JP7105522B1 - 摺動材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 摺動性が向上した摺動材を提供する。【解決手段】 黄銅合金からなる素地と、素地に含まれナノインデンテーション硬さが20GPa以上28GPa以下のCr-Fe-Si系金属間化合物と、を有する摺動材。【選択図】 図1

Description

本発明は、摺動材に関するものである。
耐摩耗性改良のため、黄銅合金素地に種々の金属間化合物(シリサイド等)を晶出させた摺動材が知られている。
特許文献1には、Fe-Mn-Si系3元化合物に関する記載がある。特許文献1には、FeとMnに対する重量比が夫々0.3~14であり、含有量が1~15wt%である耐摩耗性銅合金の開示がある。この3元化合物は従来のMn5Si3やFe3Siを含むものより耐摩耗性に優れるとしている。Crの添加については分散効果があるとの記載に留まる。
特許文献2には、黄銅合金のMnケイ化物に関する記載がある。特許文献2では、CrないしZrあるいはその化合物は、ケイ化物析出物にとって核形成剤として作用し、その添加によりケイ化物の共晶微細析出が抑止されるとされる。即ち、CrやZrを微量添加することでMnケイ化物の晶出形態を変化させることが可能であるとされる。
特許文献3には、黄銅合金からなる焼結材において、Cu,Zn,Al,Siをベース金属とし、選択元素として組織の微細化、粒界強化に寄与するTi,Zr,V,Cr等の添加物の記載がある。この表面空孔を活用した焼結材料は、添加成分を溶製材のように完全に溶解し合金化する工程でないため、同一成分であっても不均一組織を呈し溶製材の組織とは異なるものになる。
特許文献4には、黄銅素地をβ相に限定し、Fe-Mn-Si系金属間化合物の構成をMn5Si3、Fe3Siからなると仮定しFe,Mn,Si添加量を限定し、化合物の面積率を3~20%とした材料の記載がある。
特許文献4には、黄銅素地をβ相に限定し、Fe-Cr-Si系金属間化合物などのFe系のシリサイドを含むものの記載があるが、その化合物に関する詳細は不明である。
特開昭60-114545号公報 特開昭61-41738号公報 特開平1-252745号公報 特開2010-159443号公報 特開2010-265500号公報
先行技術文献が示すように、摩擦摩耗環境の過酷化に伴い、黄銅素地にMn-Si系金属間化合物、改良Mn-Fe-Si系金属間化合物などが活用され、耐摩耗性の向上に貢献している。しかしながら、金属間化合物の正確な化学組成や晶出形態、硬さなど、摩擦摩耗に与える効果の十分な検証が行われていない。
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、摺動特性を向上させた摺動材を提供することを目的とする。
本発明は、黄銅合金からなる素地と、素地に含まれ、ナノインデンテーション硬さが20GPa以上28GPa以下のCr-Fe-Si系金属間化合物と、を有する摺動材である。
本発明の摺動材によれば、摺動特性を向上させた摺動材を提供することが可能となる。
実施形態の摺動材の断面模式図である。 比較例の摺動材の断面模式図である。 比較例の摺動材の断面模式図である。 比較例の摺動材の断面模式図である。 実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物のSEM写真である。 実施形態の摺動材の断面組織を拡大した模式図である 比較例の摺動材の断面組織を拡大した模式図である。 実施形態の摺動材の摩耗を説明した模式図である。 往復摺動試験装置を示す図である。
以下、実施形態の摺動材について、詳細に説明をする。
図1は、実施形態の摺動材1の断面構造を示す模式図である。図1は、摺動面1Aに垂直な断面から見た金属間化合物の3次元構造を示す。摺動材1は、素地2と、Cr-Fe-Si系金属間化合物3とを有する。
素地2は、黄銅合金からなる。素地2は、用途に応じた形状、及び、機械的な強度を摺動材1に与える。
実施形態の摺動材1は、Crを主成分とするCr-Fe-Si系金属間化合物3として(Cr,Fe)3Siを含む。Cr-Fe-Si系金属間化合物3は、代表的には(Cr0.85Fe0.15)3Siの構造を有する。
Cr-Fe-Si系金属間化合物3は、Cr、Fe、及び、Siからなる組成の化合物である。実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3は、(Cr,Fe)3Siの構造を有する。Cr-Fe-Si系金属間化合物3の各々は、丸みを帯びた曲面の外形を有する。
素地2に含まれる多数のCr-Fe-Si系金属間化合物3は、互いに結合し、これにより、多数のCr-Fe-Si系金属間化合物3が連結した立体構造を構成する。本実施形態の摺動材1に含まれるCr-Fe-Si系金属間化合物3は20GPa以上28GPa以下のナノインデンテーション硬さを有する。
Cr-Fe-Si系金属間化合物3の同定、原子の結合割合についてはSEM-EDSのポイント分析による原子%の組成から化合物の原子結合比を算出した。例えば、単純なMnシリサイドの場合、Mn:Si=5:3の結合比であり、化学構造がMn5Si3の化合物であることが解る。
この金属間化合物の表記は、一般合金成分の表記と同じく、多い成分から順に記載し、Mn-Si系金属間化合物と表記する。従ってCr-Fe-Si系金属間化合物3とはCrを主成分とするCrとFeとSiからなる化合物であることを示す。
本発明者らは、この化合物がMn-Fe-Si系金属間化合物のように3元化した場合においては、主構造がMn5Si3であることに変わりはなく、Mnの一部が置換された(Mnx,Fey)(ただしx+y=1)となることを確認し、その置換比を明確にした。即ち、これらの計測装置および化学構造を決定する考え方を導入することで、正確な化学構造を知ることが可能になった。
従来、金属間化合物は、専ら断面形状を基に評価することが多かった。しかしながら、摩擦摩耗の場においては、摩耗が進行するプロセスに対応して化合物の3次元的な晶出形態を把握する必要がある。
本発明者らは、黄銅の素地2を溶解し、Cr-Fe-Si系金属間化合物3のみを残す腐食法を開発した。これにより、Cr-Fe-Si系金属間化合物3の3次元的な晶出形態をSEM(2次電子像)観察することが可能になった。
この方法を用い、Cr-Fe-Si系金属間化合物3の立体構造を把握することが可能となった。ここでは、それら金属間化合物の形態を比較し摩擦摩耗に与える効果を検証した。
Cr-Fe-Si系金属間化合物3の硬さは、ナノインデンターによる硬さ計測により、測定可能である。
ナノインデンターによる硬さ計測は、“ISO 14577-1 Metallic materials -Instrumented indentation test for hardness and materials parameters-“およびその附則“Annex A (normative)Materials parameters determined from the force/indentation depth data set”に準拠する。ナノインデンターによる硬さ計測には、BRUKER社製HYSTRONT1980装置を用いた。
硬さの測定条件は、テスト荷重800μN、負荷1s、保持0.4s、除荷1sとした。ISO表記では、測定条件をHIT8x10-4/1/0.4/1とした。合金中に晶出したCr-Fe-Si系金属間化合物3の粒子の測定においては、Cr-Fe-Si系金属間化合物3の粒子を含む測定範囲を、格子状にgrid patternを設定し、グリッドパターンの格子点をインデントする多点計測を実施した。多点計測の計測値の、Cr-Fe-Si系金属間化合物3に特徴的にみられる、ナノインデンターによる硬さの最小値から最大値の数値範囲をCr-Fe-Si系金属間化合物3のナノインデンテーション硬さとした。
実施形態の摺動材1は、Cr-Fe-Si系金属間化合物3の粒子の3次元結合構造と、ナノインデンテーション硬さと、により、摺動性を向上させている。
実施形態の摺動材1と、比較例の摺動材との、組成、構造、立体構造やナノインデンテーション硬さを比較し、実施形態の摺動材1の効果を確認した。
図2は、比較例のMn-Si系金属間化合物を含む摺動材を断面から見た立体形状の模式図である。図2に示すように、Mn-Si系金属間化合物は、Mn5Si3の化学構造を有し、優先的に成長する結晶方向があり、個々に分離し、六角針状に成長する形態を有する。
また、Mn-Si系金属間化合物のナノインデンテーション硬さは16.8GPaであった。この六角針状のMn系シリサイド化合物は、角部に応力が集中する為、靭性を欠く。
Mn-Si系金属間化合物は、結晶性が強く容易に破壊し、摩擦摩耗面においては、部分的に破砕され、遊離、離脱し、異物化する。このとき、摺動面を転動し相手材を傷つけるなどの問題も生じ、ひいては焼付の原因にもなる。特に、過酷な条件下で使われる摺動材料では、問題となる。
図3は、比較例のMn-Fe-Si系金属間化合物を含む摺動材を断面から見た立体形状の模式図である。図3に示すように、Mn-Fe-Si系金属間化合物は、(Mn,Fe)5Si3の化学構造を有する。Mn-Fe-Si系金属間化合物は、Mn-Si系金属間化合物と同じく、優先的に成長する結晶方向があり、個々に分離し、六角針状に成長する形態を有する。
Mn-Fe-Si系金属間化合物の一部は、共晶化し粒状の連続組織に変化することが判明した。またMn-Fe-Si系金属間化合物のナノインデンテーション硬さは18.5GPaであった。Mn-Fe-Si系金属間化合物は、3元化することでわずかにナノインデーテーション硬さが上昇している。
実施形態の摺動材1は、黄銅系鋳造合金の素地2中に(Cr,Fe)3Siの構造を持ち、丸みを帯び曲面で構成されかつ部分的にCr-Fe-Si系金属間化合物3が連結した立体構造を有し、ナノインデーテーション硬さが20GPa以上28GPa以下の硬さを有する。実施形態の摺動材1は、Cr-Fe-Si系金属間化合物3を有することにより、優れた耐摩耗性並びに低摩擦性を有する。
Cr、FeおよびSiからなる金属間化合物には、Crを主成分とする実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3である(Cr,Fe)3Si(具体的には、(Cr0.85Fe0.15)3Si) と、Feを主成分とするFe-Cr-Si系金属間化合物(Fe,Cr)3Si(具体的には、(Fe0.85Cr0.15)3Si)との2種類の化合物が存在する。この二つの金属間化合物は全く異なる形態を示す。
図4は、Fe-Cr-Si系金属間化合物の形態を示す。Fe-Cr-Si系金属間化合物は、(Fe0.85Cr0.15)3Siの構造を有する化合物である。Fe-Cr-Si系金属間化合物は、Cr3Si化合物のCrの一部分(85%)が、同じ遷移金属Feによって一部置換された状態の化合物である。
図5はCr-Fe-Si系金属間化合物3の3次元的な構造を示すSEM写真である。図5に示すように、Cr-Fe-Si系金属間化合物3は、丸みを帯び曲面で構成され、3次元的に連結した形態を有する。
この3次元的に連結する形態は、図2に示した比較例にはない形態であり、トライボ性能に優れた特性をもたらす形態である。一方Fe-Cr-Si系金属間化合物は塊状で微細に分散して晶出するためトライボ特性への寄与は小さい。
Cr-Fe-Si系金属間化合物3とFe-Cr-Si系金属間化合物は同時に晶出する傾向があり本発明者らは、専らCr-Fe-Si系金属間化合物のみを活用する目的で、この二つのシリサイドの分離凝固を試みた。その結果、凝固条件を制御することでCr-Fe-Si系金属間化合物3とFe-Cr-Si系金属間化合物を分離凝固させることに成功した。そのことによって、Cr-Fe-Si系金属間化合物に特化した優れた摩擦摩耗特性を把握することが出来、実施形態に至ることが可能となった。
同じCr,Fe,Siを構成成分とする金属間化合物であっても、Cr-Fe-Si系金属間化合物3とFe-Cr-Si系金属間化合物では、その形態や硬さが全く異なり、その結果硬質化合物がもたらす摩擦摩耗性能が異なる。実施形態では、このうちCrを主成分とし、丸みを帯び曲面で構成されかつ部分的に連結した立体構造を有することを特徴とするCr-Fe-Si系金属間化合物3の活用を目的とした。
黄銅系鋳造合金では、トライボロジー基礎式(1)に従い、耐摩耗性と低摩擦性(低μ性)が評価される。
μ=τ0/PH ・・・(1)
ただし、μ:摩擦係数、τ0 :潤滑物質のせん断力、PH :硬さ(荷重/面積)である。
摩擦係数μは、潤滑物質のせん断力に比例し、下地硬さに反比例する。硬さPHは、荷重を接触面積で割ったものである。摩擦係数μを低下させるには、摩擦時荷重点となる金属間化合物の硬さを上げることや、金属間化合物の接触面積を小さくすることが必要である。
即ち、化合物の形状は、理想的には球形に近づけて接触面積を小さくし、かつ、硬い化合物であれば、摩擦係数を低下させることが出来る。
図6は、実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3を示す。図6に示すように、実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3は、硬質で丸みを帯び曲面で構成され、かつ連結した化合物形態である。
これにより、実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3は、硬質でかつ摩擦面を小さくし、かつ放熱面積を増やした形態は、摩擦係数を下げることが可能な形態といえる。
図7は、比較例のMn-Fe-Si系金属間化合物を示す。図7に示すように、比較例のMn-Fe-Si系金属間化合物は角形で化合物が夫々独立し連結していない。
実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3による効果は、上記トライボロジー基礎式(1)式に従い、PH(硬さ)の増大が摩擦係数を低下させ、潤滑剤が介在することにより、μ×荷重×速度で示される摩擦仕事を低下させ、これにより、摩擦熱の発生を少なくすることができ、低摩擦効果を発揮することである。
摺動材の摩耗量(V)は(2)式で示される。
V=Z(P/PH)L ・・・(2)
摩耗量(V)は、摩耗係数Zと荷重P、摩擦距離Lに比例し、硬さPHに反比例する。従って、軟らかい黄銅合金に晶出する化合物の硬さを上げることで摩耗量を減らすことが可能となる。
実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3のナノインデンテーション硬さは、20GPa~28GPaであり、耐摩耗性に優れた組織である。
摩擦時、硬質化合物は、荷重点となり強い摩擦熱が生じる。この摩擦熱は化合物と銅合金マトリックス界面を通して放熱される。従って、化合物が3次元的に連結していることは、化合物全体の表面積を大きくし、放熱効率を飛躍的に高めることが出来る。このように摩擦時の放熱効率が良いことは、表面温度の上昇を防止し、過酷な摩擦状況を緩和することができる。
例えば、単独で晶出した針状の比較例のMn5Si3化合物は、荷重点となり摩擦熱が増大したときに、金属間化合物が高温化し、化合物/素地界面が軟化し、化合物界面が不安定化し、遊離する可能性がある。
一方、実施形態のCr-Fe-Si系金属間化合物3は、表面積が大きく、連結しているため、熱交換面積が増え、集中荷重によって生じる摩擦熱を適宜拡散することができる。このように3次元構造を有することは、摩擦摩耗の場においては重要な要素である。
3次元的に連結している構造を持つことはトライボ性能上、耐摩耗性に特に有利に働く。図8に示す様に、A-A’⇒B-B’⇒C-C’と摩耗しても常にCr-Fe-Si系金属間化合物3が現れ連続的に耐摩耗性、低摩擦性が維持される。
このように、Cr-Fe-Si系金属間化合物3の形状や、連続性は重要な意味を持ち、その用途としても高温高負荷軸受材として有効に機能する。即ちCr-Fe-Si系金属間化合物3の連続性は、摩耗しながら、最適な低摩擦面の形成を促す優れた構造と言える。
(実施例)
以下に、本発明の実施例について説明をする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に、実施例と比較例の摺動材に含まれる金属間化合物の構成を示す。実施例と比較例の摺動材は、Cu-26Zn-5Alの黄銅系鋳造合金素地中に、表1に示す金属間化合物を含む、
実施例1は、素地中にCr-Fe-Si系金属間化合物3を晶出させた摺動材である。比較例1は、素地中にFe-Cr-Si系金属間化合物を晶出させた摺動材である。比較例2は、素地中にMn5Si3、いわゆるMn-Si系金属間化合物を晶出させた摺動材である。比較例3は、素地中に(Mn,Fe)5Si3、いわゆるMn-Fe-Si系金属間化合物を晶出させた摺動材である。
表1に、それぞれの金属間化合物の化学式、金属間化合物の晶出形態(金属間化合物の形状、金属間化合物の連続性(結合、連結))、ナノインデンテーション硬さ(GPa)を示した。またSiの添加量は、0.3%とし、晶出する化合物の組成に従って、Mn、Fe、Crなどの添加量を決めた。
Figure 0007105522000002
いずれの合金も、まず溶解温度1100℃で純Cu地金を溶解し、次にZnを所定量添加しCu-Zn合金を作成し、次にAlを添加、溶解し、次に1200℃まで昇温した後、必要な元素の母合金を添加溶解し、所定の成分になるように溶解鋳造し、試験片形状に加工された。
実施例1のCr-Fe-Si系金属間化合物3のナノインデンテーション硬さは19.5GPa以上27.9GPa以下である。一方、比較例1のFe-Cr-Si系金属間化合物は9.5GPa以上14.3GPa以下である。比較例2のMn-Si系金属間化合物、比較例3のMn-Fe-Si系金属間化合物の硬さはそれぞれ11.4GPa以上16.8GPa以下、12.2GPa以上18.5GPa以下である。
このように、実施例1のCr-Fe-Si系金属間化合物3は極めて硬質な金属間化合物であり、この硬さがトライボ性能に大きく影響を与える。
図9に往復摺動試験装置の概要を示す。いわゆるピンオンデイスクタイプの往復摺動試験装置で、摩耗量を計測することが出来る。図中の、1は加圧装置、2は供試材料、3は相手材料を示す。4は相手材を往復摺動させるモーターである。以下に試験条件を示す。
・試験機 :往復動荷重試験機
・摺動速度 :2m/min
・往復摺動距離:150mm
・トータル摺動距離:500m
・試験温度(軸受背面温度):100℃
・相手材 :S45C表面焼入材、表面粗さRa3.0
・潤滑油 :VG32
・摩耗試験荷重:30MPa一定荷重
表2に実施例および比較例の摺動材の摩耗量を示す。
Figure 0007105522000003
実施例1の摺動材は、比較例1の摺動材や従来から使用されている比較例2及び比較例3の摺動材よりも格段に優れた耐摩耗性が得られることわかる。
このように実施例の摺動材は、晶出形態やナノインデンター硬さにおいてトライボロジー性能に優れるCr-Fe-Si系金属間化合物3の晶出によって、優れたトライボ性能の改善が得られることが実証された。
実施形態の摺動材は、建設機械部品、自動車エンジン部品、ミッション部品、油圧部品、航空機部品などの低速高荷重、高速高回転、あるいは腐食環境下など過酷な摺動環境条件で使用できる。実施形態の摺動材は、耐摩耗、低摩擦特性が必要とされる用途に有用であり、信頼性の高い摺動材を提供することができる。
なお、実施形態の摺動材の構造、並びに組成物の材料、組成、は単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。

Claims (4)

  1. 黄銅合金からなる素地と、
    前記素地に含まれ、ナノインデンテーション硬さが20GPa以上28GPa以下のCr-Fe-Si系金属間化合物と、を有する摺動材。
  2. 前記Cr-Fe-Si系金属間化合物は、当該Cr-Fe-Si系金属間化合物が連結した立体構造を有する、請求項1に記載の摺動材。
  3. 前記Cr-Fe-Si系金属間化合物は、丸みを帯び曲面で構成された形状を有する、請求項1または2に記載の摺動材。
  4. 前記Cr-Fe-Si系金属間化合物は、(Cr,Fe)3Siの化学構造を有する、請求項1から3のいずれかに記載の摺動材。
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