JP7108368B2 - 溶接電源のくびれ検出制御方法 - Google Patents

溶接電源のくびれ検出制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ワイヤの溶滴のくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を減少させてアークを再発生させる溶接電源のくびれ検出制御方法に関するものである。
特許文献1の発明では、溶接ワイヤとワークとの間でアーク期間と短絡期間とを交互に繰り返す消耗電極アーク溶接において、短絡期間からアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを溶接ワイヤとワークとの間の電圧値又は抵抗値の変化がくびれ検出基準値に達したことによって検出し、このくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を急減させて小電流値の状態でアークが再発生するように出力制御(くびれ検出制御)している。このようにすると、アーク再発生時の電流値を小さくすることができるので、スパッタ発生量を低減することができる。
ところで、複数の溶接個所を有する共通のワークに対して、複数の溶接電源を使用して同時に溶接を行うことがある。このような場合には、くびれを検出する期間中に、他の溶接電源からの溶接電流が急変すると、共通通電路のインダクタンス値Lによって発生する電圧値がくびれの検出信号にノイズとして重畳して、くびれを誤検出することになる。特許文献2では、アーク期間中の溶接電流の変化率を抑制することによってこの問題に対処している。
特開2006-281219号公報 特開2015-30033号公報
従来技術においては、アーク期間中の溶接電流の変化率を抑制することによって、くびれの誤検出を防止している。しかし、短絡期間中の溶接電流の急峻な変化によるくびれの誤検出については考慮されていない。特に、自溶接電源のくびれ検出中に、他の溶接電源のくびれ検出制御によって溶接電流が急減すると、大きなノイズが重畳して、くびれの誤検出が発生するという問題がある。
そこで、本発明では、複数のくびれ検出制御を有する溶接電源から共通のワークに同時に溶接を行う場合において、他の溶接電源における短絡期間中の溶接電流の変化によって、くびれの誤検出が発生することを抑制することができる溶接電源のくびれ検出制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤの溶滴のくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を減少させてアークを再発生させる溶接電源のくびれ検出制御方法において、
複数の前記くびれ検出制御を有する前記溶接電源から共通のワークに同時に溶接を行い、
前記溶接電源は、前記くびれを検出したときの前記溶接電流の減少を、第1傾斜で減少させた後に、第2傾斜で減少させ、前記第2傾斜は前記第1傾斜よりも緩やかであり、
前記第1傾斜と前記第2傾斜との切り換えは、前記溶接電流が基準電流値まで減少したときに行い、
前記基準電流値は、他の前記溶接電源の前記くびれ検出制御に影響を与えないノイズレベルとなり、かつ、アーク再発生時の電流値がスパッタが少ないレベルとなるように設定される、
ことを特徴とする溶接電源のくびれ検出制御方法である。
請求項2の発明は、前記第1傾斜の期間中は、前記溶接電流の通電路に抵抗器を挿入する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接電源のくびれ検出制御方法である。

本発明によれば、複数のくびれ検出制御を有する溶接電源から共通のワークに同時に溶接を行う場合において、他の溶接電源における短絡期間中の溶接電流の変化によって、くびれの誤検出が発生することを抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る2台の溶接電源を使用して1つのワークの2つの溶接個所を同時に溶接するための溶接装置の構成図である。 図1の溶接装置を構成する第1溶接電源PS1の詳細ブロック図である。 図2の第1溶接電源PS1における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、2台の溶接電源を使用して1つのワークの2つの溶接個所を同時に溶接するための溶接装置の構成図である。2台の溶接電源は共にくびれ検出制御機能を供えている。以下、同図を参照して各構成物について説明する。
第1溶接電源PS1は、第1溶接電圧Vw1及び第1溶接電流Iw1を出力すると共に、第1送給機FD1に第1送給制御信号Fc1を出力する。第1送給機FD1は、この第1送給制御信号Fc1を入力として、第1溶接ワイヤ11を第1溶接トーチ41内を通って送給する。第1溶接ワイヤ11とワーク2との間には第1アーク31が発生する。第1溶接ワイヤ11とワーク2との間では、短絡期間とアーク期間とが交互に繰り返されて溶接が行われる。第1溶接トーチ41は、ロボット(図示は省略)に把持されている。ワーク2は治具5に設置されている。
第1溶接電源PS1のプラス端子と第1溶接トーチ41内の第1給電チップ61とは、ケーブルを介して接続されている。また、第1溶接電源PS1のマイナス端子と治具5とは、ケーブルを介して接続されている。第1溶接電圧Vw1は、第1給電チップ61とワーク2の表面との間に印加される電圧である。第1給電チップ61に電圧検出線を接続することは容易であるが、ワーク2の表面に電圧検出線を接続することは難しいために、治具5に接続することになる。このために、第1溶接電圧検出回路VD1は、第1給電チップ61と治具5との間の電圧を検出して、第1溶接電圧検出信号Vd1を出力する。この第1溶接電圧検出信号Vd1は、第1溶接電源PS1に入力される。この第1溶接電圧検出信号Vd1を使用して第1溶接ワイヤ11の溶滴に形成されるくびれを検出する。
第2溶接電源PS2は、第2溶接電圧Vw2及び第2溶接電流Iw2を出力すると共に、第2送給機FD2に第2送給制御信号Fc2を出力する。第2送給機FD2は、この第2送給制御信号Fc2を入力として、第2溶接ワイヤ12を第2溶接トーチ42内を通って送給する。第2溶接ワイヤ12とワーク2との間には第2アーク32が発生する。第2溶接ワイヤ12とワーク2との間では、短絡期間とアーク期間とが交互に繰り返されて溶接が行われる。第2溶接トーチ42は、ロボット(図示は省略)に把持されている。
第2溶接電源PS2のプラス端子と第2溶接トーチ42内の第2給電チップ62とは、ケーブルを介して接続されている。また、第2溶接電源PS2のマイナス端子と治具5とは、ケーブルを介して接続されている。第2溶接電圧Vw2は、第2給電チップ62とワーク2の表面との間に印加される電圧である。第2給電チップ62に電圧検出線を接続することは容易であるが、ワーク2の表面に電圧検出線を接続することは難しいために、治具5に接続することになる。このために、第2溶接電圧検出回路VD2は、第2給電チップ62と治具5との間の電圧を検出して、第2溶接電圧検出信号Vd2を出力する。この第2溶接電圧検出信号Vd2は、第2溶接電源PS2に入力される。この第2溶接電圧検出信号Vd2を使用して第2溶接ワイヤ12の溶滴に形成されるくびれを検出する。
第1溶接電流Iw1は、第1溶接電源PS1のプラス端子→第1給電チップ61→第1溶接ワイヤ11→ワーク2→治具5→第1溶接電源PS1のマイナス端子経路で通電する。第2溶接電流Iw2は、第2溶接電源PS2のプラス端子→第2給電チップ62→第2溶接ワイヤ12→ワーク2→治具5→第2溶接電源PS2のマイナス端子経路で通電する。したがって、ワーク2及び治具5中を第1溶接電流Iw1及び第2溶接電流Iw2が通電する。これら第1溶接電流Iw1と第2溶接電流Iw2を合算した電流を、以下合算溶接電流Igと呼ぶことにする。そして、この合算溶接電流Igが通電するワーク2及び治具5を共通通電路と呼ぶことにする。この共通通電路は、抵抗値及びインダクタンス値L(μH)を有している。一般的に抵抗値は小さな値であるので、無視することができる。このために、共通通電路は、インダクタンス値Lのみを有していることになる。
上記の第1溶接電圧検出信号Vd1及び第2溶接電圧検出信号Vd2は、下式のように表すことができる。
Vd1=Vw1+L・dIg/dt …(11)式
Vd2=Vw2+L・dIg/dt …(12)式
したがって、第1溶接電圧検出信号Vd1は、第1溶接電圧Vw1に合算溶接電流Igの変化によって共通通電路のインダクタンス値Lに発生する電圧が重畳した値となる。第2溶接電圧検出信号Vd2についても同様である。
図2は、図1の溶接装置を構成する第1溶接電源PS1の詳細ブロック図である。第2溶接電源PS2のブロック図も同様である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、第1溶接電圧Vw1及び第1溶接電流Iw1を出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流を溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器、整流された直流を平滑するリアクトル、誤差増幅信号Eaを入力としてパルス幅変調制御を行う変調回路、パルス幅変調制御信を入力としてインバータ回路のスイッチング素子を駆動するインバータ駆動回路を備えている。
減流抵抗器Rは、上記の電源主回路PMと第1溶接トーチ41との間に挿入される。この減流抵抗器Rの値は、短絡負荷(0.01~0.03Ω程度)の10倍以上大きな値(0.5~3Ω程度)に設定される。このために、くびれ検出制御によって減流抵抗器Rが通電路に挿入されると、溶接電源内の直流リアクトル及び外部ケーブルのリアクトルに蓄積されたエネルギーが急放電される。トランジスタTRは、減流抵抗器Rと並列に接続されて、後述する駆動信号Drに従ってオン又はオフ制御される。
第1溶接ワイヤ11は、第1送給機FD1によって第1溶接トーチ41内を送給されて、ワーク2との間に第1アーク31が発生する。ワーク2は、治具5上に設置されている。第1溶接トーチ41内の第1給電チップ(図示は省略)とワーク2の表面との間には第1溶接電圧Vw1が印加し、第1溶接電流Iw1が通電する。そして、ワーク2及び治具5等の共通通電路を合算溶接電流Igが通電する。
第1溶接電流検出回路ID1は、上記の第1溶接電流Iw1を検出して、第1溶接電流検出信号Id1を出力する。図1で上述したように、外部に設けられた第1溶接電圧検出回路VD1は、第1溶接トーチ41内の第1給電チップと治具5との間の電圧を検出して、第1溶接電圧検出信号Vd1を出力する。この第1溶接電圧検出回路VD1を溶接電源の内部に設けるようにしても良い。
短絡判別回路SDは、上記の第1溶接電圧検出信号Vd1を入力として、この値が予め定めた短絡/アーク判別値(10V程度)未満であるときは短絡期間にあると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク期間にあると判別してLowレベルになる短絡判別信号Sdを出力する。
くびれ検出基準値設定回路VTNは、予め定めたくびれ検出基準値信号Vtnを出力する。溶接法、送給速度、第1溶接ワイヤ11の材質、直径等の溶接条件に応じて、このくびれ検出基準値信号Vtnの値は適正値に設定される。くびれ検出回路NDは、このくびれ検出基準値信号Vtn、上記の短絡判別信号Sd、上記の第1溶接電圧検出信号Vd1及び上記の第1溶接電流検出信号Id1を入力として、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)であるときの第1溶接電圧検出信号Vd1の電圧上昇値がくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれが形成されたと判別してHighレベルとなり、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点でLowレベルになるくびれ検出信号Ndを出力する。また、短絡期間中の第1溶接電圧検出信号Vd1の微分値がそれに対応したくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。さらに、第1溶接電圧検出信号Vd1の値を第1溶接電流検出信号Id1の値で除算して溶滴の抵抗値を算出し、この抵抗値の微分値がそれに対応するくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。
低レベル電流設定回路ILRは、予め定めた低レベル電流設定信号Ilrを出力する。低レベル電流設定信号Ilrは、例えば50Aである。基準電流設定回路ISRは、予め定めた基準電流設定信号Isrを出力する。基準電流設定信号Isrは、例えば200Aである。
電流比較回路CMは、上記の基準電流設定信号Isr及び上記の第1溶接電流検出信号Id1を入力として、Id1<IsrのときはHighレベルになり、Id1≧IsrのときはLowレベルになる電流比較信号Cmを出力する。
駆動回路DRは、上記の電流比較信号Cm及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化するとLowレベルに変化し、その後に電流比較信号CmがHighレベルに変化するとHighレベルに変化する駆動信号Drを上記のトランジスタTRのベース端子に出力する。したがって、この駆動信号Drはくびれが検出されるとLowレベルになり、トランジスタTRがオフ状態になり通電路に減流抵抗器Rが挿入されるので、短絡負荷を通電する第1溶接電流Iw1は第1傾斜で急減する。そして、急減した第1溶接電流Iw1の値が基準電流設定信号Isrの値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルになり、トランジスタTRがオン状態になるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の状態に戻る。この結果、第1溶接電流Iw1は、基準電流設定信号Isrの値からは第2傾斜で緩やかに減少し、低レベル電流設定信号Ilrの値に達するとその値を維持する。
電流制御設定回路ICRは、上記の短絡判別信号Sd、上記の低レベル電流設定信号Ilr及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、以下の処理を行い、電流制御設定信号Icrを出力する。
1)短絡判別信号SdがHighレベル(短絡)に変化した時点から予め定めた初期期間中は、予め定めた初期電流設定値を電流制御設定信号Icrとして出力する。
2)その後は、電流制御設定信号Icrの値を、上記の初期電流設定値から予め定めた短絡時傾斜で予め定めたピーク設定値まで上昇させ、その値を維持する。
3)くびれ検出信号NdがHighレベル(くびれ検出)に変化すると、電流制御設定信号Icrの値を低レベル電流設定信号Ilrの値に切り換えて維持する。
4)短絡判別信号SdがLowレベル(アーク)に変化すると、電流制御設定信号Icrを、予め定めたアーク時傾斜で予め定めた高レベル電流設定値まで上昇させ、その値を維持する。
オフディレイ回路TDSは、上記の短絡判別信号Sdを入力として、この信号がHighレベルからLowレベルに変化する時点を予め定めた遅延時間だけオフディレイさせて遅延信号Tdsを出力する。したがって、この遅延信号Tdsは、短絡期間になるとHighレベルとなり、アークが再発生してから遅延時間だけオフディレイしてLowレベルになる信号である。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icr(+)と上記の第1溶接電流検出信号Id1(-)との誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
電圧設定回路VRは、アーク期間中の溶接電圧を設定するための予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、この電圧設定信号Vr及び上記の第1溶接電圧検出信号Vd1を入力として、電圧設定信号Vr(+)と第1溶接電圧検出信号Vd1(-)との誤差を増幅して電圧誤差増幅信号Evを出力する。
制御切換回路SWは、上記の電流誤差増幅信号Ei、上記の電圧誤差増幅信号Ev及び上記の遅延信号Tdsを入力として、遅延信号TdsがHighレベル(短絡開始からアークが再発生して遅延時間が経過するまでの期間)のときは電流誤差増幅信号Eiを誤差増幅信号Eaとして出力し、Lowレベル(アーク)のときは電圧誤差増幅信号Evを誤差増幅信号Eaとして出力する。この回路により、短絡期間+遅延期間中は定電流制御となり、それ以外のアーク期間中は定電圧制御となる。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。第1送給制御回路FC1は、この送給速度設定信号Frを入力として、この設定値に相当する送給速度で第1溶接ワイヤ11を送給するための第1送給制御信号Fc1を上記の第1送給機FD1に出力する。
図3は、図2の第1溶接電源PS1における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は第1溶接電流Iw1の時間変化を示し、同図(B)は第1溶接電圧検出信号Vd1の時間変化を示し、同図(C)はくびれ検出信号Ndの時間変化を示し、同図(D)は駆動信号Drの時間変化を示し、同図(E)は遅延信号Tdsの時間変化を示し、同図(F)は電流制御設定信号Icrの時間変化を示す。以下、同図を参照して動作について説明する。
(1)時刻t1の短絡発生から時刻t2のくびれ検出時点までの動作
時刻t1において第1溶接ワイヤ11がワーク2と接触すると短絡期間になり、同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1は数V程度の短絡電圧値に急減する。この第1溶接電圧検出信号Vd1が短絡/アーク判別値Vta未満になったことを判別して、同図(E)に示すように、遅延信号TdsはLowレベルからHighレベルに変化する。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは時刻t1において予め定めた高レベル電流設定値から小さな値である予め定めた初期電流設定値に変化する。時刻t1~t11の予め定めた初期期間中は上記の初期電流設定値となり、時刻t11~t12の期間中は予め定めた短絡時傾斜で上昇し、時刻t12~t2の期間中は予め定めたピーク設定値となる。短絡期間中は上述したように定電流制御されているので第1溶接電流Iw1は電流制御設定信号Icrに相当する値に制御される。このために、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1は、時刻t1においてアーク期間の溶接電流値から減少し、時刻t1~t11の初期期間中は初期電流値となり、時刻t11~t12の期間中は短絡時傾斜で上昇し、時刻t12~t2の期間中はピーク値となる。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、後述する時刻t2~t3の期間はHighレベルとなり、それ以外の期間はLowレベルとなる。同図(D)に示すように、駆動信号Drは、後述する時刻t2~t21の期間はLowレベルとなり、それ以外の期間はHighレベルとなる。したがって、同図において時刻t2以前の期間中は、駆動信号DrはHighレベルとなり、図2のトランジスタTRがオン状態となるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の消耗電極アーク溶接電源と同一の状態となる。例えば、上記の初期期間は1ms程度であり、初期電流値は50A程度であり、短絡時傾斜は400A/ms程度であり、ピーク値は400A程度である。
同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1は、第1溶接電流Iw1がピーク値となる時刻t12あたりから上昇する。これは、溶滴にくびれが次第に形成されるためである。時刻t12からの期間がくびれを検出する期間となる。このくびれを検出する期間においては、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1はピーク値で略一定値である。
(2)時刻t2のくびれ検出時点から時刻t3のアーク再発生時点までの動作
時刻t2において、同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1が上昇して初期期間中の電圧値からの電圧上昇値ΔVが予め定めたくびれ検出基準値Vtnと等しくなったことによってくびれを検出すると、同図(C)に示すように、くびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(D)に示すように、駆動信号DrはLowレベルになるので、図2のトランジスタTRはオフ状態となり減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは低レベル電流設定信号Ilrの値へと小さくなる。このために、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1はピーク値から第1傾斜で急減する。そして、時刻t21において、第1溶接電流Iw1が基準電流値Isまで減少すると、同図(D)に示すように、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、図2のトランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。この結果、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1は、時刻t21からは第2傾斜で緩やかに減少し、低レベル電流値Ilに達するとその値を時刻t3まで維持する。したがって、トランジスタTRは、時刻t2にくびれが検出されてから時刻t21に第1溶接電流Iw1が基準電流値Isに減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1は、第1溶接電流Iw1が小さくなるので時刻t2から一旦減少した後に急上昇する。
第1溶接電流Iw1は、くびれが検出されると、第1傾斜で基準電流値Isまで急減し、その後は第2傾斜で緩やかに減少し、低レベル電流値Ilに達するとその値を維持する。くびれが検出されてからアークが再発生するまでの期間(時刻t21~t3の期間)が短い場合には、第2傾斜で減少している途中でアークが再発生することになる。第1傾斜は、通電路に減流抵抗器Rが挿入されているので、5000A/ms程度となる。第2傾斜は、減流抵抗器Rが短絡されているので、500A/ms程度となる。
(3)時刻t3のアーク再発生時点から時刻t4の遅延期間Tdの終了時点までの動作
時刻t3において第1アーク31が再発生すると、同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1の値は短絡/アーク判別値Vta以上となる。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrの値は、低レベル電流設定信号Ilrの値から予め定めたアーク時傾斜で上昇し、上記の高レベル電流設定値に達するとその値を維持する。同図(E)に示すように、遅延信号Tdsは、時刻t3にアークが再発生してから予め定めた遅延期間Tdが経過する時刻t4までHighレベルのままである。したがって、溶接電源は時刻t4まで定電流制御されているので、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1は、時刻t3からアーク時傾斜で上昇し、高レベル電流値に達するとその値を時刻t4まで維持する。同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1は、時刻t3~t4の遅延期間Td中は高レベル電圧値の状態にある。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、時刻t3にアークが再発生するので、Lowレベルに変化する。
(4)時刻t4の遅延期間Td終了時点から時刻t5の次の短絡発生までのアーク期間の動作
同図(E)に示すように、遅延信号TdsがLowレベルに変化する。この結果、溶接電源は定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。このために、同図(A)に示すように、第1溶接電流Iw1は高レベル電流値から次第に減少する。同様に、同図(B)に示すように、第1溶接電圧検出信号Vd1は高レベル電圧値から次第に減少する。
くびれを検出したときの溶接電流の減少を、第1傾斜で減少させた後に、第1傾斜よりも緩やかな第2傾斜で減少させることの作用効果は、以下のとおりである。上述した(11)式によれば、Vd1=Vw1+L・dIg/dtとなる。L・dIg/dtが、合算溶接電流Igの変化によって共通通電路のインダクタンス値Lに発生する電圧値(ノイズ)である。L・dIg/dt=dIw1/dt+dIw2/dtであり、L・dIw2/dtが、他の溶接電源(第2溶接電源PS2)の溶接電流の変化に伴うノイズとなる。溶接電流の変化速度が大きいほど、このノイズは大きくなる。溶接電流の変化速度が最も大きくなるのは、くびれを検出したときの溶接電流の急減時である。従来技術においては、くびれを検出したときは、溶接電流を第1傾斜で低レベル電流値まで急減させていた。短絡電流のピーク値は400A程度であり、低レベル電流値は50A程度であり、400Aから50Aを0.1ms程度で減少させていた。このために、大きなノイズが発生していた。このノイズによって、くびれを誤検出する問題があった。これに対して、本実施の形態においては、溶接電流を第1傾斜と第2傾斜に切り換えることによって、他の溶接電源に及ぼすノイズを小さくしている。このようにすると、くびれの誤検出を抑制することができる。本実施の形態において、基準電流値の設定は重要である。基準電流値が大きいと、アーク再発生時の溶接電流値が大きくなり、スパッタが多くなる。基準電流値が小さいと、ノイズが大きくなり、くびれの誤検出が発生する。したがって、基準電流値は、他の溶接電源のくびれ検出に影響を与えないノイズレベルであり、かつ、アーク再発生時の電流値がスパッタが少ないレベルとなるように設定される。
11 第1溶接ワイヤ
12 第2溶接ワイヤ
2 ワーク
31 第1アーク
32 第2アーク
41 第1溶接トーチ
42 第2溶接トーチ
5 治具
61 第1給電チップ
62 第2給電チップ
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
Ea 誤差増幅信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
Fc1 第1送給制御信号
Fc2 第2送給制御信号
FD1 第1送給機
FD2 第2送給機
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
ICR 電流制御設定回路
Icr 電流制御設定信号
Ig 合算溶接電流
Il 低レベル電流値
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
Is 基準電流値
ISR 基準電流設定回路
Isr 基準電流設定信号
Iw1 第1溶接電流
Iw2 第2溶接電流
L 共通通電路のインダクタンス値
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
PM 電源主回路
PS1 第1溶接電源
PS2 第2溶接電源
R 減流抵抗器
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
SW 制御切換回路
Td 遅延期間
TDS オフディレイ回路
Tds 遅延信号
TR トランジスタ
VD1 第1溶接電圧検出回路
Vd1 第1溶接電圧検出信号
VD2 第2溶接電圧検出回路
Vd2 第2溶接電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vta 短絡/アーク判別値
VTN くびれ検出基準値設定回路
Vtn くびれ検出基準値(信号)
Vw1 第1溶接電圧
Vw2 第2溶接電圧
ΔV 電圧上昇値

Claims (2)

  1. 溶接ワイヤの溶滴のくびれを検出すると短絡負荷に通電する溶接電流を減少させてアークを再発生させる溶接電源のくびれ検出制御方法において、
    複数の前記くびれ検出制御を有する前記溶接電源から共通のワークに同時に溶接を行い、
    前記溶接電源は、前記くびれを検出したときの前記溶接電流の減少を、第1傾斜で減少させた後に、第2傾斜で減少させ、前記第2傾斜は前記第1傾斜よりも緩やかであり、
    前記第1傾斜と前記第2傾斜との切り換えは、前記溶接電流が基準電流値まで減少したときに行い、
    前記基準電流値は、他の前記溶接電源の前記くびれ検出制御に影響を与えないノイズレベルとなり、かつ、アーク再発生時の電流値がスパッタが少ないレベルとなるように設定される、
    ことを特徴とする溶接電源のくびれ検出制御方法。
  2. 前記第1傾斜の期間中は、前記溶接電流の通電路に抵抗器を挿入する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶接電源のくびれ検出制御方法。
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