JP7102824B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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〔1〕窒素含有量が0.30質量%以下の天然ゴムを30質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、平均粒子径が5~200μmの卵殻粉を5~50質量部含有するゴム組成物、
〔2〕臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)とヨウ素吸着量(IA)の比率(CTAB/IA)が0.80以上であるカーボンブラックを10質量部以上含有する、〔1〕に記載のゴム組成物、
〔3〕ゴム成分100質量%中にブタジエンゴムを20質量%以上含有する、〔1〕または〔2〕に記載のゴム組成物、
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤ、に関する。
本実施形態において使用されるゴム成分としては、高純度化され窒素含有量を0.30質量%以下に低下させた天然ゴム(以下、本明細書において「改質天然ゴム」と記載することがある)が好適に用いられる。なお、かかる改質天然ゴムは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
改質天然ゴムは柔らかいために、低温でも複素弾性率E*が低くなり、ヒステリシスロスが向上し氷上性能も向上する。また高純度化された改質天然ゴムにおいては、卵殻粉の分散性が向上するので、卵殻粉が脱離した後に残るゴム表面の凹凸で引っ掻き効果を発現し、低温氷上性能、特に0℃での発進性能が向上する。なお、通常卵殻粉を配合した際は破壊の起点となりやすく、ゴム組成物の破壊特性が低下する傾向にあるが、高純度化された改質天然ゴムはカーボンブラックとの相互作用が強くなるため、破壊特性の低下をも防止することができる。
本実施形態において、改質天然ゴム以外に使用できる他のゴム成分としては、特に限定されるものではなく、改質天然ゴム以外の天然ゴム、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴム成分や、塩素化ブチルゴムなどのブチル系ゴムが挙げられる。またこれらの水添ゴムや変性ゴムであってもよい。なかでも、耐摩耗性の点から他のゴム成分としてBRを使用することが好ましい。
本実施形態に係るゴム組成物は、所定の平均粒子径を有する卵殻粉を含有することを特徴とする。かかる卵殻粉を含有することにより(A)卵殻粉自体が氷雪路面を引っ掻く効果、(B)卵殻粉粒子に存在する細孔が氷雪路面の水を吸水し除去する効果、(C)卵殻粉粒子が脱落することによりできた細孔が氷雪路面の水を吸水し除去する効果、および(D)卵殻粉粒子が脱落することによりできた細孔の淵部分がエッジとして働き、氷雪路面を引っ掻く効果が得られる。
本実施形態に係るゴム組成物は、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般的に使用される配合剤、例えば、前記卵殻粉以外の充填剤(他の充填剤)、酸化亜鉛、ステアリン酸、オイル、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などを適宜含有することができる。
通常卵殻を配合した際は破壊の起点となりやすく、破壊特性や耐摩耗性が低下する傾向にあるが、カーボンブラック、好ましくは下記の微粒子カーボンブラックを併用することで、耐摩耗性を改善することができる。これは、卵殻粉の周囲にカーボンブラックが集まり、卵殻粉が脱離した部分にカーボンブラックが多く存在するため、破壊特性や耐摩耗性の低下を抑制できるものと考えられる。また窒素含有量が極めて少ない本実施形態に係る改質天然ゴムは、カーボンブラックと強く相互作用するため、これによっても破壊特性の低下を防ぐことができるものと考えられる。
シリカを含有する場合、シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機等のゴム混練装置を用いて混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
水462.5gにエマルビンW(LANXESS社製) 12.5g、タモールNN9104(BASF社製) 12.5g、Van gel B(Vanderbilt社製) 12.5g、Wingstay L(ELIOKEM社製) 500g(合計1000g)をボールミルで16時間混合し、老化防止剤分散体を調製した。
天然ゴムラテックス((株)タイテックスジャパンから入手したフィールドラテックス)の固形分濃度を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、エマールE-27C(花王(株)製)の10%水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、さらに水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、ポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5~3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mLに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mLを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mLを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。このゴムをクレーパーにより水をかけながらシート化し、90℃で4時間乾燥して天然ゴム1を得た。
製造例1においてポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加して得られた凝集物を炭酸ナトリウム水溶液で処理せず、そのまま水1000mLを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返したほかは、同様の手順で天然ゴム2を得た。
市販のハイアンモニアラテックス(マレーシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%)を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、さらにリン酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、さらにpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤(花王(株)製の商品名エマルゲン810)の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000rpmの回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000rpmの回転速度で30分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分60%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。このラテックスに2質量%ギ酸をpH4になるまで添加し、さらにポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加して0.5~5mmのゴム粒を得た。これの水を極力取り除き、水をゴム分10gに対して50g添加の上、2質量%ギ酸をpH3になるまで添加した。30分後ゴムを引き上げ、クレーパーでシート化した後、90℃で4時間乾燥し、天然ゴム3を得た。
天然ゴムラテックス((株)タイテックスジャパンから入手したフィールドラテックス)に水を添加して固形分濃度を15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0~4.5に調整し、凝集した。凝集したゴムを粉砕し、水1000mLで洗浄を繰り返し、その後、110℃で120分間乾燥し、天然ゴム4を得た。
得られた天然ゴム1~4の窒素含有量を、CHN CORDER MT-5((株)ヤナコ分析工業製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例1で得られた天然ゴムのサンプル約10mg秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
ICP発光分析装置(ICPS-8100、(株)島津製作所製)を使用してリン含有量を求めた。また、リンの31P-NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー(株)製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDCl3に溶解して測定した。
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
天然ゴム1~4:製造例1~4に記載の天然ゴム
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(Mw:44万、ハイシスBR、シス-1,4結合含量:96%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(CTAB:110m2/g、IA:121mg/g、CTAB/IA:0.91、OAN:114mL/100g、COAN:98mL/100g)
卵殻粉1:キューピータマゴ(株)製のSQ-100(平均粒子径:100μm)
卵殻粉2:キューピータマゴ(株)製のSQ-130(平均粒子径:130μm)
卵殻粉3:キューピータマゴ(株)製のSQ-50(平均粒子径:50μm)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース355
老化防止剤:大内新興化学(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の「銀嶺R」
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度170℃になるまで5分間混練りし、混練物を得た。さらに、得られた混練物を前記バンバリーミキサーにより、排出温度150℃で4分間、再度混練りした(リミル)。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することで、試験用ゴム組成物を作製した。
ドライブ軸に試験用タイヤを装着した車両を、表所路面に停止した状態から発進させ、時速10kmに達した時の走行距離を測定した。結果は、指数で示し、指数が大きいほど低温氷上性能に優れることを示す。指数は次の式で求めた。
(低温氷上性能指数)=(比較例2の時速10kmに達した走行距離)/(各配合例の時速10kmに達した走行距離)×100
各加硫ゴム組成物からJIS K 6251に準じて3号ダンベル試験片を作製し、引っ張り試験を実施した。破断時の伸び(EB)を測定し、比較例2の値を100とした指数で表示した。指数の値が高いほど、ゴム強度が高く、破壊特性に優れることを示す。
Claims (4)
- 窒素含有量が0.30質量%以下、かつゲル含有率が25質量%以下の天然ゴムを30質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを50質量部以上、および平均粒子径が5~200μmの卵殻粉を5~50質量部含有するゴム組成物。
- 臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)とヨウ素吸着量(IA)の比率(CTAB/IA)が0.80以上であるカーボンブラックを10質量部以上含有する、請求項1に記載のゴム組成物。
- ゴム成分100質量%中にブタジエンゴムを20質量%以上含有する、請求項1または2に記載のゴム組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤ。
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