JP7101247B2 - 音声操作支援システム及び音声操作支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、音声操作支援システム及び音声操作支援方法に関し、列車を運行する運転士や車掌等の乗務員による車両情報制御装置の操作を支援する音声操作支援システム及び音声操作支援方法に適用して好適なものである。
一般的な鉄道車両(列車)の運転運用において、車両機器の各種設定や状態情報の確認は、車両内の機器情報を収集・管理・制御している車両情報制御装置の運転台表示器におけるタッチパネルを用いて操作されている。また、照度センサ等を用いて運転台表示器の輝度設定を自動で変更する技術も知られている。
しかし、列車運用において、運転操作中の運転士は、マスターコントローラのハンドルを手で操作することに加え、前方注視を行う必要があるため、運転操作中に運転台表示器のタッチパネルを手で操作して各種機器の設定変更や状態確認を安全かつ確実に行うことは容易ではなかった。また、ワンマン運転の運用においては、運転士は空調の設定変更や非常通報の発生時の対応等も行う必要があるが、運転操作中にこれらの対応を手で操作することはさらに困難であった。列車運行におけるこのような課題を解決し得る別の操作方法として、例えば、音声入力が考えられる。
列車運行における音声入力に関する従来技術として、例えば特許文献1には、緊急時に列車の運転士の音声入力によって防護発報を実行できるようにした防護システムが開示されている。特許文献1に開示された防護システムでは、運転士による音声入力について、予め格納された特定の音声パターンと照合して防護無線装置の防護発報が必要か否かを判断し、判断結果に応じて列車無線装置による防護発報動作を行う。
また、特許文献2には、運転士による音声喚呼を支援する音声認識システムが開示されている。特許文献2に開示された音声認識システムでは、列車が喚呼標識の近傍に達したときに運転士が喚呼を発していないと判断した場合には、喚呼を促す音声報知を行うことによって、運転士による喚呼の漏れを防止することができる。また、列車が喚呼標識の近傍に達したときに運転士が喚呼を発したと判断した場合には、当該喚呼を復唱する音声応答を返すことによって、運転士による喚呼の内容確認を可能にすることができる。
また、特許文献3には、ユーザの音声入力に基づいて、システムへの単語等の入力操作を支援する列車運転管理表作成システムが開示されている。特許文献3に開示された列車運転管理表作成システムでは、マイクからのユーザの音声入力について、地点ごとに応じた単語辞書を参照して、当該音声入力が示す単語を判断して画面上に表示し、ユーザが実行ボタンを押すと、当該単語の入力及び書込みが行われる。
特開2008-254512号公報 特開2001-239937号公報 特開平09-274555号公報
しかしながら、上述した特許文献1~特許文献3に開示された技術は、車両運用における極めて限定的な操作について音声入力に基づく操作支援を可能にするものであって、列車運用における各種の乗務員操作を音声入力に基づいて支援することは困難であった。その理由について、特許文献ごとに以下に詳しく説明する。
まず、特許文献1に開示された防護システムは、列車無線装置による防護発報動作に限って操作を支援するものであり、通常時の運行操作を含む、列車運用における全般的な各種乗務員操作を支援する点については何ら考慮されていない。
また、特許文献1に開示された防護システムでは、入力音声の照合のみによる1段階の照合で防護発報動作が行われてしまうため、防護発報の操作を意図していない状況であっても、入力音声が誤認識された場合に、防護発報動作が誤動作してしまう懸念がある。列車運用の実際の環境は、例えば、列車の振動音やブレーキ音、列車無線や車内放送等、ノイズ音源が非常に多く、入力音声の誤認識が発生し易い環境である。しかし、前述したように特許文献1ではこのような入力音声の誤認識による防護発報動作の誤動作について考慮されておらず、運転士の操作を安全かつ確実に支援できるか懸念される。
次に、特許文献2に開示された音声認識システムは、運転士の音声喚呼を促すために音声報知を行うものであり、車両情報制御装置に対する乗務員(この場合は運転士)による何らかの実行操作を支援するものではない。すなわち、列車運用における各種乗務員操作を音声入力によって支援できるものではない。また、特許文献2では、前述した特許文献1と同様、ノイズ音源の多い列車運用の環境において音声入力の誤認識による誤動作を防止する観点についても何ら考慮されていない。
次に、特許文献3に開示された列車運転管理表作成システムは、列車運行管理における表作成操作を支援するものであって、運用中の列車内における各種乗務員操作を支援することを想定したものではない。また、特許文献3の技術は、音声入力に対する認識結果を確認することはできるものの、当該音声入力に基づく操作の最終的な実行には、ユーザが実行ボタンを押すという手動操作が必要となり、この点からも、列車運用における各種乗務員操作を音声入力によって支援できるものではない。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、列車の運行における各種の乗務員操作について、誤動作を未然に防止しながら、音声入力による乗務員操作を安全かつ確実に支援することが可能な音声操作支援システム及び音声操作支援方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、車両に搭載された音声入力装置に入力された音声入力情報に基づいて、列車の運行における各種の乗務員操作の実行を支援する音声操作支援システムが提供される。この音声操作支援システムは、前記列車の各車両の動作状態信号及び機器情報を収集、管理、及び又は制御する車両情報制御装置と、前記車両情報制御装置から送信された情報を出力する運転台表示器と、を備える。さらに、前記車両情報制御装置は、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報が乗務員の音声入力によって前記音声入力装置に入力されたとき、当該音声入力情報から生成される文字情報データを基に、当該乗務員操作における操作機能とその操作内容を推測し、操作内容候補として抽出する操作内容候補判定部と、前記抽出された前記操作内容候補を示す情報を前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める操作内容確認応答部と、を有し、前記操作内容候補判定部は、前記確認応答に対して乗務員から音声入力による肯定回答が得られた場合に、当該確認応答において前記操作内容候補として示された前記操作機能及び前記操作内容によって前記乗務員操作の実行を許可することを特徴とする。
また、かかる課題を解決するため本発明においては、車両に搭載された音声入力装置に入力された音声入力情報に基づいて、列車の運行における各種の乗務員操作の実行を支援する音声操作支援システムによる音声操作支援方法が提供される。ここで、前記音声操作支援システムは、前記列車の各車両の動作状態信号及び機器情報を収集、管理、及び又は制御する車両情報制御装置と、前記車両情報制御装置から送信された情報を出力する運転台表示器と、を備えて構成される。そして、この音声操作支援方法は、前記車両情報制御装置において、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報が乗務員の音声入力によって前記音声入力装置に入力されたとき、当該音声入力情報から生成される文字情報データを基に、当該乗務員操作における操作機能とその操作内容を推測し、操作内容候補として抽出する操作内容候補判定ステップと、前記操作内容候補判定ステップで抽出された前記操作内容候補を示す情報を前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める操作内容確認応答ステップと、前記操作内容確認応答ステップで求められた前記確認応答に対して乗務員から音声入力による肯定回答が得られた場合に、当該確認応答において前記操作内容候補として示された前記操作機能及び前記操作内容によって前記乗務員操作の実行を許可する操作実行許可ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、列車の運行における各種の乗務員操作について、誤動作を未然に防止しながら、音声入力による乗務員操作を安全かつ確実に支援することができる。
本発明の一実施の形態に係る音声操作支援システムが搭載される列車の構成例を示す図である。 図1に示した音声操作支援システムの機能構成例を示すブロック図である。 音声操作支援処理の全体的な処理手順例を示すフローチャートである。 音声認識処理の処理手順例を示すフローチャートである。 操作内容候補判定処理の処理手順例を示すフローチャートである。 乗務員操作データベースに格納される情報の具体例を示す図である。 操作内容確認応答処理の処理手順例を示すフローチャートである。 操作確認応答データベースに格納される情報の具体例を示す図である。 操作内容実行処理の処理手順例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)概略構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る音声操作支援システムが搭載される列車の構成例を示す図である。図1では、列車1を構成する複数の車両(1号車~N号車)について、両端側の車両(1号車及びN号車)を先頭車と表記し、それ以外の車両(2号車~N-1号車)を中間車と表記している。そして、本実施の形態に係る音声操作支援システム10は、列車1の各車両のうち、少なくとも先頭車(特に、運転士が乗る進行方向側の先頭車であることが好ましい)に搭載され、その他の車両にも同様に音声操作支援システム10が搭載されてもよい。以下では、先頭車(1号車)に搭載された音声操作支援システム10を中心に説明する。
なお、図1では、個々の構成要素について、搭載先の車両を区別する場合には、当該構成要素に付した番号に、車両によって異なる添字を追加しているが(具体的には例えば、先頭車は車両情報制御装置11-1,11-3で、中間車は車両情報制御装置11-2としている)、以下の説明において車両を区別する必要がない場合にはこれらの添字を付けずに表記する(上記例だと、車両情報制御装置11と称する)。
図1に示したように、先頭車(1号車)には、音声操作支援システム10、音声入力装置20、及び車両機器30が搭載されている。
音声操作支援システム10は、車両の運転台またはその近傍に設置され、車両情報制御装置11と運転台表示器12とを備える。
車両情報制御装置11(例えば1号車の車両情報制御装置11-1)は、車両間ネットワークを介して、他車両の車両情報制御装置11(例えば2号車の車両情報制御装置11-2やN号車の車両情報制御装置11-3)と接続される。車両情報制御装置11は、各車両の動作状態信号及び各機器情報を収集及び管理し、制御情報を伝達して列車1の制御を行うとともに、車両の各種情報(状態情報、故障情報、制御情報等)を運転台表示器12に表示する。また、車両情報制御装置11は、車両の各種情報を運転台表示器12のスピーカ121や車両機器30から報知する制御も行う。
運転台表示器12は、乗務員(ここでは運転士)が列車を運行するために操作する運転台に設けられた表示器であって、乗務員に対する表示出力を行う表示画面(不図示)を備える。また、運転台表示器12には、上述したように音声出力が行われるスピーカ121も設けられる。
音声操作支援システム10の詳細については、図2以降を参照しながら、その機能構成を中心に後述する。
音声入力装置20は、乗務員(例えば運転士)の音声による操作入力をマイク201で受け付け、入力された音声信号(音声入力情報)または音声入力に基づいてデータ変換した信号を音声操作支援システム10の車両情報制御装置11に伝送する入力装置である。
なお、本実施の形態において、音声入力装置20の実装形態は特定の形態に限定されず、マイク201を用いて音声信号を入力するものであればよく、既知の音声入力形態を採用することができる。図1には、音声入力装置20の具体的な形態として、マイク直接利用タイプ21、ウェアラブル端末利用タイプ22、及び音声認識処理タイプ23が例示されている。
詳しくは、マイク直接利用タイプ21では、マイク201が車両情報制御装置11に有線接続されており、マイク201に入力された音声信号を、直接、車両情報制御装置11に入力する。
ウェアラブル端末利用タイプ22では、乗務員が保持するウェアラブルな乗務員端末221において、マイク201に入力された音声信号をアンテナ222から無線送信し、車両情報制御装置11に有線接続されたアンテナ223で受信し、車両情報制御装置11に入力する。
音声認識処理タイプ23では、マイク201と車両情報制御装置11との間に、音声認識装置231が接続される。音声認識装置231は、音声認識処理を行うことにより、音声入力情報を、音声操作支援システム10が乗務員操作の操作内容を識別可能な文字情報データにデータ変換する機能を有する。音声認識処理タイプ23の場合、マイク201に入力された音声信号(音声入力情報)が音声認識装置231によってデータ変換され、データ変換後の信号(文字情報データ)が車両情報制御装置11に入力される。なお音声入力装置20は、車両に据え付けられた態様の他に可搬性を有する装置によって実現してもよい。具体的には例えば、タブレット端末やスマートフォンといったマイク機能や音声認識処理機能を有する装置を使うことができる。
なお、本実施の形態において、音声認識処理による音声入力情報から文字情報データへのデータ変換は、音声入力された単語を分解・抽出するような1次的なデータ変換に限定されるものではなく、1次的なデータ変換の後に、予め定められたルールに則って再変換を行って、乗務員操作の操作内容に関連付けられたコードや識別番号等に変換する2次的なデータ変換であってもよい。これは、音声認識装置231による音声認識処理でも、後述する音声認識部111による音声認識処理でも同様である。2次的なデータ変換による文字情報データを利用する場合は、1次的なデータ変換による文字情報データに比べて、音声操作支援システム10におけるその後の処理負担を軽減することができる。
なお、前述したウェアラブル端末利用タイプ22において、乗務員端末221が音声認識装置231によるデータ変換と同等の機能を有する場合には、乗務員端末221から車両情報制御装置11に、音声入力情報をデータ変換した後の文字情報データを入力するようにしてよい。
車両機器30は、列車に搭載された各種機器(並びに回路等)であって、機器ごとに固有の機能を有している。図1には車両機器30の具体例として、車内・車外表示器31、空調装置32、放送装置33、及び各種車両回路34が例示されている。これら車両機器30の各種機器は、車両内ネットワークによって車両情報制御装置11と通信可能に接続される。
詳しくは、車内・車外表示器31は、車内または車外(車体の外面)に設けられたLED、ランプ、またはディスプレイ等によって情報を表示する表示機器である。空調装置32は、自車両内を空調する空調機器である。放送装置33は、各車両に設けられたスピーカから車内アナウンス等の放送(自動放送を含む)を流すための制御を行う機器である。各種車両回路34は、列車運行等に関する各種制御を行う回路装置(機器)を総称したものである。
本実施の形態において、上記のように構成された音声操作支援システム10は、乗務員によって実行される各種機器の設定操作や状態確認の操作(以後、乗務員操作と称する)に関する乗務員の音声入力による操作指示に対して、次のような音声操作支援処理を行う。
例えば、音声入力装置20にマイク直接利用タイプ21が採用されている場合、乗務員操作を指示する音声入力が乗務員によってマイク201を使って行われると、音声入力情報(音声データ)が音声操作支援システム10に入力される。このとき、音声操作支援システム10の車両情報制御装置11が、入力された音声入力情報を、音声操作支援システム10が乗務員操作の操作内容を識別可能な文字情報データにデータ変換し(音声認識処理)、変換結果の文字情報データを基に、様々な乗務員操作のうちから当該音声入力が求める乗務員操作の操作内容を推定し、その後の操作内容確認応答処理において乗務員に確認させる操作内容候補を抽出する(操作内容候補判定処理)。そして、車両情報制御装置11は、抽出された操作内容候補を出力(運転台表示器12の表示画面に表示したりスピーカ121から報知したり)することにより、操作内容候補として示した操作内容の実行可否について乗務員に音声による確認応答を要求する(操作内容確認応答処理)。この確認応答では、出力された操作内容が正しいか否かの確認、及び当該操作内容の実行可否をYES/NOの2択で回答するように報知する。なお、本実施の形態では、上記の操作内容候補判定処理において、操作内容候補の確認応答に対する乗務員によるYES/NOの音声入力に基づいて、操作内容候補とした乗務員操作を実行してよいか否かの最終判断も行う。そして、操作内容候補判定処理による最終判断の判断結果に応じて、当該操作内容による乗務員操作を実行するよう制御する(操作内容実行処理)。
なお、音声入力装置20が音声認識装置231またはそれと同等の機能を有する場合(すなわち、マイク直接利用タイプ21ではなく、ウェアラブル端末利用タイプ22の一部や音声認識処理タイプ23が採用される場合)には、上記の音声認識処理までを音声入力装置20側で実行することができる。
(2)機能構成
図2は、図1に示した音声操作支援システムの機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、音声操作支援システム10は、音声認識部111、操作内容候補判定部112、操作内容確認応答部113、操作内容実行部114、乗務員操作データベース115、及び操作確認応答データベース116を備える。
音声認識部111は、音声入力装置20に入力された音声入力情報(音声データ)を認識し、音声入力情報を音声操作支援システム10が乗務員操作の操作内容を識別可能な文字情報データにデータ変換する(音声認識処理)。なお、音声認識部111は、前述した音声認識装置231と同等の機能を実現するものであるから、音声入力装置20側で音声認識装置231を備える場合、音声操作支援システム10は必ずしも音声認識部111を備えていなくてもよい。
操作内容候補判定部112は、音声認識部111によってデータ変換された文字情報データを基に、乗務員操作データベース115を参照して、確認応答の対象とする操作内容候補を抽出する(操作内容候補判定処理)。また、操作内容候補判定処理において、操作内容候補判定部112は、操作内容確認応答部113による確認応答に対する乗務員の応答内容(YES/NO回答)に基づいて、操作内容候補とした乗務員操作を実行するか否かの判定(最終判断)も行う。なお、操作内容候補判定部112や乗務員操作データベース115は、車両情報制御装置11から独立させ、例えば列車の運行を管理する管理センタに設置された中央サーバに保持させてもよい。この場合、音声認識部111の出力は中央サーバに対して無線を介して発信され、中央サーバは受信した音声に関する信号を解析して解析結果を操作内容確認応答部113へ発信するようにしてもよい。車両と中央サーバとの情報伝達は、例えば列車無線のために設けられた無線通信システムを介して行われる。中央サーバを利用する音声操作支援システム10は、大量の音声データを蓄積し、それらの音声データを用いた機械学習による音声認識精度の向上も図りやすい点で有益である。
操作内容確認応答部113は、操作内容候補判定部112によって抽出された操作内容候補の情報を基に、操作確認応答データベース116を参照し、抽出された操作内容候補を乗務員に確認させる確認応答用の出力情報を生成し、運転台表示器12に表示させる(操作内容確認応答処理)。さらにこのとき、スピーカ121に、当該確認応答の音声確認用の情報を出力する。また音声入力装置20が音声認識装置231に加えて、表示装置を有する場合がある。そのような場合は、運転台表示器12に代わって音声入力装置20の表示装置に操作内容候補を表示させるようにしてもよい。
操作内容実行部114は、確認応答に対する乗務員によるYES/NOの音声入力に基づいて行われる、操作内容候補判定部112による最終判断の結果に基づいて、乗務員操作内容の実行指令(操作実行指令)を該当する車両機器30に出力する(操作内容実行処理)。
乗務員操作データベース115は、乗務員からの音声入力情報に対応して、乗務員操作の操作内容候補を抽出するために用いられる情報が格納されたデータベースであって、各種の乗務員操作について、乗務員操作の操作内容を推定可能な情報が予め登録されている。乗務員操作データベース115に格納される情報の具体例は後の図6に示す。
操作確認応答データベース116は、操作内容候補の確認応答における運転台表示器12(またはスピーカ121)への出力内容を決定するための情報が格納されたデータベースであって、例えば、各種の乗務員操作について、操作内容候補を用いて構成される確認応答用の表示メッセージのフォーマット等が予め登録されている。操作確認応答データベース116に格納される情報の具体例は後の図8に示す。
(3)音声操作支援処理
本実施の形態における音声操作支援処理について説明する。前述したように、音声操作支援処理は音声操作支援システム10によって実行される。
図3は、音声操作支援処理の全体的な処理手順例を示すフローチャートである。
図3に示したように、まずステップS11では、音声認識部111が音声認識処理を行う。詳細な処理手順は図4を参照して後述するが、音声認識処理では、音声入力装置20から入力された乗務員の音声入力情報を、音声認識によって文字情報データにデータ変換し、変換後の文字情報データを操作内容候補判定部112に送信する。
なお、音声認識装置231のように、音声認識部111に相当する機能が音声入力装置20側に備えられている場合には、ステップS11に相当する処理は、音声入力装置20側で実行されるとしてもよい。
次のステップS12では、操作内容候補判定部112が操作内容候補判定処理を行う。詳細な処理手順は図5を参照して後述するが、操作内容候補判定処理では、ステップS11による文字情報データに基づいて、乗務員操作データベース115を参照し、乗務員の音声入力情報が求める操作内容を推定し、当該推定結果に基づいて、確認応答の対象とする操作内容候補を抽出する。さらに、操作内容候補判定処理では、ステップS13の操作内容確認応答処理による操作内容確認応答の出力状態を参照し、操作内容候補の抽出結果と照合することにより、確認応答に対する乗務員の応答内容がYES回答であった場合には、操作内容候補とした乗務員操作を実行してよいと判定し、判定結果を操作内容実行部114に送信する。
次のステップS13では、操作内容確認応答部113が操作内容確認応答処理を行う。詳細な処理手順は図7を参照して後述するが、操作内容確認応答処理では、ステップS12で抽出された操作内容候補を示すデータ(操作内容候補データ)を基に、操作確認応答データベース116を参照し、当該操作内容候補に対応した確認応答を行う。また、確認応答の出力状態を参照し、操作実行指令の出力完了の判定等も行う。
次のステップS14では、操作内容実行部114が操作内容実行処理を行う。詳細な処理手順は図9を参照して後述するが、操作内容実行処理では、操作内容候補判定処理による操作内容の実行可否についての判断結果に応じて、当該操作内容による乗務員操作を実行するよう制御する。
なお、本実施の形態の音声操作支援処理では、上記したステップS11~S14の処理を繰り返し実行することにより、状況を更新しながら、乗務員操作の音声操作支援を実現する。
(3-1)音声認識処理
図3のステップS11で説明した音声認識処理について、さらに詳しく説明する。図4は、音声認識処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図4によれば、まずステップS21において、音声認識部111は、乗務員の音声操作に基づく音声入力情報を音声入力装置20から取得する。次にステップS22において、音声認識部111は、ステップS21で取得した音声入力情報の音声認識を行い、音声操作支援システム10が乗務員操作の操作内容を識別可能な文字情報データにデータ変換する。そして、次のステップS23において、音声認識部111は、ステップS22で変換された文字情報データを操作内容候補判定部112に送信し、音声認識処理を終了する。
(3-2)操作内容候補判定処理
図3のステップS12で説明した操作内容候補判定部112による操作内容候補判定処理について、さらに詳しく説明する。図5は、操作内容候補判定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図5によれば、まずステップS31において、操作内容候補判定部112は、音声認識部111による音声認識処理において音声入力情報に基づいて生成された文字情報データ(あるいは、音声入力装置20において音声入力情報に基づいて生成された文字情報データ)を取得する。
次のステップS32において、操作内容候補判定部112は、ステップS31で取得した文字情報データを基に、乗務員操作データベース115を参照し、乗務員の音声入力情報が求める乗務員操作とその操作内容を推定する。そして推定結果に基づいて、確認応答の対象とする操作内容候補を抽出し、抽出結果をまとめた操作内容候補データを生成する。
ここで、図6は、乗務員操作データベースに格納される情報の具体例を示す図である。前述したように、乗務員操作データベース115に格納される情報は、乗務員操作の操作内容を推定するための情報であって、操作内容候補の抽出に用いられる。図6の例では、乗務員操作(操作機能1152)を推定するための語句(抽出語句1153)をまとめた操作機能情報1151と、操作機能情報1151に記載されたそれぞれの操作機能1152について具体的な操作内容(操作内容候補1155,1158)を推定するための語句(抽出語句1156,1159)をまとめた操作内容候補情報1154,1157とが示されている。
このとき、操作内容候補判定部112は、操作機能情報1151を参照しながら、ステップS31で取得した文字情報データにどの抽出語句1153が含まれているかを確認することにより、乗務員の音声入力情報が求める乗務員操作(操作機能1152)を推定することができる。さらに、推定した操作機能1152に対応する操作内容候補情報を参照し、文字情報データにどの抽出語句が含まれているかを確認することにより、乗務員の音声入力情報が求める乗務員操作の操作内容を推定することができるため、操作内容候補を抽出することができる。
具体的には例えば、乗務員による音声入力が「空調設定。2号車の冷房を16℃にセット。」であったとする場合、音声認識によってデータ変換される文字情報データは、例えば、「空調設定」、「2号車」、「冷房」、「16℃セット」であるとする。なお、文字情報データが予め定められたルールに則って変換される対応コードで表される場合には、例えば、「AC-2-CL-16」といった文字情報データになることが考えられる。
上記の具体例による文字情報データを基に図6の操作機能情報1151を参照すると、文字情報データの「空調設定」が抽出語句1153に該当することから、求められている操作機能1152が「空調」であると推定できる。さらに、「空調」の操作に関する操作内容候補情報1154を参照すると、文字情報データの「2号車」、「冷房」、「16℃」が、操作内容候補1155の抽出語句1156とされた「対象車両」、「運転モード」、「設定温度」に該当することから、操作内容を推定することができる。
したがって、上記の具体例の場合、操作内容候補判定部112は、「空調」の乗務員操作について、「対象車両」が「2号車」で、「運転モード」は「冷房」、そして「設定温度」を「16℃」とする操作内容候補を抽出し、これらの操作内容候補を示す操作内容候補データを生成することができる。なお、当然ながら、乗務員操作データベース115に格納される情報の形式は、図6の例に限定されるものではない。
図5の説明に戻る。ステップS32が終了すると、ステップS33において、操作内容候補判定部112は、操作内容確認応答の出力情報(操作内容確認応答情報)を確認する。ここで、操作内容確認応答情報とは、操作内容確認応答部113が操作内容の確認応答のために運転台表示器12に出力する情報である。当該出力情報は、操作内容確認応答部113から運転台表示器12に出力される際に、操作内容候補判定部112にも出力される(図2参照)。
そしてステップS34では、操作内容候補判定部112は、ステップS33で確認した操作内容確認応答の出力情報について、ステップS32で抽出した操作内容候補(操作内容候補データ)と内容が一致するか否かを判定する。これにより、新たな操作内容の入力があるか、操作内容確認応答が出力済みで実行操作の入力待ちの状態にあるかを判定する。補足すると、図3を参照しながら前述したように、本実施の形態において、ステップS11~S14の処理は繰り返し行われるため、操作内容の音声入力に基づいてステップS11~S14の処理が完了する前に、別の操作内容の音声入力が行われた場合には、ステップS13の操作内容確認応答で出力済みの内容(古い操作内容)と、ステップS12(より詳しくは図5のステップS32で抽出された操作内容候補の内容(新しい操作内容)とが相違することになる。
ステップS34において操作内容確認応答の出力情報と操作内容候補データとで内容が一致しない場合には(ステップS34のNO)、新たな操作内容の入力があることを意味し、このときステップS35に進む。一方、ステップS34において操作内容確認応答の出力情報と操作内容候補データとで内容が一致する場合には(ステップS34のYES)、操作内容確認応答が出力済みで、かつ、実行操作の入力を待っている状態であることを意味し、このときステップS36に進む。
ステップS35では、操作内容候補判定部112は、ステップS32で抽出した操作内容候補(操作内容候補データ)を新たな操作内容の入力として、操作内容確認応答部113及び操作内容実行部114に送信する。なお、ステップS35の処理時には、操作内容候補判定部112は、以前に送信した操作内容候補データの破棄を指示する操作内容候補データ破棄指令を操作内容確認応答部113及び操作内容実行部114に送信する。これにより、例えば操作内容確認応答部113は、古い操作内容候補に対応する操作内容確認応答を停止し、新たに送信された操作内容候補データに基づいて、新しい操作内容候補に対応する操作内容確認応答を行う。ステップS35の終了後、操作内容候補判定部112は操作内容候補判定処理を終了する。
一方、ステップS36では、操作内容候補判定部112は、新たな操作内容の入力はないことから、操作内容確認応答の出力情報に対する乗務員からのYES/NOによる音声回答の情報(音声回答入力情報)を取得する。
そして、次のステップS37において、ステップS36で取得した音声回答入力情報が「YES」の回答であったか否かを判定し、YES回答であった場合は(ステップS37のYES)、ステップS38に進む。一方、ステップS37においてYES回答ではなかった場合は(ステップS37のNO)、ステップS39に進む。
ステップS38では、操作内容確認応答に対する乗務員の回答がYESであることから、操作内容確認応答で提示した操作内容について、実行を許可してよい条件が整う。そこで、操作内容候補判定部112は、当該操作内容の実行指令の出力を許可する操作指令出力許可情報を操作内容実行部114に出力し、操作内容候補判定処理を終了する。
一方、ステップS39では、ステップS36で取得した音声回答入力情報について、「NO」の回答であったか否かを判定する。ここでNO回答であった場合は(ステップS39のYES)、操作内容確認応答に対する乗務員の回答が「NO」であることから、操作内容確認応答で提示した操作内容の実行が否定される。そこで、操作内容候補判定部112は、ステップS40において、当該操作内容に対応する操作内容候補データを取り消し(操作内容候補データ破棄指令を送信し)、その後、操作内容候補判定処理を終了する。
また、ステップS39においてNO回答でもなかった場合は(ステップS39のYES)、操作内容確認応答に対して乗務員からYESともNOとも回答が得られていないことから、操作内容確認応答で提示した操作内容についての実行可否を判断できる状況には至らない。そこで、この場合、操作内容候補判定部112は、特段の処理を行わずに操作内容候補判定処理を終了する。
以上の処理が行われることによって、操作内容候補判定部112による一連の操作内容候補判定処理が終了する。
(3-3)操作内容確認応答処理
図3のステップS13で説明した操作内容確認応答部113による操作内容確認応答処理について、さらに詳しく説明する。図7は、操作内容確認応答処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図7によれば、まずステップS41において、操作内容確認応答部113は、操作内容候補判定部112による操作内容候補判定処理において抽出された操作内容候補データ(図5のステップS32)を取得する。
次のステップS42において、操作内容確認応答部113は、ステップS41で取得した操作内容候補データを基に、操作確認応答データベース116を参照し、操作内容候補に対応した操作内容確認応答情報を生成する。
ここで、図8は、操作確認応答データベースに格納される情報の具体例を示す図である。操作確認応答データベース116に格納される情報1161は、「操作内容確認応答」において出力する内容を決定するための情報である。なお、「操作内容確認応答」とは、乗務員からの音声入力情報に基づいて抽出した操作内容候補が、実際に乗務員の求めた操作内容であるか否か、乗務員に確認して応答させることを意味する。
図8の例では、情報1161は、操作機能1162、操作内容候補1163、及び操作内容確認応答1164から構成されている。このうち、操作機能1162及び操作内容候補1163には、操作内容候補データの構成に対応する情報が格納されている。例えば、図8において操作機能1162が「空調」であるときの操作内容候補1163は「対象車両」、「運転モード」、「設定温度」等となっているが、これらは、図6に例示した乗務員操作データベース115において操作内容候補情報1154に格納されていたデータに対応している。
そして、操作内容確認応答1164には、操作内容候補データに示された操作内容候補に対応して出力する確認応答メッセージのフォーマットが格納されており、操作内容確認応答1164に示されるフォーマットに、操作内容候補1163の各情報を適用することにより、操作内容確認応答部113は操作内容候補に対応した操作内容確認応答情報を生成することができる。
具体的には例えば、操作内容候補データが、「空調」の乗務員操作について、「対象車両」が「2号車」、「運転モード」が「冷房」、「設定温度」が「16℃」という操作内容を示すものであったとする。これは前述した図6の説明でも用いた具体例である。このとき、図8に示した「空調」に対応する操作内容確認応答1164によれば、「空調設定:[対象車両]の[運転モード]を[設定温度]に設定しますか?」という確認応答メッセージのフォーマットが用意されており、これに上記の各操作内容を適用することによって、実際に出力する操作内容確認応答情報は「空調設定:2号車の冷房を16℃に設定しますか?」となる。なお、乗務員操作データベース115と同様、操作確認応答データベース116に格納される情報の形式は、図8の例に限定されるものではない。
図7の説明に戻る。ステップS42が終了すると、ステップS43において、操作内容確認応答部113は、操作内容確認応答情報が既に送信中であるか否かを判定する。ステップS43において操作内容確認応答情報が送信中でない場合は(ステップS43のNO)、ステップS44に進み、操作内容確認応答情報が送信中である場合は(ステップS43のYES)、ステップS45に進む。
ステップS44に進んだ場合、操作内容確認応答情報が送信中ではないことから、乗務員に対して操作内容確認応答を行っていない状況であることを意味する。したがって、ステップS44では、新たに操作内容確認応答を行うことができるため、操作内容確認応答部113は、ステップS42で生成した操作内容確認応答情報を運転台表示器12に送信し、当該情報が示すメッセージ(前述の具体例でいえば「空調設定:2号車の冷房を16℃に設定しますか?」)を表示画面に表示させる。なお、運転台表示器12は、表示画面に上記メッセージを表示するだけでなく、スピーカ121から音声によって当該メッセージを報知することが好ましい。またこのとき、操作内容確認応答情報は操作内容候補判定部112にも出力される(図2参照)。ステップS44の後は、操作内容確認応答処理を終了する。
一方、ステップS45に進んだ場合は、別の操作内容候補についての操作内容確認応答が進行中であることを意味するため、新たな操作内容確認応答は行われない。そして、ステップS45において、操作内容確認応答部113は、操作指令出力許可情報の出力状況を確認する。前述したように、操作指令出力許可情報は、操作内容確認候補判定処理において操作内容の実行指令の出力を許可する条件が整った場合に操作内容候補判定部112から出力される(図5のステップS38)。
そしてステップS46では、操作内容確認応答部113は、操作指令出力許可情報が出力中であるか否かを判定し、出力中である場合は(ステップS46のYES)、ステップS47に進む。操作指令出力許可情報が出力中ではない場合は(ステップS46のNO)、操作内容確認応答処理を終了する。
ステップS47では、操作内容確認応答部113は、操作実行指令の出力状況を確認する。操作実行指令は、操作確認応答でYES回答が得られた操作内容についてその実行を対象の車両機器30に指示する指令であって、操作内容実行処理において諸条件が成立した場合に、操作内容実行部114から出力される(後述する図9のステップS54)。
そしてステップS48では、操作内容確認応答部113は、操作実行指令が出力中であるか否かを判定し、出力中である場合は(ステップS48のYES)、ステップS49に進む。操作実行指令が出力中ではない場合は(ステップS48のNO)、操作内容確認応答処理を終了する。
ステップS49に進んだ場合、操作指令出力許可情報が出力中で、かつ、操作実行指令も出力されている状況であるから、操作内容確認応答で乗務員がYES回答をした操作内容候補について実行が指示されたことを意味する。そこで、ステップS49において、操作内容確認応答部113は、操作実行指令の出力が完了したことを示す信号を運転台表示器12に送信し、その後、操作内容確認応答処理を終了する。
なお、ステップS49で送信される操作実行指令出力完了の信号には、実行された操作内容を示す情報を含むようにしてもよい。なお、実行された操作内容は、ステップS41で取得した操作内容候補データからも推定可能であるが、ステップS47で確認した操作実行指令から取得したほうが、情報の信頼度が高く、好ましい。このようにするとき、実行された操作内容を運転台表示器12(またはスピーカ121)から報知することができ、乗務員が容易に状況を把握することができる。
以上の処理が行われることによって、操作内容確認応答部113による一連の操作内容確認応答処理が終了する。
(3-4)操作内容実行処理
図3のステップS14で説明した操作内容実行部114による操作内容実行処理について、さらに詳しく説明する。図9は、操作内容実行処理の処理手順例を示すフローチャートである。
図9によれば、まずステップS51において、操作内容実行部114は、操作内容候補判定部112による操作内容候補判定処理において抽出された操作内容候補データ(図5のステップS32)を取得する。
次のステップS52では、操作内容実行部114は、操作指令出力許可情報の出力状況を確認する。前述したように、操作内容候補に対応する操作内容確認応答で乗務員からYES回答が得られた場合に(図5のステップS38)、当該操作内容候補に示される操作内容の実行指令の出力を許可するとして、操作内容候補判定部112から操作指令出力許可情報が出力される。
そしてステップS53では、操作内容実行部114は、操作指令出力許可情報が出力中であるか否かを判定し、出力中である場合は(ステップS53のYES)、ステップS54に進む。操作指令出力許可情報が出力中ではない場合は(ステップS53のNO)、操作内容実行処理を終了する。
ステップS54では、操作指令出力許可情報が出力されていることから、操作内容実行部114は、ステップS51で取得した操作内容候補データに示される操作内容を実行させる操作実行指令を対象の車両機器30に送信する。なおこのとき、操作実行指令は、操作内容確認応答部113にも送信される。その後、操作内容実行処理を終了する。
以上の処理が行われることによって、操作内容実行部114による一連の操作内容実行処理が終了する。
以上、図3(詳細には図4,図5,図7,図9)に示した処理が行われることによって、本実施の形態に係る音声操作支援システム10による一連の音声操作支援処理が終了する。この音声操作支援処理について、前述した具体例を適用した場合の各段階における出力内容をまとめると以下のようになる。
まず、乗務員が「空調設定。2号車の冷房を16℃にセット。」と音声入力すると、音声認識処理によって例えば「空調設定」、「2号車」、「冷房」、「16℃セット」という文字情報データにデータ変換される。そして操作内容候補判定処理では、この文字情報データに基づいて操作内容候補の推定が行われ、「空調」の乗務員操作について「対象車両」が「2号車」で「運転モード」が「冷房」で「設定温度」が「16℃」という操作内容を示す操作内容候補データが生成される。この操作内容候補データに基づいて、操作内容確認候補処理では、「空調設定:2号車の冷房を16℃に設定しますか?」という操作内容確認応答の出力が運転台表示器12(またはスピーカ121)に対して行われる。そして、この操作内容確認応答に対して乗務員が「YES」と音声で回答した場合には、2号車の空調装置32に対して冷房を16℃に設定して運転するように指示する操作実行指令の出力が行われる。そして最後に、操作実行指令出力完了の信号に実行された操作内容を示す情報が含まれる場合には、運転台表示器12において「空調設定:2号車の冷房を16℃に設定しました。」といった表示がなされる。
また、「空調」や「室内灯」をはじめとする車両機器30のうち、音声操作支援システム10によって操作する乗務員操作の内容は運転台表示器12に常時表示されるように構成してもよい。またそれらの操作項目に関する現在の設定状況を表示するものとしてもよい。具体的には運転台表示器12の表示画面の一区画を車両機器30の設定の用に供するものとし、この部分に空調や室内灯の現在の設定状況を表示させる。設定状況の表示方法は、文字を中心とした表示の他に、各操作項目に対応するアイコン上に現在の設定値を重ねて表示する方法などいずれであってもよい。運転台表示器12が常時設定状況を表示することにより、運転士は操作項目とその状況を一目で判断することができ、より適切な車両機器30の操作を実施できる。
さらに、車両情報制御装置11は運転台表示器12に対して、各操作項目について直近の設定行為から経過した時間情報や設定時刻を表示させてもよい。経過時間や設定時刻を表示させることによって、定期的に設定する操作項目についてその管理作業の効率化を図ることができる・また現在の設定状況が設定済みの項目であるか、それとも運転士が搭乗してから一度も設定されていない状態であるかも容易に把握できる。このような機能を持たせることによって、操作項目の設定を見落とす可能性を低減するとことができ、車両機器30を更に適切に運用することができる。
また音声操作支援システム10を可搬性の機器によって構成する場合、音声操作支援システム10と車両情報制御装置11との間で、操作項目に関する自動照査機能を持たせてもよい。例えば、音声操作支援システム10は車両情報制御装置11と接続されると、乗務員操作データベース115に登録された操作項目を参照し、車両情報制御装置11に対して操作に関する可否を問い合わせる。問い合わせを受けた車両情報制御装置11は、自身に接続された車両機器30について、音声操作支援システム10から指定された車両機器30の設置の有無、および操作の可否をチェックする。
チェックの結果、問い合わせ対象の車両機器30が設置され、かつ操作可能であれば音声操作支援システム10に対して操作可能項目として通知する。問い合わせ対象の車両機器30が設置されていない、または設置されていたとしても操作は不可となっている機器であれば、操作不可項目として通知する。チェック結果の通知を受けた音声操作支援システム10は、車両情報制御装置11に対して、操作可能な操作項目に関して音声操作支援システム10による操作を受け付けるモードへ移行するように指示を出す。一方で操作不可の操作項目については、音声操作支援システム10には操作項目として提示しない項目として管理する。乗務員操作データベース115に登録された操作項目一覧に関して照査が完了すると、音声操作支援システム10は、運転士に対して音声や画面表示を介して、音声操作支援システム10の設定が完了したこと、および音声操作を開始できることを通知する。なお、これらの操作可能な操作項目と、操作不可の操作項目を、音声操作支援システム10の表示装置や運転台表示器12に提示するようにしてもよい。自動照査機能によれば、車両ごとの操作可能項目の相違について運転士が記憶する負担は低減され、より利便性の高い音声操作支援システム10を提供することができる。
(4)まとめ
以上に説明してきたように、本実施の形態に係る音声操作支援システムは、列車1の運用の各局面において乗務員が乗務員操作(車両機器30等の操作)を行おうとするとき、その操作内容の指示を音声入力によって受け取り、当該操作内容に対する確認応答(操作内容が正しいか否か、操作内容を実行して良いか否か)をYES/NOの音声回答で乗務員に要求し、乗務員からYES回答が得られた場合にのみ、当該操作内容の実行を許可する。
ここで従来、乗務員は通常時から手で行う操作が多く(例えば、運転士の場合は列車1の運転操作)、この通常操作を行いながら、さらなる乗務員操作を手で行うことは困難であり、安全性の観点からも問題があった。また、乗務員は安全確認のために目視する機会も多いため、乗務員操作のために目線をはずすことも好ましくなかった。このような課題に対して、本実施の形態に係る音声操作支援システム10によれば、上記のように手を使うことなく音声のみで乗務員操作を可能にするため、乗務員が通常通りの操作(例えば運転操作)及び安全確認を行いながら、乗務員に大きな負担を掛けることなく、音声入力による乗務員操作を支援することができる。
特に、運転士の場合、列車1の運転操作は手や目を離せない重要な操作であるが、本実施の形態に係る音声操作支援システム10によれば、運転士は、運転操作を行いながらも、空調装置32の設定変更や放送装置33の作動等の通常時の各種乗務員操作を音声入力で容易に実行でき、より簡潔な乗務員操作を実現することができる。
また、列車1の運用環境は、列車の振動音やブレーキ音、列車無線や車内放送等、ノイズ音源が非常に多い特殊な環境であり、このような環境において単純に音声入力に基づいて乗務員操作を実行するだけでは、ノイズ音源による入力音声の誤認識によって誤動作が生じるおそれがあった。これに対して、本実施の形態に係る音声操作支援システム10は、乗務員操作に関する乗務員からの音声入力に対して、確認応答で音声によるYES回答が得られた場合にのみ(すなわち、乗務員の音声による肯定の確認応答が行われた場合にのみ)当該乗務員操作の実行を許可するため、誤動作を未然に防止し、安全かつ確実に乗務員操作を支援することができる。
なお、本実施の形態に係る音声操作支援システム10では、個々の乗務員の音声を識別可能な既知の機能を有するようにし、登録された乗務員による音声入力のみを受け付けるようにしてもよい。この場合、上記のような誤動作の未然防止の効果をさらに高めることができるとともに、登録された乗務員以外による音声入力に基づく乗務員操作を実行しないことで、列車運行における保守性や安全性を高める効果にも期待できる。
また、本実施の形態に係る音声操作支援システム10は、列車1の運用の各局面における様々な乗務員操作を支援することができる。具体的には、これらの乗務員操作には、車両情報制御装置11に接続された、運転台表示器12から設定操作可能な各種の車両機器30の設定(空調運転モード(冷房、暖房、切)、空調設定温度、空調基準温度、各号車の放送装置の入切、放送装置の音量設定、運用情報(列番情報、種別情報、発駅、着駅、行先等)の設定、運転台画面の輝度、運転台画面の表示画面切替え、車内表示器の表示制御(表示/非表示設定)、車内表示器への表示内容の選択設定(広告PR、イベント等の表示)、車内表示器の輝度、車外表示器の制御(表示/非表示設定、折り返し駅での表示設定)、運転台スピーカ音量、室内灯の制御(切/入、輝度調整)、各機器故障時の該当機器開放指令および各種リセット指令、延長給電操作(実施/停止操作)、各機器の省電力動作切替(動作モード選択)、列車運転モード(手動/自動)回復、各種機器車上検査(機器自己診断の試験項目と開始/停止)の操作、試運転操作(試運転モードでの加速度測定、減速度測定の操作)の設定、車内案内スポット音声(例えば、傘忘れ物、全国交通安全月間等イベント放送)の設定、ラッシュ時間帯の自動放送制御設定(ラッシュ時間帯は自動放送切の運用とする等の設定)、乗換案内放送および車内表示の制御(最終電車で他路線の乗換電車が無い時間帯の案内抑止)、非常通報時の通話選択(通話号車選択、保留の設定)、各種列車情報設定(車輪径、編成番号、時刻等)、各種支援制御機能の有効/無効の設定、音声操作支援の有効/無効)のいずれか又は全ての設定操作が含まれる。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1 列車
10 音声操作支援システム
11 車両情報制御装置
12 運転台表示器
20 音声入力装置
21 マイク直接利用タイプ
22 ウェアラブル端末利用タイプ
23 音声認識処理タイプ
30 車両機器
31 車内・車外表示器
32 空調装置
33 放送装置
34 各種車両回路
111 音声認識部
112 操作内容候補判定部
113 操作内容確認応答部
114 操作内容実行部
115 乗務員操作データベース
116 操作確認応答データベース
121 スピーカ
201 マイク
221 乗務員端末
222,223 アンテナ
231 音声認識装置

Claims (14)

  1. 車両に搭載された音声入力装置に入力された音声入力情報に基づいて、列車の運行における各種の乗務員操作の実行を支援する音声操作支援システムであって、
    前記列車の各車両の動作状態信号及び機器情報を収集、管理、及び又は制御する車両情報制御装置と、
    前記車両情報制御装置から送信された情報を出力する運転台表示器と、
    を備え、
    前記車両情報制御装置は、
    前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報が乗務員の音声入力によって前記音声入力装置に入力されたとき、当該音声入力情報から生成される文字情報データを基に、当該乗務員操作における操作機能とその操作内容を推測し、操作内容候補として抽出する操作内容候補判定部と、
    前記抽出された前記操作内容候補を示す情報を前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める操作内容確認応答部と、を有し、
    前記操作内容候補判定部は、前記確認応答に対して乗務員から音声入力による肯定回答が得られた場合に、当該確認応答において前記操作内容候補として示された前記操作機能及び前記操作内容によって前記乗務員操作の実行を許可する
    ことを特徴とする音声操作支援システム。
  2. 前記操作内容確認応答部は、前記確認応答に対する乗務員からの音声入力による回答をYES/NOの二択で要求し、
    前記操作内容候補判定部は、前記確認応答に対してYESの音声回答が得られた場合にのみ、前記肯定回答が得られたと判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の音声操作支援システム。
  3. 前記車両情報制御装置は、
    前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報を、当該乗務員操作における操作機能とその操作内容を識別可能な前記文字情報データに変換する音声認識部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声操作支援システム。
  4. 前記音声認識部は、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報を、当該乗務員操作の操作内容に関連付けられた所定のコードに変換することによって、前記文字情報データに変換する
    ことを特徴とする請求項3に記載の音声操作支援システム。
  5. 前記車両情報制御装置は、
    各種の前記乗務員操作について、前記乗務員操作における前記操作機能とその操作内容それぞれ推定可能な情報が登録された乗務員操作データベースをさらに有し、
    前記操作内容候補判定部は、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報から変換された前記文字情報データを基に、前記乗務員操作データベースを参照することにより、当該文字情報データに含まれる前記操作機能及び前記操作内容の組み合わせを推定し、前記操作内容候補として抽出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の音声操作支援システム。
  6. 前記車両情報制御装置は、
    各種の前記乗務員操作について、前記操作内容候補を用いて構成される確認応答用の表示メッセージのフォーマットが登録された操作確認応答データベースをさらに有し、
    前記操作内容確認応答部は、前記操作内容候補判定部によって前記抽出された前記操作内容候補を基に、前記操作確認応答データベースを参照することにより、当該操作内容候補を組み込んだ前記確認応答用の表示メッセージを生成して前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の音声操作支援システム。
  7. 前記車両情報制御装置は、
    前記操作内容候補判定部が前記乗務員操作の実行を許可した場合に、当該乗務員操作を実行する指令を対象の車両機器に出力する操作内容実行部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の音声操作支援システム。
  8. 車両に搭載された音声入力装置に入力された音声入力情報に基づいて、列車の運行における各種の乗務員操作の実行を支援する音声操作支援システムによる音声操作支援方法であって、
    前記音声操作支援システムは、
    前記列車の各車両の動作状態信号及び機器情報を収集、管理、及び又は制御する車両情報制御装置と、
    前記車両情報制御装置から送信された情報を出力する運転台表示器と、
    を備えて構成され、
    前記車両情報制御装置において、
    前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報が乗務員の音声入力によって前記音声入力装置に入力されたとき、当該音声入力情報から生成される文字情報データを基に、当該乗務員操作における操作機能とその操作内容を推測し、操作内容候補として抽出する操作内容候補判定ステップと、
    前記操作内容候補判定ステップで抽出された前記操作内容候補を示す情報を前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める操作内容確認応答ステップと、
    前記操作内容確認応答ステップで求められた前記確認応答に対して乗務員から音声入力による肯定回答が得られた場合に、当該確認応答において前記操作内容候補として示された前記操作機能及び前記操作内容によって前記乗務員操作の実行を許可する操作実行許可ステップと、
    を備えることを特徴とする音声操作支援方法。
  9. 前記操作内容確認応答ステップでは、前記確認応答に対する乗務員からの音声入力による回答をYES/NOの二択で要求し、
    前記操作実行許可ステップでは、前記確認応答に対してYESの音声回答が得られた場合にのみ、前記肯定回答が得られたと判定する
    ことを特徴とする請求項8に記載の音声操作支援方法。
  10. 前記操作内容候補判定ステップの実行前に、前記車両情報制御装置において、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報を、当該乗務員操作における操作機能及び操作内容を識別可能な前記文字情報データに変換する音声認識ステップをさらに備える
    ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の音声操作支援方法。
  11. 前記音声認識ステップでは、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報を、当該乗務員操作の操作内容に関連付けられた所定のコードに変換することによって、前記文字情報データに変換する
    ことを特徴とする請求項10に記載の音声操作支援方法。
  12. 前記車両情報制御装置は、各種の前記乗務員操作について、前記操作機能を推定可能な情報と前記操作内容を推定可能な情報が登録された乗務員操作データベースをさらに有し、
    前記操作内容候補判定ステップでは、前記乗務員操作を指示する前記音声入力情報から変換された前記文字情報データを基に、前記乗務員操作データベースを参照することにより、当該文字情報データが示す前記乗務員操作における操作機能及び操作内容を推定し、前記操作内容候補として抽出する
    ことを特徴とする請求項8から請求項11の何れか1項に記載の音声操作支援方法。
  13. 前記車両情報制御装置は、各種の前記乗務員操作について、前記操作内容候補を用いて構成される確認応答用の表示メッセージのフォーマットが登録された操作確認応答データベースをさらに有し、
    前記操作内容確認応答ステップでは、前記操作内容候補判定ステップで前記抽出された前記操作内容候補を基に、前記操作確認応答データベースを参照することにより、当該操作内容候補を組み込んだ前記確認応答用の表示メッセージを生成して前記運転台表示器に出力させて、当該操作内容候補の実行可否について乗務員の音声による確認応答を求める
    ことを特徴とする請求項8から請求項12の何れか1項に記載の音声操作支援方法。
  14. 前記操作実行許可ステップで前記乗務員操作の実行を許可した場合に、前記車両情報制御装置において、当該乗務員操作を実行する指令を対象の車両機器に出力する操作実行ステップをさらに備える
    ことを特徴とする請求項8から請求項13の何れか1項に記載の音声操作支援方法。
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