JP7106907B2 - 構造体及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、構造体及びその製造方法に関する。
近年、電子部品の高密度化及び微細化のための加工技術の研究開発が進められている。その加工技術の一つである、CMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング:化学機械研磨)技術は、電子部品の製造工程において、層間絶縁膜の平坦化工程、シャロートレンチ分離(シャロー・トレンチ・アイソレーション。以下「STI」という。)の形成工程、プラグの形成工程、埋め込み金属配線の形成工程(ダマシン工程)等を行う際に必須の技術となってきている。CMP技術を用いた平坦化工程(以下「CMP工程」という。)は、一般に、研磨パッド(研磨布)と、被研磨体の被研磨面との間に研磨液を供給しながら被研磨面を研磨することによって行われる。CMP用の研磨液(以下「CMP研磨液」という。)としては、砥粒として酸化セリウム(セリア)粒子を含むセリア系研磨液(例えば下記特許文献1)が知られている。
特開平10-106994号公報
CMP工程においては、ストッパを用いて絶縁部を選択的に研磨することがある。例えば、複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、基板の凸部上に配置されたストッパと、基板の凹部に配置されると共にストッパ上に配置された絶縁部と、を備える被研磨体の絶縁部を、ストッパが露出するまで研磨することにより、ストッパを用いた絶縁部の選択的研磨を行うことができる。
ストッパを用いて絶縁部を選択的に研磨する技術では、電子部品の高密度化及び微細化のため、ストッパ材料の研磨速度を抑制しつつ、ストッパ材料に対する絶縁材料の研磨速度比(研磨選択性:絶縁材料の研磨速度/ストッパ材料の研磨速度)を高めることが求められる。しかしながら、高い研磨速度比が得られる研磨液を用いた場合であっても、CMP工程後のストッパに凹み欠陥が発生することがある(図1参照)。ストッパは、トランジスタのゲート電極等を構成する導電部としても用いられるため、ストッパに凹み欠陥が発生した場合、電子部品の信頼性に大きな影響を与えることから電子部品の歩留まり(製造歩留まり)に大きな影響を与える。
そこで、本発明は、電子部品に用いられる構造体であって、電子部品を歩留まり良く得ることが可能な構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る構造体は、複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、当該基板の前記凸部上に配置されたストッパと、前記基板の前記凹部に配置された絶縁部と、を備える構造体であって、前記ストッパがポリシリコンを含み、前記構造体の表面に前記ストッパ及び前記絶縁部が露出しており、前記構造体の前記表面において、前記凸部の少なくとも一つの上に配置された前記ストッパの表面が凹み欠陥を有さない。
本発明に係る構造体の製造方法は、複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、当該基板の前記凸部上に配置されたストッパと、前記基板の前記凹部に配置されると共に前記ストッパ上に配置された絶縁部と、を備える被研磨体の前記絶縁部を、前記ストッパが露出するまで研磨して除去することにより、前記ストッパ及び前記絶縁部が露出した表面を有する構造体を得る工程を備え、前記ストッパがポリシリコンを含み、前記構造体の前記表面において、前記凸部の少なくとも一つの上に配置された前記ストッパの表面が凹み欠陥を有さない。
「凹み欠陥」とは、研磨傷とは異なるものであり、目視では検出することが難しいが、例えば、光学顕微鏡を用いた観察時に、図1に示すような、円状、又は、円状の欠陥が連なった形状をしているものを示し、例えば幅0.5μm以上、深さ100nm以下の大きさである。「ストッパの表面が凹み欠陥を有さない」とは、光学顕微鏡(例えば、オリンパス株式会社製、商品名:DSX-510)を用いて、20倍対物レンズの設定で、研磨後のストッパの表面における中央部を撮影して得られる5つの画像(視野範囲:700μm×700μm)における凹み欠陥の数(単位:個/視野)の平均値(5画像の平均値)が10個以下であることをいう(図2参照)。
本発明に係る構造体、及び、本発明に係る構造体の製造方法により得られる構造体では、構造体の表面において、凸部の少なくとも一つの上に配置されたストッパの表面が凹み欠陥を有さない。このような構造体を用いて電子部品を製造することにより、電子部品を歩留まり良く得ることができる。
本発明によれば、電子部品に用いられる構造体であって、電子部品を歩留まり良く得ることが可能な構造体及びその製造方法を提供することができる。
図1は、ストッパの表面が凹み欠陥を有する状態の一例を示す図である。 図2は、ストッパの表面が凹み欠陥を有さない状態の一例を示す図である。 図3は、構造体の一例を示す模式断面図である。 図4は、構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<構造体及びその製造方法>
図3は、本実施形態に係る構造体の一例を示す模式断面図である。図3に示す構造体100は、複数の凸部(アクティブ部)及び凹部(トレンチ部)を表面に有する基板10と、基板10の凸部上に配置されたストッパ20と、基板10の凹部に配置された絶縁部30と、を備える。基板10の凸部及び凹部は、凹凸パターンを構成している。ストッパ20は、ポリシリコンを含んでいる。絶縁部30は、基板10の凹凸パターンの凹部を埋めるように配置されている。構造体100の表面にはストッパ20及び絶縁部30が露出している。
構造体100の表面(ストッパ20及び絶縁部30が露出している表面)において、複数の凸部の少なくとも一つの上に配置されたストッパ20の表面が凹み欠陥を有していない。電子部品に用いられる構造体として、凹み欠陥を有していない表面を有するストッパ20を備える構造体100を用いることにより、電子部品を歩留まり良く得ることができる。
構造体100は、種々の電子部品の製造に用いることができる。電子部品としては、半導体素子;フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路;光スイッチング素子;光導波路;光ファイバーの端面;シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザLED用サファイヤ基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッドなどが挙げられる。構造体100を用いることにより、高集積化を図ることができると共に優れた特性を確保することができる。
構造体100は、凹み欠陥を有していない表面を有するストッパ20を少なくとも一つ有していればよい。例えば、構造体100は、複数の凸部の上に配置された複数のストッパ20の表面が凹み欠陥を有していない態様であってもよく、複数の凸部の上に配置された全てのストッパ20の表面が凹み欠陥を有していない態様であってもよい。
基板10としては、例えば、半導体素子製造に係る基板(例えば、回路素子及び配線パターンが形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に絶縁部が形成された基板)が挙げられる。なお、図3に示す基板の表面には凹凸パターンが形成されているが、表面に凹凸パターンが形成されていない基板を用いてもよい。
ストッパ20の形状は、特に限定されず、例えば膜状(ポリシリコン膜等のストッパ膜)である。
絶縁部30を構成する絶縁材料としては、無機絶縁材料、有機絶縁材料等が挙げられる。無機絶縁材料としては、シリコン系絶縁材料等が挙げられる。シリコン系絶縁材料としては、酸化珪素、炭素含有酸化珪素、フルオロシリケートグラス、オルガノシリケートグラス、水素化シルセスキオキサン等のシリカ系材料;シリコンカーバイド;シリコンナイトライド(窒化珪素)などが挙げられる。有機絶縁材料としては、例えば、全芳香族系低誘電率絶縁材料が挙げられる。絶縁材料は、酸化珪素であることが好ましい。絶縁材料には、リン、ホウ素等の元素がドープされていてもよい。絶縁部30の形状は、特に限定されず、例えば膜状(絶縁膜)である。
図4は、本実施形態に係る構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図であり、図3に示す構造体100を得るための被研磨体(基体)200を示している。図4に示す被研磨体200は、複数の凸部及び凹部を表面に有する基板10と、基板10の凸部上に配置されたストッパ20と、基板10の凹部に配置されると共に基板10及びストッパ20上に配置された絶縁部30と、を備える。被研磨体200の絶縁部30の表面は、基板10の表面の凹凸パターンと同様の凹凸パターンを有している。
被研磨体200の絶縁部30としては、半導体基板に形成された絶縁膜;所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素、ガラス、窒化珪素等の無機絶縁材料;Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta、TaN等を主として含有する材料などを用いることができる。被研磨体200の絶縁部30の研磨は、層間絶縁膜、BPSG膜等の平坦化工程;シャロートレンチ分離(STI)の形成工程などで行われてもよい。
被研磨体200としては、例えば、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体;DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリー)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリー)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリー)、フラッシュメモリー等の記憶素子;マイクロプロセッサー、DSP、ASIC等の理論回路素子;MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子;混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子などを有する基板が挙げられる。
構造体100の製造方法(被研磨体200の研磨方法)は、被研磨体200の絶縁部30を、ストッパ20が露出するまで研磨(CMP)して除去することにより、ストッパ20及び絶縁部30が露出した表面を有する構造体100を得る研磨工程を備える。研磨工程では、研磨液を用いて被研磨体200の絶縁部30を研磨することができる。研磨工程では、後述する研磨液セットにおけるスラリーと添加液とを混合して得られる研磨液を用いてもよい。研磨工程では、ストッパ材料(ストッパ)に対して絶縁材料(絶縁部)を選択的に(優先的に)研磨することができる。例えば、ポリシリコンに対して酸化珪素を選択的に(優先的に)研磨することができる。研磨工程は、ポリシリコンをストッパ材料として用いて酸化珪素を研磨する工程であってよい。
研磨工程は、例えば、被研磨体を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を用いて実施することができる。研磨工程は、例えば、以下の手順で行われる。まず、被研磨体200の表面(絶縁部30の表面、絶縁材料で形成された表面)が研磨パッドに対向するように被研磨体200を研磨パッド上に配置する。次いで、被研磨体200の表面を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、研磨パッドと絶縁部30との間に研磨液を供給し、被研磨体200と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨体200の表面を研磨する。ストッパ20が露出するまで絶縁部30を研磨して除去する。これにより、被研磨体200の表面の凹凸が解消され、平滑な面を有する構造体100を得ることができる。
研磨工程では、ストッパ20の表面のうち、基板10の表面に平行な面の全てが露出した時点で研磨を終了することが好ましい。研磨工程では、絶縁部30と共にストッパ20の一部を研磨してもよいが、ストッパ20に凹み欠陥を生じさせない観点から、ストッパ20を研磨しないことが好ましい。
研磨装置としては、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置(商品名:Mirra-3400、Reflexion LK)、株式会社荏原製作所製の研磨装置(商品名:F-REX300)等が挙げられる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、アクリル-エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4-メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標名)及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。研磨パッドの材質としては、特に、優れた研磨速度及び表面平坦性を得やすい観点から、発泡ポリウレタン及び非発泡ポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。研磨パッドには、研磨液がたまるような溝加工が施されていてもよい。
研磨条件は、特に制限されない。研磨定盤の回転速度は、被研磨体200が研磨定盤から飛び出さないように、好ましくは200min-1(rpm)以下である。被研磨体200にかける研磨圧力(加工荷重)は、研磨後の表面に研磨傷が発生することを抑制しやすい観点から、好ましくは100kPa以下である。研磨工程では、研磨している間、ポンプ等で連続的に研磨液を研磨パッドに供給することが好ましい。研磨液の供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
最後に、研磨終了後の構造体を流水中でよく洗浄して、構造体に付着した粒子を除去する。洗浄には、純水以外に希フッ酸又はアンモニア水を用いてもよく、洗浄効率を高めるためにブラシを用いてもよい。また、洗浄後は、スピンドライ等を用いて、構造体に付着した水滴を払い落としてから構造体を乾燥させることが好ましい。
構造体100の製造方法は、研磨工程の前に、被研磨体200を準備する被研磨体準備工程を備えていてもよい。被研磨体準備工程では、一方面にストッパ20が設けられた基板10の当該一方面上に絶縁部30を形成することにより被研磨体を得てよい。例えば、基板10と、基板10の凸部上に形成されたストッパ20とを有する積層体を準備した後、基板10の表面の凹部を埋めるように、絶縁部30を構成する絶縁材料を基板10及びストッパ20上に堆積して被研磨体を得てよい。絶縁部30の形成方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法、塗布法等が挙げられる。
絶縁部30が、酸化珪素で構成される酸化珪素膜である場合、低圧CVD法による酸化珪素膜の形成は、Si源としてモノシラン(SiH)、酸素源として酸素(O)を用いて行うことができる。このSiH-O系酸化反応を400℃以下の低温で行うことにより酸化珪素膜を得ることができる。CVDにより得られた酸化珪素膜は、1000℃又はそれ以下の温度で熱処理することができる。高温リフローによる表面平坦化を図るために酸化珪素膜にリンをドープする場合、好ましくはSiH-O-PH系反応ガスを用いることができる。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマの発生法としては、容量結合型及び誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH-NO系ガス、Si源としてテトラエトキシシラン(TEOS)を用いたTEOS-O系ガス(TEOS-プラズマCVD法)等が挙げられる。基板温度は、250~400℃であることが好ましい。反応圧力は、67~400Paであることが好ましい。
絶縁部30が、窒化珪素で構成される窒化珪素膜である場合、低圧CVD法による窒化珪素膜の形成は、Si源としてジクロルシラン(SiHCl)、窒素源としてアンモニア(NH)を用いて行うことができる。このSiHCl-NH系酸化反応を900℃等の高温で行わせることにより窒化珪素膜を得ることができる。プラズマCVD法による窒化珪素膜の形成における反応ガスとしては、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH-NH系ガス等が挙げられる。基板温度は、300~400℃であることが好ましい。
被研磨体準備工程では、CVD法により、基板10上にストッパ20を形成してもよい。CVD法によるポリシリコン膜の形成は、例えば、Si源としてSiHを用いて基板温度600~1000℃で行うことができる。
<研磨液>
本実施形態に係る構造体は、例えば、研磨液を用いて、ストッパが露出するまで被研磨体の絶縁部を研磨して除去することにより得ることができる。以下、本実施形態に係る研磨液の一例について説明する。
本実施形態に係る研磨液は、複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、基板の凸部上に配置されたストッパと、基板の凹部に配置されると共にストッパ上に配置された絶縁部と、を備える被研磨体の絶縁部を、ストッパが露出するまで研磨(CMP)して除去することにより、ストッパ及び絶縁部が露出した表面を有する構造体を得るために用いられる研磨液(CMP研磨液)である。本実施形態に係る研磨液は、例えば、セリウムを含む砥粒と、非イオン性の水溶性化合物Aと、水と、を含有し、塩基性pH調整剤の含有量が、研磨液の全質量を基準として、1.3×10-2mol/kg未満である。本実施形態に係る研磨液は、塩基性pH調整剤を含有してもよく、塩基性pH調整剤を含有していなくてもよい。本実施形態に係る研磨液が塩基性pH調整剤を含有しない場合、塩基性pH調整剤の含有量は0mol/kgであってよい。
このような研磨液によれば、ストッパ材料に対する絶縁材料の優れた研磨速度比と、ストッパの凹み欠陥の発生の抑制とを両立することができる。
以下、本実施形態に係る研磨液の構成成分について詳述する。
(砥粒)
砥粒は、絶縁材料(酸化珪素、炭素含有酸化珪素等)に対する研磨作用が得られる観点から、セリウムを含む。なお、本明細書において「砥粒」(abrasive grain)とは、研磨液に含まれる粒子又はその集合を意味し、「研磨粒子」(abrasive particle)ともいわれる。砥粒は、一般的には固体粒子である。砥粒を用いた研磨では、砥粒が有する機械的作用、及び、砥粒(主に砥粒の表面)の化学的作用によって、除去対象物が除去(remove)されると考えられるが、砥粒による研磨機構はこれに限定されない。
セリウムを含む砥粒の構成成分としては、酸化セリウム(セリア)、セリウム水酸化物、硝酸アンモニウムセリウム、酢酸セリウム、硫酸セリウム水和物、臭素酸セリウム、臭化セリウム、塩化セリウム、シュウ酸セリウム、硝酸セリウム、炭酸セリウム、セリウム変性物等が挙げられる。換言すれば、本実施形態に係る研磨液は、セリウムを含む砥粒として、上述した成分(酸化セリウム、セリウム水酸化物等)を含む粒子を含んでいてよい。セリウム変性物を含む粒子としては、酸化セリウム、セリウム水酸化物等を含む粒子の表面をアルキル基で変性したもの、セリウムを含む粒子の表面にその他の粒子を付着させた複合粒子などが挙げられる。砥粒は、絶縁材料の研磨速度が安定し、ディッシング量を低減しやすくなる等の効果が得られる観点から、好ましくは、酸化セリウム及びセリウム水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含み、より好ましくは、酸化セリウムを含む。
酸化セリウムを含む粒子(以下、「酸化セリウム粒子」という。)としては、特に制限はなく、公知のものを使用できる。好ましい酸化セリウム粒子は、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩等のセリウム塩を酸化して得られる粒子である。酸化の方法としては、セリウム塩を600~900℃程度で焼成する焼成法、過酸化水素等の酸化剤を用いてセリウム塩を酸化する化学的酸化法などが挙げられる。酸化セリウム粒子の作製法としては、絶縁材料の高い研磨速度が得られやすい観点からは、焼成法が好ましく、研磨後の表面に研磨傷が発生し難い観点からは、化学的酸化法が好ましい。
酸化セリウム粒子を使用する場合、酸化セリウム粒子の結晶子径(結晶子の直径)が大きく、且つ、結晶歪みが少ないほど(すなわち、結晶性が高いほど)、高速研磨が可能であるが、被研磨面に研磨傷が入りやすくなる。このような観点から、好ましい酸化セリウム粒子としては、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する粒子等が挙げられる。中でも、結晶子径が5~300nmである粒子がより好ましい。また、別の好ましい酸化セリウム粒子としては、結晶子径が5~300nmであるコロイダルセリア粒子(例えばRhodia社製コロイダルセリア)が挙げられる。
砥粒の平均粒径は、絶縁材料に対する更に良好な研磨速度が得られる観点から、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは20nm以上であり、更に好ましくは50nm以上である。砥粒の平均粒径は、被研磨面に傷がつきにくく、凹み欠陥の発生を抑制しやすい観点から、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは300nm以下である。これらの観点から、砥粒の平均粒径は、好ましくは10~500nmであり、より好ましくは20~400nmであり、更に好ましくは50~300nmである。
ここで、砥粒の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布計(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名:LA-920)を用いて、屈折率:1.93、吸収:0として測定される測定サンプルのD50(体積分布のメジアン径、累積中央値)の値を意味する。平均粒径の測定には、適切な含有量(例えば、He-Neレーザに対する測定時透過率(H)が60~70%となる含有量)のサンプルを用いる。また、砥粒を含む研磨液が、砥粒を水に分散させたセリウムスラリーと、添加液とに分けて保存されている場合は、セリウムスラリーを適切な含有量に希釈して測定することができる。
砥粒は、セリウム以外の成分を含有してもよい。セリウム以外の成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マンガン、酸化マグネシウム、チタニア、ゲルマニア、樹脂、ダイヤモンド、炭化珪素、立方晶窒化ホウ素及びこれらの変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。換言すれば、本実施形態に係る研磨液は、砥粒として、上記成分(例えばシリカ、アルミナ等)を含む粒子を含んでいてよい。アルミナを含む粒子としては、コロイダルアルミナを用いることもできる。上記変性物を含む粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ゲルマニア、酸化マンガン、酸化マグネシウム等を含む粒子の表面をアルキル基で変性したもの、一の粒子の表面に他の粒子を付着させた複合粒子などが挙げられる。砥粒は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用できる。
砥粒は、どのような製造方法によって得られたものであってもよい。例えば、酸化物の製造方法としては、焼成等を用いる固相法;沈殿法、ゾルゲル法、水熱合成法等の液相法;スパッタ法、レーザ法、熱プラズマ法等の気相法などを用いることができる。
砥粒が凝集している場合は、凝集した砥粒を機械的に粉砕してもよい。粉砕方法としては、例えば、ジェットミル等による乾式粉砕方法、及び、遊星ビーズミル等による湿式粉砕方法が好ましい。ジェットミルには、例えば、「化学工学論文集」、第6巻、第5号、(1980)、527~532頁に説明されている方法を適用することができる。
砥粒を研磨液に適用する場合、好ましくは、主な分散媒である水中に砥粒を分散させて研磨液を得る。分散方法としては、例えば、通常の攪拌機による分散処理のほか、ホモジナイザ、超音波分散機、湿式ボールミル等を用いた方法が挙げられる。分散方法及び粒径制御方法については、例えば、「分散技術大全集」[株式会社情報機構、2005年7月]第三章「各種分散機の最新開発動向と選定基準」に記述されている方法を用いることができる。また、砥粒を含有する分散液の電気伝導度を下げる(例えば500mS/m以下)ことによっても砥粒の分散性を高めることができる。分散液の電気伝導度を下げる方法としては、砥粒と分散媒とを分けるために遠心分離等で固液分離を行い、上澄み液(分散媒)を捨て、電気伝導度の低い分散媒を加え再分散させる方法;限外ろ過、イオン交換樹脂等を用いた方法などが挙げられる。
上記の方法により分散された砥粒は、更に微粒子化されてもよい。微粒子化の方法としては、例えば、沈降分級法(砥粒を遠心分離機で遠心分離した後、強制沈降させ、上澄み液のみを取り出す方法)が挙げられる。その他、分散媒中の砥粒同士を高圧で衝突させる高圧ホモジナイザを用いてもよい。
砥粒におけるセリウムの含有量は、絶縁材料の研磨速度の向上効果が得られやすい観点から、砥粒の全質量を基準として、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上であり、極めて好ましくは90質量%以上である。砥粒におけるセリウムの含有量は、砥粒の全質量を基準として、100質量%であってもよい。上記含有量は、砥粒全体におけるセリウムの含有量であるが、砥粒一粒子におけるセリウムの含有量が上記範囲であってもよい。
セリウムを含む砥粒(例えば酸化セリウム粒子)の含有量は、砥粒の凝集を抑制し、凹み欠陥の発生を抑制しやすくなる、ディッシングの発生を抑制しやすくなる等の効果が得られる観点から、研磨液の全質量を基準として、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下であり、極めて好ましくは1質量%以下である。セリウムを含む砥粒(例えば酸化セリウム粒子)の含有量は、絶縁材料の研磨速度の向上効果が得られやすい観点から、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。これらの観点から、砥粒(例えば酸化セリウム粒子)の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01~20質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%であり、更に好ましくは0.2~5質量%であり、特に好ましくは0.2~3質量%であり、極めて好ましくは0.2~1質量%である。
砥粒の含有量は、砥粒の凝集を抑制し、凹み欠陥の発生を抑制しやすい観点から、研磨液の全質量を基準として、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下であり、極めて好ましくは1質量%以下である。砥粒の含有量は、絶縁材料の研磨速度の向上効果が得られやすい観点から、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。これらの観点から、砥粒の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01~20質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%であり、更に好ましくは0.2~5質量%であり、特に好ましくは0.2~3質量%であり、極めて好ましくは0.2~1質量%である。
(水溶性化合物A)
水溶性化合物Aは、非イオン性の水溶性化合物である。水溶性化合物Aは、ストッパの研磨を抑制すること等に寄与する。これは、非イオン性の水溶性化合物が、絶縁材料よりもストッパ材料に対する親和性を有しており、絶縁部の表面よりもストッパの表面に付着しやすいためであると推察される。すなわち、CMP工程において絶縁部の研磨が進行しストッパが露出した際に、水溶性化合物Aがストッパの表面に付着することでストッパの研磨を抑制していると推察される。なお、本明細書中、「水溶性化合物」とは、25℃において水100gに対して0.1g以上溶解する化合物として定義する。
水溶性化合物Aとしては、ストッパ材料の研磨抑制剤として用いられる水溶性化合物を広く用いることができる。水溶性化合物Aとしては、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する化合物(例えば、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレン誘導体及びアセチレン系ジオールの(ポリ)オキシエチレン付加体);アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール);ポリグリセリン;ビニルアルコール重合体(但し、(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する化合物に該当する化合物を除く。);アクリルアミド、メタクリルアミド及びそのα-置換体からなる群より選択されるいずれかの化合物の、N-モノ置換体又はN,N-ジ置換体骨格を有する水溶性高分子化合物(例えば、N-モノ置換体及びN,N-ジ置換体の少なくとも一方を単量体とする重合体)等が好ましい。これらは、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン誘導体としては、ポリアルキレングリコールに置換基を導入した化合物、有機化合物にポリアルキレンオキシドを付加した化合物等が挙げられる。置換基としては、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、フェニルエーテル、スチレン化フェニルエーテル、アルキルアミン、脂肪酸エステル、グリコールエステル、ポリグリセリルエーテル、ジグリセリルエーテル、糖エーテル、糖エステル等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン誘導体としては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製、ノイゲン(登録商標)EAシリーズ);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、花王株式会社製、エマルゲン(登録商標)シリーズ);ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製、エマルジット(登録商標)シリーズ);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、第一工業製薬株式会社製、ソルゲン(登録商標)TWシリーズ);ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、花王株式会社製、エマノーン(登録商標)シリーズ);ポリオキシエチレンアルキルアミン(例えば、第一工業製薬株式会社製、アミラヂン(登録商標)D);ポリオキシプロピレンソルビトール(例えば、日油株式会社製、ユニオール(登録商標)HS-1600D);ポリオキシエチレンジグリセリルエーテル(例えば、阪本薬品工業株式会社製、SC-Eシリーズ)、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル(例えば、阪本薬品工業株式会社製、SY-DPシリーズ)等のポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル;ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル;ポリアルキレンオキシドを付加した化合物(例えば、エアープロダクツジャパン社製、サーフィノール(登録商標)465;日本乳化剤株式会社製、TMPシリーズ)などが好ましい。
アセチレン系ジオールの(ポリ)オキシエチレン付加体としては、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール-ジポリオキシエチレンエーテル、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール-モノポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。水溶性と表面張力低下の両方の観点から、特に2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール-ジポリオキシエチレンエーテルが好ましい。
ビニルアルコールは単体では安定な化合物として存在し得ない傾向があるため、ビニルアルコール重合体は、一般に、酢酸ビニルモノマー等のカルボン酸ビニルモノマーを重合してポリカルボン酸ビニルを得た後、これをケン化(加水分解)して得られる。そのため、例えば、原料として酢酸ビニルモノマーを使用して得られたビニルアルコール重合体は、OCOCH基と、加水分解された水酸基(OH基)とを分子中に有しており、加水分解により生じた水酸基の割合がケン化度として定義される。つまり、ケン化度が100%ではないビニルアルコール重合体は、実質的にカルボン酸ビニルモノマーとビニルアルコールとの共重合体のような構造を有している。また、ビニルアルコール重合体は、酢酸ビニルモノマー等のカルボン酸ビニルモノマーと、その他のビニル基含有モノマー(例えばエチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル等)とを共重合させた後、カルボン酸ビニルモノマーに由来する部分の全部又は一部をケン化したものであってもよい。このようなビニルアルコール重合体としては、具体的には、株式会社クラレ製PVA-403、日本酢ビ・ポバール株式会社製JC-25等が挙げられる。本明細書では、これらを総称して「ビニルアルコール重合体」と定義する。
ビニルアルコール重合体は、ビニルアルコールの単独重合体(すなわちケン化度100%の重合体)の誘導体、ビニルアルコールモノマーと他のビニル基含有モノマー(例えばエチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等)との共重合体の誘導体等であってもよい。このような誘導体としては、水酸基の少なくとも一部がアミノ基、カルボキシル基、エステル基等で置換された化合物、水酸基の少なくとも一部が変性された化合物等が挙げられる。具体的には、反応型ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、ゴーセファイマー(登録商標)Z)、カチオン化ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、ゴーセファイマー(登録商標)K)、アニオン化ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、ゴーセラン(登録商標)L、ゴーセナール(登録商標)T)、親水基変性ポリビニルアルコール(例えば、日本合成化学工業株式会社製、エコマティ(登録商標))等が挙げられる。
N-モノ置換体又はN,N-ジ置換体骨格を有する水溶性高分子化合物とは、N-モノ置換体又はN,N-ジ置換体に由来する構造単位を基本骨格に有する水溶性高分子化合物である。N-モノ置換体又はN,N-ジ置換体としては、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-イソブチルアクリルアミド、N-ターシャリブチルアクリルアミド、N-ヘプチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-ターシャリオクチルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド、N-オクタデシルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-アセチルアクリルアミド、N-ジアセトンアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-ブチルメタクリルアミド、N-イソブチルメタクリルアミド、N-ターシャリブチルメタクリルアミド、N-ヘプチルメタクリルアミド、N-オクチルメタクリルアミド、N-ターシャリオクチルメタクリルアミド、N-ドデシルメタクリルアミド、N-オクタデシルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-アセチルメタクリルアミド、N-ジアセトンメタクリルアミド等のN-モノ置換体;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジプロピルアクリルアミド、N,N-ジイソプロピルアクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、N,N-ジイソブチルアクリルアミド、N,N-ジターシャリブチルアクリルアミド、N,N-ジヘプチルアクリルアミド、N,N-ジオクチルアクリルアミド、N,N-ジターシャリオクチルアクリルアミド、N,N-ジドデシルアクリルアミド、N,N-ジオクタデシルアクリルアミド、N,N-ジメチロールアクリルアミド、N,N-ジアセチルアクリルアミド、N,N-ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジプロピルメタクリルアミド、N,N-ジイソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジブチルメタクリルアミド、N,N-ジイソブチルメタクリルアミド、N,N-ジターシャリブチルメタクリルアミド、N,N-ジヘプチルメタクリルアミド、N,N-ジオクチルメタクリルアミド、N,N-ジターシャリオクチルメタクリルアミド、N,N-ジドデシルメタクリルアミド、N,N-ジオクタデシルメタクリルアミド、N,N-ジメチロールメタクリルアミド、N,N-ジアセチルメタクリルアミド、N,N-ジアセトンメタクリルアミド、アクリロイルピペリジン、アクリロイルモルホリン、アクリロイルチオモルホリン、アクリロイルピロリジン等のN,N-ジ置換体などが挙げられる。
水溶性化合物Aとしては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アルキルアルカノールアミド等を用いてもよい。
水溶性化合物Aの重量平均分子量は、好ましくは200以上であり、より好ましくは500以上であり、更に好ましくは1000以上であり、特に好ましくは2000以上である。水溶性化合物Aの重量平均分子量が大きいほど、ストッパの研磨を抑制する効果が高くなる傾向がある。また、水溶性化合物Aの重量平均分子量は、好ましくは300万以下であり、より好ましくは100万以下であり、更に好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2万以下であり、極めて好ましくは1万以下である。水溶性化合物Aの重量平均分子量が大きくなりすぎると研磨液の粘度が高まり、砥粒の沈殿等の不具合が発生する場合があるが、上記範囲であると、このような不具合が起こり難い。これらの観点から、水溶性化合物Aの重量平均分子量は、好ましくは200~300万であり、より好ましくは500~300万であり、更に好ましくは1000~100万であり、特に好ましくは2000~5万であり、極めて好ましくは2000~2万であり、より一層好ましくは2000~1万である。
重量平均分子量は、下記の方法により測定し、「Mw」として得られる値を読み取ることで測定できる。
{測定方法}
使用機器(検出器):株式会社日立製作所製、「L-3300型」液体クロマトグラフ用示差屈折率計
ポンプ:株式会社日立製作所製、液体クロマトグラフ用「L-7100」
デガス装置:なし
データ処理:株式会社日立製作所製、GPCインテグレーター「D-2520」
カラム:昭和電工株式会社製、「Shodex Asahipak GF-710HQ」、内径7.6mm×300mm
溶離液:50mM-NaHPO水溶液/アセトニトリル=90/10(v/v)
測定温度:25℃
流量:0.6mL/分(Lはリットルを表す。以下同じ)
測定時間:30分
試料:樹脂分濃度2質量%になるように溶離液と同じ組成の溶液で濃度を調整し、0.45μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターでろ過して調製した試料
注入量:0.4μL
標準物質:Polymer Laboratories製、狭分子量ポリアクリル酸ナトリウム
水溶性化合物Aの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上である。水溶性化合物Aの含有量が0.005質量%以上であると、ストッパ材料(特にポリシリコン)に対する研磨抑制効果が得られやすい。また、水溶性化合物Aの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.3質量%以下である。水溶性化合物Aの含有量が2質量%以下であると、絶縁材料(特に酸化珪素)の研磨速度が充分となりやすく、また、研磨液のゲル化による流動性の低下が起こり難い。これらの観点から、水溶性化合物Aの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.005~2質量%であり、より好ましくは0.005~1質量%であり、更に好ましくは0.005~0.3質量%であり、特に好ましくは0.01~0.3質量%であり、極めて好ましくは0.05~0.3質量%である。
(高分子化合物B)
本実施形態に係る研磨液は、必要に応じて、カルボン酸基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有する高分子化合物Bを含有することができる。高分子化合物Bは、絶縁部におけるディッシング量を低減すること等に寄与する。高分子化合物Bは、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。なお、高分子化合物Bは、砥粒の分散のために用いることもできる。
高分子化合物Bにおけるカルボン酸基及びカルボン酸塩基の数は特に限定されない。高分子化合物Bは、モノカルボン酸又はその塩であってよく、ポリカルボン酸又はその塩であってもよい。高分子化合物Bは、例えば、特殊ポリカルボン酸型高分子化合物(花王株式会社製のデモール(登録商標)EP等)であってもよい。
高分子化合物Bとしては、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む単量体を重合させて得られる重合体又はその塩(以下、これらを「(メタ)アクリル酸系重合体」と総称する)が好ましい。単量体は、アクリル酸又はメタクリル酸と共重合可能な他の単量体(アクリル酸及びメタクリル酸を除く)を含んでいてもよい。
高分子化合物Bとしては、アクリル酸の単独重合体(ポリアクリル酸)、メタクリル酸の単独重合体(ポリメタクリル酸)、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、アクリル酸又はメタクリル酸と他の単量体との共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸と他の単量体との共重合体、並びに、これらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。中でも、(メタ)アクリル酸系重合体としては、被研磨材料(絶縁材料等)への吸着が良好である観点から、アクリル酸の単独重合体(ポリアクリル酸)及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。重合体の塩(カルボン酸塩基を有する重合体)としては、アンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、ポリアクリル酸アンモニウム等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸系重合体は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
他の単量体(アクリル酸又はメタクリル酸と共重合可能な他の単量体)としては、例えば、クロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸等の不飽和カルボン酸;エチレン、プロピレン、スチレン等のビニル化合物が挙げられる。
高分子化合物Bの重量平均分子量は、特に制限はないが、好ましくは500~150000であり、より好ましくは1000~80000である。高分子化合物Bの重量平均分子量が500以上であると、絶縁材料(酸化珪素等)を研磨するときに良好な研磨速度が得られやすくなる。高分子化合物Bの重量平均分子量が150000以下であると、研磨液の保存安定性が低下し難い。高分子化合物Bの重量平均分子量は、水溶性化合物Aと同様の方法で測定できる。
研磨液における高分子化合物Bの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.01質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。高分子化合物Bの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.35質量%以下であり、極めて好ましくは0.30質量%以下であり、非常に好ましくは0.25質量%以下であり、更に好ましくは0.20質量%以下である。高分子化合物Bの含有量が0.001~2質量%であると、保管安定性を良好にすることができると共に、ディッシング量、配線密度依存性等を低減し、表面平坦性を向上させることができる傾向がある。すなわち、高分子化合物Bの含有量が0.001質量%以上であると、ディッシング量を低減することができ、表面平坦性を充分に確保することができる傾向があり、高分子化合物Bの含有量が2質量%以下であると、砥粒の保管安定性が向上することにより砥粒の凝集等が発生し難くなり、凹み欠陥の発生を抑制しやすくなる、ディッシング量を低減しやすくなる等の効果が得られる傾向がある。これらの観点から、高分子化合物Bの含有量は、好ましくは0.001~2質量%であり、より好ましくは0.01~1質量%であり、更に好ましくは0.05~0.5質量%であり、特に好ましくは0.05~0.35質量%であり、極めて好ましくは0.05~0.25質量%であり、より一層好ましくは0.1~0.25質量%である。
(pH調整剤)
本実施形態に係る研磨液は、必要に応じて、pH調整剤(例えば塩基性pH調整剤)を含有することができる。これにより、所望のpHに調整することができる。pH調整剤としては、特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸成分;水酸化ナトリウム、アンモニア、イミダゾール、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基性成分(塩基性pH調整剤)が挙げられる。有機酸成分を用いてpHを調整することもできる。研磨液が半導体研磨に使用される場合には、アンモニア又は酸成分が使用できる。
研磨液中に含まれる塩基性pH調整剤の含有量は、ストッパ(ポリシリコン等のストッパ材料からなる研磨停止層)の凹み欠陥の発生を抑制する観点から、研磨液の全質量を基準として、1.3×10-2molmol/kg未満である。同様の観点から、塩基性pH調整剤の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは1.4×10-2mol/kg以下であり、より好ましくは6.0×10-3mol/kg以下であり、更に好ましくは5.0×10-3mol/kg以下であり、特に好ましくは5.0×10-3mol/kg未満であり、極めて好ましくは4.0×10-3mol/kg以下であり、より一層好ましくは4.0×10-3mol/kg未満である。塩基性pH調整剤の含有量の下限値は、特に限定されないが、砥粒の良好な保管安定性が得られるpHに調整する観点から、研磨液の全質量を基準として、1.0×10-4mol/kgであってよく、1.2×10-4mol/kgであってよく、1.8×10-4mol/kgであってよい。
(pH)
研磨液のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上であり、更に好ましくは4.7以上であり、特に好ましくは5.0以上である。研磨液のpHは、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.8以下であり、更に好ましくは5.7以下であり、特に好ましくは5.6以下である。pHが4.0~6.0であると、絶縁材料の優れた研磨速度を有しつつ優れた保存安定性を得ることができる。また、ストッパの凹み欠陥の発生を抑制しつつ、ディッシング量を低減することができ、表面平坦性を向上させることができる傾向がある。すなわち、研磨液のpHが4.0以上であると、砥粒の保管安定性が向上することにより砥粒の凝集等が発生し難くなり、凹み欠陥の発生を抑制しやすくなる、ディッシング量を低減しやすくなる等の効果が得られる傾向がある。また、研磨液のpHが6.0以下であると、凹み欠陥の発生を抑制しつつ、ディッシング量を低減することができ、表面平坦性を充分に確保することができる傾向がある。これらの観点から、研磨液のpHは、好ましくは4.0~6.0であり、より好ましくは4.5~6.0であり、更に好ましくは4.7~6.0であり、特に好ましくは5.0~6.0であり、極めて好ましくは5.0~5.8であり、より一層好ましくは5.0~5.7であり、非常に好ましくは5.0~5.6である。研磨液のpHは、4.5~5.8であってもよく、4.7~5.6であってもよい。
研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))を用いて測定することができる。具体的には例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH:4.01)と、中性リン酸塩pH緩衝液(pH:6.86)とを標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、標準緩衝液及び研磨液の液温は共に25℃とする。
(水)
水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。水の含有量は、上記各含有成分の含有量の残部でよく、研磨液中に含有されていれば特に限定されない。なお、研磨液は、必要に応じて水以外の溶媒(例えばエタノール、アセトン等の極性溶媒)を更に含有してもよい。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る研磨液は、砥粒、水溶性化合物A、高分子化合物B、pH調整剤、水とは異なるその他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、水溶性高分子化合物(水溶性化合物A及び高分子化合物Bを除く)、分散剤、有機酸成分等が挙げられる。水溶性高分子化合物としては、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン、プルラン、デキストリン、環状デキストリン等の多糖類などが挙げられる。
研磨液をセリウムスラリーと添加液とに分けて保存する場合、好ましくは、その他の添加剤は添加液に含有させる。これらの添加剤は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
本実施形態に係る研磨液の構成成分は、当該研磨液となるように二液以上に分けて保存されていてもよい。例えば、セリウムを含む砥粒及び水を含むセリウムスラリー(第1の液)と、水溶性化合物A及び水を含む添加液(第2の液)と、から構成される二液式の研磨液セット(例えばCMP研磨液セット)として保存し、両者を混合することによって研磨液を得てもよい。この場合、砥粒以外の成分(高分子化合物B、pH調整剤等)は、第2の液に含有させてよい。pH調整剤は第1の液に含まれる砥粒の電位の極性が変わらない限り、第1の液に含有させてもよい。「その他の添加剤」に記載した各成分は、好ましくは第2の液に含まれる。なお、研磨液の構成成分は、三液以上に分けた研磨液セットとして保存してもよい。
研磨液セットにおいては、研磨直前又は研磨時に、スラリー及び添加液が混合されて研磨液が調製される。また、一液式研磨液は、水の含有量を減じた研磨液用貯蔵液として保存されると共に、研磨直前又は研磨時に水で希釈して用いられてもよい。二液式の研磨液セットは、水の含有量を減じたスラリー用貯蔵液及び添加液用貯蔵液として保存されると共に、研磨直前又は研磨時に水で希釈して用いられてもよい。
以下、実験例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
<砥粒の準備>
市販の炭酸セリウム水和物40kgをアルミナ製容器に入れ、空気中、830℃で2時間焼成することにより黄白色の粉末20kgを得た。この粉末の相同定をX線回折法で行ったところ、酸化セリウムであることを確認した。得られた酸化セリウム粉末20kgを、ジェットミルを用いて乾式粉砕し、酸化セリウム粒子(砥粒)を含む酸化セリウム粉末を得た。
<水溶性化合物Aの準備>
水溶性化合物Aとして、ポリエチレングリコール(第一工業製薬株式会社製、商品名:PGE-4000)を準備した。
<高分子化合物Bの準備>
高分子化合物B-1として、重量平均分子量2500(ポリアクリル酸ナトリウム換算値)のポリアクリル酸を準備した。また、高分子化合物B-2として、重量平均分子量8000(ポリアクリル酸ナトリウム換算値)のポリアクリル酸アンモニウムを準備した。
<塩基性pH調整剤の準備>
塩基性pH調整剤1として、アンモニア(25質量%水溶液)を準備した。また、塩基性pH調整剤2として、イミダゾールを準備した。
<評価用試験ウエハの準備>
第1の評価用試験ウエハ及び第2の評価用試験ウエハとして、以下に示す、パターン構造が形成されていないブランケットウエハ(Blanketウエハ)を準備した。
第1の評価用試験ウエハ:シリコン(Si)基板(直径:200mm)上に、TEOS-プラズマCVD法を用いて形成された厚さ1000nmの酸化珪素膜を有するウエハ(p-TEOSウエハ)
第2の評価用試験ウエハ:シリコン(Si)基板(直径:200mm)上にポリシリコン膜を有するウエハ
<研磨液(CMP研磨液)の作製>
(実験例1)
上記のとおり作製した酸化セリウム粉末200.0gと、脱イオン水795.0gとを混合し、ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(高分子化合物B-2を40質量%含む水溶液)5gを添加して、攪拌しながら超音波分散を行い、酸化セリウム分散液を得た。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間20分で行った。
その後、1L容器(高さ:170mm)に1kgの酸化セリウム分散液を入れて静置し、沈降分級を行った。分級時間15時間後、水面からの深さ130mmより上の上澄みをポンプでくみ上げた。得られた上澄みの酸化セリウム分散液を、固形分含量が5質量%になるように脱イオン水で希釈して、酸化セリウム及び高分子化合物B-2を含む酸化セリウムスラリーを得た。
酸化セリウムスラリー中における酸化セリウムの平均粒径(D50)を測定するため、He-Neレーザに対する測定時透過率(H)が60~70%になるように上記スラリーを希釈して測定サンプルとした。レーザ回折式粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA-920、屈折率:1.93、光源:He-Neレーザ、吸収0)で測定サンプルのD50を測定したところ、D50の値は150nmであった。
上記準備した酸化セリウムスラリーと、水溶性化合物Aと、高分子化合物B-1と、純水と、を混合して混合液を得た後、当該混合液に塩基性pH調整剤1を添加してpHを5.3に調整した。これにより、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.20質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.0075質量%(4.40×10-3mol/kg)とを含有する研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
研磨液のpHは、下記に従って測定した。
・測定器:pHメータ(横河電機株式会社製、商品名:Model PH81)
・測定方法:フタル酸塩pH緩衝液(pH:4.01)と、中性リン酸塩pH緩衝液(pH:6.86)とを標準緩衝液として用いてpHメータを2点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定した。このとき、標準緩衝液及び研磨液の液温は共に25℃とした。
(実験例2)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.15質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.0057質量%(3.35×10-3mol/kg)とを含有するpH5.5の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例3)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量を変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.15質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.004質量%(2.35×10-3mol/kg)とを含有するpH5.3の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例4)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.10質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.0055質量%(3.23×10-3mol/kg)とを含有するpH5.7の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例5)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.10質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.004質量%(2.35×10-3mol/kg)とを含有するpH6.0の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例6)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.10質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.0013質量%(7.63×10-4mol/kg)とを含有するpH5.0の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例7)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.05質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.002質量%(1.17×10-3mol/kg)とを含有するpH5.7の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例8)
高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤1の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.05質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤1を0.0003質量%(1.76×10-4mol/kg)とを含有するpH5.0の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
(実験例9)
塩基性pH調整剤1に代えて塩基性pH調整剤2を用いたこと、高分子化合物B-1及び塩基性pH調整剤の量、並びに、pHを変更したことを除き実験例1と同様にして、酸化セリウム粒子(砥粒)を1.0質量%と、水溶性化合物Aを0.10質量%と、高分子化合物B-1を0.10質量%と、高分子化合物B-2を0.01質量%と、塩基性pH調整剤2を0.0029質量%(4.26×10-4mol/kg)とを含有するpH5.0の研磨液を得た(含有量の基準:研磨液の全質量)。
<評価>
(研磨選択性評価)
研磨装置(APPLIED MATERIALS社製、商品名:Mirra)を用いて第1の評価用試験ウエハ及び第2の評価用試験ウエハをそれぞれ研磨した。具体的には、まず、基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに評価用試験ウエハをセットした。次いで、研磨装置の研磨定盤に多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、型番:IC1000)を貼り付けた。被研磨膜である絶縁膜(酸化珪素膜)又はポリシリコン膜が配置された面を下にして上記ホルダーを研磨定盤上に載せ、加工荷重を3.6psi(約25kPa)に設定した。次いで、上記研磨定盤上に上記研磨液を200mL/minの速度で滴下しながら、研磨定盤と評価用試験ウエハとをそれぞれ93min-1、87min-1で回転させて、評価用試験ウエハを60秒間研磨した。研磨後のウエハは、純水でよく洗浄した後、乾燥させた。
光干渉式膜厚測定装置(株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ製、商品名:RE-3000)を用いて、研磨前後の酸化珪素膜及びポリシリコン膜の膜厚を測定し、膜厚変化量の平均値を研磨時間で除算することにより、ブランケットウエハにおける酸化珪素及びポリシリコンの研磨速度(単位:nm/min)を算出した。得られた研磨速度から、ポリシリコンに対する酸化珪素の研磨速度比(酸化珪素の研磨速度/ポリシリコンの研磨速度)を求めた。実験例1では、研磨速度比が10~50の範囲内であった。実験例2~9では、50を超える研磨速度比が得られた。
(凹み欠陥評価)
光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名:DSX-510)を用いて、20倍対物レンズの設定で、研磨選択性評価で得られた研磨後の第2の評価用試験ウエハの中央部を5箇所撮影した。そして、撮影した1画像当りの凹み欠陥の数をカウントし、5画像の平均値を凹み欠陥数(単位:個/視野)として求めた。実験例1~9では、凹み欠陥数が10個であることが確認された。
10…基板、20…ストッパ、30…絶縁部、100…構造体、200…被研磨体。

Claims (2)

  1. 複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、当該基板の前記凸部上に配置されたストッパと、前記基板の前記凹部に配置された絶縁部と、を備える構造体であって、
    前記ストッパがポリシリコンを含み、
    前記構造体の表面に前記ストッパ及び前記絶縁部が露出しており、
    前記構造体の前記表面において、光学顕微鏡を用いて、20倍対物レンズの設定で、前記凸部の少なくとも一つの上に配置された前記ストッパの表面における中央部を撮影して得られる5つの画像(視野範囲:700μm×700μm)における幅0.5μm以上、深さ100nm以下の大きさの凹み欠陥の数(単位:個/視野)の平均値(5画像の平均値)が10個以下である、構造体。
  2. 研磨液(但し、研磨粒子、保護剤、及び水を含むCMP研磨剤であって、前記保護剤は、極性基を有するシルセスキオキサンポリマーであることを特徴とするCMP研磨剤を除く)を用いて、 複数の凸部及び凹部を表面に有する基板と、当該基板の前記凸部上に配置されたストッパと、前記基板の前記凹部に配置されると共に前記ストッパ上に配置された絶縁部と、を備える被研磨体の前記絶縁部を、前記ストッパが露出するまで研磨して除去することにより、前記ストッパ及び前記絶縁部が露出した表面を有する構造体を得る工程を備え、
    前記ストッパがポリシリコンを含み、
    前記構造体の前記表面において、光学顕微鏡を用いて、20倍対物レンズの設定で、前記凸部の少なくとも一つの上に配置された前記ストッパの表面における中央部を撮影して得られる5つの画像(視野範囲:700μm×700μm)における幅0.5μm以上、深さ100nm以下の大きさの凹み欠陥の数(単位:個/視野)の平均値(5画像の平均値)が10個以下である、構造体の製造方法。
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