前記課題を解決するためになされた第1の発明は、情報収集装置によって収集された所定の対象物の属性情報を移動体に提供する移動体管理装置であって、プロセッサと、前記情報収集装置および前記移動体と通信を実行する通信部とを備え、前記プロセッサは、前記移動体から、該移動体の位置情報を取得し、前記移動体の前記位置情報に基づき決定される所定の範囲内に存在する対象物について、該対象物の属性情報を前記情報収集装置から取得し、前記情報収集装置によって属性情報が収集された対象物のうち、前記所定の範囲内に存在する対象物を、前記移動体に対して属性情報が送信される対象物として決定することを特徴とする。
これによると、所定の範囲内に存在する対象物を、移動体に属性情報が送信される対象物として決定することができるので、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を削減することが可能となる。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記所定の範囲は、第1の情報収集範囲であり、前記プロセッサは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第1の情報収集範囲内に存在するか否かを判定し、前記第1の情報収集範囲内に存在すると判定された対象物のみについて、該対象物の前記属性情報を前記移動体に送信することを特徴とする。
これによると、移動体に属性情報が送信される対象物を第1の情報収集範囲内に存在する対象物に限定することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第3の発明は、上記第1の発明において、前記所定の範囲は、第2の情報収集範囲であり、前記プロセッサは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第2の情報収集範囲内に存在するか否かを判定し、前記対象物が前記第2の情報収集範囲内に存在すると判定された場合には、前記対象物の前記属性情報が、予め定められた重要属性情報を含むか否かをさらに判定し、前記属性情報が前記重要属性情報を含むと判定された場合には、前記対象物の前記属性情報を前記移動体に送信することを特徴とする。
これによると、移動体に属性情報が送信される対象物を第2の情報収集範囲内に存在する対象物に限定し、かつ、対象物の位置情報および予め定められた重要属性情報に基づき、移動体に属性情報が送信される対象物を効率的に決定することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第4の発明は、上記第3の発明において、前記所定の範囲は、前記第2の情報収集範囲よりも狭い第3の情報収集範囲をさらに含み、前記プロセッサは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第3の情報収集範囲内に存在するか否かを判定し、前記対象物が前記第3の情報収集範囲内に存在すると判定された場合には、該対象物の前記属性情報が前記重要属性情報を含むか否かにかかわらず、該対象物の前記属性情報を前記移動体に送信することを特徴とする
これによると、移動体の近傍に存在し、移動体に影響を与える可能性の高い対象物については、その対象物の属性情報が重要属性情報を含んでいなくとも、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。また、属性情報が重要属性情報を含む場合には、その対象物が移動体から離れた位置に存在していても、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。すなわち、対象物の位置情報に基づき、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減するとともに、対象物の属性情報が重要属性情報を含んでいる場合に、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。したがって、移動体が、重要属性情報を含む属性情報を持つ対象物に対して優先的に対応することが望ましい場合には、特に有益である。
また、第5の発明は、上記第1の発明ないし第4の発明のいずれかにおいて、前記所定の範囲は、前記対象物の移動速度、前記移動体の移動速度、および前記移動体の周囲状況のうちの少なくとも1つに応じて可変的に設定されることを特徴とする。
これによると、対象物の移動速度、移動体の移動速度、および移動体の周囲状況のうちの少なくとも1つに応じて、所定の範囲を適切に設定することができる。例えば、移動体が対象物等と衝突する可能性の高い範囲は広く設定し、移動体が対象物等と衝突する可能性の低い範囲は狭く設定することができる。これにより、移動体に属性情報が送信される対象物をより効率的に決定するとともに、移動体が対象物等と衝突するのを防止することが可能となる。
また、第6の発明は、上記第1の発明において、前記プロセッサは、前記対象物の前記属性情報に基づき、前記対象物に対してスコア付けを行い、スコアが高い前記対象物の前記属性情報を優先して前記移動体に送信することを特徴とする。
これによると、対象物の属性情報に基づき付けられたスコアに応じて、移動体に属性情報が送信される対象物を効率的に決定することができる。すなわち、重要度の高い属性情報を優先的に送信することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第7の発明は、上記第6の発明において、前記スコア付けは、前記対象物の前記位置情報に基づき行われることを特徴とする。
これによると、対象物の位置情報に基づき、対象物に対するスコア付けを容易かつ簡単に行うことができる。
また、第8の発明は、上記第6の発明または第7の発明において、前記スコア付けは、前記属性情報が予め定められた重要属性情報を含むか否かに基づき行われることを特徴とする。
これによると、予め定められた重要属性情報に基づき、対象物に対するスコア付けを容易かつ簡単に行うことができる。
また、第9の発明は、上記第3の発明または第8の発明において、前記対象物は人物であり、前記重要属性情報は、前記人物が手助けを必要とする人であることを示す情報であることを特徴とする。
これによると、対象物である人物が手助けを必要とする人(例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子)である場合に、そのことを移動体に通知することができる。
また、第10の発明は、上記第1の発明ないし第9の発明のいずれかに記載の移動体管理装置と、所定の対象物の属性情報を収集する情報収集装置と、前記移動体管理装置から前記対象物の前記属性情報を受信する移動体とを備えたことを特徴とする移動体管理システムである。
これによると、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を削減することが可能となる。
また、第11の発明は、情報収集装置によって収集された所定の対象物の属性情報を移動体に提供する移動体管理方法であって、前記移動体から、該移動体の位置情報を取得するステップと、前記移動体の前記位置情報に基づき決定される所定の範囲内に存在する対象物について、該対象物の属性情報を前記情報収集装置から取得するステップと、前記情報収集装置によって属性情報が収集された対象物のうち、前記所定の範囲内に存在する対象物を、前記移動体に対して属性情報が送信される対象物として決定するステップとを有することを特徴とする。
これによると、所定の範囲内に存在する対象物を、移動体に属性情報が送信される対象物として決定することができるので、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を削減することが可能となる。
また、第12の発明は、上記第11の発明において、前記所定の範囲は、第1の情報収集範囲であり、前記移動体に対して属性情報が送信される対象物を決定する前記ステップは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第1の情報収集範囲内に存在するか否かを判定するステップと、前記第1の情報収集範囲内に存在すると判定された対象物のみについて、該対象物の前記属性情報を前記移動体に送信するステップとを含むことを特徴とする。
これによると、移動体に属性情報が送信される対象物を第1の情報収集範囲内に存在する対象物に限定することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第13の発明は、上記第11の発明において、前記所定の範囲は、第2の情報収集範囲であり、前記移動体に対して属性情報が送信される対象物を決定する前記ステップは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第2の情報収集範囲内に存在するか否かを判定するステップと、前記対象物が前記第2の情報収集範囲内に存在すると判定された場合には、前記対象物の前記属性情報が、予め定められた重要属性情報を含むか否かをさらに判定するステップと、前記属性情報が前記重要属性情報を含むと判定された場合には、前記対象物の前記属性情報を前記移動体に送信するステップとを含むことを特徴とする。
これによると、移動体に属性情報が送信される対象物を第2の情報収集範囲内に存在する対象物に限定し、かつ、対象物の位置情報および予め定められた重要属性情報に基づき、移動体に属性情報が送信される対象物を効率的に決定することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、サーバ装置から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第14の発明は、上記第13の発明において、前記所定の範囲は、前記第2の情報収集範囲よりも狭い第3の情報収集範囲をさらに含み、前記移動体に対して属性情報が送信される対象物を決定する前記ステップは、前記対象物の位置情報に基づき、前記対象物が、前記第3の情報収集範囲内に存在するか否かを判定ステップと、前記対象物が前記第3の情報収集範囲内に存在すると判定された場合には、該対象物の前記属性情報が前記重要属性情報を含むか否かにかかわらず、該対象物の前記属性情報を前記移動体に送信するステップとを含むことを特徴とする。
これによると、移動体の近傍に存在し、移動体に影響を与える可能性の高い対象物については、その対象物の属性情報が重要属性情報を含んでいなくとも、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。また、属性情報が重要属性情報を含む場合には、その対象物が移動体から離れた位置に存在していても、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。すなわち、対象物の位置情報に基づき、移動体管理装置(サーバ装置)から移動体に送信される通信量を効率的に削減するとともに、対象物の属性情報が重要属性情報を含んでいる場合に、その対象物の属性情報を移動体に送信することが可能となる。したがって、移動体が、重要属性情報を含む属性情報を持つ対象物に対して優先的に対応することが望ましい場合には、特に有益である。
また、第15の発明は、上記第11の発明ないし第14の発明のいずれかにおいて、前記所定の範囲は、前記対象物の移動速度、前記移動体の移動速度、および前記移動体の周囲状況のうちの少なくとも1つに応じて可変的に設定されることを特徴とする。
これによると、対象物の移動速度、移動体の移動速度、および移動体の周囲状況のうちの少なくとも1つに応じて、所定の範囲を適切に設定することができる。例えば、移動体が対象物等と衝突する可能性の高い範囲は広く設定し、移動体が対象物等と衝突する可能性の低い範囲は狭く設定することができる。これにより、移動体に属性情報が送信される対象物をより効率的に決定するとともに、移動体が対象物等と衝突するのを防止することが可能となる。
また、第16の発明は、上記第11の発明において、前記移動体に送信する前記属性情報を決定する前記ステップは、前記対象物の前記属性情報に基づき、前記対象物に対してスコア付けを行うステップと、スコアが高い前記対象物の前記属性情報を優先して前記移動体に送信するステップとを含むことを特徴とする。
これによると、対象物の属性情報に基づき付けられたスコアに応じて、移動体に属性情報が送信される対象物を効率的に決定することができる。すなわち、重要度の高い属性情報を優先的に送信することができる。したがって、移動体の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、サーバ装置から移動体に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第17の発明は、上記第16の発明において、前記スコア付けは、前記対象物の前記位置情報に基づき行われることを特徴とする。
これによると、対象物の位置情報に基づき、対象物に対するスコア付けを容易かつ簡単に行うことができる。
また、第18の発明は、上記第16の発明または第17の発明において、前記スコア付けは、前記属性情報が予め定められた重要属性情報を含むか否かに基づき行われることを特徴とする。
これによると、予め定められた重要属性情報に基づき、対象物に対するスコア付けを容易かつ簡単に行うことができる。
また、第19の発明は、上記第13の発明または第18の発明において、前記対象物は人物であり、前記重要属性情報は、前記人物が手助けを必要とする人であることを示す情報であることを特徴とする。
これによると、対象物である人物が手助けを必要とする人(例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子)である場合に、そのことを移動体に通知することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、例えばテーマパーク、ショッピングモール、イベント会場、空港等の施設において、監視カメラ(情報収集装置)によって収集された人物(対象物)の属性情報をロボット(移動体)に提供する場合について説明する。
図1は、本開示の移動体管理システム1の概要を示す構成図である。図1に示すように、この移動体管理システム1は、1以上のカメラ2と、1以上のロボット3と、移動体管理装置4とを主として備えている。また、ロボット3は、ロボット搭載カメラ5を搭載している。カメラ2およびロボット3は、専用回線やLAN(Local Area Network)等のネットワーク6を介して、移動体管理装置4と接続されている。ロボット3は、移動体管理装置4と無線接続されているものとする。
カメラ2は、公知の撮影機能や通信機能を有する監視カメラ(ビデオカメラ)であり、本システム1が適用される施設の各所の壁、天井、ポール等に設置され、予め定められた監視領域を静止画像または動画像として時系列に撮像する。カメラ2の撮像により生成された撮像画像(静止画像または動画像)は、ネットワーク6を介して移動体管理装置4に適宜送信される。なお、カメラ2は、予め定められた監視領域を撮像可能な限りにおいて、その形態、機能、配置、数量等については、特に限定されるものではなく種々の変更が可能である。
ロボット3は、接客、案内、手助けを必要とする人(例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子)の手助け等の各種のサービスを提供する案内ロボットである。ロボット3は、自ら判断して自律的に行動する自律型ロボットであってもよいし、遠隔操作により行動する非自律型ロボットであってもよい。本実施形態では、ロボット3はとして、自律型ロボットを用いる。ロボット搭載カメラ5は、カメラ2と同様の、公知の撮影機能を有するカメラ(ビデオカメラ)であり、ロボット3の適所に配置されている。本実施形態では、ロボット搭載カメラ5は、ロボット3の胸部における頭部付近に配置されている。
図2は、ロボット3の運用領域を示す2次元マップであり、カメラ2およびロボット3の配置の一例が示されている。図2の例では、カメラ2は、カメラ2A、2B、2Cの3台が示されおり、ロボット3は、ロボット3Aの1台が示されている。また、図2の2次元マップには、複数の人物Pi(i=1...N、Nは任意の整数)も示されている。図2の例では、人物Pi(以降、総称するときは、単に人物Pと称する)は、P1、P2、P3、P4、P5、P6の6人が示されている。
本実施形態では、ロボット3および人物Pの位置情報として、図2の2次元マップ上の座標を用いる。図2の例では、例えば、ロボット3Aの座標は、(50、50)であり、人物P4の座標は、(200、200)である。ロボット3および人物Pの2次元マップ上の座標は、カメラ2の撮像画像に基づき、公知のカメラキャリブレーション技術を用いて算出することができる。
また、ロボット3および人物Pの座標は、現在の座標(以降、現在座標と称する)であってもよいし、現在から所定時間後の、すなわちロボット3および人物Pが移動した後の予測される座標(以降、予測座標と称する)であってもよい。予測座標は、統計的手法等の公知の予測手法を用いて算出することができる。図3は、ロボット3および人物P4の現在座標および予測座標の一例を示す図である。図3(a)の例では、ロボット3Aの現在座標は(50、50)であり、予測座標は(100、100)である。また、図3(b)の例では、人物P4の現在座標は(200、200)であり、予測座標は(250、150)である。
移動体管理装置4は、公知の構成を有するサーバ(コンピュータ)から構成され、カメラ2から受信した撮像画像を解析して、撮像画像から人物Pを検出する。そして、撮像画像から人物Pが検出された場合は、その撮像画像から人物Pの属性情報を取得する。撮像画像からの人物Pの検出は、例えば統計的または非統計的識別器を用いる手法やテンプレートマッチングを用いる手法等の公知の手法を用いて行うことができる。また、撮像画像からの人物Pの属性情報の取得は、例えばディープラーニング等の公知の機械学習手法を用いて行うことができる。
人物Pの属性情報とは、人物Pに関する情報であり、例えば、その人物Pの位置情報、年齢、性別、グループ属性、移動方向、体の向き、顔の向き、持ち物(例えば、つえを持っている)、その人物Pが乗っている乗り物(例えば、自転車に乗っている)、その人物Pの行動(例えば、ベンチに座っている)、その人物Pの位置がロボット搭載カメラ5の死角であるか否か等が挙げられる。
また、人物Pの属性情報は、その人物Pが、ロボット3がサービスを提供する上での特別な人物であることを示す重要属性情報を含む。本実施形態では、重要属性情報として、その人物Pが手助けを必要とする人であることを示す情報を用いる。手助けを必要とする人としては、例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子(迷子の可能性のある子供を含む)、病人、怪我人、または、他の手助けや見守りを必要とする人等が挙げられる。
移動体管理装置4が取得した人物Pの属性情報は、ネットワーク6を介してロボット3に適宜送信される。なお、ロボット3が非自律型ロボットである場合は、取得した人物Pの属性情報に基づきロボット3の移動経路を指示する情報を生成し、その情報もロボット3に送信する。
図4は、移動体管理装置4の概略構成を示すブロック図である。移動体管理装置4は、公知のハードウェア構成を備えており、所定の制御プログラム(例えば移動体管理プログラム)に基づき移動体管理システム1における各処理を統括的に実行するプロセッサ11、このプロセッサ11のワークエリア等として機能する揮発性メモリであるRAM12、プロセッサ11が実行する制御プログラムやデータを格納する不揮発性メモリであるROM13、移動体管理装置4の動作に必要なプログラムやデータを記憶するストレージを有する記憶部14、ユーザに必要な情報を表示するモニタを有する表示部15、ユーザの入力操作を可能とするキーボードやマウス等の入力デバイスを有する入力部16、ネットワーク6を介した通信を実行する通信モジュールを有する通信部17等を備えている。
移動体管理装置4の各機能は、図4に示したハードウェア構成において、プロセッサ11が所定の制御プログラムを実行することによって実現可能である。なお、移動体管理装置4の機能の少なくとも一部を他の公知のハードウェアによる処理によって代替してもよい。
(第1実施形態)
次に、移動体管理装置4での移動体管理処理の第1実施形態について、図5のフロー図を参照して説明する。以下の処理は、移動体管理装置4のプロセッサ11で行われ、カメラ2の撮像画像からロボット3が検出されたときに開始される。なお、ロボット3からリクエストがあったときに処理を開始するようにしてもよい。また、以下の処理は、カメラ2の撮像画像から検出された各ロボット3に対してそれぞれ実施される。
図5に示しように、この第1実施形態に係る移動体管理処理では、まず、ロボット3の座標(位置情報)を取得する(ステップST101)。上述したように、ロボット3の座標は、カメラ2の撮像画像から公知の手法を用いて取得することができる。また、ロボット3の座標は、現在座標であってもよいし、予測座標であってもよい。本実施形態では、ロボット3の座標は、予測座標を用いる。
続いて、ロボット3の予測座標に基づき決定される所定範囲内に存在するN人の各人物Pに対して、識別子(ID)であるPi(i=1...N、Nは任意の整数)をそれぞれ割り振る(ステップST102)。上述したように、人物Pは、カメラ2の撮像画像から公知の手法を用いて取得することができる。上記の所定範囲は、予め定められた大きさおよび形状(例えば、円形、楕円形、または矩形の形状)を有する範囲であってもよいし、本システム1が適用される施設の全体マップにおける所定のエリアであってもよい。
次に、人物Piの属性情報を取得する(ステップST103)。上述したように、人物Piの属性情報には、その人物Piの位置情報と移動方向に関する情報が含まれる。本実施形態では、ロボット3の座標は予測座標を用いるので、人物Piの座標も予測座標を用いる。また、本実施形態では、人物Piの属性情報には、人物Piの移動方向も含まれる。人物Piの予測座標および移動方向は、ロボット3の場合と同様に、カメラ2の撮像画像から公知の手法を用いて取得することができる。
続くステップST104では、人物Piの予測座標が、ロボット3の予測座標に基づき決定される第1の情報収集範囲A1内に存在するか否かを判定する。
図6は、第1の情報収集範囲A1の例を示す図である。この例では、ロボット3はロボット3Aであり、人物Piは人物P1-P6である。図6の例では、第1の情報収集範囲A1は、ロボット3の予測座標Cを中心とした半径r1の円である。また、各人物Pの矢印は、その人物Pの移動方向を示し、矢印の基端がその人物Pの現在座標を示し、矢印の先端がその人物Pの予測座標を示す。したがって、この例では、人物P1と人物P2は、第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定され、人物P3-P6は、第1の情報収集範囲A1内に存在しないと判定される。
第1の情報収集範囲A1の半径r1の大きさは、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて可変的に設定することができる。例えば、人物Piの移動速度が遅い場合は、半径r1は10m程度に設定し、人物Piの移動速度が速い場合(例えば、人物Piが自転車等に乗って移動する場合)は、半径r1は50m程度に設定するとよい。同様に、ロボット3の移動速度が遅い場合は、半径r1は10m程度に設定し、ロボット3の移動速度が速い場合は、半径r1は50m程度に設定するとよい。また、ロボット3の周囲が混雑している場合や、ロボット3の周囲に他のロボット3が存在する場合は、半径r1は10m程度に設定し、それ以外の場合は、半径r1は50m程度に設定するとよい。
また、第1の情報収集範囲A1の形状は、円形に限定されるものではなく、所定の大きさを有する楕円形や矩形等の他の形状であってもよい。
第1の情報収集範囲A1が楕円形の場合は、楕円の長軸がロボット3の移動方向に沿って延びるように、楕円形の向きを設定するとよい。このようにすると、第1の情報収集範囲A1の範囲をロボット3の移動方向に沿って設定することができる。これにより、通信量を押さえつつ、ロボット3の近くに存在し、ロボット3の移動を阻害する可能性の高い対象物について、その属性情報をロボット3に早めに送信することが可能となる。
また、例えば、ロボット3が狭い矩形の部屋内に存在する場合には、第1の情報収集範囲A1は、その部屋の形状および大きさに対応する矩形に設定するとよい。このような状況では、その部屋の外部に存在する対象物はロボット3にとっては関心が低く(すなわち、属性情報の重要度が低く)、一方、第1の情報収集範囲A1が円形の場合には範囲外となる恐れがある部屋の隅部に存在する対象物は、ロボット3にとっては関心が高い(すなわち、属性情報の重要度が高い)ためである。
また、第1の情報収集範囲A1の形状が楕円形や矩形等の他の形状である場合でも、第1の情報収集範囲A1の大きさは、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて可変的に設定することができる。また、第1の情報収集範囲A1は、本システム1が適用される施設の全体マップにおける所定のエリアであってもよい。また、所定のエリアが狭い閉空間(開閉可能な扉等を通ってロボット3が出入り可能な場合も含む)である場合には、第1の情報収集範囲A1の形状および大きさを、その所定のエリアの形状および大きさに対応する形状および大きさに設定するとよい。これにより、閉空間内に存在する、ロボット3にとって関心の高い対象物の属性情報を、第1の情報収集範囲A1によって十分に取得することが可能となる。
ステップST104において、人物Piの予測座標が第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定された場合(ステップST104:Yes)は、ステップST105に進み、人物Piの予測座標が第1の情報収集範囲A1内に存在しないと判定された場合(ステップST104:No)は、ステップST105に進む。
ステップST105では、人物Piの属性情報をロボット3に送信する。図6の例では、第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定された人物P1と人物P2の属性情報がロボット3に送信される。なお、ロボット3が、遠隔操作により行動する非自律型ロボットである場合は、人物Piの属性情報に基づきロボット3の移動経路を指示する情報が生成され、その情報もロボット3に送信される。ステップST105の完了後は、ステップST106に進む。
ステップST106では、人物Piの変数iの値を1増やす(i++)。ステップST106の完了後は、ステップST107に進む。
ステップST107では、人物Piの変数iの値がNに達したか否かを判定する(i>=N)。Nは、ロボット3の座標に基づき決定される所定範囲内に存在する人物Piの人数である。変数iの値がNに達した場合(ステップST107:Yes)は処理を終了し、変数iの値が人数Nに達していないと判定された場合(ステップST107:No)は、ステップST103に戻る。
以上のように、この第1実施形態に係る移動体管理処理によれば、第1の情報収集範囲A1内に存在する人物Pの属性情報のみが、移動体管理装置4からロボット3に送信される。すなわち、人物P(対象物)の位置情報に基づき、移動体管理装置4(サーバ装置)からロボット3(移動体)に属性情報が送信される人物Pを効率的に決定することができる。したがって、ロボット3の運用領域内に多数の人物Pが存在する場合に、移動体管理装置4からロボット3に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第1の情報収集範囲A1の半径r1を可変的に設定することにより、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて、第1の情報収集範囲A1を適切に設定することができる。これにより、ロボット3に属性情報が送信される人物Pをより効率的に決定することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、移動体管理装置4での移動体管理処理の第2実施形態について、図7のフロー図を参照して説明する。なお、この第2実施形態では、以下で特に言及しない事項については、上記の第1実施形態の場合と同様とする。
図7のフロー図におけるステップST201-203は、図5のフロー図を参照して説明した第1実施形態のステップST101-103と同じなので、説明は省略する。
ステップST203に続くステップST204では、人物Piの予測座標が、ロボット3の予測座標に基づき決定される第2の情報収集範囲A2内に存在するか否かを判定する。
図8は、第2の情報収集範囲A2の例を示す図である。この例では、ロボット3はロボット3Aであり、人物Piは人物P1-P9である。図8の例では、第2の情報収集範囲A2は、ロボット3の予測座標Cを中心とした半径r2の円である。また、各人物Pの矢印は、その人物Pの移動方向を示し、矢印の先端が、その人物Pの予測座標を示す。したがって、この例では、人物P1-P6は、第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定され、人物P7-P9は、第2の情報収集範囲A2内に存在しないと判定される。
第2の情報収集範囲A2の半径r1の大きさは、上記の第1の情報収集範囲A1の場合と同様に、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて可変的に設定することができる。また、第2の情報収集範囲A2の形状も、上記の第1の情報収集範囲A1の場合と同様に、円形に限定されるものではなく、所定の大きさおよび形状を有する楕円形や矩形等の他の形状であってもよいし、本システム1が適用される施設の全体マップにおける所定のエリアであってもよい。また、第2の情報収集範囲A2の形状が楕円形や矩形等の他の形状である場合でも、第2の情報収集範囲A2の大きさは、上記の第1の情報収集範囲A1の場合と同様に、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて可変的に設定することができる。
ステップST204において、人物Piの予測座標が第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定された場合(ステップST204:Yes)は、ステップST205に進み、人物Piの予測座標が第2の情報収集範囲A2内に存在しないと判定された場合(ステップST204:No)は、ステップST207に進む。
ステップST205では、ステップST203で取得された人物Piの属性情報が重要属性情報を含むか否かを判定する。上述したように、本実施形態では、重要属性情報として、その人物Pが手助けを必要とする(例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子)であることを示す情報を用いる。人物Piの属性情報が重要属性情報を含むと判定された場合(ステップST205:Yes)は、ステップST206に進み、人物Piの属性情報が重要属性情報を含まないと判定された場合(ステップST205:No)は、ステップST207に進む。
ステップST206では、人物Piの属性情報をロボット3に送信する。図8の例では、第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定された人物P1-P6のうちの人物P2と人物P5の属性情報が重要属性情報を含む場合は、人物P2と人物P5の属性情報がロボット3に送信される。なお、通信容量等の理由により通信量が限定されている場合には、通信量を削減するべく、人物Piの属性情報の代わりに、例えば、「その人物Pが手助けを必要としている」ことを示す情報のみを送信するようにしてもよい。ステップST206の完了後は、ステップST207に進む。
ステップST207-208は、図5のフロー図を参照して説明した第1実施形態のステップST106-107と同じなので、説明は省略する。
以上のように、この第2実施形態に係る移動体管理処理によれば、第2の情報収集範囲A2に存在し、かつ重要属性情報を有している人物Pの属性情報のみがロボット3に送信される。すなわち、人物P(対象物)の位置情報および重要属性情報に基づき、移動体管理装置4(サーバ装置)からロボット3(移動体)に属性情報が送信される人物Pを効率的に決定することができる。したがって、ロボット3の運用領域内に多数の人物Pが存在する場合に、移動体管理装置4からロボット3に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
また、第2の情報収集範囲A2の半径r2を可変的に設定することにより、人物Piの移動速度、ロボット3の移動速度、ロボット3の周囲状況等に応じて、第2の情報収集範囲A2を適切に設定することができる。これにより、ロボット3に属性情報が送信される人物Pをより効率的に決定することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、移動体管理装置4での移動体管理処理の第3実施形態について、図9のフロー図を参照して説明する。この第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせたものであり、第1実施形態のステップST104とステップST105(図5参照)との間に、第2実施形態のステップST204-205(図7参照)が組み込まれた点が第1実施形態と異なる。なお、この第3実施形態では、第1の情報収集範囲A1は第2の情報収集範囲A2よりも狭く設定される。
図9のフロー図におけるステップST101―103は、図5のフロー図を参照して説明した第1実施形態のステップST101-103と同じなので、説明は省略する。
ステップST103に続くステップST104では、人物Piの予測座標が、ロボット3の予測座標に基づき決定される第1の情報収集範囲A1内に存在するか否かを判定する。ステップST104において、人物Piの予測座標が第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定された場合(ステップST104:Yes)は、ステップST204に進み、人物Piの予測座標が第1の情報収集範囲A1内に存在しないと判定された場合(ステップST104:No)は、ステップST105に進む。
ステップST204では、人物Piの予測座標が、ロボット3の予測座標に基づき決定される第2の情報収集範囲A2内に存在するか否かを判定する。ステップST204において、人物Piの予測座標が第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定された場合(ステップST204:Yes)は、ステップST205に進み、人物Piの予測座標が第2の情報収集範囲A2内に存在しないと判定された場合(ステップST204:No)は、ステップST106に進む。
図10は、第1の情報収集範囲A1および第2の情報収集範囲A2の例を示す図である。この例では、ロボット3はロボット3Aであり、人物Piは人物P1-P9である。図10に示すように、第2の情報収集範囲A2は、第1の情報収集範囲A1よりも広く設定される。例えば、第1の情報収集範囲A1および第2の情報収集範囲A2が両方とも円形であり、第1の情報収集範囲A1の半径r1が10-50mに設定される場合は、第2の情報収集範囲A2の半径r2は200mに設定するとよい。
図10の例では、上記のステップST104では、人物P1と人物P2は、第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定され、人物P3-P9は、第1の情報収集範囲A1内に存在しないと判定される。また、上記のステップST204では、人物P3-P6は、第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定され、人物P7-P9は、第2の情報収集範囲A2内に存在しないと判定される。なお、人物P1および人物P2は、第1の情報収集範囲A1内に存在するので、ステップST204での判定対象から除外される。
ステップST205では、ステップST203で取得された人物Piの属性情報が重要属性情報を含むか否かを判定する。人物Piの属性情報が重要属性情報を含むと判定された場合(ステップST205:Yes)は、ステップST105に進み、人物Piの属性情報が重要属性情報を含まないと判定された場合(ステップST205:No)は、ステップST106に進む。
ステップST105では、人物Piの属性情報をロボット3に送信する。図10の例では、第1の情報収集範囲A1内に存在すると判定された人物P1と人物P2の属性情報がロボット3に送信される。また、第2の情報収集範囲A2内に存在すると判定された人物P3-P6のうちの人物P5の属性情報が重要属性情報を含む場合は、人物P5の属性情報がロボット3に送信される。ステップST105の完了後は、ステップST106に進む。ステップST106以降は、上記した第1実施形態と同じなので、説明は省略する。
以上のように、この第3実施形態に係る移動体管理処理によれば、第1の情報収集範囲A1内に存在する人物Pの属性情報だけでなく、第1の情報収集範囲A1内には存在しないが、第2の情報収集範囲A2内に存在し、かつ重要属性情報を含んでいる人物Pの属性情報もロボット3に送信することができる。これにより、人物P(対象物)の位置情報に基づき、移動体管理装置4(サーバ装置)からロボット3(移動体)に送信される通信量を効率的に削減するとともに、人物Pの属性情報が重要属性情報を含んでいる場合に、その人物Pの属性情報をロボット3に送信することが可能となる。したがって、人物Pが手助けを必要とする人(例えば、高齢者、障害者、車椅子の方、迷子)等の重要属性情報をロボット3に送信することが望ましい場合には、特に有益である。
なお、この第3の実施形態において、重要属性情報が含まれているか否かに関わらず属性情報がロボット3に送信される第3の情報収集範囲(上記の説明における第1の情報収集範囲A1に相当)は、第2の情報収集範囲A2よりも狭い限りは特に限定されるものではない。第3の情報収集範囲は、第1の情報収集範囲A1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(第4実施形態)
次に、移動体管理装置4での移動体管理処理の第4実施形態について、図11のフロー図を参照して説明する。この第4実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせたものであり、人物Piの属性情報に基づいて付与したスコアに応じて、その人物Piの属性情報をロボット3に送信する点が上記の第1実施形態および第2実施形態と異なる。
図11のフロー図におけるステップST301-303は、図5のフロー図を参照して説明した第1実施形態のステップST101-103と同じなので、説明は省略する。
ステップST303に続くステップST304では、各人物Piの属性情報に基づいて、各人物Piに対してスコア付けを行う。
スコア付けは、例えば、各人物Piの予測座標や、各人物Piの属性情報が重要属性情報を含むか否かに基づき行うことができる。具体的には、人物Piの予測座標に基づきスコア付けを行う場合は、ロボット3の予測座標と人物Piの予測座標とに基づいて両者間の距離を算出し、距離が小さい場合にはより高いスコアを付け、距離が大きい場合にはより低いスコアを付けるようにするとよい。また、属性情報が重要属性情報を含むか否かに基づきスコア付けを行う場合は、重要属性情報を含む場合にはより高いスコアを付け、重要属性情報を含まない場合にはより低いスコアを付けるようにするとよい。
また、ロボット3のロボット搭載カメラ5の視野外に位置する人物P、ロボット搭載カメラ5の死角に位置する人物P(例えば、建物、物体、他の人物等の視界遮蔽物に隠れた人物P)や、所定の期間に渡ってロボット3に属性情報が送信されていない人物Pに対してより高いスコアを付けるようにしてもよい。また、他のロボット3との位置関係や、ロボット3の移動経路に関する情報に基づいて、スコア付けを行うようにしてもよい。
そして、ステップST305では、スコアが高い人物Piから順に、その人物Piの属性情報をロボット3に送信する。すなわち、重要度の高い属性情報を、ロボット3に優先的に送信する。
以上のように、この第4実施形態に係る移動体管理処理によれば、人物Pの属性情報に基づき人物Pに対してスコア付けを行い、スコアが高い人物Pから順に、その人物Pの属性情報をロボット3に優先的に送信することができる。すなわち、人物P(対象物)の属性情報に基づき付けられたスコアに応じて、移動体管理装置4(サーバ装置)からロボット3に属性情報が送信される人物P(対象物)を効率的に決定することができる。したがって、ロボット3の運用領域内に多数の対象物が存在する場合に、移動体管理装置4からロボット3に送信される通信量を効率的に削減することが可能となる。
なお、スコアを利用して通信量を削減する手順は、上述したものには限られない。スコアが高い対象物の属性情報が優先的に送信されるように制御されるのであれば、他の手順を採用してもよい。例えば、スコアが所定の閾値を超える人物Pについてのみ属性情報を送信するよう制御してもよい。また、ロボット一台あたりに所定時間内に送信できる属性情報の総量を予め設定しておき、その設定された総量を超えないようにして、スコアが高い対象物から順に、属性情報が送信される人物Pを決定してもよい。
また、スコアを高く設定する条件も、上述したものに限られるものではない。例えば、ロボット3との距離が近い人物や、ロボット3との衝突が予測される人物等の、ロボット3が緊急対応する必要のある人物のスコアを高く設定するようにしてもよい。このように、ロボット3の行動決定に対する影響が大きい高い人物のスコアが高くなるような所定の基準に従ってスコアを設定すると、ロボット3の行動決定をより効率的に行うことが可能となる。
次に、ロボット3での行動決定処理の流れについて、図12のフロー図を参照して説明する。以下の処理は、ロボット3の図示しないプロセッサで行われる。
まず、移動体管理装置4から人物Piの属性情報を受信する(ステップST401)。ロボット3が受信する属性情報は、上記の各実施形態における属性情報を送信する各ステップ、すなわち、ステップST105(図5、図10)、ステップST206(図8)、またはステップST305(図11)において、移動体管理装置4から送信された属性情報である。
続いて、ロボット搭載カメラ5の撮像画像に基づき、その撮像画像内に存在する人物Piの属性情報を取得する(ステップST402)。撮像画像からの人物Piの検出は、移動体管理装置4において、カメラ2の撮像画像から人物Piを検出する場合と同様に、例えば統計的または非統計的識別器を用いる手法やテンプレートマッチングを用いる手法等の公知の手法を用いて行うことができる。また、撮像画像からの人物Piの属性情報の取得も、移動体管理装置4において、カメラ2の撮像画像から人物Piの属性情報を取得する場合と同様に、例えばディープラーニング等の公知の機械学習手法を用いて行うことができる。ステップST402の完了後は、ステップST403に進む。なお、ステップST401とステップST402とを実施する順番は逆であってもよい。
そして、ステップST403では、ステップST401において移動体管理装置4から受信した人物Piの属性情報(以降、受信情報と称する)、およびステップST402においてロボット搭載カメラ5から取得した人物Piの属性情報(以降、取得情報と称する)のうちの少なくとも一方を用いて、ロボット3の行動(例えば、移動経路等)を決定する。すなわち、ロボット3の行動決定は、受信情報および取得情報の両方を用いて行ってもよいし、いずれか一方のみを用いて行ってもよい。
例えば、ロボット3の周囲の位置に関しては、ロボット3のロボット搭載カメラ5の撮像画像の方が、カメラ2の撮像画像よりも信頼性が高いので、取得情報を優先的に用いるようにするとよい。また、ロボット3から離れた位置に関しては、カメラ2の撮像画像の方が、ロボット搭載カメラ5の撮像画像よりも信頼性が高いので、受信情報を優先的に用いるようにするとよい。また、ロボット搭載カメラ5の視野外や死角に位置する人物P(例えば、建物、物体、他の人物等の視界遮蔽物に隠れた人物P)に関しては、受信情報を用いるようにするとよい。また、人物Pの年齢や性別等の詳細な属性情報に関しては、受信情報を優先的に用いるようにするとよい。
以上、本開示を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本開示はこれらの実施形態によって限定されるものではない。また、上記実施形態に示した本開示に係る移動体管理装置、移動体管理システム、および移動体管理方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本開示の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
例えば、本実施形態では、移動体として案内ロボットを例に挙げて説明したが、移動体は、案内ロボットに限らず、警備ロボット、運搬ロボット、電動車椅子、電動カート(シニアカー)等であってもよい。また、対象物も人物に限らず、自転車や他の乗り物等の移動可能な物体や、設備や建物等の移動不能な物体であってもよい。
また、移動体は、移動体管理装置4から受信した情報を利用可能なものであれば、特に限定されるものではない。例えば、移動体は、施設内を移動する人、例えば警備員等が所持する情報端末装置等であってもよい。この場合は、情報端末装置等を介して、警備員等に対して、警備員等の死角や警備員等から離れた場所に位置する手助けを必要とする人の属性情報や、警備員等と衝突する恐れのある対象物の属性情報を通知することが可能となる。また、警備員等は、その視野内に存在する全ての対象物を常時認識しているとは限らないため、情報端末装置等を介して警備員等に対して、その視野内に存在する対象物の属性情報を通知することにより、警備員等に注意を促すことが可能となる。なお、移動体が、人が所持する情報端末装置である場合も、その人の撮像画像等に基づき検出される位置情報または移動軌跡や、その情報端末装置に搭載されたGPS機能等に基づいて、その情報端末装置の位置情報(すなわち、現在座標や予測座標)を取得することが可能である。
また、本実施形態では、ロボット3および人物Pの座標はカメラ2の撮像画像に基づき検出したが、これに限らず、ロボット3および人物Pの座標は、ビーコン等の公知の無線通信技術を用いてロボット3および人物Pから直接取得するようにしてもよい。この場合、ロボット3および人物Pは、自分の座標を検出するためのGPS等の公知の座標検出手段を搭載または所持しているものとする。あるいは、ロボット3および人物Pの座標は、本システム1が適用される施設の各所に設置されたセンサ等の公知の物体検出技術を用いて取得するようにしてもよい。
また、人物Pの属性情報も、カメラ2の撮像画像に限らず、例えば、人物Pが所持するスマートフォン等との無線通信を通じて取得するようにしてもよい。この場合、人物Pの属性情報は、人物Pが所持するスマートフォンの記憶部に予め格納されているものとする。
また、上記の各実施形態では、ロボット3に通知する属性情報に位置情報を含めていたが、これに限定されるものではない。例えば、ロボット3がロボット搭載カメラ5等で人物Pを認識する機能を有する場合は、移動体管理装置4からロボット3に、位置情報の代わりにロボット3が向くべき方向を通知すれば、ロボット3自身が人物Pの位置情報を認識することができる。とりわけ、カメラ2と人物Pとの間の距離が大きく、カメラ2の撮像画像に基づき取得される人物Pの位置情報に誤差が含まれる可能性が高い場合は、ロボット3自身に人物Pの位置情報を認識させた方が、人物Pの位置情報をより正確に認識することができる。
また、上記の各実施形態では、ロボット3が非自律型ロボットである場合は、属性情報とともに、移動経路を指示する情報をロボット3に送信していたが、これに限定されるものではない。例えば、ロボット3が属性情報を必要としない場合や、ロボット3が属性情報を処理する能力を有していない場合には、属性情報は送信せず、移動経路を指示する情報のみをロボット3に送信するようにするとよい。このようにすると、通信量を削減することができる。