JP7106674B2 - 分光測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、分光測定装置に係り、特に、測定対象物の分光特性を測定する縮小光学系の分光測定装置に関する。
測定対象物の表面(被照射面)の各領域に光を照射し、その反射光を検知して各領域の分光特性を測定する分光測定装置は、既に知られている。分光測定装置としては、例えば、フラットベッド型の測定装置が挙げられ、また、フラットベッド型の測定装置の中には、CCDタイプ(Charge Coupled Devices)の読取方式を採用したスキャナのような縮小光学系の装置が存在する。
また、近年では、被照射面の質感等を評価する目的から、様々な角度の反射光を受光して各角度での反射光の強度を取得する分光測定装置が開発されてきている。このような装置の一例としては、例えば特許文献1に記載の装置が挙げられる。
特許文献1に記載の装置(特許文献1では、「変角特性取得装置」と表記)は、対象物へ光を照射する光照射手段と、複数の画素を備えた受光素子と、反射面が互いに異なる方向を向くように配置された複数のミラーとを有する。複数のミラーの各々は、対象物に照射された光の複数位置から異なる角度で反射された反射光を、各々の反射面で受光素子の方向に反射させる。また、受光素子は、複数のミラーからの反射光を異なる画素で取得する。
以上のように構成された特許文献1に記載の装置では、機構上の構成要素の移動等を伴わずに、様々な角度からの反射光を取得することができる。つまり、特許文献1に記載の装置では、それぞれの反射角度での分光特性(厳密には、変角分光特性)を同時に取得することができ、分光特性の測定時間を短縮することが可能である。
特開2014-167403号公報
ところで、測定対象物の分光特性(例えば、色及び反射率等)は、光の照射角度に応じて変化することがある。例えば、観察角度に応じて視認される画像が変化する加飾部材を測定対象物として分光特性を実施する場合には、加飾部材に照射する光の照射角度に応じて、取得される分光特性が異なる。そのため、上記の場合には光の照射角度を変えながら、反射角度別に分光特性を測定することが必要になる。
一方、上述した特許文献1に記載の装置では、光の照射角度が固定されているため、照射角度を変えながら分光特性を測定することが困難である。仮に、特許文献1に記載の装置を用いて、様々な照射角度の下で分光特性を測定する場合には、照射角度毎に照明装置の姿勢等を調整する手間が必要となるため、測定に時間を要する虞がある。
そこで、本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
具体的には、本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、光の照射角度及び反射角度に応じて変わる分光特性を、より多く、且つより短時間に測定することが可能な分光測定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の分光測定装置は、測定対象物の分光特性を測定する縮小光学系の分光測定装置であって、測定対象物の被照射面における複数の領域の各々に対して、光を照射する照射部と、照射部及び測定対象物のうちの一方を他方に対して移動させる移動機構と、照射部を制御して、照射部が光を照射する際の照射角度を変更させる制御部と、複数の領域の各々にて反射した反射光を、反射光の被照射面に対する反射角度に関して複数設定された設定角度別に検知する検知部と、を有し、移動機構によって照射部及び測定対象物のうちの一方が移動範囲の一端から他端まで移動する間に、制御部が、複数の領域の各々に対する照射角度を複数の角度に変更させ、照射角度が変わる度に、検知部が、反射光を設定角度別に検知することを特徴とする。
上記のように構成された分光測定装置では、移動機構によって照射部及び測定対象物のうちの一方が移動範囲の一端から他端まで移動する間に、光の照射角度が複数の角度に変化し、照射角度が変わる度に、反射光を設定された反射角度(設定角度)別に検知する。つまり、本発明の分光測定装置では、照射部又は測定対象物が移動範囲を一回移動する間に、測定対象物の被照射面における各領域について、照射角度の種類数及び設定角度の種類数に応じた数の分光特性を測定する。これにより、光の照射角度及び反射角度に応じて変わる分光特性を、より多く、且つより短時間に測定することが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、検知部は、照射部が照射する光に関して複数設定された設定波長のそれぞれについて、反射光を設定角度別に検知すると、好適である。
上記の構成であれば、照射部又は測定対象物が移動範囲を一回移動する間に、測定対象物の被照射面における各領域について、照射角度の種類数、設定角度の種類数、及び設定波長の種類数に応じた数の分光特性を測定する。これにより、光の照射角度及び反射角度に応じて変わる分光特性を、より一層多く測定することが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、照射部は、白色光を照射し、検知部は、設定波長毎に設けられた複数のチャンネルを有し、複数のチャンネルのそれぞれにて、対応する設定波長の反射光を設定角度別に検知すると、より好適である。
上記の構成であれば、照射部が照射する光の種類(厳密には、色)を変更する必要がない。また、検知部は、各チャンネルにて、対応する設定波長の反射光を検知することができる。これにより、検知部は、チャンネル数と同数の設定波長のそれぞれについて、反射光を同時に検知することが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、複数のチャンネルのそれぞれは、対応する設定波長に応じたフィルタを備えた受光素子によって構成されていると、さらに好適である。
上記の構成であれば、各チャンネルを、波長別のフィルタがオンチップされた受光素子によって構成するので、より汎用的な構成の検知部が実現されることになる。
また、上記の分光測定装置において、照射部が照射する光の色は、設定波長毎に切り替わり、照射部が照射する光の色が切り替わる度に、検知部が反射光を設定角度別に検知してもよい。
上記の構成では、複数のチャンネルを設けなくても、検知部が、様々な設定波長の反射光を検知することができる。
また、上記の分光測定装置において、検知部には、設定角度の種類数と同数のセンサ列が並んで設けられており、反射光の光路を反射角度に応じて変更する光路変更部を有し、光路変更部が光路を変更することにより、設定角度別に分かれた反射光の各々が、互いに異なるセンサ列に到達すると、より一層好適である。
上記の構成では、反射光の光路が光路変更部によって変更されることにより、設定角度別に分かれた反射光の各々が、検知部において、互いに異なるセンサ列に到達する。これにより、検知部は、設定角度別に分かれた反射光の各々を同時に検知することが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、光路変更部は、設定角度別に分かれた反射光の各々を平行光とするためのコリメートレンズを有し、設定角度別に分かれた反射光の各々は、コリメートレンズを通過することにより、互いに異なるセンサ列に到達すると、益々好適である。
上記の構成では、各反射光が、コリメートレンズを通過することで平行光となり、検知部において互いに異なるセンサ列に到達するようになる。つまり、上記の構成であれば、設定角度別に分かれた反射光のそれぞれを、対応するセンサ列に良好に導くことが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、光路変更部は、光路においてコリメートレンズの配置位置よりも下流側の位置に、設定角度別に分かれた反射光の各々を平行光である状態から集光させるための集光用レンズを有し、設定角度別に分かれた反射光の各々が集光用レンズを通過した後、反射光の光路の間隔が、検知部に近づくにつれて短くなると、一段と好適である。
上記の構成では、設定角度別に分かれた反射光のそれぞれが、コリメートレンズを通過して平行光となった後に、検知部の手前位置にて集光用レンズによって集光され、対応するセンサ列に到達する。つまり、集光用レンズによって反射光間のピッチが短くなり、これに伴って、センサ列間の間隔が短くなる。この結果、検知部をより小型化させることが可能となる。
また、上記の分光測定装置において、移動機構は、照射部を測定対象物に対して移動させ、コリメートレンズは、移動機構によって照射部と共に移動するシリンドリカルレンズであるとよい。
上記の構成では、移動機構によって照射部と共に移動するシリンドリカルレンズによって、設定角度別に分かれた反射光の各々が平行光となるように、各反射光の光路を変更することができる。
また、上記の分光測定装置において、照射部は、複数の光源ユニットを有し、複数の光源ユニットの各々は、移動機構が照射部及び測定対象物のうちの一方を他方に対して移動させる際の移動方向において、互いに異なる位置に配置されており、制御部は、複数の光源ユニットのうち、照射部が光を照射する際に用いる光源ユニットを切り替えることにより、照射角度を変更させると、より好適である。
上記の構成では、複数の光源ユニットのうち、光照射時に用いる光源ユニットを切り替えることにより、照射角度を確実に変更させることができる。
また、上記の分光測定装置において、画像が記録された画像記録部を有する測定対象物であって、被照射面側から画像記録部を視認した際に画像が視認角度に応じて変化する測定対象物の分光特性を測定すると、さらに好適である。
上記の構成では、本発明の効果がより有意義なものとなる。具体的に説明すると、視認角度に応じて画像が変化する測定対象物の分光特性は、光の照射角度及び反射光の反射角度に応じて変動する。このような測定対象物の分光特性の測定に本発明の分光測定装置を適用すれば、光の照射角度及び反射角度に応じて変わる分光特性を、より多く、且つより短時間に測定するという効果が有意義に発揮されることになる。
また、上記の分光測定装置において、制御部の制御によって変更可能な照射角度の種類数が、3以上であってもよい。
上記の構成では、照射角度の種類数が3以上であると、照射角度のバリエーションが増えるので、分光特性をより一層多く測定することが可能となる。
本発明によれば、光の照射角度及び反射角度に応じて変わる分光特性を、より多く、且つより短時間に測定することが可能な分光測定装置が実現される。
本発明の一実施形態に係る分光測定装置の内部構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る測定対象物の模式的な側面図である。 本発明の一実施形態に係る分光測定装置の制御系統を示すブロック図である。 照射部の構成を示す模式的な平面図である。 照射角度についての説明図である。 反射角度についての説明図である。 検知部における各センサ列の構成についての説明図である。 変形例に係るセンサ列の構成を示す図である。 反射光の光路についての説明図である。
本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る分光測定装置について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。ただし、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれる。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「同じ」、「同様」及び「同一」は、本発明が属する技術分野において一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。
また、本明細書において、「全部」、「いずれも」及び「全面」等というとき、100%である場合のほか、本発明が属する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
また、本明細書において、「平行」は、基準となるライン、面若しくは方向に対して平行であることは勿論のこと、略平行である場合、及び数度程度傾いている場合を含むものとする。
<<本実施形態に係る分光測定装置の概要>>
本実施形態に係る分光測定装置10は、図1に示すように、測定対象物12の被照射面14に光を照射し、被照射面14にて反射した反射光を検知することで、測定対象物12の分光特性を測定する。図1は、分光測定装置10の内部構成を示す概略図である。
なお、測定する分光特性としては、測定対象物12の被照射面14の分光反射率及び分光スペクトル等が挙げられる。
測定対象物12について説明すると、図2に示すように、測定対象物12は、不図示の画像が記録された画像記録部16を有する。図2は、本実施形態に係る測定対象物12の模式的な側面図である。
また、画像記録部16に記録された画像は、被照射面14側から画像記録部16を視認した際に視認角度に応じて変化する。つまり、本実施形態の測定対象物12は、視認角度に応じて光の反射率が変化するものである。このような測定対象物12としては、例えば、表面にホログラム画像が形成された媒体及び加飾品、並びに、画像記録部16の上にレンチキュラーレンズが貼り付けられたシート(レンチキュラーシート)等が挙げられる。その他、磨いた金属等が挙げられ、この金属では、正反射する反射光の強度が非常に強くなる一方で、正反射の反射角度からずれる反射角度では光の強度が急減する。
なお、視認角度は、画像記録部16において画像が形成された表面の法線に対する角度であり、視認者側に向かって反射される光の反射角度と捉えることができる。
また、本実施形態に係る分光測定装置10は、縮小光学系の分光測定装置である。具体的に説明すると、分光測定装置10では、所定の方向(以下、主走査方向)に延びるライン光源装置が、主走査方向と直交する方向(以下、副走査方向)に移動しながら、測定対象物12の被照射面14に光を照射する。照射光は、被照射面14の各領域にて反射し、その反射光は、複数の反射ミラーとレンズを経由した後に2次元センサに導かれる。2次元センサは、検知した反射光を光電変換し、反射光の強度に応じた電気信号をCCD(Charge Coupled Devices)又はCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)等によって出力する。この出力された電気信号により、分光特性を示すデータ(測定データ)が得られる。
ここで、測定データは、被照射面14を複数の領域に区画したときに、それぞれの領域について得られる。つまり、被照射面14における各領域は、例えば方形状の領域として設定されており、2次元センサの画素(具体的には、後述する検知部50のセンサ54)に対応している。なお、以下の説明では、被照射面14が縦方向にM個、且つ横方向にN個の領域(M,Nは2以上の自然数)に区画されていることとする。
また、2次元センサの画素のサイズは、2次元センサの解像度に応じて決まるが、本実施形態では、分光測定装置10が縮小光学系の装置であるので、被照射面14における各領域のサイズよりも小さくなっている。より厳密に説明すると、主走査方向における画素サイズ(画素ピッチ)は、被照射面14の各領域の横幅よりも短くなっている。
<<分光測定装置の構成例>>
分光測定装置10の構成について説明すると、分光測定装置10は、図1に示すように、筐体20の上部に設けられた無色透明の載置台22に測定対象物12の被照射面14を載せた状態で分光測定を実施するフラットベッド型の装置である。なお、筐体20に対しては、開閉自在な不図示のカバーが取り付けられている。つまり、分光測定装置10は、クラムシェル型の開閉構造を備えている。
筐体20の内部には、図1に示すように照射部30、移動機構40、検知部50及び光路変更部60が収容されている。さらに、分光測定装置10は、図3に示すように、照射部30及び移動機構40等を制御する制御部70を有する。図3は、分光測定装置10の制御系統を示すブロック図である。
以下、分光測定装置10の各構成要素について説明する。なお、以下では、測定対象物12の横幅が主走査方向に沿った状態で測定対象物12が載置台22に載置されていることとする。また、以下の説明では、測定対象物12の被照射面14において主走査方向に沿って並ぶ一列分の領域の集合を「ライン」と呼ぶこととする。
<照射部>
照射部30は、被照射面14における各領域に対して光を照射する。照射部30は、図1に示すように、載置台22の直下に配置されている。照射部30が照射した光は、載置台22を通じて被照射面14における各領域に到達する。なお、各領域に到達した光は、各領域にて反射し、その反射光は、載置台22を通過した後に、後述するコリメートレンズ62に向かって進む(例えば、図9参照)。
本実施形態において、照射部30は、図1及び図4に示すように、複数の光源ユニット32と、保持部材38とを有する。図4は、照射部30の構成を示す模式的な平面図である。なお、説明を分かり易くする都合上、図4では、光源ユニット32及び載置台22に載置された測定対象物12のみを図示しており、それ以外の機器の図示を省略している。
それぞれの光源ユニット32の構成は、図1及び図4に示すように、光源ユニット32の間で共通している。そのため、以下では、複数の光源ユニット32の一つを例に挙げ、その構成について説明することとする。
光源ユニット32は、例えばライン光源装置によって構成されており、図4に示すように、主走査方向に延びた長尺な導光体34と、光源36とを有する。光源36からの光は、導光体34の長手方向端面(光入射面)から入射され、導光体34の内部で導光されて、導光体34の側面(光出射面)から出射される。この時の出射光は、線状の光(光束)であり、1ライン中の各領域に同時に照射される。
ちなみに、本実施形態では、光源ユニット32が照射する光が白色光である。ただし、光源ユニット32が照射する光は白色光には限定されず、互いに波長が異なる複数色の光、例えば、R(赤)、G(緑)及びB(青)の3色の光、並びにRGB以外の色の光(正確には、白色光を除く光)であってもよい。また、光源ユニット32の光源36としては、LED(Light Emitting Diode)、EL(Electro Luminescent)、LD(Laser Diode)、蛍光管ランプ、及びキセノンランプ等が利用可能である。
また、導光体34の材料としては、ガラス等の透光性の無機材料、PMMA(Polymethyl Methacrylate)等のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリカーボネイト樹脂等の透光性の有機材料を用いることができる。その中でも、プラスチック等の成型容易な合成樹脂材料を用いることが好ましい。また、導光体34の断面形状(主走査方向を法線方向とする断面の形状)は、出射光を測定対象物12の被照射面14に導光することができる形状であれば、特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、導光体34と光源36とによって構成されたライン光源装置を光源ユニット32として用いているが、これに限定されるものではない。例えば、主走査方向に沿って1ライン中の領域の数と同数だけ並べた点光源(例えば、LED)からなるアレイ光源を光源ユニット32として用いてもよい。
また、照射部30が備える光源ユニット32の数については、3個以上が好ましく、4個以上がより好ましく、6個以上が特に好ましい。以下では、図4に図示したように光源ユニット32が4個配置された構成を例に挙げて説明することとする。
また、複数の光源ユニット32の各々は、副走査方向において互いに異なる位置に配置されている。より詳しく説明すると、複数の光源ユニット32は、図1に示すように、側面視で(厳密には、主走査方向から見て)略円弧状の保持部材38に対して前後に対称的に取り付けられている。具体的に説明すると、副走査方向において、2つの光源ユニット32が、互いにずれた位置にて、保持部材38の一端側の部分(前側部分)に取り付けられている。また、残り2つの光源ユニット32は、副走査方向において、互いにずれた位置にて保持部材38の他端側の部分(後側部分)に取り付けられている。
そして、本実施形態では、上記の配置により、それぞれの光源ユニット32が、互いに異なる照射角度にて光を照射することになる。具体的に説明すると、副走査方向において最も一端側(スキャン開始地点側)に位置する光源ユニット32からの照射角度は、30度である。残りの3つの光源ユニット32からの照射角度は、他端(スキャン終了地点)に向かうにつれて、順に60度、90度及び120度となっている。
ここで、照射角度は、各光源ユニット32から照射される光の強度が最大となる方向の、被照射面14の各領域に対する角度にて表され、厳密には、図5に示すように、載置台22の上面(載置面)に対する傾き角度(例えば、図5中のα1~α4)にて表される。図5は、本実施形態における照射角度の説明図であり、各光源ユニット32が被照射面14中のある領域に対して照射する光の光路を図示している。
なお、照射角度0度は、副走査方向において一端(スキャン開始地点)から他端(スキャン終了地点)に向かう向きに光を照射した際の照射角度である。反対に、照射角度180度は、副走査方向において他端(スキャン終了地点)から一端(スキャン開始地点)に向かう向きに光を照射した際の照射角度である。
<移動機構>
移動機構40は、照射部30及び測定対象物12のうちの一方を他方に対して移動させるものである。特に、本実施形態に係る移動機構40は、載置台22上に静置させた測定対象物12に対して照射部30を副走査方向に移動させる。これにより、照射部30は、所定の移動範囲をその一端から他端に向かって移動することができ、その後に、他端から一端に戻って再び移動範囲を移動する。ここで、照射部30の移動範囲の一端とは、分光測定の開始時点での照射部30の位置(つまり、スキャン開始地点)であり、他端は、分光測定の終了時点での照射部30の位置(つまり、スキャン終了地点)である。
なお、載置台22上に静置された測定対象物12は、副走査方向において移動範囲内に収まっている。つまり、測定対象物12の全長(縦方向の長さ)は、副走査方向における載置台22の長さよりも短くなっている。
移動機構40の構成例について説明すると、図1に図示のキャリッジ42と、不図示の駆動機器と、この駆動機構の動力源であるモータ44(図3参照)と、が移動機構40を構成している。
キャリッジ42は、照射部30、コリメートレンズ62及び第一反射ミラー64a(コリメートレンズ62及び第一反射ミラー64aについては、後述する)を搭載している。また、キャリッジ42には、筐体20の内部空間で副走査方向に沿って延出したガイドシャフト46が挿通された軸孔(不図示)が形成されている。駆動機器は、筐体20内部に設けられており、例えばベルト・プーリ等によって構成されている。駆動機器の一部は、キャリッジ42と係合している。モータ44は、不図示のギアを介して駆動機器に駆動力を付与する。
以上のように構成された移動機構40においてモータ44が回転すると、駆動機器が作動してキャリッジ42をガイドシャフト46に沿って移動させる。これにより、照射部30がコリメートレンズ62及び第一反射ミラー64aと共に副走査方向に移動する。
また、本実施形態では、モータ44がステッピングモータからなり、分光測定中、所定の回転量毎に停止して断続的に回転する。これにより、照射部30は、分光測定中、所定の移動量を移動する間欠移動動作を断続的に繰り返し実施することになる。ここで、一回の間欠移動動作における照射部30の移動量は、1ラインの長さに相当する距離であり、測定対象物12の縦方向が副走査方向に沿った状態では、被照射面14において副走査方向に並ぶ領域のピッチ(間隔)に相当する。
ただし、キャリッジ42及び照射部30が所定の距離ずつ断続的に移動する構成に限定されるものではなく、キャリッジ42及び照射部30が一定速度にて連続的に移動する構成であってもよい。
ちなみに、本実施形態に係る移動機構40は、照射部30を測定対象物12に対して副走査方向に移動させるものであるが、これに限定されるものではない。移動機構40は、オートドキュメントフィーダのように、照射部30が固定された状態で測定対象物12を照射部30に対して移動させる装置であってもよい。この場合、測定対象物12の移動範囲の一端は、副走査方向における分光測定開始時での測定対象物12の位置(厳密には、測定対象物12の投入位置)であり、他端は、分光測定終了時での測定対象物12の位置(厳密には、測定対象物12の排出位置)である。また、移動機構40は、照射部30及び測定対象物12の双方を移動させるものであってもよい。
<検知部>
検知部50は、被照射面14における複数の領域の各々にて反射された反射光を検知する。より詳しく説明すると、照射部30から出射された光束が1ライン中の各領域(すなわち、主走査方向に並ぶN個の領域)に当たると、各領域で光が反射し、検知部50は、N個の領域の各々での反射光を同時に検知する。また、本実施形態に係る検知部50は、被照射面14の各領域にて反射した反射光を、反射角度に関して複数設定された設定角度別に検知する。
ここで、反射角度とは、反射光が進む方向の、被照射面14に対する角度のことであり、厳密には、図6に示すように、載置台22の上面(載置面)に対する傾き角度(例えば、図6中のβ1~β7)にて表される。図6は、本実施形態における照射角度の説明図であり、被照射面14中のある領域にて反射された光(反射光)の一部の光路を示す図である。
なお、0度以上且つ90度未満の反射角度は、副走査方向において一端(スキャン開始地点)寄りの向きに反射した光の反射角度である。反射角度90度は、被照射面14に対して垂直な反射光の反射角度であり、90度超且つ180度以下の反射角度は、副走査方向において他端(スキャン終了地点)寄りの向きに反射した光の反射角度である。
また、設定角度とは、予め複数設定された反射角度である。設定角度の種類数及び各設定角度の大きさについては、任意に設定し得るが、以下では、図6に図示のβ1~β7を設定角度とする。ここで、設定角度(すなわち、β1~β7)は、後述するように検知部50のセンサ54(画素)が受光する反射光の角度と対応付けられており、画素の大きさに応じて若干の幅(広がり)を有する。すなわち、設定角度は、その中央値に画素に応じた範囲を加えた形で設定されている。なお、以下の説明において、設定角度は、30度±d(dは、0度より大きく、且つ2度以下。以下、同様)、45度±d、60度±d、90度±d、120度±d、135度±d、及び150度±dの7種類に設定されていることとする。
本実施形態に係る検知部50の構成について説明すると、2次元センサが検知部50を構成している。検知部50は、平面視で矩形形状をなしており、センサ表面(反射光の入射面)が副走査方向に対して垂直となった状態で筐体20内に配置されている。
検知部50は、分光測定装置10の高さ方向において複数のセンサ列52が並ぶことによって構成されている。それぞれのセンサ列52は、リニアセンサによって構成されており、主走査方向に並ぶ複数のセンサ54(画素)からなる。センサ列52を構成するセンサ54の数、すなわち、画素数は、1ラインにおける領域の数(具体的には、N個)と同数である。そして、各センサ54は、1ライン中、対応する領域にて反射した反射光を検知する。
各センサ54は、CCDセンサ又はCMOSセンサからなり、受光した反射光の強弱に応じて光電変換された電荷を、アナログシフトレジスタで転送した後に電荷-電圧変換増幅器により電圧信号に変換し、その電圧信号を出力する。また、各センサ54(すなわち、各画素)には、図7に示すように、互いに受光する光の波長が異なるL個(Lは2以上の自然数)の受光素子56が設けられている。図7は、検知部50における各センサ列52の構成についての説明図である。また、図7中には、一つのセンサ54の構成を拡大して図示している。ちなみに、図7では、センサ54内に設けられる受光素子56の個数Lが6となっているが、当然ながら、これに限定されるものではない。
L個の受光素子56の各々は、光電変換素子からなり、具体的には、例えばフォトダイオード及びフォトダイオード等からなる。また、それぞれの受光素子56には、他の受光素子と重複しない色のフィルタがオンチップで形成されている。ここで、1種類の受光素子56は、1つのチャンネルとして機能する。各センサ54は、マルチチャンネルのセンサであり、L個のチャンネルのそれぞれについて、色別の電気信号を出力する。
以上のように、本実施形態では、各センサ列52が設定波長毎に設けられた複数のチャンネルを有している。また、複数のチャンネルのそれぞれは、対応する設定波長に応じたフィルタを備えた受光素子56によって構成されている。そして、各センサ列52は、複数のチャンネルのそれぞれにて、対応する設定波長の反射光を検知する。以上により、各センサ列52は、1ラインにつき、画素数×チャンネル数(設定波長の種類数)の電気信号を出力する。より詳しく説明すると、各センサ54(各画素)からは、チャンネル毎の電気信号が同時並行でシリアル出力される。
ここで、設定波長は、検知部50がL個の受光素子56にて検知する光(換言すると、照射部30が照射する光)に関して複数設定されており、具体的には、L個の受光素子56のそれぞれが備えるフィルタと対応する波長である。なお、設定波長の種類数L(チャンネル数)及び各設定波長の大きさについては、特に限定されないが、種類数L(チャンネル数)については、3以上であると好ましく、4以上であるとより好ましく、16以上であると更に好ましい。また、設定波長については、RGB3色の波長と、その波長とは異なる数色の波長を追加させるのが望ましい。例えば、設定波長の種類数が4波長である場合には、RGB3色の各々について等色関数での感度(刺激値)が正となるときの波長、及び、R(赤)について等色関数での感度が負となるときの波長に設定すればよい。
なお、図7に図示した検知部50の構成では、各画素においてL個のチャンネルが主走査方向に並んでいることとした。ただし、これに限定されるものではなく、図8に示すように、各センサ列52が、設定波長別(色別)に設けられたL個の色別センサ列52xが副走査方向において互いに平行に並ぶことによって構成されてもよい。色別センサ列52xには、対応する色の受光素子を主走査方向において画素数と同じ数だけ並んでいる。以上のように構成された図8に図示の検知部50であれば、図7に図示した構成の検知部50と同様の機能を発揮する。
図8は、変形例に係るセンサ列52の構成を示す図である。また、図8中には、一つのセンサ列52の構成を拡大して図示している。ちなみに、図8では、色別センサ列52xの個数Lが6となっているが、当然ながら、これに限定されるものではない。
また、本実施形態において、センサ列52は、照射部30から白色光が照射されたときに、L個のチャンネルにて設定波長別(色別)に反射光を受光するカラーセンサ方式を採用している。ただし、これに限定されるものではなく、照射部30が設定波長毎に設けられた複数の光源を有し、1ラインに対して、照射部30が光を照射する際に用いる光源を順次切り替える光源切替方式を採用してもよい。
光源切替方式では、複数の光源の各々が、互いに異なる波長の光(換言すると、互いに異なる色の光)を発し、照射部30が照射する光の色が、光源毎に(換言すると、設定波長毎に)切り替わる。そして、照射部30が照射する光の色が切り替わる度に、検知部50の各センサ列52が反射光を検知する。より具体的に説明すると、各センサ列52の各センサ54は、1ライン中の対応する領域にて反射した反射光をモノクロの受光素子にて受光し、その強度に応じた電気信号を出力する。かかる動作が設定波長毎(換言すると、光源毎)に繰り返されることにより、各センサ列52は、1ラインあたりに、画素数×設定波長の種類数の電気信号を、それぞれ時分割式に出力する。
検知部50の構成について改めて説明すると、検知部50では、図7及び図8に示すように、複数のセンサ列52が主走査方向と直交する方向に並んでおり、具体的には、分光測定装置10の高さ方向に並んでいる。また、センサ列52の個数は、反射角度に対して設定された設定角度の種類数と同数である。
さらに、本実施形態では、後述する光路変更部60の機能により、それぞれの設定角度にて反射された反射光を、互いに異なるセンサ列52に到達させることができる。これにより、照射部30が被照射面14の1ラインに対して光が照射した際、検知部50は、複数の設定角度のそれぞれにて反射された反射光を、設定角度別に検知することができる。より詳しく説明すると、検知部50は、設定角度別に分かれた反射光を、それぞれ対応するセンサ列52にて同時に検知することができる。この結果、検知部50は、1ラインにつき、画素数×設定波長の種類数(チャンネル数)×設定角度の種類数の電気信号を出力することができる。
なお、本実施形態において、各センサ54(画素)は、対応する設定角度にて反射された反射光を受光する際に、画素の大きさに相当する角度範囲内(具体的には、設定角度の中央値±d度の範囲内)にて光を受光する。
<光路変更部>
光路変更部60は、複数の光学機器によって構成されており、反射光の光路を反射角度に応じて変更する。光路変更部60は、図1に示すように、光路の上流側から順にコリメートレンズ62、第一反射ミラー64a、第二反射ミラー64b、第三反射ミラー64c及び集光用レンズ66を有する。ここで、光路における「上流側」とは、光路において測定対象物12に近い側を意味し、「下流側」とは、光路において検知部50に近い側を意味する。
コリメートレンズ62は、半円柱形状のシリンドリカルレンズによって構成されており、円弧面状の入射面と平面状の出射面とを有する。反射光は、入射面からコリメートレンズ62内に進入した後に屈折し、出射面に垂直な光として出射される。ここで、反射光の出射位置(出射面における通過位置)は、その反射光の反射角度に応じて変わる。
したがって、1ライン中の各領域で生じた複数の反射光は、それぞれ図9に示すように平行光となり、且つ、互いにずれた位置にてコリメートレンズ62の出射面から出射される。つまり、反射角度が設定角度に等しい複数の反射光(換言すると、設定角度別に分かれた反射光)の各々は、コリメートレンズ62を通過することで平行光となる。
図9は、反射光の光路についての説明図であり、図中では光路を一点鎖線にて図示している。なお、図示を分かり易くする目的から、図9には、分光測定装置10の構成要素のうち、載置台22、光源ユニット32、光路変更部60及び検知部50のみを図示している。
また、コリメートレンズ62は、前述したようにキャリッジ42に搭載されており、より具体的には、図1に示すように、副走査方向における保持部材38の中央部分に取り付けられている。したがって、キャリッジ42によって照射部30が副走査方向に移動する際には、コリメートレンズ62を構成するシリンドリカルレンズが照射部30と共に移動する。
第一反射ミラー64a、第二反射ミラー64b及び第三反射ミラー64cは、コリメートレンズ62を通過して平行光となった反射光(設定角度別に分かれた反射光を含む)を全反射させて検知部50の配置位置に向かわせる。第一反射ミラー64aは、コリメートレンズ62の出射面と対向する位置に配置されている。
なお、本実施形態において、第一反射ミラー64aは、図1に示すように、キャリッジ42に搭載されており、キャリッジ42によって照射部30が移動する際には照射部30及びコリメートレンズ62と共に移動する。つまり、照射部30、コリメートレンズ62及び第一反射ミラー64aとの間の相対的な位置関係は、照射部30の移動前後で変化せず固定されている。
第二反射ミラー64bは、第一反射ミラー64aと対向する位置に配置されており、具体的には、図1に示すように副走査方向において第一反射ミラー64aと並ぶ位置に配置されている。第三反射ミラー64cは、第二反射ミラー64bと対向する位置に配置されており、図1に示すように、分光測定装置10の高さ方向において第二反射ミラー64bと並ぶ位置に配置されている。
そして、コリメートレンズ62を通過した光は、第一反射ミラー64a、第二反射ミラー64b及び第三反射ミラー64cの各々にて反射することにより、副走査方向と略平行な光路にて検知部50に向かうようになる。そして、第三反射ミラー64cにて反射された時点で、平行光となった設定角度別の反射光の各々の光路は、図9に示すように、分光測定装置10の高さ方向において互いにずれている。
集光用レンズ66は、第三反射ミラー64cの配置位置よりも下流側の位置(換言すると、コリメートレンズ62の配置位置よりも下流側の位置)に配置された凸レンズである。集光用レンズ66は、検知部50の手前位置で、設定角度別に分かれた反射光の各々を平行光である状態から集光させるために設けられている。
より詳しく説明すると、集光用レンズ66の手前位置において、設定角度別に分かれた反射光は、図9に示すように、平行光として、分光測定装置10の高さ方向において互いにずれた状態で副走査方向に沿って進行する。その後、設定角度別に分かれた反射光の各々は、集光用レンズ66を通過する間に、分光測定装置10の高さ方向においてレンズ中央位置(すなわち、光軸が通る位置)に近付くように屈折する。この結果、設定角度別に分かれた反射光の各々が集光用レンズ66を通過した後には、反射光の光路の間隔が、図9に示すように、検知部50に近づくにつれて短くなる。
そして、設定角度別に分かれた反射光の各々は、最終的に検知部50に到達する。このとき、設定角度別に分かれた反射光の各々は、検知部50において並ぶ複数のセンサ列52のうち、それぞれの設定角度と対応するセンサ列52に到達する。つまり、設定角度別に分かれた反射光の各々は、光路変更部60が光路を変更すること(厳密には、各反射光がコリメートレンズ62を通過した後に全反射を繰り返すこと)により、設定角度毎に分離した状態で、互いに異なるセンサ列52に到達する。
なお、本実施形態において、設定角度別に分かれた反射光の各々は、集光用レンズ66によって平行光の状態から集光された後に、対応するセンサ列52に到達する。これにより、検知部50の手前位置で光路の間隔が下流側に向かうにつれて漸次的に短くなるので、センサ列52のピッチ(分光測定装置10の高さ方向における間隔)を短くすることができる。この結果、検知部50全体のサイズをより小さくすることが可能となる。
<制御部>
制御部70は、分光測定装置10に内蔵のマイクロコンピュータからなり、制御回路71を介して照射部30及び移動機構40を制御する。本実施形態において、制御部70は、被照射面14中の1ラインに対して光を照射する際に、複数の光源ユニット32の各々をオンオフ制御し、照射部30が光を照射する際に用いる光源ユニット32を順次切り替える。これにより、制御部70は、1ラインに対する光の照射角度を変更させることができる。
そして、本実施形態では、移動機構40によって照射部30が移動範囲の一端(スキャン開始地点)から他端(スキャン終了地点)まで移動する間に、制御部70が、1ライン毎に、ライン中の各領域に対する光の照射角度を複数の角度に変更させる。これにより、1回のスキャンにおいて、被照射面14を構成する複数の領域の各々には、異なる照射角度にて光が複数回照射されることになる。ちなみに、図1に図示の構成、すなわち、光源ユニット32が4個配置されている構成では、4種類の照射角度(具体的には、30度、60度、90度及び120度)にて光が各領域に対して照射されることになる。
なお、制御部70の制御によって変更可能な照射角度の種類数は、光源ユニット32の設置数と等しく、前述したように、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上が更に好ましい。また、照射角度については、0度、45度及び135度以外の角度であることが望ましく、具体的には、例えば、30度、60度、90度及び120度等に設定してもよい。
<<本実施形態に係る分光測定装置の動作例>>
次に、本実施形態に係る分光測定装置10の動作例について説明する。
まず、照射部30が、副走査方向において移動方向の一端(スキャン開始地点)に位置している間に光を照射する。
具体的に説明すると、制御部70が複数の光源ユニット32中の一つをオンし、これにより、その光源ユニット32の導光体34から光(光束)が照射される。照射された光(光束)は、載置台22に載置された測定対象物12の被照射面14中、副走査方向において最も一端側に位置するライン(以下、最初のライン)に照射される。そして、照射された光は、最初のライン中の各領域にて反射する。
それぞれの反射角度にて反射した光(反射光)は、光路変更部60によって反射角度毎に分離される。より具体的に説明すると、反射角度別に分かれた反射光は、コリメートレンズ62によって平行光となり、互いにずれた光路に沿って筐体20内を進行する。そして、反射角度別に分かれた反射光は、検知部50の手前位置で集光用レンズ66によって集光され、最終的に検知部50に到達する。このとき、反射光のうち、反射角度が設定角度に該当する反射光は、設定角度別に分かれた状態で、それぞれの設定角度と対応するセンサ列52に到達する。
各センサ列52では、複数のセンサ54(画素)のそれぞれにおいて、チャンネル毎に設けられた受光素子56が、対応する波長(色)の反射光を受光する。この結果、検知部50は、最初のラインについて、画素数×設定角度の種類数×チャンネル数の電気信号を同時並行で出力する。
その後、制御部70は、それまで光を照射していた光源ユニット32をオフし、残りの光源ユニット32のうちの一つをオンし、その光源ユニット32の導光体34から最初のラインに向けて光を照射させる。つまり、制御部70は、照射部30を制御して、最初のラインに対する光の照射角度を変更する。そして、変更後の照射角度について上記の動作が繰り返される。つまり、照射角度の変更後、検知部50が最初のラインについて再び反射光を設定角度別に検知し、画素数×設定角度の種類数×チャンネル数の電気信号を出力する。
以降、制御部70は、照射部30が光を照射する際に用いる光源ユニット32を順次切り替えて照射角度の変更を繰り返す。そして、照射角度が変わる度に、検知50部が反射光を設定角度別に検知し、画素数×設定角度の種類数×チャンネル数の電気信号を出力する。これにより、最初のラインについて、画素数×設定角度の種類数×チャンネル数×照射角度の種類数に相当する数の分光特性を取得することができる。
次に、移動機構40が副走査方向において照射部30を所定の距離(具体的には、1ラインに相当する距離)だけ移動させる。その後、制御部70が上記と同様の手順により照射部30を制御する。これにより、照射部30が照射角度を変えながら、副走査方向において最初のラインと隣接するライン(以下、2番目のライン)に対して光を照射する。
そして、それぞれの照射角度について、検知部50が、2番目のライン中の各領域にて反射した反射光を、チャンネル毎(色毎)に分けて設定角度別に検知する。これにより、2番目のラインについて、画素数×設定角度の種類数×チャンネル数×照射角度の種類数に相当する数の分光特性を取得することができる。
以降、照射部30が移動範囲の他端(スキャン終了地点)に到達するまで、光の照射及び反射光の検知が繰り返し実施される。つまり、上記一連の動作は、副走査方向において最も他端側に位置するライン(すなわち、M番目のライン)についての分光特性が得られるまで繰り返される。そして、M番目のラインについての分光特性が得られた時点で、一つの測定対象物12を対象とする分光測定が終了する。
以上のように、本実施形態では、1回のスキャンにおいて、測定対象物12の被照射面14中の各領域に対する光の照射角度を複数の角度に切り替える。そして、照射角度が切り替わるごとに、各領域で反射した反射光を反射角度別(厳密には、設定角度別)に検知する。特に、本実施形態では、複数のチャンネルのそれぞれにおいて、反射光を波長毎(色毎)に検知する。これにより、被照射面14中の各領域について、照射角度の種類数×設定角度の種類数×チャンネル数に相当する数の分光特性を取得することができる。
したがって、本実施形態に係る分光測定装置10によれば、光の照射角度を変えながら反射角度別に分光特性を測定することができるので、特許文献1に記載の装置を含む従来の分光測定装置に比して、1回の測定でより多くの分光特性を取得することができる。
また、上記の効果は、観察角度に応じて色合い及び模様等が変化する画像が形成された測定対象物12を対象として分光測定を実施する場合には、特に有意義である。つまり、観察角度に相当する光の照射角度を変更し、それぞれの照射角度で照射した光の反射光を反射角度別(厳密には、設定角度別)に検知することにより、画像が観察角度に応じて変化する測定対象物12について、観察角度毎の分光特性を良好に取得することが可能となる。
また、本実施形態に係る分光測定装置10では、1スキャン(照射部30の1往復動作)中に照射角度を複数の角度に切り替えることができるため、照射角度を変更する度にスキャンを繰り返す必要がなく、照射角度の切り替えがより短時間で行われる。つまり、本実施形態に係る分光測定装置10であれば、被照射面14の各領域について、より多くの分光特性を、より短時間(1スキャン)で取得することが可能となる。
<<変形例>>
上記の実施形態では、照射部30が、副走査方向において互いに異なる位置に配置された複数の光源ユニット32を有することとした。そして、上記の実施形態では、照射部30が光を照射する際に用いる光源ユニット32が切り替わることで、光の照射角度が変わることとした。ただし、照射角度を変えるための機構については、上記の機構に限定されず、他の機構も考えられる。
具体的に説明すると、例えば、照射部30が光源ユニット32を一つのみ備え、この光源ユニット32が揺動自在に保持部材38に保持されてもよい。そして、副走査方向において光源ユニット32を保持部材38に対して揺動させる揺動機構(不図示)が照射部30に設けられていてもよい。このような構成であれば、制御部70が照射部30の揺動機構を制御して光源ユニット32を揺動させることで、照射角度を任意の角度に変えることが可能となる。
また、上記の実施形態では、照射部30を断続的に移動させ、1ラインに対して照射角度を変えながら光を照射する間、すべての照射角度での光の照射が終わるまで照射部30の移動を停止させることとした。ただし、これに限定されるものではなく、照射部30を一定の速度にて連続的に移動させ、1ラインに対する照射角度を切り替える際にも照射部30を移動させ続けてもよい。この場合、照射角度の切り替え前後で各領域における光の照射位置が多少ずれることになるが、それぞれの照射角度にて照射した光が同じ領域内に当ればよい。
また、上記の実施形態では、検知部50が反射光を検知する際に、チャンネル別(換言すると、光の波長別)に反射光を検知することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、検知部50が反射光を検知する際に、一つの特定色の反射光のみを検知する構成であってもよい。すなわち、検知部50の各センサ54(画素)が単一のチャンネルを有し、検知部50は、単一のチャンネルのみを用いて一種類の波長の反射光を設定角度別に検知してもよい。ただし、より多くの分光特性を取得する観点では、言うまでもなく、チャンネル別に反射光を検知する方が望ましい。
10 分光測定装置
12 測定対象物
14 被照射面
16 画像記録部
20 筐体
22 載置台
30 照射部
32 光源ユニット
34 導光体
36 光源
38 保持部材
40 移動機構
42 キャリッジ
44 モータ
46 ガイドシャフト
50 検知部
52 センサ列
52x 色別センサ列
54 センサ
56 受光素子
60 光路変更部
62 コリメートレンズ
64a 第一反射ミラー
64b 第二反射ミラー
64c 第三反射ミラー
66 集光用レンズ
70 制御部
71 制御回路

Claims (11)

  1. 測定対象物の分光特性を測定する縮小光学系の分光測定装置であって、
    前記測定対象物の被照射面における複数の領域の各々に対して、光を照射する照射部と、
    前記照射部及び前記測定対象物のうちの一方を他方に対して移動させる移動機構と、
    前記照射部を制御して、前記照射部が光を照射する際の照射角度を変更させる制御部と、
    前記複数の領域の各々にて反射した反射光を、前記反射光の前記被照射面に対する反射角度に関して複数設定された設定角度別に検知する検知部と、
    前記反射光の光路を前記反射角度に応じて変更する光路変更部と、を有し、
    前記検知部には、前記設定角度の種類数と同数のセンサ列が並んで設けられており、
    前記移動機構によって前記照射部及び前記測定対象物のうちの一方が移動範囲の一端から他端まで移動する間に、前記制御部が、前記複数の領域の各々に対する前記照射角度を複数の角度に変更させ、
    前記照射角度が変わる度に、前記検知部が、前記反射光を前記設定角度別に検知し、
    前記光路変更部が前記光路を変更することにより、前記設定角度別に分かれた前記反射光の各々が、互いに異なる前記センサ列に到達することを特徴とする分光測定装置。
  2. 前記検知部は、前記照射部が照射する光に関して複数設定された設定波長のそれぞれについて、前記反射光を前記設定角度別に検知する請求項1に記載の分光測定装置。
  3. 前記照射部は、白色光を照射し、
    前記検知部は、前記設定波長毎に設けられた複数のチャンネルを有し、前記複数のチャンネルのそれぞれにて、対応する前記設定波長の前記反射光を前記設定角度別に検知する請求項2に記載の分光測定装置。
  4. 前記複数のチャンネルのそれぞれは、対応する前記設定波長に応じたフィルタを備えた受光素子によって構成されている請求項3に記載の分光測定装置。
  5. 前記照射部が照射する光の色は、前記設定波長毎に切り替わり、
    前記照射部が照射する光の色が切り替わる度に、前記検知部が前記反射光を前記設定角度別に検知する請求項2に記載の分光測定装置。
  6. 前記光路変更部は、前記設定角度別に分かれた前記反射光の各々を平行光とするためのコリメートレンズを有し、
    前記設定角度別に分かれた前記反射光の各々は、前記コリメートレンズを通過することにより、互いに異なる前記センサ列に到達する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の分光測定装置。
  7. 前記光路変更部は、前記光路において前記コリメートレンズの配置位置よりも下流側の位置に、前記設定角度別に分かれた前記反射光の各々を平行光である状態から集光させるための集光用レンズを有し、
    前記設定角度別に分かれた前記反射光の各々が前記集光用レンズを通過した後、前記反射光の前記光路の間隔が、前記検知部に近づくにつれて短くなる請求項に記載の分光測定装置。
  8. 前記移動機構は、前記照射部を前記測定対象物に対して移動させ、
    前記コリメートレンズは、前記移動機構によって前記照射部と共に移動するシリンドリカルレンズである請求項6又は7に記載の分光測定装置。
  9. 前記照射部は、複数の光源ユニットを有し、
    前記複数の光源ユニットの各々は、前記移動機構が前記照射部及び前記測定対象物のうちの一方を他方に対して移動させる際の移動方向において、互いに異なる位置に配置されており、
    前記制御部は、前記複数の光源ユニットのうち、前記照射部が光を照射する際に用いる光源ユニットを切り替えることにより、前記照射角度を変更させる請求項1乃至のいずれか一項に記載の分光測定装置。
  10. 画像が記録された画像記録部を有する前記測定対象物であって、前記被照射面側から前記画像記録部を視認した際に前記画像が視認角度に応じて変化する前記測定対象物の分光特性を測定する請求項1乃至のいずれか一項に記載の分光測定装置。
  11. 前記制御部の制御によって変更可能な前記照射角度の種類数が、3以上である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の分光測定装置。
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