JP7102439B2 - 凍結保存の装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は一般に、生物学的試料の凍結保存時、または冷却された/凍結保存された生物学的試料の加温時での氷形成を防ぐための装置、方法、およびシステムに関する。特に、本発明は、凍結保存媒体として非ニュートン流体を含む生物学的試料内での氷結晶の形成を防ぐための装置を提供する。
生物学的材料(例えば、細胞、ワクチン、組織、およびタンパク質)は、しばしば、保存する必要がある。例えば、生物学的材料は、後の時点で、科学的実験において研究または使用することができるように保存する必要がある場合がある。別の例では、ヒト卵母細胞または受精した胚は、体外受精(IVF:in vitro fertilisation)プロセスの一部として保存する場合がある。これらの例では、生物学的材料への損傷または劣化を最小限にするように生物学的材料を保存することが重要である。冷却技法は、生物学的材料を保存するためにしばしば用いられる。生物学的材料を保存するためにそれらを冷却するさまざまな方法がある。例えば、凍結保存は、生物学的材料を非常に低い温度(例えば、-80℃または-196℃)に冷却してから、冷却状態で保存するプロセスであり、一方、凍結乾燥(lyophilisation)は、生物学的試料を凍結させ、凍結ステップに続いて試料から水を除去し、その結果、試料を乾燥状態で保存するプロセスである。
凍結保存は、医学、バイオテクノロジー、および獣医学において、その後の適用のために、生物学的試料の長期の生存率を維持するために使用される広く採用されている技法である。凍結保存された試料を加温したときに高い生存率を得るために、凍結保存時に、生物学的試料に凍結防止添加剤としても知られている保護化合物を添加し、次いで、制御された速度で試料を冷却することが必要である。凍結保存は一般に、試料を非常に低い温度、例えば-80℃、-136℃、または-196℃に冷却して、長期間保つことを含む。生物学的試料を低温に冷却することによって、そうでなければ試料を劣化させることになる化学的または酵素的反応の速度は、試料がもはや劣化しないか、または非常に遅い速度でしか劣化しない程度まで減速される。その結果、生物学的試料は、長期間にわたり保存することができ、次いで、使用および/または分析のために必要とされるような周囲温度に戻すことができる。
しかしながら、冷却プロセスは、生物学的試料に有害な影響を及ぼすことがあり、これらの影響を緩和するために、凍結保存に対するいくつかの技法が開発されてきたが、これらの技法のすべてに本質的な制限がある。従来の凍結保存技法は、冷却を制御する必要があり、氷結晶の形成をもたらす。氷を含まない代替の技法であるガラス化は、冷却時の氷結晶の形成を回避し、代わりに非晶質ガラスへの水の固化を伴う。
凍結保存プロセス時の生物学的試料への損傷は、主として、冷却/凍結段階および加温段階時に起こる。溶液効果、細胞外氷形成、細胞内氷形成、膜効果、溶質毒性および脱水は、いずれも試料の損傷につながり得る。これらの影響のいくつかは、凍結保存サイクル中に既知の保護効果を有する化合物を導入することによって低減させることができる。凍結保存時において保護効果を与える化合物は、凍結保護剤または凍結保護添加剤(CPA:cryoprotective additive)と称される。
生物学的試料が凍結保存時に遭遇し得る様々なストレスがあり、これらのストレスおよびそれらの細胞レベルへの影響の例としては、以下のことが挙げられる。i)温度の低下-それは膜の脂質相の変化および/または細胞骨格の解重合を潜在的に引き起こす可能性がある、ii)溶質濃度の増加、例えば溶液中の溶質の濃度は、溶媒の一部が凍結するにつれて増加する-それは浸透圧性収縮をもたらす可能性がある、iii)イオン濃度の上昇-それは膜タンパク質の可溶化を含む膜への直接的影響を有し得る、iv)脱水-それは脂質二重層の不安定化を引き起こす可能性がある、v)塩の沈殿および共晶形成-それは、メカニズムは十分に理解されていないが、細胞の損傷を引き起こす可能性がある、vi)ガス泡の形成-それは機械的損傷を引き起こす可能性がある、vii)粘度の増加-それは浸透作用を含む拡散プロセスに影響を及ぼす可能性がある、viii)pHの変化-それはタンパク質などの変性を引き起こす可能性がある、ix)細胞が密に詰まること-それは膜を損傷する可能性がある。したがって、これらの様々なストレスへの生物学的試料の曝露を最小限に抑える凍結保存技法の必要性がある。
標準的な凍結保存技法(時として、従来の凍結保存、または平衡凍結保存と称される)において、細胞またはバイオマスは、制御された速度の冷凍庫、またはMr FrostyまたはCellCoolなどのより安価なデバイスのいずれかで特定の速度で冷却される。試料温度がその平衡融点を下回ると、氷が形成され始め(核生成)、氷結晶が核形成点から試料全体に広がり、多くの場合、修復不可能な損傷を引き起こす。氷形成プロセスが進行するにつれて、細胞などの生物学的試料は、氷の間の溶質-高密度チャネルに、これらのチャネル自体が(ガラス化によって)固化するまで濃縮され、試料は指定の保存温度で保存される。
これらの氷が存在する凍結保存技法は、起こり得る直接的な氷の損傷のために、組織および器官の保存には一般的に不適切であると考えられている。簡単に言えば、氷結晶は細胞の間で拡大したり、細胞内へと成長したりして、組織マクロ構造の破壊、ひいては組織の機能の破壊を引き起こす可能性がある。実際のところ、いくらかの細胞外氷は器官や組織で支えられるが、細胞内氷はほとんどの場合は細胞にとって致命的である。
従来の凍結保存は多数の用途に対して実績のある技法ではあるが、その用途は、一般に、細胞または小さな凝集体の懸濁液に限定される。組織、器官、または多細胞生物のような体積がおよそ1mm3を超える生検試料では、氷での損傷に起因して凍結および解凍時に許容できない材料への損傷が生じる。
ガラス化は、平衡凍結保存とは対照的に、氷を含まない凍結保存技法である。冷却時の氷の成長を回避するために、ガラス化において様々なメカニズムが利用されている。ガラス化は、ガラス化/凍結保存媒体中にある試料を、氷結晶を形成させることなく、そのガラス化/凍結保存媒体のガラス転移温度(Tg)未満にすることに依存する。ガラス転移温度より低い温度では、系の粘度が増加し、最終的に溶媒/媒質が固化して、生物学的材料が非晶質固体ガラス化/凍結保存媒体の低温マトリックス内に存在する安定な試料を送達する。
ガラス化による凍結保存は、通常、凍結保存媒体を含む凍結保護剤(CPA)を冷却前に生物学的試料に添加することを伴い、それは媒体および試料の水性成分の凍結温度を低下させ、また、試料の水性成分の粘度を増加させ、それにより、平衡凍結点より低い冷却中の氷結晶の形成は回避され、液体と固体状態との間の移行は結晶化を伴わない。しかしながら、生物学的試料のガラス化は、典型的には、急速冷却、例えば10,000℃/分以上の冷却速度を必要とし、これは本質的に非常に小さい試料サイズへのアプローチを制限する。典型的には、ガラス化試料は、1mm以下の内径を有するストロー中に提示される。より大きな試料については、ガラス化を得ることは非常に困難である。
ガラス化はまた、急速冷却と高圧の同時適用との組合せによっても達成され得るが、これは高コストを伴い、熟練したオペレータを必要とする。冷却前のガラス化プロセスにおいてジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulphoxide)などの高濃度の溶質を添加することは有用となり得るが、得られた溶液の生物学的試料への毒性が多くの場合観察される一方で、これらの高粘度液体を複雑な組織へ灌流/拡散させることは難しい場合がある。
少量の液体中の哺乳類の胚および卵母細胞のガラス化(氷を含まない凍結保存)は、細胞の生存能力および機能を保持するのに有効であることが実証されている。しかしながら、広範な研究にもかかわらず、より大きな生物学的試料のガラス化は、加温時に生存率および機能を保持することが実証されておらず、主として、これは、十分に迅速な冷却/加温速度を達成し、氷核形成を回避し、凍結保護剤の毒性を最小限に抑えることが実際には困難であるという結果であるように思われる。
多くの組織および組織工学によって作製された器官は、患者または培養物から取り出した後に保存可能期間がない。これは、これらの材料を使用する技法の効率的使用の浪費および損害につながり、したがって、そのようなジャストインタイム製造は、通常、組織工学によって作製された構成物に関して実現可能ではない。
したがって、本出願人は、生物学的試料の凍結保存時、および凍結保存された生物学的試料の加温/液化時での氷形成を防ぐための改良された装置の必要性を認識している。
本発明の第1の態様によれば、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための装置が提供され、本装置は、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体を入れる容器のためのハウジングと、凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすためのデバイスとを備える。
実施形態では、デバイスは、容器内の生物学的試料に力を加えるための叩き(tapping)デバイスを備える。
叩きデバイスは、少なくとも1つのロッドと、少なくとも1つのロッドを容器内の生物学的試料の表面近くに上げ下げするようにロッドに結合可能な作動要素とを備えることができる。ロッドは、生物学的試料の表面、または容器の表面、またはロッドと生物学的試料の表面との間に設けられた中間層に衝突することができる。
叩きデバイスは、複数のロッドと、複数のロッドを容器内の生物学的試料の表面近くに上げ下げするようにロッドに結合可能な少なくとも1つの作動要素とを備えることができる。
ロッドまたは各ロッドの少なくとも一部分は、アルミニウム、チタン、酸化チタン、ガラス繊維、プラスチック、ポリプロピレン、ポリカーボネート、金属、金属合金、または医療等級材料など、生物学的試料とともに使用するのに適した非反応性材料から形成することができる。
実施形態では、デバイスは、容器内の生物学的試料に力を加えるためのピストンと、ピストンを容器内で動かすようにピストンに結合可能な作動要素とを備える。
ピストンと生物学的試料との間の容器の容積は流体で満たされている。ピストンはこの流体を圧縮し、それによって、生物学的試料を圧縮させることができ、それが粘度の変化を引き起こす。流体は、非反応性気体、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、非反応性液体、生物学的試料より低密度の液体、またはオイルのうちのいずれか1つとすることができる。
実施形態では、デバイスは、容器内の生物学的試料に回転力を加えるための回転デバイスと、容器内の生物学的試料内を回転するように回転デバイスに結合可能な作動要素とを備える。
回転デバイスは、生物学的試料に少なくとも部分的に挿入されて、生物学的試料内で回転して粘度の変化を引き起こすパドルまたはプロペラを備えることができる。
回転デバイスは、容器に少なくとも部分的に挿入される同心配置のシリンダを備えることができる。シリンダは容器内で回転することができる。これに加えて、またはこれに代えて、作動要素は容器に結合可能であり、容器をシリンダに対して回転させることができる。
回転デバイスの少なくとも一部分は、アルミニウム、チタン、酸化チタン、ガラス繊維、プラスチック、ポリプロピレン、ポリカーボネート、金属、金属合金、または医療等級材料のうちの少なくとも1つから形成することができる。
実施形態では、デバイスは、容器内の生物学的試料を圧縮するための圧縮デバイスと、圧縮デバイスを動作させるように圧縮デバイスに結合可能な作動要素とを備える。
圧縮デバイスは、案内レールと、案内レールに結合されたローラとを備えることができる。容器はハウジング内に置くことができ、ローラは、容器の表面にわたって動かされて生物学的試料を圧縮することができる。
圧縮デバイスは、第1の可動プレートと、第1の可動プレートに平行に設けられた第2のプレートとを備えることができ、容器は、第1の可動プレートと第2のプレートとの間の空間に挟まれている。作動要素は、第2のプレートに対して第1の可動プレートを動かして容器を圧縮することができる。第2のプレートは可動プレートとすることができ、作動要素は、第1の可動プレートに対して第2のプレートを動かして容器を圧縮することができる。
実施形態では、デバイスは、容器および生物学的試料を通るように向けられた音波を発生して粘度の変化を引き起こすための音発生デバイスである。音発生デバイスは、例えば、超音波を発生することができる。
実施形態では、デバイスは、永久磁石を備えた磁場発生デバイスである。実施形態では、デバイスは、(電磁石を備えることができる)電磁場発生デバイスである。
凍結保存プロセスは、生物学的試料を凍結保存するための冷却プロセスとすることができ、装置は、生物学的試料を冷却するために温度制御デバイスを備えることができる。
冷却プロセスが完了したときに、容器は装置から取り出すことができ、外部保存デバイスに保存することができる。あるいは、冷却プロセスが完了したときに、容器は装置内に留まることができ、その結果、装置は、冷却された試料の長期保存庫として使用される。
温度制御デバイスは、生物学的試料を、-80℃、-100℃、-120℃、または-150℃(これらは単なる例示的な温度値である)など、凍結保存に必要な任意の温度に冷却することができる。
温度制御デバイスは、スターリングエンジン冷却器、および冷却剤ベースの冷却システムのうちの少なくとも1つを備えることができる。
凍結保存プロセスは、生物学的試料を加温/液化するための加熱プロセスとすることができ、装置は、生物学的試料を加熱するためにさらなる温度制御デバイスを備えることができる。加熱プロセスが完了したときに、容器は装置から取り出すことができる。
さらなる温度制御デバイスは、生物学的試料を、生物学的試料の平衡融点に等しい温度、またはそれより高い温度に加熱することができる。さらなる温度制御デバイスは、抵抗線/抵抗エレメント、受動的加温システム、および流体ベースの加温システムのうちの少なくとも1つを備えることができる。
凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすためのデバイスは、凍結保存媒体のずり増粘および/またはずり減粘を引き起こすことができる。
本装置は温度センサを備えることができる。本装置は氷検出器を備えることができる。氷検出器は、発光器および光検出器、および/または生物学的試料の抵抗またはコンダクタンスの変化を検出するための電気的センサを備えることができる。
本発明の第2の態様によれば、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための方法が提供され、本方法は、本明細書に記載の装置を使用して凍結保存プロセスを実行して、非ニュートン凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすステップを含む。
本発明の第3の態様によれば、プロセッサ上で実行されるとき、プロセッサに本明細書に記載の方法のいずれかを実行させる非一時的データキャリア搬送コードが提供される。
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで記述することができる。コード構成要素は、手順、方法などとして具現化することができ、ネイティブ命令セットの直接機械命令から高レベルのコンパイル型またはインタプリタ型言語要素まで、抽象化のいずれかのレベルの命令、または命令のシーケンスの形態をとり得るサブコンポーネントを含むことができる。
これらの技法は、例として、添付の図面に図式的に示されている。
凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための装置の概略ブロック図である。 氷結晶の形成を防ぐために叩きデバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐためにパドルデバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐために回転デバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐために転がりデバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐために圧縮デバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐために音発生デバイスを備えた装置の概略図である。 氷結晶の形成を防ぐために磁場発生デバイスを備えた装置の概略図である。
概して言えば、本技法の実施形態は、凍結保存媒体として非ニュートン流体を含む生物学的試料内での氷結晶の形成を防ぐための装置を提供する。本装置を使用して、生物学的試料の凍結保存時、または凍結保存された生物学的試料の加温/液化時での氷形成を防ぐことができる。本装置の実施形態は、生物学的試料を保存するのに適した、バイアル、クライオバイアル(cryovial)、クライオバッグ(cryobag)、微量遠心管(microfuge tube)、遠心管(centrifugal tube)、医薬バイアル(medical vial)、および他の容器などの既存の広く使用されている実験機器との互換性をもって製造することができることが有利である。本装置のさらなる利点は、試料の凍結保存、およびそれに続く凍結保存された試料の加温の後での試料の生存率の向上である。本装置の実施形態のさらなる利点は、冷却または加温プロセス時に品質およびプロセスの制御を行うことができることである。例えば、氷結晶の形成は、本装置を使用して冷却/加温時に検出可能とすることができ、それは、凍結保存された試料を加温した後の試料の生存率についての初期段階での情報を提供することができる。
本明細書に記載の装置は、凍結保存媒体として使用される非ニュートン流体の粘度を変化させることによって、生物学的試料内での氷結晶の形成を防ぐ。実施形態では、粘度の変化は、凍結保存媒体のずり増粘を引き起こすことによって増大させることができる。実施形態では、粘度の変化は、凍結保存媒体のずり減粘を引き起こすことによって低下させることができる。実施形態では、ずり増粘およびずり減粘の両方は、冷却または加温プロセス時に、例えば、連続的に(すなわち1つずつ交替して)引き起こすことができる。例えば、本装置は、冷却または加温プロセス時に、凍結保存媒体のずり増粘を引き起こし、次いでずり減粘を引き起こすことができる。本装置の実施形態では、粘度の変化は、機械的、音的、磁気または電磁放射手段、あるいはこれらの複数の手段の組合せによって、同時に、または逐次的に達成することができる。本装置は、図に関して下記に、より詳細に説明される。
図1は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための装置100の概略ブロック図を示す。本明細書で使用される用語「凍結保存プロセス」は、生物学的試料を冷却またはガラス化するための凍結保存技法、ならびに/あるいは前に凍結保存された生物学的試料を加温するためのプロセスを意味する。
装置100は、少なくとも1つの試料容器112に適した(または、そのために特別に設計された)ハウジング102を備える。試料容器112には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。試料容器112は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器であってもよい。例えば、試料容器112は、クライオバイアル、クライオバッグ、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。容器のタイプのこのリストは、例示する目的のためだけに提供されており、限定するものではないことは理解されるであろう。試料容器112は、試料容器がハウジング102内にあるときに、(例えば、遠心管の場合のように)試料容器内の生物学的試料にアクセスすることができる開口を有することができる。これは、粘度の変化を引き起こすために試料容器112に装置100のデバイスを挿入することを可能にすることができる。実施形態では、試料容器112は、(例えば、クライオバッグの場合のように)密封されてもよい。この場合、試料容器内の生物学的試料は、試料容器がハウジング102内にある時にはアクセス可能とすることができない。
冷却または加温プロセス時に、ハウジング102は、1つまたは複数の試料容器112を収容するために使用されてもよく、そのプロセスが完了した後は、試料容器112または各試料容器112はどこか他のところに保存するために取り出される。例えば、冷却の場合、凍結保存される生物学的試料が入った試料容器112は、ハウジング102から取り出されて、長期保存庫(例えば、冷凍庫または低温室)に保存することができる。同様に、凍結保存された生物学的試料が入った試料容器112は、試料を液化するためにハウジング102内に置かれて加温することができ、加温が完了した後は、試料容器112はハウジング102から取り出されて、直ちに使用することができる、または適切な短期保存庫(例えば、冷蔵庫または低温室)に置くことができる。
実施形態では、ハウジング102は、一度に2つ以上の試料容器112を収容することが可能であってもよい。これは、生物学的試料を大量冷却および/または大量加温することを可能にすることができる。同じタイプの複数の生物学的試料、および/または同じ試料容器のタイプに入れられた複数の生物学的試料を同時に冷却/加温する必要がある場合、これは有用となり得る。実施形態では、装置100は、それぞれ1つまたは複数の試料容器112を保持するのに適した複数のハウジング102を備えることができる。これに加えて、またはこれに代えて、各ハウジング102は、1つまたは複数の試料容器112を保持するのに適した別個のチャンバを備えることができる。複数のハウジング/別個のチャンバは、複数の生物学的試料を冷却/加温する必要があるが、これらの試料に異なるプロセスを適用する必要がある場合に有用となり得る。例えば、いくつかの試料は第1の温度に冷却する必要があるが、他の試料は異なる第2の温度に冷却する必要がある場合がある。複数のハウジングまたはハウジング内に別個のチャンバがあると、異なる冷却または加温プロファイルを試料容器112に適用することを可能にすることができる。これらの実施形態は、装置100を、複数の試料を同時に冷却および/または加温するように、または、複数の異なる冷却/加温プロファイルを同時に複数の試料に適用するように使用することを可能にすることもできる。
実施形態では、試料容器112は、ハウジング102とは別個で、ハウジング102から取出し可能である。この場合、試料容器112に入れられた生物学的試料を凍結保存または加温する必要があるとき、ハウジング102に試料容器112が挿入される。代替の実施形態では、試料容器112はハウジング102内で一体化されている。
装置100は、試料容器112内の凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こして氷形成を防ぐための少なくとも1つのデバイス104を備える。装置100内のデバイス104または各デバイス104(図1では粘度変更デバイス104と称される)は、非ニュートン流体凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすのに適した任意の装置とすることができる。デバイス104は、非ニュートン流体のずり増粘、または非ニュートン流体のずり減粘、または両方を引き起こすことを可能にすることができる。デバイス104は、凍結保存媒体の粘度変化を引き起こすことができる機械構成部品、磁気または電磁気構成部品、音発生構成部品、あるいはこのような構成部品の組合せを備えることができる。デバイス104が凍結保存媒体の粘度変化を引き起こすことができる方法のいくつかの例を、図2から8に関して下記で説明する。
装置100は制御回路106を備える。制御回路106は、プロセッサまたは処理回路を備えて、装置100によって実行される様々な処理動作を制御することができる、例えば、試料容器112内の生物学的試料の温度を変える加熱メカニズムおよび/または冷却メカニズムを制御することができる、および/または生物学的試料の粘度の変化を引き起こすデバイス104を制御することができる。制御回路106は、装置100内の他のセンサおよびデバイスを制御することができる、例えば、冷却/加温プロセスを監視するため、および/または氷結晶の形成を検出するために使用されるセンサおよびデバイスを制御することができる。制御回路106は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および集積回路のうちの1つまたは複数を備えてもよい。実施形態では、単一の制御回路/プロセッサ106を使用して装置100のすべての機能を制御してもよい。代替の実施形態では、装置100内のいくつかまたはすべての機能/デバイスは、それら自体の専用の制御回路/プロセッサに結合されてもよい。
装置100は、(例えば、装置100の視覚、聴覚、または祖聴覚インターフェースによって)装置100がデバイスの使用者/オペレータと通信することができるようにする、および/またはリモートサーバ、リモートデータベース、または他のデバイスと通信することができるようにする通信モジュール107を備えることができる。遠隔位置にあるデバイス(例えば、装置100の外部にあるサーバ、データベース、デバイスなど)との通信は、装置100によって実行された冷却/加温プロセス時に得られたデータを使用者と、または他の利害関係者と簡単に共有することを可能にすることができる。例えば、装置100は、冷却/加温プロセス時またはその後に、品質制御に関する、または氷結晶の検出に関する情報を使用者と共有することを可能にすることができ、その結果、使用者は、プロセスについての情報および/または試料の生存率に関する情報を受け取ることができる。通信モジュールは、任意の適切な通信回路を備え、任意の適切な通信プロトコルを使用してメッセージ(またはデータ、またはデータパケット)を送受信する任意の適切な通信モジュールとすることができる。通信モジュール107は、任意の適切な通信プロトコルを使用して他の機械(例えば、リモートサーバ、データベース、特定の業務/用途を行う機械など)と通信することができ、それらは、例えば、限定するものではないが、無線通信(例えば、WiFi)、無線周波数通信(RFID)または近接通信(NFC:near-field communication)などの近距離通信であり、またはZigBee、Thread、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) LE、IPv6 over Low Power Wireless規格(6LoWPAN)、またはConstrained Application Protocol(CoAP)によって定められた通信プロトコルを使用することによって通信してもよい。通信モジュール107は、3G、4G、5Gなど、移動無線(セルラー)遠隔通信プロトコルを使用して遠隔の機械と通信することができる。実施形態では、装置100は、メタルケーブルまたは光ファイバケーブルなどの有線通信技法を使用して遠隔の機械と通信してもよい。装置100は、2つ以上の通信技法を使用して遠隔の機械と通信してもよい。
装置100は記憶装置113を備えることができる。記憶装置113は、一時記憶として使用するための、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)などの揮発性メモリ、ならびに/あるいはデータ、プログラム、または命令を記憶するための、フラッシュ、読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、または電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM:electrically erasable programmable ROM)などの不揮発性メモリを備えることができる。記憶装置113は、冷却または加温プロセスを制御するために使用されるデータまたは命令を記憶することができる。異なる冷却および加温プロセスは、異なるタイプの生物学的試料に、または異なるタイプの試料容器に入れられた試料に適用することができる。したがって、記憶装置113は複数の異なる命令を記憶することができ、それは、実施形態では、試料タイプまたは試料容器によって索引を付けられ、その結果、特定の試料タイプまたは試料容器タイプに正しい温度プロファイルを適用することができる。記憶装置113は、品質制御データ、氷結晶検出データなどの冷却または加温プロセス時に集められたデータを記憶することができる。
装置100は、冷却または加温プロセス時に試料容器112に適用される温度を制御するための温度制御デバイス108を備えることができる。装置100は、生物学的試料を冷却/凍結保存するのに適した1つまたは複数の構成部品を備えることができ、凍結保存された生物学的試料を加温するのに適した1つまたは複数の構成部品を備えることができる。例えば、装置100は、試料を冷却するために、次のもの、すなわち、スターリングエンジン冷却器、および冷却剤ベースの冷却システムのうちの一方または両方を備えることができる。装置100は、試料を加熱するために、次のもの、すなわち、抵抗線/抵抗エレメント、受動的加温システム、および流体ベースの加温システムのうちのいずれか1つまたは複数を備えることができる。冷却および加熱メカニズムのこれらの例は、例示する目的のためだけに提供されており、限定するものではないことは理解されるであろう。あるいは、同じ構成部品が冷却と加熱の両方のために使用されてもよい。例えば、流体ベースのシステムは、冷却と加熱に適していることがある。
温度制御デバイス108は、温度制御デバイス108の動作を制御するプロセッサ/制御回路を備えてもよい、またはそれに結合されてもよい。例えば、制御回路は、温度制御デバイスを動作させ、試料容器112に適用される温度を制御し、特定の温度を試料容器112に適用する時間を制御することなどのために使用されてもよい。実施形態では、複数の試料を装置100内で同時に冷却および/または加温することができる場合、別個の温度制御デバイス108を各ハウジング102に、またはハウジング102内の各チャンバに結合することができる。この場合、専用のプロセッサ/制御回路は各温度制御デバイス108のために設けることができる。あるいは、単一のプロセッサ/制御回路を使用して各温度制御デバイス108を制御してもよい。
温度制御デバイス、または各温度制御デバイス108は温度センサ109を備えることができる。温度センサ109は、試料容器112の温度を検知する、または試料容器112の近くの温度を検知する、または試料容器112を中に備えたハウジング102の温度を検知するために使用することができる。温度センサ109は、冷却または加温プロセスの実行前、実行中、および/または実行後の温度を検知するために使用することができる。温度センサ109は、温度制御デバイス108によって適用される温度を制御するために使用することができる。実施形態では、凍結保存プロセスでは、生物学的試料を、例えば、-80℃、-100℃、-120℃、または-150℃、またはそれらの間の温度に冷却する(および、おそらく、その温度で保存する)ことが必要な場合がある(これらは、単なる例示的で非限定的な温度であり、例示する目的のためだけに提供されている)。実施形態では、加温プロセスは、凍結保存されガラス化された生物学的試料をその試料の平衡融点より高い温度に加温することを含めることができる。温度センサ109は、品質制御プロセスの一部として、および/またはプロセス制御の一部として、温度データを集めるために使用することができる。
装置100は、装置の構成部品(例えば、温度制御デバイス108、粘度変更デバイス104など)に電力を供給するために電源110を備えることができる。電源110は、商用電源への接続部であってもよく、または少なくとも1つの電池であってもよく、または両方の組合せであってもよい。
装置100は、1つまたは複数のさらなるセンサ115を備えることができる。例えば、装置100は、電力センサ、回転運動(例えば、回転数/秒)を監視するためのセンサ、および/または氷結晶の形成を検出するためのセンサを備えることができる。氷結晶の形成を検出するためのセンサは、例えば、レーザまたは光ベースのセンサであってもよい。光/レーザビームは、冷却/加温を受けている試料容器112を通過させることができ、光/レーザビームの偏向を検出するためにハウジング102に光検出器を設けることができる。光/レーザビームの特定の偏向(例えば、偏向の特定の角度)は、氷結晶が試料中に形成されていることを示すことができる。氷結晶の形成を検出するためのセンサは、例えば、電気的センサであってもよい。電気的センサは、凍結保存/加温された試料の抵抗またはコンダクタンスの変化(これは氷結晶の形成を示すことができる)を検出するアノードであってもよく、またはアノードを備えてもよい。実施形態では、冷却/加温プロセス時にハウジング102内の試料容器112の目視検査を実行して、装置100のオペレータが氷結晶を検出することができるように、装置100(もしかしたらハウジング102)に窓を設けてもよい。センサ115によって集められたデータはプロセッサ/制御回路106に提供することができる。プロセッサ106は、このデータを使用して、氷が試料内に形成されたかどうかを判定することができる。検知されたデータが、氷が形成されていることを示した場合、プロセッサ106はこの情報を通信モジュール107に提供することができる。通信モジュール107は、この情報を(例えば、装置100のユーザインターフェースを介して)使用者に、または遠隔の機械に伝えることができる。検知されたデータおよびプロセッサ106によってなされたいかなる判定も、将来の使用/解析のために記憶装置113に記憶することができる。
粘度変更デバイス104は、特定の温度で粘度の変化を引き起こすために、温度制御デバイス108とともに動作することができる。例えば、粘度変更デバイス104は、凍結保護剤(CPA)の生物学的試料への灌流/拡散を加速する温度において粘度変化を引き起こすように使用することができる。別の例では、粘度変更デバイス104は、冷却が始まる前、または冷凍保存される試料に冷却が適用されると同時のいずれかのときに、粘度変化を引き起こすように使用することができる。別の例では、粘度変更デバイス104は、冷却された試料(凍結保存によって冷却されている場合もあり、されていない場合もある)のガラス転移温度(またはそれより低い温度)において試料の粘度変化を引き起こすように使用することができる。粘度変更デバイス104は、試料温度が試料の凍結点より高い温度に上昇するまで、(連続的または断続的に)使用することができる。
本発明の装置は、凍結保存媒体の非ニュートン流体の特性を利用して、凍結保存プロセスの相に対して適切になるように凍結保存媒体の粘度を調節する、すなわち、粘度を(ずり増粘によって)増大、または(ずり減粘によって)低下させる。凍結保護剤(CPA)コロイド溶液は、はじめは、有機組織に灌流および/または拡散させるのに数分かかる可能性があるので、凍結保存媒体の粘度を低下させることは有利となり得る。粘度(すなわち、凍結保護剤コロイド溶液または凍結保存媒体の粘度)の低下を引き起こすと、灌流時間を短縮させることができる。CPA毒性は時間依存性であるので、灌流状態の間の総毒性は、灌流時間の短縮の関数として減少する。
水の凍結点より低い温度に冷却しながら試料内での氷結晶の形成を防いで、氷結晶の成長を実質的にまたは完全に排除するために、凍結保存媒体の粘度を増大させることを使用することができることは有利である。この粘度調節効果は加温サイクル時においても等しく重要である。その理由は、増大した粘度にて加熱することは、凍結保存プロセスのこの段階での氷結晶化の可能性を回避するか、または少なくとも実質的に低減するからである。
凍結保存媒体の粘度の調節は、外部応力を加えて非ニュートン特性を誘導することによって行うことができる。非ニュートン特性の誘導は、ずり増粘またはずり減粘、音の増音または減音、または電磁場の肥厚または薄化、例えば磁気の肥厚または薄化によって達成することができる。いくつかの好ましい非ニュートン流体は、低周波数応力に曝されると粘度が低下し、高周波応力に応答して粘度が増大する。
ずり力は、例えば、振動(震動)、攪拌(かき回す)、圧力波または他の機械的手段によって付与され得る。例えば、ロッドを凍結保存媒体に浸し、次にロッドを回転させることにより、円筒容器内の凍結保存媒体中の生物学的試料にずり力を加えることができる。ずり力を試料に加えることができる構成の別の例としては、凍結保存媒体中の生物学的試料を2つの平行なプレートの間に置いて、これらのプレートのうちの一方または両方を他方に対して平行に移動することが含まれる。ずり増粘は、流体に応力が加わったときに流体の粘度が増大する非ニュートン挙動である。ずり減粘は、ずり応力下で粘度が低下する流体の非ニュートン挙動である。ずり減粘またはずり増粘を受ける流体は、溶液または懸濁液、例えばコロイド懸濁液であり得る。例えば、ずり増粘流体凍結保存媒体は、シリカのような微粒子を含有する懸濁液、コロイド溶液/懸濁液または溶液それ自体であってもよい。このメカニズム(すなわち、実質的に氷を含まない凍結保存法を送達するために、凍結保存媒体の非ニュートン流体特性を利用する凍結保存の本発明の方法)は、CPAがシリコーン、HES、でんぷん、細胞、細胞成分、ガラスなどの硬質シェルコロイドでスパイクされるシステムのみに区別されるものではない。電磁場により粘度変化を引き起こすことができる材料、音および/または光により粘度変化を引き起こすことができる材料を用いたスパイクも可能である。このリストは網羅的なものではない。
次に、可能な粘度変更装置104のいくつかをより詳細に説明する。
図2は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス204を備えた装置200の概略図を示す。装置200は、装置200が特定の粘度変更デバイス204を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置200は、温度制御デバイス208、温度センサ209、制御回路206、電源210、および記憶装置213を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置200では、粘度変更デバイス204は叩きデバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス204は、(ハウジング202およびデバイス204を囲む四角によって示されているように)ハウジング202内に設けられる、またはハウジング202に一体化される。代替の実施形態では、ハウジング202は、(図2の破線の四角によって示されているように)デバイス204とは別個のものであるが、その近くにあってもよい。
粘度変更デバイス204は、ロッド218および作動要素/作動デバイス216を備える。ロッド218は、作動要素216に固定的に結合されてもよく、または作動要素216に取外し可能に結合可能(または脱着可能)であってもよい。作動要素216は、ロッド218を試料容器212内の生物学的試料214の表面近くに繰り返し上げ下げするように配置される。作動要素216は、作動要素216の動作を制御し、したがってロッド218の動作を制御する、制御回路206に結合されてもよい、または専用の制御回路を有してもよい。図2の実施形態では、試料容器212は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器とすることができる。例えば、試料容器212は、クライオバイアル、クライオバッグ、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。試料容器212には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。試料容器212は、試料容器がハウジング202内にあるときに、(例えば、遠心管の場合のように)試料容器内の生物学的試料にアクセスすることができる開口を有することができる。これは、粘度の変化を引き起こすために、粘度変更デバイス204のロッド218を試料容器212に挿入することを可能にすることができる。実施形態では、試料容器212は、(例えば、クライオバッグの場合のように)密封されてもよい。この場合、ロッド218を試料容器の表面と接触させてもよい。
ロッド218は、試料容器212の表面、試料容器212内の生物学的試料214の表面、または生物学的試料214とロッド218との間に位置する中間要素を繰り返し叩くために使用される。叩く動きは、生物学的試料214内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。試料容器212が密封されている場合(例えば、クライオバッグまたは閉じた管)、ロッド218は試料容器212の表面を繰り返し叩いて、生物学的試料214の粘度の変化を引き起こすことができる。試料容器212が開口を有する場合、ロッド218は、(図2に示されているように)試料容器212に挿入することができて生物学的試料214の表面を繰り返し叩くことができる、または生物学的試料214に繰り返し挿入することができる。ロッド218は、生物学的試料214の表面のすぐ下に下げることができる、または必要な粘度の変化を引き起こすのに十分な量だけ、生物学的試料214内に下げることができる。デバイス204が、加温/液化プロセス時での氷結晶の形成を防ぐために使用されている場合、ロッド218は、生物学的試料が少なくとも部分的に液化されるまで生物学的試料214に挿入することができない。実施形態では、中間要素(図2には示されていない)は、ロッド218と生物学的試料214との間に配置することができる。例えば、薄膜は、ロッド218と生物学的試料214との間の直接接触を防ぐために、生物学的試料214の上方/上部に配置することができる。これは、例えば、汚染/相互汚染の危険性がある場合に有用となり得る。これは、ロッドが凍結保存媒体内で動けなくなる危険性がある場合に使用することができる。この場合、ロッド218は中間要素(例えば、膜)を叩き、この叩くことによって生じた力は、中間要素を介して生物学的試料214に伝達される。
作動要素216は、叩く速度を含むロッド218の動きを制御するために使用される。ロッド218は、任意の方向から生物学的試料214の表面に衝突する/表面を叩くことができる。実施形態では、デバイス204は複数のロッド218を備えることができ、それらは一斉に働いてもよく、または別々に制御可能であってもよい。複数のロッド218はすべて、同じ方向から、または異なる方向から、または異なる角度で、生物学的試料214または試料容器212に衝突することができる。ロッド218は、異なる速度で、および/または異なる回数、試料214/試料容器212に衝突することができる。すなわち、ロッド218は互いに同位相であってもよい、または位相が異なっていてもよい。作動要素216は、生物学的試料214内の粘度の変化を引き起こすのに適した速度で、ロッド218または各ロッド218に叩かせることができる。例えば、1秒あたり100回(これを含む)から1秒あたり0.1回(これを含む)までの速度でロッド218または各ロッド218に叩かせることができる。特定の実施形態では、ロッド218または各ロッド218は1秒あたり3回の速度で叩くことができる。作動要素216は、生物学的試料214内の粘度の変化を引き起こすのに適した特定の力で(すなわち、特定の力を加えるように)、ロッド218または各ロッド218に叩かせることができる。例えば、0.5N(これを含む)から20N(これを含む)までの力をロッド218または各ロッド218に加えさせることができる。特定の実施形態では、ロッド218または各ロッド218は10Nから13Nの間の力を加えることができる。特定の実施形態では、ロッドは、試料の量に比例した力を加えることができる。例えば、ロッド218は、1ミリリットルあたり1Nから2Nの間の力を加えることができる。実施形態では、氷結晶の形成を防ぐのに適した粘度の変化を引き起こすために必要な叩く速度と力は、温度とともに変わり得る。上記のように、各ロッド218は、様々な速度/力で叩くように作動要素216によって制御することができ、各ロッド218は、様々な試料、様々なプロセス(加温または冷却)、または加温/冷却プロセス内の様々な点に対して、様々な速度/力で叩くことができる。
ロッド218または各ロッド218は、粘度変化を引き起こすために必要な力を加えるために任意の形状およびサイズにすることができる。特定の実施形態では、ロッド218は円筒形とすることができる。ロッド218または各ロッド218は、任意の材料から形成することができる。ロッド218は生物学的試料214と直接接触することがある、またはそれに挿入されることがあるので、ロッド218は、生物学的試料214を変質させない、強くて非反応性の材料から形成することができる。例えば、ロッド218は、アルミニウム、医学的に承認された材料、人工関節/義肢に使用するために医学的に承認された材料(例えば、チタン)、ガラス繊維、プラスチック(例えば、ポリプロピレンまたはポリカーボネート)、金属、または金属合金から形成することができる。これは可能な材料を網羅したリストではないことは理解されるであろう。実施形態では、ロッド218の全長は非反応性の材料から形成されてもよい。代替の実施形態では、生物学的試料と接触するロッド218の少なくとも一部分は非反応性の材料から形成されてもよい。
実施形態では、ロッド218はピストンであってもよい。この場合、ロッド218は、試料容器212内にぴったりと嵌合されてもよい。ピストンが作動すると、試料容器212内の試料214の上方の流体層は繰り返し圧縮および除圧され、その結果、試料214の圧力が変化する。この圧力の変化が、試料214の粘度の変化を引き起こすために必要な力を提供することができる。ロッド218は、試料容器212内でピストンとして機能するために任意の形態をとり得ることは理解されるであろう。例えば、ロッド218は、試料容器212内の流体層に抗して動くことができる円板に取り付けられた細いロッドであってもよい。ピストンと試料容器212内の生物学的試料214との間の隙間は、気体層を設けるように気体で満たされてもよい。例えば、隙間は、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、または試料214と非反応性の任意の他の気体で満たされてもよい。ピストンと試料容器212内の生物学的試料214との間の隙間は、流体層を設けるように液体で満たされてもよい。例えば、隙間は、試料容器212内の生物学的試料214より上にあるように、生物学的試料214より密度の低い液体で満たすことができる。液体は、試料214と非反応性であることが好ましい。液体は、例えば、オイルとすることができる。実施形態では、隙間は、気体と液体とを組み合わせたもので満たすことができる。
叩きデバイス204が生物学的試料214に挿入される実施形態では、生物学的試料214が固化するとき、叩きデバイス204のロッド218はその中に留まることがある。したがって、ロッド218は生物学的試料214内に留まり得る。この場合、ロッド218が作動要素216に取外し可能に結合され、その結果、ロッド218が、作動要素216から脱着することができ、試料容器212をハウジング202から取り出すことができることは有利となり得る。試料容器212は、ロッド218とともにそのままの状態で長期保存デバイス(例えば、冷凍庫)に保存することができる。試料容器212内に入れられた試料を加温/液化するとき、試料容器212をハウジング202に再挿入することができ、ロッド218を作動要素216に再取付けすることができる。これによって、叩きデバイスを加温プロセス時に使用することができる。
図3は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス304を備えた装置300の概略図を示す。装置300は、装置300が特定の粘度変更デバイス304を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置300は、温度制御デバイス308、温度センサ309、制御回路306、電源310、および記憶装置313を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置300では、粘度変更デバイス304は回転デバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス304は、(ハウジング302およびデバイス304を囲む四角によって示されているように)ハウジング302内に設けられる、またはハウジング302に一体化される。代替の実施形態では、ハウジング302は、(図3の破線の四角によって示されているように)デバイス304とは別個のものであるが、その近くにあってもよい。
粘度変更デバイス304は、ロッド318、パドル320、および作動要素/作動デバイス316を備える。パドル320は、ロッド318の一端に設けられる。パドル320は、図3に示されているように、生物学的試料314に挿入可能である。ロッド318の反対側の端部は、作動要素316に固定的に結合されてもよく、または作動要素316に取外し可能に結合可能(または脱着可能)であってもよい。作動要素316は、ロッド318を回転し、それによってパドル320を生物学的試料314内で回転させるように配置される。作動要素316は、作動要素316の動作を制御し、したがってロッド318およびパドル320の動作を制御する、制御回路306に結合されてもよい、または専用の制御回路を有してもよい。図3の実施形態では、試料容器312は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器とすることができ、容器は、パドル320を挿入するための開口を有する。例えば、試料容器312は、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。試料容器312には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。試料容器312は、試料容器がハウジング302内にあるときに、試料容器内の生物学的試料にアクセスすることができる開口を有する。これは、粘度の変化を引き起こすために、粘度変更デバイス304のロッド318およびパドル320を試料容器312に挿入することを可能にすることができる。
パドル(またはプロペラ)320は、試料容器312内の生物学的試料314を攪拌するために使用される。回転する動きは、生物学的試料314内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。パドル320は、生物学的試料314に部分的、または完全に挿入することができる、あるいはパドル320を回転したときに必要な粘度の変化を引き起こすのに十分な量だけ、生物学的試料314に挿入することができる。デバイス304が、加温プロセス時での氷結晶の形成を防ぐために使用されている場合、パドル320は、生物学的試料が少なくとも部分的に加温/液化されるまで生物学的試料314に挿入することができない。したがって、加温プロセスを始めるときに、氷結晶の形成を防ぐために、生物学的試料314に挿入される必要がない代替の粘度変更デバイスを使用することができる。
作動要素316は、回転速度を含むロッド318およびパドル320の回転を制御するために使用される。ロッド318およびパドル320は、時計回りまたは反時計回りに回転することができる、あるいは方向を切り替えることができる。実施形態では、デバイス304は複数の小さなロッド318およびパドル320を備えることができ、それらは一斉に回転してもよく、または別々に回転してもよい。複数のパドル320は、異なる速度で、および/または異なる方向に回転することができる。作動要素316は、生物学的試料314内の粘度の変化を引き起こすのに適した速度でパドル320または各パドル320を回転させることができる。例えば、1秒あたり100回転(これを含む)から1秒あたり0.1回転(これを含む)までの速度でパドル320または各パドル320を回転させることができる。特定の実施形態では、パドル320または各パドル320は1秒あたり3回転の速度で回転することができる。実施形態では、氷結晶の形成を防ぐのに適した粘度の変化を引き起こすために必要な回転速度は、温度とともに変わり得る。上記のように、各パドル320は、様々な速度で回転するように作動要素316によって制御することができ、各パドル320は、様々な試料、様々なプロセス(加温または冷却)、または加温/冷却プロセス内の様々な点に対して、様々な速度で回転することができる。
パドル320または各パドル320は、粘度変化を引き起こすために必要な力を加えるために任意の形状およびサイズにすることができる。パドル320または各パドル320は、任意の材料から形成することができる。パドル320(および、もしかしたらロッド318)は生物学的試料314に挿入されるので、パドル320(および、ロッド318のすべて、または部分)は、生物学的試料314を変質させない、強くて非反応性の材料から形成することができる。例えば、パドル320は、アルミニウム、医学的に承認された材料、人工関節/義肢に使用するために医学的に承認された材料(例えば、チタン)、ガラス繊維、プラスチック(例えば、ポリプロピレンまたはポリカーボネート)、金属、または金属合金から形成することができる。これは可能な材料を網羅したリストではないことは理解されるであろう。実施形態では、パドル320全体は非反応性の材料から形成されてもよい。代替の実施形態では、生物学的試料に挿入されるパドル320の少なくとも一部分は非反応性の材料から形成されてもよい。
実施形態では、生物学的試料314が固化するとき、粘度変更デバイス304のパドル320はその中に留まることがある。したがって、パドル320は生物学的試料314内に留まり得る。この場合、ロッド318が作動要素316に取外し可能に結合され、その結果、ロッド318、したがってパドル320が、作動要素316から脱着することができ、試料容器312をハウジング302から取り出すことができることは有利となり得る。実施形態では、パドル320はロッド318に取外し可能に結合することができ、その結果、固化され冷却された試料314内でパドル320が動けなくなるとき、パドル320はロッド318から脱着することができる。これによって、試料容器312をハウジング302から取り出すことができる。試料容器312は、パドル320(またはパドル320およびロッド318)とともにそのままの状態で長期保存デバイス(例えば、冷凍庫)に保存することができる。試料容器312内に入れられた試料を加温するとき、試料容器312をハウジング302に再挿入することができ、パドル320をロッド318に再取付けすることができる(または、ロッド318を作動要素316に再取付けすることができる)。これによって、回転パドルデバイスを加温プロセス時に使用することができる。
回転中のパドル320の回転の速度および動力の入力は、冷却または加温時に氷結晶が形成されたかどうかを判定するために監視/記録することができる。例えば、冷却または加温時に、パドル320を回転させるために必要な力または動力が思いがけなく増大した場合、生物学的試料314内に氷結晶が形成されたと判定することができる。これは、氷結晶が形成されるとパドル320はより多く「滑る」ことができ、その結果、氷結晶がないときと比べて、パドル320を同じ速度で回転させるためにより多くの動力が使用されるからであろう。
図4は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス404を備えた装置400の概略図を示す。装置400は、装置400が特定の粘度変更デバイス404を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置400は、温度制御デバイス408、温度センサ409、制御回路406、電源410、および記憶装置413を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置400では、粘度変更デバイス404は回転デバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス404は、(ハウジング402およびデバイス404を囲む四角によって示されているように)ハウジング402内に設けられる、またはハウジング402に一体化される。代替の実施形態では、ハウジング402は、(図4の破線の四角によって示されているように)デバイス404とは別個のものであるが、その近くにあってもよい。
粘度変更デバイス404は、シリンダ418および作動要素/作動デバイス416を備える。シリンダ418は、作動要素416の一端に、固定的に、または取外し可能に結合される。シリンダ418の反対側の端部は、図4に示されているように、生物学的試料414に挿入される。作動要素416は、シリンダ418を生物学的試料414内でスピン/回転させるように配置される。作動要素416は、作動要素416の動作を制御し、したがってシリンダ418の動作を制御する、制御回路406に結合されてもよい、または専用の制御回路を有してもよい。図4の実施形態では、試料容器412は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器とすることができ、容器は、シリンダ418を挿入するための開口を有する。例えば、試料容器412は、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。試料容器412には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。試料容器412は、試料容器がハウジング402内にあるときに、試料容器内の生物学的試料にアクセスすることができる開口を有する。これは、粘度の変化を引き起こすために、粘度変更デバイス404のシリンダ418を試料容器412に挿入することを可能にすることができる。
シリンダ418は、試料容器412内の生物学的試料414の中で回転することができる。図4に示されているように、シリンダ418と試料容器412とは同心配置である。生物学的試料414は、シリンダ418と試料容器412の内面との間の容積内に位置する。回転する動きは、生物学的試料414内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。シリンダ418は、生物学的試料414に部分的、または完全に挿入することができる、あるいはシリンダ418を回転したときに必要な粘度の変化を引き起こすのに十分な量だけ、生物学的試料414に挿入することができる。
実施形態では、試料容器412は、試料容器412がそれ自体回転することができるように作動要素416に結合可能とすることができる。したがって、ずり減粘またはずり増粘を引き起こすために、試料容器412が静止を保っているときシリンダ418を回転させてもよい、またはシリンダ418が静止を保っているとき試料容器412を回転させてもよい、または試料容器412およびシリンダ418の両方を回転させてもよい。後者の場合、シリンダ418の回転に対して、同じまたは異なる速度で、ならびに/あるいは同じまたは反対の方向に試料容器412を回転させることができる。
デバイス304が、加温プロセス時での氷結晶の形成を防ぐために使用されている場合、パドル320は、生物学的試料が少なくとも部分的に加温/液化されるまで生物学的試料314に挿入することができない。したがって、加温プロセスを始めるとき、氷結晶の形成を防ぐために、生物学的試料314に挿入される必要がない代替の粘度変更デバイスを使用することができる。
作動要素416は、回転速度を含むシリンダ418および/または試料容器412の回転を制御するために使用される。シリンダ418および試料容器412は、時計回りまたは反時計回りに回転することができる、あるいは方向を切り替えることができる。作動要素416は、生物学的試料414内の粘度の変化を引き起こすのに適した速度で試料容器412および/またはシリンダ418を回転させることができる。例えば、1秒あたり100回転(これを含む)から1秒あたり0.1回転(これを含む)までの速度で試料容器412および/またはシリンダ418を回転させることができる。実施形態では、氷結晶の形成を防ぐのに適した粘度の変化を引き起こすために必要な回転速度は、温度とともに変わり得る。上記のように、試料容器412および/またはシリンダ418は、様々な試料、様々なプロセス(加温または冷却)、または加温/冷却プロセス内の様々な点に対して、様々な速度で回転するように作動要素416によって制御することができる。
試料容器412の内面(生物学的試料414と接触している)および/またはシリンダ418は、任意の材料、好ましくは、生物学的試料414を変質させない、または生物学的試料414と反応しない非反応性の材料から形成することができる。例えば、試料容器412の少なくとも内面およびシリンダ418は、アルミニウム、医学的に承認された材料、人工関節/義肢に使用するために医学的に承認された材料(例えば、チタン、酸化チタン)、ガラス繊維、プラスチック(例えば、ポリプロピレンまたはポリカーボネート)、金属、または金属合金から形成することができる。これは可能な材料を網羅したリストではないことは理解されるであろう。実施形態では、試料414と接触する試料容器412の内面およびシリンダ418の表面は、滑りを減らすために粗くされてもよい。
実施形態では、生物学的試料414が冷却されるとき、回転デバイス404のシリンダ418はその中に留まることがある。したがって、シリンダ418は固化された生物学的試料414内に留まり得る。この場合、シリンダ418が作動要素416に取外し可能に結合され、その結果、シリンダ418が、作動要素416から脱着することができ、試料容器412をハウジング402から取り出すことができることは有利となり得る。試料容器412は、シリンダ418とともにそのままの状態で長期保存デバイス(例えば、冷凍庫)に保存することができる。試料容器412内に入れられた試料を加温/液化するとき、試料容器412をハウジング402に再挿入することができ、シリンダ418を作動要素416に再取付けすることができる。これによって、回転デバイスを加温プロセス時に使用することができる。
回転中のシリンダ418の回転の速度および動力の入力は、冷却または加温時に氷結晶が形成されたかどうかを判定するために監視/記録することができる。例えば、冷却または加温時に、シリンダ418を回転させるために必要な力または動力が思いがけなく増大した場合、生物学的試料414内に氷結晶が形成されたと判定することができる。これは、氷結晶が形成されるとシリンダ418および/または試料容器412はより多く「滑る」ことができ、その結果、氷結晶がないときと比べて、シリンダ418および/または試料容器412を同じ速度で回転させるためにより多くの動力が使用されるからであろう。
図5は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス504を備えた装置500の概略図を示す。装置500は、装置500が特定の粘度変更デバイス504を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置500は、温度制御デバイス508、温度センサ509、制御回路506、電源510、および記憶装置513を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置500では、粘度変更デバイス504は転がりデバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス504は、ハウジング502内に設けられる、またはハウジング502に一体化される。粘度変更デバイス504は、少なくとも1つの案内レールまたは案内ロッド516、およびローラ514を備える。案内レール516は、ハウジング502の各端部に固定的に結合されてもよく、またはハウジング502に取外し可能に結合可能(または脱着可能)であってもよい。ローラ514は、ローラ514が回転して試料容器512の表面にわたって移動することができるように、案内レール516に結合される。図5に示されるように、試料容器512は、ローラ514が試料容器512の表面と接触するようにハウジング502内に置くことができる。ローラ514は、試料容器512の表面にわたって転がることができ、そのようにするとき、ローラ514は試料容器512を圧縮する。ローラ514は、ローラ514の運動(すなわち、移動の速度と方向)を制御する作動要素(図示せず)に結合することができる。作動要素は、作動要素の動作を制御し、したがってローラ514の動作を制御する、制御回路506に結合されてもよい、または専用の制御回路を有してもよい。
図5の実施形態では、試料容器512は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器で、ローラ514がその上を転がることができる容器とすることができる。したがって、試料容器512は、クライオバッグまたは血液バッグなどの展性のある容器とすることができる。試料容器512には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。ローラ514は、試料容器512の表面のすべて、または一部分にわたって繰り返し転がる。転がる動きは生物学的試料の圧縮を引き起こし、それは、生物学的試料内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。
作動要素(図示せず)は、ローラがロッド516の一端から他端に移動する回転速度または速度を含むローラ514の動きを制御するために使用される。作動要素は、生物学的試料内の粘度の変化を引き起こすのに適した回転速度または速度で試料容器512にわたってローラ514を転がすことができる。例えば、ローラ514は、1秒あたり1サイクルの速度で試料容器512にわたって前後に移動することができる。ハウジング502内のローラ514およびロッド516の高さ/位置は、ハウジング502内で任意のサイズの試料容器512を使用することができるように、および/またはローラ514によって加えられる圧縮力を調節することができるように、(手動、または自動で)調節可能とすることができる。これによって、ローラ514によって加えられる力を、例えば、0.5N(これを含む)から20N(これを含む)まで調節することができる。特定の実施形態では、ローラ514は、10Nから13Nまでの力を加えることができる。特定の実施形態では、ローラ514は、試料の量/試料容器512のサイズに比例した力を加えることができる。例えば、ローラ514は、1ミリリットルあたり1Nから2Nの間の力を加えることができる。実施形態では、氷結晶の形成を防ぐのに適した粘度の変化を引き起こすために必要な移動速度および/または力は、温度とともに変わり得る。したがって、ローラ514は、様々な試料、様々なプロセス(加温または冷却)、または加温/冷却プロセス内の様々な点に対して、様々な速度で移動する(または、様々な力を加える)ように作動要素によって制御することができる。
図6は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス604を備えた装置600の概略図を示す。装置600は、装置600が特定の粘度変更デバイス604を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置600は、温度制御デバイス608、温度センサ609、制御回路606、電源610、および記憶装置613を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置600では、粘度変更デバイス604は圧縮デバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス604は、ハウジング602内に設けられる、またはハウジング602に一体化される。粘度変更デバイス604は、第1のプレート614、第2のプレート618、および作動要素616を備える。図6に示されるように、試料容器612は、ハウジング602内で、第1のプレート614と第2のプレート618との間の空間に置くことができる。試料容器612を圧縮するために、第1のプレート614および第2のプレート618の一方または両方を互いの方に向かって動かすことができる。試料容器612を部分ごとに圧縮するように、第1のプレート614および第2のプレート618を揺動運動して動かすことができる。第1のプレート614および/または第2のプレート618は、プレートの運動を制御する作動要素616に結合される。作動要素616は、作動要素の動作を制御し、したがってプレート614/618の動作を制御する、制御回路606に結合されてもよい、または専用の制御回路を有してもよい。
図6の実施形態では、試料容器612は、生物学的試料を入れるのに適した任意の容器で、圧縮することができる容器とすることができる。したがって、試料容器612は、クライオバッグまたは血液バッグなどの展性のある容器とすることができる。試料容器612には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。プレート614およびプレート618の一方または両方は、試料容器612の表面のすべて、または一部分にわたって揺動する。図6は、試料容器612を圧縮するためにプレート614と618を互いに対して動かす仕方を示す。揺動する動きは生物学的試料の圧縮を引き起こし、それは、生物学的試料内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。
作動要素は、移動速度、移動量、および試料容器612に加えられる力を含む第1のプレート614および/または第2のプレート618の動きを制御するために使用される。作動要素616は、生物学的試料内の粘度の変化を引き起こすのに適した速度および力でプレート614、618に試料容器612を圧縮させることができる。プレート614、618によって加えられる力は、例えば、0.5N(これを含む)から20N(これを含む)までのいずれかとすることができる。特定の実施形態では、プレート614、618は、試料の量/試料容器612のサイズに比例した力、例えば、1ミリリットルあたり1Nから2Nの間の力を加えることができる。実施形態では、氷結晶の形成を防ぐのに適した粘度の変化を引き起こすために必要な移動速度および/または力は、温度とともに変わり得る。したがって、プレート614、618は、様々な試料、様々なプロセス(加温または冷却)、または加温/冷却プロセス内の様々な点に対して、様々な速度で(または、様々な力を加えるように)作動要素によって動かすことができる。
図2から図6に示された装置の実施形態では、温度制御デバイスは、粘度変更デバイス内に完全に、または部分的に設けられてもよい。例えば、装置200の実施形態では、温度制御デバイス208、または温度制御デバイス208の一部分は、粘度変更デバイス204のロッド218内に組み入れられてもよい。これによって、ロッド218は、生物学的試料の粘度の変化を引き起こすことができ、生物学的試料の温度を変化させることができる。これは、ロッド218が、凍結保存プロセス時に冷却されて固化された生物学的試料214内で動けなくなる実施形態では特に有用となり得る。この場合には、ロッド218内の温度制御デバイスは、試料内から(必要なときに)生物学的試料を加熱することができ、ロッド218は叩きプロセスを実行するように動いて、加熱プロセスが外部から加えられる場合よりも早く粘度の変化を引き起こすことができる。同様に、パドル320、シリンダ418、ローラ514、プレート614、および/またはプレート618は温度制御デバイスを備えることができ、その結果、生物学的試料は、粘度変更デバイスによって少なくとも部分的に冷却/加温することができる。
図7は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス704を備えた装置700の概略図を示す。装置700は、装置700が特定の粘度変更デバイス704を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置700は、温度制御デバイス708、温度センサ709、制御回路706、電源710、および記憶装置713を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置700では、粘度変更デバイス704は音発生デバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス704は、ハウジング702内に設けられる、またはハウジング702に一体化される。実施形態では、音発生デバイス704は、図7に示されるように、ハウジング702の近くに設けられる。音発生デバイス704は、生物学的試料内の粘度の変化を引き起こすことができる特定の周波数で音波を発生する。例えば、音発生デバイス704は、音波が生物学的試料を通過したとき粘度変化を引き起こす特定の周波数および振幅を有する超音波を発生することができる。音発生デバイス704は、制御回路706に結合されて、発生する波の周波数および振幅を制御することができる。本発明のこの実施形態の利点は、この技法が、任意のタイプの試料容器712とともに使用することができることである。
図7の実施形態では、試料容器712は、生物学的試料714を入れるのに適した任意の容器とすることができる。例えば、試料容器712は、クライオバイアル、クライオバッグ、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。試料容器712には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。音発生デバイス704によって発生させられた音波は、生物学的試料内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。
図8は、凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための粘度変更デバイス804を備えた装置800の概略図を示す。装置800は、装置800が特定の粘度変更デバイス804を備えていることを除いて、図1の装置100と実質的に同一である。したがって、同様の参照番号は同じまたは類似の要素を指す。例えば、装置800は、温度制御デバイス808、温度センサ809、制御回路806、電源810、および記憶装置813を備え、これらは、上記の要素108、109、106、110、および113と同じまたは類似である。したがって、説明を簡単にするために、このような要素を再び説明することはしない。
装置800では、粘度変更デバイス804は磁場発生デバイスである。実施形態では、粘度変更デバイス804は、ハウジング802内に設けられる、またはハウジング802に一体化される。実施形態では、磁場発生デバイス804は、図8に示されるように、ハウジング802の近くに設けられる。デバイス804は、生物学的試料内の粘度の変化を引き起こすことができる場強度を有する磁場または電磁場を発生する。デバイス804は、ハウジング802の近く、またはハウジング802の周りすべてに設けられた磁石または電磁石を備えることができる。磁場強度または電磁場強度は、デバイス804によって変えられて、必要とする粘度を確実に引き起こすことができる。デバイス804は、制御回路806に結合されて、発生する波の周波数および振幅を制御することができる。本発明のこの実施形態の利点は、この技法が、任意のタイプの試料容器812とともに使用することができることである。
図8の実施形態では、試料容器812は、生物学的試料814を入れるのに適した任意の容器とすることができる。例えば、試料容器812は、クライオバイアル、クライオバッグ、微量遠心管、医薬バイアル、遠心管などであってもよい。試料容器812には、生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体が入っている。凍結保存媒体は、磁場または電磁場によって影響を受けることができる鉄またはその他のものとすることができる。デバイス804によって発生させられた場は、生物学的試料内の非ニュートン流体のずり減粘またはずり増粘を引き起こす。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が増大する場合、流体はずり増粘している。ずり速度が上昇するにつれて流体の粘度が低下する場合、流体はずり減粘している。
本技法の実施形態は、プロセッサ上で実行されるとき、プロセッサに本明細書に記載の方法を実行させる非一時的データキャリア搬送コードも提供する。
本技法は、例えば、汎用コンピュータシステム上、またはデジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)上で上記の方法を実行するためのプロセッサ制御コードをさらに提供する。本技法は、実行時に、特に、非一時的データキャリア上または非一時的コンピュータ読取可能な媒体上で、例えばディスク、マイクロプロセッサ、CD-ROM、DVD-ROM、読取り専用メモリ(ファームウェア)などのプログラムされたメモリ上で、あるいは光または電気信号キャリアなどのデータキャリア上で、上記の方法のいずれかを実行するためのプロセッサ制御コードを搬送するキャリアも提供する。コードは、ディスク、マイクロプロセッサ、CD-ROM、DVD-ROM、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ)などのプログラムされたメモリ、または読取り専用メモリ(ファームウェア)などの(非一時的)キャリア上に提供されてもよい。本技法の実施形態を実行するためのコード(および/またはデータ)は、Cなどの従来のプログラミング言語(インタプリタ型またはコンパイル型)のソース、オブジェクト、または実行可能コード、またはアセンブリコード、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)を設定または制御するためのコード、あるいはVerilog(商標)またはVHDL(Very high speed integrated circuit Hardware Description Language、超高速集積回路ハードウェア記述言語)などのハードウェア記述言語のコードを含むことができる。当業者であれば認識するように、このようなコードおよび/またはデータは、互いに通信している複数の結合された構成要素間に分散されてもよい。本技法は、システムの構成要素のうちの1つまたは複数に結合されたマイクロプロセッサ、作業メモリ、およびプログラムメモリを含むコントローラを含むことができる。
上記の技法に対する動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語および従来の手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで記述することができる。コード構成要素は、手順、方法などとして具現化することができ、ネイティブ命令セットの直接機械命令から高レベルのコンパイル型またはインタプリタ型言語要素まで、抽象化のいずれかのレベルの命令、または命令のシーケンスの形態をとり得るサブコンポーネントを含むことができる。
本技法の好ましい実施形態による論理方法のすべてまたは一部は、論理素子を含む論理装置において適切に具体化されて、上記の方法のステップを実行することができ、このような論理素子は、例えば、プログラマブル論理アレイ、または特定用途向け集積回路内の論理ゲートなどの構成要素を備えることができることも、当業者にとっては明らかであろう。そのような論理構成は、更に、例えば、固定または伝送可能なキャリア媒体を用いて記憶および伝送することができる仮想ハードウェア記述子言語を使用して、このようなアレイまたは回路内に、論理構造を一時的または恒久的に確立するための要素を可能にすることにおいて、具体化することができる。
一実施形態では、本技法は、それ自体に機能データを有するデータキャリアの形態で実現してもよく、前記機能データは、コンピュータシステム、またはネットワークにロードされて、これによって作動するとき、前記コンピュータシステムが上記の方法のすべてのステップを実行することを可能にする機能的コンピュータデータ構造を備える。
以上、最良の態様であると考えられるもの、および本技法を実施するための他の適切な態様を説明してきたが、本技法は、好ましい実施形態のこの説明に開示された特定の構成および方法に限定されるべきではないことを当業者であれば認識するであろう。当業者であれば、本技法は広範囲の用途を有し、添付の特許請求の範囲に規定されるいかなる本発明の概念からも逸脱することなく、実施形態を広範囲に修正することができることを認識するであろう。
100 装置
102 ハウジング
104 粘度変更デバイス
106 制御回路
107 通信モジュール
108 温度制御デバイス
109 温度センサ
110 電源
112 試料容器
113 記憶装置
115 センサ
200 装置
202 ハウジング
204 粘度変更デバイス
206 制御回路
207 通信モジュール
208 温度制御デバイス
209 温度センサ
210 電源
212 試料容器
213 記憶装置
214 生物学的試料
215 センサ
216 作動要素
218 ロッド
300 装置
302 ハウジング
304 粘度変更デバイス
306 制御回路
307 通信モジュール
308 温度制御デバイス
309 温度センサ
310 電源
312 試料容器
313 記憶装置
314 生物学的試料
315 センサ
316 作動要素
318 ロッド
320 パドル
400 装置
402 ハウジング
404 粘度変更デバイス
406 制御回路
407 通信モジュール
408 温度制御デバイス
409 温度センサ
410 電源
412 試料容器
413 記憶装置
414 生物学的試料
415 センサ
416 作動要素
418 シリンダ
500 装置
502 ハウジング
504 粘度変更デバイス
506 制御回路
507 通信モジュール
508 温度制御デバイス
509 温度センサ
510 電源
512 試料容器
513 記憶装置
514 ローラ
515 センサ
516 案内レール
600 装置
602 ハウジング
604 粘度変更デバイス
606 制御回路
607 通信モジュール
608 温度制御デバイス
609 温度センサ
610 電源
612 試料容器
613 記憶装置
614 第1のプレート
615 センサ
616 作動要素
618 第2のプレート
700 装置
702 ハウジング
704 粘度変更デバイス
706 制御回路
707 通信モジュール
708 温度制御デバイス
709 温度センサ
710 電源
712 試料容器
713 記憶装置
714 生物学的試料
715 センサ
800 装置
802 ハウジング
804 粘度変更デバイス
806 制御回路
807 通信モジュール
808 温度制御デバイス
809 温度センサ
810 電源
812 試料容器
813 記憶装置
814 生物学的試料
815 センサ

Claims (14)

  1. 凍結保存プロセス時での氷結晶の形成を防ぐための装置であって
    ウジングと、
    生物学的試料、および凍結保存媒体としての非ニュートン流体を含んでいる容器と、
    前記凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすためのデバイスと、
    を備える装置。
  2. 前記デバイスが、前記容器内の前記生物学的試料に力を加えるための叩きデバイス又は回転デバイスを備える、請求項1に記載の装置。
  3. 前記デバイスが、
    前記容器内の前記生物学的試料に回転力を加えるための回転デバイスと、
    前記容器内の前記生物学的試料内を回転するように前記回転デバイスに結合可能な作動要素と、
    を備えた、請求項1に記載の装置。
  4. 前記回転デバイスが、前記生物学的試料に少なくとも部分的に挿入されるパドルまたはプロペラを備えた、請求項3に記載の装置。
  5. 前記デバイスが、
    前記容器内の前記生物学的試料を圧縮するための圧縮デバイスと、
    前記圧縮デバイスを動作させるように前記圧縮デバイスに結合可能な作動要素と、
    を備えた、請求項1に記載の装置。
  6. 前記圧縮デバイスが、
    案内レールと、
    前記案内レールに結合されたローラと、
    を備えた、請求項5に記載の装置。
  7. 前記容器が前記ハウジング内に置かれ、前記ローラが、前記容器の表面にわたって動かされて前記生物学的試料を圧縮する、請求項6に記載の装置。
  8. 前記圧縮デバイスが、
    第1の可動プレートと、
    前記第1の可動プレートに平行に設けられた第2のプレートと、
    を備え、
    前記容器が、前記第1の可動プレートと前記第2のプレートとの間の空間に挟まれた、請求項5に記載の装置。
  9. 前記デバイスが、前記容器および生物学的試料を通るように向けられた音波を発生するための音発生デバイスである、請求項1に記載の装置。
  10. 前記デバイスが、磁場発生デバイス又は電磁場発生デバイスである、請求項1に記載の装置。
  11. 前記凍結保存プロセスが、前記生物学的試料を凍結保存するための冷却プロセスであり、前記装置が、前記生物学的試料を冷却するために温度制御デバイスを備えた、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
  12. 前記冷却プロセスが完了したときに、前記容器が前記装置から取り出され、外部保存デバイスに保存される、請求項11に記載の装置。
  13. 前記凍結保存プロセスが、前記生物学的試料を液化するための加熱プロセスであり、前記装置が、前記生物学的試料を加熱するためにさらなる温度制御デバイスを備えた、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
  14. 前記凍結保存媒体の粘度の変化を引き起こすためのデバイスが、凍結保存媒体のずり増粘および/またはずり減粘を引き起こす、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
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