以下、本発明に係る水処理装置及び水処理装置連結ユニットの第1及び第2実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の水処理装置連結ユニットU1を前側から視たときの斜視図である。図2は、第1実施形態の水処理装置連結ユニットU1を後側から視たときの斜視図である。図3は、水処理装置連結ユニットU1の正面図である。図4は、水処理装置2を前側から視たときの斜視図である。図5は、水処理装置2を後側から視たときの斜視図である。図6(A)は、保持パネル21の正面図である。図6(B)は、保持パネル21の背面図である。
なお、添付の図面(一部を除く)には、X、Y、Zの互いに直交する座標系を記載した。この座標系では、図1に示すように配置された水処理装置連結ユニットU1及び水処理装置2を正面から視たときの左右方向をX方向とする。X方向において、紙面の左側をX1方向とし、右側をX2方向とする。また、水処理装置連結ユニットU1及び水処理装置2を正面から視たときの上下方向(高さ方向)をY方向とする。Y方向において、紙面の上側をY1方向とし、下側をY2方向とする。更に、水処理装置連結ユニットU1及び水処理装置2を正面から視たときの前後方向をZ方向とする。Z方向において、紙面の前側をZ1方向とし、後側をZ2方向とする。なお、本明細書等において、方向の記載は、上記例に限らない。例えば、長尺の部材がZ方向に平行に配置される場合、その前後方向(Z方向)を「長手方向(Z方向)」と記載することもある。また、「~方向」を、適宜に「~側」、「~方」ともいう。
<水処理装置連結ユニットU1の構成>
図1及び図2に示すように、水処理装置連結ユニットU1(以下、「ユニットU1」ともいう)は、水処理装置2A及び2Bを備える。水処理装置2A及び2Bは、同一構成の純水製造装置である(以下、総称して「水処理装置2」ともいう)。水処理装置2A及び2Bは、基台B1及びB2の上に近接した状態で載置される。基台B1は、ユニットU1の前側(Z1側)に設けられた部材である。基台B2は、ユニットU1の後側(Z2側)に設けられた部材である。基台B1及びB2は、例えば、建屋内の床面に固定される。基台B1及びB2は、水処理装置2A及び2Bの後述する下部支持台72(キャビネット7)とボルト及びナット(符号略)により結合される。
<水処理装置2の構成>
水処理装置2は、ROユニット3、加圧ポンプ4、インバータ5、制御ボックス6、キャビネット7及び後述する各種の機器、ライン等を備える。
ROユニット3は、RO膜モジュール10A~10F(以下、総称して「RO膜モジュール10」ともいう)を保持する構造体である。ROユニット3は、6本のRO膜モジュール10と、保持用ラック(保持部材)20と、を備える。
RO膜モジュール10は、給水W1を、溶存塩類が除去された透過水(処理水)W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W4と、に分離する装置である。RO膜モジュール10は、例えば、スパイラル型のRO膜エレメント11(図10参照)を筒状のベッセル(圧力容器)12に収容して構成される。各RO膜モジュール10のベッセル12は、図4及び図5に示すように、並行に配置される。具体的には、ベッセル12は、長手方向が前後方向(Z方向)と平行となり、且つ、上下方向(Y方向)に沿って等間隔に配置される。また、ベッセル12(RO膜モジュール10)は、水処理装置2を前後方向(Z方向)から視たときに、上下方向(Y方向)に沿ってジグザグに配置される。図3では、水処理装置2を前方向から視たときのベッセル12の配置を示すが、水処理装置2を後方向から視たときにおいても、ベッセル12は、ジグザグに配置される。このジグザグ配置においては、斜め方向に隣接する各ベッセル12は、上下方向に一部が重なり、且つ、左右方向(X方向)にも一部が重なる。なお、ベッセル12は、長手方向において、前後方向とほぼ平行とみなせる範囲で並行に配置されていればよい。
保持用ラック20は、各RO膜モジュール10のベッセル12を保持する構造体である。保持用ラック20は、キャビネット7の下部支持台72(後述)の上に固定される。保持用ラック20は、図4及び図5に示すように、保持パネル(板状部材)21、下部固定具(下部支持部材)22、上部固定具(上部支持部材)23及びサイドパネル24を備える。
保持パネル21は、ベッセル12の長手方向の両端部を保持する板状の部材である。保持パネル21は、水処理装置2の前側(Z1側)と後側(Z2側)とにそれぞれ配置される。図6(A)及び(B)に示すように、各保持パネル21は、複数の挿通孔210を備える。挿通孔210は、ベッセル12が挿通される略円形の開口である。挿通孔210は、1つの保持パネル21において、6箇所に設けられている。各挿通孔210は、一対の保持パネル21において、水処理装置2の前後方向(Z方向)で互いに対向するように、上下方向(Y方向)に沿ってジグザグに配置される。
図6(A)に示すように、挿通孔210の内周縁には、凹部211及び212が設けられている(図中、最上段にのみ符号を付す)。凹部211は、下部固定具22(後述)が装着されるU字形のスリットである。凹部211は、挿通孔210において、下側(Y2側)の2箇所に設けられている。凹部212は、上部固定具23(後述)が装着される逆U字形のスリットである。凹部212は、挿通孔210において、上側(Y1側)の2箇所に設けられている。挿通孔210(保持パネル21)への下部固定具22及び上部固定具23の装着については、後述する。
図4及び図5に示すように、水処理装置2において、前側(Z1側)と後側(Z2側)にそれぞれ配置された保持パネル21の間には、サイドパネル24が設けられている。サイドパネル24は、保持用ラック20の前後方向(Z方向)の剛性を確保するための板状の部材である。サイドパネル24は、保持用ラック20の上側(Y1側)で、且つ、左右方向(X方向)にそれぞれ1枚ずつ設けられている。後述するように、本実施形態の水処理装置2は、保持用ラック20の前後方向(Z方向)からベッセル12(RO膜モジュール10)を取り付けたり、取り外したりできる。そのため、本実施形態の水処理装置2は、ベッセル12(RO膜モジュール10)の交換、メンテナンス等の作業性を損なうことなしに、保持用ラック20の前後方向(Z方向)の剛性を確保できる。
なお、従来の水処理装置では、保持用ラックの側方(X1-X2側)からベッセルの交換、メンテナンス等を行っていたため、保持用ラックの側方にサイドパネルを設けることが難しく、水処理装置の側方に作業用のスペースを必要としていた。これに対して、本実施形態の水処理装置2では、保持用ラック20の側方にサイドパネル24を設けることができるため、ベッセル12の交換、メンテナンス等の作業性を損なうことなしに、保持用ラック20の剛性を確保できる。また、本実施形態の水処理装置2では、側方に作業用のスペースが不要となるため、設置スペースをより有効に活用できる。
加圧ポンプ4は、給水ラインL1(後述)を流通する給水W1を吸入し、RO膜モジュール10(ROユニット3)へ向けて吐出する装置である。加圧ポンプ4には、インバータ5(後述)から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ4は、インバータ5から供給された駆動電力の周波数に応じた回転速度で駆動される。
加圧ポンプ4は、図4及び図5に示すように、キャビネット7の下部支持台72において、ROユニット3よりも後側(Z2側)に設けられている。すなわち、加圧ポンプ4は、水処理装置2を前側(Z1側)から視たときに、ROユニット3と反対側に設けられている。この構成によれば、水処理装置2を前側(Z1側)から視たときに、加圧ポンプ4は、ROユニット3に隠れるため、視覚的に目立ちにくくなる。また、加圧ポンプ4は、水処理装置2の左右方向(X方向)に出っ張らないため、水処理装置2A及び2Bを、より近接した状態で連結できる。
インバータ5は、加圧ポンプ4に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路装置である。インバータ5は、制御ボックス6(後述)と電気的に接続される。インバータ5には、制御ボックス6から指令信号が入力される。インバータ5は、制御ボックス6から入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ4に出力する。図4及び図5に示すように、インバータ5は、水処理装置2において、キャビネット7における背面支持板73(後述)の上側(Y1側)に設けられている。そのため、インバータ5を、水処理装置2の後側(Z2側)から容易にメンテナンスできる。
制御ボックス6は、水処理装置2の運転(動作)を制御するための設備である。制御ボックス6には、各弁における流路の開閉、流路の切り替えを制御する制御部、操作パネル、電源装置等(いずれも不図示)が設けられる。制御ボックス6は、外カバーの一部が上側(Y1側)に開くように構成される。管理者は、操作パネル(不図示)を操作したり、外カバーの一部を開いてメンテナンス等を行うことにより、水処理装置2の運転を制御したり、運転状況を確認したりできる。
なお、水処理装置2A及び2Bを連結してユニットU1を構成する場合、それぞれの制御ボックス6は、信号線(不図示)により電気的に接続される。これにより、それぞれの制御ボックス6は、相互に信号の送受信が可能となる。この場合、いずれか一方の制御ボックス6(例えば、水処理装置2A)においてメインの制御が実行され、他方の制御ボックス6(例えば、水処理装置2B)においてサブの制御が実行される。
制御ボックス6は、図4及び図5に示すように、水処理装置2の前側(Z1側)に配置された保持パネル21の上側(Y1側)に設けられている。すなわち、制御ボックス6は、水処理装置2の前後方向(Z方向)において、ROユニット3を間に挟んで、インバータ5と反対側に設けられている。この構成によれば、インバータ5で発生したノイズが制御ボックス6に届きにくくなるため、制御ボックス6内に収容された制御部(不図示)へのノイズの影響を低減できる。
キャビネット7は、前述したROユニット3、加圧ポンプ4、インバータ5、制御ボックス6及び後述する各種の機器、ライン等を保持するための構造体である。
キャビネット7は、図4及び図5に示すように、上部支持台71、下部支持台72及び背面支持板73を備える。
上部支持台71は、キャビネット7の上側(Y1側)に配置される部材である。上部支持台71は、後側(Z2側)の端部において、インバータ5の上側(Y1側)と連結される。インバータ5は、前述したように、キャビネット7の背面支持板73(後述)の上側(Y1側)に設けられている。また、上部支持台71は、長手方向(Z方向)の略中間位置において、後側(Z2側)に配置された保持パネル21の上側(Y1側)の端部と連結される。
なお、図4及び図5では、制御ボックス6により覆われているため図示されていないが、上部支持台71は、前側(Z1側)の端部において、保持パネル21の上側(Y1側)の端部と連結される。
図4及び図5に示すように、上部支持台71の左右方向(X方向)の両側面には、ボルト穴75が設けられている。ボルト穴75は、上部支持台71の前後方向(Z方向)の両側面において、それぞれ2箇所に設けられている。図1及び図2に示すように、水処理装置2A及び2Bは、基台B1及びB2の上に近接した状態で載置される。水処理装置2A及び2Bにおいて、それぞれの上部支持台71のボルト穴75には、ねじ付きロッド74が挿入される。水処理装置2A及び2Bは、ねじ付きロッド74のねじ部にナット76を締結することにより連結される。なお、水処理装置2A及び2Bは、互いに対向する側に設けられた2個のボルト穴75を使用して連結される。
下部支持台72は、キャビネット7の下側(Y2側)に配置される部材である。下部支持台72は、長手方向(Z方向)の前側(Z1側)と後側(Z2側)において、基台B1及びB2とボルト及びナット(符号略)により固定される。下部支持台72の上側(Y1側)には、ROユニット3、加圧ポンプ4等が載置される。
背面支持板73は、キャビネット7の後側(Z2側)に配置される部材である。背面支持板73は、上部支持台71及び下部支持台72の後側(Z2側)において、両支持台の間に設けられている。背面支持板73の上側(Y1側)の端部は、インバータ5を介して上部支持台71の後側(Z2側)の端部と連結される。背面支持板73の下側(Y2側)の端部は、下部支持台72の後側(Z2側)の端部と連結される。
次に、水処理装置2を構成するライン、機器等の配置について説明する。
図7は、水処理装置2内を流通する水の経路を示すフロー図である。図7に示すフロー図は、水処理装置2A及び2Bに共通する。図7に示すフロー図では、洗浄、検査等に用いられるバルブ、スイッチ、ライン等の図示を省略する。
図8及び図9は、水処理装置2を後側から視たときの斜視図である。図8は、水処理装置2を、後側(Z2側)におけるX1方向とZ2方向のほぼ中間から視たときの斜視図である。図9は、水処理装置2を、後側(Z2側)におけるX2方向とZ2方向のほぼ中間から視たときの斜視図である。図8及び図9では、各種の機器、ライン等の配置を分かり易くするため、加圧ポンプ4、インバータ5、制御ボックス6及びキャビネット7の一部の図示を省略する。また、図8及び図9では、センサ本体の図示を省略して、取り付け位置に符号を付している。
図7に示すように、水処理装置2は、主なラインとして、給水ラインL1、供給水ラインL2、透過水ラインL3、濃縮水ラインL4、循環水ラインL5、排水ラインL6及び透過水排出ラインL7を備える。
なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
給水ラインL1は、給水(原水)W1を、供給水ラインL2との合流部J1まで供給するラインである。給水ラインL1の上流側の端部は、給水W1の供給源(不図示)から延出された給水供給ラインL11に接続される。給水ラインL1の上流側の端部(入口端部)には、フランジFL1が設けられている。フランジFL1は、図8及び図9に示すように、水処理装置2を前後方向(Z方向)から視たときに、水処理装置2の上方(Y1側)に開口しており、水処理装置2の側方(X1-X2側)には開口していない。また、給水ラインL1は、図8及び図9に示すように、複数のRO膜モジュール10(ROユニット3)の後方(Z2側)に設けられており、側方(X1-X2側)には設けられていない。
給水ラインL1の入口端部(フランジFL1)は、図8に示すように、水処理装置2において上側(Y1側)に設けられ、且つ、前述したように水処理装置2の上方に開口する。そのため、水処理装置2の給水ラインL1は、工場内の比較的高い位置に設けられた給水供給ラインL11との接続が容易となる。
フランジFL1は、図1及び図2に示すように、給水連結管CP1に接続される。給水連結管CP1は、水処理装置2A及び2Bの給水ラインL1の入口端部を連結する配管部材である。給水連結管CP1は、図1及び図2に示すように、左右方向(X方向)に配置されたフランジFL11及びFL12と、下方向(Y2方向)に配置されたフランジFL13及びFL14とを備える。フランジFL11及びFL12の一方には給水供給ラインL11の下流側の端部(フランジ)が接続され、他方には遮蔽フランジ(不図示)が設けられる。
フランジFL13及びFL14は、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの給水ラインL1の入口端部に設けられたフランジFL1と接続される。給水連結管CP1の内部において、フランジFL11~FL14に接続された配管は、相互に連通する。なお、給水連結管CP1の構成は、後述する透過水連結管CP2、第1排水連結管CP3及び第2排水連結管CP4と共通する。そのため、透過水連結管CP2、第1排水連結管CP3及び第2排水連結管CP4に設けられた各フランジには、給水連結管CP1と同じ符号(フランジFL11~FL14)を付して説明する。
給水供給ラインL11から送出された給水W1は、給水連結管CP1を介してそれぞれの水処理装置2A及び2Bの給水ラインL1に供給される。給水連結管CP1は、ユニットU1の後側(Z2側)に設けられる。そのため、ユニットU1を前側(Z1側)から視たときに、給水連結管CP1は、水処理装置2A及び2BのそれぞれのROユニット3等に隠れるため、視覚的に目立ちにくくなる。
図7及び図8に示すように、給水ラインL1には、上流側から下流側に向けて順に、給水仕切弁V1、給水比例弁V2、合流部J1が設けられている。
給水仕切弁V1は、給水ラインL1の開閉を操作可能な手動弁である。給水比例弁V2は、給水W1の流量を0~100%の範囲で連続的に制御する電動弁である。給水比例弁V2の開度は、制御ボックス6(制御部)により制御される。また、給水ラインL1において、給水比例弁V2と合流部J1との間には、給水圧力センサPS1が接続される。給水圧力センサPS1は、給水ラインL1を流通する給水W1の圧力を計測する機器である。給水圧力センサPS1で計測された給水W1の圧力は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。
供給水ラインL2は、給水W1を、供給水W2としてRO膜モジュール10に供給するラインである。供給水ラインL2の上流側の端部は、合流部J1に接続される。供給水ラインL2の下流側の端部は、ROユニット3において、最も下側(Y2側)に配置されるRO膜モジュール10Aの一次側入口ポートPT1に接続される(図8参照)。供給水ラインL2には、上流側から下流側に向けて順に、合流部J1、加圧ポンプ4、RO膜モジュール10(10A~10F)が設けられている。
合流部J1は、給水ラインL1、供給水ラインL2及び循環水ラインL5が合流する箇所であり、例えば、T字継手により構成される。合流部J1において、給水ラインL1を流通する給水W1と、循環水ラインL5を流通する循環水W41(後述)とが合流し、供給水W2として加圧ポンプ4へ送出される。
加圧ポンプ4(図5等参照)は、供給水ラインL2において、供給水W2を吸引し、RO膜モジュール10へ向けて吐出する装置である。前述したように、加圧ポンプ4には、インバータ5から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ4は、インバータ5から供給された駆動電力の周波数に応じた回転速度で駆動される。RO膜モジュール10は、前述したように、給水W1を、溶存塩類が除去された透過水(処理水)W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W4と、に分離する装置である。
供給水ラインL2において、合流部J1と加圧ポンプ4との間には、供給水温度センサTE1が設けられている(図8参照)。供給水温度センサTE1は、供給水ラインL2を流通する供給水W2の温度を計測する機器である。供給水温度センサTE1で計測された供給水W2の温度は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。また、供給水ラインL2において、加圧ポンプ4とRO膜モジュール10との間には、供給水圧力センサPS2が接続される(図8参照)。供給水圧力センサPS2は、供給水ラインL2において、加圧ポンプ4から吐出された供給水W2の圧力を計測する機器である。供給水圧力センサPS2で計測された供給水W2の圧力は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。
透過水ラインL3は、RO膜モジュール10で分離された透過水W3を下流側に送出するラインである。透過水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール10A~10Fの二次側ポートPT3に接続される。具体的には、図8に示すように、各RO膜モジュール10の二次側ポートPT3には、フレキシブルチューブFC1の上流側が接続される。フレキシブルチューブFC1は、屈曲が可能な金属製のチューブである。各フレキシブルチューブFC1の下流側は、配管マニホールド15に接続される。
配管マニホールド15は、複数のフレキシブルチューブFC1から送出された透過水W3を集めて、外部に送出する器具である。配管マニホールド15は、透過水ラインL3の上流側の端部に接続される。各RO膜モジュール10の二次側ポートPT3からフレキシブルチューブFC1を介して配管マニホールド15に集められた透過水W3は、配管マニホールド15から透過水ラインL3の下流側へ向けて送出される。図8に示すように、配管マニホールド15は、水処理装置2において、ROユニット3よりも後側(Z2側)に設けられている。この構成によれば、配管マニホールド15は、ユニットU1を前側(Z1側)から視たときに、ROユニット3に隠れるため、視覚的に目立ちにくくなる(図3参照)。したがって、水処理装置2は、配管マニホールド15によって外観を損なうことがない。
図7~図9に示すように、透過水ラインL3の下流側の端部(出口端部)には、フランジFL2が設けられている。フランジFL2は、図8及び図9に示すように、水処理装置2を前後方向(Z方向)から視たときに、水処理装置2の上方(Y1方向)に開口しており、水処理装置2の側方(X1-X2側)には開口していない。また、透過水ラインL3は、図8及び図9に示すように、複数のRO膜モジュール10(ROユニット3)の後方(Z2側)に設けられており、側方(X1-X2側)には設けられていない。
透過水ラインL3の出口端部(フランジFL2)は、図8に示すように、水処理装置2において上側(Y1側)に設けられ、且つ、前述したように水処理装置2の上方に開口する。そのため、水処理装置2の透過水ラインL3は、工場内の比較的高い位置に設けられた透過水貯留ラインL12(後述)との接続が容易となる。
透過水ラインL3のフランジFL2は、図1及び図2に示すように、透過水連結管(処理水連結管)CP2のフランジFL13又はFL14に接続される。透過水連結管CP2は、水処理装置2A及び2Bの透過水ラインL3の出口端部をそれぞれ連結する配管部材である。透過水連結管CP2のフランジFL11及びFL12の一方には透過水貯留ラインL12の上流側の端部(フランジ)が接続され、他方には遮蔽フランジ(不図示)が設けられる。
ユニットU1において、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの透過水ラインL3に送出された透過水W3は、透過水ラインL3の出口端部から透過水連結管CP2を介して透過水貯留ラインL12(図7参照)に送出される。透過水貯留ラインL12は、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの透過水ラインL3に送出される透過水W3を、外部に設置された透過水タンク100へ送出するラインである。透過水貯留ラインL12には、逆止弁V6が接続される。逆止弁V6は、透過水貯留ラインL12を流通する透過水W3の逆流を防止するための弁である。
透過水連結管CP2は、図1及び図2に示すように、ユニットU1の後側(Z2側)に設けられる。そのため、ユニットU1を前側(Z1側)から視たときに、透過水連結管CP2は、水処理装置2A及び2BのそれぞれのROユニット3等に隠れるため、視覚的に目立ちにくくなる(図3参照)。
図7及び図9に示すように、透過水ラインL3には、上流側から下流側に向けて順に、透過水流量センサFM1、透過水電気伝導率センサEC1、透過水仕切弁V4、逆止弁V5及び流路切替弁V3が接続される。
透過水流量センサFM1は、透過水ラインL3を流通する透過水W3の流量を計測する機器である。透過水流量センサFM1で計測された透過水W3の流量は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。透過水電気伝導率センサEC1は、透過水ラインL3を流通する透過水W3の電気伝導率を計測する機器である。透過水電気伝導率センサEC1で計測された透過水W3の電気伝導率は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。透過水仕切弁V4は、透過水ラインL3の開閉を操作可能な手動弁である。逆止弁V5は、透過水ラインL3を流通する透過水W3の逆流を防止するための弁である。
流路切替弁V3は、RO膜モジュール10で分離された透過水W3を、透過水貯留ラインL12を介して透過水タンク100へ向けて流通させる流路、又は、透過水排出ラインL7(後述)を介して外部へ排出する流路のいずれかに切り替え可能な自動弁である。流路切替弁V3は、例えば、電動式又は電磁式の三方弁により構成される。流路切替弁V3は、制御ボックス6(制御部)と電気的に接続される。流路切替弁V3における流路の切り換えは、制御ボックス6から送信される流路切替信号により制御される。
透過水排出ラインL7は、例えば、水処理装置2を起動してから透過水W3の水質が安定するまでの間、透過水W3を排出する初期ブローにおいて使用されるラインである。透過水排出ラインL7の上流側の端部は、流路切替弁V3に接続される。一方、透過水排出ラインL7の下流側の端部(出口端部)には、フランジFL3が設けられている。フランジFL3は、図8及び図9に示すように、水処理装置2を前後方向(Z方向)から視たときに、水処理装置2の後方(Z2側)に開口しており、水処理装置2の側方(X1-X2側)には開口していない。
なお、前述した初期ブローにおいて、透過水排出ラインL7から排出される透過水W3は、純度が比較的高いため、再利用される場合がある。本実施形態において、透過水排出ラインL7の出口端部(フランジFL3)は、図8に示すように、水処理装置2の後側(Z2側)で、且つ、排水ラインL6の出口端部(フランジFL4)よりも更に上側(Y1側)に設けられている。この構成によれば、本実施形態の水処理装置2は、初期ブロー時に排出される透過水W3を、より高い位置から回収できるので、回収した透過水W3を給水ラインL1等の上流側に戻すことが容易となる。
透過水排出ラインL7のフランジFL3は、図2に示すように、第1排水連結管CP3のフランジFL13又はFL14に接続される。第1排水連結管CP3は、水処理装置2A及び2Bの透過水排出ラインL7の出口端部をそれぞれ連結する配管部材である。第1排水連結管CP3のフランジFL11及びFL12の一方には透過水外部排出ラインL13の上流側の端部(フランジ)が接続され、他方には遮蔽フランジ(不図示)が設けられる。
ユニットU1において、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの透過水排出ラインL7に送出された透過水W3は、透過水排出ラインL7の出口端部から第1排水連結管CP3を介して透過水外部排出ラインL13に送出される。透過水外部排出ラインL13は、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの透過水排出ラインL7から排水される透過水W3を、装置外(系外)の排水場所又は排水設備に送出するラインである。
第1排水連結管CP3は、図2に示すように、ユニットU1の後側(Z2側)に設けられる。そのため、ユニットU1を前側(Z1側)から視たときに、第1排水連結管CP3は、水処理装置2A及び2BのそれぞれのROユニット3等に隠れるため、視覚的に目立ちにくくなる(図3参照)。
図7に示すように、濃縮水ラインL4は、RO膜モジュール10で分離された濃縮水W4を下流側に送出するラインである。濃縮水ラインL4の上流側の端部は、ROユニット3において、最も上側(Y1側)に配置されるRO膜モジュール10Fの一次側出口ポートPT2に接続される。図7及び図9に示すように、濃縮水ラインL4の下流側は、接続部J2において、循環水ラインL5及び排水ラインL6の上流側の端部にそれぞれ接続される。
濃縮水ラインL4には、上流側から下流側に向けて順に、濃縮水圧力センサPS3、流量調整ユニットV7が設けられる。濃縮水圧力センサPS3は、濃縮水ラインL4を流通する濃縮水W4の圧力を計測する機器である。濃縮水圧力センサPS3で計測された濃縮水W4の圧力は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。流量調整ユニットV7は、下流側へ流れる濃縮水W4の流量を調整するための弁である。
循環水ラインL5は、RO膜モジュール10で分離された濃縮水W4の一部を循環水W41として合流部J1へ返送するラインである。循環水ラインL5の上流側の端部は、接続部J2において濃縮水ラインL4及び排水ラインL6に接続される。また、循環水ラインL5の下流側の端部は、合流部J1において、給水ラインL1及び供給水ラインL2に接続される。合流部J1において、給水W1と循環水W41(濃縮水W4)とが混合され、供給水W2として加圧ポンプ4の吸入口側に送出される。循環水ラインL5には、逆止弁付き制御弁V8(図9参照)が接続される。逆止弁付き制御弁V8は、逆流防止機能を有すると共に、循環水ラインL5の開度を調節可能な手動弁である。逆止弁付き制御弁V8は、通常の運転時には、逆止弁として機能する。
排水ラインL6は、RO膜モジュール10で分離された濃縮水W4の残部を排水W42として装置外(系外)に排出するラインである。排水ラインL6の上流側の端部は、接続部J2において濃縮水ラインL4及び循環水ラインL5に接続される。図7~図9に示すように、排水ラインL6の下流側の端部(出口端部)には、フランジFL4が設けられている。フランジFL4は、図8及び図9に示すように、水処理装置2を前後方向(Z方向)から視たときに、水処理装置2の後方(Z2側)に開口しており、水処理装置2の側方(X1-X2側)には開口していない。また、排水ラインL6は、図8及び図9に示すように、複数のRO膜モジュール10(ROユニット3)の後方(Z2側)に設けられており、側方(X1-X2側)には設けられていない。
排水ラインL6のフランジFL4は、図2に示すように、第2排水連結管CP4のフランジFL13又はFL14に接続される。第2排水連結管CP4は、水処理装置2A及び2Bの排水ラインL6の出口端部をそれぞれ連結する配管部材である。第1排水連結管CP3のフランジFL11及びFL12の一方には濃縮水外部排出ラインL14の上流側の端部(フランジ)が接続され、他方には遮蔽フランジ(不図示)が設けられる。
ユニットU1において、水処理装置2A及び2Bのそれぞれの排水ラインL6に送出された排水W42は、排水ラインL6の出口端部から第2排水連結管CP4を介して濃縮水外部排出ラインL14に送出される。濃縮水外部排出ラインL14は、排水ラインL6から排水される排水W42を、装置外(系外)の排水場所又は排水設備に送出するラインである。
図7及び図9に示すように、排水ラインL6には、上流側から下流側に向けて順に、排水比例弁V9、排水仕切弁V10及び排水流量センサFM2が設けられている。排水比例弁V9は、排水W42の流量を0~100%の範囲で連続的に制御する電動弁である。排水比例弁V9の開度は、制御ボックス6(制御部)により制御される。排水比例弁V9の開度を適宜に制御することにより、装置外へ排出する排水W42の流量を調節できる。この調節により、透過水W3の回収率を予め設定された値に保つことができる。透過水W3の回収率とは、RO膜モジュール10に供給される供給水W2の流量に対する透過水W3の割合(%)をいう。排水仕切弁V10は、排水ラインL6の開閉を操作可能な手動弁である。排水流量センサFM2は、排水ラインL6を流通する排水W42の流量を計測する機器である。排水流量センサFM2で計測された排水W42の流量は、制御ボックス6(制御部)へ送信される。
<RO膜モジュール10の構成>
次に、ROユニット3に保持されるRO膜モジュール10の構成について説明する。
図10は、RO膜モジュール10の構成を示す斜視図である。図11は、ベッセル12を保持パネル21へ装着する様子を示す斜視図である。図12は、ベッセル12にRO膜エレメント11及びベッセル封止体30を取り付ける様子を示す分解斜視図である。
図10に示すように、RO膜モジュール10は、RO膜エレメント11と、ベッセル12と、ベッセル封止体30と、を備える。RO膜モジュール10において、ベッセル12に収容されたRO膜エレメント11の長手方向(Z方向)の両端部には、ベッセル封止体30が設けられる。ベッセル封止体30は、供給水W2の入口、透過水W3の出口及び濃縮水W4の出口を備えた構造体である。ベッセル封止体30は、側方開口部311及び中央開口部312(後述)を備える。なお、図10のZ2側に設けられたベッセル封止体30では、側方開口部311のみを図示する。
次に、各RO膜モジュール10における側方開口部311の役割について説明する。
図5に示すように、ROユニット3の最も下側(Y2側)に配置されるRO膜モジュール10Aにおいて、後側(Z2側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311は、供給水W2の入口(一次側入口ポートPT1)となる。また、図4に示すように、RO膜モジュール10Aにおいて、前側(Z1側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311は、濃縮水W4の出口(一次側出口ポートPT2)となる。
図4に示すRO膜モジュール10B、10D及び10Fにおいて、前側(Z1側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311は、濃縮水W4の入口となる。また、RO膜モジュール10B、10D及び10Fにおいて、後側(Z2側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311(不図示)は、濃縮水W4の出口(一次側出口ポートPT2)となる。
図4に示すRO膜モジュール10C、10Eにおいて、前側(Z1側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311は、濃縮水W4の出口(一次側出口ポートPT2)となる。また、RO膜モジュール10C、10Eにおいて、後側(Z2側)に配置されるベッセル封止体30の側方開口部311は、濃縮水W4の入口となる。
ROユニット3において、濃縮水W4は、最も下側(Y2側)のRO膜モジュール10Aから順に、一段ずつ上側(Y1側)のRO膜モジュール10B~10Eを通過し、最も上側のRO膜モジュール10FからROユニット3の外に排出される。
また、図5において、RO膜モジュール10A~10Fの後側(Z2側)に配置されるベッセル封止体30の中央開口部312(手前側のみ図示)は、透過水W3の出口(二次側ポート)となる。二次側ポートとなる中央開口部312には、フレキシブルチューブFC1の上流側が接続される。フレキシブルチューブFC1の下流側には、前述した配管マニホールド15が接続される。また、図4に示すように、RO膜モジュール10A~10Fの前側(Z1側)に配置されるベッセル封止体30の中央開口部312には、封止キャップ37(RO膜モジュール10Fのみに符号を記載)が取り付けられる。
前述したRO膜モジュール10は、ROユニット3の保持用ラック20に保持される(図1~図5参照)。RO膜モジュール10を保持用ラック20に装着する場合、まず、図11に示すように、保持パネル21に設けられた挿通孔210にベッセル12を挿通する。ベッセル12は、挿通孔210に下部固定具22及び上部固定具23(後述)が取り付けられた状態で挿通孔210に挿通される。続いて、図12に示すように、保持パネル21に挿通されたベッセル12の内部にRO膜エレメント11を収容し、更に、複数の部品により構成されるベッセル封止体30を後述する手順で取り付ける。
<下部固定具22及び上部固定具23の構造>
次に、保持パネル21(保持用ラック20)に取り付けられる下部固定具22及び上部固定具23の構造について説明する。
図13は、下部固定具22及び上部固定具23を裏側から視たときの斜視図である。図14は、保持パネル21に取り付けられた下部固定具22及び上部固定具23の配置図である。なお、図13及び図14は、図12に示すように、下部固定具22及び上部固定具23を前側(Z1側)の保持パネル21に装着した例を示している。
下部固定具22は、保持パネル21の挿通孔210に挿通されたベッセル12(RO膜モジュール10)の下部を支持する構造体である。下部固定具22は、挿通孔210の下側(Y2側)の内周縁に沿って取り付けられる。図13及び図14に示すように、下部固定具22は、固定具本体221、係合片222、ボルト穴223及びボルト224を備える。
本実施形態において、下部固定具22の基本的な構造は、後述する上部固定具23と同じである。下部固定具22の固定具本体221、係合片222、ボルト穴223及びボルト224は、上部固定具23の固定具本体231、係合片232、ボルト穴233及びボルト238に相当する。下部固定具22は、板ばね235、押えボルト237を備えていない点が上部固定具23と異なる。下部固定具22において、その他の構成は、上部固定具23と同じである。そのため、下部固定具22の説明として、後述する上部固定具23の説明を援用する。なお、下部固定具22は、上部固定具23と異なる構成であってもよい。
上部固定具23は、保持パネル21の挿通孔210に挿通されたベッセル12(RO膜モジュール10)の上部を支持する構造体である。上部固定具23は、挿通孔210の上側(Y1側)の内周縁に沿って取り付けられる。図13に示すように、上部固定具23は、固定具本体(連結部材)231、係合片232、ボルト穴233、板ばね保持部234、板ばね(付勢部材)235、ねじ穴部236及び押えボルト(押圧部材)237を備える。
固定具本体231は、保持パネル21に連結される部材である。固定具本体231は、長手方向の両端部に、それぞれ係合片232、ボルト穴233及び板ばね保持部234を備える。係合片232は、挿通孔210の凹部212(図6(A)参照)と係合する突起である。ボルト穴233は、上部固定具23を取り付けるためのボルト237が挿入される穴である。板ばね保持部234は、板ばね235の長手方向の両端部を保持する部分である。ねじ穴部236は、雌ねじ(不図示)が設けられたねじ付きの穴である。ねじ穴部236には、押えボルト237が装着される。押えボルト237は、板ばね235を押圧する部材である。
板ばね235は、ベッセル12の上部を弾性的に付勢する部材である。図13に示すように、板ばね235は、逆V字形に構成される。板ばね235を固定具本体231の内部に取り付けることにより、板ばね235の両端部は、板ばね保持部234に保持される。なお、図示していないが、板ばね235がベッセル12と当接する部分(Y2側の面)には、すべり止めのテープが貼り付けられている。板ばね235の中央部には、ねじ穴部236に装着された押えボルト237の端部が当接する。後述するように、ねじ穴部236に装着された押えボルト237を締め込むと、板ばね235の中央部は、押えボルト237の端部により下側(Y2側)に押圧される。
図14に示すように、下部固定具22の両端部に設けられた係合片222は、挿通孔210の凹部211にそれぞれ挿入される。下部固定具22の係合片222を挿通孔210の凹部211に挿入した状態において、ボルト穴223にボルト224を挿入し、裏面側からナット(不図示)を締結することにより、下部固定具22を挿通孔210の下部に取り付けることができる。
下部固定具22を挿通孔210に取り付けると、図14に示すように、固定具本体221の支持面221aは、挿通孔210の内周縁210aから突出する。この構成によれば、挿通孔210に挿通されたベッセル12の長手方向の両端部における外周面12a(図15参照)と挿通孔210の内周縁210aとが接触しないため、ベッセル12の下側の外周面12aが傷付きにくくなる。
また、図14に示すように、上部固定具23の両端部に設けられた係合片232は、挿通孔210の凹部212にそれぞれ挿入される。上部固定具23の係合片232を挿通孔210の凹部212に挿入した状態において、ボルト穴233にボルト238を挿入し、裏面側からナット(不図示)を締結することにより、上部固定具23を挿通孔210の上部に取り付けることができる。
上部固定具23を挿通孔210に取り付けた場合も、図14に示すように、固定具本体231の支持面231aは、挿通孔210の内周縁210aから突出する。この構成によれば、挿通孔210に挿通されたベッセル12の長手方向の両端部における外周面12a(図15参照)と挿通孔210の内周縁210aとが接触しないため、ベッセル12の上側の外周面12aが傷付きにくくなる。
なお、ベッセル12を挿通孔210に挿通する際、上部固定具23のボルト238とナットとの締結をわずかに緩めた状態でベッセル12を下部固定具22と上部固定具23との間に挿通する。そして、上部固定具23をベッセル12の上側の外周面12aに押し当てた状態でボルト238とナットとを適切なトルクで締結する。これにより、下部固定具22と上部固定具23との間に隙間がない状態でベッセル12を支持できる。
次に、上部固定具23によるベッセル12の押圧について説明する。
図15(A)及び(B)は、上部固定具23によりベッセル12が押圧される様子を示す概念図である。図15(A)及び(B)は、上部固定具23を裏面側から視たときの斜視図に相当する。図15(A)及び(B)では、保持パネル21(保持用ラック20)等の図示を省略する。
図15(A)に示すように、下部固定具22(不図示)と上部固定具23との間に挿通されたベッセル12において、上部の外周面(被支持面)12aは、上部固定具23の支持面231aにより支持される。また、ベッセル12の下部の外周面は、下部固定具22の支持面221a(図14参照)により支持される。この状態で、板ばね235は、ベッセル12の上部の外周面12aと当接して、この外周面12aを弾性的に付勢する。この状態から、ねじ穴部236に嵌合した押えボルト237をねじ込むと、図15(B)に示すように、板ばね235は、押えボルト237によりベッセル12側に更に押圧されるため、ベッセル12の上部の外周面12aへの付勢力が増加する。そのため、下部固定具22と上部固定具23との間において、ベッセル12をより強固に支持できる。なお、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等を行う場合には、押えボルト237を緩めて、板ばね235によるベッセル12の押圧を解除することにより、ベッセル12を保持パネル21の挿通孔210から引き抜くことができる。
<ベッセル封止体30の構成>
次に、ベッセル封止体30の構成及びベッセル12への取り付けについて説明する。
図16は、ベッセル封止体30の分解斜視図である。図17は、ベッセル12に取り付けられたベッセル封止体30のY-Z平面における断面図である。
図16に示すように、ベッセル封止体30は、ベッセルキャップ(蓋部材)31、集水管32、ロックキー33、ロックキーサポート34、ベッセル継手(継手部材)35及びロックリング36を備える。
なお、RO膜モジュール10において、長手方向(Z方向)の両端部に設けられるベッセル封止体30の構成は同一である。そのため、ここでは、RO膜モジュール10の前側(Z1側)に設けられるベッセル封止体30について説明する。なお、ベッセル封止体30を構成する各部材において、Oリング及びOリングを装着する溝等の説明を省略する。
ベッセルキャップ31は、RO膜エレメント11の長手方向(Z方向)の両端部を封止する部材である。ベッセルキャップ31は、ベッセル12の長手方向の両端部に形成された開口孔121に挿入される。ベッセルキャップ31は、略円盤状に構成される。ベッセルキャップ31は、RO膜エレメント11とは反対側の面315に、側方開口部311、中央開口部312及びサポート受け部313を備える。このうち、側方開口部311及び中央開口部312は、ベッセルキャップ31において、RO膜エレメント11と対向する側の面と連通する。
側方開口部311は、ベッセル継手35又は35A(後述)が外側から着脱自在に取り付けられる部分である。側方開口部311は、ベッセルキャップ31の中心から外側に離れた位置に設けられている。中央開口部312は、フレキシブルチューブFC1(図8参照)又は封止キャップ37が取り付けられる部分である。中央開口部312は、ベッセルキャップ31の中心に設けられている。
サポート受け部313は、ロックキー33の凹部331及びロックキーサポート34(後述)と係合する部分である。サポート受け部313は、ベッセルキャップ31の外周側の4箇所に等間隔で設けられている。サポート受け部313は、ロックキーサポート34のねじ342(後述)と嵌合する雌ねじ314を有する。
集水管32は、RO膜エレメント11の径方向の中心部に集められた透過水W3を、中央開口部312に向けて排出する管である。図17に示すように、集水管32の一方の端部は、RO膜エレメント11の中心開口孔111に挿入される。また、集水管32の他方の端部は、ベッセルキャップ31の中央開口部312に連結される。RO膜エレメント11の中心部に集められた透過水W3は、集水管32を介して中央開口部312からフレキシブルチューブFC1(図8参照)に送出される。一方、RO膜モジュール10において、フレキシブルチューブFC1が接続されない側(Z1側)のベッセルキャップ31には封止キャップ37が取り付けられる。そのため、RO膜モジュール10において、透過水W3は、フレキシブルチューブFC1が接続される側(Z2側)にのみ送出される。
ロックキー33は、ベッセル12の内部に挿入されたベッセルキャップ31の外側(Z1又はZ2側)への移動を制限する部材である。ロックキー33は、図17に示すように、ベッセル12の開口孔121側に設けられた溝部122に嵌め込まれる。溝部122は、ベッセル12の開口孔121側の内周面に設けられた円環状の窪みである。また、ロックキー33は、図16に示すように、周方向の略中央に凹部331を備える。凹部331は、ベッセルキャップ31のサポート受け部313及びロックキーサポート34と係合する部分である。
ロックキーサポート34は、ベッセルキャップ31とロックキー33とを連結する部材である。ロックキーサポート34は、ロックキー33と対向する側(Z2側)に、ロックキー33の凹部331と係合可能な突出片341を備える。また、ロックキーサポート34には、サポート受け部313(ベッセルキャップ31)の雌ねじ314と嵌合可能なねじ(雄ねじ)342が装着される。
ベッセル継手35は、透過水W3又は濃縮水W4の流路となる部材であり、略L字形に構成される。なお、ベッセルキャップ31の側方開口部311には、ベッセル継手35又はベッセル継手35Aが接続されるが、ここでは、ベッセル継手35を例として説明する。ベッセル継手35Aについては、後述する。
ベッセル継手35は、第1接続部351及び第2接続部352を備える。第1接続部351は、ベッセルキャップ31の側方開口部311に対して外側から着脱自在に取り付けられる部分である。第2接続部352は、例えば、図3に示すように、隣接する他のRO膜モジュール10の第2接続部352(ベッセル継手35)と連結される部分である。第2接続部352同士は、固定金具38により連結される。
ロックリング36は、ベッセルキャップ31の側方開口部311に挿入されたベッセル継手35の挿入方向(後述するZA2方向)への移動を制限する部品である。ロックリング36は、図17に示すように、ベッセル継手35の円環溝355に嵌合される。ベッセル継手35とベッセルキャップ31との着脱機構については、後述する。
ベッセル封止体30をベッセル12に取り付ける場合、図16に示すように、集水管32をRO膜エレメント11の中心開口孔111に挿入する。次に、ベッセルキャップ31をベッセル12の長手方向(Z方向)の開口孔121の内部に挿入する。続いて、4個のロックキー33を、ベッセル12の開口孔121側に設けられた溝部122に係合させる。このとき、ロックキー33の凹部331を、ベッセルキャップ31のサポート受け部313と係合させる。
次に、4個のロックキーサポート34の突出片341を、それぞれ対応するベッセルキャップ31のサポート受け部313とロックキー33の凹部331との間に挿入する。そして、各ロックキーサポート34に装着されたねじ342をサポート受け部313の雌ねじ314に嵌合させ、締結する。以上の作業により、図17に示すように、ベッセル封止体30をベッセル12に取り付けることができる。なお、ベッセル継手35は、ベッセル封止体30をベッセル12に取り付ける前にベッセルキャップ31に取り付けてもよいし、ベッセル封止体30をベッセル12に取り付けた後にベッセルキャップ31に取り付けてもよい。
次に、ベッセル継手35とベッセルキャップ31との着脱機構及び取り付け、取り外しについて説明する。
図18(A)~(C)は、ベッセル継手35をベッセルキャップ31の側方開口部311に取り付ける際の手順を示す斜視図である。図19(A)は、図18(A)のP1部分の拡大図である。図19(B)は、図16(A)のP2部分の拡大図である。図19(C)は、キャップ側爪部317と継手側爪部353との係合状態を示す概念図である。図20は、キャップ側爪部317と継手側爪部353との位置関係を示す図である。図21は、図18(B)を裏側から視たときの図である。図22は、図18(C)を裏側から視たときの図である。図20~図22は、いずれもベッセルキャップ31をZA2側からZA1側に向けて視たときの図である。
上記各図においては、図18(A)に示すように、側方開口部311の中心線C1及び中央開口部312の中心線C2とそれぞれ直交する線をA1とする。また、線A1と平行な方向をYA方向とし、YA方向と平面視で直交する方向とXA方向とする。更に、XA-YA平面と直交する方向(以下、「着脱方向」ともいう)をZA方向とする。ZA方向において、ベッセル継手35がベッセルキャップ31と離れる方向をZA1方向とし、ベッセル継手35がベッセルキャップ31に近づく方向をZA2方向とする。
まず、ベッセルキャップ31とベッセル継手35との着脱機構について説明する。
ベッセルキャップ31の側方開口部311は、図19(A)に示すように、内周縁316にキャップ側爪部(第1爪部)317を備える。キャップ側爪部317は、ベッセル継手35の継手側爪部353(後述)と係合する突起であり、内周縁316から内側に向けて突出する。キャップ側爪部317は、周方向の両端部に係合爪317aを備える。係合爪317aは、ベッセル継手35をベッセルキャップ31に係合させた状態において、後述する継手側爪部353(ベッセル継手35)の周方向への回動を制限する部分である。
キャップ側爪部317は、図20に示すように、側方開口部311の内周縁316に沿って等間隔で4箇所に設けられている。各キャップ側爪部317は、線A1又は線A1と直交する線A2と交差しない位置に設けられている。隣接するキャップ側爪部317間の周方向における中心位置は、線A1又はA2と一致する。
また、図20に示すように、4箇所のキャップ側爪部317において、隣接するキャップ側爪部317間の間隔s1は、後述する継手側爪部353(ベッセル継手35)の周方向の長さs2よりわずかに長く設定される。ベッセル継手35をベッセルキャップ31の側方開口部311に挿入した際、隣接するキャップ側爪部317の間に、継手側爪部353を挿入可能とするためである。
一方、ベッセル継手35の第1接続部351は、図19(B)に示すように、外周縁354に継手側爪部353(第2爪部)を備える。継手側爪部353は、側方開口部311のキャップ側爪部317と係合する突起であり、外周縁354から外側に突出する。継手側爪部353は、図20に示すように、外周縁354に沿って等間隔で4箇所に設けられている。各継手側爪部353は、線A1又は線A1と直交する線A3と交差する位置に設けられている。各継手側爪部353の周方向における中心位置は、線A1又はA3と一致する。また、ベッセル継手35は、図20に示す第1接続部351の配置において、線A1と第2接続部352の中心線C4とが45°の角度θ1で交差するように構成される。
ベッセルキャップ31の側方開口部311に挿入したベッセル継手35を所定方向(例えば、時計回り方向)に回転させて、ベッセル継手35の継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とをZA方向で係合させることにより、ベッセル継手35の周方向への移動を制限できる。また、ベッセル継手35を所定方向(例えば、反時計回り方向)に回転させて、ベッセル継手35の継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とのZA方向の係合を解除することにより、継手側爪部353のZA1方向への移動が可能となる。これにより、ベッセル継手35をベッセルキャップ31(側方開口部311)から取り外すことができる。
次に、ベッセル継手35とベッセルキャップ31との取り付け及び取り外しについて説明する。
ベッセル継手35をベッセルキャップ31に取り付ける場合、まず、図18(A)に示すように、ベッセルキャップ31の側方開口部311の中心線C1とベッセル継手35の第1接続部351の中心線C3とを一致させる。このとき、ベッセルキャップ31のキャップ側爪部317と、ベッセル継手35の継手側爪部353とがXA-YA平面で互いに重ならないようにベッセル継手35の取り付け角度を調節する(図20参照)。
次に、図18(A)に示すように、ベッセル継手35の第1接続部351を、ベッセルキャップ31の側方開口部311に挿入する(図中の矢印方向)。このとき、ベッセル継手35の継手側爪部353を、ベッセルキャップ31のキャップ側爪部317よりもZA2側に移動させる。ベッセル継手35を反時計回りに回転させたときに、ベッセル継手35の継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317(係合爪317a)とが接触しないようにするためである。
次に、図18(B)に示すように、ベッセル継手35を、側方開口部311の中心線C1に対して反時計回り方向(図中の矢印方向)に45°回転させる。これにより、図22に示すように、ベッセル継手35の第2接続部352の中心線C4と線A1とがXA-YA平面で一致する。次に、この状態で、ベッセル継手35を、ZA1方向(図中の矢印方向)に引き上げる。これにより、図19に示すように、ベッセル継手35の継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とが係合する。ベッセル継手35の継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とが係合することにより、ベッセル継手35のZA1方向及び周方向への移動が制限される。
また、ベッセル継手35を、ZA1方向に引き上げることにより、図18(C)に示すように、ベッセル継手35の円環溝355がベッセルキャップ31の側方開口部311から突出する。そのため、図19に示すように、ベッセル継手35の円環溝355にロックリング36を嵌め込むことができる。ベッセル継手35の円環溝355にロックリング36を嵌め込むと、ベッセル継手35のZA2方向への移動が制限される。これにより、ベッセル継手35は、ベッセルキャップ31と係合した状態で、ZA1方向、周方向及びZA2方向への移動がすべて制限される。
なお、ベッセルキャップ31のキャップ側爪部317と、ベッセル継手35の継手側爪部353とがXA-YA平面で互いに重ならない位置は、ベッセル継手35を、図21に示す位置から90°、180°、270°時計回りの方向に回転させた位置にもそれぞれ存在する。例えば、図21に示すように、ベッセル継手35を、実線で示す位置から90°時計回りに回転させた位置(図中、想像線で示す位置)で挿入した場合、ベッセル継手35を、側方開口部311の中心線C1に対して反時計回り方向に45°回転させればよい。ここで、反時計回り方向とは、図18(B)に示す矢印方向とは反対の方向を指す。この場合も、図18(C)に示すように、ベッセル継手35の第2接続部352の中心線C4と線A1とをXA-YA平面において一致させることができる。
また、図示していないが、ベッセル継手35を、図21に示す位置から180°、270°時計回りの方向に回転させた位置で挿入した場合、ベッセル継手35を、その中心線C4(第2接続部352)がXA-YA平面において線A1と一致した位置又は線A1から90°回転した位置でベッセルキャップ31に取り付けることができる。
なお、ベッセル継手35をベッセルキャップ31から取り外すには、先に説明した取り付け時とは反対の手順で作業すればよい。本実施形態のベッセル継手35は、ベッセルキャップ31に対して着脱自在であるため、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等の作業をより効率良く行うことができる。
次に、ROユニット3の最も下側に配置されるベッセル12(RO膜モジュール10A)とベッセル継手35Aとの位置関係について説明する。
図23は、ROユニット3の最も下側に配置されるベッセル12(RO膜モジュール10A)とベッセル継手35Aとを示す部分側面図である。図24は、図23のA-A線に相当する断面図である。なお、図23及び図24では、ベッセル継手35Aの説明に必要な部分のみを図示する。
図23に示すように、保持用ラック20(ROユニット3)において、最も下側に配置されるベッセル12(RO膜モジュール10A)は、ベッセル継手35Aを介して加圧ポンプ4の吐出口41と接続される。ベッセル継手35Aは、先に説明したベッセル継手35と基本的に同じ接続構造を備えた継手である。ベッセル継手35Aは、全体が略クランク状に構成される点がベッセル継手35(略L字形)と相違する。
以下、ベッセル継手35Aにおいて、ベッセル12と接続される側を第1接続部351、加圧ポンプ4と接続される側を第2接続部352として説明する(図23参照)。また、図24に示すように、ベッセル継手35Aにおいて、第1接続部351の中心線C3及び第2接続部352の中心線C4とそれぞれ直交する線をA4とする。また、ベッセルキャップ31の側方開口部311の中心線C1を通る水平線をA5とする。
図24に示すように、RO膜モジュール10Aのベッセル12(ベッセル封止体30)と接続されるベッセル継手35Aは、水平方向(X方向)に対して浅い角度で取り付けられる。本実施形態のベッセル継手35Aは、水平方向(水平線A4)に対して約24°の浅い角度θ3で取り付けられるため、下部支持台72(キャビネット7)から第1接続部351の中心線C3までの高さh1を低くできる。
一方、従来のベッセル継手は、水平方向(X方向)に対して中心線が直交(90°)するように一体に取り付けられていた。そのため、ベッセル継手と下部支持台72とが干渉しないように、RO膜モジュール10Aの位置を高くする必要があった。しかし、RO膜モジュール10Aの位置を高くすると、水処理装置の全体が高くなるため、装置の安定性が悪くなり、設置場所にも制約を受ける。
これに対して、本実施形態のベッセル継手35Aは、水平方向(水平線A5)に対して浅い角度で取り付けられるため、下部支持台72(キャビネット7)から第1接続部351の中心線C3までの高さh1を低くできる。この構成によれば、水処理装置2の全体の高さを従来よりも低く抑えることができるため、装置の安定性が増し、設置場所の制約も少なくできる。また、RO膜モジュール10A~10Fの位置を全体的に低くできるので、RO膜モジュール10の取り付け及び取り外しの作業性を向上させることができる。更に、ベッセル継手35Aは、ベッセルキャップ31に対して外部から着脱自在に構成されるため、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等の作業を効率良く行うことができる。
次に、ベッセル継手35Aとベッセルキャップ31との着脱機構及び取り付け、取り外しについて説明する。なお、ベッセル継手35Aは、継手側爪部353の配置がベッセル継手35と相違する。ベッセル継手35Aにおいて、その他の構成は、前述したベッセル継手35とほぼ同じである。そのため、ベッセル継手35Aの説明においては、図18及び図19に示すベッセル継手35と同等の部材等に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図25は、キャップ側爪部317と継手側爪部353との位置関係を示す図である。図26は、ベッセルキャップ31に挿入されたベッセル継手35Aを裏側から視たときの図である。図27は、ベッセルキャップ31に挿入した後に反時計回りに回転させたベッセル継手35Aを裏側から視たときの図である。図25~図27は、いずれもベッセルキャップ31をZA2側からZA1側に向けて視たときの図であり、先に説明した図20~図22に対応する。
本例において、ベッセルキャップ31の側方開口部311におけるキャップ側爪部317の構成は、図20と同じであるため、説明を省略する。
ベッセル継手35Aの継手側爪部353は、図25に示すように、外周縁354に沿って等間隔で4箇所に設けられている。各継手側爪部353は、線A1又は線A1と直交する線A3と交差する位置に設けられている。各継手側爪部353の周方向における中心位置は、図20と同じく線A1又はA3と一致する。また、ベッセル継手35Aは、図25に示す第1接続部351の配置において、線A1と線A4(中心線C3-C4)とが約69°の角度θ2で交差するように構成される。その他の構成は、図19(A)~(C)に示すベッセル継手35と同じであるため、説明を省略する。
次に、ベッセル継手35Aとベッセルキャップ31との取り付け及び取り外しについて説明する。
ベッセル継手35Aをベッセルキャップ31に取り付ける場合、図25に示すように、ベッセルキャップ31のキャップ側爪部317と、ベッセル継手35Aの継手側爪部353とがXA-YA平面で互いに重ならないようにベッセル継手35の取り付け角度を調節する。
次に、図26に示すように、ベッセルキャップ31の側方開口部311の中心線C1とベッセル継手35Aの第1接続部351の中心線C3とを一致させ、ベッセル継手35Aの第1接続部351を、ベッセルキャップ31の側方開口部311に挿入する。このとき、ベッセル継手35Aの継手側爪部353を、ベッセルキャップ31のキャップ側爪部317よりもZA2側(図18(A)の矢印方向に相当)に移動させる。
次に、ベッセル継手35Aを、側方開口部311の中心線C1に対して時計回り方向(図中の矢印方向)に45°回転させる。これにより、図27に示すように、ベッセル継手35Aの線A4(中心線C3-C4)と、線A1と第1接続部351の中心線C3で直交する線A3とが約24°の浅い角度θ3で交差する。なお、図27において、線A1と第1接続部351の中心線C3で直交する線A3は、図24に示す水平線A5に相当する。
次に、この状態で、ベッセル継手35Aを、ZA1方向(図18(B)の矢印方向に相当)に引き上げる。これにより、ベッセル継手35Aの継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とを係合させることができる。ベッセル継手35Aの継手側爪部353とベッセルキャップ31のキャップ側爪部317とを係合させることにより、ベッセル継手35AのZA1方向及び周方向への移動が制限される。
この後、図24に示すように、ベッセル継手35Aの円環溝(不図示)にロックリング36を嵌め込むことにより、ベッセル継手35AのZA1方向、周方向及びZA2方向への移動が制限される。ベッセル継手35Aをベッセルキャップ31から取り外すには、先に説明した取り付け時とは反対の手順で作業すればよい。
上述した第1実施形態の水処理装置2及びこれを備えた水処理装置連結ユニットU1において、ベッセル継手35は、ベッセルキャップ31に対して着脱自在に構成されるため、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等の作業をより効率良く行うことができ、作業性に優れている。
また、保持用ラック20の最も下側に配置されるベッセル12において、ベッセル継手35Aは、水平方向(X方向)に対して浅い角度で延びるように取り付けられるため、下部支持台72(キャビネット7)から第1接続部351の中心線C3までの高さh1を低くできる(図24参照)。この構成によれば、水処理装置2の全体の高さを従来よりも低く抑えることができるため、装置の安定性が増し、設置場所の制約も少なくできる。また、RO膜モジュール10A~10Fの位置を全体的に低くできるので、RO膜モジュール10の取り付け及び取り外しの作業性を向上させることができる。更に、ベッセル継手35Aは、ベッセルキャップ31に対して外部(外側)から着脱自在に構成されるため、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等の作業を効率良く行うことができる。
また、ベッセル継手35(35A)は、ベッセルキャップ31(側方開口部311)のキャップ側爪部317とベッセル継手35(35A)の継手側爪部353とが互いに係合することによりベッセルキャップ31に取り付けられる。この構成によれば、ベッセルキャップ31とベッセル継手35(35A)とをより確実に係合させることができるうえ、ベッセルキャップ31へのベッセル継手35(35A)の取り付け、取り外しをより簡単に行うことができる。
〔第2実施形態〕
図28は、第2実施形態における水処理装置連結ユニットU2の正面図である。
第2実施形態の水処理装置連結ユニットU2(以下、「ユニットU2」ともいう)は、水処理装置2A及び2Bにおいて、ベッセル12(RO膜モジュール10)が高さ方向(Y方向)に沿って直線的に配置されている点が第1実施形態と相違する。第2実施形態のユニットU2において、その他の構成は、第1実施形態と実質的に同じである。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態の図3に対応するユニットU2の正面図のみを図示し、その他の構成に関する図示を省略する。また、第2実施形態の説明及び図面において、第1実施形態と同等の部材等には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図28に示すように、第2実施形態の水処理装置2A及び2Bにおいて、RO膜モジュール10A~10Fの各ベッセル12は、高さ方向(Y方向)に沿って等間隔となるように配置される。また、RO膜モジュール10A~10Fの各ベッセル12は、水処理装置2A及び2Bにおいて、高さ方向(Y方向)に沿って直線的に配置される。なお、第2実施形態のベッセル12も、第1実施形態(例えば、図4参照)と同様に、長手方向が前後方向(Z方向)と平行となるように配置される。
第2実施形態の水処理装置2A及び2Bにおいても、第1実施形態と同様に、ベッセル継手35は、ベッセルキャップ31に対して着脱自在に構成されるため、RO膜モジュール10の交換、メンテナンス等の作業をより効率良く行うことができ、作業性に優れている。その他、第2実施形態の水処理装置2A及び2Bにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明に係る水処理装置及び水処理装置連結ユニットの好ましい実施形態(第1及び第2実施形態)について説明した。しかし、本発明に係る水処理装置及び水処理装置連結ユニットは、前述した実施形態の構成に限らず、適宜に変更可能である。
実施形態では、1つのROユニット3に6本のRO膜モジュール10を保持する例について説明したが、これに限定されない。1つのROユニット3に7本以上のRO膜モジュール10を保持するように構成してもよい。また、1つのROユニット3に5本以下のRO膜モジュール10を保持するように構成してもよい。例えば、6本のRO膜モジュール10を保持可能なROユニット3に、5本のRO膜モジュール10を保持させてもよい。その場合、ROユニット3において、最も上側(Y1側)に設けられた開口孔121をキャップ等(不図示)により塞ぐようにしてもよい。
実施形態の水処理装置連結ユニットU1(U2)を、更に複数設置した構成とすることもできる。例えば、2つの水処理装置連結ユニットU1(U2)を、左右方向(X方向)に並べて設置してもよい。その場合、2つの水処理装置連結ユニットU1(U2)の間に、メンテナンスのためのスペースを設けることが好ましい。このようなスペースを設けることにより、2つの水処理装置連結ユニットU1(U2)において、左右方向で対向するそれぞれの水処理装置2を、側面からメンテナンスすることも可能となる。また、1つの水処理装置連結ユニットU1(U2)と、1個の水処理装置2A又は2Bを、左右方向(X方向)に並べて設置してもよい。その場合も、水処理装置連結ユニットU1(U2)と水処理装置2A又は2Bとの間に、メンテナンスのためのスペースを設けることが好ましい。