JP2020062667A - 消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、ブローホールの発生を抑制すること。【解決手段】時刻t2にくびれを検出すると溶接電流Iwを減少させ、時刻t3にアークが再発生した時点から時刻t31に遅延期間Tdが経過した時点で溶接電流Iwを増加させて通電する消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、標準溶接モードとブローホール削減溶接モードとを備え、遅延期間Tdをブローホール削減溶接モードのときは標準溶接モードのときよりも短くする。さらに、時刻t3のアークの再発生時の溶接電流Iwの値が、ブローホール削減溶接モードのときは標準溶接モードのときよりも大となるように制御する。これにより、アーク圧力が強くなるので、溶融池の攪拌作用が大きくなり、ブローホールの発生を抑制することができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、短絡期間中にアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出して溶接電流を減少させる消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法に関するものである。
溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返し、短絡期間中にアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、くびれを検出すると溶接電流を減少させ、アークが再発生した時点から遅延期間が経過した時点で溶接電流を増加させて通電する消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5851798号公報
従来技術の消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法においては、短絡期間中にくびれ検出制御によってアーク再発生時の溶接電流の値が小さくなるために、スパッタ発生量が非常に少なくなり、溶融池の振動が小さくなりビード外観が良好になる。しかし、アーク圧力による溶融池の振動は、溶融池内部を攪拌する作用があり、ブローホールの発生を抑制する効果がある。この結果、肉盛り溶接、亜鉛メッキ鋼板溶接等のようにブローホールが発生しやすい溶接に対してくびれ検出制御を適用すると、ブローホールが発生しやすくなるという問題があった。
そこで、本発明では、ブローホールの発生を抑制することができる消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返し、前記短絡期間中にアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、前記くびれを検出すると溶接電流を減少させ、前記アークが再発生した時点から遅延期間が経過した時点で前記溶接電流を増加させて通電する消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、
標準溶接モードとブローホール削減溶接モードとを備え、
前記遅延期間を、前記ブローホール削減溶接モードのときは前記標準溶接モードのときよりも短くする、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法である。
請求項2の発明は、前記アークの再発生時の前記溶接電流の値が、前記ブローホール削減溶接モードのときは前記標準溶接モードのときよりも大となるように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法である。
本発明によれば、消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、ブローホールの発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換するインバータ回路、高周波交流を溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器、整流された直流を平滑するリアクトル、誤差増幅信号Eaを入力としてパルス幅変調制御を行う変調回路、パルス幅変調制御信を入力としてインバータ回路のスイッチング素子を駆動するインバータ駆動回路を備えている。
減流抵抗器Rは、上記の電源主回路PMと溶接トーチ4との間に挿入される。この減流抵抗器Rの値は、短絡負荷(0.01〜0.03Ω程度)の50倍以上大きな値(0.5〜3Ω程度)に設定される。このために、くびれ検出制御によって減流抵抗器Rが通電路に挿入されると、溶接電源内の直流リアクトル及び外部ケーブルのリアクトルに蓄積されたエネルギーが急放電される。トランジスタTRは、減流抵抗器Rと並列に接続されて、後述する駆動信号Drに従ってオン又はオフ制御される。
溶接ワイヤ1は、送給機FDによって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。
溶接電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、溶接電流検出信号Idを出力する。
溶接電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、溶接電圧検出信号Vdを出力する。
短絡判別回路SDは、上記の溶接電圧検出信号Vdを入力として、この値が予め定めた短絡/アーク判別値Vta(10V程度)未満であるときは短絡期間にあると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク期間にあると判別してLowレベルになる短絡判別信号Sdを出力する。
くびれ検出基準値設定回路VTNは、予め定めたくびれ検出基準値信号Vtnを出力する。溶接法、送給速度、溶接ワイヤ1の材質、直径等の溶接条件に応じて、このくびれ検出基準値信号Vtnの値は適正値に設定される。
くびれ検出回路NDは、上記のくびれ検出基準値信号Vtn、上記の短絡判別信号Sd、上記の溶接電圧検出信号Vd及び上記の溶接電流検出信号Idを入力として、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)であるときの溶接電圧検出信号Vdの電圧上昇値がくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれが形成されたと判別してHighレベルとなり、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点でLowレベルになるくびれ検出信号Ndを出力する。また、短絡期間中の溶接電圧検出信号Vdの微分値がそれに対応したくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。さらに、溶接電圧検出信号Vdの値を溶接電流検出信号Idの値で除算して溶滴の抵抗値を算出し、この抵抗値の微分値がそれに対応するくびれ検出基準値信号Vtnの値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。
溶接モード選択回路MSは、標準溶接モードが選択されると1となり、ブローホール削減溶接モードが選択されると2となる溶接モード選択信号Msを出力する。
低レベル電流設定回路ILRは、上記の溶接モード選択信号Msを入力として、溶接モード選択信号Ms=1(標準溶接モード)のときは予め定めた第1低レベル電流値Il1となり、溶接モード選択信号Ms=2(ブローホール削減溶接モード)のときは予め定めた第2低レベル電流値Il2となる低レベル電流設定信号Ilrを出力する。Il1<Il2である。例えば、Il1=50A、Il2=200Aである。
電流比較回路CMは、上記の低レベル電流設定信号Ilr及び上記の溶接電流検出信号Idを入力として、Id<IlrのときはHighレベルになり、Id≧IlrのときはLowレベルになる電流比較信号Cmを出力する。
駆動回路DRは、上記の電流比較信号Cm及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化するとLowレベルに変化し、その後に電流比較信号CmがHighレベルに変化するとHighレベルに変化する駆動信号Drを上記のトランジスタTRのベース端子に出力する。したがって、この駆動信号Drはくびれが検出されるとLowレベルになり、トランジスタTRがオフ状態になり通電路に減流抵抗器Rが挿入されるので、短絡負荷を通電する溶接電流Iwは急減する。そして、急減した溶接電流Iwの値が低レベル電流設定信号Ilrの値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルになり、トランジスタTRがオン状態になるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の状態に戻る。この結果、溶接電流Iwは、低レベル電流設定信号Ilrの値を維持する。
遅延期間設定回路TDRは、上記の溶接モード選択信号Msを入力として、溶接モード選択信号Ms=1(標準溶接モード)のときは予め定めた第1遅延期間Td1となり、溶接モード選択信号Ms=2(ブローホール削減溶接モード)のときは予め定めた第2遅延期間Td2となる遅延期間設定信号Tdrを出力する。Td1>Td2である。例えば、Td1=0.4msであり、Td2=0.1msである。
遅延期間回路TDSは、上記の短絡判別信号Sd及び上記の遅延期間設定信号Tdrを入力として、短絡判別信号SdがHighレベルからLowレベルに変化する時点を遅延期間設定信号Tdrによって定まる遅延期間Tdだけオフディレイさせて遅延期間信号Tdsを出力する。したがって、この遅延期間信号Tdsは、短絡期間になるとHighレベルとなり、アークが再発生(短絡判別信号SdがLowレベルに変化)してから遅延期間TdだけオフディレイしてLowレベルになる信号である。
電流制御設定回路ICRは、上記の遅延期間信号Tds、上記の低レベル電流設定信号Ilr及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、以下の処理を行い、電流制御設定信号Icrを出力する。
1)遅延期間信号TdsがHighレベル(短絡)に変化した時点から予め定めた初期期間中は、予め定めた初期電流設定値を電流制御設定信号Icrとして出力する。
2)その後は、電流制御設定信号Icrの値を、上記の初期電流設定値から予め定めた短絡時傾斜で予め定めたピーク設定値まで上昇させ、その値を維持する。
3)くびれ検出信号NdがHighレベル(くびれ検出)に変化すると、電流制御設定信号Icrの値を低レベル電流設定信号Ilrの値に切り換えて維持する。
4)遅延期間信号TdsがLowレベルに変化すると(アーク再発生から遅延期間Tdが経過した時点)、電流制御設定信号Icrを、予め定めたアーク時傾斜で予め定めた高レベル電流設定値まで上昇させ、その値を維持する。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icr(+)と上記の溶接電流検出信号Id(−)との誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
電圧設定回路VRは、アーク期間中の溶接電圧を設定するための予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。電圧誤差増幅回路EVは、この電圧設定信号Vr及び上記の溶接電圧検出信号Vdを入力として、電圧設定信号Vr(+)と溶接電圧検出信号Vd(−)との誤差を増幅して電圧誤差増幅信号Evを出力する。
制御切換回路SWは、上記の電流誤差増幅信号Ei、上記の電圧誤差増幅信号Ev及び上記の遅延期間信号Tdsを入力として、遅延期間信号TdsがHighレベル(短絡)に変化した時点からアークが再発生して予め定めた高電流期間が経過した時点までの期間中は電流誤差増幅信号Eiを誤差増幅信号Eaとして出力し、それ以外の期間中は電圧誤差増幅信号Evを誤差増幅信号Eaとして出力する。この回路により、短絡期間+遅延期間Td+高電流期間中は定電流制御となり、それ以外のアーク期間中は定電圧制御となる。
送給速度設定回路FRは、予め定めた送給速度設定信号Frを出力する。送給制御回路FCは、この送給速度設定信号Frを入力として、この設定値に相当する送給速度で溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを上記の送給機FDに出力する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)はくびれ検出信号Ndの時間変化を示し、同図(D)は駆動信号Drの時間変化を示し、同図(E)は遅延期間信号Tdsの時間変化を示し、同図(F)は電流制御設定信号Icrの時間変化を示す。以下、同図を参照して各信号の動作について説明する。
(1)時刻t1の短絡発生から時刻t2のくびれ検出時点までの動作
時刻t1において溶接ワイヤ1が母材2と接触すると短絡期間になり、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数V程度の短絡電圧値に急減する。この溶接電圧Vwが短絡/アーク判別値Vta未満になったことを判別して、同図(E)に示すように、遅延期間信号TdsはLowレベルからHighレベルに変化する。これに応動して、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは時刻t1において予め定めた高レベル電流設定値から小さな値である予め定めた初期電流設定値に変化する。時刻t1〜t11の予め定めた初期期間中は上記の初期電流設定値となり、時刻t11〜t12の期間中は予め定めた短絡時傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中は予め定めたピーク設定値となる。短絡期間中は上述したように定電流制御されているので溶接電流Iwは電流制御設定信号Icrに相当する値に制御される。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t1においてアーク期間の溶接電流値から減少し、時刻t1〜t11の初期期間中は初期電流値となり、時刻t11〜t12の期間中は短絡時傾斜で上昇し、時刻t12〜t2の期間中はピーク値となる。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、後述する時刻t2〜t3の期間はHighレベルとなり、それ以外の期間はLowレベルとなる。同図(D)に示すように、駆動信号Drは、後述する時刻t2〜t21の期間はLowレベルとなり、それ以外の期間はHighレベルとなる。したがって、同図において時刻t2以前の期間中は、駆動信号DrはHighレベルとなり、図2のトランジスタTRがオン状態となるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の消耗電極アーク溶接電源と同一の状態となる。例えば、上記の初期期間は1ms程度であり、初期電流値は50A程度であり、短絡時傾斜は400A/ms程度であり、ピーク値は400A程度である。
同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwがピーク値となる時刻t12あたりから上昇する。これは、溶滴にくびれが次第に形成されるためである。時刻t12からの期間がくびれを検出する期間となる。このくびれを検出する期間においては、同図(A)に示すように、溶接電流Iwはピーク値でほぼ一定値である。
(2)時刻t2のくびれ検出時点から時刻t3のアーク再発生時点までの動作
時刻t2において、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwが上昇して初期期間中の電圧値からの電圧上昇値ΔVが予め定めたくびれ検出基準値Vtnと等しくなったことによってくびれを検出すると、同図(C)に示すように、くびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。これに応動して、同図(D)に示すように、駆動信号DrはLowレベルになるので、図1のトランジスタTRはオフ状態となり減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrは低レベル電流設定信号Ilrの値へと小さくなる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwはピーク値から急減する。そして、時刻t21において、溶接電流Iwが低レベル電流値Ilまで減少すると、同図(D)に示すように、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、図1のトランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。この結果、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t21からアークが再発生する時刻t3まで低レベル電流値Ilを維持する。したがって、トランジスタTRは、時刻t2にくびれが検出されてから時刻t21に溶接電流Iwが低レベル電流値Ilに減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwが小さくなるので時刻t2から一旦減少した後に急上昇する。
ここで、図1の溶接モード選択信号Ms=1の標準溶接モードが選択されているときは、低レベル電流値Ilは第1低レベル電流値Il1となる。他方、溶接モード選択信号Ms=2のブローホール削減溶接モードが選択されているときは、低レベル電流値Ilは第2低レベル電流値Il2となる。Il1<Il2である。このために、時刻t3でアークが再発生した時点における溶接電流Iwの値(アーク再発生時電流値)は、ブローホール削減溶接モードのときが標準溶接モードのときよりも大となる。例えば、Il1=50A、Il2=200Aである。
(3)時刻t3のアーク再発生から遅延期間Tdが経過して時刻t4の高電流期間が終了するまでの動作
時刻t3においてアーク3が再発生すると、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwの値は短絡/アーク判別値Vta以上となる。時刻t3〜t31の期間が予め定めた遅延期間Tdとなる。同図(F)に示すように、電流制御設定信号Icrの値は、時刻31まで低レベル電流値Ilのままとなる。そして、時刻t31〜t4の期間が予め定めた高電流期間となる。電流制御設定信号Icrの値は、時刻t31から予め定めたアーク時傾斜で上昇し、上記の高レベル電流設定値に達するとその値を維持する。時刻t3にアークが再発生してから遅延期間Td及び高電流期間が経過する時刻t4まで溶接電源は定電流制御されているので、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t3〜t31の遅延期間Td中は低レベル電流値Ilとなり、時刻t31からはアーク時傾斜で上昇し、高レベル電流値に達するとその値を時刻t4まで維持する。同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは、時刻t3〜t31の遅延期間Td中はアーク電圧値となり、時刻t31〜t4の高電流期間中はそれよりも大の高レベル電圧値となる。同図(C)に示すように、くびれ検出信号Ndは、時刻t3にアークが再発生するので、Lowレベルに変化する。
(4)時刻t4の高電流終了時点から時刻t5の次の短絡発生までのアーク期間の動作
時刻t4において高電流期間が終了すると、溶接電源は定電流制御から定電圧制御へと切り換えられる。このために、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは高レベル電流値から次第に減少する。同様に、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは高レベル電圧値から次第に減少する。
図1の溶接モード選択信号Ms=1の標準溶接モードが選択されているときは、遅延期間Tdは第1遅延期間Td1となる。他方、溶接モード選択信号Ms=2のブローホール削減溶接モードが選択されているときは、遅延期間Tdは第2遅延期間Td2となる。Td1>Td2である。このために、アークが再発生してから溶接電流Iwが増加するまでの遅延期間Tdは、ブローホール削減溶接モードのときが標準溶接モードのときよりも短くなる。例えば、Td1=0.4ms、Td2=0.1msである。
以下、実施の形態1の発明の作用効果について説明する。実施の形態1によれば、標準溶接モードとブローホール削減溶接モードとを備え、アーク再発生時点から溶接電流を増加させるまでの遅延期間を、ブローホール削減溶接モードのときは標準溶接モードのときよりも短くする。これにより、ブローホール削減溶接モードのときは、アークが再発生してから溶接電流が増加して高電流値になるまでの期間が短くなるので、早急に溶融池へのアーク圧力が強くなる。この結果、溶融池の攪拌作用が大きくなり、ブローホールの発生を削減することができる。半面、遅延期間が短くなると、アーク再発生直後のスパッタ発生量が少し増加する。このために、標準溶接モードでは、遅延期間を長くしている。これにより、スパッタ発生を非常に少なくすることができる。したがって、ブローホールの発生がもともと少ない溶接時は、標準溶接モードを選択し、ブローホールの発生が多い溶接時は、ブローホール削減溶接モードを選択するようにすれば良い。
さらに、実施の形態1において、遅延期間の制御に加えて、アークの再発生時の溶接電流の値(アーク再発生時電流値)が、ブローホール削減溶接モードのときは標準溶接モードのときよりも大となるように制御するようにしても良い。このようにすれば、ブローホール削減溶接モードのときはアーク再発生時電流値が大きくなるので、溶融池へのアーク圧力が強くなる。この結果、溶融池の攪拌作用がさらに大きくなり、ブローホールの削減効果がさらに大きくなる。しかし、アーク再発生時電流値が大きくなると、スパッタ発生量がさらに増加することになる。したがって、ブローホールの発生をより削減したいときに、この制御を追加するようにすれば良い。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
Ea 誤差増幅信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FD 送給機
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
ICR 電流制御設定回路
Icr 電流制御設定信号
ID 溶接電流検出回路
Id 溶接電流検出信号
Il 低レベル電流値
Il1 第1低レベル電流値
Il2 第2低レベル電流値
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
Iw 溶接電流
MS 溶接モード選択回路
Ms 溶接モード選択信号
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
PM 電源主回路
R 減流抵抗器
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
SW 制御切換回路
Td 遅延期間
Td1 第1遅延期間
Td2 第2遅延期間
TDR 遅延期間設定回路
Tdr 遅延期間設定信号
TDS 遅延期間回路
Tds 遅延期間信号
TR トランジスタ
VD 溶接電圧検出回路
Vd 溶接電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
Vta 短絡/アーク判別値
VTN くびれ検出基準値設定回路
Vtn くびれ検出基準値(信号)
Vw 溶接電圧
ΔV 電圧上昇値

Claims (2)

  1. 溶接ワイヤと母材との間で短絡期間とアーク期間とを繰り返し、前記短絡期間中にアークが再発生する前兆現象である溶滴のくびれを検出し、前記くびれを検出すると溶接電流を減少させ、前記アークが再発生した時点から遅延期間が経過した時点で前記溶接電流を増加させて通電する消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法において、
    標準溶接モードとブローホール削減溶接モードとを備え、
    前記遅延期間を、前記ブローホール削減溶接モードのときは前記標準溶接モードのときよりも短くする、
    ことを特徴とする消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法。
  2. 前記アークの再発生時の前記溶接電流の値が、前記ブローホール削減溶接モードのときは前記標準溶接モードのときよりも大となるように制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の消耗電極アーク溶接のくびれ検出制御方法。
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