(実施形態1)
ソレノイド装置の実施形態につき、図1~図11を用いて説明する。
本実施形態のソレノイド装置1は、図1、図3に示すごとく、電磁コイル11と固定コア2と可動コア3と磁性バネ4とヨーク5とを備える。図5、図6、図11に示すごとく、電磁コイル11は、通電により磁束Φを発生させる。
図1に示すごとく、固定コア2は、電磁コイル11の内周側に配されている。可動コア3は、固定コア2と電磁コイル11の軸方向Zに対向するよう配されている。図11に示すごとく、可動コア3は、電磁コイル11への通電時に電磁コイル11の軸方向Zの固定コア2側へ吸引される。
以後、電磁コイル11の軸方向Zを、Z方向という。また、Z方向の一方側であって、固定コア2に対する可動コア3側をZ1側といい、その反対側をZ2側という。また、電磁コイル11の径方向を、単に径方向という。
図1に示すごとく、磁性バネ4は、固定コア2の固定対向面部21と可動コア3の可動対向面部31との間に配されている。ここで、固定コア2の固定対向面部21と可動コア3の可動対向面部31とは、互いにZ方向に対向するとともに互いにZ方向に重なる位置に配されている。磁性バネ4は、磁性体からなり、可動コア3をZ方向における固定コア2から遠ざかる側に付勢する。
図5、図6、図11に示すごとく、ヨーク5は、固定コア2、可動コア3、及び磁性バネ4と共に、磁束Φが通る磁気回路を構成する。図1、図4に示すごとく、磁性バネ4は、Z方向のZ1側へ向かうほど縮径する螺旋状に巻回されている。可動対向面部31は、磁性バネ4をZ方向に投影した投影領域311よりも磁性バネ4から遠ざかる側に凹む凹部6を、磁性バネ4にZ方向に重ならない非投影領域312に有する。
以後、本実施形態につき詳説する。
本実施形態において、ソレノイド装置1は、図示しないスイッチ部を備えた電磁継電器に用いることができる。すなわち、ソレノイド装置1は、可動コア3の進退動作によって、スイッチ部を開閉するよう構成することができる。
電磁継電器は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車載用の電磁継電器とすることができる。電磁継電器のスイッチ部は、例えばバッテリとインバータとの間に電気的に接続される。インバータは、バッテリから供給される直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流モータへ供給するものである。
図1に示すごとく、電磁コイル11は、Z方向に伸びる巻回軸を中心に巻回されており、略円筒形状を呈している。図5、図6、図11に示すごとく、電磁コイル11に通電することにより、電磁コイル11の周囲の固定コア2、ヨーク5、可動コア3及び磁性バネ4から構成される磁気回路に磁束Φが流れる。
図1に示すごとく、電磁コイル11は、スプール12に巻回されている。スプール12は、電気的絶縁性を有する非磁性体の樹脂等からなる。スプール12は、電磁コイル11に対して、内周側及びZ方向の両側から対向するよう形成されている。スプール12の内周側に固定コア2が配置されている。
図1に示すごとく、固定コア2は、略円柱状を呈している。固定コア2は、強磁性体である。固定コア2の軸方向は、Z方向と一致している。固定コア2の外径は、スプール12の内径と同等であり、固定コア2の外周面とスプール12の内周面とは、微小空間を介して近接対向している、或いは当接している。
図1に示すごとく、固定コア2は、Z方向に貫通するよう形成された固定挿入穴22を有する。固定挿入穴22には、後述のシャフト13のZ2側の部位が挿入されている。
固定コア2のZ2側端部には、Z2側に突出する小径突出部23が形成されている。小径突出部23は、固定コア2における小径突出部23のZ1側に隣接する部位よりも、外径が小さくなっている。小径突出部23は、ヨーク5に形成された底壁穴511aに挿入されている。
ヨーク5は、強磁性体である。図1、図3に示すごとく、ヨーク5は、第一ヨーク51と第二ヨーク52とを組み合わせてなる。
図1、図3に示すごとく、第一ヨーク51の全体は、U字状に形成されている。第一ヨーク51は、電磁コイル11をZ2側から覆うよう形成された底壁511と、底壁511におけるZ方向に直交するX方向の両端縁のそれぞれからZ1側に立設されるとともに、X方向の両側から電磁コイル11を覆う一対の側壁512とを有する。なお、以後、X方向とZ方向との双方に直交する方向をY方向という。
図1、図3に示すごとく、底壁511は、矩形板状に形成されており、Z方向に厚みを有する。Z方向から見たときの底壁511の中央には、底壁511をZ方向に貫通する前述の底壁穴511aが形成されている。図1に示すごとく、固定コア2の小径突出部23は、底壁穴511aからヨーク5のZ1側に突出している。
図1、図3に示すごとく、側壁512は、X方向に厚みを有する矩形板状に形成されている。一対の側壁512は、互いにX方向に対向している。
図3に示すごとく、側壁512のZ1側端部には、Y方向の中央がZ2側に凹んだ第一係合部512aが形成されている。第一係合部512aに第二ヨーク52が係合している。
図1、図3に示すごとく、第二ヨーク52は、電磁コイル11をZ1側から覆うよう形成されている。第二ヨーク52は、Z方向に厚みを有する板状に形成されている。
図3に示すごとく、第二ヨーク52のX方向の両端部には、Y方向の中央がX方向の固定コア2から離れる側に突出した第二係合部521が形成されている。第二係合部521は、第一ヨーク51の第一係合部512aに挿入されるとともに第一係合部512aに接合されている。
図2に示すごとく、Z方向から見たときの第二ヨーク52の中央部には、Z方向に貫通する円形のヨーク開口部522が形成されている。ヨーク開口部522は、固定コア2のZ1側に形成されている。
図1、図3に示すごとく、第二ヨーク52におけるヨーク開口部522の周囲には、その外周側よりもZ2側に後退したヨーク後退部523が環状に形成されている。図11に示すごとく、ヨーク後退部523のZ1側の空間は、固定コア2側に吸引された可動コア3の外周端部33が収まるよう構成されている。以後、可動コア3が固定コア2側に吸引され、可動コア3の外周端部33がヨーク後退部523に当接した状態を、可動コア3が固定コア2に完全に吸引された状態、ということもある。
図1、図3に示すごとく、可動コア3は、円盤状に形成されている。図1に示すごとく、可動コア3は、電磁コイル11が非通電状態にあるとき、ヨーク開口部522の内側空間を介して固定コア2にZ方向に対向するよう配されており、可動コア3の外周端部33とヨーク5のヨーク後退部523との間にはギャップGが形成されている。
図1に示すごとく、可動コア3の外径は、ヨーク開口部522の内径よりも大きい。また、可動コア3の外径は、第二ヨーク52のヨーク後退部523の外径と同等である。
図1に示すごとく、可動コア3は、外周端部33から内周側に、Z2側に突出する可動突出部30を有する。可動突出部30の外径は、ヨーク開口部522の内径よりも小さい。
図1に示すごとく、可動突出部30のZ2側の面である可動底面310は、固定コア2のZ1側の面である固定天面210にZ方向に対向している。可動底面310は、可動底面310の外周端を除く部位が、固定天面210の全面にZ方向に重なる位置に配されている。すなわち、可動底面310の外周端は、固定天面210よりも外周側に形成されており、Z方向において固定天面210に重ならない位置に配されている。
そして、前述のごとく、固定コア2の固定対向面部21と可動コア3の可動対向面部31とは、互いにZ方向に対向するとともに互いにZ方向に重なる位置に配されている。本実施形態において、前述の固定対向面部21は、固定天面210であり、前述の可動対向面部31は、可動底面310の外周端を除く部位である。
図1に示すごとく、可動対向面部31に、周囲よりもZ1側に凹んだ凹部6が形成されている。凹部6は、可動対向面部31における磁性バネ4にZ方向に重ならない非投影領域312に形成されている。凹部6は、磁性バネ4を可動対向面部31に投影した投影領域311のうちの当該凹部6に隣接する部位よりもZ1側に凹むよう形成されている。本実施形態において、凹部6の中には部材が配されておらず、凹部6の中は空隙になっている。
なお、電磁コイル11に電流を流していない状態と、可動コア3が固定コア2に完全に吸引された状態とにおいて、投影領域311や非投影領域312の形成範囲が、若干変更される場合が想定される。この場合において、投影領域311とは、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態において、磁性バネ4を可動対向面部31にZ方向に投影した領域を表すものとする。また、非投影領域312とは、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態の、可動対向面部31における磁性バネ4にZ方向に重ならない領域を表すものとする。
図1に示すごとく、凹部6は、投影領域311に隣接するよう形成されている。固定対向面部21及び可動対向面部31のうち、Z方向における磁性バネ4が縮径する側(すなわちZ1側)に配された可動対向面部31は、磁性バネ4よりも内周側に形成された凹部6である内周側凹部61を備える。径方向において、内周側凹部61は、磁性バネ4の内周端部(すなわちZ1側端部)に内周側から隣接するよう形成されている。図2に示すごとく、内周側凹部61は、電磁コイル11の巻回軸を中心とした円環状に形成されている。なお、便宜上、図2において内周側凹部61にハッチングを施している。
図1、図3に示すごとく、Z方向から見たときの可動コア3の中央には、Z方向に貫通する可動挿入穴32が形成されている。可動挿入穴32に、非磁性体からなるシャフト13が挿入されている。
図1、図3に示すごとく、シャフト13は、Z方向に長尺な円柱状に形成されている。本実施形態において、シャフト13は可動挿入穴32に圧入されている。これにより、シャフト13が可動コア3に対して固定されている。
図1に示すごとく、シャフト13には、外周側に突出するシャフト突出部131が形成されている。シャフト突出部131は、可動突出部30の可動底面310の内周端に当接しており、これにより、Z方向におけるシャフト13と可動コア3との位置決めがなされている。
図1に示すごとく、シャフト13のZ2側の部位は、固定コア2の固定挿入穴22に、挿入されている。シャフト13は、可動コア3に対して固定されている一方、固定コア2の固定挿入穴22に対しては、Z方向に進退可能となっている。可動コア3の可動対向面部31と固定コア2の固定対向面部21との間に、磁性バネ4が配されている。
図1、図4に示すごとく、磁性バネ4は、強磁性体の板バネ部材を、当該板バネ部材の厚さ方向が磁性バネ4の径方向と一致するように螺旋状に巻回してなる。すなわち、磁性バネ4は、いわゆる竹の子ばねである。磁性バネ4は、Z1側に向かうほど縮径する螺旋状に巻回されている。
磁性バネ4の内周端のZ1側の端面は、可動対向面部31における内周側凹部61の外周側に隣接する部位に溶接等により接合されている。また、磁性バネ4の外周端部(すなわちZ2側端部)の外径は、固定コア2の外径と同等である。そして、Z方向から見たとき、磁性バネ4の外周端部の外周面は、固定コア2の外周面と略同位置に形成されている。
磁性バネ4は、電磁コイル11が通電状態にあるときも非通電状態にあるときも、弾性変形していない自由状態よりもZ方向に圧縮された状態で、固定対向面部21と可動対向面部31との間に配されている。これにより、磁性バネ4は、可動コア3をZ1側に向かって付勢している。図1に示すごとく、電磁コイル11が非通電状態にあるとき、可動コア3は、磁性バネ4からの付勢力により、ヨーク開口部522よりもZ1側に配され、第二ヨーク52のヨーク後退部523との間にギャップGが形成される。
次に、図5~図11に示すごとく、電磁コイル11への通電により形成される磁束Φ、及びソレノイド装置1の動作につき説明する。
図5に示すごとく、電磁コイル11に通電すると、固定コア2、ヨーク5、ギャップG、可動コア3、磁性バネ4を含む磁気回路に磁束Φが形成される。これにより、ギャップGを挟む可動コア3とヨーク5との間にZ方向の磁気的な吸引力が発生し、可動コア3が固定コア2側に吸引される。
また、図5に示すごとく、磁性バネ4を通る磁束Φは、磁性バネ4の長手方向に沿って螺旋状に形成される。ここで、磁性バネ4は、その長手方向に直交する断面積が比較的小さく、磁気飽和しやすい。
磁性バネ4が磁気飽和すると、磁性バネ4と固定コア2との間、及び磁性バネ4と可動コア3との間に漏れ磁束Φaが発生する。この漏れ磁束Φaによって、固定コア2と磁性バネ4との間、及び磁性バネ4と可動コア3との間に吸引力が発生する。
ここで、漏れ磁束Φaは、磁性バネ4における固定コア2に近い部位と固定コア2との間、及び磁性バネ4における可動コア3に近い部位と可動コア3との間に多く形成される。そのため、磁性バネ4における固定コア2に近い部位と固定コア2との間、及び磁性バネ4における可動コア3に近い部位と可動コア3との間において、漏れ磁束Φaによる吸引力も大きくなる。
図5の状態から例えば図6の状態になるよう、可動コア3が固定コア2側へ引き寄せられると、磁性バネ4の各部と固定コア2及び可動コア3のそれぞれとの間のZ方向の長さが縮まる。そのため、可動コア3が固定コア2側へ引き寄せられるにつれて、漏れ磁束Φaによる吸引力が次第に大きくなる。漏れ磁束Φaによる吸引力により、磁性バネ4にZ方向に縮もうとする力が生じ、見かけ上の磁性バネ4の反力が弱まる(すなわち見かけ上の磁性バネ4のバネ定数が下がる)。換言すると、固定コア2に対する可動コア3の吸引力が増加する。
さらに、本実施形態においては、可動対向面部31における非投影領域312に凹部6が形成されている。それゆえ、可動対向面部31から流出して磁性バネ4に流入する磁束Φの、Z方向の成分を大きくすることができる。このことに関し、図7を用いて説明する。
ここで、図7に示すごとく、本実施形態と基本構成を同様としつつ、固定コア2及び可動コア3の双方に凹部が形成されていない形態を、比較形態とする。すなわち、比較形態は、可動対向面部31の全体が、Z方向に直交する平面状に形成されている。また、比較形態における本実施形態の凹部6が形成された領域と同じ領域を、想定凹部領域96と定義する。
まず、電磁コイル11への流れる電流の向きが、図6に示す向きである場合について説明する。この場合、漏れ磁束Φaは、可動コア3から磁性バネ4に流入する向きに生じる。
図7に示すごとく、可動対向面部31の全体が平面状に形成された比較形態の場合、磁性バネ4と可動コア3との間のギャップを通る漏れ磁束Φbは、磁気回路全体の磁気抵抗を小さくすべく、磁性バネ4を起点とした略放射状に形成される。それゆえ、図7に示すごとく、磁性バネ4と可動コア3との間の漏れ磁束Φbには、想定凹部領域96から磁性バネ4に向かい、Z方向に対して大きく傾斜したものが形成されやすい。
一方、図8に示すごとく、本実施形態において、漏れ磁束Φaは、内側の磁気抵抗が大きい凹部6を避けるような経路を通る。そのため、漏れ磁束Φaは、可動対向面部31の投影領域311から、磁性バネ4にZ方向に沿って形成されやすくなる。それゆえ、可動コア3と磁性バネ4との間に形成される漏れ磁束ΦaのZ方向の成分が大きくなり、可動コア3と磁性バネ4との間の電磁的な吸引力が大きくなる。
また、図6の構成に対して、電磁コイル11に流れる電流の向きが逆向きである場合について説明する。この場合、磁気回路に形成される磁束Φの向きも反転し、磁性バネ4と可動コア3との間の漏れ磁束は、磁性バネ4から可動コア3に向かって形成される。
この場合においても、磁性バネ4と可動コア3との間のギャップを通る漏れ磁束Φbは、磁気回路全体の磁気抵抗を小さくすべく、磁性バネ4を起点とした略放射状に形成される。それゆえ、図9に示すごとく、磁性バネ4と可動コア3との間の漏れ磁束Φbには、磁性バネ4から可動コア3の想定凹部領域96に向かい、Z方向に対して大きく傾斜した向きのものが形成されやすい。
一方、図10に示すごとく、本実施形態においては、漏れ磁束Φaは、内側の磁気抵抗が大きい凹部6を避けるような経路を通る。そのため、漏れ磁束Φaは、磁性バネ4から、可動対向面部31の投影領域311にZ方向に沿って形成されやすくなる。それゆえ、可動コア3と磁性バネ4との間に形成される漏れ磁束ΦaのZ方向の成分が大きくなり、可動コア3と磁性バネ4との間の電磁的な吸引力が大きくなる。以上、説明した仕組みにより、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を向上させることができる。
そして、図11に示すごとく、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態においては、可動コア3の外周端部33が、ヨーク後退部523に当接する。この状態においては、磁性バネ4のZ1側の面の全体が可動コア3の可動対向面部31と当接又は近接対向するとともに、磁性バネ4のZ2側の面の全体が固定コア2の固定対向面部21と当接又は近接対向する。つまり、磁性バネ4を構成する板バネ部材のZ方向の幅は、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態における可動対向面部31と固定対向面部21とのZ方向の長さと同等である。可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態において、磁束Φは、磁性バネ4をZ方向に沿って流れる。
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
本実施形態のソレノイド装置1において、可動対向面部31は、磁性バネ4をZ方向に投影した投影領域311よりも磁性バネ4から遠ざかる側に凹む凹部6を、磁性バネ4にZ方向に重ならない非投影領域312に有する。それゆえ、前述のように、可動対向面部31の投影領域311と、磁性バネ4との間に形成される漏れ磁束ΦaのZ方向の成分を増加させやすい。これにより、磁性バネ4と可動コア3との間の電磁的な吸引力を向上させ、見かけ上の磁性バネ4の反力を弱めることができ、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を向上させることができる。この電磁的な吸引力を向上させる効果は、特に、磁性バネ4と、凹部6が形成された固定コア2及び可動コア3の少なくとも一方との間のギャップが小さい領域において得ることができる。その結果、電磁コイル11に通電する電流値を減らして省電力化を図ったり、電磁コイル11のターン数を減らして小型化を図ったりすることが可能となる。
また、固定対向面部21及び可動対向面部31のうち、Z方向における磁性バネ4が縮径する側(Z1側)に配された可動対向面部31は、磁性バネ4よりも内周側に形成された凹部6である内周側凹部61を有する。それゆえ、内周側凹部61と磁性バネ4との位置関係の調整が容易であり、内周側凹部61を確実に非投影領域312に形成しやすい。また、磁性バネ4は、内周端部周辺が可動対向面部31に近いため、磁性バネ4の内周端部の内周側に内周側凹部61を形成することにより、磁性バネ4の内周端部周辺と可動コア3との間の磁束ΦのZ方向成分を増やしやすい。前述のごとく、磁性バネ4の内周端部周辺は、可動コア3に近く、磁性バネ4の内周端部周辺と可動コア3との間の領域は、漏れ磁束Φaが多く形成されやすく、漏れ磁束Φaによる吸引力が大きくなる領域である。そのため、かかる領域における漏れ磁束ΦaのZ方向成分を増やすことにより、可動コア3と磁性バネ4との間の吸引力を確保し、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めやすい。これによって、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を、一層向上させることができる。
また、可動対向面部31には、投影領域311に隣接するよう凹部6が形成されている。それゆえ、可動対向面部31と磁性バネ4との間に形成される漏れ磁束Φaが、Z方向に一層まっすぐ形成されやすい。これにより、可動コア3と磁性バネ4との間の吸引力を確保し、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めやすく、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を、一層向上させることができる。
以上のごとく、本実施形態によれば、固定コア側へ可動コアを吸引する際の電磁的な吸引力を向上させることができるソレノイド装置を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図12に示すごとく、実施形態1と基本構造を同様としつつ、内周側凹部61に非磁性体からなる内周側スペーサ7を挿入した実施形態である。
内周側スペーサ7は、内周側凹部61からZ方向における磁性バネ4が配された側(Z2側)へ向かって突出する内周側突出部71を有する。磁性バネ4の内周端部の内周面は、内周側突出部71の外周側に配されている。本実施形態において、磁性バネ4の内周端部の内周面は、内周側突出部71の外周面に当接している。
内周側スペーサ7は、円環状に形成されており、内周側凹部61の全体に挿入されている。内周側スペーサ7は、その周方向に直交する断面形状が、Z方向に長尺な長方形状を呈している。内周側スペーサ7は、そのZ方向のZ2側の部位が、内周側凹部61からZ2側に突出した内周側突出部71となっている。そして、内周側突出部71の外周面に、磁性バネ4の内周端部における内周面のZ1側端部が径方向に当接している。
本実施形態において、磁性バネ4の内周端部は、内周側スペーサ7の内周側突出部71に径方向に弾性接触している。すなわち、磁性バネ4は、自由状態よりも内周端部が若干径方向に拡径された状態で内周側スペーサ7の内周側突出部71に当接しており、磁性バネ4の内周端部における内周側への弾性力が、内周側突出部71に作用している。
その他は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態において、内周側凹部61には、非磁性体からなる内周側スペーサ7が挿入されている。内周側スペーサ7は、内周側凹部61からZ方向における磁性バネ4が配された側へ向かって突出する内周側突出部71を有する。磁性バネ4の内周端部の内周面は、内周側突出部71の外周側に配されている。それゆえ、磁性バネ4の内周端部の位置決めを内周側凹部61に挿入された内周側スペーサ7によって行うことができる。また、内周側凹部61に配された内周側スペーサ7は非磁性体からなるため、内周側凹部61に内周側スペーサ7を配しても内周側凹部61に磁束が流れ難い。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態3)
本実施形態は、図13に示すごとく、基本構造を実施形態2と同様としつつ、固定コア2の形状を変更した実施形態である。
固定コア2は、固定対向面部21の内周部がZ方向の可動コア3側に向かって突出してなる固定突出部24を有する。内周側突出部71の外周端は、固定突出部24の外周端よりも外周側に位置している。そして、実施形態2と同様、磁性バネ4の内周端部の内周面は、内周側スペーサ7の内周側突出部71の外周面に当接しており、磁性バネ4の内周端は、固定突出部24の外周端よりも外周側に位置決めされている。
固定突出部24のZ方向の長さは、可動コア3が固定コア2に完全に吸引された状態における、Z方向における内周側スペーサ7と固定対向面部21における固定突出部24を除く部位との間の長さよりも長く形成されている。これにより、可動コア3が固定コア2に完全に吸引された状態においても、内周側スペーサ7が固定突出部24に衝突しないようにしている。
固定突出部24の内周部にも、シャフト13を挿入する固定挿入穴22が形成されている。そして、固定突出部24は、シャフト13の外周面に沿うよう形成されている。これにより、固定突出部24は、シャフト13の傾きを抑制している。
その他は、実施形態2と同様である。
本実施形態においては、固定コア2は、固定対向面部21の内周部がZ方向の可動コア3側に向かって突出してなる固定突出部24を有する。それゆえ、シャフト13がZ方向に対して傾斜することを防止することができる。さらに、内周側突出部71の外周端は、固定突出部24の外周端よりも外周側に位置している。そして、磁性バネ4の内周端部の内周面は、内周側スペーサ7の内周側突出部71の外周面に当接している。これにより、磁性バネ4の内周端は、固定突出部24の外周端よりも外周側に位置している。それゆえ、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態においても、磁性バネ4が固定突出部24に干渉することを防ぐことができる。
その他、実施形態2と同様の作用効果を有する、
(実施形態4)
本実施形態は、図14に示すごとく、実施形態3に対して、ソレノイド装置1における磁性バネ4の位置決め手段を変更した実施形態である。
可動コア3の可動対向面部31は、磁性バネ4の内周端部の内周面から内周側の全領域に内周側凹部61が形成されている。内周側凹部61の内周端は、可動挿入穴32に連通している。そして、内周側凹部61に、シャフト13のシャフト突出部131が挿入されている。本実施形態においては、シャフト突出部131は内周側凹部61に圧入されている。
本実施形態においても、内周側凹部61の外周端は、固定突出部24の外周端よりも外周側に位置している。そして、シャフト突出部131のZ2側端部は、内周側凹部61からZ2側に突出している。シャフト突出部131における内周側凹部61からZ2側に突出した部位に、磁性バネ4の内周端部の内周面が径方向に弾性接触している。
その他は、実施形態3と同様である。
本実施形態においては、シャフト突出部131における内周側凹部61からZ2側に突出した部位に、磁性バネ4の内周端部の内周面が径方向に当接している。それゆえ、シャフト突出部131によって、磁性バネ4の内周端位置を、固定突出部24の外周端よりも外周端に位置決めすることができる。それゆえ、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態において、磁性バネ4が固定突出部24に干渉することを、簡素な構造で防ぐことができる。
その他、実施形態3と同様の作用効果を有する。
(実施形態5)
本実施形態は、図15~図17に示すごとく、実施形態1に対して、可動対向面部31における凹部6の形成範囲を変更した実施形態である。
図15、図16に示すごとく、可動対向面部31には、投影領域311の全体に隣接するよう凹部6が形成されている。本実施形態においては、可動対向面部31には、可動対向面部31の非投影領域312の全体に、凹部6が形成されている。換言すると、可動対向面部31は、投影領域311が、それ以外の部位(すなわち非投影領域312)よりもZ2側に突出した可動側凸部313を備える。図16に示すごとく、可動側凸部313は、可動対向面部31において略渦巻形状に形成される。なお、便宜上、図16において可動側凸部313にハッチングを施している。
図17に示すごとく、可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態において、磁性バネ4のZ1側の端面の略全体は、可動対向面部31の可動側凸部313のZ2側の面の略全体に当接するよう構成されている。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においては、可動対向面部31には、投影領域311の全体に隣接するよう凹部6が形成されている。それゆえ、磁性バネ4の各部と、可動コア3との間に形成される漏れ磁束のZ方向の成分を増やすことができる。それゆえ、磁性バネ4と可動コア3との間の吸引力を確保しやすく、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めることができる。これによって、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を、一層向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態6)
本実施形態は、図18に示すごとく、固定コア2の固定対向面部21に凹部6を形成した実施形態である。
凹部6は、固定対向面部21における、磁性バネ4にZ方向に重ならない非投影領域212に形成されている。固定対向面部21及び可動対向面部31のうち、Z方向における磁性バネ4が拡径する側(Z2側)に配された固定対向面部21は、磁性バネ4の外周端よりも外周側に形成された凹部6である外周側凹部62を有する。
本実施形態において、外周側凹部62は、磁性バネ4の外周端部(Z2側端部)に外周側から隣接するよう形成されている。外周側凹部62は、固定コア2の最外周部に形成されている。そして、外周側凹部62は、外周側が開放されている。すなわち、外周側凹部62は、外周コアの外周面のZ1側端部が、内周側に凹むよう形成されている。外周側凹部62は、電磁コイル11の巻回軸を中心とした円環状に形成されている。
外周側凹部62には、非磁性体からなる外周側スペーサ8が挿入されている。外周側スペーサ8は、外周側凹部62からZ方向における磁性バネ4が配された側(Z1側)へ向かって突出する外周側突出部81を有する。磁性バネ4の外周端部の外周面は、外周側突出部81の内周側に配されている。本実施形態において、磁性バネ4の外周端部の外周面は、外周側突出部81の内周面に当接している。
外周側スペーサ8は、円環状に形成されており、外周側凹部62の全体に挿入されている。外周側スペーサ8は、その周方向に直交する断面形状が、Z方向に長尺な長方形状を呈している。外周側スペーサ8は、そのZ方向のZ1側の部位が、外周側凹部62からZ1側に突出した外周側突出部81となっている。そして、外周側突出部81の内周面に、磁性バネ4の外周端部における外周面のZ2側端部が径方向に当接している。
本実施形態において、磁性バネ4の外周端部は、外周側スペーサ8の外周側突出部81に径方向に弾性接触している。すなわち、磁性バネ4は、自由状態よりも外周端部が若干径方向に圧縮された状態で外周側スペーサ8の外周側突出部81に当接しており、磁性バネ4の外周端部における外周側への弾性力が、外周側突出部81に作用している。
外周側スペーサ8の外径は、固定コア2における凹部6のZ2側に隣接する部位の外径と同等である。これにより、外周側スペーサ8の外周面と固定コア2の外周面とは略面一に形成されている。そして、外周側スペーサ8の外周面は、電磁コイル11のスプール12の内周面に当接又は近接対向している。
本実施形態において、可動コア3の可動対向面部31は、Z方向に直交する平面状に形成されており、凹凸は形成されていない。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態において、固定対向面部21及び可動対向面部31のうち、Z方向における磁性バネ4が拡径する側(Z2側)に配された固定対向面部21は、磁性バネ4の外周端よりも外周側に形成された凹部6である外周側凹部62を有する。それゆえ、外周側凹部62と磁性バネ4との位置関係の調整が容易であり、外周側凹部62を確実に非投影領域212に形成しやすい。また、磁性バネ4は、外周端部周辺が固定対向面部21に近いため、磁性バネ4の外周端部の外周側に外周側凹部62を形成することにより、磁性バネ4の外周端部周辺と固定コア2との間の漏れ磁束のZ方向成分を増やしやすい。磁性バネ4の外周端部周辺は、固定コア2に近く、磁性バネ4の外周端部周辺と固定コア2との間は、漏れ磁束が多く形成されやすく、漏れ磁束による吸引力が大きくなる領域である。そのため、かかる領域における漏れ磁束のZ方向成分を増やすことにより、固定コア2と磁性バネ4との間の吸引力を確保し、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めやすい。これによって、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を、一層向上させることができる。
また、外周側凹部62には、非磁性体からなる外周側スペーサ8が挿入されている。外周側スペーサ8は、外周側凹部62からZ方向における磁性バネ4が配された側へ向かって突出する外周側突出部81を有する。磁性バネ4の外周端部の外周面は、外周側突出部81の内周側に配されている。それゆえ、磁性バネ4の外周端部の位置決めを外周側凹部62に挿入された外周側スペーサ8によって行うことができる。また、外周側凹部62に配された外周側スペーサ8は非磁性体からなるため、外周側凹部62に外周側スペーサ8を配しても外周側凹部62に磁束が流れ難い。
また、磁性バネ4は、Z方向における可動コア3側へ向かうほど縮径する螺旋状に巻回されている。そして、Z方向における磁性バネ4が拡径する側に配された固定対向面部21に形成された外周側凹部62は、外周側が開放されている。それゆえ、磁性バネ4における最も固定コア2側に近い部位である磁性バネ4の外周端部近傍に外周側凹部62を形成しやすいとともに、外周コアのZ1側面と外周面との間の角部を切削等することにより、容易に外周コアに外周側凹部62を形成することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態7)
本実施形態は、図19に示すごとく、実施形態6に対して、ソレノイド装置1における磁性バネ4の位置決めの手段を変更した実施形態である。
電磁コイル11を巻回するスプール12は、非磁性体からなる。スプール12の一部は、内周側に突出するスプール突出部121aを備える。スプール突出部121aのZ2側の端部は、外周側凹部62内に配されている。そして、スプール突出部121aにおける外周側凹部62からZ1側に突出した部位の内周面は、磁性バネ4の外周端部の外周面と径方向に対向している。本実施形態においては、スプール突出部121aにおける外周側凹部62からZ1側に突出した部位の内周面は、磁性バネ4の外周端部の外周面に当接している。
スプール12は、電磁コイル11に対して内周側から対向するスプール第一部121と、スプール12内周部のZ方向の両端から外周側に形成されるとともに電磁コイル11に対してZ方向の両側から対向する一対のスプール第二部122と、を有する。スプール突出部121aは、スプール第二部122のZ1側端部が内周側に突出するよう形成されている。
スプール突出部121aは環状に形成されており、そのZ2側端部は、外周側凹部62の全体に挿入されている。スプール突出部121aの内周面は、面一の筒状に形成されている。そして、スプール突出部121aのZ1側端部の内周面に、磁性バネ4の外周端部における外周面のZ2側端部が、径方向に弾性接触している。すなわち、磁性バネ4は、自由状態よりも外周端部が若干径方向に圧縮された状態で外周側スペーサ8の外周側突出部81に当接しており、磁性バネ4の外周端部における外周側への弾性力が、外周側突出部81に作用している。
その他は、実施形態6と同様である。
本実施形態においては、電磁コイル11を巻回するスプール12は、非磁性体からなる。そして、スプール12の一部は、内周側に突出するスプール突出部121aを備える。スプール突出部121aのZ2側の端部は、外周側凹部62内に配されている。さらに、スプール突出部121aにおける外周側凹部62からZ1側に突出した部位の内周面は、磁性バネ4の外周端部の外周面と対向している。それゆえ、電磁コイル11を巻回するスプール12によって、磁性バネ4の外周端部の位置決めをすることができる。そのため、部品点数の削減を図りつつ、磁性バネ4の外周端の位置決めを行うことができる。また、外周側凹部62に配されたスプール突出部121aは非磁性体からなるため、外周側凹部62にスプール突出部121aを配しても外周側凹部62に磁束Φが流れ難い。
その他、実施形態6と同様の作用効果を有する。
(実施形態8)
本実施形態は、図20に示すごとく、固定対向面部21における非投影領域212の全体に凹部6を形成した実施形態である。
換言すると、固定対向面部21は、磁性バネ4をZ方向に投影した投影領域211が、それ以外の部位(すなわち非投影領域212)よりもZ1側に突出した固定側凸部213を備える。固定側凸部213は、固定対向面部21において略渦巻形状に形成される。
可動コア3が固定コア2側に完全に吸引された状態において、磁性バネ4のZ2側の端面の略全体は、固定対向面部21の固定側凸部213のZ1側の面の略全体に当接するよう構成されている。
本実施形態において、可動コア3の可動対向面部31は、Z方向に直交する平面状に形成されており、凹凸は形成されていない。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においては、固定対向面部21は、非投影領域212の全体に、凹部6が形成されている。それゆえ、磁性バネ4の各部と、固定コア2との間に形成される磁束ΦのZ方向の成分を増やすことができる。それゆえ、磁性バネ4と固定コア2との間の吸引力を確保しやすく、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めることができる。これによって、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を、一層向上させることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態9)
本実施形態は、図21に示すごとく、実施形態8に対して、固定対向面部21に形成された凹部6を、固定コア2をZ方向に貫通する貫通穴とした実施形態である。
固定コア2は、強磁性体からなる板バネ部材を、当該板バネ部材の厚さ方向が固定コア2の径方向と一致するように渦巻状に巻回してなる。これにより、固定コア2は、磁性バネ4をZ方向のZ2側に投影した投影領域211にのみ形成され、径方向における板バネ部材の各部の間の空間が、凹部6となる。
固定コア2の内周側には、ストッパ14が配されている。そして、固定コア2は、内周端部がストッパ14によって係止されており、外周端部がスプール12の内周面によって係止されている。つまり、固定コア2は、径方向におけるストッパ14とスプール12との間の空間に位置決めされている。ストッパ14は、Z2側端部をヨーク5の底壁穴511aに挿入しており、ヨーク5に固定されている。ストッパ14は、非磁性体である。なお、ストッパ14は、磁性体でもよい。この場合、ストッパ14は固定コア2の一部を構成する。
その他は、実施形態8と同様である。
本実施形態においては、凹部6は、固定コア2をZ方向に貫通する貫通穴によって構成されている。それゆえ、固定コア2の凹部6から磁性バネ4に向かって、固定コア2と磁性バネ4との間に、Z方向に大きく傾斜する漏れ磁束が形成されることを確実に防止しやすい。
その他、実施形態8と同様の作用効果を有する。
(実施形態10)
本実施形態は、図22に示すごとく、固定対向面部21と可動対向面部31との双方に、凹部6を形成した実施形態である。
本実施形態において、可動対向面部31は、実施形態5と同様の構成を有し、固定対向面部21は、実施形態8と同様の構成を備える。つまり、可動対向面部31及び固定対向面部21の双方は、それぞれ、磁性バネ4に重ならない非投影領域212、312の全体に、凹部6が形成されている。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においては、固定対向面部21と可動対向面部31との双方に、凹部6を形成しているため、固定対向面部21の投影領域211及び可動対向面部31の投影領域311と、磁性バネ4との間に形成される漏れ磁束のZ方向の成分を増加させやすい。これにより、磁性バネ4と固定コア2及び可動コア3との間の電磁的な吸引力を向上させ、見かけ上の磁性バネ4の反力を一層弱めることができる。その結果、固定コア2側へ可動コア3を吸引する際の電磁的な吸引力を一層向上させることができる。
その他、実施形態1、実施形態5、実施形態6と同様の作用効果を有する。
(実施形態11)
本実施形態は、図23に示すごとく、実施形態1に対して、磁性バネ4を変更した実施形態である。
磁性バネ4は、Z2側に向かうほど縮径する螺旋状に巻回されている。すなわち、本実施形態において、磁性バネ4は、実施形態1の磁性バネ4をZ方向に反転させたものとすることができる。
本実施形態においては、固定コア2の固定対向面部21が、磁性バネ4よりも内周側に形成された凹部6である内周側凹部61を有する。内周側凹部61は、磁性バネ4の内周端部(すなわちZ2側端部)に内周側から隣接するよう形成されている。
そして、本実施形態においては、可動コア3の可動対向面部31は、Z方向に直交する平面状に形成されている。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態12)
本実施形態は、図24に示すごとく、基本構造を実施形態11と同様としつつ、固定コア2に固定突出部24を形成した実施形態である。
実施形態3と同様、固定突出部24は、固定対向面部21の内周部がZ方向の可動コア3側に向かって突出してなる。固定突出部24は、固定コア2に形成された内周側凹部61に対して内周側から隣接するよう形成されている。
固定対向面部21における投影領域211を基準とした固定突出部24のZ方向の高さは、磁性バネ4を構成する板バネ部材のZ方向の幅よりも若干小さい。そして、固定突出部24は、可動コア3が固定コア2に完全に吸引された状態において、可動コア3との間に若干の間隔が形成される。その他、固定突出部24の構成は、実施形態3の固定突出部24と同様である。
また、その他の構成は、実施形態11と同様である。
本実施形態においては、実施形態3、実施形態11と同様の作用効果を有する。
(実施形態13)
本実施形態は、図25に示すごとく、基本構造を実施形態11と同様としつつ、固定コア2及び可動コア3の双方に凹部6を形成した実施形態である。
可動対向面部31には、磁性バネ4の外周端よりも外周側に形成された凹部6である外周側凹部62が形成されている。外周側凹部62は、磁性バネ4の外周端部(Z1側端部)に外周側から隣接するよう形成されている。外周側凹部62は、電磁コイル11の巻回軸を中心とした円環状に形成されている。
そして、磁性バネ4の内周端のZ2側の面は、可動対向面部31における、内周側凹部61に対して外周側に隣接する部位に接合されている。また、磁性バネ4の外周端のZ1側の面は、固定対向面部21における、外周側凹部62に対して内周側に隣接する部位に接合されている。これにより、磁性バネ4は、径方向における内周側凹部61と外周側凹部62との間の領域に位置決めされている。
その他は、実施形態11と同様である。
本実施形態においては、内周側凹部61によって奏される効果として実施形態1と同様の作用効果を有し、外周側凹部62によって奏される効果として実施形態6と同様の作用効果を有する。
その他、実施形態11と同様の作用効果を有する。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
例えば、前記各実施形態においては、ソレノイド装置を電磁継電器に用いたがこれに限られず、ソレノイド装置を例えば電磁弁等に用いることも可能である。
また、実施形態2、実施形態3の内周側スペーサや、実施形態6の外周側スペーサは、全周に形成された円環状に形成したが、これに限られず、例えば内周側、外周側スペーサのそれぞれは、周方向に所定間隔をあけて断続的に環状に配されていてもよい。また、内周側スペーサ、外周側スペーサは、環状に配置されるものに限られず、磁性バネを位置決めできれば他の構成を採用することも可能である。