JP7102824B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、トレッド用ゴム組成物および当該ゴム組成物により構成されたトレッドを有するスタッドレスタイヤに関する。
スタッドレスタイヤに要求される重要な性能の1つとして、例えば、氷上での制動性能が挙げられる。タイヤの氷上性能に影響を与える、トレッドゴムと路面との摩擦を支配する因子としては、粘着摩擦、ヒステリシス摩擦、ひっかき(掘り起こし)摩擦等が知られている。
従来、トレッドゴムと氷上路面との摩擦力を向上させる手法として、粘着摩擦に着目して低温でのゴムの硬度を低くし、路面との接触面積を増大する手法や、ヒステリシス摩擦に着目してゴムのヒステリシスロスを上げる手法、また、ひっかき摩擦に着目して、モース硬度が氷よりも高い素材を配合する等して、ゴム自体の摩擦力を向上させる手法等が検討されてきた。
タイヤを氷上でグリップさせると、氷表面に水が発生し、その場合、タイヤは水の上に浮いたような状態になるため、充分なグリップ力が得られなくなり、スリップの原因となる。そこで、氷上での摩擦力を向上させるために、制動時にゴムと氷との間に発生する水を除去して、タイヤのゴム表面を氷に直接密着させることが重要である。
特許文献1および2には、ゴム成分に卵殻粉や貝殻の粉砕品、炭酸カルシウムを配合し、氷上性能を改善する方法が開示されている。しかしながら、これらの配合量を増加させるに伴い、耐摩耗性が大きく悪化するという問題がある。
特開2007-169500号公報 特開平9-77915号公報
本発明は、氷上性能を改善し得るタイヤ用ゴム組成物および該ゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、高純度化された天然ゴムに所定の卵殻粉を配合することで上記課題を解決できること見出した。さらに好ましい態様においては、破壊特性をも改善できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
〔1〕窒素含有量が0.30質量%以下の天然ゴムを30質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、平均粒子径が5~200μmの卵殻粉を5~50質量部含有するゴム組成物、
〔2〕臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)とヨウ素吸着量(IA)の比率(CTAB/IA)が0.80以上であるカーボンブラックを10質量部以上含有する、〔1〕に記載のゴム組成物、
〔3〕ゴム成分100質量%中にブタジエンゴムを20質量%以上含有する、〔1〕または〔2〕に記載のゴム組成物、
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤ、に関する。
本発明の高純度化された天然ゴムおよび所定の卵殻粉を含有するゴム組成物および該ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤは、氷上性能に優れる。
本発明の一実施形態であるゴム組成物は、窒素含有量が0.30質量%以下の天然ゴムを30質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、平均粒子径が5~200μmの卵殻粉を5~50質量部含有することを特徴とする。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
<ゴム成分>
本実施形態において使用されるゴム成分としては、高純度化され窒素含有量を0.30質量%以下に低下させた天然ゴム(以下、本明細書において「改質天然ゴム」と記載することがある)が好適に用いられる。なお、かかる改質天然ゴムは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(改質天然ゴム)
改質天然ゴムは柔らかいために、低温でも複素弾性率E*が低くなり、ヒステリシスロスが向上し氷上性能も向上する。また高純度化された改質天然ゴムにおいては、卵殻粉の分散性が向上するので、卵殻粉が脱離した後に残るゴム表面の凹凸で引っ掻き効果を発現し、低温氷上性能、特に0℃での発進性能が向上する。なお、通常卵殻粉を配合した際は破壊の起点となりやすく、ゴム組成物の破壊特性が低下する傾向にあるが、高純度化された改質天然ゴムはカーボンブラックとの相互作用が強くなるため、破壊特性の低下をも防止することができる。
本明細書において「高純度化」とは、天然ポリイソプレノイド成分以外のリン脂質、タンパク質等の不純物を取り除くことを意味する。天然ゴムは、イソプレノイド成分が、不純物成分に被覆されているような構造となっているため、この不純物成分を取り除くことにより、イソプレノイド成分の構造が変化する。このようにイソプレノイド成分の構造が変化すると、配合剤との相互作用の状態も変化するため、エネルギーロスの減少や、耐久性の向上が達成される結果となり、より良い改質天然ゴムを得ることができると考えられる。
高純度化の方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には(1)天然ゴムラテックスをケン化処理する方法や、(2)天然ゴムラテックスを凝集させ、その後破砕し洗浄処理する方法や、(3)上記ケン化処理後、洗浄処理をし、酸性化合物で処理する方法などが挙げられる。もちろん、改質天然ゴムの高純度化の方法は特に規定されるものではなく、超音波や遠心分離等の機械的手法、酵素によるタンパク質等の不純物分解法など、公知の方法が限定なく用いられるが、なかでもより不純物を除去し、低燃費性を向上させる観点からケン化処理後、洗浄処理をし、酸性化合物で処理する方法が好ましく、生産効率、コスト、白色充填剤の分散性等の観点から洗浄処理が好ましい。具体的には、国際公開第2014/125700号に記載の方法などにより天然ゴムの高純度化を行うことができる。
天然ゴムラテックスとしては、ヘベア樹をタッピングして採取した生ラテックス(フィールドラテックス)や、生ラテックスを遠心分離法やクリーミング法によって濃縮した濃縮ラテックス(精製ラテックス、常法によりアンモニアを添加したハイアンモニアラテックス、亜鉛華とTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)とアンモニアとによって安定化させたLATZラテックスなど)などが挙げられる。なかでも、pHコントロールによる高純度化が容易であるという理由から、フィールドラテックスを用いることが好ましい。
天然ゴムラテックス中のゴム成分(固形ゴム分)は、攪拌効率等の観点から、5~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
ケン化処理の方法としては、例えば、特開2010-138359号公報、特開2010-174169号公報に記載の方法などが挙げられる。具体的には、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行うことができる。また、必要に応じて撹拌等を行ってもよい。上述の製造方法によれば、ケン化により分離したリン化合物が除去されるので、天然ゴムのリン含有量を抑えることができる。さらに、ケン化処理により、天然ゴム中のタンパク質が分解されるので、天然ゴムの窒素含有量を抑えることができる。天然ゴムラテックスを用いることにより、効率的にケン化処理を行うことができる。
ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、特に水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを用いることが好ましい。
アルカリの添加量は、特に制限されるものではないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。該添加量の上限は、10質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましい。アルカリの添加量を0.1質量部以上とすることにより、ケン化処理がスムーズに行える傾向がある。また、逆にアルカリの添加量を10質量部以下とすることにより、天然ゴムラテックスが不安定化するのを防止できる傾向がある。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤のうちの少なくとも1種が使用可能である。このうち陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエステル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂質エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、特に制限されるものではないが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、下限は0.01質量部以上が好ましく、0.10質量部以上がより好ましい。該添加量の上限は、5.00質量部以下が好ましく、3.00質量部以下がより好ましい。界面活性剤の添加量を0.01質量部以上とすることにより、ケン化処理時の天然ゴムラテックスの不安定化を防止できる傾向がある。また、逆に界面活性剤の添加量を5.00質量部以下とすることにより、天然ゴムラテックスが安定化しすぎて凝固が困難になることを防止することができる傾向がある。
ケン化処理の温度は、アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行し得る範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起こさない範囲で、適宜設定できるが、通常は30~80℃であるのが好ましい。また、処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、生産性を向上することとを併せて考慮すると、3~24時間であるのが好ましい。
洗浄処理は、天然ゴムラテックスを凝集させた後、凝集させたゴムを破砕し洗浄することにより行うことができる。凝集方法としては、例えば、ギ酸等の酸を添加し、pHを調製し、必要に応じてさらに高分子凝集剤を添加する方法などが挙げられる。また、高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩の重合体などのカチオン性高分子凝集剤(例えばMTアクアポリマー(株)製のポリメタアクリル酸エステル系凝集剤など)、アクリル酸塩の重合体などのアニオン系高分子凝集剤、アクリルアミド重合体などのノニオン性高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩-アクリル酸塩の共重合体等の両性高分子凝集剤などが挙げられる。また高分子凝集剤の添加量は、適宜選択できる。さらに、洗浄処理としては、例えばゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離処理を行い、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。遠心分離する際は、まず、天然ゴムラテックスのゴム分が5~40質量%、好ましくは10~30質量%となるように水で希釈する。次いで、5000~10000rmpで1~60分間遠心分離すればよく、所望のリン含有量になるまで洗浄を繰り返せばよい。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本実施形態に係る改質天然ゴムが得られる。
本実施形態に係る改質天然ゴム中の窒素含有量は、0.30質量%以下であり、0.20質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.10質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。天然ゴム中の窒素含有量を0.30質量%以下とすることにより、氷上性能および破壊特性を顕著に改善することができる。また、窒素含有量が0.30質量%を超えると、カーボンブラック中のゲル含有率が低下し、破壊特性が低下する傾向がある。窒素は、タンパク質やアミノ酸に由来するものと考えられる。なお、窒素含有量は、ケルダール法、微量窒素量計等、従来の方法で測定することができる。改質天然ゴムは、天然ゴムが元々有しているといわれる天然の老化防止剤成分が除去されているため、長期の保存で劣化する恐れがある。そのため、人工の老化防止剤が添加されることがあり、そのような場合には、改質天然ゴムの窒素含有量は、アセトン中に室温(25℃)下で48時間浸漬し、アセトン抽出によりゴム中の人工の老化防止剤を除去した後に測定した値とする。
本実施形態に係る改質天然ゴム中のリン含有量は、加工性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。リンは天然ゴムに含まれるリン脂質に由来するものと考えられる。なお、リン含有量は、ICP発光分析等、従来の方法で測定することができる。
本実施形態に係る改質天然ゴム中のゲル含有率は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。ゲル含有率を30質量%以下とすることで、低燃費性などのゴム物性が向上する傾向がある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」または「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×105rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、30質量%以上であり、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましい。天然ゴムの含有量が30質量%未満であると、破壊特性が低下する傾向がある。また、ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
(その他のゴム成分)
本実施形態において、改質天然ゴム以外に使用できる他のゴム成分としては、特に限定されるものではなく、改質天然ゴム以外の天然ゴム、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴム成分や、塩素化ブチルゴムなどのブチル系ゴムが挙げられる。またこれらの水添ゴムや変性ゴムであってもよい。なかでも、耐摩耗性の点から他のゴム成分としてBRを使用することが好ましい。
改質天然ゴム以外の天然ゴムとしては、非改質天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等が挙げられる。これらのゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス1,4結合含有率が50%未満のBR(ローシスBR)、シス1,4結合含有率が90%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)などタイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、ハイシスBR、ローシスBRおよびローシス変性BRからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、ハイシスBRを用いることがより好ましい。
ハイシスBRとしては、例えば、JSR(株)、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)などによって製造販売されるハイシスBRなどがあげられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4-結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで低温特性および耐摩耗性を向上させることができる。ローシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)などによって製造販売されているローシスBRを製のBR1250などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。BR中のシス1,4-結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
BRを含有する場合のゴム成分100質量%中の含有量は、耐摩耗性の観点から、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、ゴム成分中のBRの含有量は、破壊特性の観点から、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
ゴム成分100質量%中の改質天然ゴムおよびBRの合計含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%(すなわち、改質天然ゴムおよびブタジエンゴムのみからなること)がさらに好ましい。
<卵殻粉>
本実施形態に係るゴム組成物は、所定の平均粒子径を有する卵殻粉を含有することを特徴とする。かかる卵殻粉を含有することにより(A)卵殻粉自体が氷雪路面を引っ掻く効果、(B)卵殻粉粒子に存在する細孔が氷雪路面の水を吸水し除去する効果、(C)卵殻粉粒子が脱落することによりできた細孔が氷雪路面の水を吸水し除去する効果、および(D)卵殻粉粒子が脱落することによりできた細孔の淵部分がエッジとして働き、氷雪路面を引っ掻く効果が得られる。
卵殻粉の平均粒子径は、氷上性能の観点から、5μm以上であり、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましく、60μm以上がと特に好ましい。また、卵殻粉の平均粒子径は、破壊特性の観点から、200μm以下であり、180μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、140μm以下がさらに好ましく、120μm以下が特に好ましい。なお、本明細書における卵殻粉の平均粒子径は、粒度分布測定器により測定される値である。
卵殻粉としては、キューピータマゴ(株)より製造販売されている卵殻カルシウム等が挙げられる。
卵殻粉のゴム成分100質量部に対する含有量は、氷上性能の観点から、5質量部以上が好ましく、8質量部以上がより好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、卵殻粉の含有量は、破壊特性の観点から、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
本実施形態に係るゴム組成物は、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般的に使用される配合剤、例えば、前記卵殻粉以外の充填剤(他の充填剤)、酸化亜鉛、ステアリン酸、オイル、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などを適宜含有することができる。
前記他の充填剤としては特に限定されず、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、タルクなどが挙げられ、これらの充填剤を単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(カーボンブラック)
通常卵殻を配合した際は破壊の起点となりやすく、破壊特性や耐摩耗性が低下する傾向にあるが、カーボンブラック、好ましくは下記の微粒子カーボンブラックを併用することで、耐摩耗性を改善することができる。これは、卵殻粉の周囲にカーボンブラックが集まり、卵殻粉が脱離した部分にカーボンブラックが多く存在するため、破壊特性や耐摩耗性の低下を抑制できるものと考えられる。また窒素含有量が極めて少ない本実施形態に係る改質天然ゴムは、カーボンブラックと強く相互作用するため、これによっても破壊特性の低下を防ぐことができるものと考えられる。
カーボンブラックとしては、ゴム用として一般的なものを適宜利用することができる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられ、具体的にはN110,N115,N120,N125,N134,N135,N219,N220,N231,N234,N293,N299,N326,N330,N339,N343,N347,N351,N356,N358,N375,N539,N550,N582,N630,N642,N650,N660,N683,N754,N762,N765,N772,N774,N787,N907,N908,N990,N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらのカーボンブラックは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、補強性の観点から、90m2/g以上が好ましく、95m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。一方、カーボンブラックのCTABに特に上限はないが、低発熱性の観点からは、165m2/g以下が好ましく、162m2/g以下がより好ましく、160m2/g以下がさらに好ましい。ここで、CTABはカーボンブラックの粒子径の大きさに相関する値であり、CTAB吸着比表面積が大きいほどカーボンブラックの粒子径が小さいことを表す。
カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は、耐摩耗性の観点から、110mg/g以上が好ましく、115mg/g以上がより好ましく、120mg/g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのIAは、加工性の観点から150mg/g以下が好ましく、148mg/g以下がより好ましく、146mg/g以下がさらに好ましい。
カーボンブラックのCTABとIAの比率(CTAB/IA)は、0.80以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.90以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックCTABの上限は特に限定されるものではないが、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましい。CTAB/IAが上記範囲内であると、氷上性能および破壊特性をバランスよく改善することができる。なお、カーボンブラックのCTABおよびIAは、それぞれJIS K 6217-3:2001、JIS K 6217-1:2001に準拠して測定できる。
カーボンブラックのオイル吸収量(DBP吸油量(OAN))は、耐摩耗性の観点から、100mL/100g以上が好ましく、105mL/100g以上がより好ましく、110mL/100g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのOANは、グリップ性能の観点から、250mL/100g以下が好ましく、225mL/100g以下がより好ましく、200mL/100g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのOANは、JIS K 6217-4:2008に準拠して測定される。
カーボンブラックのCOAN(圧縮による油吸収量(compressed oil absorption number))は、発熱性の観点から80mL/100g以上が好ましく、85mL/100g以上がより好ましく、90mL/100g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのCOANは、耐摩耗性の観点から150mL/100g以下が好ましく、145mL/100g以下がより好ましく、140mL/100g以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、カーボンブラックのCOANは、ASTM D3493に準拠して測定される。また、使用オイルはジブチルフタレート(DBP)である。
カーボンブラックのゴム成分100質量部に対する含有量は、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのゴム成分100質量部に対する含有量は、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量が上記範囲内であると、氷上性能および破壊特性をバランスよく改善することができる。
(シリカ)
シリカを含有する場合、シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)など、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。シリカは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、加硫後の補強性の観点から40m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がより好ましく、80m2/g以上がさらに好ましい。また、シリカのN2SAは、低発熱性、ゴムの加工性の観点から500m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D 3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、150質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましい。シリカの含有量が上記範囲内の場合は、十分な低発熱性、ゴムへの良好な分散、良好な加工性が得られる傾向がある。
シリカを含有させる場合には、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内の場合は、良好な加工性、ゴム強度および耐摩耗性を確保できる傾向がある。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、良好な耐摩耗性を確保する観点から、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましい。また、加工性の観点からは、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。なお、加工性は、界面活性剤、液状樹脂、液状ポリマー等の添加によっても担保することができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
老化防止剤としては特に限定されず、ゴム分野で使用されているものが使用可能であり、例えば、キノリン系、キノン系、フェノール系、フェニレンジアミン系老化防止剤等が挙げられる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能やグリップ性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.2質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、加硫速度の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保し、良好なグリップ性能および耐摩耗性を得るという観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、劣化の観点からは、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200、フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)、ランクセス社製のKA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン)等の硫黄原子を含む加硫剤や、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系もしくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、およびキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、およびグアニジン系加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。また、スルフェンアミド系加硫促進剤と他の加硫促進剤(好ましくは、チアゾール系加硫促進剤および/またはグアニジン系加硫促進剤)との併用も好ましい態様して挙げることができる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、およびN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジンが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加硫促進の観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、加工性の観点からは、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
<ゴム組成物およびタイヤの製造>
本実施形態に係るゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機等のゴム混練装置を用いて混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明の他の実施形態は、上記ゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するタイヤである。上記ゴム組成物により構成されるタイヤ部材としては、トレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード等の各タイヤ部材が挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能およびアブレージョン性能に優れることからトレッドが好ましい。
本実施形態に係るタイヤは、上記ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記の各成分を混練して得られた未加硫ゴム組成物をトレッド等のタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工した部材をタイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより製造することができる。
本実施形態に係るタイヤは、競技用タイヤ、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、モーターサイクル用タイヤに好適であり、それぞれのサマータイヤ、ウインタータイヤ、スタッドレスタイヤとして使用可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(老化防止剤分散体の調製)
水462.5gにエマルビンW(LANXESS社製) 12.5g、タモールNN9104(BASF社製) 12.5g、Van gel B(Vanderbilt社製) 12.5g、Wingstay L(ELIOKEM社製) 500g(合計1000g)をボールミルで16時間混合し、老化防止剤分散体を調製した。
(製造例1)
天然ゴムラテックス((株)タイテックスジャパンから入手したフィールドラテックス)の固形分濃度を30%(w/v)に調整した後、該ラテックス1000gに、エマールE-27C(花王(株)製)の10%水溶液25gと25%NaOH水溶液60gを加え、室温で24時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。次いで、老化防止剤分散体6gを添加し、2時間撹拌した後、さらに水を添加してゴム濃度15%(w/v)となるまで希釈した。次いで、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0に調整した後、ポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加し、2分間撹拌し、凝集させた。これにより得られた凝集物(凝集ゴム)の直径は0.5~3mm程度であった。得られた凝集物を取り出し、2質量%の炭酸ナトリウム水溶液1000mLに、常温で4時間浸漬した後、ゴムを取出した。これに、水1000mLを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返した。その後、水500mLを添加し、pH4になるまで2質量%ギ酸を添加し、30分間撹拌した。このゴムをクレーパーにより水をかけながらシート化し、90℃で4時間乾燥して天然ゴム1を得た。
(製造例2)
製造例1においてポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加して得られた凝集物を炭酸ナトリウム水溶液で処理せず、そのまま水1000mLを加えて2分間撹拌し、極力水を取り除く作業を7回繰り返したほかは、同様の手順で天然ゴム2を得た。
(製造例3)
市販のハイアンモニアラテックス(マレーシアのムヒバラテックス社製、固形ゴム分62.0%)を、0.12%のナフテン酸ソーダ水溶液で希釈して、固形ゴム分を10%にし、さらにリン酸二水素ナトリウムを添加してpHを9.2に調整した。そしてゴム分10gに対して、蛋白質分解酵素(アルカラーゼ2.0M)を0.87gの割合で添加し、さらにpHを9.2に再調整した後、37℃で24時間維持した。次に、酵素処理を完了したラテックスに、ノニオン系界面活性剤(花王(株)製の商品名エマルゲン810)の1%水溶液を加えてゴム分濃度を8%に調整し、11,000rpmの回転速度で30分間遠心分離した。次に、遠心分離により生じたクリーム状留分を、上記エマルゲン810の1%水溶液に分散して、ゴム分濃度が8%になるように調整した後、再度、11,000rpmの回転速度で30分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、得られたクリーム状留分を蒸留水に分散して、固形ゴム分60%の脱蛋白ゴムラテックスを調製した。このラテックスに2質量%ギ酸をpH4になるまで添加し、さらにポリメタアクリル酸エステル系凝集剤を添加して0.5~5mmのゴム粒を得た。これの水を極力取り除き、水をゴム分10gに対して50g添加の上、2質量%ギ酸をpH3になるまで添加した。30分後ゴムを引き上げ、クレーパーでシート化した後、90℃で4時間乾燥し、天然ゴム3を得た。
(製造例4)
天然ゴムラテックス((株)タイテックスジャパンから入手したフィールドラテックス)に水を添加して固形分濃度を15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加してpHを4.0~4.5に調整し、凝集した。凝集したゴムを粉砕し、水1000mLで洗浄を繰り返し、その後、110℃で120分間乾燥し、天然ゴム4を得た。
(窒素含有量の測定)
得られた天然ゴム1~4の窒素含有量を、CHN CORDER MT-5((株)ヤナコ分析工業製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、製造例1で得られた天然ゴムのサンプル約10mg秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS-8100、(株)島津製作所製)を使用してリン含有量を求めた。また、リンの31P-NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー(株)製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDCl3に溶解して測定した。
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
Figure 0007102824000001
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
天然ゴム1~4:製造例1~4に記載の天然ゴム
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(Mw:44万、ハイシスBR、シス-1,4結合含量:96%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(CTAB:110m2/g、IA:121mg/g、CTAB/IA:0.91、OAN:114mL/100g、COAN:98mL/100g)
卵殻粉1:キューピータマゴ(株)製のSQ-100(平均粒子径:100μm)
卵殻粉2:キューピータマゴ(株)製のSQ-130(平均粒子径:130μm)
卵殻粉3:キューピータマゴ(株)製のSQ-50(平均粒子径:50μm)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース355
老化防止剤:大内新興化学(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の「銀嶺R」
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスNH-70S
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例および比較例
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度170℃になるまで5分間混練りし、混練物を得た。さらに、得られた混練物を前記バンバリーミキサーにより、排出温度150℃で4分間、再度混練りした(リミル)。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することで、試験用ゴム組成物を作製した。
また、前記未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でタイヤトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、スタッドレスタイヤ)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物および試験用タイヤについて下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<低温氷上性能(0℃発進性能)>
ドライブ軸に試験用タイヤを装着した車両を、表所路面に停止した状態から発進させ、時速10kmに達した時の走行距離を測定した。結果は、指数で示し、指数が大きいほど低温氷上性能に優れることを示す。指数は次の式で求めた。
(低温氷上性能指数)=(比較例2の時速10kmに達した走行距離)/(各配合例の時速10kmに達した走行距離)×100
<破壊特性>
各加硫ゴム組成物からJIS K 6251に準じて3号ダンベル試験片を作製し、引っ張り試験を実施した。破断時の伸び(EB)を測定し、比較例2の値を100とした指数で表示した。指数の値が高いほど、ゴム強度が高く、破壊特性に優れることを示す。
Figure 0007102824000002
表2の結果より、所定の改質天然ゴムおよび卵殻粉を含有するゴム組成物および当該ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤは氷上性能に優れ、また好ましい態様においては破壊特性をも改善していることがわかる。

Claims (4)

  1. 窒素含有量が0.30質量%以下、かつゲル含有率が25質量%以下の天然ゴムを30質量%以上含有するゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを50質量部以上、および平均粒子径が5~200μmの卵殻粉を5~50質量部含有するゴム組成物。
  2. 臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)とヨウ素吸着量(IA)の比率(CTAB/IA)が0.80以上であるカーボンブラックを10質量部以上含有する、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量%中にブタジエンゴムを20質量%以上含有する、請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物により構成されたタイヤ部材を有するスタッドレスタイヤ。
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