JP7105668B2 - ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7105668B2
JP7105668B2 JP2018183902A JP2018183902A JP7105668B2 JP 7105668 B2 JP7105668 B2 JP 7105668B2 JP 2018183902 A JP2018183902 A JP 2018183902A JP 2018183902 A JP2018183902 A JP 2018183902A JP 7105668 B2 JP7105668 B2 JP 7105668B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cyclodextrin
mass
parts
silica
rotaxane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018183902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020050823A (ja
Inventor
絢菜 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire Corp filed Critical Toyo Tire Corp
Priority to JP2018183902A priority Critical patent/JP7105668B2/ja
Publication of JP2020050823A publication Critical patent/JP2020050823A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7105668B2 publication Critical patent/JP7105668B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ、並びにゴム組成物の製造方法に関するものである。
走行時等の応力により、亀裂が発生しにくく、かつ亀裂の進展が起こりにくい空気入りタイヤが求められている。亀裂が発生した時に、亀裂の進展を起こりにくくするためには、部材として引き裂き強度に優れたゴム組成物を使用することが必要である。
亀裂の発生しにくいゴム組成物として、ロタキサンを配合したゴム組成物が知られている(引用文献1,2)。ロタキサンの効果を得るためには、ゴム成分とロタキサンを結合させるために、ゴム成分合成時(重合段階)においてロタキサンを添加するか、あるいは、ゴム成分やロタキサンの環状分子を変性する必要があった。
また、シリカなどの補強性充填剤を添加することで、引き裂き強度の向上効果が得られることが知られている。しかしながら、補強性充填剤が亀裂点となり、亀裂の発生しやすさ(以下、耐亀裂性という)が悪化する傾向にあり、引き裂き強度と耐亀裂性との両立について改善の余地があった。
なお、引用文献3,4には、シリカやアルミナなどの微粒子と、ロタキサンとを含有する塗料が記載されているが、ロタキサンをシリカで被覆した微粒子を用いたものでもなく、タイヤ用途でもない。
特開2014-201629号公報 特開2018-24768号公報 特開2015-45028号公報 特開2010-209315号公報
本発明は、以上の点に鑑み、ゴム成分合成時の化合物の添加やゴム成分の変性を要さず、優れた引き裂き強度が得られ、シリカを配合する場合と比較して耐亀裂性の悪化を抑制できるゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤ、並びにゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係るゴム組成物の製造方法は、ジエン系ゴム100質量部に対して、直鎖状分子と、上記直鎖状分子を包接する環状分子と、上記直鎖状分子から上記環状分子が脱離しないように、上記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するロタキサンを、シリカで被覆した微粒子を1~50質量部配合する工程を有するものとする。
本発明の一実施形態に係るゴム組成物の製造方法は、ジエン系ゴムに対して、直鎖状分子と、上記直鎖状分子を包接する環状分子と、上記直鎖状分子から上記環状分子が脱離しないように、上記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するロタキサンを、シリカで被覆した微粒子を配合する工程を有し、上記ロタキサンの配合量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.98~49質量部であるものとする。
上記ロタキサンは、環状分子にカプロラクトンによる修飾基を有するものとすることができる。
上記微粒子の平均粒子径は1~50μmとすることができる。
上記ゴム組成物の製造方法は、上記微粒子と補強性充填剤として配合したシリカとの合計量100質量部に対して、シランカップリング剤0.5~20質量部配合する工程を有するものとすることができる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法は、上記製造方法により得られたゴム組成物を、トレッドに用いて作製するものとする。
本発明のゴム組成物によれば、優れた引き裂き強度を有し、シリカを配合する場合と比較して耐亀裂性の悪化が抑制された空気入りタイヤを得ることができる。また、未加硫ゴムにロタキサンをシリカで被覆した微粒子を他の添加剤と同様に添加することでロタキサンの効果が得られ、ロタキサンをゴム成分合成時に添加する必要がなく、ゴム成分を変性させる必要もない。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴムと、直鎖状分子と、上記直鎖状分子を包接する環状分子と、上記直鎖状分子から上記環状分子が脱離しないように、上記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するロタキサンを、シリカで被覆した微粒子とを含有し、上記微粒子の含有量を、上記ジエン系ゴム100質量部に対して1~50質量部とするものである。
本実施形態に係るゴム成分は、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、またはこれらの末端や主鎖の一部を変性した変性ゴムなどが挙げられる。変性ゴムの具体例としては、JSR(株)製「HPR350」などが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。
本実施形態に係るロタキサンは、上述のとおり、直鎖状分子と、上記直鎖状分子を包接する環状分子と、上記直鎖状分子から上記環状分子が脱離しないように、上記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するものである。なお、本明細書において、「ロタキサン」には、2以上の環状分子を有するポリロタキサンも含まれるものとする。
上記直鎖状分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリアルキル類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリアクリル類、ベンゼン環を有する直鎖状分子を挙げることができる。これらは、単独で含有されていてもよく、2種以上が混合されて含有されていてもよい。
上記ポリアルキル類としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどを挙げることができるが、ポリエステル類、ポリアミド類、ベンゼン環を有する直鎖状分子、ポリアクリル類も通常使用される一般的な材料を使用できる。
更に、ポリエーテル類としては、例えばポリエチレングリコールを挙げることができ、環状分子の包接性が優れるという観点から好適に用いることができる。
上記直鎖状分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、10000~40000であることが好ましく、15000~35000であることがより好ましく、20000~30000であることがさらに好ましい。
上記環状分子は、環状構造を有し、直鎖状分子を包接し後述するスライドリング効果を奏するものであれば特に制限されない。なお、本明細書において、「環状構造」とは、必ずしも閉環した形状である必要はない。すなわち、環状分子は、例えば、「C」字状のように、実質的に環状構造を有するものであれば十分である。
また、環状分子は、反応基を有することが好ましい。これによって、シリカとの相互作用が得られ易く、また修飾基などの導入が行い易くなる。このような反応基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、反応基としては、後述する封鎖基を形成(ブロック化反応)する際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。このような点を考慮すると、反応基は、水酸基、エポキシ基、アミノ基であることが好ましく、水酸基であることが特に好ましい。
具体的には、環状分子としては、シクロデキストリン、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、ジシクロヘキサノクラウン類、これらの誘導体又は変性体などが挙げられる。これらのうち、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体が好ましく使用される。ここで、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の種類は、特に制限されない。シクロデキストリンは、α型、β型、γ型、δ型、ε型のいずれでもよい。また、シクロデキストリン誘導体としてもα型、β型、γ型、δ型、ε型のいずれでもよい。なお、シクロデキストリン誘導体とは、例えば、アミノ体、トシル体、メチル体、プロピル体、モノアセチル体、トリアセチル体、ベンゾイル体、スルホニル体、モノクロロトリアジニル体等の化学修飾体を意図したものである。本発明で使用できるシクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体のより具体的な例としては、α-シクロデキストリン(グルコース数=6個)、β-シクロデキストリン(グルコース数=7個)、γ-シクロデキストリン(グルコース数=8個)等のシクロデキストリン;ジメチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-α-シクロデキストリン、2,6-ジ-O-メチル-α-シクロデキストリン、6-O-α-マルトシル-α-シクロデキストリン、6-O-α-D-グルコシル-α-シクロデキストリンモノ、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-α-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-α-シクロデキストリン、ヘキサキス6-O-トシル)-α-シクロデキストリン、ヘキサキス(6-アミノ-6-デオキシ)-α-シクロデキストリン、ヘキサキス(2、3-アセチル-6-ブロモ-6-デオキシ)-α-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-オクチル)-α-シクロデキストリン、モノ(2-O-ホスホリル)-α-シクロデキストリン、モノ[2,(3)-O-(カルボキシルメチル)]-α-シクロデキストリン、オクタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル)-α-シクロデキストリン、スクシニル-α-シクロデキストリン、グルクロニルグルコシル-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,6-ジ-O-エチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(6-O-スルホ)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3-ジ-O-アセチル-6-O-スルホ)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3-ジ-O-メチル-6-O-スルホ)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(3-O-アセチル-2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3-O-アセチル-6-ブロモ-6-デオキシ)-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシ-3-N,N,N-トリメチルアミノ)プロピル-β-シクロデキストリン、6-O-α-マルトシル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリン、ヘキサキス(6-アミノ-6-デオキシ)-β-シクロデキストリン、ビス(6-アジド-6-デオキシ)-β-シクロデキストリン、モノ(2-O-ホスホリル)-β-シクロデキストリン、ヘキサキス[6-デオキシ-6-(1-イミダゾリル)]-β-シクロデキストリン、モノアセチル-β-シクロデキストリン、トリアセチル-β-シクロデキストリン、モノクロロトリアジニル-β-シクロデキストリン、6-O-α-D-グルコシル-β-シクロデキストリン、6-O-α-D-マルトシル-β-シクロデキストリン、スクシニル-β-シクロデキストリン、スクシニル-(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン、2-カルボキシメチル-β-シクロデキストリン、2-カルボキシエチル-β-シクロデキストリン、ブチル-β-シクロデキストリン、スルホプロピル-β-シクロデキストリン、6-モノデオキシ-6-モノアミノ-β-シクロデキストリン、シリル[(6-O-t-ブチルジメチル)2,3-ジ-O-アセチル]-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシエチル-γ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、ブチル-γ-シクロデキストリン、3A-アミノ-3A-デオキシ-(2AS,3AS)-γ-シクロデキストリン、モノ-2-O-(p-トルエンスルホニル)-γ-シクロデキストリン、モノ-6-O-(p-トルエンスルホニル)-γ-シクロデキストリン、モノ-6-O-メシチレンスルホニル-γ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-γ-シクロデキストリン、オクタキス(2,6-ジ-O-フェニル)-γ-シクロデキストリン、オクタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル)-γ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-γ-シクロデキストリン等のシクロデキストリン誘導体が挙げられる。ここで、上述のシクロデキストリン等の環状分子は、その1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記環状分子の中では、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びこれらの誘導体が好ましく、包接性の観点からは、α-シクロデキストリン及びこれらの誘導体を使用することが特に好ましい。
上記封鎖基は、上述のように直鎖状分子の両末端に配置されて、環状分子が直鎖状分子を包接した状態を保持できる基であれば、特に限定されない。
このような基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。ここで、「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。「嵩高さ」を有する基としては、球形の基や側壁状の基を例示できる。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
このような封鎖基の具体例としては、2,4-ジニトロフェニル基、3,5-ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、これらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
上記ロタキサンは、環状分子が修飾基を有するものであってもよく、例えば、カプロラクトンによる修飾基である(-CO(CHOH)基を備えた修飾ロタキサンが挙げられる。具体的には環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基がカプロラクトンによる修飾基である(-CO(CHOH)基を有するロタキサンである。より具体的には、その修飾基が、環状分子の-O-C-O-基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(-CO(CHOH)基を有するロタキサンである。
ここで、ロタキサンをシリカで被覆した微粒子とは、上記ロタキサンの表面の少なくとも一部をシリカで被覆し、上記ロタキサンとシリカが化学的に結合したものとする。
このようなロタキサンをシリカで被覆した微粒子としては、市販されているものも使用することができる。具体的には、アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製「SH2400B-0501」や「SH2400B-2001」等が挙げられる。
上記微粒子の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して1~50質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましく、10~30質量部であることがさらに好ましい。
上記ロタキサンの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.98~49質量部であることが好ましく、4.9~29.4質量部であることがより好ましく、9.8~29.4質量部であることがさらに好ましい。
上記微粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、1~50μmであることが好ましく、1~30μmであることがより好ましく、1~20μmであることがさらに好ましい。1μm以上であることにより、ロタキサンによる効果が得られ易く、50μm以下であることにより、亀裂点となりにくい。ここで、本明細書において、平均粒子径とは、島津製作所製のレーザ回折式粒度分布測定装置「SALD-2200」、及び、光源として赤色半導体レーザ(波長680nm)を用いてレーザ回折・散乱法により測定し、得られた粒度分布(体積基準)における積算値90%での粒子径(90%体積粒径(D90))を意味する。
本実施形態に係るゴム組成物は、ロタキサンをシリカで被覆した微粒子を添加することにより、優れた引き裂き強度が得られ、シリカを配合する場合と比較して耐亀裂性の悪化を抑制できる。このメカニズムは定かではないが、次のように推測される。すなわち、ロタキサンの環状分子表面のシリカとゴム成分との化学的な相互作用により、ゴム伸長時にロタキサンの環状分子と直鎖状分子との間にすべりが生じる(以下、スライドリング効果ともいう)。このスライドリング効果により、小さな応力でもゴムがよく伸びるため、耐亀裂性の悪化が抑制されると考えられる。また、微粒子表面のシリカが補強性充填剤として機能することにより、優れた引き裂き強度が得られると考えられる。
また、上記微粒子を用いることにより、微粒子表面のシリカを介して、ロタキサンとゴム成分が結合できるため、他の添加剤と同様に未加硫ゴムに配合すればよく、ゴム成分合成時にロタキサンを添加する必要もなければ、ゴム成分を変性させる必要もない。
本実施形態に係るゴム組成物には、無機充填剤として、カーボンブラック、シリカ等の補強性充填剤を用いることができる。本発明の課題は、ゴム成分合成時の化合物の添加やゴム成分の変性を要さず、優れた引き裂き強度が得られ、シリカを配合する場合と比較して耐亀裂性の悪化を抑制できるゴム組成物を提供することにあるが、補強性充填剤としてシリカを配合することを排除するものではなく、本発明の効果を損なわない範囲でシリカを含有しても良い。すなわち、無機充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラック単独、又はカーボンブラックとシリカの併用であり、より好ましくはカーボンブラック単独である。
無機充填剤の含有量は、特に限定されず、例えばゴム成分100質量部に対して、20~120質量部であることが好ましく、より好ましくは20~100質量部であり、さらに好ましくは30~80質量部である。なお、上記微粒子を被覆するシリカの含有量は、無機充填剤の含有量に含まれるものとする。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~70質量部であることが好ましく、1~50質量部であることがより好ましく、10~50質量部であることがさらに好ましい。
シリカとしても、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。その含有量は、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からゴム成分100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、5~70質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤をさらに含有してもよい。シランカップリング剤の含有量は、上記微粒子と補強性充填剤として配合するシリカとの合計量100質量部に対して2~20質量部であることが好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、酸化亜鉛、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられる。加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。また、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。
本実施形態に係るゴム組成物は、通常用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練して作製することができる。すなわち、第一混合段階で、ゴム成分に対し、ロタキサンをシリカで被覆した微粒子とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加し、混合してゴム組成物を調製することができる。
このようにして得られるゴム組成物は、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど、各種用途・サイズの空気入りタイヤのトレッド部やサイドウォール部などに適用することができ、好ましい実施形態においてはトレッド部に適用することができる。ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせた後、例えば130~190℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
本実施形態に係る空気入りタイヤの種類としては、特に限定されず、上述の通り、乗用車用タイヤ、トラックやバスなどに用いられる重荷重用タイヤなどの各種のタイヤが挙げられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、加硫促進剤、及び硫黄を除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で、加硫促進剤及び硫黄を添加混合して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・SBR1:JSR(株)製「SBR1502」
・SBR2:JSR(株)製「HPR350」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト9」
・シリカ:エボニック・ジャパン(株)製「Ultrasil VN3」
・シランカップリング剤:エボニック・ジャパン(株)製「Si75」
・オイル:JXTGエネルギー(株)製「プロセスP200」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・ワックス:日本精蝋(株)製「OZOACE0355」
・化合物1:アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製「SH2400B-0501」(直鎖状分子:ポリエチレングリコール、環状分子:カプロラクトンによる修飾基を有するシクロデキストリン、封鎖基:アダマンタン基、表面がシリカで被覆されている)、平均粒子径=7.4μm、真比重(He置換法)=1.18g/cc、シリカ含有割合=2%
・化合物2:アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製「SH2400B-2001」(直鎖状分子:ポリエチレングリコール、環状分子:カプロラクトンによる修飾基を有するシクロデキストリン、封鎖基:アダマンタン基、表面がシリカで被覆されている)、平均粒子径=20μm、真比重(He置換法)=1.16g/cc、シリカ含有割合=2%
・化合物3:アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製「SH3400P」(直鎖状分子:ポリエチレングリコール、環状分子:カプロラクトンによる修飾基を有するシクロデキストリン、封鎖基:アダマンタン基、表面がシリカで被覆されていない)
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
得られた各ゴム組成物について、160℃で30分間加硫した所定形状の試験片を用いて、引き裂き強度、及び耐亀裂性を評価した。評価方法は次の通りである。
・引き裂き強度:JIS K6252規定のクレセント形で打ち抜き、くぼみ中央に0.50±0.08mmの切れ込みを入れた試験用サンプルを作製し、該試験用サンプルについて、引張り試験機によって500mm/分の引張り速度で試験を行った。比較例1の値を100として指数で表示し、指数が大きいほど、引き裂き力が大きく、引き裂き強度に優れることを意味する。なお、指数が90以上であれば、引き裂き強度は維持されたと評価した。
・耐亀裂性:JIS K6260に準拠して測定し、比較例1を100とした指数で表示し、指数が大きいほど耐亀裂性に優れることを意味する。
Figure 0007105668000001
結果は、表1に示す通りであり、比較例1と比較例2との対比より、補強性充填剤としてシリカを配合した比較例2では、引き裂き強度が向上するものの、耐亀裂性が悪化することがわかる。
また、比較例1と比較例3との対比より、補強性充填剤としてのシリカと、シリカで被覆していないロタキサンを配合した比較例3では、引き裂き強度が向上するものの、耐亀裂性が悪化することがわかる。
比較例1~3と実施例1~6との対比、及び比較例4と実施例7,8との対比より、ロタキサンをシリカで被覆した微粒子を配合した実施例では、優れた引き裂き強度が得られ、シリカを配合した場合と比較して耐亀裂性の悪化を抑制できることがわかる。
本発明のゴム組成物は、乗用車、ライトトラック・バス等の各種タイヤに用いることができる。

Claims (6)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対して、
    直鎖状分子と、前記直鎖状分子を包接する環状分子と、前記直鎖状分子から前記環状分子が脱離しないように、前記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するロタキサンを、シリカで被覆した微粒子を1~50質量部配合する工程を有する、ゴム組成物の製造方法。
  2. ジエン系ゴムに対して、
    直鎖状分子と、前記直鎖状分子を包接する環状分子と、前記直鎖状分子から前記環状分子が脱離しないように、前記直鎖状分子の両末端に配置された封鎖基とを有するロタキサンを、シリカで被覆した微粒子を配合する工程を有し、
    前記ロタキサンの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.98~49質量部である、ゴム組成物の製造方法。
  3. 前記ロタキサンが、前記環状分子にカプロラクトンによる修飾基を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記微粒子の平均粒子径が1~50μmである、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 前記微粒子と補強性充填剤として配合したシリカとの合計量100質量部に対して、シランカップリング剤を0.5~20質量部配合する工程を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法により得られたゴム組成物を、トレッドに用いて作製する、空気入りタイヤの製造方法。
JP2018183902A 2018-09-28 2018-09-28 ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法 Active JP7105668B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018183902A JP7105668B2 (ja) 2018-09-28 2018-09-28 ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018183902A JP7105668B2 (ja) 2018-09-28 2018-09-28 ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020050823A JP2020050823A (ja) 2020-04-02
JP7105668B2 true JP7105668B2 (ja) 2022-07-25

Family

ID=69995950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018183902A Active JP7105668B2 (ja) 2018-09-28 2018-09-28 ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7105668B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009031686A1 (ja) 2007-09-07 2009-03-12 Bridgestone Corporation ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
WO2017195715A1 (ja) 2016-05-09 2017-11-16 国立大学法人 東京大学 アルコキシシラン類及びポリロタキサンを有してなるゾル及びゲル
JP2018154822A (ja) 2017-03-15 2018-10-04 古河電気工業株式会社 エラストマー組成物、架橋エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物の製造方法
WO2019208723A1 (ja) 2018-04-26 2019-10-31 住友ゴム工業株式会社 ロタキサン化合物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009031686A1 (ja) 2007-09-07 2009-03-12 Bridgestone Corporation ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
WO2017195715A1 (ja) 2016-05-09 2017-11-16 国立大学法人 東京大学 アルコキシシラン類及びポリロタキサンを有してなるゾル及びゲル
JP2018154822A (ja) 2017-03-15 2018-10-04 古河電気工業株式会社 エラストマー組成物、架橋エラストマー組成物及び架橋エラストマー組成物の製造方法
WO2019208723A1 (ja) 2018-04-26 2019-10-31 住友ゴム工業株式会社 ロタキサン化合物

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JIANG et al.,One-Pot Synthesis and Characterization of Polyrotaxane - Silica Hybrid Aerogel,ACS Macro Letters,米国,American Chemical Society,2017年03月06日,6,pp.281-286,https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsmacrolett.7b00014,DOI:10.1021/acsmacrolett.7b00014
セルム マイクロボール 超分子含有架橋微粒子,エヌプラス 2018 資料,日本,アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社,2018年10月,https://plastics-japan.com/wp-content/uploads/2018/10/c881bd72f26f2e0d6cca2226bb5a0358.pdf

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020050823A (ja) 2020-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5234203B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物
JP5894182B2 (ja) スタッドレスタイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
CN108456348A (zh) 胎面冠部用橡胶组合物和充气轮胎
JPH0551484A (ja) ゴム組成物
JP2015209540A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
WO2022124340A1 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6540263B2 (ja) ゴム組成物
JP6582596B2 (ja) ゴム組成物
JP2009167238A (ja) ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
JP7105668B2 (ja) ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法
JP2019137281A (ja) タイヤ用ゴム組成物
WO2018128141A1 (ja) 加硫後ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP7105669B2 (ja) サイドウォール用ゴム組成物の製造方法、及び空気入りタイヤの製造方法
JP7302127B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いたウィンタータイヤ
US11518869B2 (en) Rubber composition for tire and studless tire using the same
JP6305796B2 (ja) アルコキシ変性ジエン系ゴムの製造方法及びそれを用いたゴム組成物
JP2018172639A (ja) ゴム組成物およびタイヤ
JP2013155308A (ja) キャップトレッド、ベーストレッド、サイドウォール、カーカス、クリンチ又はビードエイペックス用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2009173797A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物の製造方法
JP7160668B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物の製造方法
JP5354515B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP6582686B2 (ja) ゴム組成物の製造方法およびタイヤ
JP2023157717A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物及びタイヤ
JP2012180387A (ja) ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP6996889B2 (ja) スチレン/ブタジエンエラストマーを含有するシリカ補強ゴムの製造、ゴム組成物及び部品を有するタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220613

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7105668

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150