以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態では、作業機械の一例として、フロント装置(作業機)を備える油圧ショベルを例示して説明するが、作業機を備える他の作業機械にも本発明を適用することが可能である。
図1は、本発明の一実施の形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観を模式的に示す側面図である。また、図2は、作業機械に搭載される車体制御システムの一例を関連構成とともに抜き出して示す概略図である。
図1において、油圧ショベル1は、垂直方向にそれぞれ回動する複数のフロント部材(ブーム6A、アーム6B、バケット6C)を連結して構成された多関節型のフロント作業機6(作業機)と、車体本体を構成する上部旋回体3及び下部走行体2(走行装置)とを備えており、上部旋回体3は下部走行体2に対して旋回可能に設けられている。上部旋回体3は、基部となる旋回フレーム31上に各部材を配置して構成されており、上部旋回体3を構成する旋回フレーム31が下部走行体2に対して旋回可能となっている。また、フロント作業機6のブーム6Aの基端は上部旋回体3の前部に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム6Bの一端はブーム6Aの基端とは異なる端部(先端)に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム6Bの他端にはバケット6Cが垂直方向に回動可能に支持されている。
下部走行体2は、左右一対のクローラフレーム11a(11b)にそれぞれ掛け回された一対のクローラ12a(12b)と、クローラ12a(12b)をそれぞれ駆動する走行油圧モータ13a(13b)(図示しない減速機構を含む)とから構成されている。なお、図1において、下部走行体2の各構成については、左右一対の構成のうちの一方のみを図示して符号を付し、他方の構成については図中に括弧書きの符号のみを示して図示を省略する。
フロント部材6A~6C、及び下部走行体2は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ16A、アームシリンダ16B、バケットシリンダ16C、及び左右の走行油圧モータ13a(13b)によりそれぞれ駆動される。また、上部旋回体3は油圧アクチュエータである旋回油圧モータ32により下部走行体2に対して旋回動作を行う。
フロント作業機6のフロント部材6A~6C、及び、上部旋回体3には、それぞれの車体姿勢情報を取得するための姿勢センサ75A~75Dが配置されている。姿勢センサ75A~75Cは、例えば、設置されたフロント部材の角速度及び加速度を計測する慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)である。姿勢センサ75A~75Cは、姿勢センサ75A~75Cに設定されたIMU座標系における加速度や角速度の計測値を姿勢情報として出力する。これらの計測値と、姿勢センサ75A~75Cの取り付け状態(つまり、姿勢センサ75A~75Cとフロント部材6A~6Cとの相対的な位置関係)などの情報とを用いることでフロント部材6A~6Cの姿勢を知ることができる。
上部旋回体3を構成する旋回フレーム31上には、原動機であるエンジン114と、エンジン114によって駆動される油圧ポンプ34と、油圧ポンプ34から吐出されてブームシリンダ16A、アームシリンダ16B、バケットシリンダ16C、旋回油圧モータ32及び左右の走行油圧モータ13a,13bなどの油圧アクチュエータに供給される作動油の方向及び流量を制御するコントロールバルブ35とが配置されており、油圧回路システムが構成されている。各油圧アクチュエータ16A~16C,32,13a,13bの動作制御は、それぞれの操作に対応した操作装置5の操作に基づいて生成される制御指令で電磁弁113(後述)を駆動して駆動信号を生成し、この駆動信号でコントロールバルブ35を駆動制御することにより行われる。
また、上部旋回体3を構成する旋回フレーム31上の前部であって、フロント作業機6のブーム6Aの基端の支持部の横側(本実施の形態では左側)には、オペレータが搭乗して油圧ショベル1の運転を行うための運転室4が配置されている。運転室4には、操作装置5などが配置されている。上部旋回体3の運転室4の後方付近には、作業現場における油圧ショベル1の地球座標系における位置を算出するためのGNSS26(図1では受信アンテナのみを図示)が配置されている。
操作装置5は、フロント作業機6の駆動操作や下部走行体2の走行操作、上部旋回体3の旋回操作などを行うものであり、各油圧アクチュエータ16A~16C,32,13a,13bの操作に対応した複数の操作レバー(図示せず)により構成されている。
図2において、車体制御システム100は、作業機械である油圧ショベル1に係る制御を行う複数の外部制御ユニット120a,120bを有する外部制御システム20と、油圧ショベル1に係る制御を行う複数の車載制御ユニット110a~110fを有する車載制御システム10とを備えている。
車載制御システム10において、複数の車載制御ユニット110a~110fは、それぞれ、少なくとも他の1つの車載制御ユニット110a~110fと第一の通信ネットワーク50を構成する通信路50a~50dにより接続されている。また、車載制御システム10を構成する車載制御ユニット110a~110fは、それぞれ、油圧ショベル1に係る制御を行うものであり、それぞれ、制御対象となる装置等(図示しないものも含む)が接続されている。車載制御ユニット110a~110fは、第一の通信ネットワーク50を介して互いに各種情報や指令等を互いに授受することができる。
車載制御ユニット110bには、例えば、制御対象である車載モニタ111が接続されている。車載モニタ111は、各種情報や設定画面等を表示する表示装置としての機能を有するほか、画面に触れることで設定の入力を行うタッチパネルやキーボード/スイッチなどの入力機器(図示せず)で入力を行う入力装置としての機能も有している。
車載制御ユニット110cには、制御対象である圧力センサ112や電磁弁113などが接続されている。圧力センサ112は、例えば、油圧アクチュエータに供給される圧油の圧力や、油圧ポンプ34の吐出圧などを検出するセンサである。
車載制御ユニット110fには、制御対象であるエンジン114が接続されている。車載制御ユニット110fは、エンジン114の動作制御などを行うほか、エンジン114に設けられている各種センサ類からの検出結果を取得する。
車載制御ユニット110dには、制御対象である通信装置115が接続されている。通信装置115は、データセンタ40や遠隔モニタ41と第三の通信ネットワーク70を構成する通信路70a~70eにより接続されている。すなわち、車載制御ユニット110dは、通信装置115を介して第三の通信ネットワーク70に接続されており、車載制御ユニット110d、データセンタ40、及び、遠隔モニタ41は、互いに第三の通信ネットワーク70による接続されている。なお、通信路70dは、例えば、インターネット通信網である。
データセンタ40は、油圧ショベル1の稼動情報の収集を行うほか、油圧ショベル1が稼動する現場における自動施工処理(後述)に用いるための制御パラメータが登録されている。また、遠隔モニタ41は、油圧ショベル1から離れた位置において、油圧ショベル1や作業現場、作業状況等を監視するためのものである。
外部制御システム20において、複数の外部制御ユニット120a,120bは、それぞれ、他の外部制御ユニット120a,120bと第二の通信ネットワーク60を構成する通信路60aにより接続されている。また、外部制御システム20を構成する外部制御ユニット120a,120bは、それぞれ、油圧ショベル1に係る制御を行うものであり、それぞれ、制御対象となる装置等が接続されている。外部制御ユニット120a,120bは、第二の通信ネットワーク60を介して互いに各種情報や指令等を互いに授受することができる。
外部制御ユニット120aには、制御対象である内界センサ121が接続されている。内界センサ121は、例えば、作業機械である油圧ショベル1の各部の姿勢に関する情報(車体姿勢情報)を取得するための姿勢センサ75A~75Cである。外部制御ユニット120aは、車載制御システム10の車載制御ユニット110aと第二の通信ネットワーク60を構成する通信路60bにより接続されている。
外部制御ユニット120bには、制御対象である外界センサ122が接続されている。外界センサ122は、作業機械である油圧ショベル1の施工環境の状態を取得するための各種センサ(レーザセンサなど)やカメラ(図示せず)、油圧ショベルの位置を取得するためのGNSS26などである。外部制御ユニット120bは、車載制御システム10の車載制御ユニット110cと第二の通信ネットワーク60を構成する通信路60cにより接続されている。
また、第三の通信ネットワーク70を構成する通信路60dにより、車載制御システム10の車載制御ユニット110aと外部ツール30が接続されている。外部ツール30は、油圧ショベル1の稼動情報の収集や、サービス・メンテナンス用の調整を実行するものであり、必要に応じて接続されるものである。
図3は、車載制御ユニット及び外部制御ユニットの基本構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、車載制御ユニット110a~110f及び外部制御ユニット120a,120bは、制御処理を実行する演算部200と、第一の通信ネットワーク50又は第二の通信ネットワーク60と接続される通信ポート201と、各種制御対象のデバイスと接続されるデバイスインタフェース202とを備えている。
演算部200は、通信ポート201による通信を制御する通信制御部210と、デバイスインタフェース202による通信を制御するデバイス制御部211と、通信制御部210及びデバイス制御部211を含む車載制御ユニット110a~110fの全体の動作をそれぞれ制御するアプリケーション処理部212とを有している。
通信制御部210は、通信ポート201と接続されており、アプリケーション処理部212の制御に従って、通信ポート201に接続された第一~第三の通信ネットワーク50,60,70を介して各種データの送受信を行う。
デバイス制御部211は、デバイスインタフェース202と接続されており、デバイスインタフェース202に接続された各種制御対象のデバイスとの間での各種データや指令の入出力制御を行う。
アプリケーション処理部212は、車載制御ユニット110a~110f及び外部制御ユニット120a,120b毎に異なる構成とすることができ、車載制御ユニット110a~110f及び外部制御ユニット120a,120bごとに異なる機能を持たせることができる。
本実施の形態においては、車体制御システム100として、操作装置5の操作に基づいて制御指令を生成することでフロント作業機6(作業機)の動作を制御する施工制御を行う少なくとも1つの車載制御ユニット(本実施の形態では、例えば、車載制御ユニット110c)と、車体姿勢情報と、第一~第三の通信ネットワーク50,60,70を介して作業機械である油圧ショベル1の外部のデータセンタ40から得られる制御パラメータとに基づいて制御指令を調整することにより、操作装置5の操作によるフロント作業機6の動作に介入してフロント作業機6の動作を自動または半自動で制御する自動施工処理を行う少なくとも1つの車載制御ユニット又は外部制御ユニット(本実施の形態では、例えば、外部制御ユニット120a)と、第一~第三の通信ネットワーク50,60,70の通信に係る応答時間および通信帯域からなる通信性能情報を取得して予め定めた通信性能情報の基準範囲と比較するとともに、車体姿勢情報およびフロント作業機6による施工対象である施工面に関する情報である施工面状態情報からなる施工状態情報を取得して予め定めた施工状態の基準範囲と比較し、通信性能情報の比較結果と施工状態情報の比較結果とに応じて自動施工処理におけるフロント作業機6の動作への介入度合いを決定する介入度決定処理を行う少なくとも1つの車載制御ユニット又は外部制御ユニット(本実施の形態では、例えば、外部制御ユニット120a)とを有するように構成している。自動施工処理を行う外部制御ユニット120aは、介入度決定処理で決定された介入度合いに応じてフロント作業機6の動作を自動または半自動で制御する。
図4は、施工制御を行う車載制御ユニットの構成を模式的に示す図である。
図4において、車載制御ユニット110cは、アプリケーション処理部212に、操作装置5の操作により出力される操作信号に基づいて制御指令を生成することで油圧ショベル1におけるフロント作業機6(作業機)の動作を制御する施工制御を行う施工制御部230を有している。施工制御部230は、後述する自動施工処理部223から制御指令の調整値に基づいて制御指令を調整して出力する。
図5は、自動施工処理及び介入度決定処理を行う外部制御ユニットの構成を模式的に示す図である。
図5において、外部制御ユニット120aは、アプリケーション処理部212に、通信性能情報取得部220、施工状態情報取得部221、機能実行判定部222、及び、自動施工処理部223を有している。
通信性能情報取得部220は、通信制御部210と接続されており、第一~第三の通信ネットワークの通信に係る応答時間および通信帯域からなる通信性能情報を取得する。
施工状態情報取得部221は、通信制御部210及びデバイス制御部211と接続されており、内界センサ121(姿勢センサ75A~75C)の検出結果である車体姿勢情報(例えば、車体ロール角やピッチ角、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、など)を第一~第三の通信ネットワーク50,60,70を介して高速なサンプリングで取得するとともに、施工面状態情報(例えば、施工面角度や、車体と施工面の距離、など)からなる施工状態情報を第一~第三の通信ネットワーク50,60,70を介して取得する。
機能実行判定部222は、通信制御部210および施工状態情報取得部221と接続されており、通信性能情報取得部220で取得した通信性能情報と予め定めた通信性能情報の基準範囲とを比較するとともに、施工状態情報取得部221で取得した施工状態情報と予め定めた施工状態の基準範囲とを比較し、通信性能情報の比較結果と施工状態情報の比較結果とに応じて自動施工処理におけるフロント作業機6の動作への介入度合いを決定する介入度決定処理を行う。
自動施工処理部223は、通信制御部210、機能実行判定部222、及び、施工状態情報取得部221と接続されており、自動施工処理における演算処理に必要となる制御パラメータをデータセンタ40から取得し、制御パラメータと車体姿勢情報とに基づき、機能実行判定部222の介入度決定処理で決定された介入度合いに応じてフロント作業機6(バケットやブームなど)の制御指令の調整値を逐次算出し、通信制御部210を介して車載制御ユニット110cの施工制御部230に転送することでフロント作業機6の動作を自動または半自動で制御する自動施工処理を実施する。
図6は、本実施の形態に係る介入度決定処理を示すフローチャートである。
図6において、まず、車体制御システム100の外部制御ユニット120aにおける通信性能情報取得部220は、自動施工処理に用いる制御パラメータの取得、車体姿勢情報の取得、及び、制御指令の転送に係る通信性能情報を取得する(ステップS100)。
ここで、ステップS300における通信性能情報の概念について説明する。
図7は、通信性能情報を構成する応答時間および通信帯域の概念を説明する図である。
図7においては、自動施工処理の制御パラメータの取得に係る外部制御ユニット120aとデータセンタ40との間の通信における通信性能情報を例示して説明する。
通信性能情報の取得では、まず、外部制御ユニット120aの通信性能情報取得部220は、外部制御ユニット120aから車載制御ユニット110aに計測用のデータ転送を行わせる(計測データ転送:通信C400)。次に、車載制御ユニット110aは、通信C400で受信したデータを車載制御ユニット110dに転送する(通信C401)。次に、車載制御ユニット110dは、通信C401で受信したデータをデータセンタ40に転送する(通信C402)。データセンタ40は、通信C402でデータを受信すると、それに対応した応答データを生成して車載制御ユニット110dに転送する(応答データ転送:通信C403)。次に、車載制御ユニット110dは、通信C403で受信した応答データを車載制御ユニット110aに転送する(通信C404)。次に、車載制御ユニット110aは、通信C404で受信した応答データを外部制御ユニット120aに転送する(通信C405)。
また、外部制御ユニット120aの通信性能情報取得部220は、通信C400~C405の実行中に、外部制御ユニット120aの通信C400の送信から通信C405の受信までの時間である応答時間(Ta)410aを計測し、車載制御ユニット110aの通信C401の送信から通信C404の受信までの時間である応答時間(Tb)410bを計測し、車載制御ユニット110dの通信C402の送信から通信C403の受信までの時間である応答時間(Tc)410cを計測する。なお、通信性能情報取得部220は、車載制御ユニット110a,110dで各々計測された応答時間411a,412cを外部制御ユニット120aにデータ転送させることで取得する。
次に、外部制御ユニット120aの通信性能情報取得部220は、応答時間410a~410cを集約し、応答時間410a~410cに基づいて、一連の通信C400~C405の全体の応答時間(T)と、第一の通信ネットワーク50、第二の通信ネットワーク60、及び、第三の通信ネットワーク70の各応答時間(T1~T3)の内訳を算出する。
このとき、全体の応答時間(T)は、T=Taである。また、第一の通信ネットワーク50に係る応答時間(T1)はT1=Tb-Tcで算出され、第二の通信ネットワーク60に係る応答時間(T2)はT2=Ta-Tbで算出される、また、第三の通信ネットワーク70の応答時間(T3)は、応答時間T3=Tcである。
さらに、外部制御ユニット120aの通信性能情報取得部220は、通信C400で転送されたデータにおける通信制御用のヘッダ、フッタなどを除いた実送信データ量(U1)と、通信C405で転送された応答データにおける通信制御用のヘッダ、フッタなどを除いた実受信データ量(U2)を記憶し、通信C400の実送信データ量と、通信C405の実受信データ量とに基づいて、一連の通信C400~C405の全体の通信帯域と、第一の通信ネットワーク50、第二の通信ネットワーク60、及び、第三の通信ネットワーク70の各通信帯域の内訳を算出する。
このとき、全体の通信帯域(R)は、R=T/(U1+U2)で算出される。また、第一の通信ネットワーク50の通信帯域(R1)は、R1=T1/(U1+U2)で算出され、第二の通信ネットワーク60の通信帯域(R2)は、R2=T2/(U1+U2)で算出され、第三の通信ネットワーク70の通信帯域(R3)は、R3=T3/(U1+U2)で算出される。そして、通信性能情報取得部220は、算出された通信帯域と予め定めた所望の通信帯域との差分である帯域制限量を通信性能情報の通信帯域に係る情報として算出する。
なお、ここでは、自動施工処理の制御パラメータの取得に係る外部制御ユニット120aとデータセンタ40との間の通信における通信性能情報を取得する場合を例示して説明したが、他の通信における通信性能情報の取得、すなわち、例えば、車体姿勢情報の取得に係る外部制御ユニット120aと外部制御ユニット120bとの間の通信における通信性能情報の取得や、制御指令の転送に係る外部制御ユニット120aと車載制御ユニット110cとの間の通信の通信性能情報の取得に関しても同様の方法で取得することができる。
図7に戻る。
続いて、機能実行判定部222は、通信性能情報の基準範囲をデータセンタ40などから取得し(ステップS110)、車体姿勢情報の取得および制御指令の転送に係る通信における通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを判定する(ステップS120)。
ここで、ステップS110で取得してステップS120で用いる通信性能情報の基準範囲の設定内容について説明する。
図8は、本実施形態に係る通信性能情報の基準範囲の設定内容を示す図である。
図8において、横軸は通信性能情報の応答時間を、縦軸は通信帯域にかかる情報である帯域制限量をそれぞれ示している。
図8に示すように、応答時間[s]に対しては、基準範囲を規定する応答基準値500a,500bが設定され、帯域制限量[bps]に対しては、基準範囲を規定する帯域基準値501a,501bが設定される。
応答基準値としては、例えば、応答時間に対して応答基準値500a,500bの2つが設定されている。なお、ここでは、応答基準値500bよりも応答基準値500bが大きくなるように設定した場合を例示している。応答基準値500a,500bは、応答時間との比較結果によって、すなわち、応答時間の値に応じて自動制御処理における自動化のレベル(介入度合いの違い)を段階的に設定するものであり、例えば、応答時間が応答基準値500aよりも小さい場合の方が応答基準値500bよりも大きい場合よりも自動制御処理の介入度が高くなるように設定されている。
同様に、帯域基準値としては、例えば、帯域制限量に対して帯域基準値501a,501bの2つが設定されている。なお、ここでは、帯域基準値501bよりも帯域基準値501bが大きくなるように設定した場合を例示している。帯域基準値501a,501bは、帯域制限量との比較結果によって、すなわち、帯域制限量の値に応じて自動制御処理における自動化のレベル(介入度の違い)を段階的に設定するものであり、例えば、帯域制限量が帯域基準値501aよりも小さい場合の方が帯域基準値501bよりも大きい場合よりも自動制御処理の介入度が高くなるように設定されている。
以上のように、通信性能情報の応答時間と帯域制限量とで規定された座標系には、応答時間が応答基準値500aよりも小さく、かつ、帯域制限量が帯域基準値501aよりも小さい範囲である第一の性能基準範囲510と、応答時間が応答基準値500a以上であって応答基準値500bよりも小さく、かつ、帯域制限量が帯域基準値501aよりも小さい範囲である第二の性能基準範囲511と、応答時間が応答基準値500aよりも小さく、かつ、帯域制限量が帯域基準値501a以上であって帯域基準値501bよりも小さい範囲である第三の性能基準範囲512と、応答時間が応答基準値500b以上、又は、帯域制限量が帯域基準値501b以上、又は、応答時間が応答基準値500a以上であって帯域制限量が帯域基準値501a以上である範囲である第四の性能基準範囲513を設定する。
図6に戻る。
ステップS120においては、車体姿勢情報の取得および制御指令の転送に係る通信性能情報(全体の応答時間T及び通信帯域R)が第一の性能基準範囲510又は第三の性能基準範囲512の何れかの範囲内であるかどうかを判定し(ステップS120)、判定結果がYESの場合には、制御パラメータの取得に係る通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを判定する(ステップS130)。また、ステップS120での判定結果がNOの場合には、車体姿勢情報の取得および制御指令の転送に係る通信経路におけるデータ転送方法を調整して(ステップS121)、車体姿勢情報の取得および制御指令の転送に係る通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを再度判定し(ステップS122)、ステップS120での判定結果がYESの場合には、ステップS130に進み、判定結果がNOの場合には、制御パラメータの取得に係る通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを判定する(ステップS123)。
ここで、通信経路におけるデータ転送方法の調整手順について説明する。
図9は、本実施形態に係る通信経路におけるデータ転送方法の調整手順を示すフローチャートである。
図9において、まず、車体制御システム100の外部制御ユニット120aにおける機能実行判定部222は、車体姿勢情報の取得および制御指令の転送に係る通信経路の変更が可能であるかどうかを判定し(ステップS200)、判定結果がYESである場合には、経路を変更し(ステップS201)、通信性能情報を取得して(ステップS232)、処理を終了する。
ここで、ステップS200における通信経路の変更の可否の判定は、データの転送元から転送先への通信経路上で、第一の通信ネットワーク50、第二の通信ネットワーク60、及び、第三の通信ネットワーク70の少なくとも1つが複数の通信路を備えており、かつ、データの転送元から転送先への通信経路上の車載制御ユニットおよび外部制御ユニットが通信経路を切り替える機能を具備している場合に可能とする。なお、ステップS232の通信性能情報の取得については、図6のステップS100と同様である。
また、ステップS200での判定結果がNOの場合には、通信性能情報の内訳のうち、第一の通信ネットワーク50の通信性能情報(応答時間T1又は通信帯域R1)が、第二の通信ネットワーク60の通信性能情報(応答時間T2又は通信帯域R2)および第三の通信ネットワーク70の通信性能情報(応答時間T3又は通信帯域R3)よりも小さいかどうか、すなわち、第一の通信ネットワーク50がボトルネックであるかどうかを判定し(ステップS210)、判定結果がYESの場合には、通信の優先度を変更し(ステップS211)、通信性能情報を取得して(ステップS232)、処理を終了する。
ここで、ステップS210における通信の優先度の変更は、例えば、車載制御システム10の複数の車載制御ユニット110a~110fの何れかの処理で、第一の通信ネットワーク50に転送される自動施工処理以外の機能に係るデータ転送を制限した上で、自動施工処理に必要なデータ転送を実行することでなされる。なお、自動施工処理以外の機能としては、例えば、作業機械である油圧ショベル1の稼動情報の収集や、サービス・メンテナンス用の調整情報の転送などが挙げられる。また、自動施工処理以外の機能のデータ転送の制限は、自動施工処理以外の機能を縮退させる、或いは、自動施工処理以外の機能を停止させることで行うことができる。さらに、自動施工処理以外の機能のデータ転送の制限は、第一の通信ネットワーク50の通信プロトコルに具備される機能を用いて実施してもよい。
また、ステップS210での判定結果がNOの場合には、通信性能情報の内訳のうち、第二の通信ネットワーク60の通信性能情報(応答時間T2又は通信帯域R2)が、第一の通信ネットワーク50の通信性能情報(応答時間T1又は通信帯域R1)および第三の通信ネットワーク70の通信性能情報(応答時間T3又は通信帯域R3)よりも小さいかどうか、すなわち、第二の通信ネットワーク60がボトルネックであるかどうかを判定し(ステップS220)、判定結果がNOの場合には、通信状態の回復(通信性能情報の改善)を定期的に確認し(ステップS231)、処理を終了する。なお、ステップS231の状態回復の定期的な確認は、例示した第三の通信ネットワーク70が無線を用いた広域の通信インフラの形態で実施されるため、環境要因や他のデータ転送の占有率上昇など、ネットワーク70の通信性能情報の低減の要因を能動的に制御することが困難であるため、通信状態が回復した(通信性能情報が改善した)ことを受動的に確認するために実行される。
また、ステップS220での判定結果がYESの場合には、通信の優先度の変更が可能であるかどうかを判定し(ステップS221)、判定結果がNOの場合には、ステップS231に進む。また、ステップS221での判定結果がYESの場合には、通信の優先度を変更し(ステップS222)、通信性能情報を取得して(ステップS232)、処理を終了する。
ここで、ステップS221の判定は、転送元から転送先への通信経路上で、第一の通信ネットワーク50と、第二の通信ネットワーク60と、外部制御システム20の複数の外部制御ユニット120a,120bの何れかで、第二の通信ネットワーク60に転送される自動施工処理以外の機能のデータ転送を制限する機能が具備されている場合に可能とする。すなわち、ステップS221の判定は、一般市場や他分野の汎用装置の利用時には不可(判定結果がNO)となることがある。また、ステップS222の通信の優先度の変更は、外部制御システム20の複数の外部制御ユニット120a,120bの何れかにおいて、第二の通信ネットワーク60に転送される自動施工処理以外の機能のデータ転送を制限した上で、自動施工処理に必要なデータ転送を実行することでなされる。なお、自動施工処理以外の機能としては、例えば、作業機械である油圧ショベル1の稼動情報の収集や、サービス・メンテナンス用の調整情報の転送が挙げられる。また、自動施工処理以外の機能のデータ転送の制限は、自動施工処理以外の機能を縮退させる、或いは、自動施工処理以外の機能を停止させることで行うことができる。さらに、自動施工処理以外の機能のデータ転送の制限は、第二の通信ネットワーク60の通信プロトコルに具備される機能を用いて実施してもよい。
図6に戻る。
ステップS130においては、制御パラメータの取得に係る通信性能情報(全体の応答時間T及びと通信帯域R)が第一の性能基準範囲510又は第二の性能基準範囲511の何れかの範囲内であるかどうかを判定し(ステップS130)、判定結果がYESの場合には、施工状態情報を通信ネットワークを介して取得し(ステップS140)、施工状態情報の基準範囲を取得して(ステップS150)、施工状態情報が基準範囲内であるかどうかを判定する(ステップS160)。
ここで、ステップS150で取得してステップS160で用いる施工状態情報の基準範囲の設定内容について説明する。
図10は、本実施の形態に係る施工状態情報の基準範囲の設定内容を示す図である。図10において、横軸は車体姿勢情報を、縦軸は施工面状態情報をそれぞれ示している。
図10に示すように、車体姿勢情報に対しては、基準範囲を規定する姿勢基準値700が設定され、施工面状態情報に対しては、基準範囲を規定する施工面基準値701が設定される。
姿勢基準値としては、例えば、車体姿勢情報に対して姿勢基準値700が設定されている。姿勢基準値700は、車体姿勢情報との比較結果によって、すなわち、車体姿勢情報の値に応じて自動制御処理における自動化のレベル(介入度の違い)を段階的に設定するものであり、例えば、車体姿勢情報が姿勢基準値700よりも小さい場合に自動制御処理の介入度が高くなるように設定されている。
同様に、施工面基準値としては、例えば、施工面状態情報に対して施工面基準値701が設定されている。施工面基準値701は、施工面状態情報との比較結果によって、すなわち、施工面状態情報の値に応じて自動制御処理における自動化のレベル(介入度の違い)を段階的に設定するものであり、例えば、施工面状態情報が施工面基準値701よりも小さい場合に自動制御処理の介入度が高くなるように設定されている。
以上のように、施工状態情報の車体姿勢情報と施工面状態情報とで規定された座標系には、車体姿勢情報が姿勢基準値700よりも小さく、かつ、施工面状態情報が施工面基準値701よりも小さい範囲である第一の安全基準範囲710と、車体姿勢情報が姿勢基準値700以上又は施工面状態情報が施工面基準値以上の範囲である第二の安全基準範囲711とを設定する。
図6に戻る。
ステップS160においては、車体姿勢情報および施工面状態情報が第一の安全基準範囲710の範囲内であるかどうかを判定し(ステップS160)、判定結果がYESの場合には、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「高」に設定し(ステップS161)、処理を終了する。ステップS161における自動施工処理のレベル「高」の設定では、施工制御および施工設定が自動に設定される。すなわち、自動施工処理を繰り返し、車体姿勢情報の取得と制御指令の出力を周期的に行うことで施工制御を自動で実行し、データセンタ40からの情報取得を用いて制御パラメータの設定を自動で実行する自動化のレベルの高い自動施工処理の実行を決定する。
また、ステップS160での判定結果がNOの場合には、自動施工レベル(介入度合い)を「中」に設定し(ステップS126)、処理を終了する。ステップS126における自動施工処理のレベル「中」の設定では、施工制御が手動(補正有り)に設定され、施工設定が自動に設定される。すなわち、施工範囲に制限を設定して施工範囲を超えないように施工制御に補正を実施しながら手動で実行し、データセンタ40からの情報取得を用いて制御パラメータの設定を自動で実行する、自動化のレベルを中程度とする自動施工処理の実行を決定する。
また、ステップS130においては、制御パラメータの取得に係る通信性能情報(全体の応答時間T及びと通信帯域R)が第一の性能基準範囲510又は第二の性能基準範囲511の何れかの範囲内であるかどうかを判定し(ステップS130)、判定結果がNOの場合には、制御パラメータの転送に係る通信経路におけるデータ転送方法を調整して(ステップS131)、制御パラメータの転送に係る通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを再度判定し(ステップS132)、ステップS132での判定結果がYESの場合には、ステップS140に進む。また、ステップS130での判定結果がNOの場合には、施工状態情報を通信ネットワークを介して取得し(ステップS133)、施工状態情報の基準範囲を取得して(ステップS134)、施工状態情報が基準範囲内であるかどうかを判定する(ステップS135)。
すなわち、ステップS135においては、車体姿勢情報および施工面状態情報が第一の安全基準範囲710の範囲内であるかどうかを判定し(ステップS135)、判定結果がYESの場合には、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「中」に設定し(ステップS136)、処理を終了する。ステップS136における自動施工処理のレベル「中」の設定では、施工制御が自動に設定され、施工設定が手動に設定される。すなわち、自動施工処理を繰り返し、車体姿勢情報の取得と制御指令の出力を周期的に行うことで施工制御を自動で実行し、車載モニタ111などを用いて制御パラメータの設定を手動で実行する、自動化のレベルを中程度とする自動施工処理の実行を決定する。
また、ステップS135での判定結果がNOの場合には、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「低」に設定し(ステップS127)、処理を終了する。ステップS127における自動施工処理のレベル「中」の設定では、施工制御が手動(補正有り)に設定され、施工設定が手動に設定される。すなわち、施工範囲に制限を設定して施工範囲を超えないように施工制御に補正を実施しながら手動で実行し、車載モニタ111などを用いて制御パラメータの設定を手動で実行する、自動化のレベルの低い自動施工処理の実行を決定する。
また、ステップS123においては、ステップS130と同様に、制御パラメータの取得に係る通信性能情報(全体の応答時間T及びと通信帯域R)が第一の性能基準範囲510又は第二の性能基準範囲511の何れかの範囲内であるかどうかを判定し(ステップS123)、判定結果がYESの場合には、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「中」に設定し(ステップS126)、処理を終了する。
また、ステップS123での判定結果がNOの場合には、ステップS131と同様に、制御パラメータの転送に係る通信経路におけるデータ転送方法を調整して(ステップS124)、制御パラメータの転送に係る通信性能情報が基準範囲内であるかどうかを再度判定し(ステップS125)、ステップS125での判定結果がYESの場合には、ステップS126に進み、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「中」に設定し、処理を終了する。また、ステップS125での判定結果がNOの場合には、ステップS127に進み、自動施工処理のレベル(介入度合い)を「低」に設定し、処理を終了する。
図11は、本実施の形態に係る制御パラメータの設定画面の一例を示す図である。図11では、図6におけるステップS127で示した自動化のレベルの低い自動施工処理に設定した場合の設定画面を例示している。
図11において、設定画面800は、車載も似た111や外部ツール30、遠隔モニタ41などに出力されるものであり、自動施工動作レベル提示部810と、自動施工パラメータ設定部811とを備えている。
自動施工動作レベル提示部810は、図6のステップS126,S127,S136,S161で設定される実行中の自動施工処理の内容や自動化のレベルを提示するものである。
自動施工パラメータ設定部811は、図6のステップS127,S136で設定される自動施工処理の施工設定が手動である場合の施工範囲を入力部811a~811cなどに入力することで指定するものであり、各種パラメータの設定部を、例えば、入力部811a~811cのように表示する。
以上のように構成した本実施の形態においては、外部機器および情報インフラと接続時に通信ネットワークの通信性能を考慮した機能実行が可能となり、作業機械に搭載された制御装置の機能拡張性を向上できる。また、外部機器および情報インフラと接続時に通信ネットワークの通信性能の低下や、外部機器から得られる環境情報の悪化に対し、自動施工を継続実行でき、作業機械の作業効率を向上できる。
次に上記の各実施の形態の特徴について説明する。
(1)上記の実施の形態では、車体本体(例えば、下部走行体2及び上部旋回体3)と、前記車体本体に搭載された作業機(例えば、フロント作業機6)と、前記作業機を操作するための操作装置5と、前記操作装置の操作に基づいて生成される制御指令によって前記作業機を駆動するアクチュエータ(例えば、ブームシリンダ16A、アームシリンダ16B、バケットシリンダ16C、)とを備えた作業機械(例えば、油圧ショベル1)において、複数の経路を有する通信ネットワーク50~70に接続され、前記作業機械に係る制御を行う複数の車載制御ユニット110a~110dと、前記複数の経路を有する通信ネットワークに接続され、前記作業機械に係る制御を行う複数の外部制御ユニット120a,120bとを有する車体制御システム100を備え、前記車体制御システムは、前記操作装置の操作に基づいて前記制御指令を生成することで前記作業機の動作を制御する施工制御を行う少なくとも1つの車載制御ユニット110cと、前記車体本体及び前記作業機の姿勢に関する情報である車体姿勢情報と前記通信ネットワークを介して前記作業機械の外部のデータセンタ40から得られる制御パラメータとに基づいて前記制御指令を調整することにより、前記操作装置の操作による前記作業機の動作に介入して前記作業機の動作を自動または半自動で制御する自動施工処理を行う少なくとも1つの前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)と、前記通信ネットワークの通信に係る応答時間および通信帯域からなる通信性能情報を取得して予め定めた通信性能情報の基準範囲と比較するとともに、前記車体姿勢情報および前記作業機による施工対象である施工面に関する情報である施工面状態情報からなる施工状態情報を取得して予め定めた施工状態の基準範囲と比較し、前記通信性能情報の比較結果と前記施工状態情報の比較結果とに応じて前記自動施工処理における前記作業機の動作への介入度合いを決定する介入度決定処理を行う少なくとも1つの前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)とを有し、前記自動施工処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニットは、前記介入度決定処理で決定された介入度合いに応じて前記作業機の動作を自動または半自動で制御するものとした。
これにより、通信ネットワークの通信性能に応じて適切に自動施工の継続実行を行うことができ、作業機械の作業効率を向上することができる。
(2)また、上記の実施の形態では、(1)の作業機械において、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記通信ネットワーク50~70において、前記制御パラメータの取得時にデータ転送が実行される経路と、前記車体姿勢情報のデータ転送が実行される経路と、前記作業機の動作を指示する前記制御指令のデータ転送が実行される経路とのそれぞれについて前記通信性能情報を取得し、各通信性能情報を前記通信性能情報の基準範囲と比較することにより前記介入度決定処理を行うものとした。
(3)また、上記の実施の形態では、(2)の作業機械において、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記通信ネットワークにおいて、前記制御パラメータの取得時にデータ転送が実行される経路と、前記車体姿勢情報のデータ転送が実行される経路と、前記作業機の動作を指示する制御指令のデータ転送が実行される経路とについて、それぞれの経路の一方から他方に対して性能計測のための既知のデータ量を転送する計測データ転送を行うとともに、各経路の他方から一方に性能計測のための既知のデータ量を転送する応答データ転送を行い、前記計測データ転送と前記応答データ転送とに要した時間から前記応答時間を算出し、前記計測データ転送と前記応答データ転送のデータ量の総和と前記応答時間とから前記通信帯域を算出するものとした。
(4)また、上記の実施の形態では、(1)の作業機械において、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記自動施工処理における前記作業機の動作への介入度合いとして、前記通信ネットワークを介して前記作業機械の外部のデータセンタから得られる前記制御パラメータを自動で設定し、前記車体姿勢情報の取得と前記制御指令の調整を周期的に実施して前記作業機の動作に介入し、前記作業機の動作を自動で制御する場合と、前記通信ネットワークを介して前記作業機械の操作者が前記制御パラメータを入力して手動で設定し、前記車体姿勢情報の取得と前記制御指令の調整を前記制御パラメータに基づいて周期的に実施して、前記操作装置の操作による前記作業機の動作に介入し、前記作業機の動作を自動で制御する場合と、前記通信ネットワークを介して前記作業機械の外部のデータセンタから得られる前記制御パラメータを自動で設定し、前記車体姿勢情報の取得と前記制御指令の調整を前記制御パラメータに基づいて周期的に実施して、前記操作装置の操作による前記作業機の動作に介入し、前記作業機の動作を半自動で制御する場合と、前記通信ネットワークを介して前記操作者が前記制御パラメータを入力して手動で設定し、前記車体姿勢情報の取得と前記制御指令の調整を前記制御パラメータに基づいて周期的に実施して、前記操作装置の操作による前記作業機の動作に介入し、前記作業機の動作を半自動で制御する場合との何れかを決定するものとした。
(5)また、上記の実施の形態では、(2)の作業機械において、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記通信性能情報が予め定めた前記通信性能情報の基準範囲の外である場合に、前記通信ネットワークにおけるデータ転送の経路の変更、及び、前記自動施工処理に用いる情報のデータ転送の優先度の変更の何れか一方を行うことにより、前記通信性能情報を調整するものとした。
(6)また、上記の実施の形態では、(5)の作業機械において、前記自動施工処理に用いる情報のデータ転送の優先度の変更は、前記自動施工処理に用いる情報以外のデータ転送の縮退あるいは停止により行うものとした。
(7)また、上記の実施の形態では、(2)の作業機械において、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記通信ネットワークの応答時間を実測して取得する通信性能情報取得部220と、前記車体姿勢情報や前記制御パラメータを取得する施工状態情報取得部221と、前記自動施工処理における前記作業機の動作への介入度合いを決定する機能実行判定部222と、前記機能実行判定部で決定された前記作業機の動作への介入度合いに応じて前記制御指令の調整を実行する自動施工処理部223とを備えたものとした。
(8)また、上記の実施の形態では、(5)の作業機械において、前記複数の車載制御ユニット110a~110fは第一の通信ネットワーク50で接続され、前記複数の外部制御ユニット120a,120b及び少なくとも1つの前記車載制御ユニット(例えば、車載制御ユニット110a)は第二の通信ネットワーク60で接続され、前記データセンタ40は少なくとも1つの前記車載制御ユニット(例えば、車載制御ユニット110d)と第三の通信ネットワーク70で接続されており、前記介入度決定処理を行う前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニット(例えば、外部制御ユニット120a)は、前記通信性能情報の内訳を前記第一乃至第三の通信ネットワークのそれぞれについて算出し、算出した前記通信性能情報の内訳において、前記第一の通信ネットワークが前記通信性能情報のボトルネックとなっている場合には、前記第一の通信ネットワークに接続される前記車載制御ユニットに、前記自動施工処理に用いる情報のデータ転送の優先度の変更を実行させ、前記第二の通信ネットワークが前記通信性能情報のボトルネックとなっている場合には、前記第二の通信ネットワークに接続される前記外部制御ユニットに、前記自動施工処理に用いる情報のデータ転送の優先度の変更を実行させ、前記第三の通信ネットワークが前記通信性能情報のボトルネックとなっている場合には、第三の通信ネットワークに接続される前記車載制御ユニット又は前記外部制御ユニットに通信性能情報の定期的な確認を実行させるものとした。
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
また、上記の実施の形態においては、車載制御ユニット110cに施工制御部230を設けるとともに、外部制御ユニット120aに通信性能情報取得部220、施工状態情報取得部221、機能実行判定部222、及び、自動施工処理部223を設けた場合を例示して説明したが、これに限られず、例えば、各機能部をそれぞれ車載制御ユニット110a~110fや外部制御ユニット120a,120bの何れかに設け、通信ネットワーク50~70を介して互いに通信することによって本実施の形態と同様の機能を果たすように構成しても良い。