JP7110724B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乗員が操舵可能なステアリングホイールを備えたステアリング装置に関し、特に所定周波数の触覚的ノイズを付与するステアリング装置に関する。
従来から、乗員がステアリングホイールを操舵することによって車両の左右前輪の向きを変えて車両の進行方向を変えるように構成された、例えばラックアンドピニオン式のステアリング装置が車両に搭載されている。ステアリングホイールは、ステアリングシャフト等を介して左右の前輪に機械的に連結されており、乗員は操舵の手応え(操舵反力)等を感じながら運転することができる。
一方で、車両の操作性の向上のため、乗員によって操作される操作機構と、乗員に付与する反力を操作機構に発生させる反力生成機構と、乗員による操作機構の操作量に応じて車両が所定の応答量動作するように駆動する駆動手段とを備えたバイワイヤ機構を搭載した車両が知られている。このようなバイワイヤ機構を採用した車両では、操作機構と駆動手段を機械的要素による連結から電気信号による連結に置き換えることにより、乗員による操作機構の操作と乗員に対する反力と車両の応答とを機械的に分離された独立要素として夫々制御している。
バイワイヤ機構のうちステアリングバイワイヤ技術は、乗員により操作されたステアリングホイールの操舵角をパラメータとして、ステアリングホイールを介した乗員への操作反力と車両の挙動を夫々制御している。
ここで、乗員が車両の運転(操作機構の操作)をすることによって満足感や充実感を得るためには、乗員が意のままの操作を達成できることが必要不可欠である。そして、意のままの操作の達成とは、操作機構の操作に伴う手応えに基づいて直感的な操作ができることであり、換言すれば、この手応えに基づく直感的な操作により乗員が所望する走行制御が実行可能であることと定義付けすることができる。
例えば、特許文献1の車両用操作反力制御装置は、乗員とステアリング装置を含む操作機構の系全体の力学特性を設定する系全体力学特性設定手段と、所定の評価指数の値を定める評価指数値設定手段と、乗員の人間系力学特性の値を定める人間系力学特性値設定手段と、定められた乗員の力学特性値を系全体力学特性に入力すると共に定められた評価指数値が得られるように系全体の力学特性における機械系力学特性の値を定める機械系力学特性値設定手段と、定められた機械系力学特性値に基づき操作機構の操作反力を制御する操作反力制御手段を有している。これにより、人間の四肢の力学特性を考慮した操作反力を得ることができ、乗員の負担を軽減して操作性向上を図っている。
特開2008-296605号公報
通常、乗員が受け取る走行情報の90%以上は視覚からの情報と言われており、乗員は視覚を介して実際の車両の挙動を認識してステアリング装置等の操作機構の操作を行っている。それ故、予期しない車両挙動が突然生じた場合に、乗員は瞬時の状況判断及び操作機構の操作が要求されるため、車両の運転による満足感や充実感を十分に得ることは難しい。
乗員が視覚で捉えられない路面状態や操舵したときの前輪のタイヤの捩れ等の走行情報は、前輪に機械的に連結されているステアリングホイールから乗員に直接的に伝達されている。そのため、車両の挙動が視覚を通じて認識される前に、ステアリングホイールを把持する掌やステアリングホイールを操舵する上腕の骨格筋を介した触覚に分類される感覚によって走行情報を含んだ刺激を感知し認識することが可能である。
しかし、触覚の弁別能、即ちステアリングホイールを介して感知可能な知覚閾値は人体の掌や骨格筋に存在する機械受容器の種類によって異なる。また、走行情報を含んだ知覚閾値未満の刺激が前輪からステアリングホイールに伝達されても、乗員は刺激を感知して走行情報を認識することができない。従って、車両の挙動が視覚を介して認識される前段階における走行情報を、車両の操舵に十分に生かしきれていない虞がある。
また、特許文献1の車両用操作反力制御装置では、操作機構であるステアリングホイールと駆動手段である前輪の機械的な連結が電気的な連結に置き換えられたので、乗員に応じた操作反力を得ることはできても、路面状態や前輪のタイヤの捩れ等を乗員に伝達することは困難である。
本発明の目的は、従来感知できなかった走行情報を、人体の上腕に備わった機械受容器を介して感知可能なステアリング装置を提供することである。
請求項1の発明は、乗員が操舵可能なステアリングホイールを備えたステアリング装置において、乗員が感知不能な触覚的ノイズを前記ステアリングホイールに付与可能なノイズ付与手段を設け、前記触覚的ノイズの周波数が、上腕の機械受容器の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定され、前記触覚的ノイズの周波数は、前記ステアリングホイールの操舵角に応じて設定され、前記ステアリングホイールの操舵角が大きいときの周波数が前記ステアリングホイールの操舵角よりも操舵角が小さいときの周波数よりも小さいことを特徴としている。
このステアリング装置では、乗員が感知不能な触覚的ノイズをステアリングホイールに付与可能なノイズ付与手段を設けているので、路面状態や前輪のタイヤの捩れ状態等の走行情報の刺激は触覚的ノイズと一緒に乗員に伝達される。この触覚的ノイズの周波数が、上腕の機械受容器の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されているため、機械受容器の知覚閾値に満たない走行情報の刺激であっても確率共鳴現象を利用して乗員に感知させることができる。従って、乗員は、従来感知できなかった走行情報を感知して車両の挙動を予測して操舵を行うことができるので、このステアリング装置は車両の操作性を向上させることができる。
そして、前記触覚的ノイズの周波数は、前記ステアリングホイールの操舵角が大きいときの周波数が前記ステアリングホイールの操舵角よりも操舵角が小さいときの周波数よりも小さいため、ステアリングホイールの操舵角に応じて走行情報を選択的に機械受容器に感知させることができる。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記ステアリングホイールの操舵角が中立位置近傍の第1操舵角領域のとき、前記触覚的ノイズの周波数が、前記機械受容器のうちのパチニ小体の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されたことを特徴としている。
この構成によれば、刺激の加速度感知に優れたパチニ小体の特性を用いて走行情報に含まれる路面状態を乗員に認識させることができ、乗員に前輪の接地感を誘起することができる。
請求項の発明は、請求項の発明において、前記ステアリングホイールの操舵角が前記第1操舵角領域よりも大きい第2操舵角領域のとき、前記触覚的ノイズの周波数が、前記機械受容器のうちのマイスナー小体及び筋紡錘の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されたことを特徴としている。
この構成によれば、刺激の速度感知に優れたマイスナー小体の特性及び上腕の骨格筋の伸長を感知する筋紡錘の特性を用いて、視覚によって車両の挙動の変化を認識する前に、走行情報に含まれる旋回初期の前輪のタイヤの捩れ状態を反映する操舵反力を乗員に認識させることができる。
本発明のステアリング装置によれば、従来感知できなかった走行情報を人体の上腕に備わった機械受容器を介して感知可能であり、車両の操作性を向上させることができる。
本発明の実施例に係る車両のステアリング装置の構成を示す図である。 マイスナー小体の周波数応答特性を示す図である。 パチニ小体の周波数応答特性を示す図である。 ステアリングホイールに伝達される感知できない刺激の例を示す図である。 刺激として感知不能な触覚的ノイズの例を示す図である。 図4の刺激に図5の触覚的ノイズを重畳した刺激の例を示す図である。 操舵角と操舵反力の関係を例示する図である。 実施例に係る操舵角と付与する触覚的ノイズの周波数の関係を示す図である。 触覚的ノイズ付与の効果を検証した例を示す図である。 触覚的ノイズ付与の効果を評価した例を示す図である。
以下、本発明のステアリング装置1を実施例に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、車両は乗員(運転者)が操舵可能なステアリングホイール2有するステアリング装置1を備えている。このステアリング装置1は、例えばラックアンドピニオン式のステアリング装置であり、ステアリングホイール2のシャフト(ステアリングシャフト3)に軸の方向を変える中間シャフト4が自在継手を介して連結されている。中間シャフト4の下端部のステアリングギアボックス5内で、中間シャフト4の下端のピニオンギア(図示略)の回転をラックギア(図示略)の車幅方向の動きに変換する。このラックギアの車幅方向の動きによって、ラックギアの両端のタイロッド6が連結された左右の前輪7の向きを変える。ステアリング装置1は、乗員の操舵を電動モータや油圧等でアシストするアシスト機構を備えていてもよい。路面の凹凸等の情報(路面情報)や操舵反力は、ステアリングホイール2から乗員に伝達される。
ステアリングシャフト3を覆うステアリングコラム8には、乗員によるステアリングホイール2の操作量(操舵角)を検出可能な操舵角センサ9(操舵角検出手段)と、ステアリングシャフト3を介してステアリングホイール2に乗員が感知不能な触覚的ノイズ(振動)を付与可能な振動装置10(ノイズ付与手段)等を備えている。
振動装置10は例えば電力で振動するピエゾ素子等の振動子によって構成されている。その振動の周波数は、例えば1~400Hzの間で任意に調整可能であり、振動の大きさも調整可能である。また、複数の周波数の振動を同時に付与できるように複数の振動子を備えていてもよい。操舵角センサ9と振動装置10は、制御装置(ECU11)に電気的に接続され、ECU11は操舵角センサ9が検出した操舵角に基づいて振動装置10を制御するように構成されている。
次に、ECU11について説明する。
ECU11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。ROMには、制御するための種々のプログラムやデータが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
一般的に、車両直進時のステアリングホイール2の位置である中立位置の近傍には、操舵しても前輪7の向きが変わらない領域がある。この領域は、中立位置を中心として左右に夫々所定の第1操舵角までの範囲に設けられている。これにより、例えば直進走行時に路面凹凸によってステアリングホイール2を把持する乗員の上腕が搖動して意図しない操舵が行われても、車両が左右に大きく振られずに直進することができる。第1操舵角は車両によって適宜設定され、中立位置を0°としたときに例えば2°に設定されている。
次に、操舵に関連する乗員の上腕に備わっている機械受容器について説明する。
機械受容器は、外部からの刺激を感知すると発火(応答)する。詳しくは、外部からの刺激の大きさに対応した皮膚の変位量等が所定の閾値(知覚閾値)を超えると、その応答としてパルス状の活動電位を発生させる。このパルス状の活動電位が神経細胞を伝わって脳に至り、外部からの刺激を認識する。従って、所定の知覚閾値を超えない刺激は、機械受容器が発火しないので認識されない。
皮膚組織に備わった触覚に関する機械受容器は、刺激に対する応答順応の速さ及び受容野の広さによって分類されている。例えば、順応が遅く受容野が狭いメルケル細胞、順応が速く受容野が狭いマイスナー小体、順応が速く受容野が広いパチニ小体等に分類されている。
マイスナー小体は、図2に示すような周波数が小さい領域(例えば10~80Hzの共振周波数帯域)の刺激に対して応答する知覚閾値(Threshold)が小さくなる特性を有している。換言すると、マイスナー小体は、その共振周波数帯域の刺激による皮膚の変位速度の感知に関して優れた感度を有している。脳は、例えばステアリングホイール2を操舵したときの操舵反力を、掌の皮膚の変位速度を感知するマイスナー小体を介して認識する。
パチニ小体は、図3に示すように、マイスナー小体よりも大きい周波数領域(例えば80~400Hzの共振周波数帯域)の刺激に対して応答する知覚閾値(Threshold)が小さくなる特性を有している。換言すると、パチニ小体は、その共振周波数帯域の刺激による皮膚の変位加速度の感知に関して優れた感度を有している。脳は、例えばステアリングホイール2から伝達される路面凹凸による振動を、掌の皮膚の変位加速度を感知するパチニ小体を介して認識する。
一方、上腕を動かすための骨格筋には、その骨格筋の伸長を感知して応答する機械受容器として筋紡錘が備わっている。筋紡錘は、図示を省略するが、マイスナー小体と同じ共振周波数帯域の刺激による筋肉の伸長に関して優れた感度を有する。脳は、例えばステアリングホイール2を操舵したときの操舵反力を、上腕の骨格筋の伸長を感知する筋紡錘を介しても認識する。
次に、確率共鳴について説明する。
図4に模式的に示した感知できない大きさの刺激(機械受容器の知覚閾値を超えない刺激)に、図5のような単独では感知不能な触覚的ノイズ(機械受容器の知覚閾値を超えない大きさ且つ刺激よりも周波数が大きい振動)を重畳させると、図6に模式的に示すように刺激が大きいところで触覚的ノイズが機械受容器の知覚閾値を瞬間的に超える確率が高くなり、機械受容器の応答が刺激に確率的に同期(共鳴)する。この現象を確率共鳴といい、上記のマイスナー小体、パチニ小体、筋紡錘に限らず人体の機械受容器において生じる。この確率共鳴現象を利用すると、通常は感知できない大きさの刺激を機械受容器に感知させて脳に認識させることが可能になる。機械受容器の共振周波数帯域の触覚的ノイズを重畳させた場合には、その共振周波数帯域で感度が優れた機械受容器に刺激を感知させることができる。また、単純に刺激を増幅した場合に刺激の大きさを誤って認識させてしまう弊害が、この確率共鳴現象では発生し難い。
次に、操舵反力について説明する。
直進走行時に旋回や進路の変更のために乗員が操舵角を大きくしてゆき第1操舵角を超えると、操舵方向に前輪7の向きが変わり始めるが、車両の挙動の変化は僅かであり視覚から認識されない。このとき、ステアリング装置1の機械抵抗等と共に前輪7のタイヤに生じる捩れが操舵反力としてステアリングホイール2から乗員の上腕に伝達される。
図7に示すように、乗員が操舵角を大きくしてゆき第1操舵角を超えても、操舵反力が小さいため上腕の骨格筋の伸長が筋紡錘の知覚閾値未満であり、筋紡錘が操舵反力による上腕の骨格筋の伸長を感知できない。さらに操舵角を大きくしてゆくと操舵反力が大きくなるので、上腕の骨格筋の伸長が大きくなって筋紡錘が感知し、乗員は操舵反力を認識する。従って、乗員はある程度の大きさになった操舵反力を唐突に認識するので、操舵反力を認識した後の車両の挙動の予測はそれ以前の車両の挙動に対して連続性を維持し難く、滑らかな操舵が困難になる。
そこで、ステアリングコラム8に配設された振動装置10を筋紡錘の共振周波数帯域に含まれる周波数で作動させて、ステアリングホイール2に乗員が感知不能な触覚的ノイズを付与する。これにより、確率共鳴現象を利用して筋紡錘に知覚閾値を瞬間的に超える上腕の骨格筋の伸長を感知させて、乗員に第1操舵角を超えた直後の従来感知できなかった操舵反力を認識させる。これと同時に、筋紡錘の共振周波数帯域と同じ共振周波数帯域を有するマイスナー小体においても確率共鳴を利用して、前輪7の向きが変わり始めた直後の小さい操舵反力を、ステアリングホイール2を把持する掌のマイスナー小体を介して乗員に認識させる。
操舵角を増加させていくと操舵反力が大きくなって確率共鳴現象を利用しなくても操舵反力を認識できるようになると共に、車両の挙動の変化を視覚を介して認識できるようにもなるので、所定の第2操舵角(例えば10°)を超えた後は触覚的ノイズの付与を停止しても構わない。少なくとも前輪7の向きが変わり始める第1操舵角からこの第2操舵角までの第2操舵角領域において、筋紡錘及びマイスナー小体の共振周波数帯域に含まれる周波数で振動装置10を振動させて触覚的ノイズをステアリングホイール2に付与する。第2操舵角も車両によって適宜設定される。
一方、車両走行時には、操舵角によらず凹凸等の路面情報を反映する振動がステアリングホイール2から乗員の上腕に伝達される。この路面情報の刺激は、前輪7が路面をしっかり捉えている感覚(接地感)を乗員に誘起させる。接地感は、前輪7が路面を捉えて意のままの操作が可能であるという運転に対する安心感の基になる。接地感を一層高めるために、路面情報を反映する振動に対して、パチニ小体の共振周波数帯域に含まれる周波数で振動装置10を振動させて触覚的ノイズを重畳する。これにより、確率共鳴現象を利用してパチニ小体の知覚閾値未満の従来感知できなかった路面情報の刺激を掌のパチニ小体を介して乗員に認識させることができる。
振動装置10によって付与する触覚的ノイズの周波数を図8に示す。中立位置の操舵角0°から少なくとも第1操舵角までの第1操舵角領域において、触覚的ノイズの周波数は、直線L1で示すように、掌のパチニ小体の共振周波数帯域(80Hz~400Hz)に含まれた周波数(例えば100Hz)である。また、少なくとも第1操舵角から第2操舵角までの第2操舵角領域において、触覚的ノイズの周波数は、直線L2で示すように、上腕の骨格筋の筋紡錘及び掌のマイスナー小体の共振周波数帯域(10Hz~80Hz)に含まれた周波数(例えば20Hz)である。
このように、ステアリングホイール2の操舵角に応じて触覚的ノイズの周波数を設定しており、操舵角が大きいときの周波数は操舵角が小さいときの周波数よりも小さい。尚、触覚的ノイズの周波数は、曲線L3で示すように、第1、第2操舵角領域において夫々操舵角が大きくなる程周波数が小さくなるように各機械受容器の共振周波数帯域内で連続的に変化させてもよい。また、パチニ小体の共振周波数帯域に含まれた周波数の触覚的ノイズを、直線L1の延長線のように第1操舵角領域を超えて付与するようにしてもよいが、異なる周波数の触覚的ノイズを合成したときに機械受容器の知覚閾値を超えないように調整する。
次に、本実施例の車両のステアリング装置1における作用、効果について説明する。
図9は、路面が車両進行方向に対して右側が低くなるように傾いた直線の試験路において、一定速度で車両を直進させたときの乗員による操舵角の時間変化の1例を示しており、左に操舵したときを正、右に操舵したときを負として操舵角を表示している。車両は、進行するにつれて徐々に右側に向かってゆくので、乗員はこの進路のずれを修正するための操舵を行っている。破線M1で示すように、触覚的ノイズを付与しない場合には、乗員は操舵反力又は車両の向きの変化を認識するまで操舵角を大きくするので、操舵角が10°程度まで大きくなる場合があった。
実線M2で示すように、第2操舵角領域においてステアリングホイール2に20Hzの触覚的ノイズを付与した場合には、乗員は操舵角が小さいうちに操舵反力を認識し、車両の挙動を予測して操舵できるため、触覚的ノイズを付与しない場合よりも操舵角は大きく変動しなかった。また、触覚的ノイズを付与しない場合に見られた中立位置0°を挟んで左右に頻繁に切替える操舵も減り、連続した滑らかな操舵となっている。従って、触覚的ノイズを付与しない場合よりも、乗員の意のままの操舵に近づいているということができる。
さらに、第1操舵角領域においてステアリングホイール2に100Hzの触覚的ノイズを付与すると共に、第2操舵角領域においてステアリングホイール2に100Hzの触覚的ノイズを20Hzの触覚的ノイズと同時に付与した場合を実線M3で示した。乗員はステアリングホイール2から伝達される走行路面の凹凸による振動を認識し易くなり、乗員の体感として100Hzの触覚的ノイズを付与しない場合と比べて路面情報が分かり易くなっていた。そしてこの100Hzの触覚的ノイズを付与しても、操舵反力の認識が妨げられることはなく、操舵角の大きさは第2操舵角領域において20Hzの触覚的ノイズのみ付与した場合と同程度になっており、連続した滑らかな操舵となっている。
図10は、所定時間毎(例えば150ミリ秒毎)に操舵角センサ9が検知した複数(例えば3つ)の操舵角データに基づいて滑らかに操舵した場合に予測された次の操舵角と、実際に検知した操舵角との差を、左に操舵したときを正、右に操舵したときを負として適当な時間間隔でプロットして、操舵の滑らかさを評価した例である。破線N1は触覚的ノイズを付与しない場合であり、予測された操舵角と実際の操舵角に最大15°程度の差が生じている。一方、実線N2は20Hzの触覚的ノイズを付与した場合であり、予測された操舵角と実際の操舵角の差は5°未満に収まり、触覚的ノイズを付与しない場合よりも滑らかな操舵となっていることがわかる。
以上のように、ステアリング装置1によれば、乗員が感知不能な触覚的ノイズをステアリングホイール2に付与することによって、確率共鳴現象を利用して機械受容器を介して乗員に操舵初期の小さい操舵反力や路面状態等の従来感知できなかった走行情報を認識させることができる。それ故、乗員は、その後の車両の挙動を的確に予測して操舵を行うことができるので、ステアリング装置1は車両の操作性を向上させて意のままの操作を実現することができる。
触覚的ノイズの周波数は、ステアリングホイール2の操舵角に応じて設定されているので、機械受容器に感知させる走行情報をステアリングホイール2の操舵角に応じて変えることができる。また、触覚的ノイズの周波数は、ステアリングホイール2の操舵角が大きいときの周波数がステアリングホイール2の操舵角が小さいときの周波数よりも小さい。従って、ステアリングホイール2の操舵角に応じて感知させる走行情報を選択的に機械受容器に感知させることができる。
ステアリングホイール2の操舵角が中立位置近傍の第1操舵角領域のとき、触覚的ノイズの周波数が、機械受容器のうちのパチニ小体の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されている。従って、共振周波数帯域で刺激の加速度検出に優れたパチニ小体の特性を用いて、乗員の掌を介して微小な路面状態を認識させることができ、乗員に前輪7の接地感を誘起することができる。
ステアリングホイール2の操舵角が第1操舵角領域よりも大きい第2操舵角領域のとき、触覚的ノイズの周波数が、機械受容器のうちのマイスナー小体及び筋紡錘の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されている。従って、共振周波数帯域で刺激の速度検出に優れたマイスナー小体の特性及び上腕の骨格筋の伸長の感知に優れた筋紡錘の特性を用いて、乗員が視覚によって車両の挙動の変化を認識する前に、旋回初期の前輪7のタイヤの捩れ状態を反映する操舵反力を乗員に認識させることができる。
ステアリング装置1は、操舵角センサ9が検出した操舵角が所定操舵角以下のとき、振動装置10によってステアリングホイール2に触覚的ノイズが付与される。従って、視覚によって車両の挙動を認識し難い操舵角が小さいときの小さい操舵反力を、機械受容器に感知させて乗員に認識させることができる。振動装置10は、ステアリングシャフト3を覆うステアリングコラム8に設けられた振動子によって構成されているので、触覚的ノイズをステアリングホイール2に付与してステアリングホイール2の把持位置によらずに走行情報を乗員に認識させることができる。
上記実施例ではラックアンドピニオン式のステアリング装置1について説明したが、例えばステアリングホイールの操舵に応じて電動モータでラックギアを動かして前輪の向きを変えるステアバイワイヤ式のステアリング装置に適用することも可能である。図示を省略するが、ステアバイワイヤ式のステアリング装置を搭載した車両には、加速度センサが検出した横方向(車幅方向)の加速度に対応させた自然な操作感を提供するための反力モータや操舵角センサが備わっている。このステアリング装置に、路面からの振動を検出する振動センサと、この振動センサで検出した振動及び触覚的ノイズを個別に又は合成してステアリングホイールに付与する振動子を装備させることによって、確率共鳴を利用して通常は感知できない走行情報(操舵初期のタイヤの捩れを反映する微小な横方向の加速度に対応させた操舵反力、路面情報等)を乗員に認識させるようにすることができる。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 :ステアリング装置
2 :ステアリングホイール
3 :ステアリングシャフト
4 :中間シャフト
5 :ステアリングギアボックス
6 :タイロッド
7 :前輪
8 :ステアリングコラム
9 :操舵角センサ
10 :振動装置
11 :ECU

Claims (3)

  1. 乗員が操舵可能なステアリングホイールを備えたステアリング装置において、
    乗員が感知不能な触覚的ノイズを前記ステアリングホイールに付与可能なノイズ付与手段を設け、
    前記触覚的ノイズの周波数が、上腕の機械受容器の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定され
    前記触覚的ノイズの周波数は、前記ステアリングホイールの操舵角に応じて設定され、前記ステアリングホイールの操舵角が大きいときの周波数が前記ステアリングホイールの操舵角よりも操舵角が小さいときの周波数よりも小さいことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記ステアリングホイールの操舵角が中立位置近傍の第1操舵角領域のとき、前記触覚的ノイズの周波数が、前記機械受容器のうちのパチニ小体の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記ステアリングホイールの操舵角が前記第1操舵角領域よりも大きい第2操舵角領域のとき、前記触覚的ノイズの周波数が、前記機械受容器のうちのマイスナー小体及び筋紡錘の共振周波数帯域に含まれた周波数に設定されたことを特徴とする請求項2に記載のステアリング装置。
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