JP2010145198A - 画質の計算方法、画質検査装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】変角分光測色計の計測値を用いて、現実的な環境下での被検査印刷媒体の見え方を計算により求める。
【解決手段】被検査印刷媒体11上の検査対象点Mに可変の照射角θIで光を照射する点光源と検査対象点Mからの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計により検査対象点Mの色彩値を計測し、長さをもつ仮想光源(31)を想定し、この仮想光源(31)の各点(x,r)と検査対象点Mとの間の角度条件(θI,θR,φ)に対応する変角分光測色計の計測値を積分して、被検査印刷媒体11の画質の計測値とする。
【選択図】図3
【解決手段】被検査印刷媒体11上の検査対象点Mに可変の照射角θIで光を照射する点光源と検査対象点Mからの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計により検査対象点Mの色彩値を計測し、長さをもつ仮想光源(31)を想定し、この仮想光源(31)の各点(x,r)と検査対象点Mとの間の角度条件(θI,θR,φ)に対応する変角分光測色計の計測値を積分して、被検査印刷媒体11の画質の計測値とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、画質の計算方法、画質検査装置およびプログラムに関する。
印刷された用紙を見ていると、光の加減により、色が通常とは異なって見えることがある。これは、ブロンジング効果あるいはフロップ性として知られている現象(以下、「ブロンジング」という)によるものであり、ある種の顔料インクを用いて光沢性のある用紙に印刷した場合に生じることが知られている(例えば非特許文献1参照)。ブロンジングは、インクが特定の波長の光だけを選択的に反射することによって生じるもので、光源からの光の入射に対して正反射となる方向、すなわち、もし用紙の面が反射面であれば入射光が全反射する方向で見られる現象である。ブロンジングが生じる条件は、インクの材料や性質、インクの組み合わせなど、多くの要因が関係する。このため、ブロンジングが生じるかどうかは、実際に印刷してみないと判らないのが現状である。
ブロンジングは、印刷媒体上の多数点の色測定で一般的に利用される0−45度タイプの測色計では計測することができない。そのため、実際に印刷したもので検査する必要がある。すなわち、印刷された被検査印刷媒体について、正反射の状況(ブロンジングが生じる可能性のある状況)と、正反射ではない拡散状況とで、乖離の程度を検査する。この検査は、通常は人間が目視により行っている。すなわち、検査者が被検査印刷媒体を観察して、画質の良否判定を行っている。効率化および定量化のためには、機械化することが望ましい。
図13から図16は、蛍光灯による照明下における被検査印刷媒体の色彩値の計測結果例を示す図であり、インクの印刷濃度の変化に対する色彩値の変化を示す。図13はある染料インクで計測された明度L*の変化を示し、図14は同じ染料インクで計測されたa*、b*の値を示す。また、図15はある顔料インクで計測された明度L*の変化を示し、図16は同じ顔料インクで計測されたa*、b*の値を示す。図13および図14に示す染料インクの場合は、正反射と拡散状況とで色彩値の変化はそれほど生じていない。これに対して図15および図16に示す顔料インクでは、インクの濃度と関係なく明度が変化し、拡散状況とは全く異なる色彩が現れることがわかる。
ブロンジングの検査を機械により行う方法として、公知の変角分光測色計を用いることが考えられる。変角分光測色計は、被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射し、検査対象点の色を可変の角度で計測する装置である(例えば非特許文献2参照)。この装置を用いることで、照射角に対して正反射となる方向と、それ以外の方向、すなわち拡散反射の方向とで、それぞれ色彩値を計測することができ、ブロンジングを効率的かつ定量的に検査することができる。
新編色彩科学ハンドブック、第2版、日本色彩学会編、東京大学出版会、第18章光沢、第713−732頁 ディジタル画像における色再現・質感表現技術[上巻]〜コントラスト・諧調性・光沢感の最適化、画質・臨場感、演色性の向上〜、第1版、技術情報協会、第4部 変角分光測色、第54−99頁
新編色彩科学ハンドブック、第2版、日本色彩学会編、東京大学出版会、第18章光沢、第713−732頁 ディジタル画像における色再現・質感表現技術[上巻]〜コントラスト・諧調性・光沢感の最適化、画質・臨場感、演色性の向上〜、第1版、技術情報協会、第4部 変角分光測色、第54−99頁
しかし、変角分光測色計を用いた検査では、現実的な目視観察条件と照明の幾何学条件が異なっている。具体的には、目視観察条件で光沢やフロップ性が認められている場合は、反射が発生しているが、これに加えて、現実の光源が線状ないし棒状あるいは面状であるために、人の目に入る光には正反射ではない反射も重畳している。一方、変角分光測色計で正反射を計測する場合は、光源として点光源を用いるため、純粋に正反射のみが計測される。このため、変角分光測色計で得られる値は、そのまま目視観察条件で発生している事象の程度量として扱うには難があり、生産現場での利用には適していない。
本発明は、このような課題を解決し、変角分光測色計の計測値を用いて現実的な環境下での被検査印刷媒体の見え方を計算により求める画質の計算方法、画質検査装置およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の観点によると、被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計により検査対象点の色彩値を計測し、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点との間の角度条件に対応する変角分光測色計の計測値を積分して、被検査印刷媒体の画質の計測値とすることを特徴とする画質の計算方法が提供される。
仮想光源は、検査対象点に対して検知器による計測点が正反射位置となる位置を中心点とし、この中心点と検査対象点および計測点を含む平面に対して垂直に配置され、検査対象点と中心点との距離がLであり、中心点から横方向にx離れた点からの光の照射による色彩値として、点光源と検査対象点との距離をLとし同じ角度条件で計測した変角分光測色計の計測値に、xの点の角度条件によって生じる光照射強度の変化分を乗算した値を用いることができる。この場合、光照射強度の変化分として、(L/(L2+x2)1/2)3を用いることができる。また、中心点から横方向にx離れた点からの光の照射による色彩値として、点光源、検査対象点および検知器の計測点が同一平面に配置された状態で計測された色彩値のうち、照射角θIおよび受光角θRが同じ条件のものを用いることができる。点光源からの照射角θI=αでの照射に対して検知器が受光角θR=βで計測する色彩値として、点光源からの照射角θI=βでの照射に対して検知器が受光角θR=αで計測された色彩値を用いることもできる。
本発明の第2の観点によると、被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計と、この変角分光測色計を制御する制御部とを有し、この制御部は、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に点光源を移動させる動作制御部と、点光源の移動に対応して検知器による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して被検査印刷媒体の画質の計測値とする演算処理部とを有することを特徴とする画質検査装置が提供される。
本発明の第3の観点によると、被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計を制御する手順をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に点光源を移動させる動作制御手順と、点光源の移動に対応して検知器による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して被検査印刷媒体の画質の計測値とする演算処理手順とを実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
本発明によれば、変角分光測色計の計測値を用いて、現実的な環境下での被検査印刷媒体の見え方を計算により求めることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[画質検査装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る画質検査装置のブロック構成図である。この画質検査装置は、変角分光測色計1と、この変角分光測色計1を制御する制御部2とを有する。変角分光測色計1は、被検査印刷媒体11上の検査対象点Mに可変の照射角で光を照射する点光源12と、検査対象点Mからの反射光を検知する検知器13とを有する。制御部2は、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に点光源12を移動させる動作制御部21と、点光源12の移動に対応して検知器13による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して被検査印刷媒体11の画質の計測値とする演算処理部22とを有する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画質検査装置のブロック構成図である。この画質検査装置は、変角分光測色計1と、この変角分光測色計1を制御する制御部2とを有する。変角分光測色計1は、被検査印刷媒体11上の検査対象点Mに可変の照射角で光を照射する点光源12と、検査対象点Mからの反射光を検知する検知器13とを有する。制御部2は、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に点光源12を移動させる動作制御部21と、点光源12の移動に対応して検知器13による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して被検査印刷媒体11の画質の計測値とする演算処理部22とを有する。
[光源と計測点の幾何条件]
図2は光源と計測点の幾何条件を説明する図である。検査対象点Mの法線に対して、光の照射角θIおよび受光角θRを定義する。また、検査対象点Mの法線を中心とする回転方向に、光の照射方位角φIおよび反射方位角φRを定義する。照射方位角φIは、被検査印刷媒体11上の直線で検査対象点Mを通る基準直線Jとし、光源から検査対象点Mまでの光を被検査対象点11に投影した線を入射投影線K1としたとき、その両者の間の角度である。反射方位角φRは、検査対象点Mで反射した光を被検査印刷媒体11に投影した線を反射投影線K2としたとき、この反射投影線K2と基準直線Jとの角度である。照射方位角φiおよび反射方位角φrはそれぞれ単独で意味をもつわけでなく、照射方向と反射方向との方位角の関係が意味をもつので、以下では、方位角φ=φI−(π-φR)として説明する。変角分光測色計1では、光の照射角θIおよび受光角θRを変化させて、正反射の状況と拡散状況とで検査対象点Mの色彩値を計測することができる。変角分光測色計によっては、方位角φを変化させることができないものもある。
図2は光源と計測点の幾何条件を説明する図である。検査対象点Mの法線に対して、光の照射角θIおよび受光角θRを定義する。また、検査対象点Mの法線を中心とする回転方向に、光の照射方位角φIおよび反射方位角φRを定義する。照射方位角φIは、被検査印刷媒体11上の直線で検査対象点Mを通る基準直線Jとし、光源から検査対象点Mまでの光を被検査対象点11に投影した線を入射投影線K1としたとき、その両者の間の角度である。反射方位角φRは、検査対象点Mで反射した光を被検査印刷媒体11に投影した線を反射投影線K2としたとき、この反射投影線K2と基準直線Jとの角度である。照射方位角φiおよび反射方位角φrはそれぞれ単独で意味をもつわけでなく、照射方向と反射方向との方位角の関係が意味をもつので、以下では、方位角φ=φI−(π-φR)として説明する。変角分光測色計1では、光の照射角θIおよび受光角θRを変化させて、正反射の状況と拡散状況とで検査対象点Mの色彩値を計測することができる。変角分光測色計によっては、方位角φを変化させることができないものもある。
[現実的観察環境下の照明のモデル]
図3は、現実的観察環境下の照明の幾何学モデルを示す図である。このモデルでは、現実的な観察環境下での光源をモデル化した仮想光源として、長さ2x_end、太さ2r_endの蛍光灯31を想定する。この蛍光灯31は、検査対象点Mに対して検知器13による計測点Aが正反射位置となる位置を中心点Bとし、この中心点Bと検査対象点Mおよび計測点Aを含む平面に対して垂直に配置され、検査対象点Mと中心点Bとの距離(照明距離)がLであるとする。仮想光源の中心点Bから横方向にx離れた点Cからの光は、計測点A、中心点Bおよび検査対象点Mを含む面に対して方位角φで検査対象点Mを照射する。このときの照射角、すなわち被検査印刷媒体11の検査対象点Mの法線MPに対する入射光の角度をθIとする。また、検査対象点Mから計測点Aへの受光角、すなわち法線MPに対する計測点Aの角度をθRとする。
図3は、現実的観察環境下の照明の幾何学モデルを示す図である。このモデルでは、現実的な観察環境下での光源をモデル化した仮想光源として、長さ2x_end、太さ2r_endの蛍光灯31を想定する。この蛍光灯31は、検査対象点Mに対して検知器13による計測点Aが正反射位置となる位置を中心点Bとし、この中心点Bと検査対象点Mおよび計測点Aを含む平面に対して垂直に配置され、検査対象点Mと中心点Bとの距離(照明距離)がLであるとする。仮想光源の中心点Bから横方向にx離れた点Cからの光は、計測点A、中心点Bおよび検査対象点Mを含む面に対して方位角φで検査対象点Mを照射する。このときの照射角、すなわち被検査印刷媒体11の検査対象点Mの法線MPに対する入射光の角度をθIとする。また、検査対象点Mから計測点Aへの受光角、すなわち法線MPに対する計測点Aの角度をθRとする。
図3に示すモデルでは、蛍光灯31の中心点Bから検査対象点Mへの光照射と、検査対象点Mから計測点Aとは鏡像の角度関係にあり、蛍光灯の中心点Bから検査対象点Mへの照射角度は受光角θrに等しい。このとき、計測点Aから被検査印刷媒体11を見ると、蛍光灯31の正反射像32が現れる。しかし、検査対象点Mを照射する光の起点は、蛍光灯31の中心点B以外にも蛍光灯31上に分布している。例えば、蛍光灯31の中心点Bからx離れた点Cからも検査対象点Mを照射する光が発せられ、検査対象点Mで散乱して一部が計測点Aに達している。このとき、点Cから検査対象点Mへの照射角θIは、検査対象点Mから観測点Aへの受光角θRとは異なり、正反射関係にはない。
つまり、蛍光灯31のような線ないし棒状の光源下で被検査印刷媒体11上に正反射像32が認められる場合、その正反射像32への照明は、正反射位置にあるものと、そうでないものとを含んでいる。すなわち、純粋な正反射光と散乱反射光の混合光を観察している。この点が点光源を用いる変角分光測色計による計測と大きな違いとなる。
図4は、蛍光灯31の断面方向における照射角度を説明する図である。蛍光灯31は、管径2r_endの幅を有している。このため、蛍光灯31の断面方向においても、図3に示す正反射像32には、正反射状態にある光と、そうではない光とが混在している。なお、管径幅を有することにより、検査対象点Mと蛍光灯31との距離および光束投影形状に分布が発生する。
管径による照射角θIの変位をΔθIすると、検査対象点Mと蛍光灯31との距離および光束投影形状は、cos(ΔθI)と比例関係にある。想定される蛍光灯の半径は15mm程度である。また、照明距離Lが15cm以上確保されるのが現実的であるとすると、cos(ΔθI)≧0.995以上が保証される。このため、ΔθIによる距離および投影形状の影響は無視することができる。
図5は、蛍光灯31から発生する種々の照射角θIを説明する図であり、図5(A)は蛍光灯31の個々の点と被検査印刷媒体11との位置関係を示し、図5(B)〜(D)はそれぞれ、図5(A)に示す位置B〜Dからの照射角を示す。蛍光灯31の各位置によって、検査対象点Mへの照射角θIは異なる。蛍光灯31上の位置を中心点Bからの距離xと蛍光灯31の半径方向の位置rの座標(x,r)で表し、この座標(x,r)が生成する照射角をθI(x,r)とする。r=0のときの照射角θI(x)については、図3から、
MP=MC・cos(θI(x))=L・cos(θR)
MC=(L2+x2)1/2
となり、
cos(θI(x))=L・cos(θR)/(L2+x2)1/2
となる。また、xがある値のときの照射角のr成分θI(r)は、
sin(θI(r))=r/MC
である。したがって、
となる。
MP=MC・cos(θI(x))=L・cos(θR)
MC=(L2+x2)1/2
となり、
cos(θI(x))=L・cos(θR)/(L2+x2)1/2
となる。また、xがある値のときの照射角のr成分θI(r)は、
sin(θI(r))=r/MC
である。したがって、
となる。
[蛍光灯軸方向の光源分布]
図6は、照射距離と単位面積当たりの照射光強度との関係を説明する図である。蛍光灯31の中心点Bから検査対象点Mへの距離MB=Lと、蛍光灯31上の点Cから検査対象点Mへの距離MCとは、MCとMBのなす角をγとして、
MB/MC=1/cos(γ)
の関係がある。光強度は距離の自乗に反比例することから、蛍光灯31の中心点Bから検査対象点Mへの単位面積当たりの照射光強度IBに対して、点Cからの照射光強度ICは、
IC=cos2(γ)IB
となる。
図6は、照射距離と単位面積当たりの照射光強度との関係を説明する図である。蛍光灯31の中心点Bから検査対象点Mへの距離MB=Lと、蛍光灯31上の点Cから検査対象点Mへの距離MCとは、MCとMBのなす角をγとして、
MB/MC=1/cos(γ)
の関係がある。光強度は距離の自乗に反比例することから、蛍光灯31の中心点Bから検査対象点Mへの単位面積当たりの照射光強度IBに対して、点Cからの照射光強度ICは、
IC=cos2(γ)IB
となる。
図7は、光束投影形状と単位面積当たりの照射光量との関係を説明する図であり、(A)は被検査対象点Mへの法線方向からの照射、(B)は蛍光灯31の中心点Bから被検査対象点Mへの照射、(C)は蛍光灯31上の点Cから被検査対象点Mへの照射を示す。それぞれ、径Dの光束が照射されるものとしている。光束の径が同じであっても、照射角が傾くと、被検査対象点Mにおける照射範囲が楕円となる。すなわち、図7(B)に示すように照射角がθRであれば照射範囲の楕円軸長は「D/cos(θR)」、図7(C)に示すように照射角がθIであれは、照射範囲の楕円軸長は「D/cos(θI)」となる。照射面における紙面垂直方向の軸長はDで一定であるとする。光束の光量が一定であれば、照射光強度(検査対象点Mにおける単位面積当たりの光量)は照射面積に反比例の関係となる。したがって、
IC=cos(θI)/cos(θR)・IB
となる。MCとMBのなす角γを用いると、
IC =cos(γ)・IB
となる。
IC=cos(θI)/cos(θR)・IB
となる。MCとMBのなす角γを用いると、
IC =cos(γ)・IB
となる。
検査対象点M上の照射光強度には、図6に示す照射距離の影響と、図7に示す光束投影形状の影響とが相乗して作用する。このため、蛍光灯31の点C(中心点Bからの距離がx)が検査対象点Mに与える照射光強度I(γ)は、正反射位置からの照射光強度IBに対して、
I(γ)=cos3(γ)・IB
の関係がある。
ここで、
MC2=MB2+BC2
cos(γ)=MB/MC
であるから、
である。したがって、蛍光灯31上のx点から検査対象点Mへの照射光強度I(x)は、次の式で表される。
I(γ)=cos3(γ)・IB
の関係がある。
ここで、
MC2=MB2+BC2
cos(γ)=MB/MC
であるから、
である。したがって、蛍光灯31上のx点から検査対象点Mへの照射光強度I(x)は、次の式で表される。
図8に蛍光灯31の各位置が検査対象点Mに寄与する照射光強度の分布例を示す。この例では、蛍光灯31と検査対象点Mとの距離L=20cm、蛍光灯31の長さ2x_end=36cmとし、蛍光灯31の正反射位置(中心点B、x=0)が与える光強度を「1」と規格化する。
[現実的観察環境下で取得される三刺激値の計算]
以上説明したモデルから、現実的な観察環境下では、検査対象点Mに対して多種の照射角度で照明が行われていること、および、各角度の照明光強度は数3の式で表されることがわかる。これらを用いることで、変角分光測色計1により計測される色彩値から、現実的な観察環境下における色彩値の推定値を計算により求めることができる。色彩値としてXYX特性を用い、変角分光測色計1により測定される変角XYZ特性をXmesure(θI,θR,φ)、Ymeasure(θI,θR,φ)、Zmeasure(θI,θR,φ)とすると、現実的観察環境下でのXYZ特性の推定値Xestimate、Yestimate、Zestimateは、次の式で求めることができる。
以上説明したモデルから、現実的な観察環境下では、検査対象点Mに対して多種の照射角度で照明が行われていること、および、各角度の照明光強度は数3の式で表されることがわかる。これらを用いることで、変角分光測色計1により計測される色彩値から、現実的な観察環境下における色彩値の推定値を計算により求めることができる。色彩値としてXYX特性を用い、変角分光測色計1により測定される変角XYZ特性をXmesure(θI,θR,φ)、Ymeasure(θI,θR,φ)、Zmeasure(θI,θR,φ)とすると、現実的観察環境下でのXYZ特性の推定値Xestimate、Yestimate、Zestimateは、次の式で求めることができる。
数4の式から、XYZ値はx_endおよびLの関数となることがわかる。すなわち、この計算では、現実的な観察環境下として、照射角θIおよび受光角θRとともに、蛍光灯31と被検査印刷媒体11との距離および蛍光灯31の長さについても管理する必要がある。
[変角分光測色計による制約]
図9はある種の変角分光測色計による制約を説明する図である。以上の説明では、図1に示す構成において、変角分光測色計1の点光源12と検知器13との間の方位角φは変化するものとしている。しかし、変角分光測色計1の機種によっては、図9に示すように、点光源12と検知器13とが同一平面内でしか移動できないものもある。すなわち、点光源12と検知器13とはそれぞれ、構造上、検査対象点Mの法線を含む平面でのみ円周上を移動する。このような機種では、点光源12と検知器13との間に方位角φをもたせることはできず、蛍光灯のような線ないし棒状の光源からの照射軌跡を得ることは不可能である。
図9はある種の変角分光測色計による制約を説明する図である。以上の説明では、図1に示す構成において、変角分光測色計1の点光源12と検知器13との間の方位角φは変化するものとしている。しかし、変角分光測色計1の機種によっては、図9に示すように、点光源12と検知器13とが同一平面内でしか移動できないものもある。すなわち、点光源12と検知器13とはそれぞれ、構造上、検査対象点Mの法線を含む平面でのみ円周上を移動する。このような機種では、点光源12と検知器13との間に方位角φをもたせることはできず、蛍光灯のような線ないし棒状の光源からの照射軌跡を得ることは不可能である。
また、検知器13は自走的に移動可能であるが、点光源12については手動で移動させる必要がある機種もある。そのような機種では、点光源12の位置(照射角度)を多水準に設定して計測を行うことは、工数上大きな負担となる。
[変角特性の簡易的な扱い]
図10は、変角分光測色計の制約に対応するための簡易的な処理を説明する図であり、点光源12と検知器13との間に方位角φをもたせることができない場合の処理を示す。方位角φをもたせることができないという制約がある場合には、拡散反射で観測されるXYZ値は方位角φの影響が小さく、実質的に、照射角θIおよび受光角θRにより支配されるものと仮定する。すなわち、図10に示す例において、照射角θIが同じであれば、点光源12が方位角φをもっていても、同じXYZ値が得られるものとする。
図10は、変角分光測色計の制約に対応するための簡易的な処理を説明する図であり、点光源12と検知器13との間に方位角φをもたせることができない場合の処理を示す。方位角φをもたせることができないという制約がある場合には、拡散反射で観測されるXYZ値は方位角φの影響が小さく、実質的に、照射角θIおよび受光角θRにより支配されるものと仮定する。すなわち、図10に示す例において、照射角θIが同じであれば、点光源12が方位角φをもっていても、同じXYZ値が得られるものとする。
図11は変角分光測色計の制約に対応するための簡易的な処理を説明する図であり、点光源12の移動を減らすための処理を示す。点光源12の移動を減らすために、照射角θIと受光角θRとで鏡像関係が成り立つとする。すなわち、照射角θI=α、受光角θR=βで観測した場合と、照射角θI=β、受光角θR=αで観測した場合とで、同じXYZが得られるものとする。この仮定により、検知器13については移動が増えるが、点光源12の移動を減らすことができ、作業負担を減らすことができる。
図12は図11に示す処理の妥当性を検証した例を示す図であり、照射角θIと受光角θRの鏡像性を示す。実線は照射角θIを固定して受光角θRを変化させたときに観測された色彩値(L*a*b*)、破線は受光角θRを固定して照射角θRを変化させたときに観測された色彩値を示す。この図から、実線と破線とはほぼ合致しており、一例ではあるが、
XYZ(α,β,0)=XYZ(β,α,0)
として処理しても大きな問題はないと考えられる。
XYZ(α,β,0)=XYZ(β,α,0)
として処理しても大きな問題はないと考えられる。
以上、本発明の実施の形態に係る画像検査装置について説明したが、本発明は要旨を変更しない限り種々変更実施できる。例えば、数6には変角分光測色計1による制約がある場合の簡易的な扱いによる計算式を示したが、変角分光測色計1としてそのような制約がないものであれば、数4の計算式にしたがう処理を行うこともできる。また、変角分光測色計1の動作が自動化されている場合には、すべての測定および演算処理を自動化することもできる。その場合に、制御部2としては、個別の装置を用いることができるが、コンピュータを用いてソフトウェアにより実現することもできる。すなわち、変角分光測色計1を制御する手順をコンピュータに実行させるプログラムに、長さをもつ仮想光源(蛍光灯31)を想定し、この仮想光源の各点と検査対象点Mとの間の角度条件に対応する照射角θiに点光源12を移動させる動作制御手順と、点光源12の移動に対応して検知器13による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して被検査印刷媒体11の画質の計測値とする演算処理手順とを実行させることができる。
1 変角分光測色計、2 制御部、11 被検査印刷媒体、12 点光源、13 検知器、21 動作制御部、22 演算処理部、31 蛍光灯(仮想光源)、32 正反射像、M 検査対象点
Claims (7)
- 被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と上記検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計により上記検査対象点の色彩値を計測し、
長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と上記検査対象点との間の角度条件に対応する上記変角分光測色計の計測値を積分して、上記被検査印刷媒体の画質の計測値とする
ことを特徴とする画質の計算方法。 - 請求項1記載の画質の計算方法において、
前記仮想光源は、前記検査対象点に対して前記検知器による計測点が正反射位置となる位置を中心点とし、この中心点と前記検査対象点および前記計測点を含む平面に対して垂直に配置され、
前記検査対象点と上記中心点との距離がLであり、
上記中心点から横方向にx離れた点からの光の照射による色彩値として、前記点光源と前記検査対象点との距離をLとし同じ角度条件で計測した前記変角分光測色計の計測値に、前記xの離れた点の角度条件によって生じる光照射強度の変化分を乗算した値を用いる
ことを特徴とする画質の計算方法。 - 請求項2記載の画質の計算方法において、
前記光照射強度の変化分は(L/(L2+x2)1/2)3である
ことを特徴とする画質の計算方法。 - 請求項1から3のいずれか1項記載の画質の計算方法において、
前記x離れた点からの光の照射による色彩値として、前記点光源、前記検査対象点および前記検知器の計測点が同一平面に配置された状態で計測された色彩値のうち照射角θIおよび受光角θRが同じ条件のものを用いる
ことを特徴とする画質の計算方法。 - 請求項1から4のいずれか1項記載の画質の計算方法において、
前記点光源からの照射角θI=αでの照射に対して前記検知器が受光角θR=βで計測する色彩値として、前記点光源からの照射角θI=βでの照射に対して前記検知器が受光角θR=αで計測された色彩値を用いる
ことを特徴とする画質の計算方法。 - 被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と上記検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計と、
上記変角分光測色計を制御する制御部と
を有し、
上記制御部は、長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と上記検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に上記点光源を移動させる動作制御部と、上記点光源の移動に対応して上記検知器による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して上記被検査印刷媒体の画質の計測値とする演算処理部とを有する
ことを特徴とする画質検査装置。 - 被検査印刷媒体上の検査対象点に可変の照射角で光を照射する点光源と上記検査対象点からの反射光を検知する検知器とを有する変角分光測色計を制御する手順をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
長さをもつ仮想光源を想定し、この仮想光源の各点と上記検査対象点との間の角度条件に対応する照射角に上記点光源を移動させる動作制御手順と、
上記点光源の移動に対応して上記検知器による検知出力を取り込み、その取り込んだ検知出力を積分して上記被検査印刷媒体の画質の計測値とする演算処理手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。
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JP2020003340A (ja) * | 2018-06-28 | 2020-01-09 | セイコーエプソン株式会社 | 測定装置、電子機器、及び測定方法 |
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-
2008
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