JP2015151520A - タイヤ - Google Patents
タイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015151520A JP2015151520A JP2014028846A JP2014028846A JP2015151520A JP 2015151520 A JP2015151520 A JP 2015151520A JP 2014028846 A JP2014028846 A JP 2014028846A JP 2014028846 A JP2014028846 A JP 2014028846A JP 2015151520 A JP2015151520 A JP 2015151520A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- rubber
- tire
- content
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Tires In General (AREA)
Abstract
【課題】天然ゴム(NR)本来の特性を発揮しながら、加工性にも優れるゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤを提供すること。
【解決手段】トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するゴム成分に対し、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有するゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ。
【選択図】なし
【解決手段】トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するゴム成分に対し、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有するゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ。
【選択図】なし
Description
本発明は、所定のゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤに関する。
耐摩耗性
トラックやバスなどに装着される高荷重タイヤは、過酷な条件下で使用されるため、高い耐摩耗性およびトレッド欠けを防ぐための高い破壊特性が要求される。よって、高荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物のゴム成分として天然ゴムおよびブタジエンゴムを用いることが一般的である。
トラックやバスなどに装着される高荷重タイヤは、過酷な条件下で使用されるため、高い耐摩耗性およびトレッド欠けを防ぐための高い破壊特性が要求される。よって、高荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物のゴム成分として天然ゴムおよびブタジエンゴムを用いることが一般的である。
近年、高荷重タイヤのさらなる耐摩耗性の向上を目的としてブタジエンゴムの改良がおこなわれている。ブタジエンゴムの改良としては、ハイシス化、高分子量化、カーボンブラック用変性などが挙げられる。一方、天然ゴムは天然物ということもあり、ブタジエンゴムのような高荷重タイヤのトレッド特性の向上を目的とした開発は行われておらず、加工性の向上を目的とするものが主である。
転がり抵抗特性
従来、タイヤの転がり抵抗を低減させて発熱を抑制することにより、車を低燃費化することが行われている。近年、車の低燃費化に対する要求が強くなり、転がり抵抗が少なく、発熱の抑制されたタイヤに対する要求がますます強くなっている。タイヤにおける占有比率の高いトレッドの他、サイドウォール、インスレーションおよびブレーカークッションを構成するゴム組成物についても優れた低燃費性が要求されている。
従来、タイヤの転がり抵抗を低減させて発熱を抑制することにより、車を低燃費化することが行われている。近年、車の低燃費化に対する要求が強くなり、転がり抵抗が少なく、発熱の抑制されたタイヤに対する要求がますます強くなっている。タイヤにおける占有比率の高いトレッドの他、サイドウォール、インスレーションおよびブレーカークッションを構成するゴム組成物についても優れた低燃費性が要求されている。
これらの部材を構成するゴム組成物の転がり抵抗特性を向上させる方法として、低補強性の充填剤を用いる方法や、補強用充填剤の含有量を低減する方法、充填剤としてシリカを用いる方法などが知られている。しかしながら、これらの方法によれば、ゴム組成物の補強性が低下し、耐屈曲亀裂成長性が低下してしまうという問題があり、転がり抵抗特性および耐屈曲亀裂成長性に優れたゴム組成物は得られていない。
氷雪上性能
従来、氷雪路面走行用としてスパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着がなされてきたが、スパイクタイヤによる粉塵公害を防止するために、スパイクタイヤの使用が禁止され、スパイクタイヤに代わる氷雪路面走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが使用されている。
従来、氷雪路面走行用としてスパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着がなされてきたが、スパイクタイヤによる粉塵公害を防止するために、スパイクタイヤの使用が禁止され、スパイクタイヤに代わる氷雪路面走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが使用されている。
スタッドレスタイヤは、一般路面に比べ氷雪上路面で路面凹凸が大きく、材料面および設計面での工夫がなされており、例えば、低温特性(氷雪上性能)に優れたジエン系ゴムを配合し、軟化効果を高めるために軟化剤を増量したトレッド用ゴム組成物を用いること等が知られている。しかしながら、これらの方法により低温特性や軟化効果を高めると、耐摩耗性が低下してしまうという問題があり、氷雪上性能および耐摩耗性に優れたゴム組成物は得られていない。
天然ゴム
天然ゴムはシスポリイソプレンを主成分とするものであるが、合成ポリイソプレンゴムとは異なり、シスポリイソプレン以外に多くのゲル分を含む。このゲル分とは、原料ゴムにおける非ゴム成分であって溶剤に対して難溶性の成分をいい、天然ゴムが含有する蛋白質や、脂質等の不純物に起因するものと考えられている。このゲル分を含有する天然ゴムは見かけの分子量が高くなっており、ゴム組成物の製造に当たり、練りロール機や密閉式混合機で素練りし、分子量を下げてからでないと加工性が悪く使用することができない。しかし、このような素練りは、ゲル分の原因となる分岐部分を切断するというよりも、主成分であるシスポリイソプレンの分子主鎖をランダムに切断してしまい、耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の特性が失われるという問題がある。
天然ゴムはシスポリイソプレンを主成分とするものであるが、合成ポリイソプレンゴムとは異なり、シスポリイソプレン以外に多くのゲル分を含む。このゲル分とは、原料ゴムにおける非ゴム成分であって溶剤に対して難溶性の成分をいい、天然ゴムが含有する蛋白質や、脂質等の不純物に起因するものと考えられている。このゲル分を含有する天然ゴムは見かけの分子量が高くなっており、ゴム組成物の製造に当たり、練りロール機や密閉式混合機で素練りし、分子量を下げてからでないと加工性が悪く使用することができない。しかし、このような素練りは、ゲル分の原因となる分岐部分を切断するというよりも、主成分であるシスポリイソプレンの分子主鎖をランダムに切断してしまい、耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の特性が失われるという問題がある。
ゲル分の原因の一つである蛋白質は、新鮮な天然ゴムラテックスの固形分に対して約3〜5質量%含まれており、ゴム製品に接触したときに即時型アレルギーを誘発することも知られている。該アレルギー誘発物質としての蛋白質は脱蛋白処理を行い除去することである程度低減することが知られているが、脱蛋白天然ゴムの加硫ゴム物性は脱蛋白していない天然ゴムに比べて低くなるという問題がある。
天然ゴム中のゲル分を脱蛋白処理やケン化処理にて低減させる方法としては、例えば、特許文献1および2には天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤を加えて熟成する方法が、特許文献3には溶剤で膨潤した固形天然ゴムを水酸化アルカリに浸漬する方法が、特許文献4には天然ゴムラテックスにリン酸塩を添加してリン酸マグネシウムを除去する方法が、特許文献5には天然ゴムラテックスに界面活性剤を加えて洗浄処理する方法が開示されている。しかしながら、脱蛋白を行い加工性を向上させ、さらに耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の特性を発揮させることについては考慮されていない。
前述のように天然物由来である天然ゴムは、加工性を改善することを目的として素練りや脱蛋白処理、ケン化処理を行うと、加工性の改善と引き換えに耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の特性が損なわれるという問題があり、加工性に優れ、かつ耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の性質を発揮し得るゴム組成物は得られていない。
そこで本発明は、天然ゴム(NR)本来の特性を発揮しながら、加工性にも優れるゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ、特に、加工性、耐摩耗性および破壊特性にバランスよく優れるゴム組成物で構成されるトレッドを備える高荷重用タイヤ、加工性、低燃費性および耐屈曲亀裂成長性にバランスよく優れるゴム組成物で構成されるサイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを備えるタイヤ、ならびに加工性、耐摩耗性および低温特性にバランスよく優れるゴム組成物で構成されるトレッドを備えるスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
前記の課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明者は、天然ゴム中のゲル分を脱蛋白処理またはケン化処理にて低減させた後、特定の化合物を添加して再度ゲルを形成させることにより、加工性に優れ、かつ天然ゴム本来の特性を発揮させ得ることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するゴム成分に対し、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有するゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤに関する。
前記高ゲル低窒素化天然ゴムの窒素含有率が0.20%以下であることが好ましい。
前記ゴム成分が、高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するイソプレン系ゴムを50〜100質量%、ブタジエンゴムを0〜50質量%含有するゴム成分であり、前記タイヤ部材がトレッドであり、前記タイヤが高荷重用タイヤであることが好ましい。
前記高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物の、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が20〜80質量部、シリカの含有量が0〜80質量部であることが好ましい。
前記タイヤ部材がサイドウォールであることが好ましい。
前記タイヤ部材がインスレーションであることが好ましい。
前記タイヤ部材がブレーカークッションであることが好ましい。
前記タイヤ部材がトレッドであり、前記タイヤがスタッドレスタイヤであることが好ましい。
前記スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物が、さらにオイルを含有することが好ましい。
前記スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物が、さらに粘着付与樹脂および/または液状ゴムを含有することが好ましい。
本発明によれば、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するゴム成分に対し、カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有するゴム組成物で構成されたタイヤ部材を備えるタイヤとすることで、耐屈曲亀裂成長性、引張強度および耐摩耗性に優れるという天然ゴム本来の特性を発揮しながら、加工性にも優れるゴム組成物で構成されるタイヤを提供することができる。
特に、本発明に係るゴム組成物で構成されたトレッドを備える高荷重用タイヤとすることで、加工性、耐摩耗性および破壊特性にバランスよく優れた高荷重用タイヤを提供することができる。
本発明に係るゴム組成物で構成されたサイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを備えるタイヤとすることで、加工性、低燃費性および耐屈曲亀裂成長性にバランスよく優れたタイヤを提供することができる。
さらに、本発明に係るゴム組成物で構成されたトレッドを備えるスタッドレスタイヤとすることで、加工性、耐摩耗性および氷雪上性能にバランスよく優れたスタッドレスタイヤを提供することができる。
本発明に係るゴム組成物は、所定の高ゲル低窒素化天然ゴム(高ゲル低窒素化NR)を含有するゴム成分、ならびにカーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有することを特徴とする。
本発明に係るゴム組成物は、所定の高ゲル低窒素化NRを含有することで、天然ゴム(NR)本来の特性を発揮しながら、加工性にも優れることを特徴とする。本発明に係る高ゲル低窒素化NRは、ゲル分の原因の一つである蛋白質を脱蛋白処理またはケン化処理により除去することで低窒素化され、かつ、カルボキシラト基を有する化合物を添加することで高ゲル化されたNRである。
高ゲル低窒素化NRは、天然ゴムラテックスを脱蛋白処理またはケン化処理した後、カルボキシラト基を有する化合物を配合することで調製することも、天然ゴムラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合した後、脱蛋白処理またはケン化処理することで調製することもできる。
前記天然ゴムラテックスは、天然のゴムの木から得られたラテックスであり、新鮮なフィールドラテックスや、市販のアンモニア処理ラテックスなどが挙げられる。
前記脱蛋白処理としては、天然ゴムラテックスの脱蛋白処理として従来公知の方法を採用することができる。例えば、天然ゴムラテックスにタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)および界面活性剤を添加し、20〜70℃で数時間から1週間程度熟成させる方法などが挙げられる。
前記プロテアーゼは特に限定されるものではなく、従来公知の種々のプロテアーゼを用いることができるが、中でもアルカリプロテアーゼを用いることが好ましい。当該プロテアーゼは、細菌、糸状菌、酵母等のいずれに由来するものであってもよいが、これらの中では、細菌由来のものが好ましく、特にBacillus属のものが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用することも可能である。
アルカリプロテアーゼを用いる場合において、その活性〔アンソン−ヘモグロビン法(Anson.M.L.,J.Gen.Physiol.,22,79(1938))の改良法による測定値〕は0.1〜50APU/gが好ましく、1〜25APU/gがより好ましい。脱蛋白処理に使用するプロテアーゼの量はプロテアーゼ自体の活性に応じて変動するものであって、特に限定されるものではないが、一般的には、プロテアーゼの含有量が天然ゴムラテックス中のゴム固形分100質量部に対して0.0001〜20質量部であることが好ましく、0.001〜10質量部であることがより好ましい。プロテアーゼの含有量が上記範囲内であると、酵素の活性を保持しつつラテックス中の蛋白質を十分に分解することができ、あるいは酵素の使用量に見合った効果を有効に発現でき、コスト的に有利になる。
前記界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤および両性界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤には、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤には、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の界面活性剤が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。なお、脱蛋白処理の前にカルボキシラト基を有する化合物を配合する場合は、当該化合物が界面活性剤としての作用を兼ねて配合される。
前記ケン化処理を行うことで、ケン化により分離したリン化合物が洗浄除去され、リン含有率を低減させることができる。また、ケン化処理により、天然ゴムラテックス中の蛋白質が分解されるので窒素含有率も低減させることができる。
ケン化処理としては、天然ゴムラテックスのケン化処理として従来公知の方法を採用することができる。例えば、天然ゴムラテックスにアルカリおよび界面活性剤を添加して20〜70℃で3〜48時間程度静置する方法などが挙げられる。なお、必要に応じて撹拌等を行っても良い。
前記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物等が挙げられ、ケン化処理の効果や天然ゴムラテックスの安定性への影響の観点から、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
アルカリの添加量は特に限定されないが、天然ゴムラテックス中のゴム固形分100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。アルカリの添加量が0.1質量部未満の場合は、ケン化処理に時間がかかってしまう恐れがある。また、アルカリの添加量は10質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましい。10質量部を超える場合は、天然ゴムラテックスが不安定化する恐れがある。
ケン化処理に用いる界面活性剤としては、脱蛋白処理に用いる界面活性剤として挙げたアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤および両性界面活性剤などが挙げられる。
前記カルボキシラト基(−COO-)を有する化合物としては、
(a)炭素数が8〜22である飽和または不飽和の脂肪酸、
(b)ポリカルボン酸、
(c)アミド基等の窒素原子を含む基とカルボキシラト基とを有する化合物
などが挙げられる。これらの化合物は塩であってもよい。かかる塩としては、例えばナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
(a)炭素数が8〜22である飽和または不飽和の脂肪酸、
(b)ポリカルボン酸、
(c)アミド基等の窒素原子を含む基とカルボキシラト基とを有する化合物
などが挙げられる。これらの化合物は塩であってもよい。かかる塩としては、例えばナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
前記(a)の具体例としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。前記(b)の具体例としては、ポリカルボン酸型の高分子界面活性剤等が挙げられる。また、前記(c)の具体例としては、アミノ酸、アミドカルボン酸等が挙げられ、より具体的にはβ−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。カルボキシラト基を有する化合物は、前述のとおり、天然ゴムラテックスに対する脱蛋白処理またはケン化処理時に添加してもよく、脱蛋白処理またはケン化処理後に添加してもよい。
天然ゴムラテックス中のゴム固形分100質量部に対するカルボキシラト基を有する化合物の含有量は、本願発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、0.01〜10質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。カルボキシラト基を有する化合物の含有量が0.01質量部未満の場合は、ゲル含有率を30質量%以上とすることが困難になる傾向がある。また、カルボキシラト基を有する化合物の含有量が10質量部を超える場合は、含有量に見合った効果が得られなくなる傾向がある。
脱蛋白処理またはケン化処理による低窒素化、およびカルボキシラト基を有する化合物の添加による高ゲル化が施された天然ゴムラテックスは、さらに遠心分離、ギ酸等の添加によるゴム分の凝集、などの処理を経て、ゴム分と、蛋白質およびその分解物との分離ならびに除去(洗浄処理)を施すことが好ましい。かかる洗浄処理を経ることにより、本発明に係る高ゲル低窒素化NRとなる。
前記高ゲル低窒素化NRのゲル含有率は、30質量%以上であり、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。ゲル含有率が30質量%未満の場合は、耐摩耗性および破壊特性の向上効果が得られにくくなる傾向がある。また、高ゲル低窒素化NRのゲル含有率は、特に上限はないが、80質量%以下が好ましい。ゲル含有率が80質量%を超える場合は、加工性が大幅に悪化する傾向がある。なお、本明細書中のゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定される値である。NRのゲル含有率は、次の測定方法により測定される。まず、NR試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×105rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
また、高ゲル低窒素化NRの窒素含有率は0.30質量%以下であり、0.20質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましい。窒素含有率が0.30質量%を超える場合は、ゲル量の上昇とともに加工性が悪化し、脱蛋白処理による効果が不十分となる恐れがある。また、窒素含有率の下限値は低い方が好ましく、できれば窒素を含有しないことが望ましいが、製法等の制限から、下限は通常0.03質量%である。なお、NRの窒素含有率はケルダール試験法により測定される。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物におけるゴム成分中の高ゲル低窒素化NRの含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。含有量が40質量%未満の場合は、高ゲル低窒素化NRを含有することの効果が不十分となる恐れがある。また、高ゲル低窒素化NRの含有量は、加工性と破壊特性に優れるという理由から100質量%が好ましく、耐摩耗性に優れるという理由からは、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
サイドウォールを構成するゴム組成物におけるゴム成分中の高ゲル低窒素化NRの含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。含有量が5質量%未満の場合は、高ゲル低窒素化NRを含有することの効果が不十分となる恐れがある。また、高ゲル低窒素化NRの含有量は、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。含有量が60質量%を超える場合は、優れた耐屈曲亀裂成長性が得られなくなる恐れがある。
インスレーションを構成するゴム組成物におけるゴム成分中の高ゲル低窒素化NRの含有量は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましい。含有量が15質量%未満の場合は、高ゲル低窒素化NRを含有することの効果が不十分となる恐れがある。また、高ゲル低窒素化NRの含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。含有量が95質量%を超える場合は、優れた耐屈曲亀裂成長性が得られなくなる恐れがある。
ブレーカークッションを構成するゴム組成物におけるゴム成分中の高ゲル低窒素化NRの含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。含有量が10質量%未満の場合は、高ゲル低窒素化NRを含有することの効果が不十分となる恐れがある。また、高ゲル低窒素化NRの含有量は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。含有量が90質量%を超える場合は、優れた耐屈曲亀裂成長性が得られなくなる恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物におけるゴム成分中の高ゲル低窒素化NRの含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。含有量が10質量%未満の場合は、高ゲル低窒素化NRを含有することの効果が不十分となる恐れがある。また、高ゲル低窒素化NRの含有量は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。含有量が70質量%を超える場合は、低温特性が悪化し、スタッドレスタイヤに必要な氷雪上性能が確保できなくなる恐れがある。
本発明に係るゴム組成物は、前記高ゲル低窒素化NR以外の他のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては特に限定されず、例えば、高ゲル低窒素化されていない天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物、サイドウォールおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物は耐屈曲亀裂成長性に優れるという理由からBRが好ましく、インスレーションを構成するゴム組成物においては、加工性に優れるという理由からSBRが好ましく、スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物においては、低温特性および加工性に優れるという理由からBRが好ましい。
ここで、高ゲル低窒素化されていないNRを含有する場合、混練工程の前に当該NRに素練促進剤を加え、練りロール機や密閉式混合機で素練りを行う必要がある。よって、本発明に係るゴム組成物は、高ゲル低窒素化されていないNRを含有しないことが、NRを含有するにも関わらず素練促進剤を含有せず、かつNRの素練工程を行わずにゴム成分の混練工程を行うことができるという点から好ましい。
前記BRとしては特に限定されず、ハイシス1,4−ポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)等が挙げられる。
前記ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等が挙げられる。
前記SPB含有BRは、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を単にBR中に分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)製のVCR303、VCR412、VCR617等が挙げられる。
前記変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3−ブタジエンの重合をおこなったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ−炭素結合で結合されているもの等が挙げられる。このような変性BRとしては、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1250H(スズ変性)、住友化学工業(株)製のS変性ポリマー(シラン変性)等が挙げられる。
これらの各種BRの中でも、加工性、耐摩耗性および破壊特性において優れるという点からハイシスBRを用いることが好ましい。なかでも、優れた低燃費性と加工性が得られるという理由から、ハイシスBRの1,4−シス結合含量は70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物がBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、加工性と破壊特性に優れるという理由から0質量%であってもよく、耐摩耗性に優れるという理由からは、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。また、BRの含有量は60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。含有量が60質量%を超える場合は、加工性と破壊特性が大幅に悪化する恐れがある。
サイドウォールを構成するゴム組成物がBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。含有量が40質量%未満の場合は、高い耐屈曲亀裂成長性が得られない恐れがある。また、BRの含有量は95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。BRの含有量が95質量%を超える場合は、優れた低燃費性が得られない恐れがある。
ブレーカークッションを構成するゴム組成物がBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。含有量が10質量%未満の場合は、高い耐屈曲亀裂成長性が得られない恐れがある。また、BRの含有量は90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。含有量が90質量%を超える場合は、優れた低燃費性が得られない恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。含有量が30質量%未満の場合は、氷雪上性能が悪化する恐れがある。また、BRの含有量は90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。含有量が90質量%を超える場合は、加工性が悪化する恐れがある。
前記SBRとしては、乳化重合により得られる乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合により得られる溶液重合SBR(S−SBR)、およびこれらのSBRを変性させた変性SBR(変性E−SBR、変性S−SBR)等が挙げられる。
SBRのスチレン含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。スチレン含有量が5質量%未満の場合は、加工性が低下する恐れがある。また、SBRのスチレン含有量は、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。スチレン含有量が50質量%を超える場合は、優れた低燃費性が得られない恐れがある。なお、SBRのスチレン含有量は、H1−NMR測定により算出される。
インスレーションを構成するゴム組成物がSBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。含有量が5質量%未満の場合は、高い耐屈曲亀裂成長性が得られない恐れがある。また、SBRの含有量は85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましい。含有量が85質量%を超える場合は、優れた低燃費性が得られない恐れがある。
本発明に係るゴム組成物はカーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有する。これらを含有することで、補強効果が高まり、耐屈曲亀裂成長性、破壊特性および耐摩耗性を向上することができる。
カーボンブラックとしては、タイヤ工業において一般的に用いられているSAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF等が挙げられ、これらのカーボンブラックを単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物が含有するカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、20m2/g以上が好ましく、35m2/g以上がより好ましく、70m2/g以上がさらに好ましく、100m2/g以上が特に好ましい。N2SAが20m2/g未満の場合は、加工性が悪化する恐れ、十分な補強性が得られない恐れがある。また、カーボンブラックのN2SAは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。N2SAが200m2/gを超える場合は、良好に分散させることが困難となる恐れがある。なお、本明細書におけるカーボンブラックのN2SAは、JIS K6217−2のA法によって測定される値である。
サイドウォールまたはブレーカークッションを構成するゴム組成物が含有するカーボンブラックのN2SAは、10m2/g以上が好ましく、20m2/g以上がより好ましく、40m2/g以上がさらに好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合は、加工性が悪化する恐れ、十分な破壊強度が得られない恐れがある。また、カーボンブラックのN2SAは、150m2/g以下が好ましく、80m2/g以下がより好ましく、50m2/g以下がさらに好ましい。N2SAが150m2/gを超える場合は、良好に分散させることが困難となる恐れがある。
インスレーションを構成するゴム組成物が含有するカーボンブラックのN2SAは、10m2/g以上が好ましく、20m2/g以上がより好ましく、25m2/g以上がさらに好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合は、加工性が悪化する恐れ、十分な破壊強度が得られない恐れがある。また、カーボンブラックのN2SAは、150m2/g以下が好ましく、80m2/g以下がより好ましく、50m2/g以下がさらに好ましく、30m2/g以下が特に好ましい。N2SAが150m2/gを超える場合は、良好に分散させることが困難となる恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物が含有するカーボンブラックのN2SAは、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましい。N2SAが50m2/g未満の場合は、良好に分散させることが困難となる恐れがある。また、カーボンブラックのN2SAは、180m2/g以下が好ましく、130m2/g以下がより好ましい。N2SAが180m2/gを超える場合は、加工性や低燃費性が悪化する恐れがある。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。含有量が5質量部未満の場合は、十分な補強性が得られない恐れがある。また、カーボンブラックの含有量は、100質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましい。含有量が100質量部を超える場合は、分散性や加工性が悪化する恐れがある。
サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましく、40質量部以上が最も好ましい。含有量が5質量部未満の場合は、十分なゴム物性が得られない恐れがあり、特に白色充填剤を併用しない場合、本発明に係るNRを配合したことにより得られる耐屈曲亀裂成長性の向上効果を十分に得られない恐れがある。また、カーボンブラックの含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下がさらに好ましい。含有量が100質量部を超える場合は、分散性や加工性が悪化する恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。含有量が10質量部未満の場合は、補強性(耐摩耗性)、氷雪上性能の向上効果が小さくなる恐れがある。また、カーボンブラックの含有量は、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、35質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量が100質量部を超える場合は、氷雪上性能が悪化する恐れがある。
前記白色充填剤としては、ゴム工業で一般的に用いられているもの、例えば、シリカ、卵殻粉、炭酸カルシウム、セリサイト等の雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタン等が挙げられる。白色充填剤を配合した場合、本発明に係るNRを配合したことにより得られる低燃費性の向上効果が大きくなる。上記白色充填剤のなかでも、低燃費性およびゴム強度の点から、シリカが好ましい。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法により得られるシリカ(無水ケイ酸)および/または湿式法により得られるシリカ(含水ケイ酸)等が挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法により得られるシリカ(含水ケイ酸)を用いることが好ましい。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物が含有するシリカのN2SAは、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。N2SAが50m2/g未満の場合は、十分な補強性が得られない恐れがある。また、シリカのN2SAは、500m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。N2SAが500m2/gを超える場合は、加工性が大幅に悪化する恐れがある。なお、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じて測定される値である。
サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物が含有するシリカのN2SAは、30m2/g以上が好ましく、60m2/g以上がより好ましく、100m2/g以上がさらに好ましい。N2SAが30m2/g未満の場合は、加硫後の破壊強度(耐屈曲亀裂成長性)が低下する恐れがある。また、シリカのN2SAは、200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましく、120m2/g以下がさらに好ましい。N2SAが200m2/gを超える場合は、加工性が悪化する恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物が含有するシリカのN2SAは、40m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。N2SAが40m2/g未満の場合は、シリカが分散不良となる恐れがある。また、シリカのN2SAは、220m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。N2SAが220m2/gを超える場合は、低燃費性が劣る恐れがある。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物がシリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、耐摩耗性に優れるという理由から0質量部であってもよく、破壊特性を向上させるという理由からは、5質量部以上がより好ましく、8質量部以上がさらに好ましい。また、シリカの含有量は、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。シリカの含有量が100質量部を超える場合は、加工性が悪化する恐れがある。
サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物がシリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。含有量が5質量部未満の場合は、十分な低燃費性が得られない恐れがある。また、シリカの含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましくい。含有量が100質量部を超える場合は、加工性が悪化する恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がシリカを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。含有量が2質量部未満の場合は、十分な補強性が得られない恐れがある。また、シリカの含有量は、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。含有量が100質量部を超える場合は、分散性や加工性が悪化する恐れがある。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物がカーボンブラックおよび白色充填剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。合計含有量が20質量部未満の場合は、十分なゴム物性が得られない恐れがある。また、カーボンブラックおよび白色充填剤の合計含有量は、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。合計含有量が100質量部を超える場合は、加工性が悪化したり、十分な低燃費性が得られない恐れがある。
サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物がカーボンブラックおよび白色充填剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、40質量部以上が特に好ましく、50質量部以上が最も好ましい。合計含有量が10質量部未満の場合は、十分なゴム物性が得られない恐れ、本発明に係るNRを配合したことによる効果が十分に得られない恐れがある。また、カーボンブラックおよび白色充填剤の合計含有量は、150質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。合計含有量が150質量部を超える場合は、加工性が悪化する恐れ、十分な低燃費性が得られない恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がカーボンブラックおよび白色充填剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する合計含有量は、20質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましい。また、カーボンブラックおよび白色充填剤の合計含有量は、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましい。卵殻粉と後述の粘着付与樹脂および/または液状ゴムとの併用とともに、上記範囲内の量を配合することで優れた低温特性が得られる。
シリカを含有する場合はシランカップリング剤を併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、EVONIK−DEGUSSA社製のSi75、Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)、同社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、Momentive社製のNXT−Z100、NXT−Z45、NXT等のメルカプト系(メルカプト基を有するシランカップリング剤)、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロ系等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系がシリカとの結合力が強く、低燃費性において優れるという点から好ましい。また、メルカプト系を使用すると、低燃費性および耐久性を好適に向上できるという点からより好ましい。
高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。含有量が2質量部未満の場合は、シリカ分散性の改善効果が不十分となる恐れがある。また、シランカップリング剤の含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。含有量が25質量部を超える場合は、含有量に見合った効果が得られず、コストが悪化する傾向がある。
サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。含有量が2質量部未満の場合は、シリカ分散性の改善効果が十分に得られず、十分なゴム物性が得られない恐れがある。また、シランカップリング剤の含有量は、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。含有量が15質量部を超える場合は、分散性や加工性が悪化する恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましい。また、含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量を当該範囲とすることで、良好な補強性および耐摩耗性が得られる。
本発明に係るゴム組成物は、前記のゴム成分、カーボンブラックおよび白色充填剤以外にも、通常ゴム工業で使用される配合剤、例えば、アロマオイル等のオイル、軟化剤、ワックス、各種老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、硫黄、各種加硫促進剤等を適宜含有することができる。特に、スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物は、粘着付与樹脂および/または液状ゴムを含有することができる。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物はオイルを含有することが、良好な低温特性が得られ、氷雪上性能が向上するという理由から好ましい。当該オイルとしては特に限定されず、タイヤ工業で一般的に用いられているプロセスオイルやアロマオイル等が挙げられる。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物がオイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、オイルの含有量は、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。オイルの含有量を当該範囲とすることで本発明に係る効果が良好に得られる。
さらに、スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物は粘着付与樹脂および/または液状ゴムを含有することが、初期氷雪上性能を高めると同時に、経時的なゴム硬度の上昇を抑制することができるという理由から好ましい。
粘着付与樹脂としては、例えば、クマロン樹脂、石油系樹脂(脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂等)、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、経時的なゴム硬度の上昇を抑制できる点から、クマロン樹脂、石油系樹脂(特に芳香族系石油樹脂)が好ましい。具体的に、クマロン樹脂としては、神戸油化学工業(株)製のクマロン樹脂、新日鐵化学(株)製のエスクロン等が、石油系樹脂としては、新日本石油化学(株)製のネオポリマー等が好適に用いられる。
粘着付与樹脂の数平均分子量(Mn)は200以上が好ましく、300以上がより好ましい。Mnが200未満の場合は、硬度上昇抑制効果が小さくなる恐れがある。また、粘着付与樹脂のMnは1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。Mnが1000を超える場合は、ゴム硬度が高くなり氷雪上性能の改善効果が得られない恐れがある。なお、本明細書における粘着付与樹脂のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計)を用い、標準ポリスチレンにより換算して測定される値であり、後述の液状ゴムのMnについても同様である。
液状ゴムとしては、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)等が挙げられる。これらの液状ゴムは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、少ない配合量で氷雪上性能を効率的に改善できるという理由から、液状BRおよび液状SBRが好ましい。具体的な液状BRおよび液状SBRとしては、サートマー社(Sertomer Company Inc.)製のライコンシリーズ等が好適に用いられる。
液状ゴムのMnは1000以上が好ましく、1500以上がより好ましい。Mnが1000未満の場合は、硬度上昇抑制効果が小さくなる恐れがある。また、液状ゴムのMnは10000以下が好ましく、9000以下がより好ましい。Mnが10000を超える場合は、ゴム硬度が高くなり氷雪上性能の改善効果が得られない恐れがある。なお、前述のゴム成分はMnが100000以上の固形ゴムである。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物が粘着付与樹脂および/または液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。含有量が2質量部未満の場合は、氷雪上性能の改善効果が得られない恐れがある。また、粘着付与樹脂および/または液状ゴムの含有量は25質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。含有量が25質量部を超える場合は、ゴム硬度が高くなり氷雪上性能の改善効果が得られない恐れがある。
スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物の硬度は40〜70であることが、良好な低温特性が得られるという理由から好ましい。なお、本明細書におけるゴム組成物の硬度はJIS−A硬度であり、JIS K6253に準じて0℃の環境下で測定される値である。
本発明に係るゴム組成物の製造方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のタイヤは、本発明に係るゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して前記の配合剤を必要に応じて配合した本発明に係るゴム組成物を、未加硫の段階で各タイヤ部材(トレッド、サイドウォール、インスレーションまたはブレーカークッション)の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することで未加硫タイヤとし、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。
ここで、タイヤのインスレーションとは、カーカスとインナーライナーとの間に設けられる部材である。具体的には、特開2008−150523号公報の図1および2等に示される部材である。また、タイヤのブレーカークッションとは、ブレーカーのエッジ部とケースとの間に設けられる部材である。具体的には、特開2006−273934号公報の図1、特開2004−161862号公報の図1等に示される部材である。
本発明のタイヤとしては、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ等が挙げられ、なかでも乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤおよび乗用車用スタッドレスタイヤに好適に使用できる。
実施例にもとづいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品をまとめて説明する。
天然ゴムラテックス:タイテックス社製のフィールドラテックス
ハイアンモニア天然ゴムラテックス(DRC:60質量%、アンモニア含有率:0.7%、窒素含有率:0.3%)
アルカリプロテアーゼ:花王(株)製のPW−102
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
配合剤1:三洋化成工業(株)製のレボンAPL(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤2:花王(株)製のデモールEP(特殊ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤3:和光純薬工業(株)製のオレイン酸 1級(カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤4:東京化成工業(株)製のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン界面活性剤、カルボキシラト基を有しない化合物)
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のBR150B(ハイシスBR、シス−1,4結合含量:96%)
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E−SBR、スチレン含有量:23.5質量%)
カーボンブラック1:キャボットジャパン(株)製のショウブラック(ISAF、N220、N2SA:114m2/g)
カーボンブラック2:東海カーボン(株)製のシーストSO(FEF、N550、N2SA:45m2/g)
カーボンブラック3:東海カーボン(株)製のシーストV(GPF、N660、N2SA:27m2/g)
カーボンブラック4:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAF、N220、N2SA:114m2/g)
シリカ1:EVONIK−DEGUSSA社製のUltrasil VN3(N2SA:175m2/g)
シリカ2:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(N2SA:110m2/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスP−200
粘着付与樹脂:神戸油化学工業(株)製のクマロン樹脂125℃(クマロン樹脂、Mn:400)
液状ゴム:サートマー社製のライコン150(液状BR、Mn:3900)
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:川口化学工業(株)製のアンテージRD(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエースワックス
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
天然ゴムラテックス:タイテックス社製のフィールドラテックス
ハイアンモニア天然ゴムラテックス(DRC:60質量%、アンモニア含有率:0.7%、窒素含有率:0.3%)
アルカリプロテアーゼ:花王(株)製のPW−102
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
配合剤1:三洋化成工業(株)製のレボンAPL(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤2:花王(株)製のデモールEP(特殊ポリカルボン酸系高分子界面活性剤、カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤3:和光純薬工業(株)製のオレイン酸 1級(カルボキシラト基を有する化合物)
配合剤4:東京化成工業(株)製のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン界面活性剤、カルボキシラト基を有しない化合物)
ブタジエンゴム(BR):宇部興産(株)製のBR150B(ハイシスBR、シス−1,4結合含量:96%)
スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E−SBR、スチレン含有量:23.5質量%)
カーボンブラック1:キャボットジャパン(株)製のショウブラック(ISAF、N220、N2SA:114m2/g)
カーボンブラック2:東海カーボン(株)製のシーストSO(FEF、N550、N2SA:45m2/g)
カーボンブラック3:東海カーボン(株)製のシーストV(GPF、N660、N2SA:27m2/g)
カーボンブラック4:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ISAF、N220、N2SA:114m2/g)
シリカ1:EVONIK−DEGUSSA社製のUltrasil VN3(N2SA:175m2/g)
シリカ2:ローディアジャパン(株)製のシリカ115Gr(N2SA:110m2/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスP−200
粘着付与樹脂:神戸油化学工業(株)製のクマロン樹脂125℃(クマロン樹脂、Mn:400)
液状ゴム:サートマー社製のライコン150(液状BR、Mn:3900)
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:川口化学工業(株)製のアンテージRD(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエースワックス
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
天然ゴムサンプルの調製
脱蛋白処理および高ゲル化(NRサンプルA〜DおよびH)
<脱蛋白処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス中のゴム固形分100質量部に対し、0.07質量部のアルカリプロテアーゼ、および1.5質量部の表1の「処理時」の欄に示す配合剤を添加し、30℃で24時間静置した。なお、NRサンプルAおよびBで添加した配合剤はカルボキシラト基を有する化合物であり、脱蛋白と併せて高ゲル化も行った。
<洗浄処理>
静置後、天然ゴムラテックスに13000rpmで30分間の遠心分離処理を施し、上層に分離したクリーム分を取り出した。さらに、このクリーム分を同体積のイオン交換水に再分散させて洗浄処理を行った。
<凝集処理>
洗浄処理後の天然ゴムラテックスのDRCを15%(w/v)に調整した後、5質量%のギ酸を添加してゴム分を凝集させ、凝集したゴム分から漿液を搾り出し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形のNRサンプルA〜DおよびHを得た。なお、NRサンプルCおよびDについては、洗浄処理後のラテックスのDRC調整の際に、表1の「処理後」の欄に示す各配合剤をゴム固形分100質量部に対して0.5質量部添加し、高ゲル化を行った。
脱蛋白処理および高ゲル化(NRサンプルA〜DおよびH)
<脱蛋白処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス中のゴム固形分100質量部に対し、0.07質量部のアルカリプロテアーゼ、および1.5質量部の表1の「処理時」の欄に示す配合剤を添加し、30℃で24時間静置した。なお、NRサンプルAおよびBで添加した配合剤はカルボキシラト基を有する化合物であり、脱蛋白と併せて高ゲル化も行った。
<洗浄処理>
静置後、天然ゴムラテックスに13000rpmで30分間の遠心分離処理を施し、上層に分離したクリーム分を取り出した。さらに、このクリーム分を同体積のイオン交換水に再分散させて洗浄処理を行った。
<凝集処理>
洗浄処理後の天然ゴムラテックスのDRCを15%(w/v)に調整した後、5質量%のギ酸を添加してゴム分を凝集させ、凝集したゴム分から漿液を搾り出し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形のNRサンプルA〜DおよびHを得た。なお、NRサンプルCおよびDについては、洗浄処理後のラテックスのDRC調整の際に、表1の「処理後」の欄に示す各配合剤をゴム固形分100質量部に対して0.5質量部添加し、高ゲル化を行った。
ケン化処理および高ゲル化(NRサンプルE〜G)
<ケン化処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、6gのNaOHおよび4.5g(ゴム固形分100質量部に対し1.5質量部)の表1の「処理時」の欄に示す配合剤を添加し、室温で48時間ケン化反応を行った。なお、NRサンプルEおよびFで添加した配合剤はカルボキシラト基を有する化合物であり、ケン化と併せて高ゲル化も行った。
<凝集処理>
ケン化処理後の天然ゴムラテックスのDRCを15%(w/v)に調整した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、ゴム分を凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、1000mlの水で洗浄を繰り返し、その後110℃で2時間乾燥させて固形のNRサンプルE〜Gを得た。なお、NRサンプルGについては、洗浄処理後のラテックスのDRC調整の際に、表1の「処理後」の欄に示す配合剤をゴム固形分100質量部に対して0.5質量部添加し、高ゲル化を行った。
<ケン化処理>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、6gのNaOHおよび4.5g(ゴム固形分100質量部に対し1.5質量部)の表1の「処理時」の欄に示す配合剤を添加し、室温で48時間ケン化反応を行った。なお、NRサンプルEおよびFで添加した配合剤はカルボキシラト基を有する化合物であり、ケン化と併せて高ゲル化も行った。
<凝集処理>
ケン化処理後の天然ゴムラテックスのDRCを15%(w/v)に調整した後、ゆっくり攪拌しながらギ酸を添加しpHを4.0〜4.5に調整し、ゴム分を凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、1000mlの水で洗浄を繰り返し、その後110℃で2時間乾燥させて固形のNRサンプルE〜Gを得た。なお、NRサンプルGについては、洗浄処理後のラテックスのDRC調整の際に、表1の「処理後」の欄に示す配合剤をゴム固形分100質量部に対して0.5質量部添加し、高ゲル化を行った。
固形天然ゴムI
ハイアンモニア天然ゴムラテックスのDRCを30%(w/v)に調整した後、5質量%のギ酸を添加した。こうして凝固したゴム分から漿液を搾り出し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形のNRサンプルIを得た。
ハイアンモニア天然ゴムラテックスのDRCを30%(w/v)に調整した後、5質量%のギ酸を添加した。こうして凝固したゴム分から漿液を搾り出し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形のNRサンプルIを得た。
調製されたNRサンプルA〜Iについて次の測定を行った。測定結果を表1に示す。
<ゲル含有率の測定>
各NRサンプルを1mm×1mmに切断し70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、1.3×105rpmで30分間遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥させて質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=(乾燥後の質量)/(最初のサンプル質量)×100
各NRサンプルを1mm×1mmに切断し70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、1.3×105rpmで30分間遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥させて質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=(乾燥後の質量)/(最初のサンプル質量)×100
<窒素含有率の測定>
各NRサンプルの窒素含有率は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業(株)製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有率を求めるための検量線を作成した。次いで、各天然ゴムサンプルを約10mg秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、窒素含有率とした。
各NRサンプルの窒素含有率は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業(株)製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有率を求めるための検量線を作成した。次いで、各天然ゴムサンプルを約10mg秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、窒素含有率とした。
実施例1〜14および比較例1〜4(高荷重用タイヤのトレッドを構成するゴム組成物)
表2および表3に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
表2および表3に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物および加硫ゴム組成物を用いて以下に示す方法により評価を行った。評価結果を表2および表3に示す。なお、表2における基準比較例は比較例1、表3における基準比較例は比較例3とした。
<加工性>
JIS K6300に準じて、130℃における各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=
(基準比較例のムーニー粘度)/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
JIS K6300に準じて、130℃における各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=
(基準比較例のムーニー粘度)/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
<耐摩耗性>
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、かつ落砂量15g/minでスリップ率20%にて各加硫ゴム組成物の摩耗を測定した。下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(基準比較例の摩耗)/(各加硫ゴム組成物の摩耗)×100
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、かつ落砂量15g/minでスリップ率20%にて各加硫ゴム組成物の摩耗を測定した。下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(基準比較例の摩耗)/(各加硫ゴム組成物の摩耗)×100
<破壊特性>
JIS K6251に準じて、各加硫ゴム組成物の引張試験を行い、破断伸びを測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほどゴム強度が強く、破壊特性に優れることを示す。
(破壊特性指数)=
(各加硫ゴム組成物の破断伸び)/(基準比較例の破断伸び)×100
JIS K6251に準じて、各加硫ゴム組成物の引張試験を行い、破断伸びを測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほどゴム強度が強く、破壊特性に優れることを示す。
(破壊特性指数)=
(各加硫ゴム組成物の破断伸び)/(基準比較例の破断伸び)×100
実施例15〜28および比較例5〜8(サイドウォールを構成するゴム組成物)
実施例29〜35および比較例9および10(インスレーションを構成するゴム組成物)
実施例36〜42および比較例11および12(ブレーカークッションを構成するゴム組成物)
表4〜7に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
実施例29〜35および比較例9および10(インスレーションを構成するゴム組成物)
実施例36〜42および比較例11および12(ブレーカークッションを構成するゴム組成物)
表4〜7に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物および加硫ゴム組成物を用いて以下に示す方法により評価を行った。評価結果を表4〜7に示す。なお、表4における基準比較例は比較例5、表5における基準比較例は比較例7、表6における基準比較例は比較例9、表7における基準比較例は比較例11とした。
<加工性>
JIS K6300に準じて、130℃における各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=(基準比較例のムーニー粘度)
/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
JIS K6300に準じて、130℃における各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=(基準比較例のムーニー粘度)
/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
<低燃費性>
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほどtanδが小さく、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(基準比較例のtanδ)
/(各加硫ゴム組成物のtanδ)×100
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほどtanδが小さく、低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(基準比較例のtanδ)
/(各加硫ゴム組成物のtanδ)×100
<耐屈曲亀裂成長性>
JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいて加硫ゴム組成物のサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(基準比較例の亀裂長さ)
/(各加硫ゴム組成物の亀裂長さ)×100
JIS K6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいて加硫ゴム組成物のサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してサンプルを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
(耐屈曲亀裂成長性指数)=(基準比較例の亀裂長さ)
/(各加硫ゴム組成物の亀裂長さ)×100
実施例43〜63および比較例13〜18(スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物)
表8〜10に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
表8〜10に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を混練りし、混練り物を得た。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。そして、得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、2mm厚の金型を用いてプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
さらに、前記未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で15分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、スタッドレスタイヤ)を製造した。
得られた未加硫ゴム組成物および加硫ゴム組成物を用いて以下に示す方法により評価を行った。評価結果を表8〜10に示す。なお、表8〜10における基準比較例は比較例13とした。
<加工性>
JIS K6300に準じて、130℃における未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=(基準比較例のムーニー粘度)
/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
JIS K6300に準じて、130℃における未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。結果を、下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(加工性指数)=(基準比較例のムーニー粘度)
/(各未加硫ゴム組成物のムーニー粘度)×100
<耐摩耗性>
各試験用タイヤを試験用実車(国産FF車、排気量:2000cc)に装着し、ドライアスファルト路面上を8000km走行させ、タイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤトレッド部の溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各試験用タイヤのタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)
/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
各試験用タイヤを試験用実車(国産FF車、排気量:2000cc)に装着し、ドライアスファルト路面上を8000km走行させ、タイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤトレッド部の溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。下記の式により基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各試験用タイヤのタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)
/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
<氷雪上性能>
各試験用タイヤを試験用実車(国産FR車、排気量:2000cc)に装着し、下記の条件の下、氷雪上で実車性能を評価した。試験場所は住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで行い、氷雪上気温は−1〜−6℃、雪上気温は−2〜−10℃であった。制動性能(氷雪上制動停止距離):時速30km/hでロックブレーキを踏み停止するまでに要した氷雪上の停止距離を測定した。結果は、下記式により、基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど氷雪上性能に優れることを示す。
(氷雪上性能指数)=
(基準比較例の制動停止距離)/(各試験用タイヤの制動停止距離)×100
各試験用タイヤを試験用実車(国産FR車、排気量:2000cc)に装着し、下記の条件の下、氷雪上で実車性能を評価した。試験場所は住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで行い、氷雪上気温は−1〜−6℃、雪上気温は−2〜−10℃であった。制動性能(氷雪上制動停止距離):時速30km/hでロックブレーキを踏み停止するまでに要した氷雪上の停止距離を測定した。結果は、下記式により、基準比較例を100とする指数で示した。指数が大きいほど氷雪上性能に優れることを示す。
(氷雪上性能指数)=
(基準比較例の制動停止距離)/(各試験用タイヤの制動停止距離)×100
表2〜10の結果より、トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するタイヤ部材を構成するゴム組成物は、天然ゴム本来の特性を発揮しながら、加工性にも優れることがわかる。
特に表2および3の結果より、高荷重タイヤのトレッドを構成するゴム組成物は、加工性、耐摩耗性および破壊特性にバランスよく優れることがわかる。
表4〜7の結果より、サイドウォール、インスレーションおよび/またはブレーカークッションを構成するゴム組成物は、加工性、低燃費性および耐屈曲亀裂成長性にバランスよく優れることがわかる。
また、表8〜10の結果より、スタッドレスタイヤのトレッドを構成するゴム組成物は、加工性、耐摩耗性および低温特性にバランスよく優れることがわかる。
Claims (10)
- トルエン不溶分として測定されるゲル含有率が30質量%以上、窒素含有率が0.30%以下であり、カルボキシラト基を有する化合物を含有する高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するゴム成分に対し、
カーボンブラックおよび/または白色充填剤を含有するゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ。 - 前記高ゲル低窒素化天然ゴムの窒素含有率が0.20%以下である請求項1記載のタイヤ。
- 前記ゴム成分が、高ゲル低窒素化天然ゴムを含有するイソプレン系ゴムを50〜100質量%、ブタジエンゴムを0〜50質量%含有するゴム成分であり、
前記タイヤ部材がトレッドであり、
前記タイヤが高荷重用タイヤである請求項1または2記載のタイヤ。 - ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が20〜80質量部、シリカの含有量が0〜80質量部である請求項3記載のタイヤ。
- 前記タイヤ部材がサイドウォールである請求項1または2記載のタイヤ。
- 前記タイヤ部材がインスレーションである請求項1または2記載のタイヤ。
- 前記タイヤ部材がブレーカークッションである請求項1または2記載のタイヤ。
- 前記タイヤ部材がトレッドであり、前記タイヤがスタッドレスタイヤである請求項1または2記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、さらにオイルを含有する請求項8記載のタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、さらに粘着付与樹脂および/または液状ゴムを含有する請求項8または9記載のタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014028846A JP2015151520A (ja) | 2014-02-18 | 2014-02-18 | タイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014028846A JP2015151520A (ja) | 2014-02-18 | 2014-02-18 | タイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015151520A true JP2015151520A (ja) | 2015-08-24 |
Family
ID=53894129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014028846A Pending JP2015151520A (ja) | 2014-02-18 | 2014-02-18 | タイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015151520A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019167410A (ja) * | 2018-03-22 | 2019-10-03 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ用ゴム組成物 |
JP2020117609A (ja) * | 2019-01-23 | 2020-08-06 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
WO2022177017A1 (ja) * | 2021-02-22 | 2022-08-25 | 株式会社Moresco | ゴム組成物、タイヤ、及びタイヤ用添加剤 |
-
2014
- 2014-02-18 JP JP2014028846A patent/JP2015151520A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019167410A (ja) * | 2018-03-22 | 2019-10-03 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ用ゴム組成物 |
JP7102824B2 (ja) | 2018-03-22 | 2022-07-20 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤ用ゴム組成物 |
JP2020117609A (ja) * | 2019-01-23 | 2020-08-06 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
JP7225827B2 (ja) | 2019-01-23 | 2023-02-21 | 横浜ゴム株式会社 | ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
WO2022177017A1 (ja) * | 2021-02-22 | 2022-08-25 | 株式会社Moresco | ゴム組成物、タイヤ、及びタイヤ用添加剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8623956B2 (en) | Rubber composition for sidewall, insulation or breaker cushion, production method thereof, and pneumatic tire | |
US8658730B2 (en) | Rubber composition for tire, and pneumatic tire | |
EP3075775B1 (en) | Rubber composition for tires and pneumatic tire | |
JP5894182B2 (ja) | スタッドレスタイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ | |
JP6334314B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
EP3075771B1 (en) | Rubber composition for tires and pneumatic tire | |
US8022132B2 (en) | Rubber composition for studless tire and studless tire | |
JP5650796B2 (ja) | スタッドレスタイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ | |
JP2011231214A (ja) | クリンチエイペックス又はビードエイペックス用ゴム組成物、これらの製造方法及び空気入りタイヤ | |
EP3075774B1 (en) | Rubber composition for tires and pneumatic tire | |
JP7091716B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物 | |
JP2007169500A (ja) | スタッドレスタイヤ用ゴム組成物 | |
JP7159566B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物 | |
JP2015151520A (ja) | タイヤ | |
JP5038040B2 (ja) | タイヤのトレッド用ゴム組成物およびタイヤ | |
JP2015044952A (ja) | タイヤおよびスタッドレスタイヤ | |
JP6017779B2 (ja) | ウイング用ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ | |
JP5646971B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物及びその製造方法、並びに空気入りタイヤ | |
JP5324551B2 (ja) | インスレーション又はブレーカークッション用ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
JP5587842B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物及びその製造方法、並びに空気入りタイヤ |