を実現する。
図1には、ECU110aが有するハードウェアとしてプロセッサ110bおよびメモリ110cのみが代表的に例示されているが、ECUがこれら以外のハードウェア(例えば、ストレージなど)を有していても良い。
車載ネットワーク150は、制動システム101と、加速システム102と、操舵システム103と、変速システム104と、障害物センサ105と、走行状態センサ106と、通信インターフェース107と、モニタ装置109の操作入力部109cと、車両制御装置110と、を通信可能に接続する。
ところで、AT用ECU104bは、その使用中においても書き込みが可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)202(図2参照)等の不揮発性の記憶媒体を備える。EEPROM202(図2参照)には、AT用ECU104bにより実行される各種処理に用いられる重要なデータ(以下、車両情報と言う)が書き込まれる。
ここで、車両情報は、車両の変速比等の制御に用いられる制御用パラメータ、車載ネットワーク150を介して接続される他のECU等の外部装置との通信に用いられる通信用パラメータ、変速システム104の異常の検出等の診断処理に用いられる診断用パラメータ等、車両に関する情報である。
EEPROM202(図2参照)に対して車両情報を暗号化せずに保存する場合、EEPROM202(図2参照)に対して当該車両情報を保存するフォーマットが公開されなくても、複数のAT用ECU104bを用いて、当該複数のAT用ECU104bそれぞれのEEPROM202(図2参照)に記憶される当該車両情報の規則性を解析することにより、当該車両情報を解読することができる。
そのため、EEPROM202(図2参照)に対して車両情報を暗号化せずに保存する場合、EEPROM202(図2参照)に記憶される車両情報のセキュリティ性が低くなる。また、排他的論理和(XOR)や車両ID等の簡単な暗号化方法を用いて車両情報が暗号化されている場合、あるAT用ECU104bにおける車両情報の暗号化方法を解析することによって、他のAT用ECU104bに記憶された車両情報が解読される可能性がある。
EEPROM202(図2参照)に記憶される車両情報のセキュリティ性を高める方法としては、EEPROM202(図2参照)に書き込む車両情報の暗号化に用いる暗号キーを乱数とする方法等が考えられる。しかしながら、EEPROM202(図2参照)に書き込む車両情報の暗号化に乱数を用いる方法は、車両内に、乱数を生成する専用の乱数生成手段や、当該乱数生成手段により生成される乱数を記憶する専用のメモリ領域を新たに設けなければならず、車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化する。
そこで、本実施形態では、AT用ECU104bに対して以下の機能を持たせることにより、専用の乱数生成手段や専用のメモリ領域等を用いることなく、AT用ECU104b内に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させることを実現する。本実施形態では、AT用ECU105bは、エレクトロニックコントロールユニットの一例である。
図2は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUの機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態では、AT用ECU104bは、CPU等のマイコン201と、EEPROM202と、IPD(Intelligent Power Device)203と、を有する。
EEPROM202は、上述したように、AT用ECU104bにより実行される各種処理に用いられる車両情報を記憶する。本実施形態では、車両情報は、車両の車速、外気温、車両の変速比等を含む制御用パラメータ、通信用パラメータ、診断用パラメータ等である。
また、EEPROM202は、電流学習値を記憶する。ここで、電流学習値は、AT用ECU104b(本実施形態では、後述するIPD203)から制御対象機器(例えば、変速部104a)に対して出力される電流信号の誤差の補正に用いる値である。また、電流学習値は、AT用ECU104bの製造工場において出荷検査等の最終工程を行う際に、EEPROM202に保存される。
具体的には、AT用ECU104bの製造工場の最終工程において、高精度な電流検出器を用いて、AT用ECU104bから出力される電流信号の電流値(以下、実測値と言う。例えば、700.002mA)を計測する。実測値は、製造工場で製造されるAT用ECU104b毎に異なるため(言い換えると、製造工場で製造されるAT用ECU104b毎に誤差を有するため)、AT用ECU104bから出力される電流信号を補正する必要がある。高精度のECUをAT用ECU104bとして用いる場合には、AT用ECU104bから出力される電流信号に含まれる誤差が小さいため、電流信号を補正する必要がないが、比較的に安価なECUをAT用ECU104bに用いた場合、電流信号に誤差が含まれるため、後述するIPD203によって電流信号を補正する必要がある。
そのため、AT用ECU104bの製造工場の最終工程において、実測値と、AT用ECU104bから出力される電流信号の理想値(例えば、700.000mA)と、の差分(例えば、0.002mA)を、電流学習値として算出する。そして、当該算出された電流学習値が、EEPROM202に保存される。
本実施形態では、EEPROM202には、AT用ECU104bの製造工場の最終工程において算出された電流学習値が、複数回(例えば、4回)、EEPROM202に冗長保存される。すなわち、EEPROM202は、同一の電流学習値を、複数個、記憶する。EEPROM202が記憶する電流学習値は、AT用ECU104bの製造工場の最終工程において、再度、検査が行われない限り、AT用ECU104bの寿命まで、変更されることなく、電流信号の補正に用いられるものとする。
本実施形態では、実測値と理想値との差分が電流学習値としてEEPROM202に記憶されている例について説明するが、AT用ECU104bから制御対象機器に対して出力される電流信号の誤差の補正に用いることが可能な値であれば、これに限定するものではなく、例えば、実測値が電流学習値としてEEPROM202に記憶されていても良い。
また、本実施形態では、電流学習値および車両情報を記憶する不揮発性の記憶媒体としてEEPROM202を用いる例について説明するが、これに限定するものではなく、例えば、電流学習値および車両情報は、SSD(Solid State Drive、フラッシュメモリ)やHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記憶媒体に記憶されていても良い。
IPD203は、EEPROM202に記憶される電流学習値を用いて、電流信号を補正して変速部104a等の制御対象機器に対して出力する制御素子である。本実施形態では、IPD203は、マイコン201(制御部201c)から出力される電流信号を補正して制御対象機器に出力する。
上述したように、安価なECUをAT用ECU104bに用いた場合、当該AT用ECU104bに含まれる配線の長さや抵抗値、制御対象機器とAT用ECU104bとの間に存在する配線の長さやソレノイド等の抵抗値の違いによって、AT用ECU104b毎に、当該AT用ECU104bから出力される電流信号に誤差が生じる。そのため、IPD203において、電流学習値を用いて電流信号を補正して制御対象機器に出力する。これにより、制御対象機器を高精度に制御することを実現している。
マイコン201は、AT用ECU104b全体を制御する。具体的には、マイコン201は、ROM201a、RAM201b、制御部201c、復号化処理部201d、暗号化処理部201e、および出力部201fを有する。そして、マイコン201は、ROM201a等の不揮発性の記憶装置にインストールされたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することにより、制御部201c、復号化処理部201d、暗号化処理部201e、および出力部201fを実現する。
本実施形態では、マイコン201が不揮発性の記憶装置に記憶されるプログラムを実行することによって制御部201c、復号化処理部201d、暗号化処理部201e、および出力部201fが実現される例について説明するが、制御部201c、復号化処理部201d、暗号化処理部201e、および出力部201fの一部または全てがハードウェアで実現されても良い。
ROM201aは、マイコン201において実行される各種プログラムおよび当該プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM201bは、マイコン201での演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。
本実施形態では、マイコン201、ROM201a、RAM201b等が、同一パッケージ内に集積されているが、これに限定するものではなく、マイコン201、ROM201a、RAM201b等が別々に設けられていても良い。
制御部201cは、車両の変速比等を制御する。本実施形態では、制御部201cは、EEPROM202に記憶される車両情報(本実施形態では、後述する復号化処理部201dにより復号化される車両情報)に基づいて、電流信号を生成してIPD203に出力する。これにより、制御部201cは、車両の変速比の制御等、車両に関わる制御処理を実行する。
暗号化処理部201eは、車載ネットワーク150を介して外部装置から車両情報が入力された場合に、EEPROM202から、電流学習値を読み出す。次に、暗号化処理部201eは、読み出した電流学習値を暗号キーとして、当該入力された車両情報を暗号化する。そして、暗号化処理部201eは、電流学習値によって暗号化した車両情報をEEPROM202に保存する。
電流学習値は、AT用ECU104b固有の電流信号の誤差の補正に用いる値である。そのため、電流学習値は、複数のAT用ECU104b間において同じ電流学習値となる可能性が極めて低く、乱数となる特性を有し、暗号キーに適している。そこで、本実施形態では、暗号化処理部201eは、電流学習値を暗号キーとして、入力された車両情報を暗号化してEEPROM202に保存する。
これにより、車両内に専用の乱数生成手段や専用のメモリ領域を新たに設けることなく、EEPROM202に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させることができる。その結果、EEPROM202に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化することを防止できる。また、電流学習値は乱数となる特性を有するため、暗号化された車両情報のセキュリティ性を高くすることができる。
復号化処理部201dは、EEPROM202に記憶される車両情報を用いて、車両の変速比の制御等を実行する場合、EEPROM202から電流学習値および車両情報を読み出す。次いで、復号化処理部201dは、読み出した電流学習値を用いて、読み出した車両情報を復号化する。そして、上述したように、制御部201cは、復号化した車両情報に基づいて、車両の変速比の制御等の車両に関わる制御処理を実行する。これにより、EEPROM202に記憶される車両情報のセキュリティ性を保ちつつ、EEPROM202に記憶される車両情報を用いて、車両に関わる制御処理を実行することができる。
出力部201fは、車載ネットワーク150等を介して外部装置に対して、EEPROM202に記憶される車両情報を出力する場合に、EEPROM202から電流学習値および出力対象の車両情報を読み出す。そして、出力部201fは、読み出した電流学習値および出力対象の車両情報を外部装置に対して出力する。これにより、車両内に専用の乱数生成手段を新たに設けることなく、外部装置に出力する車両情報のセキュリティ性を向上させることができる。その結果、外部装置に出力する車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化することを防止できる。
次に、図3を用いて、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECU104bにおける車両情報の暗号化処理の流れの一例について説明する。図3は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両情報の暗号化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、暗号化処理部201eは、車載ネットワーク150を介して外部装置から車両情報が入力されたか否かを判断する(ステップS301)。外部装置から車両情報が入力された場合(ステップS301:Yes)、暗号化処理部201eは、EEPROM202から、電流学習値を読み出す(ステップS302)。
次いで、暗号化処理部201eは、読み出した電流学習値を暗号キーとして用いて、入力された車両情報を暗号化する(ステップS303)。そして、暗号化処理部201eは、暗号化した車両情報をEEPROM202に保存する(ステップS304)。
次に、図4を用いて、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECU104bにおける車両の制御処理の流れの一例について説明する。図4は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、復号化処理部201dは、まず、EEPROM202から、電流学習値および車両情報を読み出す(ステップS401)。そして、復号化処理部201dは、読み出した電流学習値を用いて、読み出した車両情報を復号化する(ステップS402)。
制御部201cは、復号化処理部201dにより復号化された車両情報に基づいて、電流信号を生成してIPD203に出力する(ステップS403)。IPD203は、EEPROM202から電流学習値を読み出し、当該読み出した電流学習値を用いて、制御部201cから入力される電流信号を補正して制御対象機器に出力する(ステップS404)。
次に、図5を用いて、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECU104bにおける車両情報を出力処理の流れの一例について説明する。図5は、本実施形態にかかる車両が有するAT用ECUにおける車両情報の出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態では、出力部201fは、EEPROM202から、電流学習値および出力対象の車両情報を読み出す(ステップS501)。本実施形態では、出力対象の車両情報は、制御部201cまたは車載ネットワーク150を介して接続される外部装置から指示されるものとする。そして、出力部201fは、読み出した電流学習値および出力対象の車両情報を、車載ネットワーク150を介して外部装置に出力する(ステップS502)。
このように、本実施形態にかかる車両によれば、車両内に専用の乱数生成手段や専用のメモリ領域を新たに設けることなく、EEPROM202に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させることができる。その結果、EEPROM202に記憶される車両情報のセキュリティ性を向上させる暗号化の仕組みが複雑化することを防止できる。また、電流学習値は乱数となる特性を有するため、暗号化された車両情報のセキュリティ性を高くすることができる。
本実施形態では、AT用ECU104bにおいて電流学習値を用いた車両情報の暗号化処理、復号化処理、および出力処理を実行する例について説明したが、電流学習値および車両情報を記憶するEEPROM202、および電流学習値を用いて制御対象機器に出力する電流信号を補正するIPD203を有するECUであれば、同様にして、AT用ECU104bにおいて電流学習値を用いた車両情報の暗号化処理、復号化処理、および出力処理を実行することができる。
104 変速システム
104a 変速部
104b AT用ECU
104c 変速部センサ
201 マイコン
201a ROM
201b RAM
201c 制御部
201d 復号化処理部
201e 暗号化処理部
201f 出力部
202 EEPROM
203 IPD

Claims (3)

  1. 自ユニットから制御対象機器に対して出力する電流信号の誤差の補正に用いる電流学習値、および車両に関する車両情報を記憶する不揮発性の記憶媒体と、
    前記記憶媒体に記憶される前記電流学習値を用いて、前記電流信号を補正して前記制御対象機器に出力するインテリジェントパワーデバイスと、
    外部から前記車両情報が入力された場合に、前記記憶媒体から前記電流学習値を読み出し、読み出した前記電流学習値を暗号キーとして前記入力された車両情報を暗号化し、当該暗号化した車両情報を前記記憶媒体に保存する暗号化処理部と、
    を備えるエレクトロニックコントロールユニット。
  2. 外部装置に対して前記車両情報を出力する場合、前記記憶媒体から前記電流学習値および出力対象の前記車両情報を読み出し、読み出した前記電流学習値および前記車両情報を前記外部装置に出力する出力部をさらに備える請求項1に記載のエレクトロニックコントロールユニット。
  3. 前記記憶媒体から前記電流学習値および前記車両情報を読み出し、読み出した前記電流学習値を用いて、読み出した前記車両情報を復号化する復号化処理部と、
    復号化した前記車両情報に基づいて、前記電流信号を生成する制御部と、
    をさらに備える請求項1または2に記載のエレクトロニックコントロールユニット。
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