JP7108440B2 - オレフィン類重合用触媒、オレフィン類重合用触媒の製造方法およびオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
微粉重合体が多くなると、重合系内における均一な反応の継続が妨げられ、また、重合体移送時における配管閉塞をもたらす等、プロセス障害の原因となるばかりか、得られる重合体の粒度分布が広くなることによりオレフィン重合体の成形加工性が低下し易くなることから、微粉重合体の発生量が少なく、かつ、均一で粒度分布の狭い重合体を好適に製造し得るオレフィン類重合用触媒が望まれるようになっていた。
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記固体触媒成分を界面活性剤成分で処理した場合、微粉状エチレン重合体の発生量は低減し得るものの、プロピレン重合に供した場合には、同様の効果が得られ難いことが判明した。
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記手法がプロピレン重合時における微粉重合体生成量に及ぼす影響は明確でなく、また、プロピレン重合に同等の効果も得られ難いことが判明した。
(1)マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに無機酸化物粒子の混合物からなり、不飽和炭化水素モノマーの予備重合物を含まないオレフィン類重合用触媒であって、
前記無機酸化物粒子が、一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である
ことを特徴とするオレフィン類重合用触媒。
(2)前記無機酸化物粒子が、平均粒子径が200nm以下で、真密度が2.1g/cm3以上のものであることを特徴とする上記(1)に記載のオレフィン類重合用触媒、
(3)前記固体触媒成分100質量部に対する前記無機酸化物粒子の含有量が2質量部以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のオレフィン類重合用触媒、
(4)前記有機アルミニウム化合物が、下記一般式(I);
R1 pAlQ3-p (I)
(式中、R1は炭素数1~6のアルキル基であり、Qは水素原子あるいはハロゲン原子であり、pは0<p≦3の整数であり、R1が複数存在する場合各R1は同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合各Qは同一であっても異なっていてもよい)
で表されることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のオレフィン類重合用触媒、
(5)下記一般式(II);
R2 qSi(OR3)4-q (II)
(式中、R2は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1~12のアルキルアミノ基または炭素数1~12のジアルキルアミノ基であり、R2が複数存在する場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基またはアラルキル基であり、R3が複数存在する場合、各R3は同一であっても異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)
から選ばれる有機ケイ素化合物および下記一般式(III);
(R4R5N)rSiR6 4-r (III)
(式中、R4とR5は水素原子、炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なってもよく、またR4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。R6は炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基またはアリール基であり、R6が複数ある場合、複数のR6は同一でも異なってもよい。rは1から3の整数である。)
で表されるアミノシラン化合物から選択されるいずれか一種以上の外部電子供与性化合物を含むことを特徴とする
上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のオレフィン類重合用触媒、
(6)上記(1)に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する方法であって、
マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である無機酸化物粒子を、不飽和炭化水素モノマーの不存在下に混合することを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法、
および
(7)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のオレフィン重合用触媒の存在下に液体のオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法
を提供するものである。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒は、マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに無機酸化物粒子の混合物からなるオレフィン類重合用触媒であって、
前記無機酸化物粒子が、一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である
ことを特徴とするものである。
上記マグネシウム化合物としては、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウムあるいは脂肪酸マグネシウム等から選ばれ得る一種以上が挙げられる。
これらのマグネシウム化合物の中でもジアルコキシマグネシウムが好ましく、具体的には、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウム等が挙げられ、ジエトキシマグネシウムが特に好ましい。
また、上記ジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物等の存在下にアルコールと反応させて得たものでもよい。
また、上記マグネシウム化合物は、単独あるいは2種以上併用してもよい。
例えばマグネシウム化合物が球状のジアルコキシマグネシウムである場合、より良好な粒子形状を有し(より球状で)狭い粒度分布を有する重合体粉末を容易に得ることができ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成した重合体粉末に含まれる微粉に起因する配管の閉塞等を容易に抑制することができる。
なお、本出願書類において、ジアルコキシマグネシウムの円形度とは、ジアルコキシマグネシウム粒子を500個以上走査型電子顕微鏡により撮影し、撮影した粒子を画像解析処理ソフトにより処理することで各粒子の面積Sと周囲長Lを求め、各ジアルコキシマグネシウム粒子の円形度を下記式
各ジアルコキシマグネシウム粒子の円形度=L2÷(4π×S)
により算出したときの算術平均値を意味し、粒子の形状が真円に近づくほど、円形度は1に近い値を示す。
マグネシウム化合物が球状のジアルコキシマグネシウムである場合、その平均粒子径は、1~100μmであるものが好ましく、5~50μmであるものがより好ましく、10~40μmであるものがさらに好ましい。
具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であるものが好ましく、10%以下であるものがより好ましい。
一方、100μm以上の粒子が10%以下であるものが好ましく、5%以下であるものがより好ましい。
さらにその粒度分布をln(D90/D10)(ここで、D90は体積積算粒度分布における積算粒度で90%の粒径、D10は体積積算粒度分布における積算粒度で10%の粒径である。)で表すと3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
なお、マグネシウム化合物が液体状である場合には、そのまま溶液状のマグネシウム化合物として用いてもよいし、マグネシウム化合物の可溶化能を有する溶媒にさらに溶解して溶液状のマグネシウム化合物として用いてもよい。
チタンハロゲン化合物としては、特に制限されないが、下記一般式(IV)
Ti(OR6)sX4-s (IV)
(式中、R6は炭素数1~4のアルキル基を示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を示し、sは0または1~3の整数である。)で表されるチタンハライドもしくはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の一種以上であることが好適である。
また、アルコキシチタンハライドとしては、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n-ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ-n-ブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ-n-ブトキシチタンクロライド等から選ばれる一種以上が挙げられる。
チタンハロゲン化合物としては、チタンテトラハライドが好ましく、チタンテトラクロライドがより好ましい。
これらのチタンハロゲン化合物は単独あるいは2種以上併用することができる。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、デカン、メチルヘプタンなどの沸点50~150℃の直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの沸点50~150℃の脂環式炭化水素化合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の沸点50~150℃の芳香族炭化水素化合物等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
また、固体触媒成分は、チタン原子の含有割合が、0.5~8.0質量%であるものが好ましく、1.0~6.0質量%であるものがより好ましく、4.0~4.5質量%であるものがさらに好ましい。
さらに、固体触媒成分は、ハロゲン原子の含有割合が、20~85質量%であるものが好ましく、30~80質量%であるものがより好ましく、40~75質量%であるものがさらに好ましく、45~70質量%であるものが一層好ましい。
加えて、固体触媒成分は、内部電子供与性化合物の含有割合が、1.0~15.0質量%であるものが好ましく、3.0~13.0質量%であるものがより好ましく、5.0~11.0質量%であるものがさらに好ましい。
固体触媒成分の平均粒子径が上記範囲内にあることにより、各固体触媒成分粒子の表面に十分に無機酸化物粒子が分散し、固体触媒成分粒子の界面に無機酸化物粒子を分散した状態で存在させることができることから、オレフィン類重合用触媒の凝集体形成を抑制し、オレフィン類の重合時に微粉状重合体の発生原因となる局所的な重合反応による粒子凝集や粒子崩壊を効果的に低減することができる。
R1 pAlQ3-p (I)
(式中、R1は炭素数1~6のアルキル基であり、Qは水素原子またはハロゲン原子であり、pは0<p≦3の実数で、R1が複数存在する場合各R1は同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合各Qは同一であっても異なっていてもよい)で表される有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒において、上記外部電子供与性化合物としては、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物が挙げられ、具体的には、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、有機ケイ素化合物、中でもSi-O-C結合を有する有機ケイ素化合物等が挙げられる。
R2 qSi(OR3)4-q (II)
(式中、R2は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1~12のアルキルアミノ基または炭素数1~12のジアルキルアミノ基であり、R2が複数存在する場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基またはアラルキル基であり、R3が複数存在する場合、各R3は同一であっても異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)
から選ばれる有機ケイ素化合物および下記一般式(III);
(R4R5N)rSiR6 4-r (III)
(式中、R4とR5は水素原子、炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なってもよく、またR4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。R6は炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基またはアリール基であり、R6が複数ある場合、複数のR6は同一でも異なってもよい。rは1から3の整数である。)
で表されるアミノシラン化合物から選択される一種以上を挙げることができる。
一般式(II)で表される化合物において、R2がシクロアルキル基である場合、その炭素数は、3~12であり、3~8であることが好ましく、4~6であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物において、R2がアルキルアミノ基である場合、その炭素数は、1~12であり、1~10であることが好ましく、2~8であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物において、R2がジアルキルアミノ基である場合、その炭素数は、1~12であり、1~10であることが好ましく、2~8であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物において、R3がシクロアルキル基である場合、その炭素数は、3~6が好ましく、4~6がより好ましく、5~6がさらに好ましい。
1または2であることが好ましい。
一般式(III)で表される化合物において、R4またはR5が分岐鎖状アルキル基である場合、その炭素数は、3~20であり、3~12であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。
一般式(III)で表される化合物において、R4またはR5がシクロアルキル基である場合、その炭素数は、3~20であり、3~12であることが好ましく、3~10であることがより好ましい。
一般式(IV)で表される化合物において、R6が分岐状アルキル基である場合、その炭素数は、3~20であり、3~12であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。
一般式(IV)で表される化合物において、R6がシクロアルキル基である場合、その炭素数は、3~20であり、3~12であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。
無機酸化物粒子としては、上述の酸化物粒子であって、形状がほぼ球状の粒子であることが好ましい。
無機酸化物粒子としては、ナノシリカが好ましい。ここで、ナノシリカとは、ナノサイズのシリカ、すなわちシリカのナノ粒子を意味する。また、ナノシリカの製法は特に限定されず、乾式法のヒュームドシリカや、湿式法のコロイダルシリカを適用することができ、上記ナノシリカとしては、例えば、特開2014-208585や特開2015-117137等に記載の方法により製造されたものを好適に使用することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒において、無機酸化物粒子は、その平均粒子径が、0nmを超え200nm以下であるものが好ましく、5~200nmであるものがより好ましく、5~100nmであるものがさらに好ましく、10~100nmであるものが一層好ましい。
すなわち、無機酸化物粒子の平均粒子径/固体触媒成分の平均粒子径で表される比が、1/100以下であることが好ましく、6/1000以下であることがより好ましく、3/1000以下であることがさらに好ましい。
無機酸化物粒子の平均粒径が上記範囲内にあることにより、重合触媒の形成時に、無機酸化物粒子を重合触媒中に容易に高分散化することができる。
なお、本出願書類において、無機酸化物粒子の粉末中に含まれる一次粒子からなる粒子の個数割合とは、無機酸化物粒子の粉末をアルコールや炭化水素化合物等の有機溶媒中に分散し、乾燥後、走査型電子顕微鏡により400個の粒子を無作為に測定したときの、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数がX個であった場合に、(X/400)×100により算出される値を意味する。
この一次粒子からなる粒子の個数割合は、固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに無機酸化物粒子の混合物からなるオレフィン類重合用触媒における無機酸化物粒子の一次粒子の個数割合に相当すると考えられ、無機酸化物粒子はオレフィン類重合用触媒中では専ら一次粒子として存在している。
無機酸化物粒子の粉末中に含まれる一次粒子からなる粒子の個数割合が上記範囲内にあることにより、オレフィン類の重合に供したときに、得られるオレフィン類重合体中の微粉量および粗粉量の発生量を著しく低減し、粒度分布の狭いオレフィン類重合体を効果的に製造することができる。
また、無機酸化物粒子上に存在する微量の水酸基が固体触媒成分中に存在する微粉粒子の活性点を選択的に被毒することによっても、微粉発生量を抑制し得ると考えられる。
上記シランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基とともに、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基およびアクリル基から選ばれる一種以上の基を含む構造を有するものや、2つのアルコキシ基とともに2つのシクロアルキル基を含む構造を有するものを挙げることができ、上記の中でも3つのアルコキシ基とともにフェニル基またはビニル基を含む構造を有するものが好ましい。
アンモニアを構成する水素原子の2つがそれぞれトリアルキルシリル基で置換された構造を有するオルガノシラザンをシランカップリング剤に対するモル比で2~10倍加えたものによって表面処理が施されてなるものであってもよい。
上記表面処理によって、無機酸化物粒子表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換され、触媒を失活させる水酸基を低減することができる。
なお、本発明において、上記無機酸化物粒子は一種を単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機酸化物粒子の含有量の上限は特に制限されないが、本発明に係るオレフィン類重合用触媒は、上記固体触媒成分100質量部に対し無機酸化物粒子の含有量が100質量部以下であることが好ましい。
上記固体触媒成分100質量部に対する無機酸化物粒子の含有量が上記範囲内にあることにより、固体触媒成分の表面を無機酸化物粒子で十分に覆うことができ、オレフィン類重合用触媒の分散性を効果的に向上させ、重合容器内の局所発熱を抑制して重合触媒粒子の破壊を好適に抑制することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒は、固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物を、1~2000モル含むことが好ましく、50~1000モル含むことがより好ましい。
また、本発明に係るオレフィン類重合用触媒は、オレフィン類重合用触媒中に含有される固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、外部電子供与性化合物を、合計で、1~200モル含むことが好ましく、2~150モル含むことがより好ましく、5~100モル含むことがさらに好ましい。
さらに、本発明に係るオレフィン類重合用触媒は、オレフィン類重合用触媒中に含有される有機アルミニウム化合物1モルあたり、外部電子供与性化合物を、合計で、0.001~10モル含むことが好ましく、0.002~2モル含むことがより好ましく、0.002~0.5モル含むことがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法は、マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である無機酸化物粒子を混合することを特徴とするものである。
また、上記各成分を混合する際における、無機酸化物粒子の混合量も上記含有量に対応するものであり、無機酸化物粒子以外の成分の混合量も、得られる触媒中に各成分が各々上述した含有量となるように適宜選定すればよい。
(i)(b)有機アルミニウム化合物→(c)外部電子供与性化合物→(d)無機酸化物粒子→(a)固体触媒成分。
(ii)(b)有機アルミニウム化合物→(d)無機酸化物粒子→(c)外部電子供与性化合物→(a)固体触媒成分。
(iii)(d)無機酸化物粒子→(b)有機アルミニウム化合物→(c)外部電子供与性化合物→(a)固体触媒成分。
(iv)(d)無機酸化物粒子→(c)外部電子供与性化合物→(a)固体触媒成分→(b)有機アルミニウム化合物。
(v)(b)有機アルミニウム化合物→(c)外部電子供与性化合物→((a)固体触媒成分+(d)無機酸化物粒子)。
なお、上記(i)~(v)において、矢印(→)は接触順序を示し、例えば、(b)有機アルミニウム化合物→(c)外部電子供与性化合物→(d)無機酸化物粒子→(a)固体触媒成分は、(b)有機アルミニウム化合物と(c)外部電子供与性化合物とを混合して接触させた後、得られた接触物に(d)無機酸化物粒子および(a)固体触媒成分を順次混合して接触させることを意味する。
また、上記(b)有機アルミニウム化合物→(c)外部電子供与性化合物→((a)固体触媒成分+(d)無機酸化物粒子)は、(b)有機アルミニウム化合物と(c)外部電子供与性化合物とを混合して接触させた後、得られた接触物に(a)固体触媒成分および(d)無機酸化物粒子を同時に混合して接触させることを意味する。
上記(a)固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、(c)外部電子供与性化合物および(d)無機酸化物粒子を上記順序で混合して接触させることにより、無機酸化物粒子がオレフィン重合用触媒中に高度に分散したオレフィン重合用触媒を容易に得ることができる。
また、本出願書類において、上記(a)固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、(d)無機酸化物粒子および必要成分である(c)外部電子供与性化合物(以下、各成分という)の混合物とは、上記混合処理を施して得られるものを意味する。
上記各成分の混合は、手動で行ってもよいし、混合機を用いて行ってもよい。
上記混合機としては、V型混合機などの容器回転型混合装置、撹拌機を具備した槽又は反応機などの攪拌型混合装置、振動ミルやボールミルなどの混合粉砕装置等から選ばれる一種以上を挙げられることができる。上記混合粉砕装置のうち、容器回転型混合装置が、固体触媒成分の粒子破壊を抑制し得る点で好ましい。
上記混合方法としては、溶媒中に各成分を添加してスラリー状にした後、スプレードライヤーにより混合する方法が特に好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、本発明に係るオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、本発明に係るオレフィン重合用触媒やその製造方法の詳細は、上述したとおりである。
なお、重合熱を除去するために液状の易揮発性炭化水素、例えばブタンを供給し、重合帯域中で気化させてもよい。
重合圧力は、常圧~10MPaが好ましく、常圧~5MPaがより好ましく、1~4MPaがさらに好ましい。
粒度分布指数(SPAN)=(D90-D10)/D50
(ただし、D90は体積積算粒度で90%の粒子径、D50は体積積算粒度で50%の粒子径、D10は体積積算粒度で10%の粒子径を意味する。)
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<オレフィン類重合用固体触媒成分(C-1)の調製>
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量200mlの丸底フラスコに、平均粒子径43.1μmの球状ジエトキシマグネシウム10g、トルエン50mlおよびジ-n-ブチルフタレート3.6mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、得られた懸濁溶液を、撹拌機を装備し内部を窒素ガスで充分に置換された容量500mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン26ml及び四塩化チタン24mlの混合溶液中に、1時間かけ全量添加した。添加終了後、反応系内を撹拌しながら90℃に昇温し、90℃の反応温度を2時間維持して接触反応させた。
反応終了後、得られた反応生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄し、次いで四塩化チタン24mlおよびトルエン76mlを加えた後に昇温し、115℃で1時間撹拌しながら接触反応させた。
生成した固体成分を40℃のn-ヘプタン100mlで10回洗浄処理したのち、ヘプタン残存率が20重量%以下になるまで乾燥して粉末状の固体触媒成分(C-1)を得た。
なお、得られた固体触媒成分を分析したところ、チタン含有率は3.1質量%、平均粒子径(D50)38.9μm、粒度分布指数(SPAN)0.8であった。
<オレフィン類重合用固体触媒成分(C-2)の調製>
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量200mlの丸底フラスコに、球状ジエトキシマグネシウム10g、トルエン50mlおよびジイソブチルマロン酸ジメチル5.1mlを装入し、懸濁状態とした。次いで、得られた懸濁溶液を、撹拌機を装備し内部を窒素ガスで充分に置換された容量500mlの丸底フラスコ中に予め装入されたトルエン26ml及び四塩化チタン24mlの混合溶液中に、1時間かけ全量添加した。添加終了後、反応系内を撹拌しながら115℃に昇温し、115℃の反応温度を4時間維持して接触反応させた。
反応終了後、得られた反応生成物を90℃のトルエン100mlで4回洗浄し、次いで四塩化チタン20mlおよびトルエン60mlを加えた後に昇温し、100℃で2時間撹拌しながら接触反応させた。
生成した固体成分を40℃のn-ヘプタン100mlで10回洗浄処理したのち、ヘプタン残存率が20重量%以下になるまで乾燥して粉末状の固体触媒成分(C-2)を得た。
なお、得られた固体触媒成分を分析したところ、チタン含有率は2.2質量%、平均粒子径(D50)45.5μm、粒度分布指数(SPAN)0.8であった。
<オレフィン類重合用固体触媒成分(C-3)の調製>
無水塩化マグネシウム75g、デカン375mlおよび2―エチルヘキシルアルコール300gを135℃で4時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に2-エトキシエチル-1-メチルカーボネート16.7mlを添加した。得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液のうち113mlを-20℃に保持した四塩化チタン300ml中に45分間にわたって滴下装入した。滴下後、液温を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところで2-イソプロピル2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン1.6mlおよび2-エトキシエチル-1-メチルカーボネート0.9mlを添加した。さらに上記温度下で2時間攪拌した後、濾過し、固体部をデカンで洗浄処理したのち、デカンで残存率が20重量%以下になるまで乾燥して粉末状の固体触媒成分(C-3)を得た。
なお、得られた固体触媒成分を分析したところ、チタン含有率は1.8質量%、平均粒子径(D50)9.0μm、粒度分布指数(SPAN)1.0であった。
<オレフィン類重合用固体触媒成分(C-4)の調製>
攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量500mlの丸底フラスコに、三塩化チタン5.0gと無水塩化マグネシウム9.0グラムとテトラヒドロフラン220mLとを装入した後、撹拌下で65℃まで昇温した。65℃で2時間維持した後、ソルビタンモノオレアート(クローダジャパン(株)製、スパン80)12.2gを添加し、65℃の反応温度をさらに3時間維持した後、室温まで温度を低減した。
次に、攪拌機を具備し窒素ガスで充分に置換された容量500mlの丸底フラスコにナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV2)13.5gを装入後、室温まで下げた上記溶液を添加し、2時間撹拌した。 撹拌後、噴霧乾燥器にて噴霧乾燥(噴霧条件:入口温度150℃、出口温度90℃)して、粉末状の固体触媒成分(C-4)を得た。使用したナノシリカは、走査型電子顕微鏡により無作為に抽出した400個の粒子を測定したときに、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数割合が75%以上であるものであった。
なお、得られた固体触媒成分を分析したところ、チタン含有率は2.6質量%、平均粒子径(D50)10.1μm、粒度分布指数(SPAN)1.5であった。
ここで、形成された固体触媒成分中のナノシリカ含有量は、固体触媒成分100質量部に対して90質量部であった。
<オレフィン類重合用触媒の形成>
窒素ガスで置換された、内容積2200mlの撹拌装置付きオートクレーブ内に、n-ヘプタン5ml、トリエチルアルミニウム1.3mmol、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13mmol及び、平均粒子径が10nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YA010C-SV5)0.4mgを装入した。
次いで、固体触媒成分(C-1)をチタン原子換算で0.0026mmol相当量装入し、オレフィン類重合用触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して10質量部であり、走査型電子顕微鏡により無作為に抽出した400個の粒子を測定したときに、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数割合が60%以上であるものであった。
上記調製条件を表1に示す。
上記のとおり形成したオレフィン重合用触媒入りのオートクレーブに、水素ガス2000mlおよび液化プロピレン1400mlを装入し、20℃で5分間の予備重合を行った後に70℃まで昇温し、1時間の本重合を行った。
このとき、固体触媒成分1g当たりのプロピレン重合活性(PP活性)を下記式により算出した。
(固体触媒成分1g当たりのプロピレン重合活性(PP活性))
重合活性(g-pp/g-触媒)=得られた重合体の質量(g)/固体触媒成分の質量(g)
また、得られた重合体について、重合体の嵩密度(BD)、重合体中の微粉量、粗粉量および粒度分布指数(SPAN)を測定した。
結果を表2に示す。
得られた重合体の嵩密度(BD)は、JIS K-6721:1997に従って測定した。
重合体中の微粉量、粗粉量および粒度分布指数(SPAN)は、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製カムサイザー)を用い、以下の測定条件において重合体の体積基準積算粒度分布の自動測定を行ない、粒子径75μm以下の粒子量を微粉量とし、粒子径2800μ以上の粒子量を粗粉量として各々の含有割合(質量%)を測定した。
また、上記測定方法により得られた体積基準積算粒度で90%の粒子径(D90)、体積基準積算粒度で50%の粒子径(D50)および体積基準積算粒度で10%の粒子径(D10)の値から、以下の方法により、粒度分布指数(SPAN)を算出した。
粒度分布指数(SPAN)=(D90-D10)/D50
結果を表2に示す。
(デジタル画像解析式粒子径分布測定装置の測定条件)
ファネル位置 :6mm
カメラのカバーエリア :ベーシックカメラ3%未満、ズームカメラ10%未満
目標カバーエリア :0.5%
フィーダ幅 :40mm
フィーダコントロールレベル:57、40秒
測定開始レベル :47
最大コントロールレベル :80
コントロールの基準 :20
画像レート :50%(1:2)
粒子径定義 :粒子1粒ごとにn回測定したマーチン径の最小値
SPHT(球形性)フィッティング:1
クラス上限値 :対数目盛32μm~4000μmの範囲で50点を選択
<オレフィン類重合用触媒の調製>
窒素ガスで置換された、内容積2200mlの撹拌装置付きオートクレーブ内に、トリエチルアルミニウム1.3mmol及びシクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13mmolを添加した。その後、チタン原子換算で0.0026mmol相当量の製造例1で得た固体触媒成分(C-1)および平均粒子径が100nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV2)0.4mgの混合物を装入し、オレフィン類重合用触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して10質量部であり、走査型電子顕微鏡により無作為に抽出した400個の粒子を測定したときに、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数割合が75%であるものであった。
上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
オレフィン類重合用触媒の調製時にナノシリカを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒の形成、プロピレン重合および得られた重合体の評価を行なった。
結果を表2に示す。
<オレフィン類重合用触媒の調製>
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて、同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、ナノシリカの添加量を0.4mgから2.8mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して50質量部であった。上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価は、実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて、同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、ナノシリカの添加量を0.4mgから5.7mgに変更した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して100質量部(等量)であった。上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて、同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、さらに、平均粒子径が10nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV5)0.4mgに代えて、平均粒子径が100nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YA100C-SV2)0.6mgを使用した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して10質量部であった。上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、さらに、平均粒子径が10nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV5)0.4mgに代えて平均粒子径が100nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YA100C-SV2)0.1mgを使用した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して2質量部であった。上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、さらに、オレフィン類重合用触媒の調製時にナノシリカを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒の形成、プロピレン重合および得られた重合体の評価を行なった。結果を表2に示す。
製造例1で得た固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの製造例2で得た固体触媒成分(C-2)を使用し、さらに、平均粒子径が10nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV5)0.4mgに代えて平均粒子径が100nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(日本アエロジル社製、平均粒子径10nmの1次粒子が凝集して、粒子径100nmの2次粒子となった形状のもの)0.1mgを使用した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して2質量部であり、走査型電子顕微鏡により無作為に抽出した400個の粒子を測定したときに、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数割合が30%未満であるものであった。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
<オレフィン類重合用触媒の調製>
固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの固体触媒成分(C-3)を使用し、さらに、平均粒子径が10nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV5)0.4mgに代えて平均粒子径が50nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YA100C-SV6)0.3mgを使用した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を形成した。
ここで、使用されたナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して5質量部であり、走査型電子顕微鏡により無作為に抽出した400個の粒子を測定したときに、一次粒子からなる(凝集していない)粒子の個数割合が75%以上であるものであった。
上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および評価は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。
<オレフィン類重合用触媒の調製>
実施例7と同様にしてオレフィン類重合用触媒を調製し、プロピレン重合時に外部電子供与性化合物を使用しなかった以外は実施例1と同様にして、プロピレン重合および評価を行った。結果を表2に示す。
平均粒子径が50nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YA100C-SV6)0.3mgに代えて平均粒子径が100nmで真密度が2.2g/cm3であるナノシリカ(アドマテックス社製、YC100C-SV2)0.3mgを使用した以外は、実施例7と同様にして、オレフィン重合触媒を形成した。
ここで、使用したナノシリカは固体触媒成分100質量部に対して2質量部であった。上記調製条件を表1に示す。
プロピレン重合および得られた重合体の評価を実施例1と同様にして行なった。結果を表2に示す。
固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの固体触媒成分(C-3)を使用し、さらに、オレフィン類重合用触媒の調製時にナノシリカを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合用触媒の形成、プロピレン重合および得られた重合体の評価を行なった。結果を表2に示す。
<オレフィン類重合用触媒の調製>
固体触媒成分(C-1)に代えて同モルの固体触媒成分(C-4)を使用し、さらに、オレフィン類重合用触媒の調製時にナノシリカを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、オレフィン重合用触媒の形成、プロピレン重合および得られた重合体の物性評価を行った。結果を表2に示す。
このため、表2より、実施例1~実施例8においては、微粉発生量が著しく低下するとともに、オレフィン重合体中の粗粉粒子の割合も低減し、狭い粒度分布を有するオレフィン重合体が得られることが分かり、重合体の粉体流動性が向上し、重合体製造時または移送時における配管閉塞等のプロセス障害や、ポリマーの成形加工性の低下を効果的に抑制し得ることが分かる。
Claims (7)
- マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに無機酸化物粒子の混合物からなり、不飽和炭化水素モノマーの予備重合物を含まないオレフィン類重合用触媒であって、
前記無機酸化物粒子が、一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である
ことを特徴とするオレフィン類重合用触媒。 - 前記無機酸化物粒子が、平均粒子径が200nm以下で、真密度が2.1g/cm3以上のものであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用触媒。
- 前記固体触媒成分100質量部に対する前記無機酸化物粒子の含有量が2質量部以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオレフィン類重合用触媒。
- 前記有機アルミニウム化合物が、下記一般式(I);
R1 pAlQ3-p(I)
(式中、R1は炭素数1~6のアルキル基であり、Qは水素原子あるいはハロゲン原子であり、pは0<p≦3の整数であり、R1が複数存在する場合各R1は同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合各Qは同一であっても異なっていてもよい)
で表されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のオレフィン類重合用触媒。 - 下記一般式(II);
R2 qSi(OR3)4-q (II)
(式中、R2は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1~12のアルキルアミノ基または炭素数1~12のジアルキルアミノ基であり、R2が複数存在する場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。R3は、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基またはアラルキル基であり、R3が複数存在する場合、各R3は同一であっても異なっていてもよい。qは0≦q≦3の整数である。)
から選ばれる有機ケイ素化合物および下記一般式(III);
(R4R5N)rSiR6 4-r (III)
(式中、R4とR5は水素原子、炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なってもよく、またR4とR5が互いに結合して環を形成してもよい。R6は炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基またはアリール基であり、R6が複数ある場合、複数のR6は同一でも異なってもよい。rは1から3の整数である。)
で表されるアミノシラン化合物から選択されるいずれか一種以上の外部電子供与性化合物を含むことを特徴とする
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のオレフィン類重合用触媒。 - 請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する方法であって、
マグネシウム原子、チタン原子、ハロゲン原子および内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分、有機アルミニウム化合物並びに一次粒子からなる粒子の個数割合が50~100%でありその平均粒子径が前記固体触媒成分の平均粒子径の1/100以下である無機酸化物粒子を、不飽和炭化水素モノマーの不存在下に混合する
ことを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。 - 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のオレフィン重合用触媒の存在下に液体のオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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