以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ述べる。
この実施形態は、図1~図18に示すように、本発明をいわゆるフラップテーブルと称されるフラップ天板付家具Tに適用したものである。
このフラップ天板付家具Tは、図1~図6に示すように、車輪ロック状態(L)又は車輪非ロック状態(N)に選択切換可能なキャスタ4、5を有する左右対をなす脚体1A、1Bと、前記脚体1A、1Bに支持されて使用姿勢(U)から跳ね上げ姿勢(F)までの間でフラップ動作可能な天板2と、この天板2のフラップ動作を利用して前記キャスタ4、5を前記車輪ロック状態(L)又は前記車輪非ロック状態(N)に切り換える左右対をなす動作連動手段3A、3Bとを具備してなる。
ここで、図1は、使用姿勢(U)を示す斜視図であり、図2は同正面図であり、図3は同使用姿勢(U)を示す拡大した側面図である。図4は、跳ね上げ姿勢(F)を示す斜視図であり、図5は同正面図であり、図6は、同跳ね上げ姿勢(F)を示す拡大した側面図である。図7は、図5におけるA-A線に沿った一部省略した拡大断面図である。図8は、前記キャスタ4、5を分解して示す斜視図である。図9は、脚体1A及び後述する天板支持機構6Aを分解して示す斜視図である。図10は、動作連動手段3A、後述する一時解除用操作部7A及び後述する一時解除用動作変換機構8Aを示す斜視図である。
前記左の脚体1Aは、前後に伸びるベース11と、前記ベース11に立設された脚支柱12とを備えたものであり、前記ベース11の使用縁x側の端部に第1のキャスタ4が設けられているとともに、反使用縁y側の端部に第2のキャスタ5が設けられている。
前記ベース11は、図7及び図9に示すように、例えばアルミダイキャスト製の下方に開放されたチャンネル状のもので、前後両端部に前記第1、第2のキャスタ4、5を装着するためのキャスタ取付部111を備えている。また、このベース11の前後方向中間部には、脚支柱12を取り付けるための取付台座112が設けられている。この取付台座112には、前記脚支柱12の下端部が嵌合して位置決めされる位置決め凸部113と、取付用のネジが挿通されるネジ挿通孔114と、後述する上下連動シャフト33を挿通させるための挿通窓115と、後述する軸受35を取り付けるための嵌合凹部116とが設けられている。
前記脚支柱12は、パイプ状をなすもので、その下端近傍部の内部に底板ナット120が固設されている。詳述すれば、前記脚支柱12は、前壁121、後壁122、内側壁123、外側壁124及び外側傾斜壁125を備えた断面略五角形状のものである。この脚支柱12は、図2及び図5に示すように、前記外側壁124の外面すなわち当該脚支柱12の外側面12aが前記ベース11の外側面11aと略面一となるように外側に偏移させた状態で前記ベース11上に立設されている。具体的には、図9に示すように、脚支柱12の下端部をベース11の前記取付台座112上に嵌合させた上で、前記ベース11の下面側から前記ネジ挿通孔114に挿入した図示しないネジを前記底板ナット120の雌ネジ孔126に螺着して緊締することによりこの脚支柱12が前記ベース11上に取り付けられるようにしている。
前記第1のキャスタ4は、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態(L)又は前記車輪非ロック状態(N)に選択的に切り換わるように構成されたものである。すなわち、このキャスタ4は、図7及び図8に示すように、前記ベース11の使用縁x側すなわち前端側に装着されたもので、前記ベース11の前記キャスタ取付部111に嵌着された支持体41と、この支持体41内に配設されスラストベアリング48を介して水平旋回可能に保持されたターンベース42と、このターンベース42の旋回中心から外れた位置に水平軸43を介して軸着された車輪44と、この車輪44に係脱して車輪ロック状態(L)又は車輪非ロック状態(N)を実現するためのロック体45と、前記支持体41に前後移動可能に保持された前記操作部である作動部46と、この作動部46の前後方向動作を前記ロック体45の昇降動作に変換するカム機構47とを具備してなる。詳述すれば、前記車輪44のリム部441内周には、ハブ側に向かって解放された複数の係合凹部44aが円周方向に隣接させて形成されている。前記ロック体45は、先端に設けたロック爪451を前記リム部441の内側に位置させて昇降可能に設けられたもので、上動位置(J)で前記ロック爪451が前記係合凹部44aのいずれかに係合して車輪44を車輪ロック状態(L)とする一方、降下位置(K)で前記ロック爪451が前記係合凹部44aから外れて車輪非ロック状態(N)とするようになっている。なお、このキャスタ4においては、前記ロック体45の基端部上面に旋回ロック爪452が突設されており、前記ロック体45が上動位置(J)に上昇した際に前記旋回ロック爪452が支持体41の天壁下面に設けられた旋回ロック用の係合凹部41aに係合して前記ターンベース42の旋回も禁止されるようになっている。前記カム機構47は、前記ロック体45の基端部上面に突設したカムフォロワ471と、このカムフォロワ471の上方に位置させて前記作動部46の下面に形成されたカム472とを備えたものである。前記カム472は、前記カムフォロワ471を有するロック体45の上動を許容する深溝部473と、前記カムフォロワ471を下方に押し下げて前記ロック体45を降下位置(K)に保持する浅溝部474とを備えている。以上説明した第1のキャスタ4においては、前記深溝部473が前記浅溝部474よりも使用縁x側に位置しており、前記作動部46が最前進位置(Z)に位置すると前記ロック体45のカムフォロワ471が前記カム472の浅溝部474に押圧されて当該ロック体45が降下位置(K)に押し下げられロック爪451が車輪44の係合凹部から外れて車輪44がフリー状態となる。すなわち、車輪非ロック状態(N)となる。一方、前記作動部46が最後退位置(B)に位置すると前記ロック体45のカムフォロワ471が前記カムの深溝部473に対応することになり、前記ロック体45がバネS1の付勢力により上動してそのロック爪451が前記車輪44のいずれかの係合凹部44aに係合し車輪44の回転が禁止される。すなわち、車輪ロック状態(L)となる。なお、符号49は、前記ターンベース42における下端の開口部を被覆するカバーである。
前記第2のキャスタ5は、操作力を受け付ける操作部を有し、その操作部を作動させることにより前記車輪ロック状態(L)又は前記車輪非ロック状態(N)に選択的に切り換わるように構成されたものである。すなわち、このキャスタ5は、図7に示すように、前記ベース11の反使用縁y側すなわち後側に装着されたもので、前記ベース11の前記キャスタ取付部111に嵌着された支持体51と、この支持体51内に配設されスラストベアリング58を介して水平旋回可能に保持されたターンベース52と、このターンベース52の旋回中心から外れた位置に水平軸53を介して軸着された車輪54と、この車輪54に係脱して車輪ロック状態(L)又は車輪非ロック状態(N)を実現するためのロック体55と、前記支持体51に前後移動可能に保持された前記操作部である作動部56と、この作動部56の前後方向動作を前記ロック体55の昇降動作に変換するカム機構57とを具備してなる。詳述すれば、前記車輪54のリム部541内周には、ハブ側に向かって解放された複数の係合凹部54aが円周方向に隣接させて形成されている。前記ロック体55は、先端に設けたロック爪551を前記リム部541の内側に位置させて昇降可能に設けられたもので、上動位置(J)で前記ロック爪551が前記係合凹部のいずれかに係合して車輪54を車輪ロック状態(L)とする一方、降下位置(K)で前記ロック爪551が前記係合凹部から外れて車輪非ロック状態(N)とするようになっている。前記カム機構57は、前記ロック体55の基端部上面に突設したカムフォロワ571と、このカムフォロワ571の上方に位置させて前記作動部56の下面に形成されたカム572とを備えたものである。前記カム572は、前記カムフォロワ571を有するロック体55の上動を許容する深溝部573と、前記カムフォロワ571を下方に押し下げて前記ロック体55を降下位置(K)に保持する浅溝部574とを備えている。以上説明した第2のキャスタ5においても、前記深溝部573が前記浅溝部574よりも使用縁x側に位置しており、前記作動部56が最前進位置(Z)に位置すると前記ロック体55のカムフォロワ571が前記カム572の浅溝部574に押圧されて当該ロック体55が降下位置(K)に押し下げられロック爪551が車輪54の係合凹部54aから外れて車輪54がフリー状態となる。すなわち、車輪非ロック状態(N)となる。一方、前記作動部56が最後退位置(B)に位置すると前記ロック体55のカムフォロワ571が前記カム572の深溝部573に対応することになり、前記ロック体55がバネS1の付勢力により上動してそのロック爪551が前記車輪54のいずれかの係合凹部54aに係合し車輪54の回転が禁止される。すなわち、車輪ロック状態(L)となる。なお、符号59は、前記ターンベース52における下端の開口部を被覆するカバーである。
ここで、前記第1のキャスタ4の作動部46と前記第2のキャスタ5の作動部56とは、図7及び図10に示すように、前記ベース11内に収容されたキャスタ連動部材13により接続されており、このキャスタ連動部材13が前記両作動部46、56とともに最後退位置(B)に移動した状態で前記両キャスタ4、5が車輪ロック状態(L)となり、前記キャスタ連動部材13が前記両作動部46、56とともに最前進位置(Z)に移動した状態で前記両キャスタ4、5が車輪非ロック状態(N)となるように構成されている。なお、この実施形態では、図9及び図10に想像線により示すように、前記キャスタ連動部材13と前記ベース11に設けられた突起11xとの間に引張バネS2が設けられており、この引張バネS2の付勢力により前記キャスタ連動部材13が最後退位置(B)に自己復帰し得るようになっている。すなわち、このキャスタ連動部材13に操作力が作用しない状態では、このキャスタ連動部材13が自動的に後退して第1及び第2のキャスタ4、5が車輪ロック状態(L)に維持されるように設定されている。
なお、右の脚体1Bと左の脚体1Aとは左右対称形状をなしている。そして、これら両脚体1A、1B上に天板支持機構6A、6Bを介して前記天板2がフラップ動作可能に支持されている。
左の天板支持機6Aは、図9に示すように通常の構成をなすものであり、前記脚体1Aに取り付けられた軸プレート61と、この軸プレート61に主軸67を介して軸支持され上面で前記天板2を受ける天板受け62と、この天板受け62を前記使用姿勢(U)及び前記跳ね上げ姿勢(F)に選択的にロックするためのロック爪63とを配してなるものである。
前記軸プレート61は、図9に示すように、前記脚体1Aの内側面にネジを用いて取り付けられた取付部65と、この取付部65から上方に延出し前記天板受け62を主軸67を介して軸支持するヘッド部66とを備えたものである。前記ヘッド部66は、前記ロック爪63と係わり合って前記天板2を使用姿勢(U)にロックする第1の係止部601及び前記ロック爪63と係わり合って前記天板2を跳ね上げ姿勢(F)にロックする第2の係止部602を有する爪受け60を備えたものである。
前記天板受け62は、図9に示すように、前記天板2の下面2aに取り付けられる上板621と、この上板621の両側縁から延出され前記ヘッド部66の両側に位置する対をなす側板622、623とを備えたものである。
前記ロック爪63は、図9に示すように、例えば、先端側に屈曲部631を備えた鎌状のもので、基端部632に前記駆動軸633が一体回転可能に貫装されている。駆動軸633の外方端63aは、一方の側板622から外側方に突出しており、その外方端63aにフラップ動作用操作部630が装着されている。このフラップ動作用操作部630は、後述する一時解除用操作部7は異なり、レバー式のものである。前記ロック爪63は、図示しないねじりコイルスプリング等により軸プレート61の爪受け60方向に回動付勢されており、使用姿勢(U)においては、このロック爪63の屈曲部631が前記爪受け60の第1の係止部601に係わり合い、跳ね上げ姿勢(F)においては、前記屈曲部631の先端が前記爪受け60の第2の係止部602に係わり合うようになっている。
右の天板支持機構6Bは、以上説明した左の天板支持機6Aと左右対称形状をなすものであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前記左右の天板支持機構6A、6Bにおける軸プレート61は、連結ビーム91を介して剛結されている。また、左右の天板支持機構6A、6Bにおける駆動軸633同士は、フラップ動作用操作連動ビーム92を介して連動可能に接続されている。
前記天板2は、図1~図6に示すように、左右方向に細長い長方形状をなすものであり、例えば通常の木製天板と同様な構成をなしている。この天板2の下面2aにおける左右両端部に天板受け62取付用の図示しない埋設ナットが設けられている。そして、前記天板2の下面2aにおける反使用縁y側に後述する幕板Mの支持部材である固定タイプのリンクステー98が取り付けられている。
前記固定タイプのリンクステー98は、図3、図5及び図6に示すように、基端部981を図示しないボルトを用いて天板2の下面2aに取り付けられたもので、その先端部983を後述する幕板6の取付台座63に枢着してある。
左側の脚体1Aに設けられた前記動作連動手段3Aは、前記天板2を前記使用姿勢(U)にした場合に前記キャスタ4、5が車輪ロック状態(L)となり、前記天板2を前記跳ね上げ姿勢(F)にした場合に前記キャスタ4、5が車輪非ロック状態(N)に切り換わるように構成されたものである。詳述すれば、前記動作連動手段3は、前記天板2のフラップ動作を前記キャスタ連動部材13の前後動作に変換して前記第1、第2のキャスタ4、5を車輪ロック状態(L)と車輪非ロック状態(N)とに選択的に切り替えるようにしたものである。具体的には、図10に示すように、前記動作連動手段3は、前記主軸67の軸心孔に回動自在に装着された連動用駆動軸31と、この連動用駆動軸31の外方端に一体回転可能に設けられ前記脚体1A、1Bに対する前記天板2のフラップ動作に伴って所要角度だけ回動する連動カム32と、この連動カム32の回動を前記脚ベース11側に昇降動作として伝達する上下連動シャフト33と、この上下連動シャフト33の昇降動作を前記キャスタ連動部材13の前後動作に変換する動作変換機構34とを具備してなる。その上で、前記連動カム32の回動により前記キャスタ4、5を前記車輪ロック状態(L)と前記車輪非ロック状態(N)とに選択的に切り換えられるようにしている。
前記連動カム32は、天板2の下面2aに接する円弧状カム面32aと、この円弧状カム面32aに連続して設けられ前記天板2の下面2aに当接した場合に前記天板2とともに所要角度だけ回動する平面状カム面32bとを備えたものである。この連動カム32の回転中心は前記主軸67の軸心である天板2の回動中心に合致しており、前記天板2の下面2aが当該連動カム32の平面状カム面32bに当接している状態では当該連動カム32と前記天板2とが前記軸心周りに一体的に回動し得るようになっている。一方、前記天板2の下面2aが前記円弧状カム面32aに接している状態では、天板2のフラップ動作と前記連動カム32の回転動作とは切り離されている。そして、この連動カム32の前記軸心から変位した部位に前記上下連動シャフト33の上端部を枢着するための連結孔32xが設けられている。すなわち、前記上下連動シャフト33は、前記脚支柱12内に上下動可能に収納されており、その上端部33aは水平方向に屈曲させてある。この屈曲させた上端部33aを前記連動カム32の連結孔32xに係合させることにより、前記連動カム32の回動が前記上下連動シャフト33の昇降動作に変換されるようになっている。
この上下連動シャフト33の昇降動作を前記キャスタ連動部材13の前後動作に変換する前記動作変換機構34は、図10、図12及び図13に示すように、前記天板2の前記脚体1A、1Bに対する相対動作を機械的に前記キャスタ4、5の作動部46、56に伝達するものであり、前記脚体1A、1Bに固定された軸受35と、この軸受35にヒンジ支持軸30を介して軸支されたキャスタ連動ヒンジ36と、このキャスタ連動ヒンジ36に前記上下連動シャフト33の下端部33bを枢着する連結ピン37と、前記キャスタ連動ヒンジ36の回動端に固設された駆動ピン38と、この駆動ピン38の動きを前記キャスタ連動部材13に伝達するカム受け39とを具備してなる。すなわち、前記上下連動シャフト33が昇降動作すると、この上下連動シャフト33に連結されたキャスタ連動ヒンジ36がヒンジ支持軸30周りに回動し、このキャスタ連動ヒンジ36の駆動ピン38が前後方向に回動し、その駆動ピン38の回動力が前記カム受け39を介してキャスタ連動部材13に伝達され、このキャスタ連動部材13が最後退位置(B)から最前進位置(Z)までの間で前後方向に進退動作し得るようになっている。ここで、前記軸受35は、前記脚支柱12と前記ベース11との接合部分に挟持されて当該脚体1Aに固定されている。詳述すれば、上端部が連結され前記ヒンジ支持軸30を保持する対をなす側壁351と、これら両側壁351の上端部から外方に延出する鍔部352とを備えたもので、その鍔部352を前記ベース11の取付台座112に設けた嵌合凹部116に嵌合させた上で前記ベース11と前記脚支柱12とを緊締結合することにより当該脚体1Aに固定されるようになっている。
右側の脚体1Bに設けられた動作連動手段3Bは、以上説明した左側の脚体1Aに設けられた動作連動手段3Aと左右対称形状をなすものであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、左側の脚体1Aに設けられた動作連動手段3Aの連動用駆動軸31と右側の脚体1Bに設けられた動作連動手段3Bの連動用駆動軸31とは、キャスタロック用操作連動ビーム93により同期回転可能に接続されている。
また、以上説明したフラップ天板付家具Tの天板2には、前記車輪ロック状態(L)を一時的に解除して前記車輪非ロック状態(N)とするための一時解除用操作部7A、7Bを設けている。この一時解除用操作部7A、7Bは、フラップ動作用操作部630と異なりボタン式のものである。
左側に設けられた前記一時解除用操作部7Aは、前記天板2の下面における縁近傍、より具体的には使用縁xと側縁zとが交差するコーナ部の近傍に設けられている。
詳述すれば、前記一時解除用操作部7Aは、図10及び図11に示すように、操作力を受け付ける操作ボタン71と、この操作ボタン71を昇降可能に保持するハウジング72とを具備してなるもので、前記ハウジング72が天板2の下面2aに図示しないネジ等を用いて止着されている。
また、この一時解除用操作部7Aと前記動作連動手段3Aとの間には、前記操作ボタン71の昇降動作を前記連動カム32の回動動作に変換する一時解除用動作変換機構8Aが設けられている。この一時解除用動作変換機構8Aは、図11に示すように、前記ハウジング72内に前後方向にスライド可能に収納されたスライダ81と、このスライダ81と前記連動カム32との間に介在する前後連動シャフト82とを備えている。前記スライダ81は、左右両端部をハウジング72の内側壁72aに設けられた案内段部721に関わり合わせて前後方向に進退し得るようにしたもので、使用縁x側に傾斜カム面81aを備えている。そして、前記操作ボタン71が押圧操作されて上動した際に、この操作ボタン71の上縁により前記傾斜カム面81aが付勢されて当該スライダ81が前記連動カム32に向けてスライドするようになっている。このスライダ81と前記連動カム32の外周部に設けた連動シャフト受け32cとの間には、前述したように前記前後連動シャフト82が介設されており、前記スライダ81が前記連動カム32に向けてスライドすると、前記前後連動シャフト82により前記連動カム32が付勢されて回動動作を行う。なお、スライダ81の左右方向中央における使用縁x側には突起81bが形成されており、この突起81bとハウジング72との間に前記スライダ81を連動カム32方向に押圧するための図示しない圧縮バネが設けられている。前記操作ボタン71の上面には、前記突起81b及び前記圧縮バネとの干渉を避けるための凹溝71aが形成されている。本実施形態では、これら一時解除用操作部7A及び一時解除用動作変換機構8Aにより、前記連動カム32を天板2のフラップ動作とは異なった動作により回動させて前記キャスタ4、5を前記車輪ロック状態(N)から前記車輪非ロック状態(L)に切り替えることもできるようにしている。
なお、右側に設けられた一時解除用操作部7B及び一時解除用動作変換機構8Bは、以上説明した左側に設けられた一時解除用操作部7A及び一時解除用動作変換機構8Aと左右対称形状をなすものであり、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
また、本実施形態では、天板2の下に配され前記使用姿勢(U)で前記天板2から垂下するとともに前記跳ね上げ姿勢(F)で前記脚支柱12に当接又は近接する幕板Mを具備している。この幕板Mは、図1~図6に示すように、板金製で中空をなす幕板本体M1の左右両側に樹脂等の軟質材料により形成されたキャップM2を装着してなるもので、左右両端部における上縁近傍部分に第1の取付台座M3を有するとともに、左右両端部における下縁近傍部分に第2の取付台座M4を有したものであり、前記天板2に固定された第1のリンクステー98の先端部913が前記第1の取付台座M3に枢着されているとともに、前記脚体1A、1Bに枢着された第2のリンクステー99の先端部993が前記第2の取付台座M4に枢着されている。また、図17に示すように、この幕板Mは、前記跳ね上げ姿勢(F)において、前記キャップM2が、前記両脚支柱12の反使用端面12b及び外側面12aにそれぞれ近接又は当接して係り合う係合部Maを有する。
次いで、この実施形態の作動について説明する。
このフラップ天板付家具Tは、従来のものと同様に、レバー式のフラップ動作用操作部630を操作することにより、天板2がほぼ水平となる使用姿勢(U)と天板2が起立した跳ね上げ姿勢(F)とを選択的にとらせることができる。天板2を使用姿勢(U)にした場合には、図14の(a)及び図16の(a)に示すように、キャスタ連動部材13がバネS2の力により最後退位置(B)に保持されており、第1、第2のキャスタ4、5は車輪ロック状態(L)となっている。換言すれば、左右の脚体1A、1Bはそれぞれ制動状態に維持されている。この状態から天板2をフラップ動作させると、そのフラップ動作の途上において天板2の下面2aが前記連動カム32の平面状カム面32bに当接し、その後は天板2と前記連動カム32とが一体となって軸心周りに回動し図15に示す跳ね上げ姿勢(F)に至ることになる。その際に前記連動カム32が前記天板2とともに同図における反時計回りに回動しそれに伴って前記上下連動シャフト33が上昇する。その結果、前記キャスタ連動ヒンジ36が前記ヒンジ支持軸30周りに回動し、当該キャスタ連動ヒンジ36の駆動ピン38が前方に回動する。前記駆動ピン38が前方に回動すると、この駆動ピン38の動きがカム受け39を介してキャスタ連動部材13に伝達され、当該キャスタ連動部材13がバネの付勢力に抗しつつ最後退位置(B)から最前進位置(Z)にまでスライド移動する。この動きにより第1、第2のキャスタ4、5の作動部46、56が前進し、各キャスタ4、5のロック体45、55が降下して車輪非ロック状態(N)に切り替わる。従って、天板2を跳ね上げるだけで制動状態であった脚体1A、1Bが自動的に非制動状態となり、自由に移動させることが可能となる。この跳ね上げ姿勢(F)から天板2を元の使用姿勢(U)に復帰させる場合には、以上説明した動作と逆の動作が営まれて両脚体1A、1Bが再び制動状態となる。
かかる使用状態において、天板2を跳ね上げることなく一時的に脚体1A、1Bの制動状態を解除したい場合には、天板2に設けられた一時解除用操作部7A、7Bの操作ボタン71を上方に押圧操作すればよい。この押圧操作は、天板2の使用縁x又は側縁zを握ることにより同時に行うことができるため、ロック解除操作と天板2の縁を把持して全体を移動させる操作とを連続的に行うことができる。すなわち、操作ボタン71を上方に押圧操作すると、操作ボタン71の上端縁がスライダ81の傾斜カム面81aに摺接し、操作ボタン71の上昇動作がスライダ81の反使用縁y方向へのスライド移動に変換される。スライダ81が反使用縁y方向にスライドすると、この動作が前記前後連動シャフト82を介して前記連動カム32の外周に伝達され、この連動カム32が図14の(b)における反時計回りに回動する。その結果、天板2が使用姿勢(U)にあるにもかかわらず、前記連動カム32の回動により上下連動シャフト33が上動し、キャスタ連動部材13が前進して各キャスタ4、5が車輪ロック状態(L)から車輪非ロック状態(N)に切り替わる。この切り替わった状態は、操作ボタン71を押圧している間は維持されるため、操作ボタン71を押圧しつつ天板2を把持している姿勢のままでフラップ天板付家具Tの全体を一時的に移動させることが可能となる。
この実施形態においては、前記一時解除用操作部7A、7Bが、前記天板2の使用縁xと側縁zとが交差するコーナ部の近傍に設けられているので、使用縁x側からも側縁z側からも上述した操作を無理なく行うことができる。しかも、この実施形態では、天板2の左右両側にこのような一時解除用操作部7A、7Bが設けられているとともに、前記前後連動シャフト82に係り合う左右の連動カム32と一体回転可能な連動用駆動軸31は前述したようにキャスタロック用操作連動ビーム93により接続されているので、左右いずれかの一時解除用操作部7A、7Bに操作を加えることにより車輪ロック状態(L)を一時的に解除することができる。
以上説明したように、本実施形態では、天板2のフラップ動作を行うための操作部であるフラップ動作用操作部630が一般的なレバー式である一方、前記一時解除用操作部7A、7Bが、前記フラップ動作用操作部630と異なりボタン式のものであるため、制動状態の一時解除操作と、フラップ動作を行うための操作とを混同し難くなる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限らず、接地ロッド等を下方に突出させてキャスタを床面から浮上させることにより前記脚体を制動状態とするとともに、前記接地ロッド等を没入させて前記キャスタを床面に接地させることにより前記脚体を非制動状態とする態様のものや、天板のフラップ動作と制動状態の切換え動作とが連動しない態様のフラップ天板付家具に適用できる。しかしながら、前述したように、キャスタの車輪をロック状態にすることにより脚体を制動状態とするとともに、前記車輪のロック状態を解除することにより前記脚体を非制動状態とする態様のものであれば、天板のフラップ動作を利用して脚体を自動的に制動状態又は非制動状態に切り換えることができるので一連の操作が簡略化される。しかも、前述したように、脚体の制動・非制動は、キャスタの車輪をロック状態又は非ロック状態に切り換えることにより行うようにすれば、キャスタを床面に対して浮上又は着地させて制動又は非制動を切り換えるものに比べて切換操作を比較的小さな力で行うことができる。
また、本発明は、いわゆるフラップテーブルと称されるものに限らず、使用姿勢から跳ね上げ姿勢までの間でフラップ動作可能な天板を有する家具全般に適用が可能である。なお、フラップテーブルに適用する場合には、上述した実施形態のように、使用姿勢で脚体を制動状態とするのが使用の実態から考えて望ましい。
加えて、一時解除用操作部は、任意の箇所に設置してよい。但し、上述した実施形態のように、一時解除用操作部を天板の下面における縁近傍に設けておけば、天板の縁部を握ることにより同時に一時解除用操作ボタンをも押圧操作することができるため、使用姿勢を維持したままで、家具全体を一時的に移動させる作業を円滑に行うことができる。加えて、一時解除用操作部を、天板の下面における使用縁と側縁とが交差するコーナ部の近傍に設けておけば、前述したように、使用端側からも側端側からも操作ボタンを無理なく押圧して制動状態の一時解除を円滑に行うことができる。その上、一時解除用操作部は、左右両側に設ける必要は必ずしもなく、左右いずれかの端部のみに設ける態様や、天板の下面における使用端中央近傍に設ける態様も考えられる。しかしながら、一時解除用操作部を上述した実施形態のように天板の下面における使用縁の左右両側に設けておけば、特に多人数が着座するタイプのフラップ天板付き家具において、左右両側のいずれからも操作ボタンを無理なく押圧して制動状態の一時解除を円滑に行うことができる。
そして、一時解除用操作部を押圧操作している場合にのみ脚体の制動状態が解除される態様に限らず、前記一時解除用操作部の押圧操作により脚体の制動状態と非制動状態とを排他的に切り換える態様等を採用してもよい。但し、上述した実施形態のように、前記一時解除用操作部を押圧操作している場合には前記脚体の制動状態が解除され、前記一時解除用操作部の押圧操作を止めた場合には前記脚体が制動状態に自動的に復帰するように構成されているものであれば、家具を移動させる際には解除用操作部を押圧操作することにより前記脚体の制動状態を一時的に解除し、家具の移動が完了すると解除用操作部の押圧操作を終了することにより前記脚体が制動状態自動的に復帰するので、天板を使用姿勢としたまま家具を移動させる際の手間を可及的に軽減することができる。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。