JPH1046272A - 耐摩耗性に優れる摺動材料 - Google Patents

耐摩耗性に優れる摺動材料

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JPH1046272A
JPH1046272A JP21672196A JP21672196A JPH1046272A JP H1046272 A JPH1046272 A JP H1046272A JP 21672196 A JP21672196 A JP 21672196A JP 21672196 A JP21672196 A JP 21672196A JP H1046272 A JPH1046272 A JP H1046272A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、自動車、産業機械、農業機械等
に使用されている摺動部材、ワッシャ−などの材料に適
し、特に耐摩耗性に優れ、苛酷な境界潤滑状態におい
て、有効な摺動材料を提案する。 【解決手段】 鋼板の裏金5と、この裏金5の一方の面
上に一体に設けられた焼結軸受層とから成る摺動材料に
おいて、この焼結軸受層は、その基地4中に硬質物の粉
末2が0.5〜20重量%を分散、焼結して成って、基
地4が1〜30重量%Pb、1〜15重量%Snならび
に残部Cuから成る一方、硬質物の粉末2が16.5〜
18.5重量%Cr、27〜30重量%Mo、3.0〜
4.0重量%Siならびに残部Coから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性に優れる摺動材
料に係り、なかでも、自動車、産業機械、農業機械等に
使用されている摺動部材、ワッシャ−などの材料に適
し、特に耐摩耗性に優れ、苛酷な境界潤滑状態におい
て、有効な摺動材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ブシュ、ワッシャ−などとして使
用される摺動材料のうち、焼結合金から成る摺動材料
は、主として、青銅、鉛青銅などの焼結合金から成って
いる。これら合金は、潤滑油が存在する使用条件下では
良好な摺動特性を持っているが、潤滑油は存在しないか
ほとんど存在しない境界潤滑条件では異常摩耗や焼き付
きを起こす。
【0003】すなわち、鉛青銅などの焼結合金は、潤滑
性ならびになじみ性にすぐれるPbが全体にわたって分
散しているために、軸受材料又は摺動材料として使用す
ると、良好な潤滑性が保持される。しかし、潤滑条件が
苛酷な境界潤滑条件下では、耐摩耗性に問題があり、し
ばしば異常摩耗を引き起す事例も報告されている。
【0004】このようなところから、鉛青銅基地中に、
硬質物として、硬い化合物(Fe3Pなど)の粒子や、
Mo粉末またはCo粉末、更にNi基合金粉末の粒子を
点在させることによって耐焼付性や耐摩耗性を向上させ
ることが提案されている。(特公昭57−50844号
公報参照)。
【0005】耐焼付性と耐摩耗性を兼備せしめるため
に、銅青銅基地中に、黒鉛粒子とNi−B化合物の粒子
とを添加した摺動材料が提案されている。(特開平4−
198440号公報参照)
【0006】しかしながら、このような摺動材料におい
て硬質物として介在させる粒子は、主としてFe3Pや
NiBなどの化合物系粒子であり、結晶性が強いため、
形状は、破砕面がナイフエッヂのような鋭角の形をなす
ものである。このため、摺動材料のうちでも、自動車な
どの軸受として使用すると、軸受そのものの摩耗量が低
減できるが、かえって相手方の軸を摩耗させる。
【0007】また、軸受として加工して摺動面を仕上げ
る場合、通常、切削加工により仕上げる。しかし、この
ような場合でも、あまり硬くなり過ぎると、超硬バイト
でも切削加工が出来ない。このため、切削加工には、ダ
イヤモンドバイトを使用しなければならず、このところ
が加工上の大きな問題点になっている。
【0008】すなわち、上記の摺動材料では、いずれ
も、添加される硬質物の粉末そのものが硬く、とくに、
硬質物の粉末が化合物かビッカ−ス硬さ(Hv)で10
00以上を示すものから成るため、硬さがあまりにも硬
い。また、硬質物の粉末は鉛青銅基地との焼結性も弱
く、このため、添加された硬質物の粉末が摩耗粉として
脱落し、相手方の軸を傷つけてしまう。
【0009】同時に、潤滑条件が直接相手方の軸と接触
する境界潤滑条件に達すると、相手方の軸の荷重は硬質
物の粉末によって受けることになる。このときにも、硬
質物の粉末と鉛青銅基地との焼結性が弱いことから、相
手方の回転軸と硬質物の粉末との間で摩擦熱が発生し、
この摩擦熱が放散しにくいことから、発熱が加速される
と、焼付に至る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記欠点の解
決を目的とし、とくに、銅系焼結合金から成る基地の中
に硬質物の粉末を添加させ介在させて成る摺動材料にお
いて、この硬質物の粉末は、適切な硬度ならびに焼結性
が与えられるものとして構成し、境界潤滑下において
も、より適切な耐摩耗性が与えられ、軸受として使用で
きる摺動部材を提供する。
【0011】このような摺動部材であると、過剰な硬度
を有する化合物系添加物が添加されることがなく、配合
される硬質物の粉末は適切な硬さを有するため、相手方
の軸をいためることがない。
【0012】また、添加される硬質物の粉末は合金系粉
末であり、しかも、鉛青銅基地との焼結性も良好であ
り、摩擦熱の熱伝達性も良く、軸受面での温度上昇もわ
ずかである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
摺動部材は、鋼板の裏金と、この裏金の一方の面上に一
体に設けられた焼結軸受層とから成る摺動材料におい
て、この焼結軸受層は、その基地中に硬質物の粉末0.
5〜20重量%を分散、焼結して成って、基地が1〜3
0重量%Pb、1〜15重量%Snならびに残部Cuか
ら成る一方、硬質物の粉末が16.5〜18.5重量%
Cr、27〜30重量%Mo、3.0〜4.0重量%S
iならびに残部Coから成ることを特徴とする。
【0014】更に詳しく説明すると、先に示した通り、
従来提案されてきた硬質物の粉末は主として化合物系で
あり、いずれもきわめて硬い硬さ、ちなみにHvで10
00以上を有しているし、MoやCoなどの粉末はHv
で200〜500程度で硬さが低く、境界潤滑条件で適
切な性能を達成できない。
【0015】硬い化合物系粉末でも、粒子そのものは、
化合物系のインゴットを粉砕した結果得られるものであ
るから、形状は、鋭角なエッヂシェイプを示す。
【0016】そこで、本発明においては、相手方の軸を
傷つけず、かつその軸に対して適切な形状、硬さを有し
耐摩耗性に優れる硬質物の粉末として金属系合金粉末を
選定した。
【0017】これに併せて、硬質物の粉末として、軸受
面の温度上昇を防止し、熱放散性を高めるために、鉛青
銅基地に対する焼結性を配慮した。
【0018】この結果、添加すべき硬質物の粉末として
は、化合物系のものとしては構成せずに、合金系のもの
として構成し、組成としては、Co−Mo−Cr系合
金、なかでも、16.5〜18.5重量%Cr、27〜
30重量%Mo、3.0〜4.0重量%Si、残部Co
から成る合金、ちなみに、17.5重量%Cr、28重
量%Mo、3.4重量%Siならびに残部Coから成る
合金が適切であることがわかった。
【0019】更に、この合金系の硬質物の粉末の形状と
しては、丸みを帯びた形状とし、このような形状の粉末
は、アトマイズ法によって製造するのがきわめて適切で
あった。
【0020】ちなみに、28%Mo−17.5%Cr−
3.4%Si−残部CoのCo基合金の粉末であると、
硬度はHv(ビッカ−ス硬度)で800であって、硬
さ、焼結性など上記の条件が充足できる。
【0021】そこで、23%Pb−2%Sn−残部Cu
の鉛青銅合金から成る基地の中に、硬さHv(ビッカ−
ス硬度)1350迄の硬質物の粉末を同じ割合で配合し
て軸受から成る摺動材料をつくり、この摺動材料につい
て、硬質物の粉末の硬さHvと相手方の軸の摩耗量(μ
m)との間の関係を求めたところ、次に示す通り、図5
に示す結果が得られた。
【0022】なお、この摩耗試験の条件は、表1に示
し、硬質物の粉末としては、従来例の化合物系粉末の硬
さはことごとく硬さHvが1000以上であるので、硬
さHv1000以上のものとしては、化合物系粉末を用
いた。硬さHv1000以下のものは、Cr−Mo−S
i−Co系の合金の粉末、Hv500以下のものはMo
やCoなどの単体粉末を用いた。
【0023】図5では、横軸に添加した硬質物の粉末の
硬度をとり、縦軸は軸受と軸の摩耗量をとり、符号
(イ)で軸受、(ロ)で軸をそれぞれ示す。なお、相手
方の軸の硬さは、図5において(ハ)で示す領域にあ
る。
【0024】図5において、表1に示すテスト条件で摩
耗試験すると、Hv1000を超えるような化合物系硬
質物の粉末を5wt%添加すると、試験時間100時間
の長時間の摩耗テストで軸が相当摩耗し、なかでも、硬
さ(Hv)850を境として摩耗量が急速に増加するこ
とがわかった。
【0025】これに対し、摺動材料の軸受側では、硬質
物の粉末の硬さが増加すると、それに伴って摩耗量は減
少している。
【0026】このように検討したところ、軸受として摩
耗しにくく、その上、相手方の軸を摩耗させないため、
つまり、互いに相容れない条件をバランスさせるのに
は、硬質物の粉末は、硬さはHvで750〜850程度
が有効で適切である。
【0027】また、硬質物の粉末は、このような条件の
ほかに、基地との焼結性、なかでも、Pbを含んで、残
部がCu−Snから成る鉛青銅基地との間で焼結性を高
めることが必要である。
【0028】すなわち、図3ならびに図4は、硬質物の
粒子として化合物系硬質物の粒子が配合されたものであ
って、これからも焼結性が悪く、放熱性に問題があるこ
とがわかる。すなわち、図3ならびに図4においては、
1は相手方の軸、2は硬質物の粉末、3はPb相、4は
基地、5は鋼の裏金、6は熱流を示す。硬質物の粉末2
と基地4との間の焼結性が悪い場合、硬質物の粉末2の
周りに低融点のPb相3によって囲まれていることにな
り、硬質物の粉末2が、Pb相3が溶融又は軟化したプ
−ルの中に浮いているような状態になる。
【0029】この状態であると、相手方の軸1と硬質物
の粉末2の間で発生した摩擦熱の熱流6は、Pb相3を
介して基地4の中に放熱しなければならない。
【0030】とくに、Pb相3の熱伝導率はCu基地の
1/10以下と悪い。このため、この悪い熱伝導の障壁
となり、熱放散は大巾に低下する。
【0031】ちなみに、Pb相3の熱伝導率は0.08
2cal/cm・deg・secであり、基地4中のC
uの熱伝導率は0.94cal/cm・deg・sec
である。
【0032】これに対し、本発明のように、基地4中に
硬質物の粉末2としてCr−Mo−Si−Co合金の粉
末が配合され、この硬質物の粉末2が基地4に対して十
分に焼結されている場合は、図1ならびに図2に示され
るようになる。なお、図1ならびに図2の各符号は図3
ならびに図4と同等のものを示す。
【0033】この場合は、基地4に対して硬質物の粉末
2が十分に焼結されていることもあって、各粉末2の粒
子の周囲にはPb相3の存在が少なく、摩擦熱による熱
流6はスム−ズに基地4ならびに裏金5へ放散され、表
面の温度上昇を抑えることが出来る。
【0034】とくに、境界潤滑下では、この特性はきわ
めて重要で潤滑油が乏しい場合や、潤滑油の粘度が低い
場合は、硬質物の粉末と相手方の軸との間の発熱量も大
きくなり、潤滑油による熱の放散も期待出来なくなる。
このことから、基地への熱放散性は重要な意味をもって
いる。
【0035】また、軸受の寿命としても、放熱性が良い
場合は、Pb相の表面における消耗も少なくなり、安定
した潤滑状態を保つことが出来る。
【0036】すなわち、基地と硬質物の粉末の各粒子と
焼結性は、熱の放散性という観点からは密接な関係があ
る。このところは、硬質物の粒子の基地に対する焼結性
は、キャビテ−ションテストを施すことで確認すること
が出来る。
【0037】以上のべた様に、添加する硬質物の粉末と
しては、次の条件を持っていることが必要である。 (1)、硬質物の粉末の硬さがHvで750〜850程
度であること、(2)、基地との焼結性が良いこと、
(3)、なお、このほかに、硬質物の粉末の形状が丸み
を帯びた形であることが好ましい。
【0038】これに併せて、これらの条件を満足する硬
質物の粉末として、Co基合金、なかでも、Co−Mo
−Cr−Si系合金、とくに、16.5〜18.5重量
%Cr、27〜30重量%Mo、3.0〜4.0重量%
Siならびに残部Coから成る硬質物の粉末が適切であ
る。
【0039】また、硬質物の粉末は、上記のように、球
状、球状に近く、更に、一部に丸味がある形状に調整す
るのが好ましいが、粉末の粒径は100μm若しくはそ
れ以下に調整するのが好ましい。この粒径であると、1
00μm以上のものに較べると、分散性が向上し、添加
量が少なくとも、耐摩耗性を一層向上させることができ
る。
【0040】次に、各成分元素の含有量限定理由を基地
と硬質物の粉末とに分けて説明すると、次のとおりであ
る。
【0041】1.基地、 基地としては、鉛青銅合金であって、1〜30%Pb、
1〜15%Snを含み、残部がCuから成っている。 Pb(1〜30%) Pbは軟質成分であって潤滑性に寄与し、なかでも、潤
滑油がほとんど存在しない境界潤滑などのときには、基
地中のPb相を多くすることによって摩耗量を低減でき
る。しかし、Pb1%未満では、添加の効果はない。P
b30%を超えると、合金強度が低下するほか、あま
り、Pbが多いと、摺動時に溶融し、上記の通り、Pb
相のプ−ルを生成する可能性があり、このため、30%
以下が好ましい。 Sn(1〜15%) Snは基地中においてCuと合金化して、基地強度を高
める。Sn1%未満ではその効果は少なく、Sn15%
を超えると、Cu−Sn化合物を生成して、脆弱になる
ほか、この化合物が基地中においてきわめて硬い硬質物
の粉末を配合した場合と同じ挙動を示し、Sn15%以
下が好ましい。
【0042】2.硬質物の粉末(焼結層粉末全体の0.
5〜20%配合する)、 この硬質物の粉末はCo基合金の粉末であって、Cr−
Mo−Si−Coから成っている。この粉末の各粒子に
おいて、各成分、Cr、Mo、Si、CoはCo基地中
に硬質相が析出しており、なかでも、Crによって硬質
相を生成させる。ちなみに、この硬質相の硬さ(Hv)
は1100程度である。このような構成によって適切な
硬さと良好な焼結性を与える。 Cr(16.5〜18.5%) Crは硬さ(Hv)1000程度の硬質相を生成する。
しかし、Crがあまり多いと、硬い硬質相が多くなって
硬質物の粉末の硬さが硬くなり過ぎ、硬化物の粉末を基
地粉末に対して20%まで配合すると、摺動材料として
あまり硬くなり過ぎて好ましくない。このところから、
硬質物の粉末の硬さ(Hv)750〜850に保つのに
は、他の成分とのバランスから16.5〜18.5%が
適切である。 Mo(27〜30%) Cr、Coと共に硬質相を生成しかつ基地硬さの向上に
も寄与し、基地との焼結性を向上させる。このため、他
の成分とのバランスから、適切な硬さや焼結性などの上
から、27〜30%が好ましい。 Si(3.0〜4.0%) SiはCo合金を溶解する時にフラックスとして使わ
れ、高温(1900〜2000℃)の溶製時のCoの酸
化をおさえるのにどうしても必要である。したがって、
溶製時のSiの溶入はどうしてもまぬがれない。一方、
Siは硬化成分と知られるが、Si単相による硬化の程
度はCrによる硬化相の析出による場合に較べるとやや
低いし、Siは焼結性に寄与する。この点、Si3.0
〜4.0%の範囲では、Coとの化合物も生成せず、硬
さ(Hv)750〜850の範囲に保つのに適切であ
り、Siの混入を3.0〜4.0%の範囲内におさえる
溶製であると、Co合金の溶製も支障なくできる。 Co残部 Coは他の成分に較べるときわめて高価であり、なるべ
く少ないのが望ましいが、耐摩耗性や、良好な焼結性を
与える上からは、Coベ−スとするのが好ましい。
【0043】以下の組成から成る硬質物の粉末はそのも
のとして0.5〜20%配合する。
【0044】すなわち、硬質物の粉末は、0.5%未満
の添加ではその効果はなく、20%を超えると、基地中
に硬質物の粒子が連結して存在するようになり、基地自
体の焼結性を阻害する。
【0045】また、硬質物の粉末の粒度は50μm以下
の粉末粒度にすることが必要である。
【0046】すなわち、摺動材料として軸受面の仕上げ
加工性ならびに性能は硬質物の粉末の粒度に依存する。
例えば、硬質物の添加量が同一であっても、粗粒(15
0〜50μm)のものに比べ、細粒、なかでも50μm
以下にすると、硬くても軸摩耗量が減少し、硬質物の粉
末の分散性は一層向上し、結果的に、この分散性の向上
が耐摩耗性の向上につながる。
【0047】この点について更に詳しく説明すると、硬
質物の粉末の粒径が粗い場合には、軸受層の内面仕上げ
加工(要するに、通常の機械加工)において、どうして
も、表面粗さ(Ra)は1.0〜1.2μmとなる。こ
れに対し、細粒(50μm以下)の場合は、表面粗さ
(Ra)が0.5〜0.3μmになり、平滑度は大巾に
向上する。
【0048】このところについて、図6ならびに図7に
示す軸受層表面の拡大写真を見ると、硬質物の粉末の粗
い場合は(図6参照)、基地と添加される硬質物の粉末
粒子との間にすき間が見られ、更に、機械加工によるバ
イトの切削時に、硬質物の粒子が変形を受けた形跡がみ
られる。これに対し、細粒の硬化物の粉末を添加した場
合には、硬質物の粉末は緻密に基地中に埋収されてお
り、有効な仕上げ状態になってきわめて平滑な軸受面が
得られる。
【0049】
【実施例】まず、表2に示される通り、摺動材料No.
1〜No.12を用意した。各摺動材料は基地を成す基
地粉末中に、硬質物の粉末2.5〜10%を配合して全
体として100%に成る様に混合し、裏金を成す鋼板上
にこの混合粉末を所定厚さに散布した。
【0050】それを水素雰囲気中で温度700〜900
℃にて10〜30分加熱焼結した。
【0051】なお、表2に示す硬質物の粉末において、
摺動材料No.1〜6の硬質物の粉末は、いずれも、C
o系粉末であって、その組成は28%Mo−17.5%
Cr−3.5%Si−残部Coから成って、これら各成
分はCo基地中に硬質相を析出し、粒径は50μm以下
である。また、摺動材料No.7〜12はいずれも比較
例を示し、摺動材料No.7ならびに10は硬質物の粉
末としてNi−Bの化合物粉末を配合し、摺動材料N
o.8ならびに11は硬質物の粉末としてFe3Pの化
合物粉末を配合し、摺動材料No.9ならびに12は硬
質物の粉末が添加されていない。
【0052】このように焼結によって得られた各焼結体
について、圧延、再焼結ならびに圧延の各処理を施し、
摺動材料No.1〜12を得た。
【0053】これら処理のうちで、圧延とはロ−ル圧延
であり、密度を100%まで上げた。再焼結は、700
〜900℃の温度で、より強固な基地をつくるために行
なったものである。
【0054】このように得られた各摺動部材の厚さは
2.20mmであり、これら材料を用いて摩擦摩耗特性
を調査するために、内径20mm、長さ20mm、厚さ
2.0mmのブシュをつくり、摩耗試験した。
【0055】この摩耗試験の試験条件は表3に示す通り
である。
【0056】この摩耗試験においては、軽油を潤滑油と
して用い、境界潤滑に近いテスト条件とし、軸受の摩耗
量相手方の軸の摩耗量、更に、軸受の背面温度を測定し
た。この測定結果は、表2に示す。
【0057】硬質物の粉末として、Co系合金粉末を使
用した各摺動材料No.1〜6(本発明に係るもの)
は、基地の組成にかかわらず、相手方の軸の摩耗も少な
いほか、軸受層の摩耗も1.0〜3.7μmという低摩
耗量を示し、背面温度も60〜75℃であって、比較例
No.7〜12に較べて、熱放散性が良好ですぐれた結
果を示した。
【0058】更に、表2には示されていないが、硬質物
の粉末であるCo系合金粉末において、Crを8%、S
iを2.5%まで低減させ、これらの粉末を添加配合し
た。この摺動材料であると、軸受側の摩耗量は1.0〜
2.0μm更に増加し、背面温度も最大で12℃高くな
った。
【0059】また、基地をみると、Pb相の多い基地と
した方が、摩耗量も少なく、更に、比較例としての摺動
材料No.7、8においては、基地中のPb相が多くな
っているのにも拘らず、Pb相の少ない本発明の摺動材
料No.5に較べて、軸受摩耗量も多く、本発明に係る
ものがすぐれていることがわかる。
【0060】以上の通り、本発明に係る摺動材料は、比
較例と比べ軸の損耗がきわめて少なく、より苛酷な境界
潤滑下においても、すぐれた耐摩耗性を示し摺動部材を
得ることが出来る。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】以上の通り、本発明は、鋼板裏金上に一
体に設けられた焼結軸受層が基地中に硬質物の粉末0.
5〜20%を分散焼結して成る摺動材料であって、この
硬質物の粉末は、16.5〜18.5%Cr、27〜3
0%Mo、3.0〜4.0%Siを含み、残部がCuか
ら成っている。
【0065】このため、苛酷な境界潤滑条件であって
も、すぐれた耐摩耗性を示すほか、相手方の軸の摩耗量
も大巾に低減できる。
【0066】また、境界潤滑のときに摩擦熱が多量に発
生しても、硬質物の粉末が上記組成から成って各成分が
Co基地中に析出しているため、焼結軸受層の基地中に
硬質物の粉末が均一に分散されて焼結性がきわめて良好
であり、摩擦熱は基地が主としてCuから成るところを
利用して、熱放散が促進できる。
【0067】更に、硬質物の粉末の粒度が50μm以下
であると、粉末の分散性が高められ、耐摩耗性が一層向
上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施例に係る摺動材料の構造を
示す説明図である。
【図2】図1に示す摺動材料の熱放散態様を示す説明図
である。
【図3】比較例の一つの摺動材料の構造を示す説明図で
ある。
【図4】図3に示す摺動材料の熱放散態様を示す説明図
である。
【図5】添加される硬質物の粉末の硬さを摺動材料の摩
耗量との関係を示すグラフである。
【図6】径100〜150μmの硬質物の粉末を配合し
た場合の軸受層の拡大写真である。
【図7】径50μm以下の硬質物の粉末を配合した場合
の軸受層の拡大写真である。
【符号の説明】
1 相手方の軸 2 硬質物の粉末 3 Pb相 4 基地 5 裏金 6 熱流
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】径100〜150μmの硬質物の粉末を配合し
た場合の軸受層の金属組織を示す顕微鏡写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】径50μm以下の硬質物の粉末を配合した場合
の軸受層の金属組織を示す顕微鏡写真である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の裏金と、この裏金の一方の面上に
    一体に設けられた焼結軸受層とから成る摺動材料におい
    て、 この焼結軸受層は、その基地中に硬質物の粉末0.5〜
    20重量%を分散、焼結して成って、前記基地が1〜3
    0重量%Pb、1〜15重量%Snならびに残部Cuか
    ら成る一方、前記硬質物の粉末が16.5〜18.5重
    量%Cr、27〜30重量%Mo、3.0〜4.0重量
    %Siならびに残部Coから成ることを特徴とする耐摩
    耗性に優れる摺動材料。
  2. 【請求項2】 前記硬質物の粉末がビッカ−ス硬さ(H
    v)で750〜850であることを特徴とする請求項1
    記載の耐摩耗性に優れる摺動材料。
  3. 【請求項3】 前記硬質物の粉末中に含まれるCr、M
    o、SiおよびCoの各成分がCo基地と硬質析出物の
    2相から成ることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性
    に優れる摺動材料。
  4. 【請求項4】 前記硬質物の粉末が丸味をおびた形状か
    ら成ることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性に優れ
    る摺動材料。
  5. 【請求項5】 前記硬質物の粉末を粒径50μm以下に
    調整することを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性に優
    れる摺動材料。
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