JP7099096B2 - 車両のトラクション制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のトラクション制御装置に関する。
特許文献1には、路面μの低下等による駆動輪のスリップを適切に且つ速やかに抑制することを目的に、路面μの変化速度を検出し、それが所定値より小さいとき、つまり路面μが所定速度以上で高い状態から低い状態に移行したときには、駆動輪スリップ量に乗じられるゲインを補正する補正係数を大きくして、要求トルクを小さくし、エンジントルクを減少して駆動輪のスリップを抑制することが記載されている。特許文献1では、路面μは、「μ=K1・(XG2+YG2)1/2 XGは前後加速度、YGは横加速度、K1は定数」にて演算される。
特許文献2には、モータトラクション制御時、低μ路でのハンチング防止と高μ路での振動防止の両立を図るため、路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、モータトラクション制御時、前記路面摩擦係数相当値が低摩擦係数側では算出されたモータトルク制限値に対するモータトルク指令値の位相遅れを小さくし、前記路面摩擦係数相当値が高摩擦係数側では算出されたモータトルク制限値に対するモータトルク指令値の位相遅れを大きくすることが記載されている。
更に、特許文献2には、路面μの変化に関して、「モータ角加速度を検出し、この検出値が第1設定値以下の負の角加速度を示す場合、低μ路から高μ路へ路面摩擦係数が急変するμジャンプと判断する。検出値が第2設定値以上の正の角加速度を示す場合、高μ路から低μ路へ路面摩擦係数が急変するμジャンプと判断する」ことが記載されている。
ところで、車両が加速する場合(特に、発進時)に、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化すると、車両の前後加速度が十分に得られず、運転者に「もたつき感」を与える場合がある。路面の摩擦係数は、それが一定と思われても、微視的には不均一である。このため、従来技術の様に、前後、横加速度、或いは、モータ角加速度等の状態量に基づいて、逐次、判定を行う方法では、これらの状態量の変動に起因して、トラクション制御の制御量の調整が煩雑に繰り返されることが生じ得る。従って、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化したことが適切に判定され、安定、且つ、ロバストなトラクション制御が実行され得るものが望まれている。
特開2001-140671号公報 特開2006-136175号公報
本発明の目的は、車両のトラクション制御装置において、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化している場合が好適に判定され、安定したトラクション制御が実行され、加速感が向上され得るものを提供することである。
本発明に係る車両のトラクション制御装置(TS)は、車両の動力源(EN)の出力(Qa)が伝達される駆動車輪(WHf、WHr)の過大な加速スリップ(Sw)を抑制するよう、前記出力(Qa)を制限する。車両のトラクション制御装置(TS)は、「前記車両の前後加速度(Ga)を所定の演算周期で演算する加速度演算部(GA)」と、「前記演算周期において前回の前記前後加速度(Ga)を前回値(Ga[n-1])とし、前記演算周期において今回の前記前後加速度(Ga)を今回値(Ga[n])とし、前記前回値(Ga[n-1])からの前記今回値(Ga[n])の減少量(Gg[n])を演算し、前記減少量(Gg[n])を前記演算周期毎に積算して積算量(Sg[n])とする減少量演算部(SG)」と、「前記積算量(Sg[n])が所定量(sx)を超過した場合に、前記出力(Qt、Qa)を減少する調整部(CQ)」と、を含んで構成される。
上記構成によれば、積算量Sgに基づいて、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化している場合が適切に判定され、実際の出力Qaが路面摩擦係数に適した値にまで減少される。駆動車輪WHf、WHrの過大な加速スリップSwが迅速に抑制され、駆動車輪WHf、WHrの収束性が向上される。結果、運転者に対する「もたつき感」が解消され、車両加速感が向上される。
本発明に係る車両のトラクション制御装置TSを搭載した車両の全体構成図である。 トラクション制御装置TSの概要を説明するための機能ブロック図である。 トラクション制御装置TSの駆動トルク制御を説明するための機能ブロック図である。 減少量演算ブロックSGでの処理を説明するための時系列線図である。 積算量Sgの減少処理を説明するための時系列線図である。 作用・効果を説明するための時系列線図である。
<構成部材等の記号、及び、記号末尾の添字>
以下の説明において、「ECU」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各車輪に係る記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、「f」は前輪に係るもの、「r」は後輪に係るものを示す包括記号である。例えば、車輪速度センサにおいて、前輪車輪速度センサVWf、及び、後輪車輪速度センサVWrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、その総称を表す。例えば、「VW」は、各車輪速度センサを表す。
<本発明に係るトラクション制御装置TSを備えた車両の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、本発明に係る車両のトラクション制御装置TSを搭載した車両について説明する。車両では、駆動装置YDが、駆動シャフトDSを介して、前輪WHfに接続される。つまり、前輪WHfが駆動車輪とされる前輪駆動の車両である。
車両には、制動操作部材BP、制動操作量センサBA、加速操作部材AP、加速操作量センサAA、変速操作部材HP、シフト位置センサHA、操舵操作部材SW、操舵角センサSA、車輪速度センサVW、ヨーレイトセンサYR、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、制動装置YB、及び、駆動装置YDが備えられる。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速させるために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHに対する制動トルクBqが調整され、車輪WHに制動力が発生される。
運転者による制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量Baを検出するよう、制動操作量センサBAが設けられる。具体的には、制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pmを検出するマスタシリンダ液圧センサPM、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサSP(図示せず)、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサFP(図示せず)のうちの少なくとも1つが採用される。
加速操作部材(例えば、アクセルペダル)APは、運転者が車両を加速し、定速走行するために操作する部材である。加速操作部材APが操作されることによって、車輪WHに対する駆動トルクTqが調整され、車輪WHに駆動力が発生される。運転者による加速操作部材(アクセルペダル)APの操作量Aaを検出するよう、加速操作量センサAAが設けられる。例えば、加速操作量センサAAとして、加速操作部材APの操作変位を検出する加速操作変位センサが採用される。
車両には、変速操作を行うための変速操作部材(例えば、シフトレバー)HPが備えられる。そして、変速操作部材HPのシフト位置Haを検出するシフト位置センサHAが設けられる。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)SWは、運転者が車両を旋回させるために操作する部材である。操舵操作部材SWが操作されることによって、操向車輪(例えば、前輪WHf)に操舵角Saが付与され、車輪WHに横力が発生され、車両が旋回される。操舵操作部材SWの回転角度(操舵角)Saを検出するよう、操舵角センサSAが設けられる。
車輪WHには、車輪WHの回転速度である車輪速度Vwを検出する車輪速度センサVWが備えられる。車両の車体には、車両のヨーレイトYrを検出するヨーレイトセンサYR、車両の前後方向における加速度(前後加速度)Gxを検出する前後加速度センサGX、及び、車両の横方向における加速度(横加速度)Gyを検出する横加速度センサGYが設けられる。
制動装置YBによって、車輪WHに制動力が発生される。制動装置YBは、マスタシリンダCM、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダCW、回転部材KT、摩擦材MS、流体ユニットHU、及び、制動コントローラECBにて構成される。マスタシリンダCM、流体ユニットHU、及び、ホイールシリンダCWは、制動流体路HWを介して接続される。
通常の制動時には、流体ユニットHUは作動されず、制動操作部材BPの操作に応じて、マスタシリンダCMから、制動液BFが、ホイールシリンダCWに圧送される。車両の各車輪WHには、ブレーキキャリパCP、ホイールシリンダCW、回転部材KT、及び、摩擦材MSが備えられる。具体的には、車輪WHには、回転部材(ブレーキディスク)KTが固定され、ブレーキキャリパCPが配置されている。ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCWが設けられる。ホイールシリンダCW内の液圧(制動液圧)Pwが調整されることによって、車輪WHに制動トルクBq(結果、制動力)が発生される。
流体ユニットHUは、アンチスキッド制御、トラクション制御、車両安定化制御等が実行される場合に作動される。流体ユニットHUの作動によって、制動液圧Pwは、制動操作部材BPの操作とは独立に、且つ、各輪個別に調整される。これにより、各車輪WHの前後力(制・駆動力)が、独立、且つ、個別に制御される。流体ユニットHUは、電動ポンプ、複数の電磁弁、及び、低圧リザーバを含んで構成される。
制動コントローラECBによって、流体ユニットHU(特に、電動ポンプの電気モータ、及び、電磁弁)が制御される。コントローラECBには、制動操作量Ba(Pm、Sp、Fp)、車輪速度Vw、ヨーレイトYr、操舵角Sa、前後加速度Gx、横加速度Gy、等が入力される。コントローラECBでは、例えば、車輪WHの過度の減速スリップ(例えば、車輪ロック)を抑制するよう、アンチスキッド制御が実行される。また、車輪WHの過度の加速スリップ(例えば、車輪スピン)を抑制するよう、トラクション制御が実行される。
駆動装置YDによって、各車輪WHのうちの駆動車輪(駆動装置YDに接続された車輪)に駆動力が発生される。駆動装置YDは、動力源EN(「駆動源」ともいう)、変速機TM、及び、駆動コントローラECDを含んで構成される。動力源EN(例えば、内燃機関)は、加速操作量Aaに応じて、駆動コントローラECDによって制御される。また、変速機TM(例えば、自動変速機)は、シフト位置Haに応じて、駆動コントローラECDによって制御される。動力源ENと変速機TMとの間には、トルクコンバータTCが含まれ、動力源ENの出力Qaは、トルクコンバータTCを介して、変速機TMに伝達される。
動力源ENには、スロットル開度Thを検出するスロットルセンサTH、燃料噴射量Fiを検出する噴射量センサFI、及び、駆動回転数Neを検出る回転数センサNEが設けられる。駆動コントローラECDによって、加速操作量Aa(実際値)、スロットル開度Th(実際値)、燃料噴射量Fi(実際値)、及び、動力源ENの駆動回転数Ne(実際値)に基づいて、動力源ENの出力Qaが制御される。動力源ENとして、駆動用の電気モータが採用され得る。この場合、動力源ENへの通電量(例えば、電流値)Im、及び、回転数Nmが検出される。そして、加速操作量Aa(実際値)、通電量Im(実際値)、及び、モータ回転数Nm(実際値)に基づいて、駆動用モータの出力Qaが制御される。
変速機TMには、変速比(ギヤ位置)Gp(実際値)を検出するためのギヤ位置センサGPが設けられる。動力源ENに係る信号(Aa、Th、Fi、Ne、Im、Nm、等)に基づいて、駆動コントローラECDによって、自動変速機TMの変速比Gpが制御される。
駆動コントローラECDによって、加速操作量Aaに基づいて、要求スロットル開度Ths、燃料噴射量Fis、及び、要求変速比Gpsが演算され、出力される。要求スロットル開度Ths、燃料噴射量Fis、及び、要求変速比Gpsは、スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、及び、変速比Gpの目標値である。実スロットル開度Th、実燃料噴射量Fi、及び、実変速比Gpが、要求スロットル開度Ths、要求燃料噴射量Fis、及び、要求変速比Gpsに一致するよう制御される。なお、動力源ENが電気モータである場合には、加速操作量Aaに基づいて要求通電量(目標値)Imsが演算され、この目標値Imsに、実際の通電量Imが一致するよう制御される。
駆動コントローラECDと制動コントローラECBとは、通信バスBSを介して情報(演算値、センサ値等)が共有されている。例えば、制動コントローラECBにて、トラクション制御、車両安定化制御等が実行される。制動コントローラECBからの指示信号(目標出力Qt)に応じて、駆動コントローラECDによって動力源ENの出力が減少される。通信バスBSを通して情報共有されるコントローラが、「ECU(電子制御ユニット)」と称呼される。つまり、コントローラECUは、少なくとも、駆動コントローラECD、及び、制動コントローラECBを含んで構成される。
<トラクション制御装置TSの概要>
図2の機能ブロック図を参照して、トラクション制御装置TSの概要について説明する。トラクション制御装置TSには、「動力源(駆動源)ENを制御して、駆動車輪WHf(前輪)の駆動トルクTqを制御する処理」、及び、「流体ユニットHUを制御して、駆動車輪WHfの制動トルクBqを制御する処理」にて構成される。トラクション制御装置TSには、車体速度演算ブロックVX、駆動基準速度演算ブロックVK、駆動トルク制御ブロックQT、制動基準速度演算ブロックVS、及び、制動トルク制御ブロックBTが含まれる。
車体速度演算ブロックVXにて、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vxが演算される。例えば、従動車輪WHrの車輪速度Vwrに基づいて、車体速度Vxが演算される。従動車輪WHrは、駆動装置YDからの動力が伝達されない車輪であり、前輪駆動の車両では、後輪WHrが該当する。
駆動基準速度演算ブロックVKにて、車体速度Vxに基づいて、駆動基準速度Vkが演算される。駆動基準速度Vkは、動力源ENの出力Qaが制御される場合(駆動トルク制御時)の基準となる車輪速度である。例えば、車体速度Vxに所定速度vkが加算されて、基準速度Vkが決定される(即ち、「Vk=Vx+vk」)。ここで、所定速度vkは、予め設定された所定値(定数)である。
駆動トルク制御ブロックQTにて、駆動基準速度Vk、及び、駆動車輪速度Vwfに基づいて、目標出力Qtが演算される。目標出力Qtは、動力源ENの実出力Qaを制限するための目標値(制限値)である。従って、実際の出力Qaが、目標出力Qt以下の場合には、動力源ENの出力Qaは制限されない。一方、実出力Qaが、目標出力Qtよりも大きい場合には、出力Qaが目標出力Qt以下になるよう、スロットル開度Th、燃料噴射量Fi(又は、モータ通電量Im)が低減され、実際の出力Qaが減少される。結果、WHfの駆動トルクTqが減少され、過大な加速スリップSwが抑制される。駆動トルク制御ブロックQTの詳細については後述する。
制動基準速度演算ブロックVSにて、車体速度Vxに基づいて、制動基準速度Vsが演算される。制動基準速度Vsは、制動液圧Pwが制御される場合(制動トルク制御時)の基準となる車輪速度である。例えば、車体速度Vxに所定速度vsが加算されて、基準速度Vsが決定される(即ち、「Vs=Vx+vs」)。ここで、所定速度vsは、予め設定された所定値(定数)であり、「vs>vk」の関係にある。
制動トルク制御ブロックBTにて、制動基準速度Vs、及び、駆動車輪速度Vwfに基づいて、流体ユニットHUが制御される。具体的には、駆動車輪速度Vwfが、制動基準速度Vsに近づき、一致するよう、制動液圧Pwが調整される。なお、所定速度vsは、所定速度vkよりも大きい値に設定されるため、制動基準速度Vsは、駆動基準速度Vkよりも大きい。このため、トラクション制御では、先ず、駆動トルク制御が実行される。駆動トルク制御によって出力Qaが減少されたにもかかわらず、駆動車輪速度Vwfが増加、又は、十分に減少しない場合に、制動トルク制御ブロックBTによって、駆動車輪WHfの加速スリップSwが速やかに減少するよう、制動液圧Pwfが増加される(即ち、駆動車輪WHfの制動トルクBqが増加される)。
<トラクション制御装置TSの駆動トルク制御>
図3の機能ブロック図を参照して、トラクション制御装置TSの駆動トルク制御の詳細について説明する。駆動トルク制御によって、駆動車輪WHf(出力Qaが伝達される車輪)の過大な加速スリップSwを抑制するよう、動力源ENの出力(動力)Qaが制限され、駆動トルクTqが減少される。駆動トルク制御は、車体速度演算ブロックVX、駆動基準速度演算ブロックVK、駆動輪平均速度演算ブロックVH、比例・積分制御ブロックQS、前後加速度演算ブロックGA、減少量演算ブロックSG、及び、調整処理ブロックCQにて構成される。
車体速度演算ブロックVXにて、車輪速度Vw(特に、従動車輪WHrの車輪速度Vwr)に基づいて、車体速度Vxが演算される。駆動基準速度演算ブロックVKでは、車体速度Vxに所定速度vk(例えば、定数)が加算されて、駆動基準速度Vk(単に、「基準速度Vk」ともいう)が決定される。
駆動輪平均速度演算ブロックVHにて、駆動車輪WHfの車輪速度Vwfに基づいて、駆動輪平均速度Vh(単に、「平均速度Vh」ともいう)が演算される。駆動車輪WHfは、駆動装置YDからの動力が伝達される車輪であり、前輪駆動の車両では、前輪WHfが相当する。平均速度Vhは、2つの駆動車輪速度Vwfの平均値である。基準速度Vkと平均速度Vhに基づいて、加速スリップSwが演算される。具体的には、平均速度Vhから基準速度Vkが減算されて、加速スリップSwが決定される(即ち、「Sw=Vh-Vk」)。
比例・積分制御ブロックQSでは、加速スリップSwに基づいて、比例・積分制御が実行される。具体的には、加速スリップSwが所定値sz以上になると、トラクション制御の実行が開始される。そして、加速スリップSwに比例ゲインKpが乗算される(即ち、「Kp×Sw」)。また、加速スリップSwの時間積分値に積分ゲインKiが乗算される(即ち、「Ki×∫Sw」)。更に、これらが加算されて、要求出力Qsが演算される(即ち、「Qs=Kp×Sw+Ki×∫Sw」)。要求出力Qsは、実際の出力Qaを制限するための目標値(制限値)である。なお、トラクション制御の実行は、要求出力Qsが所定値qs以上になった場合に開始されてもよい。所定値sz、qsは予め設定された定数である。
加速度演算ブロックGA(「加速度演算部」に相当)では、車体速度Vxに基づいて、前後加速度Gaが演算される。前後加速度Gaは、車両(車体)の実際の前後加速度(実加速度)である。具体的には、所定の演算周期(例えば、数ミリ秒毎)で、車体速度Vxが時間微分されて、前後加速度Gaが演算される。また、前後加速度Gaとして、前後加速度センサGXによって検出された前後加速度Gxが採用されてもよい。更に、ロバスト性を向上するよう、前後加速度度Gx(検出値)、及び、前後加速度Ga(演算値)の両方が、前後加速度Gaとして用いられてもよい。
減少量演算ブロックSG(「減少量演算部」に相当)では、前後加速度Gaに基づいて、積算量Sgが演算される。積算量Sgは、前後加速度Gaのピーク値からの減少量である。具体的には、減少量演算ブロックSGでは、コントローラECUでの演算周期において、前回の前後加速度Ga[n-1](「前回値」に相当)からの、今回の前後加速度Ga[n](「今回値」に相当)の減少量Gg[n]が演算される。ここで、記号末尾の「n」は演算周期を表記するもので、「n」が現時点(今回)の演算周期、「n-1」が現時点から1つ前の演算周期(前回)を、夫々表す。
減少量演算ブロックSGでは、演算周期毎に、順次、減少量Gg[n]が積算されていく。今回の演算周期「n」までに、積算された減少量ΣGg[n]が、「積算量Sg[n]」と称呼される(即ち、「Sg[n]=ΣGg[n]」)。つまり、前回の演算周期「n-1」までの積算量Sg[n-1]に今回の減少量Gg[n]が加算されて、今回の積算量Sg[n]が決定される。
また、減少量演算ブロックSGでは、前回の前後加速度(前回値)Ga[n-1]から、今回の前後加速度(今回値)Ga[n]が増加した場合には、今回の積算量Sg[n]が、前回の積算量Sg[n-1]の所定割合rsに減少される(即ち、「Sg[n]=rs×Sg[n-1]」)。ここで、所定割合rsは、予め設定された定数である。例えば、所定割合rsは、「0%」に設定される。この場合、前後加速度Gaが増加した時点で、積算値Sgは、「0」にリセットされる。
加えて、減少量演算ブロックSGには、タイマ(時間カウンタ)が含まれている。このタイマによって、時間の継続状態が演算される。継続時間は、トラクション制御が開始された後に、初めて、前後加速度Gaが減少した時点(該当する演算周期)を起点にカウントされる。そして、積算値Sgが所定量sxよりも大きい状態が初めて満足された時点から、所定時間txが経過した時点で、積算値Sgは、「0」にリセットされる。ここで、所定量sx、及び、所定時間txは、予め設定された定数である。
調整処理ブロックCQ(「調整部」に相当)にて、積算量Sgに基づいて、要求出力Qs(「要求トルク」ともいう)が調整され、目標出力Qt(「目標トルク」ともいう)が演算される。目標出力Qt(目標トルク)は、駆動トルク制御における、最終的な制限トルクの目標値である。「Qa≦Qt」の場合には、制限は行われず、実出力Qaは減少されない。「Qa>Qt」の場合には、実出力Qaが目標出力Qtにまで減少するよう、動力源ENが制御される(スロットル開度Th、燃料噴射量Fi、モータ通電量Imの低減)。
具体的には、調整処理ブロックCQでは、積算量Sg[n]が所定量sxを超過した場合に、要求出力Qsが、調整出力Qg(「調整トルク」ともいう)だけ減少されて、目標出力Qtが決定される(即ち、「Qt=Qs-Qg」)。調整出力Qgは、要求出力Qsを減少調整して、最終の目標出力Qtを決定するためのものである。所定量sxは、「要求出力Qsを減少調整するか、否か(即ち、調整出力Qgを演算するか、否か)」を判定するためのしきい値であり、予め設定された所定の定数である。
例えば、調整出力Qgは、所定トルクqgとして設定される。所定トルクqgは、予め設定された定数である。また、調整出力Qgは、スリップ状態sw、及び、継続時間tgのうちの少なくとも1つに基づいて決定され得る。スリップ状態swは、「Sg>sx」が満足された時点(該当する演算周期)における加速スリップSwの値である。吹き出し部の演算マップZsに示す様に、スリップ状態swの増加に伴って、調整出力Qgが大きくなるように演算される。スリップ状態swが大であることは、目標出力Qtがより小さくされるべきであることに基づく。
継続時間tgは、積算量Sgの増加が開始された時点から、「Sg>sx」が満足される時点までの時間である。調整出力Qgは、演算マップZtに示す様に、継続時間tgが長いほど、小さくなるように演算される。継続時間tgが長いということは、前後加速度の減少が然程大きくなく、加速スリップSwが急速には増加していないことに基づく。
トラクション制御装置TSでは、実際の前後加速度Gaが演算される。そして、演算周期のたびに、前後加速度Gaの減少量Gg(今回値Ga[n]において、前回値Ga[n-1]から減少した量Gg[n])が演算される。この減少量Ggは、順次、積算されて、積算量Sg(=ΣGg)として決定される。換言すれば、前後加速度Gaがピーク値を呈し、前後加速度Gaの減少が開始された時点(即ち、前後加速度Gaの減少が判定された演算周期)からの減少量Ggの合計が、積算量Sgである。出力調整処理においては、積算量Sgが、所定量sx以下である場合には、要求出力Qsは調整されない(即ち、「Qt=Qs」)。一方、積算量Sgが所定量sxよりも大きくなった時点で、要求出力Qs(要求トルク)から、調整出力Qg(調整トルク)分が減少されて、目標出力Qt(目標トルク)が急減される(即ち、「Qt=Qs-Qg」)。所定量sxは、調整出力Qgの要否を判定するためのしきい値(予め設定された定数)である。
目標出力Qtの減少調整は、前後加速度Gaの増加が開始された時点で終了される。或いは、減少調整は、積算値Sgが所定量sx以下となった時点で終了され得る。更に、減少調整は、「Sg>sx」が初めて満足された時点から、所定時間tx(予め設定された定数)が経過した時点で終了されてもよい。減少調整の終了時には、調整出力Qgは、直ちに「0」にされるのではなく、徐々に(時間変化勾配に制限が設けられて)、「0」に向けて減少される。出力Qaの急変が抑制されるよう、目標出力Qtが、滑らかに要求出力Qsにまで増加される。
トラクション制御装置TSでは、車両加速において、前後加速度Gaの減少が継続されている場合に、目標出力Qtが大幅減少される。つまり、従来技術の様に演算周期毎に決定される状態量ではなく、或る程度の演算周期に亘る状態量に応じて決定された積算量Sgに基づいて、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化している場合が適切に判定される。換言すれば、現時点の状態量のみならず、過去の状態量が利用されて路面摩擦状態が判定されるため、トラクション制御の制御量変動に起因する、制御の煩雑さが抑制される。そして、判定結果に基づいて、実出力Qaが路面摩擦係数に適した値にまで減少される。駆動車輪WHfの過大な加速スリップSwが迅速に抑制され、駆動車輪WHfの収束性が向上される。結果、運転者に対する、車両の加速感が向上される。
<減少量演算ブロックSGでの処理>
図4の時系列線図を参照して、減少量演算ブロックSG(減少量演算部)での処理について説明する。各種記号末尾の括弧内の記号は、それがどの時点(該当する演算周期)のものであるかを示す。例えば、「Ga[t7]」は、時点t7における前後加速度Gaを表す。
時点t4までは、前後加速度Gaは、徐々に増加している。このため、「Gg=0」に演算され、「Sg=0」である。時点t5にて、前後加速度Ga[t5]は、前後加速度Ga[t4]から減少する。従って、時点t5には、「Gg[t5]=Ga[t5]-Ga[t4]」が演算される。時点t5では、「Sg[t5]=0」であるため、「Sg[t5]=Gg[t5]」が演算される。
時点t6にて、前後加速度Ga[t6]は、前後加速度Ga[t5]から減少する。時点t5には、「Gg[t6]=Ga[t6]-Ga[t5]」が演算される。時点t6では、「Sg[t5]=Gg[t5]」であるため、「Sg[t6]=Sg[t5]+Gg[t6]」が演算される。
同様の演算が、演算周期毎に繰り返される。つまり、前回の前後加速度Ga[n-1]からの、今回の前後加速度Ga[n]の減少量Gg[n]が演算される。そして、前回までの積算量Sg[n-1]に今回の減少量Gg[n]が加算されて、今回の積算量Sg[n]が決定される。時点t8にて、積算量Sg[t8]が、「Sg[t7]+Gg[t8]」に演算される。時点t8までは、積算量Sgが所定量sx以下であるため、要求出力Qsの調整は実行されず、要求出力Qsが、そのまま、目標出力Qtとして決定される(即ち、「Qg=0、Qt=Qs」)。
時点t9にて、積算量Sg[t9]が、「Sg[t8]+Gg[t9]」に演算される。時点t9にて、積算量Sgが所定量sxを超過するため、要求出力Qsから調整出力Qgが減少され、目標出力Qtが決定される(即ち、「Qt=Qs-Qg」)。これにより、目標出力Qtが大幅に減少(即ち、急減)される。前後加速度Gaが減少を続ける場合、「Sg>sx」の状態が維持されるため、「Qt=Qs-Qg」の状態(減少調整)が継続される。
時点t15にて、前後加速度Ga[t15]が、前後加速度Ga[t14]よりも増加する。この場合、積算量Sg[t15]は、所定割合rsに減少される(即ち、Sg[t15]=rs×Sg[t14])。例えば、「rs=0%」に設定されている場合には、積算量Sg[t15]は、リセットされ、「0」にされる。また、「rs=50%」に設定されている場合には、積算量Sg[t15]は、積算量Sg[t14]の「1/2」に決定される(破線で示す特性を参照)。その後、前後加速度Gaが減少すると、積算量Sgは増加されるが、前後加速度Gaが増加すると、積算量Sgの減少が繰り返される。
目標出力Qtの減少調整の終了条件として、「前後加速度Gaが増加」、「積算量Sgがしきい値sx以下」、及び、「減少調整の継続時間が所定時間tz(予め設定された定数)以上」のうちの少なくとも1つが採用される。時点t15にて、「前後加速度Gaの増加」、又は、「積算量Sgの減少による「Sg≦sx」の条件」が満足され、目標出力Qtの減少調整は終了される。出力調整が終了される場合には、実出力Qaが急激に変化されることを回避するよう、調整出力Qgが徐々に減少され、目標出力Qtが緩やかに増加される。
<積算量Sgの減少処理>
図5の時系列線図を参照して、積算量Sgの減少処理について説明する。ここで、所定比率rsは、「0%」に設定されている。
図5(a)は、前後加速度Gaが増加した場合についての減少処理を示している。時点u4までは、前後加速度Gaが増加するため、「Sg=0」である。時点u5にて、「Ga[u5]<Ga[u4]」となるため、積算量Sg[u5]が演算される。その後、時点u9までは、前後加速度Gaが減少するため、積算量Sgが増加する。しかし、「Sg≦sx」であるため、「Qt=Qs」が決定される。時点u10にて、「Ga[u10]≧Ga[u9]」となり、前後加速度Gaが増加される。今回の前後加速度Ga[n]が、前回の前後加速度Ga[n-1]以上となる場合には、今回の積算量Sg[n]は、前回の積算量Sg[n-1]に所定割合rsを乗じた値(=rs×Sg[n-1])に減少される。結果、積算量Sg[u10]は、「rs=0%」であるため、「0」にリセットされる。時点u12にて、前後加速度Gaが再び減少される。これに伴い、積算量Sgが「0」から増加される。前後加速度Gaが減少を継続する場合に限って、目標出力Qtの減少が行われるため、制御の信頼性が向上され得る。
図5(b)は、積算量Sgの増加が所定時間txを超えた場合の減少処理を示している。時点v5にて、積算量Sgの演算が開始され、「0」から増加され始める。前後加速度Gaの減少に従って、積算量Sgは、順次、増加されていく。「Sg≦sx」の状態が継続されるため、目標出力Qtの減少は実行されない。時点v17にて、「Sg≦sx」の継続時間がtx以上となる。このとき、積算量Sg[v17]は、「0」にリセットされる。つまり、積算量Sg[n]が所定量sx以下である状態が所定時間tx以上に亘って継続した場合に、積算量Sg[n]が「0」にリセットされ、目標出力Qtの減少は行われない。積算量Sgは増加されているが、所定量sxに到達するのに時間を要する場合は、路面摩擦係数が、然程低くはなく、目標出力Qtの急減の必要性は低い。積算量Sgの継続時間に基づく減少処理により、目標出力Qtの不必要な減少が回避され、制御の信頼性が向上され得る。
<作用・効果>
図6の時系列線図を参照して、本発明に係るトラクション制御装置TSの作用・効果について説明する。図6(a)が本発明を適用しない場合、図6(b)が本発明を適用した場合を示している。加速操作量Aaが一定にされ、駆動コントローラECDにて、動力源ENに指示出力Qd(一定値ta)が指示されている。車両走行路の摩擦係数が、高い状態から低い状態に変化した状況が想定されている。トラクション制御では、指示出力Qdが目標出力Qt(<Qd)によって制限され、動力源ENの出力Qaが抑制(低減)される。これにより、車輪WHの過剰な加速スリップ(極端な場合が車輪スピン)が抑制される。
先ず、図6(a)を参照して、本発明が適用されない従来のトラクション制御について説明する。時点x1までは、トラクション制御は開始されていないため、目標出力Qtは演算されていない。時点x1の直前で、路面摩擦係数が低下した。このため、時点x1にて、駆動車輪WHfの加速スリップSw(=Vh-Vk)が増加し、トラクション制御のしきい値に達し、駆動トルク制御が開始される。そして、加速スリップSwに基づく比例・積分制御が実行され、要求出力Qsが演算される。従来制御では、積算量Sgは演算されないため、要求出力Qsによる目標出力Qtの減少は行われず、「Qt=Qs」が決定される。運転者による指示出力Qdが、トラクション制御による目標出力Qtによって制限されるが、その制限が不十分であるため、平均速度Vhが駆動基準速度Vkに収束するために時間を要する。加速スリップSwが過大となり、路面摩擦係数に応じた駆動力が得られないため、運転者は、車両加速における「もたつき」を感じ得る。
次に、本発明に係るトラクション制御装置TSについて説明する。トラクション制御装置TSによって、動力源ENの出力Qaが伝達される駆動車輪WHfの過大な加速スリップSwが抑制される。トラクション制御装置TSは、前後加速度演算ブロックGA、減少量演算ブロックSG、及び、調整処理ブロックCQを含んで構成される。前後加速度演算ブロックGA(加速度演算部)では、所定の演算周期で前後加速度Gaが演算される。例えば、前後加速度演算ブロックGAでは、車輪速度Vwに応じた車体速度Vxに基づいて、それが時間微分されて、前後加速度Gaが演算される。また、前後加速度センサGXによって検出された前後加速度Gx(検出値)に基づいて、それがフィルタ処理されて、前後加速度Gaが決定され得る。
減少量演算ブロックSG(減少量演算部)では、演算周期において前回の前後加速度Ga[n-1](前回値)が記憶される。演算周期において今回の前後加速度Ga[n](今回値)が取得される。そして、前回値Ga[n-1]からの今回値Ga[n]の減少量Gg[n]が演算される。減少量Gg[n]は、演算周期の毎に積算されて、積算量Sg[n]が決定される。調整処理ブロックCQ(調整部)では、積算量Sg[n]が所定量sx(所定の判定用しきい値)を超過した場合に、動力源ENの出力Qaが減少される。具体的には、加速スリップSwに基づいて演算された要求出力Qsから、積算量Sgに応じて決定された調整出力Qgが減じられて、目標出力Qtが急減される。駆動コントローラECDによって、実際の出力Qaが目標出力Qtに近づき、一致するよう制御されるため、出力Qaが急減される。
図6(b)を参照して、トラクション制御装置TSの作動について説明する。従来制御と同様に、時点x1にてトラクション制御が開始される。時点x1から、前後加速度Gaの減少量Ggに基づいて、積算量Sgが演算される。「Sg≦sx」では、要求出力Qsが、目標出力Qtとして決定される。前後加速度Gaの減少が継続され、「Sg>sx」が満足される時点x2にて、調整出力Qgが演算され、要求出力Qsから調整出力Qgが減少され、目標出力Qtが減少される。時点x2にて、目標出力Qtが、値tbから値tcにまで急減される。複数の演算周期に亘って積算された積算量Sgに基づいて、路面の摩擦係数が高い状態から低い状態に変化している場合が判定され、実出力Qaが路面摩擦係数に適した値にまで減少される。これにより、平均速度Vh(2つの駆動車輪速度Vwfの平均値)が、素早く、駆動基準速度Vkに近づけられる。つまり、駆動車輪WHfの車輪速度Vwfの収束性が向上され、駆動車輪WHfの駆動力が、路面摩擦係数の低下に応じて、好適に確保され得る。
減少量演算ブロックSGでは、今回値Ga[n]が前回値Ga[n-1]以上の場合には、積算量Sg[n]が積算値Sg[n-1]に所定割合rsを乗じた値に減少される(例えば、「0(ゼロ)」にリセットされる)。また、減少量演算ブロックSGでは、積算量Sg[n]が所定量sx以下である状態が所定時間tx以上に亘って継続された場合には、積算量Sg[n]が「0(ゼロ)」にリセットされる。これにより、目標出力Qtの減少における制御の信頼性が向上され得る。
<他の実施形態>
以下、他の実施形態について説明する。他の実施形態においても、上記同様の効果を奏する。上記実施形態では、トラクション制御装置TSが、動力源ENに接続される駆動車輪が前輪WHfである前輪駆動車両に適用された。トラクション制御装置TSは、後輪駆動車両にも適用され得る。この場合、駆動車輪は後輪WHrであり、従動車輪は前輪WHfである。後輪駆動車両でも、前後加速度Gaとして、車体速度Vxの微分値(演算値)、及び、検出前後加速度Gx(前後加速度センサGXの検出値)のうちの少なくとも1つが採用される。
トラクション制御装置TSは、4輪駆動車両に適用されてもよい。4輪駆動車両では、前後加速度Gaとして、検出前後加速度Gxが採用されることが好適である。4つの車輪が駆動車輪である場合には、全ての車輪WHに加速スリップSwが含まれることに基づく。
TS…トラクション制御装置、EN…動力源、TM…変速機、ECU…コントローラ、ECB…制動コントローラ、ECD…駆動コントローラ、VW…車輪速度センサ、GX…前後加速度センサ、AA…加速操作量センサ、GA…前後加速度演算ブロック、SG…減少量演算ブロック、CQ…調整処理ブロック、Vw…車輪速度、Vx…車体速度、Vk…基準速度(駆動輪)、Ga…前後加速度、Sw…加速スリップ(駆動輪)、Gg…減少量、Sg…積算量、Qg…調整出力、Qs…要求出力、Qt…目標出力、Qa…実際の出力。


Claims (1)

  1. 車両の動力源の出力が伝達される駆動車輪の過大な加速スリップを抑制するよう、前記出力を制限する車両のトラクション制御装置であって、
    前記車両の前後加速度を所定の演算周期で演算する加速度演算部と、
    前記演算周期において前回の前記前後加速度を前回値とし、前記演算周期において今回の前記前後加速度を今回値とし、前記前回値からの前記今回値の減少量を演算し、前記減少量を前記演算周期毎に積算して積算量とする減少量演算部と、
    前記積算量が所定量を超過した場合に、前記出力を減少する調整部と、
    を含んで構成される、車両のトラクション制御装置。


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