以下、本開示の拡散部材、LEDバックライトおよび表示装置について説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部材の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上あるいは下に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面側に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
また、本明細書において、「LED」とは、発光ダイオードを意味するものである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」は、フィルムや板とも呼ばれるような部材も含む意味で用いられる。
A.拡散部材
本開示における拡散部材は、2つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
I.拡散部材の第1実施態様
本開示の拡散部材の第1実施態様は、第1層と、第2層とをこの順で有する部材であって、上記第1層は、光透過性および光拡散性を有し、上記第2層は、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる、部材である。本開示の拡散部材は、その使用に際しては、第1層側の面を光の入射面として用いるものである。
以下、本開示の拡散部材の第1実施態様について図面を参照して説明する。図1は、本開示の拡散部材の第1実施態様の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、拡散部材1は、第1層2と第2層3とをこの順で有する。第1層2は、光透過性および光拡散性を有しており、第1層2の第2層3側の面とは反対の面2Aから入射した光L1、L2を透過および拡散する。また、第2層3は、第2層3の第1層2側の面3Aに対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、第2層3の第1層2側の面3Aに対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる。そのため、第2層3では、第2層3の第1層2側の面3Aに対して低入射角θ1で入射した光L1を反射させ、第2層3の第1層2側の面3Aに対して高入射角θ2で入射した光L2を透過させることができる。なお、低入射角とは、入射角の絶対値が小さいものをいい、高入射角とは、入射角の絶対値が大きいものをいう。
図2は、本開示の第1実施態様の拡散部材を備える直下型方式のLEDバックライトの一例を示す概略断面図であり、図1に示す拡散部材を備える例である。図2に例示するように、LEDバックライト10は、支持基板12の一方の面にLED素子13が配置されたLED基板11と、LED基板11のLED素子13側の面側に配置された拡散部材1とを有する。拡散部材1は、第1層2側の面1AがLED基板11に対向するように配置される。なお、図2において、LED基板11と拡散部材1とは離れて配置されている。
本開示においては、図1に示すように、拡散部材1の第1層2側の面1Aから入射した光を、第1層2で拡散させるとともに、第1層2を透過して拡散した光のうち、第2層3の第1層2側の面3Aに対して低入射角θ1で入射した光L1については、図2に示すように、第2層3の第1層2側の面3Aで反射させ、再び第1層2に入射させて拡散させることができる。そして、第1層2を透過して拡散した光のうち、第2層3の第1層2側の面3Aに対して高入射角θ2で入射した光L2、L2′については、第2層3を透過させ、拡散部材1の第2層3側の面1Bから出射させることができる。また、第1層および第2層を組み合わせることにより、拡散部材の第1層側の面から入射した光、特に拡散部材の第1層側の面から低入射角で入射した光について、何度も第1層を透過させて拡散させることができるので、拡散部材の第2層側の面から高出射角で出射させることができる。
したがって、本開示の拡散部材を直下型方式のLEDバックライトに用いた場合には、LED素子から発せられる光を発光面全体に拡散させることができ、輝度の面内均一性を向上させることができる。
また、本開示においては、上述したように、第1層および第2層を組み合わせることにより、拡散部材の第1層側の面から低入射角で入射した光について、何度も第1層を透過させることができるため、光が拡散部材の第1層側の面から入射してから拡散部材の第2層側の面から出射するまでの光路長を長くすることができる。これにより、LED素子から発せられたのち拡散部材の第2層側の面から出射する光の一部を、LED素子の直上ではなく、LED素子から面内方向に離れた位置から出射させることができるようになる。
したがって、本開示の拡散部材を備える直下型方式のLEDバックライトにおいては、LED素子と拡散部材との距離を短くした場合でも、輝度ムラを抑制することができる。よって、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化を図ることが可能である。また、LED素子の数を減らした場合でも、輝度ムラを抑制することができる。そのため、輝度の均一化、薄型化、低コスト化、および低消費電力化を同時に実現することが可能である。
また、本開示の拡散部材は、従来の透過反射板とは異なり、LED素子との位置合わせを不要とすることができる。そのため、本開示の拡散部材を用いることにより、LEDバックライトを容易に製造することができる。
以下、本開示の拡散部材の第1実施態様について詳細に説明する。
1.第1層
本開示における第1層は、後述の第2層の一方の面側に配置され、光透過性および光拡散性を有する部材である。
第1層が有する光透過性としては、例えば、第1層の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、中でも70%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。第1層の全光線透過率が上記範囲であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度を高くすることができる。
なお、第1層の全光線透過率は、例えば、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定することができる。光源としては、CIE標準光源D65を用いることができる。
第1層の光拡散性としては、例えば、光をランダムに拡散する光拡散性であってもよく、光を主に特定の方向に拡散する光拡散性であってもよい。光を主に特定の方向に拡散する光拡散性は、光を偏向する性質であり、すなわち光の進行方向を変化させる性質である。中でも、第1層の光拡散性は、光を主に特定の方向に拡散する光拡散性であることが好ましい。光を所定の方向に偏向する、すなわち光の進行方向を制御することにより、任意の形状や任意の強度分布に光を整形することができ、輝度の面内均一性をさらに向上させることができる。
第1層の光拡散性としては、光をランダムに拡散する光拡散性である場合、例えば、第1層に入射した光の拡散角が、10°以上とすることができ、15°以上であってもよく、20°以上であってもよい。また、第1層に入射した光の拡散角は、例えば、85°以下とすることができ、60°以下であってもよく、50°以下であってもよい。上記拡散角が上記範囲内であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
ここで、拡散角について説明する。図3は、透過光強度分布を例示するグラフであり、拡散角を説明する図である。本明細書においては、拡散部材を構成する第1層の一方の面に光を垂直に入射させて、第1層の他方の面から出射される光の最大透過光強度Imaxの2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)を拡散角αと定義する。
なお、拡散角は、変角光度計や変角分光測色器を用いて測定することができる。拡散角の測定には、例えば、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200等を用いることができる。
また、第1層の光拡散性としては、光を主に特定の方向に拡散する光拡散性である場合、第1層を透過した光の形状や強度分布等としては特に限定されるものではなく、光源の配光特性や、目的とする光の形状や強度分布等に応じて適宜選択される。第1層の光拡散性としては、例えば、非ガウシアン状の強度分布を有する光を出射する性質を挙げることができ、具体的には、環状の強度分布を有する光を出射する性質や、トップハット状の強度分布を有する光を出射する性質が挙げられる。図4(a)、(b)は環状の強度分布の例であり、図5はトップハット状の強度分布の例である。
中でも、第1層の光拡散性は、環状の強度分布を有する光を出射する性質であることが好ましい。特に、第1層の光拡散性は、環状の強度分布を有する光を出射する性質であって、例えば図4(a)に示すように、光軸中心に出射される透過光の強度がほぼゼロであることが好ましい。拡散部材の第1層側の面から入射した光を、第1層で環状に広げるとともに、第2層の第1層側の面に対して低入射角で入射した光については、第2層の第1層側の面で反射させ、再び第1層に入射させて環状に広げることができる。これを繰り返すことにより、拡散部材の第1層側の面から入射した光を横方向に広げることができる。
したがって、本開示の拡散部材を直下型方式のLEDバックライトに用いた場合には、LED素子から発せられる光を発光面全体に拡散させることができ、輝度の面内均一性をより向上させることができるとともに、LED素子との位置合わせを不要とすることができる。
ここで、上記強度分布は、変角光度計や変角分光測色器を用いて測定することができる。
第1層としては、上述の光透過性および光拡散性を有するものであれば特に限定されるものではなく、上述の光透過性および光拡散性を有する種々の構成を採用することができる。第1層としては、例えば、透過型回折格子、マイクロレンズアレイ、拡散剤および樹脂を含有する拡散剤含有樹脂膜等が挙げられる。具体的には、第1層が、光を主に特定の方向に拡散する光拡散性を有する場合、透過型回折格子、マイクロレンズアレイを挙げることができる。一方、第1層が、光をランダムに拡散する光拡散性を有する場合、拡散剤含有樹脂膜を挙げることができる。中でも、光拡散性の観点から、透過型回折格子、マイクロレンズアレイが好ましい。なお、透過型回折格子は、透過型の回折光学素子(DOE;Diffractive Optical Elements)とも称される。
第1層が透過型回折格子である場合、透過型回折格子としては、上述の光透過性および光拡散性を有するものであれば特に限定されない。
透過型回折格子としては、例えば、位相型回折格子および振幅型回折格子のいずれであってもよい。また、位相型回折格子は、例えば、レリーフ型回折格子および体積型回折格子のいずれであってもよい。中でも、透過型回折格子は、レリーフ型回折格子であることが好ましい。さらに、透過型回折格子がレリーフ型回折格子である場合、中でも、溝の断面形状が階段形状を有するマルチレベル回折格子であることが好ましい。一般にマルチレベル回折格子は回折格子のピッチが小さいことから、拡散部材とLED素子との位置合わせを不要とすることができる本開示は特に有効である。マルチレベル回折格子において、レベル数は、例えば2段、4段、8段、16段等とすることができる。図6はレベル数が4段であるマルチレベル回折格子2aの例である。
また、透過型回折格子としては、例えば、光を透過回折し、非ガウシアン状の強度分布を有する光を出射する透過型回折格子を挙げることができ、具体的には、光を透過回折し、環状の強度分布を有する光を出射する透過型回折格子や、光を透過回折し、トップハット状の強度分布を有する光を出射する透過型回折格子を挙げることができる。中でも、透過型回折格子は、光を透過回折し、環状の強度分布を有する光を出射する透過型回折格子である、すなわち、光を透過回折し、光軸中心に出射される透過回折光の強度と比較して、周辺部に出射される透過回折光の強度の方が強い環状の強度分布で透過回折光を出射する透過型回折格子であることが好ましい。特に、環状の強度分布で透過回折光を出射し、例えば図4(a)に示すように、光軸中心に出射される透過回折光の強度がほぼゼロである透過型回折格子であることが好ましい。このような透過型回折格子の場合、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、光軸中心に出射される光の強度を小さくするとともに、周辺部に出射される光の強度を大きくすることができ、輝度の面内均一性をより向上させることができる。
光を透過回折し、環状の強度分布を有する光を出射する透過型回折格子の場合、環状の強度分布において、透過回折光の強度が最大となる方向と、透過型回折格子の法線方向とのなす角度は、例えば、30°以上、75°以下とすることができる。上記角度が小さすぎると、光を横方向に広げる効果が十分に得られず、輝度の均一化が困難になるおそれがある。また、上記角度が大きすぎると、全反射が起こり、輝度の均一化が困難になるおそれがある。また、上記角度は、例えば、30°以上、45°以下であってもよい。上記角度が上記範囲内である場合には、透過型回折格子の作製が容易である。
ここで、上記強度分布および上記角度は、変角光度計や変角分光測色器を用いて測定することができる。上記角度の測定には、例えば、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200、変角分光測色器GCMS-11等を用いることができる。
透過型回折格子のピッチ等としては、上述の光透過性および光拡散性が得られればよく、適宜調整される。具体的には、LED素子の出力する波長が、赤色、緑色、青色等の単色である場合は、各波長に応じたピッチとすることで、効果的にLED素子からの光を曲げることが可能である。
具体的には、透過型回折格子のピッチは、50μm以上、200μm以下とすることができる。上述したように、本開示の拡散部材はLED素子との位置合わせを不要とすることができるため、透過型回折格子のピッチが上記範囲のように小さい場合には特に有効である。
また、透過型回折格子がレリーフ型回折格子である場合、透過型回折格子の溝の深さは、例えば、1μm以上、5μm以下とすることができる。
なお、透過型回折格子のピッチとは、例えばマルチレベル回折格子の場合、図6に示すような、隣り合う溝の距離Pをいう。また、透過型回折格子の溝の深さとは、例えばマルチレベル回折格子の場合、図6に示すような、溝の最大深さd1をいう。
ここで、透過型回折格子のピッチおよび溝の深さは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察される透過型回折格子の平面視顕微鏡写真又は透過型回折格子の厚さ方向の断面顕微鏡写真から求めることができる。
透過型回折格子を構成する材料としては、上述の光透過性および光拡散性を有する透過型回折格子が得られる材料であればよく、一般的に透過型回折格子に用いられるものを採用することができる。例えば、石英ガラス等のガラスや、樹脂等が挙げられる。
また、透過型回折格子の形成方法としては、一般的な透過型回折格子の形成方法と同様とすることができる。透過型回折格子がマルチレベル回折格子である場合、透過型回折格子の形成方法としては、例えば、電子線やレーザの直接描画方式を用いたリソグラフィまたはフォトマスクを用いたリソグラフィにより石英基板等のガラス基板を加工する方法を挙げることができ、リソグラフィ工程およびエッチング工程を繰り返し行うことによって、ガラス基板に階段形状を有する溝を形成することができる。また、他の透過型回折格子の形成方法としては、金型による樹脂賦形を挙げることができる。この場合、例えば、基材層の一方の面に樹脂層を形成し、樹脂層を金型により賦形することにより、樹脂層に階段形状を有する溝を形成してもよく、第2層の一方の面に樹脂層を形成し、樹脂層を金型により賦形することにより、樹脂層に階段形状を有する溝を形成してもよい。金型の製造方法としては、まず、上記の電子線やレーザの直接描画方式を用いたリソグラフィまたはフォトマスクを用いたリソグラフィにより石英基板等のガラス基板を加工する方法により成形型を作製し、次に、この成形型を用いて反転型を作製する方法を挙げることができ、この反転型を金型として用いることができる。また、透過型回折格子の設計方法としては、例えば、反復フーリエ変換法(Iterative Fourier Transform Algorithm;IFTA)を用いることができる。
第1層がマイクロレンズアレイである場合、マイクロレンズアレイとしては、上述の光透過性および光拡散性を有するものであれば特に限定されない。
また、マイクロレンズアレイとしては、例えば、光を透過屈折し、非ガウシアン状の強度分布を有する光を出射するマイクロレンズアレイを挙げることができ、具体的には、光を透過屈折し、環状の強度分布を有する光を出射するマイクロレンズアレイや、光を透過屈折し、トップハット状の強度分布を有する光を出射するマイクロレンズアレイを挙げることができる。中でも、マイクロレンズは、光を透過屈折し、環状の強度分布を有する光を出射するマイクロレンズアレイである、すなわち、光を透過屈折し、光軸中心に出射される透過屈折光の強度と比較して、周辺部に出射される透過屈折光の強度の方が強い環状の強度分布で透過屈折光を出射するマイクロレンズアレイであることが好ましい。このようなマイクロレンズアレイの場合、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、光軸中心に出射される光の強度を小さくするとともに、周辺部に出射される光の強度を大きくすることができ、輝度の面内均一性をより向上させることができる。
マイクロレンズの形状、ピッチ、大きさ等としては、上述の光透過性および光拡散性が得られればよく、適宜調整される。
具体的には、マイクロレンズアレイのマイクロレンズのピッチは、1mm以下とすることができ、0.6mm以下であってもよい。上述したように、本開示の拡散部材はLED素子との位置合わせを不要とすることができるため、マイクロレンズのピッチが上記範囲のように小さい場合には特に有効である。また、マイクロレンズのピッチは、例えば、0.001mm以上とすることができる。
ここで、マイクロレンズのピッチは、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)により観察されるマイクロレンズアレイの平面視顕微鏡写真又はマイクロレンズアレイの厚さ方向の断面顕微鏡写真から求めることができる。
マイクロレンズを構成する材料としては、上述の光透過性および光拡散性を有するマイクロレンズが得られる材料であればよく、一般的にマイクロレンズに用いられるものを採用することができる。また、マイクロレンズの形成方法としては、一般的なマイクロレンズの形成方法と同様とすることができる。
第1層が拡散剤含有樹脂膜である場合、拡散剤含有樹脂膜としては、上述の光透過性および光拡散性を有するものであれば特に限定されない。
拡散剤含有樹脂膜に含まれる拡散剤としては、LED素子からの光を拡散させることができれば特に限定されるものではなく、一般的にLEDバックライトに使用される拡散板に用いられる拡散剤を採用することができる。拡散剤含有樹脂膜中の拡散剤の含有量としては、LED素子からの光を拡散させることができれば特に限定されず、一般的にLEDバックライトに使用される拡散板における拡散剤の含有量と同様とすることができる。
また、拡散剤含有樹脂膜に含まれる樹脂としては、拡散剤を分散させることができれば特に限定されるものではなく、一般的にLEDバックライトに使用される拡散板に用いられる樹脂を採用することができる。
第1層は、光拡散性を発現することが可能な構造を有するものであればよく、例えば、層全体で光拡散性を発現するものであってもよく、面で光拡散性を発現するものであってもよい。面で光拡散性を発現するものとしては、例えば、レリーフ型回折格子やマイクロレンズアレイが挙げられる。一方、層全体で光拡散性を発現するものとしては、例えば、体積型回折格子や拡散剤含有樹脂膜が挙げられる。
第1層および第2層の配置としては、例えば、第2層の一方の面に第1層が直接配置されていてもよく、第2層の一方の面に接着層または粘着層を介して第1層が配置されていてもよく、図7(a)に示すように第2層3の一方の面に空隙部を介して第1層2が配置されていてもよい。例えば、第1層が、面で光拡散性を発現するものである場合であって、第1層が、第2層と対向する面に光拡散性を発現することが可能な構造を有する場合には、第1層および第2層は空隙部を介して配置されることが好ましい。また、第2層の一方の面に第1層が直接配置されている場合には、例えば図7(b)に示すように、第2層3の一方の面にパターン状の第1層2が配置されていてもよい。例えば、第1層が、面で光拡散性を発現するものである場合には、第1層がパターン状に配置されている場合であっても、光拡散性を発現することができる。
第1層および第2層が空隙部を介して配置されている場合、第1層および第2層は接していてもよく、接していなくてもよい。第1層および第2層が接していない場合には、例えば第1層および第2層の間にはスペーサを配置することができる。また、空隙部は空気層とすることができる。
第1層および第2層を積層する方法としては、例えば、第1層および第2層を接着層または粘着層を介して貼り合せる方法や、第2層の一方の面に第1層を直接形成する方法等が挙げられる。第2層の一方の面に第1層を直接形成する方法としては、例えば、印刷法、金型による樹脂賦形等が挙げられる。印刷法や金型による樹脂賦形の場合、第2層の一方の面にパターン状の第1層を直接形成することができる。
2.第2層
本開示における第2層は、上記第1層の一方の面側に配置され、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなるような反射率の入射角依存性と、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなるような透過率の入射角依存性とを有する部材である。
第2層は、第2層の第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなるような反射率の入射角依存性を有する。すなわち、第2層の第1層側の面に対して低入射角で入射する光の反射率は、第2層の第1層側の面に対して高入射角で入射する光の反射率よりも大きくなる。中でも、第2層の第1層側の面に対して低入射角で入射する光の反射率は、大きいことが好ましい。
具体的には、第2層の第1層側の面に対して入射角±60°以内で入射する可視光の正反射率が、50%以上100%未満であることが好ましく、中でも80%以上100%未満であることが好ましく、特に90%以上100%未満であることが好ましい。なお、入射角±60°以内のすべての入射角において、可視光の正反射率が上記範囲を満たすことが好ましい。上記正反射率が上記範囲であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
また、第2層の第1層側の面に対して入射角±60°以内で入射する可視光の正反射率の平均値は、例えば、80%以上99%以下であることが好ましく、中でも90%以上97%以下であることが好ましい。なお、上記正反射率の平均値とは、各入射角での可視光の正反射率の平均値をいう。上記正反射率の平均値が上記範囲であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
また、第2層の第1層側の面に対して入射角0°で入射する(垂直に入射する)可視光の正反射率は、例えば、80%以上100%未満であることが好ましく、中でも90%以上100%未満であることが好ましく、特に95%以上100%未満であることが好ましい。上記正反射率が上記範囲であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
なお、「可視光」とは、本明細書では、波長380nm以上波長780nm以下の光を意味する。また、正反射率は、変角光度計や変角分光測色器を用いて測定することができる。正反射率の測定には、例えば、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200、変角分光測色器GCMS-11等を用いることができる。
また、第2層の第1層側の面に対して入射角±60°以内で入射する光の全光線透過率は、例えば、10%以下であることが好ましく、中でも5%以下であることが好ましく、特に3%以下であることが好ましい。なお、入射角±60°以内のすべての入射角において、全光線透過率が上記範囲を満たすことが好ましい。上記全光線透過率が上記範囲であれば、上記正反射率を所定の範囲内とすることができ、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
第2層は、第2層の第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなるような透過率の入射角依存性を有する。すなわち、第2層の第1層側の面に対して高入射角で入射する光の透過率は、第2層の第1層側の面に対して低入射角で入射する光の透過率よりも大きくなる。中でも、第2層の第1層側の面に対して高入射角で入射する光の透過率は、大きいことが好ましい。具体的には、第2層の第1層側の面に対して入射角70°以上90°未満で入射する光の全光線透過率が、30%以上であることが好ましく、中でも40%以上であることが好ましく、特に50%以上であることが好ましい。なお、入射角70°以上90°未満のすべての入射角において、全光線透過率が上記範囲を満たすことが好ましい。また、入射角の絶対値が70°以上90°未満の場合に、全光線透過率が上記範囲を満たすことが好ましい。上記全光線透過率が上記範囲であることにより、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
なお、第2層の全光線透過率は、例えば、変角光度計や変角分光測色器を用いて、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定することができる。全光線透過率の測定には、例えば、日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計 V-7200等を用いることができる。光源としては、CIE標準光源D65を用いることができる。
また、第2層の第1層側の面に対して入射角70°以上90°未満で入射する可視光の正反射率は、例えば、70%以下であることが好ましく、中でも60%以下であることが好ましく、特に50%以下であることが好ましい。なお、入射角70°以上90°未満のすべての入射角において、可視光の正反射率が上記範囲を満たすことが好ましい。また、入射角の絶対値が70°以上90°未満の場合に、可視光の正反射率が上記範囲を満たすことが好ましい。上記正反射率が上記範囲であれば、上記全光線透過率を所定の範囲内とすることができ、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
また、第2層の第1層側の面に対して入射角70°以上90°未満で入射する可視光の正反射率の平均値は、例えば、70%以下であることが好ましく、中でも50%以下であることが好ましく、特に30%以下であることが好ましい。なお、上記正反射率の平均値とは、各入射角での可視光の正反射率の平均値をいう。上記正反射率の平均値が上記範囲であれば、上記全光線透過率を所定の範囲内とすることができ、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、輝度の面内均一性を向上させることができる。
第2層としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有するものであれば特に限定されるものではなく、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有する種々の構成を採用することができる。第2層としては、例えば、誘電体多層膜や、上記第1層側から順にパターン状の第1反射膜とパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されている反射構造体や、反射型回折格子等が挙げられる。
以下、第2層が、誘電体多層膜、反射構造体、または反射型回折格子である場合について説明する。
(1)誘電体多層膜
第2層が誘電体多層膜である場合、誘電体多層膜としては、例えば、屈折率の異なる無機層が交互に積層された無機化合物の多層膜や、屈折率の異なる樹脂層が交互に積層された樹脂の多層膜が挙げられる。
(無機化合物の多層膜)
誘電体多層膜が、屈折率の異なる無機層が交互に積層された無機化合物の多層膜である場合、無機化合物の多層膜としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有するものであれば特に限定されない。
屈折率が異なる無機層のうち、屈折率が高い高屈折率無機層に含まれる無機化合物としては、例えば、屈折率は1.7以上とすることができ、1.7以上2.5以下であってもよい。このような無機化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分とし、酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム等を少量含有させたもの等が挙げられる。
また、屈折率が異なる無機層のうち、屈折率が低い低屈折率無機層に含まれる無機化合物としては、例えば、屈折率は1.6以下とすることができ、1.2以上1.6以下であってもよい。このような無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。
高屈折率無機層および低屈折率無機層の積層数は、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、適宜調整される。具体的には、高屈折率無機層および低屈折率無機層の総積層数は、4層以上とすることができる。また、上記総積層数の上限としては特に限定されないが、積層数が多くなると工程が増えることから、例えば24層以下とすることができる。
無機化合物の多層膜の厚みは、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、例えば、0.5μm以上10μm以下とすることができる。
無機化合物の多層膜の形成方法としては、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、または湿式塗工法等により、高屈折率無機層と低屈折率無機層とを交互に積層する方法が挙げられる。
(樹脂の多層膜)
誘電体多層膜が、屈折率の異なる樹脂層が交互に積層された樹脂の多層膜である場合、樹脂の多層膜としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有するものであれば特に限定されない。
樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。中でも、成形性が良好であることから、熱可塑性樹脂が好ましい。
樹脂層には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤等が添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂等のフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂等を用いることができる。中でも、強度、耐熱性、透明性の観点から、ポリエステルであることがより好ましい。
本明細書において、ポリエステルとは、ジカルボン酸成分骨格とジオール成分骨格との重縮合体であるホモポリエステルや共重合ポリエステルのことをいう。ここで、ホモポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレート等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途に用いることができ好ましい。
また、本明細書において、共重合ポリエステルとは、次に挙げるジカルボン酸骨格を有する成分とジオール骨格を有する成分とより選ばれる少なくとも3つ以上の成分からなる重縮合体のことと定義される。ジカルボン酸骨格を有する成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、4,4-ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体等が挙げられる。グリコール骨格を有する成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール等が挙げられる。
屈折率が異なる樹脂層のうち、屈折率が高い高屈折率樹脂層と屈折率が低い低屈折率樹脂層との面内平均屈折率の差は、0.03以上であることが好ましく、より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上である。上記面内平均屈折率の差が小さすぎると、十分な反射率が得られない場合がある。
また、高屈折率樹脂層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率との差が、0.03以上であることが好ましく、低屈折率樹脂層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率との差が、0.03以下であることが好ましい。この場合、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率の低下が起こりにくい。
高屈折率樹脂層に用いられる高屈折率樹脂と低屈折率樹脂層に用いられる低屈折率樹脂との好ましい組み合わせとしては、第一に、高屈折率樹脂および低屈折率樹脂のSP値の差の絶対値が、1.0以下であることが好ましい。SP値の差の絶対値が上記範囲であると、層間剥離が生じにくくなる。この場合、高屈折率樹脂および低屈折率樹脂が同一の基本骨格を含むことがより好ましい。ここで、基本骨格とは、樹脂を構成する繰り返し単位のことである。例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また例えば、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。高屈折率樹脂および低屈折率樹脂が同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなる。
高屈折率樹脂層に用いられる高屈折率樹脂と低屈折率樹脂層に用いられる低屈折率樹脂との好ましい組み合わせとしては、第二に、高屈折率樹脂および低屈折率樹脂のガラス転移温度の差が、20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差が大きすぎると、高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となる場合がある。また、上記積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生する場合がある。
また、高屈折率樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、低屈折率樹脂がスピログリコールを含むポリエステルであることが好ましい。ここで、スピログリコールを含むポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことをいう。スピログリコールを含むポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度の差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、高屈折率樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、低屈折率樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含むポリエステルであることが好ましい。低屈折率樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含むポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率の差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度の差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、高屈折率樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、低屈折率樹脂がシクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルであることも好ましい。ここで、シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことをいう。シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度の差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。この場合、低屈折率樹脂は、シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体であることがより好ましい。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が上記範囲内であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくい。
上記の樹脂の多層膜においては、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層とが厚み方向に交互に積層された構造を有している部分が存在していればよい。すなわち、高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の厚み方向における配置の序列がランダムな状態ではないことが好ましく、高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層以外の樹脂層の配置の序列については特に限定されるものではない。また、上記の樹脂の多層膜が、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層と他の樹脂層とを有する場合、それらの配置の順列としては、高屈折率樹脂層をA、低屈折率樹脂層をB、他の樹脂層をCとしたとき、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)n等の規則的順列で各層が積層されることがより好ましい。ここで、nは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
また、高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の積層数は、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、適宜調整される。具体的には、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層とは交互にそれぞれ30層以上積層することができ、それぞれ200層以上積層してもよい。また、高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の総積層数は、例えば600層以上とすることができる。積層数が少なすぎると、十分な反射率が得られなくなる場合がある。また、積層数が上記範囲であることにより、所望の反射率を容易に得ることができる。また、上記総積層数の上限としては特に限定されないが、装置の大型化や層数が多くなりすぎることによる積層精度の低下を考慮すると、例えば1500層以下とすることができる。
さらに、上記の樹脂の多層膜は、少なくとも片面に厚み3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含有する表面層を有することが好ましく、中でも両面に上記表面層を有することが好ましい。また、表面層の厚みは5μm以上であることがより好ましい。上記表面層を有することにより、上記の樹脂の多層膜の表面を保護することができる。
上記の樹脂の多層膜の製造方法としては、例えば、共押出法等が挙げられる。具体的には、特開2008-200861号公報に記載の積層フィルムの製造方法を参照することができる。
また、上記の樹脂の多層膜としては、市販の積層フィルムを用いることができ、具体的には、東レ株式会社製のピカサス(登録商標)、3M社製のESR等が挙げられる。
(2)反射構造体
反射構造体は、上記第1層側から順にパターン状の第1反射膜とパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されているものである。
反射構造体は、2つの態様を有する。反射構造体の第1態様は、透明基材と、透明基材の一方の面に配置されたパターン状の第1反射膜と、透明基材の他方の面に配置されたパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されているものである。また、反射構造体の第2態様は、透明基材と、透明基材の一方の面に配置され、光透過性を有するパターン状の凸部と、凸部の透明基材側の面とは反対の面側に配置されたパターン状の第1反射膜と、透明基材の一方の面の凸部の開口部に配置されたパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されているものである。以下、各態様に分けて説明する。
(反射構造体の第1態様)
本開示における反射構造体の第1態様は、透明基材と、透明基材の一方の面に配置されたパターン状の第1反射膜と、透明基材の他方の面に配置されたパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されているものである。本態様の反射構造体の場合、本開示の拡散部材において、反射構造体の第1反射膜側の面側に第1層が配置される。
図8(a)、(b)は、本態様の反射構造体の一例を示す概略平面図および断面図であり、図8(a)は反射構造体の第1反射膜側の面から見た平面図であり、図8(b)は図8(a)のA-A線断面図である。図8(a)、(b)に示すように、反射構造体20は、透明基材21と、透明基材21の一方の面に配置されたパターン状の第1反射膜22と、透明基材21の他方の面に配置された第2反射膜24とを有している。第1反射膜22の開口部23および第2反射膜24の開口部25は、平面視上重ならないように位置している。また、第1反射膜22および第2反射膜24は、透明基材21の両面にそれぞれ配置されており、厚み方向に離れて配置されている。なお、図8(a)において、第2反射膜の開口部は破線で示している。また、図8(c)は、本態様の反射構造体を有する拡散部材を備えるLEDバックライトの一例を示す概略断面図である。
このような反射構造体においては、パターン状の第1反射膜および第2反射膜が積層されており、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置していることから、本態様の反射構造体を有する拡散部材をLEDバックライトに用いた場合、例えば図8(c)に示すように、LED素子13の直上には第1反射膜22および第2反射膜24の少なくともいずれか一方が必ず存在することになる。そのため、例えば図8(b)に示すように、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して低入射角で入射した光L11を、第1反射膜22および第2反射膜24で反射させることができる。また、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されていることから、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して高入射角で入射した光L12、L13を、第1反射膜22の開口部23および第2反射膜24の開口部25から出射させることができる。これにより、LED素子から発せられたのち拡散部材の第2層側の面から出射する光の一部を、LED素子の直上ではなく、LED素子から面内方向に離れた位置から出射させることができるようになる。よって、輝度の面内均一性を向上させることができる。
以下、本態様の反射構造体について説明する。
第1反射膜および第2反射膜としては、一般的な反射膜を用いることができ、例えば、金属膜、誘電体多層膜等を用いることができる。金属膜の材料としては、一般的な反射膜に使用される金属材料を採用することができ、例えば、アルミニウム、金、銀、およびそれらの合金等が挙げられる。また、誘電体多層膜としては、一般的な反射膜に使用されるものを採用することができ、例えば、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素とが交互に積層された多層膜等の無機化合物の多層膜が挙げられる。第1反射膜および第2反射膜に含まれる材料は、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
第1反射膜および第2反射膜の開口部のピッチとしては、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、本開示の拡散部材が用いられるLEDバックライトにおけるLED素子の配光特性、サイズ、ピッチおよび形状や、LED基板と拡散部材との距離等に応じて適宜設定される。第1反射膜および第2反射膜の開口部のピッチは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
第1反射膜の開口部のピッチは、例えば、LED素子のサイズよりも大きくてもよい。
具体的には、第1反射膜の開口部のピッチは、0.1mm以上20mm以下とすることができる。
また、第2反射膜の開口部のピッチは、輝度ムラを抑制することができれば特に限定されないが、中でも、上記第1反射膜の開口部のピッチ以下であることが好ましく、上記第1反射膜の開口部のピッチより小さいことが好ましい。具体的には、第2反射膜の開口部のピッチは、0.1mm以上2mm以下とすることができる。上記のように第2反射膜の開口部のピッチを微細にすることにより、第2反射膜の部分と第2反射膜の開口部の部分とのパターンを視認しにくくすることができ、ムラのない面発光が可能となる。
なお、第1反射膜の開口部のピッチとは、例えば図8(a)に示すような、隣り合う第1反射膜22の開口部23の中心間の距離P1をいう。また、第2反射膜の開口部のピッチとは、例えば図8(a)に示すような、隣り合う第2反射膜24の開口部25の中心間の距離P2をいう。
第1反射膜および第2反射膜の開口部の大きさとしては、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、本開示の拡散部材が用いられるLEDバックライトにおけるLED素子の配光特性、サイズ、ピッチおよび形状や、LED基板と拡散部材との距離等に応じて適宜設定される。第1反射膜および第2反射膜の開口部の大きさは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
第1反射膜の開口部の大きさとしては、具体的には、第1反射膜の開口部の形状が矩形状である場合、第1反射膜の開口部の長さは、0.1mm以上5mm以下とすることができる。
また、第2反射膜の開口部の大きさは、輝度ムラを抑制することができれば特に限定されないが、中でも、上記第1反射膜の開口部の大きさ以下であることが好ましく、上記第1反射膜の開口部の大きさより小さいことが好ましい。具体的には、第2反射膜の開口部の形状が矩形状である場合、第2反射膜の開口部の長さは、0.05mm以上2mm以下とすることができる。上記のように第2反射膜の開口部の大きさを微細にすることにより、第2反射膜の部分と第2反射膜の開口部の部分とのパターンを視認しにくくすることができ、ムラのない面発光が可能となる。
なお、第1反射膜の開口部の大きさとは、例えば第1反射膜の開口部の形状が矩形状である場合、図8(a)に示すような、第1反射膜22の開口部23の長さx1をいう。また、第2反射膜の開口部の大きさとは、例えば図8(a)に示すような、第2反射膜24の開口部25の長さx2をいう。
第1反射膜および第2反射膜の開口部の形状としては、例えば、矩形状、円形状等、任意の形状とすることができる。
第1反射膜および第2反射膜の厚みとしては、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、適宜調整される。具体的には、第1反射膜および第2反射膜の厚みは、0.05μm以上100μm以下とすることができる。
第1反射膜および第2反射膜は、透明基材の面に形成されたものであってもよく、シート状の反射膜であってもよい。第1反射膜および第2反射膜の形成方法としては、透明基材の面にパターン状に反射膜を形成できる方法であれば特に限定されず、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第1反射膜および第2反射膜がシート状の反射膜である場合、開口部の形成方法としては、例えば、打ち抜き加工等により複数の貫通孔を形成する方法等が挙げられる。この場合、透明基材およびシート状の反射膜の積層方法としては、例えば、透明基材に接着層や粘着層を介してシート状の反射膜を貼り合せる方法を用いることができる。
本態様の反射構造体における透明基材は、上記の第1反射膜および第2反射膜等を支持する部材であり、また、第1反射膜および第2反射膜を厚み方向に離れて配置させるための部材である。
透明基材は光透過性を有する。透明基材の光透過性としては、透明基材の全光線透過率が、例えば80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。
なお、透明基材の全光線透過率は、例えば、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定することができる。光源としては、CIE標準光源D65を用いることができる。
透明基材を構成する材料としては、上述した全光線透過率を有する材料であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、シクロオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルスチレン等の樹脂や、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英等のガラスが挙げられる。
透明基材の厚みとしては、例えば図8(b)に示すように、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して高入射角で入射した光L12を、第1反射膜22の開口部23および第2反射膜24の開口部25から出射させることができるような厚みであることが好ましく、第1反射膜および第2反射膜の開口部のピッチおよび大きさや、第1反射膜および第2反射膜の厚み等に応じて適宜設定される。具体的には、透明基材の厚みは、0.05mm以上2mm以下とすることができ、中でも0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
(反射構造体の第2態様)
本開示における反射構造体の第2態様は、透明基材と、透明基材の一方の面に配置され、光透過性を有するパターン状の凸部と、凸部の透明基材側の面とは反対の面側に配置されたパターン状の第1反射膜と、透明基材の一方の面の凸部の開口部に配置されたパターン状の第2反射膜とを有し、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されているものである。本態様の反射構造体の場合、本開示の拡散部材において、反射構造体の第1反射膜側の面側に第1層が配置される。
図9(a)、(b)は、本開示における反射構造体の第2態様の一例を示す概略平面図および断面図であり、図9(a)は反射構造体の第1反射膜側の面から見た平面図であり、図9(b)は図9(a)のA-A線断面図である。図9(a)、(b)に示すように、反射構造体20は、透明基材21と、透明基材21の一方の面に配置され、光透過性を有するパターン状の凸部26と、凸部26の透明基材21側の面とは反対の面に配置されたパターン状の第1反射膜22と、透明基材21の一方の面の凸部26の開口部に配置されたパターン状の第2反射膜24とを有している。第1反射膜22の開口部23および第2反射膜24の開口部25は、平面視上重ならないように位置している。また、第1反射膜22および第2反射膜24は、凸部26によって隔てられており、厚み方向に離れて配置されている。
このような反射構造体においては、パターン状の第1反射膜および第2反射膜が積層されており、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置していることから、本態様の反射構造体を有する拡散部材をLEDバックライトに用いた場合、LED素子の直上には第1反射膜および第2反射膜の少なくともいずれか一方が必ず存在することになる。そのため、上記第1態様と同様に、例えば図9(b)に示すように、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して低入射角で入射した光L11を、第1反射膜22および第2反射膜24で反射させることができる。また、第1反射膜の開口部および第2反射膜の開口部が平面視上重ならないように位置し、第1反射膜および第2反射膜が厚み方向に離れて配置されていることから、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して高入射角で入射した光L12を、凸部26の側面および第2反射膜24の開口部25から出射させることができる。これにより、LED素子から発せられたのち拡散部材の第2層側の面から出射する光の一部を、LED素子の直上ではなく、LED素子から面内方向に離れた位置から出射させることができるようになる。よって、輝度の面内均一性を向上させることができる。
また、本態様においては、凸部を有することから、第1反射膜および第2反射膜の開口部のセルフアライメントが可能であり、製造コストを削減することができる。
なお、第1反射膜および第2反射膜の材料、第1反射膜および第2反射膜の開口部のピッチ、第1反射膜および第2反射膜の開口部の大きさ、第1反射膜および第2反射膜の開口部の形状、第1反射膜および第2反射膜の厚み、ならびに第1反射膜および第2反射膜の形成方法等については、上記第1態様と同様とすることができる。
また、透明基材については、上記第1態様と同様とすることができる。
本態様の反射構造体における凸部は、上記の第1反射膜および第2反射膜を厚み方向に離れて配置させるための部材である。
凸部は光透過性を有する。凸部の光透過性としては、凸部の全光線透過率が、例えば80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることが好ましい。なお、凸部の全光線透過率は、例えば、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定することができる。光源としては、CIE標準光源D65を用いることができる。
凸部を構成する材料としては、パターン状の凸部を形成可能であり、上述した全光線透過率を有する材料であればよく、例えば、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が挙げられる。
凸部の高さとしては、例えば図9(b)に示すように、反射構造体20の第1反射膜22側の面、すなわち反射構造体20(第2層)の第1層(図示なし)が配置される側の面3Aに対して高入射角で入射した光L12を、凸部26の側面および第2反射膜24の開口部25から出射させることができるような高さであることが好ましく、第1反射膜および第2反射膜の開口部のピッチおよび大きさや、第1反射膜および第2反射膜の厚み等に応じて適宜設定される。具体的には、凸部の高さは、0.05mm以上2mm以下とすることができ、中でも0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
凸部のピッチ、大きさおよび平面視形状については、上記第2反射膜の開口部のピッチ、大きさおよび形状と同様とすることができる。
凸部の表面は、例えば図9(b)に示すように平滑面であってもよく、図10(a)に示すように粗面であってもよい。凸部の表面が粗面である場合には、凸部に光拡散性を付与することができる。
また、凸部の表面の形状としては、例えば図9(b)に示すように平面であってもよく、図10(b)に示すように曲面であってもよい。凸部の表面が曲面である場合には、凸部に光拡散性を付与することができる。
凸部の形成方法としては、パターン状の凸部を形成可能な方法であれば特に限定されず、例えば、印刷法、金型による樹脂賦形等が挙げられる。
(3)反射型回折格子
第2層が反射型回折格子である場合、反射型回折格子としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有するものであれば特に限定されない。
反射型回折格子のピッチ等としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性が得られればよく、適宜調整される。具体的には、LED素子の出力する波長が、赤色、緑色、青色等の単色である場合は、各波長に応じたピッチとすることで、効果的にLED素子の光を反射させることが可能である。
反射型回折格子を構成する材料としては、上述した反射率および透過率の入射角依存性を有する反射型回折格子が得られる材料であればよく、一般的に反射型回折格子に用いられるものを採用することができる。また、反射型回折格子の形成方法としては、一般的な反射型回折格子の形成方法と同様とすることができる。
3.拡散部材
本実施態様において、拡散部材全体の厚みとしては、例えば、30μm以上200μm以下とすることができる。
4.波長変換部材
本開示の拡散部材においては、例えば図11(a)に示すように、第2層3の第1層2側の面とは反対の面側に波長変換部材4が配置されていてもよく、図11(b)に示すように、第1層2の第2層3側の面とは反対の面側に波長変換部材4が配置されていてもよい。LEDバックライトにおいては、広色域化等のために波長変換部材が用いられる場合があり、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いる場合、拡散部材に波長変換部材が組み合わされていてもよい。
波長変換部材は、LED素子から出射された光を吸収し、励起光を発光する蛍光体を含有する部材である。波長変換部材は、LED基板と組み合わせることにより、白色光を生成する機能を有する。
波長変換部材は、通常、蛍光体および樹脂を含有する波長変換層を少なくとも有する。
波長変換部材は、例えば、波長変換層単体であってもよく、透明基材の一方の面側に波長変換層を有する積層体であってもよい。中でも、薄型化の点から、波長変換層単体が好ましい。より好ましくは、シート状の波長変換部材が用いられる。
上記蛍光体としては、LED素子からの発光色に応じて適宜選択することができ、例えば、青色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体、黄色蛍光体等を挙げることができる。例えば、LED素子が青色LED素子である場合、蛍光体としては、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを用いてもよく、黄色蛍光体を用いてもよい。また、例えば、LED素子が紫外線LED素子である場合、蛍光体としては、赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体とを用いることができる。
蛍光体としては、一般的にLEDバックライトの波長変換部材に用いられる蛍光体を採用することができる。また、量子ドットを蛍光体として用いることもできる。
波長変換部材層中の蛍光体の含有量は、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、所望の白色光を生成することができる程度であれば特に限定されず、一般的なLEDバックライトの波長変換部材における蛍光体の含有量と同様とすることができる。
また、波長変換部材に含まれる樹脂としては、蛍光体を分散させることができれば特に限定されるものではない。上記樹脂としては、一般的なLEDバックライトの波長変換部材に用いられる樹脂と同様とすることができ、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
波長変換部材の厚みとしては、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いた場合に、所望の白色光を生成することができる厚みであれば特に限定されず、例えば、10μm以上1000μm以下とすることができる。
第1層または第2層に波長変換部材を積層する方法としては、例えば、波長変換部材を接着層または粘着層を介して第1層または第2層に貼り合せる方法や、第1層または第2層の面に波長変換部材を直接形成する方法等が挙げられる。第1層または第2層の面に波長変換部材を直接形成する方法としては、例えば、印刷法が挙げられる。
5.光学部材
本開示の拡散部材においては、例えば図11(b)に示すように、第2層3の第1層2側の面とは反対の面側に光学部材5がさらに配置されていてもよい。LEDバックライトにおいては、拡散部材に加えて光学部材が用いられる場合があり、本開示の拡散部材をLEDバックライトに用いる場合、拡散部材に光学部材が組み合わされていてもよい。光学部材としては、例えば、プリズムシート、反射型偏光シート等が挙げられる。
(1)プリズムシート
本開示におけるプリズムシートは、入射した光を集光し、正面方向の輝度を集中的に向上させる機能を有する。プリズムシートは、例えば、透明樹脂基材の一方の面側に、アクリル樹脂等を含むプリズムパターンが配置されたものである。
プリズムシートとしては、例えば、3M社製の輝度上昇フィルムBEFシリーズを用いることができる。
(2)反射型偏光シート
本開示における反射型偏光シートは、第1の直線偏光成分(例えば、P偏光)のみを透過し、かつ第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分(例えば、S偏光)を吸収せずに反射する機能を有する。反射型偏光シートで反射された第2の直線偏光成分は再度反射され、偏光が解消された状態(第1の直線偏光成分と第2の直線偏光成分とを両方含んだ状態)で、再度、反射型偏光シートに入射する。よって、反射型偏光シートは再度入射する光のうち第1の直線偏光成分を透過し、第1の直線偏光成分と直交する第2の直線偏光成分は再度反射される。以下、同上の過程を繰り返す事により、上記第2層から出射した光の70%~80%程度が第1の直線偏光成分となった光として出光される。したがって、本開示の拡散部材を備えるLEDバックライトを表示装置に用いた場合、反射型偏光シートの第1の直線偏光成分(透過軸成分)の偏光方向と表示パネルの偏光板の透過軸方向とを一致させることにより、LEDバックライトからの出射光は全て表示パネルで画像形成に利用可能となる。そのため、LED素子から投入される光エネルギーが同じであっても、反射型偏光シートを未配置の場合に比べて、より高輝度の画像形成が可能となる。
反射型偏光シートとしては、例えば、3M社製の輝度上昇フィルムDBEFシリーズが挙げられる。また、反射型偏光シートとして、例えば、Shinwha Intertek社製の高輝度偏光シートWRPS、ワイヤーグリッド偏光子等を用いることもできる。
6.用途
本開示の拡散部材は、直下型方式のLEDバックライトに好適に用いられる。
II.拡散部材の第2実施態様
本開示における拡散部材の第2実施態様は、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと、誘電体多層膜とを有する、部材である。本開示の第2実施態様の拡散部材は、その使用に際しては、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイ側の面を光の入射面として用いるものである。
本開示における拡散部材の第2実施態様においては、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜とを組み合わせることにより、上述の拡散部材の第1実施態様と同様の効果を奏することができる。
本実施態様における透過型回折格子およびマイクロレンズアレイとしては、上述の拡散部材の第1実施態様における第1層に用いられる透過型回折格子およびマイクロレンズアレイと同様とすることができる。
また、本実施態様における誘電体多層膜としては、上述の拡散部材の第1実施態様における第2層に用いられる誘電体多層膜と同様とすることができる。
透過型回折格子およびマイクロレンズアレイは、光拡散性を発現することが可能な構造を有するものであればよく、例えば、層全体で光拡散性を発現するものであってもよく、面で光拡散性を発現するものであってもよい。
透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜との配置としては、例えば、誘電体多層膜の一方の面に接着層または粘着層を介して透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが配置されていてもよく、誘電体多層膜の一方の面に空隙部を介して透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが配置されていてもよく、誘電体多層膜の一方の面に透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが直接配置されていてもよい。
透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜とが空隙部を介して配置されている場合、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜とは接していてもよく、接していなくてもよい。透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜とが接していない場合には、例えば透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜との間にはスペーサを配置することができる。また、空隙部は空気層とすることができる。
また、誘電体多層膜の一方の面に透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが直接配置されている場合には、例えば、印刷法や金型による樹脂賦形等により、誘電体多層膜の一方の面に透過型回折格子またはマイクロレンズアレイを直接形成することができる。
本実施態様の拡散部材全体の厚みとしては、上述の第1実施態様の拡散部材全体の厚みと同様とすることができる。
本実施態様の拡散部材においては、誘電体多層膜の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイ側の面とは反対の面側に波長変換部材が配置されていてもよく、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイの誘電体多層膜側の面とは反対の面側に波長変換部材が配置されていてもよい。なお、波長変換部材については、上述の拡散部材の第1実施態様の項に記載した波長変換部材と同様とすることができる。
本実施態様の拡散部材においては、誘電体多層膜の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイ側の面とは反対の面側に光学部材が配置されていてもよい。なお、光学部材については、上述の拡散部材の第1実施態様の項に記載した光学部材と同様とすることができる。
本実施態様の拡散部材は、直下型方式のLEDバックライトに好適に用いられる。
B.積層体
本開示における積層体は、2つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
I.積層体の第1実施態様
本開示の積層体の第1実施態様は、第1層および第2層をこの順で有する拡散部材と、上記拡散部材の上記第1層側の面側に配置され、LED素子を封止するために用いられる封止材シートと、を備え、上記第1層は、光透過性および光拡散性を有し、上記第2層は、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなり、上記封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される、部材である。本開示の積層体は、その使用に際しては、封止材シート側の面をLED素子の光の入射面として用いるものである。
図12は、本開示の積層体の第1実施態様の一例を示す概略断面図である。図12に例示するように、積層体40は、第1層2および第2層3をこの順で有する拡散部材1と、拡散部材1の第1層2側の面側に配置され、LED素子を封止するために用いられる封止材シート21aと、を備える。拡散部材1の第1層2は、光透過性および光拡散性を有する。拡散部材1の第2層3は、第2層3の第1層2側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、第2層3の第1層2側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる。封止材シート21aは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成されている。
ここで、直下型方式のLEDバックライトは、特に薄型化や軽量化の点では、エッジライト方式と比較して不利である。しかしながら、直下型方式のLEDバックライトにおいては、上述したように、薄型化が困難である。
ところで、近年、LED素子の微細化および高密度化についての研究開発が進められており、チップサイズが小さい、いわゆるミニLEDやマイクロLEDと呼ばれるLEDが注目を集めている。そして、LED素子の微細化および高密度化の技術をLEDバックライトとして実用化することが検討されている(例えば特許文献4参照)。
直下型方式のLEDバックライトにおいて、輝度ムラは、LED素子と拡散板との距離ならびにLED素子間の距離(以下、ピッチと称する場合がある。)に依存する。そのため、LED素子間の距離を短くすることによっても、輝度ムラを抑制することができる。
すなわち、微細なLED素子を高密度で配置することにより、輝度の面内均一性を向上させることができる。この場合、薄型化を実現することが可能となる。
ここで、LEDバックライトにおいては、LED素子と拡散板との間を所定の間隔に維持するためにスペーサが配置される。しかしながら、LED素子から出射された光がスペーサによって遮られたり反射されたりすることにより、輝度ムラが生じてしまう場合がある。また、スペーサは多数設ける必要があるが、例えばミニLEDやマイクロLEDのようにピッチが細かい場合、スペーサを多数配置することは困難である。
そこで、LEDバックライトにおいては、LED素子と拡散板との間にLED素子を封止する封止部材が配置されている構成も提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、LED素子および拡散板の間に封止部材が配置されている構成は、LED素子および拡散板の間が空間である構成と比べて重量が増してしまう。
近年、表示装置には薄型化および軽量化の要求があり、表示装置に組み込まれるバックライトにもさらなる薄型化および軽量化が求められている。上述したように、直下型方式のLEDバックライトは、エッジライト型方式と比較して薄型化および軽量化の点で不利であることから、さらなる改良が求められる。
本開示によれば、上述した拡散部材を有することにより、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化を図ることが可能である。また、LED素子と拡散部材との距離を短くすることができるため、封止材シートの厚みを薄くすることができ、軽量化を図ることもできる。
また、本開示において、封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成されている。以下、熱可塑性樹脂が好ましい理由について説明する。
LEDバックライトにおいて封止部材が熱可塑性樹脂を含有する場合には、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成されるシート状の封止材(以下、封止材シートと称する場合がある。)を用いることができる。図13(a)~(b)は、本開示におけるLEDバックライトの製造方法の一例を示す工程図であり、本開示における積層体を用いる例である。例えば、図13(a)に示すように、LED基板11と、拡散部材1および封止材シート21aの積層体40とを準備し、LED基板11のLED素子13側の面側に封止材シート21aを積層してから、例えば真空ラミネーション法を用いることにより、LED基板11に封止材シート21aを圧着させることで、図13(b)に示すように、LED素子13を封止部材21で封止することができる。なお、図13(a)、(b)においては、LED基板11において、支持基板12のLED素子13が配置される面であって、LED素子13が実装されるLED素子実装領域以外の領域に反射層15が配置されている例を示している。
一方、LEDバックライトにおいて封止部材が熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂を含有する場合には、通常、液状の封止材が用いられる。この場合、例えば、図14(a)に示すように、LED基板11の周囲に型101を配置し、LED基板11のLED素子13側の面側に硬化性樹脂を含有する液状の封止材21bを塗布して塗膜を形成した後、熱処理により塗膜を硬化させることにより、図14(b)に示すように、LED素子13を封止部材21’で封止することができる。
硬化性樹脂の場合、液状の封止材を用いるため、表面張力等の関係で、中央部に比較して端部の厚みが厚くなる、もしくは薄くなるといった現象が生じる場合がある(図14(a)参照)。
また、硬化性樹脂の場合、硬化に際しての体積の収縮等が生じやすく、結果として図14(b)に示すように、硬化後の封止部材の中央部と端部との厚みが不均一になる場合がある。なお、図14(b)においては、封止部材21’の端部の厚みが中央部の厚みよりも厚い例を示しているが、厚みの分布はこれに限らず、例えば、端部の厚みが中央部の厚みよりも薄くなる場合もある。
このように封止部材の中央部と端部とで厚みが異なる場合、例えば、複数のLEDバックライトをタイリングして大型化する場合には、個々のLEDバックライトの境界での厚みが異なるものとなり、結果として継目として認識されてしまう。そのため、タイリングされたLEDバックライトを表示装置に用いた場合には、表示装置としての表示の美観が損なわれてしまう場合がある。
これに対し、シート状の封止材を用いる場合には、液状の封止材を用いた場合に生じる、表面張力による塗膜の厚み分布の発生や、熱収縮または光収縮による厚みの分布の発生といった封止部材の表面凹凸が生じることを回避することができる。よって、平坦性が良好な封止部材を得ることができ、高品質な表示装置を提供することができる。したがって、本開示によれば、上述した封止材シートを有することにより、平坦性が良好な封止部材を得ることが可能である。特に、ミニLEDやマイクロLEDと称されるサイズのLED基板を用いてタイリングする場合、有用である。
以下、本開示の積層体の第1実施態様について説明する。
1.拡散部材
本開示における拡散部材については、上記「A.拡散部材 I.第1実施態様」の項に記載したものと同様である。
拡散部材および封止材シートの配置としては、拡散部材の第1層の種類等に応じて適宜選択され、例えば、図12に示すように、拡散部材1の第2層3の一方の面に直接あるいは図示しない接着層または粘着層を介して第1層2が配置され、拡散部材1の第1層2側の面側に封止材シート21aが直接配置されていてもよく、図15(a)に示すように、拡散部材1の第2層3の一方の面に直接あるいは図示しない接着層または粘着層を介して第1層2が配置され、拡散部材1の第1層2側の面側に低屈折率層43を介して封止材シート21aが配置されていてもよく、図15(b)に示すように、封止材シート21aの一方の面に直接、拡散部材1の第1層2が配置され、拡散部材1の第1層2および第2層3の間に空隙部が配置されていてもよく、図15(c)に示すように、拡散部材1の第2層3の一方の面に第1層2が直接配置され、拡散部材1および封止材シート21aの間に空隙部が配置されていてもよい。拡散部材の第1層が例えば拡散剤含有樹脂膜である場合には、上述の拡散部材および封止材シートの配置のうち、いずれの配置であってもよい。
一方、拡散部材の第1層が例えば透過型回折格子やマイクロレンズアレイである場合には、拡散部材の第1層および第2層の間に空隙部が配置されている、あるいは、拡散部材の第1層および封止材シートの間に空隙部が配置されている、あるいは、拡散部材の第1層および封止材シートの間に低屈折率層が配置されている必要がある。
また、封止材シートの一方の面に拡散部材の第1層が直接配置されている場合には、例えば図15(b)に示すように、封止材シート21aの一方の面にパターン状の第1層2が配置されていてもよい。例えば、第1層が、面で光拡散性を発現するものである場合には、第1層がパターン状に配置されている場合であっても、光拡散性を発現することができる。
拡散部材の第1層および第2層の間に空隙部が配置されている場合、例えば図15(b)に示すように第1層2および第2層3は接していてもよく、図示しないが第1層および第2層は接していなくてもよい。第1層および第2層が接していない場合には、例えば第1層および第2層の間にはスペーサを配置することができる。また、拡散部材および封止材シートの間に空隙部が配置されている場合、例えば拡散部材の第1層および封止材シートは接していてもよく、図15(c)に示すように拡散部材の第1層および封止材シートは接していなくてもよい。拡散部材の第1層および封止材シートが接していない場合には、例えば拡散部材および封止材シートの間にはスペーサを配置することができる。また、空隙部は空気層とすることができる。
封止材シートの一方の面に拡散部材の第1層が直接配置されている場合には、例えば印刷法や金型による樹脂賦形により、封止材シートの一方の面に拡散部材の第1層を直接形成することができる。
2.封止材シート
本開示における封止材シートは、LED素子を封止するために用いられ、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される部材である。
封止材シートは、光透過性を有する。なお、封止材シートにおける「光透過性」、「透明」とは、LED素子からの光の視認性を阻害しない程度に透明であればよい。
(1)封止材シートの材料
本開示における封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される。
本開示における封止材シートに用いられる熱可塑性樹脂としては、通常、LED基板を劣化させる成分(劣化成分)が実質的に発生しない樹脂が用いられる。ここで、「劣化成分が実質的に発生しない樹脂」とは、劣化成分自体を含有しないか、もしくは含有してもLED基板の劣化に影響を与えない程度である樹脂や、LEDバックライトの製造時および使用時において、劣化成分が発生しないか、もしくは発生したとしてもLED基板の劣化に影響を与えない程度である樹脂を指す。
このような劣化成分が発生する樹脂としては、劣化成分として酸成分を発生させるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等を挙げることができる。
また、本開示における熱可塑性樹脂としては、加熱することにより、LED基板の一方の面側に配置されたLED素子およびその他の部材の凹凸に、追従し、隙間に入り込むことが可能な溶融粘度を有するものが好適に用いられる。
具体的には、用いる熱可塑性樹脂のメルトマスフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2.0g/10分以上40g/10分以下であることがより好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、LED素子の隙間に入り込むことが可能となり、充分な封止性能を発揮することができ、さらにはLED基板との密着性に優れた封止部材とすることができるからである。
なお、本明細書におけるMFRは、JIS K7210により測定した190℃、荷重2.16kgにおける値をいう。ただし、ポリプロピレン樹脂のMFRについては、同じくJIS K7210による、230℃、荷重2.16kgにおけるMFRの値のことをいうものとする。
封止材シートが後述するように多層部材である場合のMFRについては、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記測定方法による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止部材のMFR値とするものとする。
本開示に用いられる熱可塑性樹脂の融点としては、LED基板を劣化させない温度域でLED素子を封止することができれば特に限定されないが、例えば、55℃以上135℃以下であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂の融点は、例えば、プラスチックの転移温度測定方法(JISK7121)に準拠し、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
本開示においては、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、アイオノマー系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂等を用いることができる
中でも、上記熱可塑性樹脂は、オレフィン系樹脂であることが好ましい。オレフィン系樹脂は、LED基板を劣化させる成分を特に生じにくく、溶融粘度も低いことから上述したLED素子を良好に封止することができるからである。また、オレフィン系樹脂の中でも、ポリエチレン系樹脂もしくはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ここで、本明細書におけるポリエチレン系樹脂には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α-オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、およびこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
中でも、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体(以下、「シラン共重合体」ともいう。)を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、LED基板と封止部材とのより高い密着性を得ることができるからである。上記シラン共重合体は、特開2018-50027号公報に記載のものを用いることができる。
(2)封止材シートの構造
本開示における封止材シートは、例えば図12に示すように、封止材シート21aが単一の樹脂層で構成された単層部材であってもよく、また図16に示すように、封止材シート21aが複数層の樹脂層(図16においては3層)が積層された多層部材であってもよい。
上記多層部材の場合、上記多層部材において拡散部材側とは反対側に位置する層、すなわちLED基板側に位置する層に、通常高価である密着性やLED素子等の隙間に入り込めるモールディング性が良好な材料を用いることが可能となる。上記多層部材は、2層構造であってもよいが、両面に密着性の良好な層が配置された3層構造であることが好ましい。
上記多層部材において、拡散部材側とは反対側に位置する層、すなわちLED基板側に配置される層を構成する材料としては、密着性が高く、かつモールディング性が高いものであれば特に限定されるものではないが、上記熱可塑性樹脂の場合、例えば、上述したシラン共重合体等を用いることが好ましい。また、上記熱可塑性樹脂の場合、上記材料は、上記オレフィン系樹脂とシランカップリング剤とを含有することも好ましい。
封止材シートの厚みは、LED基板の層構成等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。封止材シートの厚みは、例えば、100μm以上であってもよく、250μm以上であってもよく、300μm以上であってもよい。また、封止材シートの厚みは、例えば、600μm以下であってもよく、550μm以下であってもよい。上記厚みが薄すぎると、封止部材としての機能を十分に発揮することができなかったり、輝度ムラが生じたりするおそれがある。一方、上記厚みが厚すぎると、薄型化および軽量化が困難になったり、光透過性に悪影響を及ぼしたりする可能性がある。
また、封止材シートが3層の多層部材である場合は、3層のうち中心に位置する層の厚みは、例えば、60μm以上であってもよく、100μm以上であってもよく、250μm以上であってもよく、また、400μm以下であってもよく、350μm以下であってもよい。また、この場合において、3層のうち外側に位置する各層の厚みは、例えば、15μm以上200μm以下であってもよい。
なお、本明細書における「厚み」は、μオーダーのサイズを測定することが可能な公知の測定方法を用いて測定することができ、一例としては光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)による観察像を用いて測定することができる。「大きさ」等のサイズの測定についても同様である。
(3)その他
封止材シートに用いられる封止材組成物は、熱可塑性樹脂を含有していればよく、必要に応じて架橋剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定化剤等、その他の添加剤を含有していてもよい。また、封止材シートの成型方法としては、一般的な樹脂シートの成型方法と同様とすることができる。一例としてTダイ法を挙げることができるが、これに限定されない。
(4)封止材シートの具体的態様
上述したように、封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有しており、オレフィン系樹脂を含有することがより好ましく、ポリエチレン系樹脂を含有することがさらに好ましい。特に、封止材シートが、密度0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましい。このような封止材シートは、LED基板との密着性が良好であり、LED基板に配置された部材に対する追従性が良好であるためである。
以下、好適な封止材シートの詳細を説明する。
上記封止材シートは、0.870g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする樹脂フィルムである。すなわち、上記封止材シートは、上述のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする封止材シートである。
上記封止材シートは、コア層と、両最表面に配置されるスキン層と、を含む複数の層によって構成される多層フィルムとすることが好ましい。そして、この場合においては、コア層は、密度0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましく、スキン層については、密度0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下であって、コア層用のベース樹脂よりも低密度のポリエチレン系樹脂をベース樹脂とすることが好ましい。
上記多層フィルムの場合、その総厚みは、例えば100μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、総厚みは、例えば600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましい。総厚みが薄すぎると充分に衝撃を緩和することができないが、総厚みが上記範囲内であれば、モールディング性と耐熱性とを十分に好ましい水準において兼ね備えるものとすることができる。なお、総厚みが厚すぎると、それ以上の衝撃緩和効果向上の効果は得がたく、薄型化の要請にも対応できず、且つ、不経済である。
上記多層フィルムにおけるコア層の厚みは、例えば60μm以上であることが好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは250μm以上である。また、コア層の厚みは、例えば400μm以下であることが好ましく、より好ましくは350μm以下である。また、この場合におけるスキン層の各層毎の厚みは、例えば15μm以上とすることができ、30μm以上であってもよく、また、200μm以下とすることができる。各層の厚みをこのような範囲内とすることにより、封止材シートの耐熱性とモールディング特性を良好な範囲内に保持することができる。
上記封止材シートは、以下に詳細を説明する封止材組成物を、従来公知の方法で成型加工してシート状としたものである。
上記封止材シートを封止部材として形成する場合、各層の製造に用いる封止材組成物は、各層毎に密度範囲等の異なる組成物をベース樹脂とする。
この場合において、上記封止材組成物は、コア層用の封止材組成物とスキン層用の封止材組成物とを、それぞれ各層の形成に使い分ける。そして、これらコア層用、スキン層用の各封止材組成物により、所定の厚みで、両最表面にスキン層が配置されている3層構造の多層フィルムを成形することにより、例えば図16に示すように、スキン層22a、コア層23、およびスキン層22bの3層構造の封止材シート21aを製造することができる。
上記封止材シートのコア層用の封止材組成物のベース樹脂としては、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、またはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)を好ましく用いることができる。
なかでも、長期信頼性の観点から、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)をコア層用の組成物として特に好ましく用いることができる。
上記コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.910g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、より好ましくは、0.920g/cm3以下である。コア層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲とすることにより、架橋処理を経ることなく、封止材シートに必要十分な耐熱性を備えさせることができる。
上記コア層用の封止材組成物の融点については、融点90℃以上135℃以下であることが好ましく、融点100℃以上115℃以下であることがより好ましい。コア層の融点を上記融点範囲とすることにより、これらの封止材組成物の耐熱性とモールディング特性とを、好ましい範囲内に保持することができる。なお、コア層用の封止材組成物にポリプロピレン等の高融点の樹脂を添加することによって、封止材組成物の融点を135℃程度にまで高めることが可能である。この場合、ポリプロピレンは、コア層の全樹脂成分に対して5質量%以上40質量%以下含有されていることが好ましい。
上記コア層に含有させるポリプロピレンは、ホモポリプロピレン(ホモPP)樹脂であることが好ましい。ホモPPは、ポリプロピレン単体のみからなる重合体であり結晶性が高いため、ブロックPPやランダムPPと比較して、更に高い剛性を有する。これをコア層用の封止材組成物への添加樹脂として用いることにより、封止部材の寸法安定性を高めることができる。また、コア層用の封止材組成物への添加樹脂として用いるホモPPは、JIS K7210に準拠して測定した230℃、荷重2.16kgにおけるMFRが5g/10分以上125g/10分以下であることが好ましい。上記MFRが小さすぎると、分子量が大きくなり剛性が高くなりすぎて、封止材組成物の好ましい十分な柔軟性が担保しにくくなる。また、上記MFRが大きすぎると、加熱時の流動性が十分に抑制されず、封止材シートに耐熱性および寸法安定性を十分に付与することが出来ない。
上記コア層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.5g/10分以下であることが好ましく、3.0g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。コア層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲とすることにより、封止部材の耐熱性とモールディング特性とを、好ましい範囲内に保持することができる。また、製膜時の加工適性を十分に高めて封止部材の生産性の向上にも寄与することができる。
上記コア層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対する上記のベース樹脂の含有量は70質量%以上99質量%以下であり、好ましくは90質量%以上99質量%以下である。上記範囲内でベース樹脂を含むものである限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。
上記封止材シートのスキン層用の封止材組成物のベース樹脂としては、コア層用の封止材組成物と同様に、低密度ポリエチレン系樹脂(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(LLDPE)、またはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)を好ましく用いることができる。なかでも、モールディング特性の観点から、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレン系樹脂(M-LLDPE)をスキン層用の封止材組成物として特に好ましく用いることができる。
上記スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いる上記のポリエチレン系樹脂の密度は、0.890g/cm3以上0.910g/cm3以下であり、より好ましくは、0.899g/cm3以下である。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂の密度を上記範囲内とすることにより、封止部材の密着性を好ましい範囲に保持することができる。
上記スキン層用の封止材組成物の融点については、融点55℃以上100℃以下であることが好ましく、融点80℃以上95℃以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物の融点を上記範囲内とすることにより、封止部材の密着性を更に確実に向上させることができる。
上記スキン層用の封止材組成物のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において2.0g/10分以上7.0g/10分以下であることが好ましく、2.5g/10分以上6.0g/10分以下であることがより好ましい。スキン層用の封止材組成物のベース樹脂のMFRを上記範囲内とすることにより、封止材シートの密着性を更に確実に好ましい範囲内に保持することができる。また、製膜時の加工適性を十分に高めて封止材シートの生産性の向上に寄与することができる。
上記スキン層用の封止材組成物中の全樹脂成分に対する上記のベース樹脂の含有量は60質量%以上99質量%以下であり、好ましくは90質量%以上99質量%以下である。
上記範囲内でベース樹脂を含むものである限りにおいて、他の樹脂を含んでいてもよい。
以上説明した全ての封止材組成物には、α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を、必要に応じて、各封止材組成物に一定量含有させることがより好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、他の部材への封止材シートの接着性を向上させることができる。
シラン共重合体は、例えば、特開2003-46105号公報に記載されているシラン共重合体を挙げることができる。上記シラン共重合体を封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、その他の諸特性に優れ、更に、封止材シートを配置する際の加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで封止材シートを得ることができる。
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、封止材シートの接着性を向上することができる。
α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含有量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001質量%以上15質量%以下、好ましくは、0.01質量%以上5質量%以下、特に好ましくは、0.05質量%以上2質量%以下が望ましい。α-オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度、および耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び、および熱融着性等に劣る傾向にある。
上記シラン共重合体の封止材組成物の全樹脂成分に対する含有量は、上記コア層用の封止材組成物においては、2質量%以上20質量%以下、上記スキン層用の封止材組成物においては、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。特にスキン層用の封止材組成物には、10質量%以上のシラン共重合体が含有されていることがより好ましい。なお、上記のシラン共重合体におけるシラン変性量は、1.0質量%以上3.0質量%以下程度であることが好ましい。上記の封止材組成物中における好ましいシラン共重合体の含有量範囲は、上記シラン変性量がこの範囲内であることを前提としており、この変性量の変動に応じて適宜微調整することが望ましい。
全ての封止材組成物には、また、適宜、密着性向上剤を添加することができる。密着性向上剤の添加により、他の部材との密着耐久性をより高いものとすることができる。密着性向上剤としては、公知のシランカップリング剤を用いることができるが、エポキシ基を有するシランカップリング剤または、メルカプト基を有するシランカップリングを、特に好ましく用いることができる。
3.波長変換部材
本開示の積層体においては、例えば図17(a)に示すように、拡散部材1の第2層3側の面側に波長変換部材41が配置されていてもよく、図17(b)に示すように、拡散部材1と封止材シート21aとの間に波長変換部材41が配置されていてもよい。波長変換部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した波長変換部材と同様とすることができる。
4.光学部材
また、本開示の積層体においては、例えば図17(b)に示すように、拡散部材1の第2層3側の面側に光学部材42が配置されていてもよい。光学部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した光学部材と同様とすることができる。
5.その他の構成
本開示の積層体において、例えば図15(a)に示すように、拡散部材1の第1層2と封止材シート21aとの間に低屈折率層43が配置されている場合、低屈折率層は、拡散部材の第1層の屈折率よりも低い屈折率を有する層である。低屈折率層の屈折率が拡散部材の第1層の屈折率よりも低いことにより、全反射を抑制することができる。また、本実施態様の積層体は、上述したように、封止材シート側の面をLED素子の光の入射面として用いるものであり、拡散部材の第1層が例えば透過型回折格子やマイクロレンズアレイである場合には、拡散部材の第1層の光の入射側に第1層と異なる屈折率を有する低屈折率層が配置されていることにより、透過型回折格子によって光を回折させる、あるいはマイクロレンズアレイによって光を屈折させることができる。
低屈折率層の屈折率は、拡散部材の第1層の屈折率よりも低ければよく、例えば1.0以上1.5以下であってもよい。また、低屈折率層と拡散部材の第1層との屈折率差は、大きいほうが好ましく、例えば0.3以上1.0以下であってもよい。低屈折率層と拡散部材の第1層との屈折率差が大きいことにより、第1層が例えばマイクロレンズアレイまたは拡散剤含有樹脂膜である場合には屈折角を大きくすることができ、第1層が例えば透過型回折格子である場合には回折角を大きくすることができる。
低屈折率層は、例えば、樹脂および低屈折率粒子を含有するものであってもよく、フッ素含有樹脂を含有するものであってもよい。低屈折率層が樹脂および低屈折率粒子を含有する場合、低屈折率粒子としては、例えば、無機粒子および有機粒子のいずれであってもよい。また、低屈折率粒子は、中空粒子であってもよい。また、樹脂としては、例えば、硬化性樹脂を用いることができる。
II.積層体の第2実施態様
本開示における積層体の第2実施態様は、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイ、および、誘電体多層膜を有する拡散部材と、上記記拡散部材の上記透過型回折格子または上記マイクロレンズアレイ側の面側に配置され、LED素子を封止するために用いられる封止材シートと、を備え、上記封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される、部材である。本実施態様の積層体は、その使用に際しては、封止材シート側の面をLED素子の光の入射面として用いるものである。
本開示における積層体の第2実施態様においては、上述の積層体の第1実施態様と同様の効果を奏することができる。
本実施態様における拡散部材については、上記「A.拡散部材 II.第2実施態様」の項に記載したものと同様である。
拡散部材および封止材シートの配置としては、例えば、拡散部材の誘電体多層膜の一方の面に直接あるいは接着層または粘着層を介して透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが配置され、拡散部材の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイ側の面側に低屈折率層を介して封止材シートが配置されていてもよく、封止材シートの一方の面に拡散部材の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが直接配置され、拡散部材の誘電体多層膜と透過型回折格子またはマイクロレンズアレイとの間に空隙部が配置されていてもよく、拡散部材の誘電体多層膜の一方の面に透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが直接配置され、拡散部材および封止材シートの間に空隙部が配置されていてもよい。
拡散部材の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと誘電体多層膜との間に空隙部が配置されている場合の構成については、上述の積層体の第1実施態様において拡散部材の第1層および第2層の間に空隙部が配置されている場合と同様とすることができる。また、拡散部材および封止材シートの間に空隙部が配置されている場合の構成については、上述の積層体の第1実施態様において拡散部材および封止材シートの間に空隙部が配置されている場合と同様とすることができる。
封止材シートの一方の面に拡散部材の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイが直接配置されている場合には、例えば印刷法や金型による樹脂賦形により、封止材シートの一方の面に拡散部材の透過型回折格子またはマイクロレンズアレイを直接形成することができる。
また、本実施態様における封止材シートは、上述の積層体の第1実施態様における封止材シートと同様とすることができる。
また、本実施態様における低屈折率層は、上述の積層体の第1実施態様における低屈折率層と同様とすることができる。
本実施態様における積層体においては、拡散部材の誘電体多層膜側の面側に波長変換部材が配置されていてもよく、拡散部材と封止材シートとの間に波長変換部材が配置されていてもよい。波長変換部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した波長変換部材と同様とすることができる。
また、本実施態様における積層体においては、拡散部材の誘電体多層膜側の面側に光学部材が配置されていてもよい。光学部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した光学部材と同様とすることができる。
C.拡散部材のセット
本開示における拡散部材のセットは、第1層と、LED素子を封止するために用いられる封止材シートとを有する第1部材、および、第2層を有し、上記第1部材の上記第1層側の面に空隙部を介して配置されて用いられる第2部材を備え、上記第1層は、光透過性および光拡散性を有し、上記第2層は、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなり、上記封止材シートは、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される。
図18に示すように、拡散部材のセット60は、第1層2と、LED素子を封止するために用いられる封止材シート21aとを有する第1部材61、および、第2層3を有する第2部材62を備える。第2部材62は、第1部材61の第1層2側の面に空隙部を介して配置されて用いられる。第1層2は、光透過性および光拡散性を有する。また、第2層3は、反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を有する。
本開示における拡散部材のセットにおいては、上述の積層体と同様の効果を奏することができる。
第1部材および第2部材は別々の部材であり、第1部材および第2部材を空隙部を介して配置することにより、拡散部材として用いることができる。
本開示における第1層および第2層としては、上記「A.拡散部材」の項に記載した第1層および第2層と同様である。
また、本開示における封止材シートとしては、上記「B.積層体」の項に記載した封止材シートと同様である。
第1部材においては、第1層と封止材シートとの間に波長変換部材が配置されていてもよい。一方、第2部材においては、第2層の一方の面に波長変換部材が配置されていてもよい。また、第2部材においては、第2層の一方の面に光学部材が配置されていてもよい。波長変換部材および光学部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した波長変換部材および光学部材と同様とすることができる。
D.LEDバックライト
本開示におけるLEDバックライトは、2つの実施態様を有する。以下、各実施態様について説明する。
I.LEDバックライトの第1実施態様
本開示のLEDバックライトの第1実施態様は、支持基板の一方の面側に複数のLED素子が配置されたLED基板と、上記LED基板の上記LED素子側の面側に配置され、上記LED基板側から順に第1層および第2層を有する拡散部材とを備え、上記第1層は、光透過性および光拡散性を有し、上記第2層は、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる、装置である。本開示のLEDバックライトは、直下型方式のLEDバックライトである。
図2は、本開示のLEDバックライトの一例を示す概略断面図である。なお、図2については、上記「A.拡散部材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
図19は、本開示のLEDバックライトの他の例を示す概略断面図である。図19に例示するように、LEDバックライト10は、支持基板12の一方の面側に複数のLED素子13が配置されたLED基板11と、LED基板11のLED素子13側の面側に配置され、LED素子13を封止する封止部材21と、封止部材21のLED基板11側の面とは反対の面側に配置され、封止部材21側から順に第1層2および第2層3を有する拡散部材1と、を備える。拡散部材1における第1層2は、光透過性および光拡散性を有しており、第1層2の第2層3側の面とは反対の面2Aから入射した光L1、L2、L2’を透過および拡散する。また、拡散部材1における第2層3は、第2層3の第1層2側の面3Aに対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、第2層3の第1層2側の面3Aに対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる。そのため、第2層3では、第2層3の第1層2側の面3Aに対して低入射角θ1で入射した光L1を反射させ、第2層3の第1層2側の面3Aに対して高入射角θ2、θ2’で入射した光L2、L2’を透過させることができる。なお、図19においては、LED基板11において、支持基板12のLED素子13が配置される面であって、LED素子13が実装されるLED素子実装領域以外の領域に反射層15が配置されている例を示している。
図19においては、LED素子13から発せられ、拡散部材1の第1層2側の面1Aに入射した光を、第1層2で拡散させるとともに、第1層2を透過して拡散した光のうち、第2層3の第1層2側の面3Aに対して低入射角θ1で入射した光L1については、第2層3の第1層2側の面3Aで反射させ、再び第1層2に入射させて拡散させることができる。そして、第1層2を透過して拡散した光のうち、第2層3の第1層2側の面3Aに対して高入射角θ2、θ2’で入射した光L2、L2′については、第2層3を透過させ、拡散部材1の第2層3側の面1Bから出射させることができる。
本開示においては、上述した拡散部材を有することにより、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化を図ることが可能である。また、コストおよび消費電力の低減も可能である。また、LED素子と拡散部材との距離を短くすることができるため、封止部材の厚みを薄くすることができ、軽量化を図ることもできる。また、上述した拡散部材を用いることにより、本開示のLEDバックライトを容易に製造することができる。
以下、本開示のLEDバックライトの第1実施態様について説明する。
1.拡散部材
本開示における拡散部材は、上記LED基板の上記LED素子側の面側に配置され、上記LED基板側から順に第1層および第2層を有し、上記第1層は、光透過性および光拡散性を有し、上記第2層は、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が小さくなるにつれて反射率が大きくなり、上記第2層の上記第1層側の面に対する光の入射角の絶対値が大きくなるにつれて透過率が大きくなる、部材である。
本開示における拡散部材は、上記「A.拡散部材」の項に記載した部材と同様である。
拡散部材を構成する各部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
拡散部材は、LED基板のLED素子の発光面から所定の距離だけ離れて配置される。
拡散部材とLED基板のLED素子の発光面との間の距離は、例えば、5mm以下であることが好ましく、中でも2mm以下であることが好ましく、特に1mm以下であることが好ましい。上記距離が上記範囲であれば、薄型化が可能である。上記距離の下限値は、特に限定されない。
ここで、拡散部材とLED基板のLED素子の発光面との間の距離は、例えば、図2に示すような拡散部材1の第1層2側の面1AとLED基板11のLED素子13の発光面との間の距離dである。
2.LED基板
本開示におけるLED基板は、支持基板の一方の面側に複数のLED素子が配置された部材である。
以下、LED基板について説明する。
(1)LED素子
本開示のLEDバックライトにおいて、LED素子は光源として機能する。
本開示のLEDバックライトは、白色LEDとすることができる。LED素子としては、LEDバックライトとした場合に白色光を照射することができれば特に限定されず、例えば、白色、青色、紫外線もしくは赤外線等を発光することができるLED素子を挙げることができる。
LED素子は、チップ状のLED素子とすることができる。LED素子の形態としては、例えば、発光部(LEDチップとも称する。)そのものであってもよく、表面実装型やチップオンボード型等のパッケージLED(チップLEDとも称する。)であってもよい。パッケージLEDは、例えば、発光部と、発光部を覆い樹脂を含有する保護部とを有することができる。具体的には、LED素子が発光部そのものである場合、LED素子としては、例えば青色LED素子、紫外線LED素子または赤外線LED素子を用いることができる。また、LED素子がパッケージLEDである場合、LED素子としては、例えば白色LED素子を用いることができる。
本開示のLEDバックライトが、LED素子と波長変換部材とを組み合わせて白色光を照射するものである場合、LED素子としては、青色LED素子、紫外線LED素子、または赤外線LED素子であることが好ましい。青色LED素子は、例えば黄色蛍光体と組み合わせる、あるいは赤色蛍光体および緑色蛍光体と組み合わせることにより、白色光を生成することができる。また、紫外LED素子は、例えば赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体と組み合わせることにより、白色光を生成することができる。中でも、LED素子が青色LED素子であることが好ましい。本開示のLEDバックライトにおいて、輝度の高い白色光を照射することができるからである。
また、LED素子が白色LED素子である場合、白色LED素子としては、白色LED素子の発光方式等により適宜選択される。白色LED素子の発光方式としては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとの組み合わせ、青色LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体との組み合わせ、青色LEDと黄色蛍光体との組み合わせ、紫外線LEDと赤色蛍光体と緑色蛍光体と青色蛍光体との組み合わせ等を挙げることができる。そのため、白色LED素子としては、例えば、赤色LED発光部と緑色LED発光部と青色LED発光部とを有していてもよく、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよく、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよく、紫外LED発光部と赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含有する保護部とを有していてもよい。中でも、白色LED素子は、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有する、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有する、あるいは、紫外LED発光部と赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含有する保護部とを有することが好ましい。これらの中でも、白色LED素子は、青色LED発光部と赤色蛍光体および緑色蛍光体を含有する保護部とを有する、あるいは、青色LED発光部と黄色蛍光体を含有する保護部とを有することが好ましい。本開示のLEDバックライトにおいて、輝度の高い白色光を照射することができるからである。
LED素子の構造としては、一般的なLED素子と同様とすることができる。
LED素子は、通常、支持基板の一方の面側に等間隔で配置される。LED素子の配置としては、本開示のLEDバックライトの用途および大きさや、LED素子のサイズ等に応じて適宜選択される。また、LED素子の配置密度も、本開示のLEDバックライトの用途および大きさや、LED素子のサイズ等に応じて適宜選択される。
LED素子のサイズ(チップサイズ)は、特に限定されるものではなく、一般的なチップサイズとすることができる。また、LED素子のサイズは、ミニLEDやマイクロLEDと呼ばれるチップサイズであってもよい。中でも、封止部材が配置されている場合には、ミニLEDと呼ばれるチップサイズであることが好ましい。具体的には、LED素子のサイズは、数百マイクロメートル角であってもよく、数十マイクロメートル角であってもよい。さらに具体的には、LED素子のサイズは、100μm角以上300μm角以下とすることができる。LED素子のサイズが小さい場合には、LED素子を高密度で配置する、すなわちLED素子間の間隔(ピッチ)を小さくすることができる。そのため、LED基板と拡散部材との距離を短くしても、輝度ムラを抑制することができる。よって、さらなる薄型化が可能となる。また、LED基板および拡散部材の距離を短くする、つまり封止部材の厚みを薄くすることができ、軽量化を図ることができる。
(2)支持基板
本開示における支持基板は、上記のLED素子等を支持する部材である。
支持基板は、透明であってもよく、不透明であってもよい。また、支持基板は、フレキシブル性を有していてもよく、剛性を有していてもよい。支持基板の材質は、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、有機材料および無機材料の両方を複合させた複合材料であってもよい。
支持基板の材質が有機材料である場合、支持基板としては、樹脂基板を用いることができる。一方、支持基板の材質が無機材料である場合、支持基板としては、セラミック基板、ガラス基板を用いることができる。また、支持基板の材質が複合材料である場合、支持基板としては、ガラスエポキシ基板を用いることができる。また、支持基板として、例えばメタルコア基板を用いることもできる。支持基板としては、印刷により回路が形成された印刷回路基板を用いることもできる。
支持基板の厚みは、特に限定されるものではなく、フレキシブル性または剛性の有無や、本開示のLEDバックライトの用途や大きさ等に応じて適宜選択される。
(3)その他
本開示におけるLED基板は、上述した支持基板およびLED素子を有していれば特に限定されず、必要な構成を適宜有することができる。このような構成としては、例えば、配線部、端子部、絶縁層、反射層、放熱部材等を挙げることができる。各構成については、公知のLED基板に用いられるものと同様とすることができる。
配線部は、LED素子と電気的に接続される。配線部は、通常、パターン状に配置される。また、配線部は、支持基板に接着層を介して配置することができる。配線部の材料としては、例えば、金属材料や導電性高分子材料等を用いることができる。
配線部は、上記LED素子と接合部によって電気的に接続される。接合部の材料としては、例えば、金属や導電性高分子等の導電性材料を有する接合剤やハンダを用いることができる。
支持基板のLED素子が配置される面であって、LED素子実装領域以外の領域には、反射層を配置することができる。上記拡散部材の第2層で反射された光を、LED基板の反射層で反射させて、再度、拡散部材の第1層に入射させることができ、光の利用効率を高めることができる。
反射層は、一般的にLED基板に用いられる反射層と同様とすることができる。具体的には、反射層としては、金属粒子、無機粒子または顔料と樹脂とを含有する白色樹脂膜や、金属膜、多孔質膜等が挙げられる。反射層の厚みは、所望の反射率が得られる厚みであれば特に限定されるものではなく、適宜設定される。
LED基板の形成方法については、公知の形成方法と同様とすることができる。
3.他の部材
本開示のLEDバックライトにおいて、上記のLED基板と拡散部材との間は、例えば図2に示すように空間であってもよく、図19および図20に示すようにLED素子を封止する封止部材21、14が配置されていてもよい。
LED基板と拡散部材との間が空間である場合には、LED基板と拡散部材との間にスペーサを配置することができる。スペーサとしては、一般的なLEDバックライトに用いられるスペーサと同様とすることができる。
また、上述したように、LED素子のサイズが小さい場合には、LED素子を高密度で配置する、すなわちLED素子間の間隔(ピッチ)を小さくすることができるため、LED基板および拡散部材の距離を短くしても、輝度ムラを抑制することができる。このようにLED基板および拡散部材の距離が短い場合には、LED基板と拡散部材との間に封止部材を配置することができる。
(1)封止部材
本開示における封止部材は、LED基板のLED素子側の面側に配置され、LED素子を封止する部材である。封止部材は、光透過性を有し、LED基板の発光面側に配置される。
なお、封止部材における「光透過性」、「透明」とは、LED素子からの光の視認性を阻害しない程度に透明であればよい。
本開示における封止部材に含まれる材料としては、LED素子を封止することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂が好ましい理由については、上記「B.積層体」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
説明する。
本開示における封止部材に用いられる熱可塑性樹脂としては、上記「B.積層体 2.封止材シート」の項に記載した熱可塑性樹脂と同様である。
本開示における封止部材に用いられる熱硬化性樹脂としては、一般的にLEDバックライトの封止部材に用いられる熱硬化性樹脂を採用することができ、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
本開示における封止部材に用いられる光硬化性樹脂としては、一般的にLEDバックライトの封止部材に用いられる光硬化性樹脂を採用することができる。
本開示における封止部材は、例えば図19に示すように、封止部材21が単一の樹脂層で構成された単層部材であってもよく、また図21に示すように、封止部材21が複数層の樹脂層(図21においては3層)が積層された多層部材であってもよい。例えば図21に示すように、スキン層22a、コア層23、およびスキン層22bの3層構造の封止部材21とすることができる。
なお、封止部材の構造については、上記積層体における封止材シートの構造と同様とすることができる。
本開示において、封止部材は、熱可塑性樹脂を含有する封止材組成物から構成される封止材シートを用いて形成される部材であることが好ましい。なお、封止材組成物については、上記積層体における封止材シートに用いられる封止材組成物と同様とすることができる。
封止部材の詳細については、上記「B.積層体 2.封止材シート」の項に記載したものと同様とすることができる。
封止部材の厚みは、上述した拡散部材とLED基板のLED素子の発光面との間の距離に応じて適宜設定される。
(2)波長変換部材
波長変換部材は、通常、LED基板の発光面側に配置され、LED素子よりも観察者側に配置される。本開示のLEDバックライトにおいて、拡散部材の第1層側の面側あるいは第2層側の面側に波長変換部材が配置されていてもよい。また、封止部材が配置されている場合、波長変換部材の配置としては、例えば図22(a)に示すように、拡散部材1の第2層3側の面側に波長変換部材41が配置されていてもよく、図22(b)に示すように、拡散部材1と封止部材21との間に波長変換部材41が配置されていてもよい。波長変換部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した波長変換部材と同様とすることができる。
(3)光学部材
本開示のLEDバックライトにおいて、拡散部材の第2層側の面側に光学部材が配置されていてもよい。光学部材については、上記「A.拡散部材」の項に記載した光学部材と同様とすることができる。
II.LEDバックライトの第2実施態様
本開示のLEDバックライトの第2実施態様は、支持基板の一方の面側に複数のLED素子が配置されたLED基板と、上記LED基板の上記LED素子側の面側に配置された拡散部材と、を備え、上記拡散部材は、上記LED基板側から順に、透過型回折格子またはマイクロレンズアレイと、誘電体多層膜とを有する、装置である。本実施態様のLEDバックライトは、直下型方式のLEDバックライトである。
本実施態様のLEDバックライトにおいては、上述のLEDバックライトの第1実施態様と同様の効果を奏することができる。
本実施態様における拡散部材は、上記「A.拡散部材 II.第2実施態様」の項に記載した部材と同様である。拡散部材を構成する各部材については、上記「A.拡散部材 II.第2実施態様」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
拡散部材とLED基板のLED素子の発光面との間の距離については、上述のLEDバックライトの第1実施態様と同様とすることができる。
本実施態様におけるLED基板は、上述のLEDバックライトの第1実施態様におけるLED基板と同様とすることができる。
本実施態様における他の部材は、上述のLEDバックライトの第1実施態様における他の部材と同様とすることができる。
D.表示装置
本開示の表示装置は、表示パネルと、上記表示パネルの背面に配置された上述のLEDバックライトとを備える装置である。
図23および図24は、本開示の表示装置の一例を示す模式図である。図23および図24に例示するように、表示装置30または50は、表示パネル31または51と、表示パネル31または51の背面に配置されたLEDバックライト10とを備える。
本開示によれば、上述したLEDバックライトを有することにより、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化を図ることが可能である。また、コストおよび消費電力の低減も可能である。したがって、高品質な表示装置を得ることができる。
以下、本開示の表示装置における各構成について説明する。
1.LEDバックライト
本開示におけるLEDバックライトは、上記「C.LEDバックライト」の項に記載した部材と同様である。LEDバックライトを構成する各部材については、上記「C.LEDバックライト」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
2.表示パネル
本開示における表示パネルとしては、特に限定されるものではなく、例えば、液晶パネルが挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本開示をさらに詳細に説明する。
輝度の面内均一性を評価するために光学シミュレーションを行った。シミュレーションは、Synopsys社製のLightToolsによる光線追跡シミュレーションを実施した。
[試験例1]
(条件)
・構成:LED基板の上方に拡散部材が配置されている
・拡散部材:光透過性および光拡散性を有する第1層と、反射率および透過率の入射角依存性を有する第2層とが積層された拡散部材
・拡散部材の厚み:0.2mm
・拡散部材の大きさ:4mm
・LED基板の表面から拡散部材までの距離:0.5mm
・拡散部材の第1層の光透過性:全光線透過率98%
・拡散部材の第1層の光拡散性:入射光を45°に屈折させる
・拡散部材の第2層の反射率および透過率の入射角依存性:図25参照
シミュレーション結果を図26に示す。
[試験例2]
(条件)
・構成:LED基板の上方に拡散板が配置されている
・拡散部材:粒子を含有する拡散板
・拡散板の光透過性および光拡散性:全光線透過率95%、ヘイズ85%
・拡散部材の厚み:0.5mm
・拡散部材の大きさ:4mm
・LED基板の表面から拡散部材までの距離:0.2mm
シミュレーション結果を図27に示す。
[試験例3]
(条件)
・構成:LED基板の上方に透過反射板および拡散部材がこの順に配置されている
・拡散板:粒子を含有する拡散板
・拡散板の光透過性および光拡散性:全光線透過率95%、ヘイズ85%
・透過反射板:古河電工社製の超微細発泡光反射板「MCPET」(0.5mm厚)に、ドリルによって貫通孔を設け、透過反射板を作製した。貫通孔は、LED素子の直上に位置する貫通孔の直径が0.25mmとなり、LED素子から面方向に離れるにしたがって貫通孔の直径が大きくなるように設計した。(図28参照)
・透過反射板の厚み:0.5mm
・拡散板の厚み:2.4mm
・拡散板および透過反射板の大きさ:24mm
・LED基板の表面から透過反射板までの距離:3.1mm
シミュレーション結果を図29に示す。
[試験例4]
(条件)
・構成:LED基板の上方に光学部材が配置されている
・光学部材:反射率および透過率の入射角依存性を有する第2層のみを備える光学部材
・光学部材(第2層)の厚み:0.05mm
・光学部材(第2層)の大きさ:4mm
・LED基板の表面から光学部材までの距離:0.5mm
・光学部材(第2層)の反射率および透過率の入射角依存性:図25参照
シミュレーション結果を図30に示す。
[評価]
上記シミュレーションの結果、試験例1では、照度の面内均一性が向上した。一方、試験例2では、LED基板と拡散部材との距離が試験例1よりも短いにもかかわらず、照度が不均一であった。この結果から、本開示の拡散部材の構成とすることにより、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化が可能となることが確認された。
また、試験例3では、照度の面内均一性に優れていたが、LED基板と透過反射板との距離が試験例1よりも長い。試験例2、3より、従来の拡散板や透過反射板を用いる場合、輝度の均一化を図るには、LED基板と拡散板または透過反射板との距離を長くする必要があることがわかる。この結果から、LED基板と拡散部材または拡散板または透過反射板との間に封止部材を配置する場合、本開示における拡散部材の構成とすることにより、輝度の面内均一性を向上させつつ、薄型化および軽量化が可能となることが確認された。
また、試験例1では、試験例4と比較して、照度分布における白い部分の径が大きくなった。この結果から、本開示の拡散部材の構成とすることにより、輝度の面内均一性が向上することが確認された。