次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示のケース保持装置20を含むケース移送装置1を示す斜視図である。同図に示すように、ケース移送装置1は、ロボットハンドとしてのケース保持装置20に加えて、先端部(手先部)に当該ケース保持装置20が取り付けられるロボットアーム2や制御装置3等を含む。ロボットアーム2は、多関節アーム機構や当該多関節アーム機構を駆動する複数のアクチュエータ(図示省略)等を含む。制御装置3は、CPU,ROM,RAM等(何れも図示省略)を含み、ロボットアーム2の複数のアクチュエータと、図示しない電気ケーブルを介して接続されるケース保持装置20とを制御する。
ケース保持装置20は、図2および図3に示すケースCを保持・解放可能なものである。また、ロボットアーム2は、図1におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にケース保持装置20を移動させると共に、当該ケース保持装置20をZ軸周りに回転させることができる。これにより、ケースCを保持したケース保持装置20をロボットアーム2により移動させることで、パレットP(図1参照)上に密に段積みされた複数のケースCを1個ずつ取り出したり、複数のケースCを1個ずつパレットP上に段積みしたりすることが可能となる。また、ケース移送装置1によれば、図示しないコンベヤにより搬送される複数のケースCを1個ずつ取り出したり、複数のケースCを1個ずつコンベヤ上に移載したりすることもできる。
ケース保持装置20の保持対象となるケースCは、樹脂等により有底角筒状、すなわち上部が開放された直方体状(立方体状)に形成されており、図2および図3に示すように、低壁部B、間隔をおいて対向する一対の第1側壁部W1、および間隔をおいて対向する一対の第2側壁部W2を含む。第1側壁部W1の第1側面S1と、第2側壁部W2の第2側面S2とは、曲面状のコーナー面を介して互いに隣り合う。また、ケースCは、各第1側面S1および各第2側面S2の上縁部(開口端側の周縁部)から外側に突出して当該ケースCの上端面を形成する鍔状部(フランジ部)Fを含む。鍔状部Fは、ケースCの上縁部の全周に沿って形成されており、当該上縁部から第1および第2側面S1,S2の各々と直交するように延在する。
ケースCの種類(サイズ)は、収容される物品のサイズや特性等に応じて段積み可能となる範囲内で幅や高さを異ならせることにより複数用意されている。また、ケースCには、当該ケースC内に収容された物品を保護するための図示しない蓋を装着可能である。なお、ケースCの鍔状部Fは、必ずしも当該ケースCの上縁部の全周に沿って形成される必要はなく、例えばコーナー部から省略されてもよく、当該上縁部よりも下側の部分から突出するものであってもよい。
図4は、ケース保持装置20を示す斜視図であり、図5は、ケース保持装置20を示す平面図であり、図6は、ケース保持装置20を示す側面図である。これらの図面に示すように、ケース保持装置20は、ケースCを保持するための第1押さえ部材21、第2押さえ部材22および第3押さえ部材23を含む。また、ケース保持装置20は、それぞれ第2および第3押さえ部材22,23の対応する一方を予め定められた方向に沿って進退移動させる2つのスライド機構(第3移動機構)24、2つの引き込み機構(第1移動機構)25および2つの昇降機構(第2移動機構)26を含む。
第1押さえ部材21は、略長方形状(本実施形態では、略正方形状)の平面形状を有する平板状の支持プレート(プレート部材)210と、略長方形状(本実施形態では、略正方形状)の平面形状を有する平板状の当接プレート(当接部材)215とを含む。本実施形態において、支持プレート210と当接プレート215とは、互いに同一の平面形状を有し、当接プレート215は、複数のコイルスプリング(弾性体)SPを介して支持プレート210の下面に連結されている。これにより、当接プレート215は、下方から押圧された際に支持プレート210側に移動し、複数のコイルスプリングSPにより移動が規制された時点で支持プレート210に対して停止する。また、支持プレート210の上面の中央部には、ロボットアーム2の先端部に連結される連結部27が固定されている。
更に、支持プレート210には、何れか1つのコーナー部に近接するように開口210oが形成されており、当接プレート215には、支持プレート210の開口210oと重なり合うように開口215o(図7参照)が形成されている。また、図4および図5に示すように、支持プレート210には、開口210o,215oの上方に位置するように図示しない支持部材を介して3Dビジョンカメラ(3Dセンサ)28が固定されている。3Dビジョンカメラ28は、開口210o,215oを介して下方に存在する物体(ケースC)を撮像し、取得した情報(3次元点群データ)を上述の制御装置3に送信する。制御装置3は、3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいて、開口210o,215oを介して下方に存在する物体の位置や形状等を取得する。
また、第1押さえ部材21は、連結部27に関して3Dビジョンカメラ28に近接したコーナー部とは反対側のコーナー部に配置された検出ユニット29を含む。検出ユニット29は、図4および図5に示すように、支持プレート210のコーナー部により当該支持プレート210の表面と直交する方向すなわち上下方向に移動自在に支持される接触子291や、接触子291の変位を検出する近接センサ292等を含む。検出ユニット29の接触子291は、当接プレート215側の端部に固定された当接板293を有し、当接プレート215のコーナー部には、当接板293との干渉を抑制するための切欠215cが形成されている。
当接板293の下面は、図6に示すように、接触子291の初期状態(停止状態)で当接プレート215の下面と平行に延在する。当接プレート215および当接板293が下方から押圧された際、接触子291(当接板293)は当接プレート215と共に支持プレート210側に移動し、複数のコイルスプリングSPにより当接プレート215の移動が規制された時点で接触子291の移動(上昇)も停止する。そして、検出ユニット29の近接センサ292は、接触子291(当接板293)の移動が停止した時点で、その旨を示す信号を制御装置3に送信する。
第2押さえ部材22は、図4に示すように略L字状に形成されており、平坦な第1当接面22aと、当該第1当接面22aに直交する平坦な第2当接面22bとを含む。第2押さえ部材23も、図4に示すように略L字状に形成されており、平坦な第1当接面23aと、当該第1当接面23aに直交する平坦な第2当接面23bとを含む。本実施形態において、第2および第3押さえ部材22,23は、互いに同一の形状(寸法)を有するが、第2および第3押さえ部材22,23の形状をケース保持装置20の保持対象となるケースCの形状等に応じて互いに異ならせてもよい。
2つのスライド機構24は、図4に示すように、ガイドレール241と、当該ガイドレール241上に摺動自在に配置されるスライダ242と、当該スライダ242をガイドレール241に沿って進退移動させるアクチュエータ243とをそれぞれ含む。2つのスライド機構24の一方のガイドレール241は、図4および図5に示すように、検出ユニット29に近接したコーナー部で交差する2つの辺部の一方に沿って延在するように支持プレート210上に設置される。また、2つのスライド機構24の他方のガイドレール241は、検出ユニット29に近接したコーナー部で交差する2つの辺部の他方に沿って延在するように支持プレート210上に設置される。各スライド機構24のアクチュエータ243は、エアシリンダあるいは電動モータを含む電動アクチュエータ等であり、上述の制御装置3により制御される。
2つの引き込み機構25は、本実施形態ではエアシリンダであり、図示しない圧縮空気源から圧縮空気が供給されるハウジング251と、当該圧縮空気によりハウジング251に対して軸方向に進退移動させられるロッド252とを含む。各引き込み機構25のハウジング251は、ロッド252が支持プレート210の表面と平行に延在すると共に対応するスライド機構24のガイドレール241と直交するように当該スライド機構24のスライダ242に固定される。また、各引き込み機構25の初期状態(停止状態)において、ロッド252の先端部は、支持プレート210および当接プレート215の外周の外側に突出する。各引き込み機構25も、上述の制御装置3により制御される。なお、引き込み機構25は、電動モータや送り機構等を含む電動アクチュエータであってもよい。
2つの昇降機構26は、本実施形態ではエアシリンダであり、図示しない圧縮空気源から圧縮空気が供給されるハウジング261と、当該圧縮空気によりハウジング261に対して軸方向に進退移動させられるロッド262とを含む。各昇降機構26のハウジング261は、ロッド262が支持プレート210の表面と直交する方向(上下方向)に延在して当接プレート215(の下面)よりも支持プレート210とは反対側(下側)に突出するように対応する引き込み機構25のロッド252の先端部に固定される。これにより、図4から図6に示すように、昇降機構26は、支持プレート210および当接プレート215の外周よりも外側に位置することになる。また、各昇降機構26も、上述の制御装置3により制御される。なお、昇降機構26は、電動モータや送り機構等を含む電動アクチュエータであってもよい。
各昇降機構26のロッド262の先端には、第1当接面22a,23aが支持プレート210および当接プレート215の中心側を向くと共に第2当接面22b,23bが図6における上側に位置するように第2および第3押さえ部材22,23の対応する一方が固定される。また、図6からわかるように、対応する昇降機構26により支持された第2および第3押さえ部材22,23の第1当接面22a,23aは、ロッド262の軸方向すなわち上下方向に延在し、第2当接面22b,23bは、支持プレート210と平行に延在する。更に、各引き込み機構25および各昇降機構26が初期状態(停止状態)にある際、第2および第3押さえ部材22,23の第1当接面22a,23aは、支持プレート210および当接プレート215の外周から比較的短い距離(図6参照)だけ離間し、第2当接面22b,23bは、当接プレート215の下面から所定距離(ケースCの鍔状部Fの厚みよりも充分に長い距離)だけ離間する。
上述のように構成されるケース保持装置20では、一方のスライド機構24を作動させることで、引き込み機構25、昇降機構26および第2押さえ部材22を支持プレート210等の対応する一辺に沿って一体に移動させることができる。また、他方のスライド機構24を作動させることで、引き込み機構25、昇降機構26および第3押さえ部材23を支持プレート210等の対応する一辺に沿って一体に移動させることができる。更に、一方の引き込み機構25を作動させることで、昇降機構26および第2押さえ部材22を支持プレート210および当接プレート215の中心側に一体に引き込むと共に、支持プレート210および当接プレート215の外周の外側まで一体に移動させることができる。また、他方の引き込み機構25を作動させることで、昇降機構26および第3押さえ部材23を支持プレート210および当接プレート215の中心側に一体に引き込むと共に、支持プレート210および当接プレート215の外周の外側まで一体に移動させることができる。更に、各昇降機構26を作動させることで、第2および第3押さえ部材22,23の各々を支持プレート210および当接プレート215に対して上下方向に接近離間させることができる。
次に、図7から図11等を参照しながら、上述のケース保持装置20を含むケース移送装置1の動作について説明する。ここでは、パレットP上に段積みされた複数のケースCをケース移送装置1により1個ずつ取り出していく場合を例にとって当該ケース移送装置1の動作について説明する。
パレットP上に段積みされたケースCの取り出しに際して、ケース移送装置1の制御装置3は、支持プレート210に設置された3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいて、例えば、ロボットアーム2から最も遠い列の最上段の一端側に位置するケースCの上方までケース保持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する。すなわち、制御装置3は、図1からわかるように、ケースCの上端面を形成する鍔状部Fと、互い隣り合う一対の第1側面S1および第2側面S2とが他のケースCにより遮られていないケースCを最初の取り出し対象として選択し、図7に示すように、当該ケースCの上方までケース保持装置20を移動させる。
制御装置3は、図7に示すように、取り出し対象となるケースCの第1および第2側面S1,S2が支持プレート210や当接プレート215の対応する一辺と平行に延在するように、必要に応じて3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいてケース保持装置20をZ軸周りに回転させる。また、制御装置3は、鍔状部Fが支持プレート210および当接プレート215の外周の外側に突出しないように3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいてロボットアーム2を制御する。更に、制御装置3は、第2押さえ部材22の第1当接面22aが第1側面S1のケースCのサイズに応じて定められた部分と対向し、かつ第3押さえ部材23の第1当接面23aが第2側面S2のケースCのサイズに応じて定められた部分と対向するように、必要に応じて2つのスライド機構24の少なくとも何れか一方を制御する。
続いて、制御装置3は、ケース保持装置20を対象となるケースCに対して下降させるように3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいてロボットアーム2を制御する。ケース保持装置20がケースCに対して下降していくと、図8および図9に示すように、当接プレート215の下面がケースCの鍔状部F(あるいは蓋)の少なくとも一部(図8および図9の例では、鍔状部Fのほぼ全体)に当接すると共に、検出ユニット29の当接板293の下面が鍔状部F(あるいは蓋)に当接する。また、ケース保持装置20の下降に応じて、当接プレート215および接触子291は、ケースCにより下方から押圧されて支持プレート210側に移動する。そして、複数のコイルスプリングSPにより当接プレート215の移動が規制されて接触子291の移動が停止すると、検出ユニット29の近接センサ292からの信号が制御装置3に送信され、制御装置3は、近接センサ292からの信号を受信した時点でロボットアーム2の動作を停止させる。これにより、ケース保持装置20の第1押さえ部材21によりケースCの上端面を形成する鍔状部Fの少なくとも一部が上方から押さえ付けられる。
ロボットアーム2の動作を停止させた後、制御装置3は、第2押さえ部材22がケースCの第1側面S1を押さえ付けると共に、第3押さえ部材23がケースCの第2側面S2を押さえ付けるように、2つの引き込み機構25を制御する。より詳細には、制御装置3は、ロッド252をケースCに向けて移動させるように2つの引き込み機構25を制御すると共に、第1当接面22a,23aが図10に示すように第1または第2側面S1,S2に当接(密着)したとみなされる時点(例えば、ロッド252の移動開始から所定時間経過した時点)でロッド252の位置を保持するように2つの引き込み機構25を制御する。
更に、制御装置3は、第2および第3押さえ部材22,23の各々がケースCの鍔状部Fの下面を押さえ付けるように2つの昇降機構26を制御する。より詳細には、制御装置3は、ロッド262を上方に移動させるように2つの昇降機構26を制御すると共に、第2当接面22b,23bの各々が図11に示すように鍔状部Fの下面に当接(密着)したとみなされる時点(例えば、ロッド262の移動開始から所定時間経過した時点)でロッド262の位置を保持するように2つの昇降機構26を制御する。
これにより、ケースCは、鍔状部Fの上面(ケースCの上端面)の少なくとも一部、互いに隣り合う第1および第2側面S1,S2、並びに鍔状部Fの2箇所で第1、第2および第3押さえ部材21,22,23によってしっかりと保持されることになる。ケース保持装置20によりケースCが保持された後、制御装置3は、ケースCを例えば台車等の移送先に載置するようにロボットアーム2を制御する。ケースCが移送先に載置されると、制御装置3は、第2および第3押さえ部材22,23がケースCの鍔状部Fと第1および第2側面S1,S2とから順次離間するように各昇降機構26および各引き込み機構25を制御する。これにより、ケースCがケース保持装置20から解放され、制御装置3は、次の取り出し対象となるケースC(先に取り出されたケースCの隣または下に配置されているケースC)の上方までケース保持装置20を移動させるようにロボットアーム2を制御する。
上述のように、ケース保持装置20によれば、ケースCの上部が開放されていたり、ケースCに比較的外れやすい蓋が装着されていたりしても、当該ケースC上に他のケースC等が存在しておらず、かつ互いに隣り合う一対の第1および第2側面S1,S2が露出されていれば、隣り合うケースC同士の隙間に拘わらず当該ケースCをしっかりと保持することが可能となる。また、鍔状部Fの上面の少なくとも一部、互いに隣り合う第1および第2側面S1,S2、並びに鍔状部Fの2箇所で第1、第2および第3押さえ部材21,22,23によりケースCを保持することで、ケースCの保持に際して当該ケースCの高さ情報(底部Bの位置情報)を取得する必要がなくなり、単一のケース保持装置20により高さが異なる複数種類のケースCを容易に保持することができる。
更に、ケース保持装置20は、それぞれ第2または第3押さえ部材22,23を支持プレート210等の対応する一辺、すなわち対応する第1または第2側面S1,S2に沿って移動させる2つのスライド機構24を含む。これにより、単一のケース保持装置20により幅や長さ(平面視した際の寸法)が異なる複数種類のケースCを保持することが可能となる。
また、ケース保持装置20は、第1押さえ部材21がケースCの鍔状部F(上端面)の少なくとも一部を押さえ付けたことを検出する検出ユニット29を含み、上記制御装置3は、検出ユニット29からの信号に基づいてロボットアーム2の移動を停止させる。これにより、ケース保持装置20にケースCを保持させる際に、ケースCを上方から過剰に押圧してしまうのを抑制することが可能となる。
更に、ケース保持装置20の第1押さえ部材21は、ロボットアーム2の先端部に連結される連結部27が固定された支持プレート210と、ケースCの鍔状部Fの少なくとも一部を押圧可能となるように複数のコイルスプリングSPを介して支持プレート210に連結される当接プレート215とを含む。これにより、ケースCが傾いているような場合であっても、第1押さえ部材21により当該ケースCの鍔状部Fの上面をしっかりと押さえ付けることが可能となる。
また、ケース保持装置20は、支持プレート210(第1押さえ部材21)により支持されると共に、当該支持プレート210や当接プレート215に形成された開口210o,215oを介してケースCを撮像する3Dビジョンカメラ28を含む。これにより、3Dビジョンカメラ28からの情報に基づいてロボットアーム2により第1押さえ部材21(ケース保持装置20)をケースCに対して適正に移動させることが可能となる。なお、ケースCの数や積み方によっては、図1において二点鎖線で示すように、更なる3Dビジョンカメラ30がロボットアーム2等の上方に位置するように当該ロボットアーム2の設置箇所に配置されてもよい。また、3Dビジョンカメラ30がロボットアーム2の設置箇所に配置される場合、ケース保持装置20から3Dビジョンカメラ28が省略されてもよい。
更に、ケース保持装置20において、2つのスライド機構24は、第1押さえ部材21の支持プレート210上に配置されると共に、それぞれ対応する引き込み機構25をケースCの第1または第2側面S1,S2に沿って移動させる。また、2つの引き込み機構25は、それぞれ対応する昇降機構26をケースCの鍔状部Fに対して接近離間させ、第2および第3押さえ部材22,23は、対応する昇降機構26により支持される。これにより、ケース保持装置20をコンパクト化することが可能となる。
ただし、ケース保持装置20において、2つのスライド機構24の代わりに、2つの引き込み機構25すなわち第2および第3押さえ部材22,23をケースCの第1または第2側面S1,S2に沿って連動して移動させる単一のスライド機構(第3移動機構)が採用されてもよい。また、2つの引き込み機構25の代わりに、2つの昇降機構26すなわち第2および第3押さえ部材22,23をケースCの第1または第2側面S1,S2に対して連動して接近離間させる単一の引き込み機構(第1移動機構)が採用されてもよい。更に、ケース保持装置20において、2つの昇降機構26の代わりに、第2および第3押さえ部材22,23をケースCの鍔状部Fに対して連動して接近離間させる単一の昇降機構(第2移動機構)が採用されてもよい。
また、引き込み機構25および昇降機構26には、第2、第3押さえ部材22,23(ロッド252,262)の移動量を検出するセンサが設けられてもよい。更に、引き込み機構25には、第2、第3押さえ部材22,23の第1当接面22a,23aがケースCの第1または第2側面S1,S2に当接したことを検知するセンサが設けられてもよい。また、昇降機構26には、第2、第3押さえ部材22,23の第2当接面22b,23bがケースCの鍔状部Fの下面に当接したことを検知するセンサが設けられてもよい。更に、第1押さえ部材21には、例えば各ケースCやパレットP等に付与された2次元コードを読み取り可能なコードリーダーが設けられてもよい。
図12および図13は、上述のケース保持装置20により保持され得る他のケースC′を示す斜視図である。これらの図面に示すケースC′は、鍔状部Fの第2側面S2に沿って延びる部分の外周端から当該第2側面S2に沿って下方(底部B側)に延出された延出部Eを含むものである。かかるケースC′をケース保持装置20に保持させるためには、図14に示すように、第3押さえ部材23の第2側面S2に対する接近離間方向における第2当接面23bの長さを延出部Eの内面から第2側面S2までの距離よりも短くすればよい。これにより、第3押さえ部材23により、ケースC′の第2側面S2と延出部Eとの間で鍔状部Fの下面を押さえ付けることが可能となる。また、第2押さえ部材22の第1側面S1に対する接近離間方向における第2当接面22bの長さを延出部Eの内面から第2側面S2までの距離よりも短くしてもよく、これにより、第2および第2押さえ部材22,23の形状を同一にすることができる。
図15は、本開示の他のケース保持装置20Bを示す斜視図である。なお、ケース保持装置20Bの構成要素のうち、上述のケース保持装置20と同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図15に示すケース保持装置20Bは、比較的小型のケースC′を保持するように構成されたものであり、当該ケース保持装置20Bからは、スライド機構24や3Dビジョンカメラ28が省略されている。また、ケース保持装置20Bの第1押さえ部材21Bは、ロボットアーム2の先端部に連結される連結部27が固定された平板状の第1支持プレート(第1プレート部材)211と、当該第1支持プレート211の下方すなわちケースC′側に位置するように当該第1支持プレート211に間隔をおいて連結される第2支持プレート(第2プレート部材)212とを含む。
ケース保持装置20Bの2つの引き込み機構25は、第2支持プレート212上に配置(固定)されると共に、対応する昇降機構26をケースC′の第1または第2側面S1,S2に対して接近離間させる。かかるケース保持装置20Bでは、ロボットアーム2と各引き込み機構25との干渉を抑制すると共に、当該ケース保持装置20Bを平面視した際の寸法をより小さくすることが可能となる。従って、ケース保持装置20Bは、特に、幅や長さの小さいケースC′を保持するのに有用である。また、ケース保持装置20Bに検出ユニット29を設けることで、ケース保持装置20BにケースC′を保持させる際に、第1押さえ部材21BによりケースC′を上方から過剰に押圧してしまうのを抑制することが可能となる。更に、第2支持プレート212に複数のコイルスプリングSPを介して当接プレート215を連結することで、ケースC′が傾いているような場合であっても、第1押さえ部材21BによりケースC′の鍔状部F(上端面)をしっかりと押さえ付けることができる。なお、ケース保持装置20Bにより上述のケースCを保持し得ることはいうまでもない。
以上説明したように、本開示のケース保持装置は、ロボットアーム(2)に取り付けられ、互いに隣り合う2つの側面(S1,S2)および前記2つの側面(S1,S2)から外側に突出する鍔状部(F)を含むケース(C,C′)を保持するケース保持装置(20,20B)であって、前記ケース(C,C′)の上端面の少なくとも一部を押さえ付けるように形成された第1押さえ部材(21,21B)と、前記2つの側面(S1,S2)の一方および前記鍔状部(F)の下面を押さえ付けるように形成された第2押さえ部材(22)と、前記2つの側面(S1,S2)の他方および前記鍔状部(F)の下面を押さえ付けるように形成された第3押さえ部材(23)と、前記第2押さえ部材(22)を前記2つの側面(S1,S2)の前記一方に対して接近離間させると共に、前記第3押さえ部材(23)を前記2つの側面(S1,S2)の前記他方に対して接近離間させる第1移動機構(25)と、前記第2押さえ部材(22)を前記鍔状部(F)に対して接近離間させると共に、前記第3押さえ部材(23)を前記鍔状部(F)に対して接近離間させる第2移動機構(26)とを含むものである。
本開示のケース保持装置は、互いに隣り合う2つの側面および前記2つの側面から外側に突出する鍔状部を含むケースを保持するためにロボットアームに取り付けられ、例えば、パレットあるいはコンベヤ上の複数のケースを1個ずつ取り出したり、ケースを1個ずつパレットあるいはコンベヤ上に移載したりするのに用いられる。本開示のケース保持装置にケースを保持させる際には、ロボットアームによりケース保持装置を対象となるケースの上方まで移動させると共に、第1押さえ部材が当該ケースの上端面の少なくとも一部を(直接または蓋を介して)押さえ付けるようにロボットアームによりケース保持装置を下降させる。次いで、第2および第3押さえ部材の各々がケースの互いに隣り合う2つの側面の対応する一方を押さえ付けるように第1移動機構を作動させる。更に、第2および第3押さえ部材の各々がケースの2つの側面から外側に突出する鍔状部の下面を押さえ付けるように第2移動機構を作動させる。これにより、上端面の少なくとも一部、互いに隣り合う2つの側面、および鍔状部の2箇所で第1、第2および第3押さえ部材によりケースをしっかりと保持することが可能となる。従って、ケースの上部が開放されていたり、ケースに比較的外れやすい蓋が装着されていたりしても、当該ケース上に他のケース等が存在しておらず、かつ互いに隣り合う2つの側面が露出されていれば、隣り合うケース同士の隙間に拘わらず当該ケースをケース保持装置によりしっかりと保持することができる。更に、上端面の少なくとも一部、互いに隣り合う2つの側面、および鍔状部の2箇所で第1、第2および第3押さえ部材によりケースを保持することで、ケース保持装置にケースを保持させる際に当該ケースの高さ情報(底部の位置情報)を取得する必要がなくなり、単一のケース保持装置により高さが異なる複数種類のケースを容易に保持することが可能となる。そして、第1および第2移動機構により第2および第3押さえ部材をケースの鍔状部および互いに隣り合う2つの側面から順次離間させることで、ロボットアームによりケース保持装置をケースから離間させることができる。
また、前記ケース保持装置(20)は、前記第2押さえ部材(22)を前記2つの側面(S1,S2)の前記一方に沿って移動させると共に、前記第3押さえ部材(23)を前記2つの側面(S1,S2)の前記他方に沿って移動させる第3移動機構(24)を更に含むものであってもよい。これにより、単一のケース保持装置により幅や長さ(平面視した際の寸法)が異なる複数種類のケースを保持することが可能となる。
更に、前記第1、第2および第3移動機構(25,26,24)は、前記第2および第3押さえ部材(22,23)ごとに1つずつ設けられてもよく、前記第3移動機構(24)の各々は、前記第1押さえ部材(21)上に配置されると共に、対応する前記第1移動機構(25)を前記2つの側面(S1,S2)の前記一方または前記他方に沿って移動させるものであってもよく、前記第1移動機構(25)の各々は、対応する前記第2移動機構(26)を前記2つの側面(S1,S2)の前記一方または前記他方に対して接近離間させるものであってもよく、前記第2および第3押さえ部材(22,23)は、対応する前記第2移動機構(26)により支持されてもよい。これにより、ケース保持装置をコンパクト化することが可能となる。
また、前記ケース保持装置(20)は、前記第1押さえ部材(21)が前記ケース(C,C′)の前記上端面の少なくとも一部を押さえ付けたことを検出する検出装置(29)と、前記検出装置(29)からの信号に基づいて前記ロボットアーム(2)の移動を停止させる制御装置(3)とを更に含むものであってもよい。これにより、ケース保持装置にケースを保持させる際に、第1押さえ部材によりケースを上方から過剰に押圧してしまうのを抑制することが可能となる。
更に、前記第1押さえ部材(21)は、前記ロボットアーム(2)に取り付けられるプレート部材(210)と、前記ケース(C,C′)の前記上端面の少なくとも一部を押圧可能となるように弾性体(SP)を介して前記プレート部材(210)に連結される当接部材(215)とを含むものであってもよい。これにより、ケースが傾いているような場合であっても、第1押さえ部材により当該ケースの上端面をしっかりと押さえ付けることが可能となる。
また、前記ケース保持装置(20)は、前記第1押さえ部材(21)により支持されると共に前記第1押さえ部材(21)に形成された開口(210o,215o)を介して前記ケース(C,C′)を撮像する3Dセンサ(28)を更に含むものであってもよい。これにより、3Dセンサからの情報に基づいてロボットアームにより第1押さえ部材(ケース保持装置)をケースに対して適正に移動させることが可能となる。ただし、3Dセンサは、ロボットアームの設置箇所に当該ロボットアーム等の上方に位置するように配置されてもよく、ケース保持装置およびロボットアームの設置箇所の双方に設けられてもよい。
更に、前記第1押さえ部材(21B)は、前記ロボットアーム(2)に取り付けられる第1プレート部材(211)と、前記第1プレート部材(211)よりも前記ケース(C,C′)側に位置するように前記第1プレート部材(211)に間隔をおいて連結される第2プレート部材(212)とを含むものであってもよく、前記第1および第2移動機構(25,26)は、前記第2および第3押さえ部材(22,23)ごとに1つずつ設けられてもよく、前記第1移動機構(25)の各々は、前記第2プレート部材(212)上に配置されると共に、対応する前記第2移動機構(26)を前記2つの側面(S1,S2)の前記一方または前記他方に対して接近離間させるものであってもよい。これにより、ロボットアームと第1移動機構との干渉を抑制すると共に、ケース保持装置を平面視した際の寸法をより小さくすることが可能となる。かかる構成は、特に、幅や長さの小さいケースを保持するのに有用である。
また、前記ケース保持装置(20B)は、前記第1押さえ部材(21B)が前記ケース(C,C′)の前記上端面の少なくとも一部を押さえ付けたことを検出する検出装置(29)と、前記検出装置(29)からの信号に基づいて前記ロボットアームの移動を停止させる制御装置(3)とを更に含むものであってもよい。これにより、ケース保持装置にケースを保持させる際に、第1押さえ部材によりケースを上方から過剰に押圧してしまうのを抑制することが可能となる。
更に、前記第1押さえ部材(21B)は、前記ケース(C,C′)の前記上端面の少なくとも一部を押圧可能となるように弾性体(SP)を介して前記第2プレート部材(212)に連結される当接部材(215)を含むものであってもよい。これにより、ケースが傾いているような場合であっても、第1押さえ部材によりケースの上端面をしっかりと押さえ付けることが可能となる。
また、前記ケース(C′)は、前記鍔状部(F)の外周端の少なくとも一部から下方に延出された延出部(E)を更に含むものであってもよく、前記第2および第3押さえ部材(22,23)の少なくとも何れか一方は、前記2つの側面(S1,S2)の少なくとも何れか一方と前記延出部(E)との間で前記鍔状部(F)の前記下面を押さえ付けるように形成されてもよい。
なお、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。