以下、本発明の実施の形態に係る樹脂成形シート、樹脂成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態では、詳細に後述するように熱膨張層を膨張させることにより樹脂成形シートを成形し、樹脂成形シート上に造形物を形成する。ここで、本明細書では、「樹脂成形シート」は成形前のシートを示す。また、「造形物」は樹脂成形シートを用いて成形したシート(樹脂シート)を示す。
本明細書において、「造形物」は、凸部(凸)、凹部(凹)等の単純な形状、幾何学形状、文字、模様、装飾等の形状を、所定の面に造型(形成)されている樹脂成形シートを指す。ここで、「装飾」とは、視覚及び/又は触覚を通じて美感を想起させるものである。「造形(又は造型)」は、形のあるものを作り出すことを意味し、装飾を加える加飾、装飾を形成する造飾のような概念をも含む。また、本実施形態の造形物は、所定の面に、凹凸、幾何学形状、装飾等を有する立体物であるが、いわゆる3Dプリンタにより製造された立体物と区別するため、本実施形態の造形物を2.5次元(2.5D)オブジェクト又は疑似三次元(Pseudo-3D)オブジェクトとも呼ぶ。本実施形態の造形物を製造する技術は、2.5D印刷技術又はPseudo-3D印刷技術とも呼べる。
また、本明細書では、説明の便宜上、樹脂成形シートにおいて、熱膨張層が設けられている面を表側(表面)又は上面、基材側を裏側(裏面)又は下面という表現をする。ここで、「表」、「裏」、「上」又は「下」の用語は樹脂成形シートの使用方法を限定するものではなく、成形後の樹脂成形シートの利用方法によっては、樹脂成形シートの裏面を表として使用することもある。造形物についても同様である。
<実施形態1>
実施形態1に係る樹脂成形シート、樹脂成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法について、以下図面を用いて説明する。
(樹脂成形シート11)
樹脂成形シート11は、図1に示すように、基材31と、カラーインク層(第1のカラーインク層)32と、熱膨張層33と、を備える。本実施形態では樹脂成形シート11は、熱膨張層33が膨張されていない状態である。詳細に後述するように、樹脂成形シート11では、熱膨張層33が膨張する力を利用して、基材31を変形させる。具体的には、熱膨張層33の膨張する方向に追従するように基材31を変形させ、基材31に変形後の形状を維持させる。これにより、樹脂成形シート11上に造形物を形成する。
基材31は、カラーインク層32及び熱膨張層33を支持するシート状の部材であり、基材31の一方の面上にカラーインク層32が設けられる。基材31は、熱可塑性樹脂からなるシートである。熱可塑性樹脂としては、これらに限定するものではないが、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
また、基材31は熱によって変形しやすいことが求められるため、基材31として用いる材料、基材31の厚さ等は、熱によって容易に変形するように決定される。また、基材31は変形後の形状を維持することが必要であるため、基材31として用いる材料、基材31の厚さ等は、変形後の形状を維持可能なように決定される。また、基材31は、加工後の造形物21の用途に応じて適した材料、厚み等に設計する。例えば、造形物21の用途によっては、変形後の形状を維持するだけでなく、押圧によって変形された後に元の形状に復元可能な弾性力を有することが求められる。このような場合には、変形後の基材31が要求される弾性力を有するよう、基材31の材料等を決定する。
後述するように、成形後の造形物21は、造形物21の表面側(図3(a)に示す上面側)から造形物21を観察してもよく、造形物21の裏面側(図3(a)に示す下面側)から造形物を観察してもよい。特に造形物21の裏面側から観察する場合は、基材31の上面に設けられたカラーインク層32を視認できるよう、基材31は、透明であること又は半透明であることが好ましい。一方、造形物21の表面側から観察する場合は、基材31は透明又は半透明であってもよく、可視光透過性を有しなくともよい。
カラーインク層(第1のカラーインク層)32は、基材31の一方の面(図1では上面)上に設けられる。カラーインク層32は、文字、図形、模様等の任意の画像を表現する。カラーインク層32は、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等、任意の印刷装置を用いて形成される。従って、カラーインク層32は、これらの印刷方式を利用する装置で用いられるインクから形成される層である。また、インクは、用いる印刷装置に応じ、水性インク、溶剤系インク、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等のいずれであってもよい。なお、これらのインクを用いて印刷された層は、明確な層を構成しないこともあるが、本実施形態では説明の便宜上「層」と呼ぶ。
カラーインク層32は、基材31の全面に形成されていてもよく、一部のみに形成されていてもよい。また、カラーインク層32は、熱膨張層33下の全体に設けられている必要はなく、部分的に設けられていてもよい。また、カラーインク層32は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。なお、カラーインク層32を水性インクジェット方式で形成する場合は、基材31へ水性インクを定着させるため、基材31の一方の面上にインク受容層(図示せず)を備えることが好適である。
熱膨張層33は、カラーインク層32上に設けられる。熱膨張層33は、加熱の程度(例えば、加熱温度、加熱時間)に応じた大きさに膨張する層であって、バインダ中に熱膨張性材料(熱膨張性マイクロカプセル、マイクロパウダー)が分散配置されている。なお、熱膨張層33は、1つの層を有する場合に限らず、複数の層を有してもよい。熱膨張層33のバインダとしては、エチレン酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の任意の熱可塑性樹脂を用いる。また、熱膨張性マイクロカプセルは、プロパン、ブタン、その他の低沸点気化性物質を、熱可塑性樹脂の殻内に含むものである。殻は、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、あるいは、それらの共重合体等の熱可塑性樹脂から形成される。例えば、熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径は、約5~50μmである。このマイクロカプセルを熱膨張開始温度以上に加熱すると、樹脂からなる殻が軟化し、内包されている低沸点気化性物質が気化し、その圧力によって殻がバルーン状に膨張する。用いるマイクロカプセルの特性にもよるが、マイクロカプセルの粒径は膨張前の粒径の5倍程度に膨張する。なお、マイクロカプセルの粒径には、ばらつきがあり、全てのマイクロカプセルが同じ粒径を有するものではない。
また、本実施形態では、後述するように、基材31及び熱膨張層33の厚み、材料等は、熱膨張層33の発泡による高さの増加量よりも、基材31の変形量が多くなるように設定されることが好適である。また、特に本実施形態では、基材31を所望の形に変形させることを目的とする。このため、熱膨張層33は、少なくとも基材31を所望の形に変形可能な程度の厚みを備えればよい。このため、熱膨張層33は、基材31の厚みと同じ又は薄く形成されることが好適である。もっとも、例えば、基材31が変形しにくい材料である、造形物の形状により熱膨張層33を高く発泡させる必要がある等、熱膨張層33を厚く形成する必要がある場合には、熱膨張層33は基材31よりも厚く形成されてもよい。
加えて、本実施形態では、熱膨張層33は、熱膨張層33が膨張していない又はほぼ膨張していない領域において、熱膨張層33を介してカラーインク層32を視認することができるような厚みとされることが好適である。造形物21を観察する際の条件(明るさ等)によるが、熱膨張層33の厚みは、1μm~500μm、好ましくは1μm~200μmである。
(樹脂成形シート11の製造方法)
また、本実施形態の樹脂成形シート11は、以下に示すようにして製造される。
まず、図2(a)に示すように、基材31としてシート状の材料、例えばポリエチレンレフタレート(PET)からなるシートを用意する。基材31は、ロール状であっても、予め裁断されていてもよい。
次に、図2(b)に示すように、基材31上にカラーインク層32を形成する。ここで、カラーインク層32の印刷をするための印刷装置としては、例えば既知のオフセット印刷装置を利用する。
オフセット印刷装置は、例えば、版胴と、ブランケットと、インクローラーと、水ローラーと、圧胴と、を備える(いずれも図示せず)。版胴は、その表面に画線部と非画線部とを備える刷版を有する。画線部は親油性(撥水性)であり、非画線部は親水性である。版胴には、水ローラーによって湿し水が供給される。湿し水は、版胴上の刷版の非画線部(親水性)のみに載る。また、版胴にはインクローラーによって、インクが供給される。インクは水が載っている非画線部には載らず、インクは、刷版の画線部(親油性)上にのみ付着する。ブランケットは、例えばゴム筒から形成され、版胴上に付着したインクが転写される。また、ブランケットと対向する位置に、圧胴が設置されており、ブランケット上のインクは、ブランケットと樹脂成形シート11の表面との接触により樹脂成形シート11上に転写される。
カラーインク層32は、例えば、シアンC、マゼンタM、イエローY及びブラックKの4色のインクの画像を、オフセット印刷装置を用いて印刷することによって形成される。また、シアンC、マゼンタM、イエローY及びブラックKのインクは、既知のインクを使用する。また、各色の画像を印刷するためのオフセット印刷装置は、個別に設置されても連続して設置されてもよい。各色を連続して印刷する場合、ロールから取り出された樹脂成形シート11は、CMYKの各色の画像がオフセット印刷装置で順番に印刷される。樹脂成形シート11が巻き取られる段階では、樹脂成形シート11の表面にはカラーインク層32が印刷された状態となる。また、各色の印刷順は任意に変更可能である。
なお、本実施形態では、電磁波を照射することにより熱変換層を発熱させる。このため、カラー画像を印刷するためのブラック(K)のインク中にカーボンが含まれると、カーボンが電磁波を吸収して発熱する可能性があるため、ブラック(K)のインクにはカーボンが含まれていないことが好ましい。
次に、熱可塑性樹脂等からなるバインダと熱膨張性材料(熱膨張性マイクロカプセル)とを混合させ、熱膨張層33を形成するための塗布液を調製する。続いて、バーコータ、ローラーコータ、スプレーコータ等の公知の塗布装置を用いて、塗布液をカラーインク層32上に塗布する。続いて、塗膜を乾燥させ、図2(c)に示すように熱膨張層33を形成する。なお、目標とする熱膨張層33の厚みを得るため、塗布液の塗布及び乾燥を複数回行ってもよい。また、熱膨張層33の形成は、塗布装置以外に印刷装置を用いて形成してもよい。また、ロール状の基材31を用いた場合は、必要であれば裁断を行う。
これにより、樹脂成形シート11が製造される。
(造形物21)
次に、造形物21について図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。
造形物21は、樹脂成形シート11を成形加工したシートである。具体的に図3(a)に示すように、基材31は、上面に凸部31aを備え、下面に凸部31aに対応する形状を有する凹部31bを備える。熱膨張層33は、上面に凸部33aを備える。基材31の凸部31a及び熱膨張層33の凸部33aは、周囲の領域から突出している。カラーインク層32は、基材31と熱膨張層33との間に延びるように設けられる。
本実施形態では、詳細に後述するように、樹脂成形シート11の上面(表面)と下面(裏面)との少なくともいずれか1つの面上に、電磁波を熱に変換する電磁波熱変換層(以下、単に熱変換層又は変換層と称する)を形成し、電磁波を照射することで、熱変換層を発熱させる。例えば、図3(a)に示すように、樹脂成形シート11の表面上に熱変換層81を形成する。熱変換層81は、電磁波の照射により、熱を帯びるため、帯熱層とも呼べる。熱変換層81で生じた熱は、基材31へと伝達され、基材31を軟化させる。加えて、熱変換層81で生じた熱は、熱膨張層33へと伝達することにより、熱膨張層33中の熱膨張性材料が発泡し、その結果、熱膨張層33が膨張する。熱変換層81は、熱変換層が設けられていない他の領域と比較し、電磁波を速やかに熱へと変換する。このため熱変換層81の近傍の領域のみを選択的に加熱することができ、熱膨張層33の特定の領域のみを選択的に膨張させることができる。また、基材31は、熱膨張層33を発泡、膨張させる際に熱膨張層33の膨張する方向に追従する形で変形し、変形後はその形状を維持する。また、カラーインク層32は、基材31と熱膨張層33との間に延在し、基材31の凸部31aに沿うように変形する。
熱膨張層33が膨張することにより、熱膨張層33には図3(a)に示す凸部33aが形成される。この凸部33aが形成される際、熱膨張層33が膨張する力は基材31とは反対の方向(図3(a)に示す上側)に働く。この膨張する力に引かれるようにして、基材31は図3(a)に示す上方向に変形する。そして、周囲の領域から突出するように、基材31の上面に凸部31aが形成される。また、基材31の裏面では、表面に形成される凸部31aの形状に対応する凹部31bが形成される。凹部31bの形状は、凸部31aとほぼ同じ形状であり、基材31の厚み分だけ凸部31aを縮小させた形状である。
所謂エンボス加工の一つの手法では、上下の金型に対応する凹凸の形状を形成し、上下の金型の間にシートを挟み込み、プレスすることでシートの表面に凹凸の形状を形成する。これに対して本実施形態では、基材31は、熱膨張層33が膨張する力に引かれて変形するため、金型は用いない。しかし、変形後の形状は、エンボス加工を用いて形成される形状に類似する。このため、本明細書では、このような熱膨張層33の凸部33a、基材31の凸部31a及び凹部31bの形状をエンボス形状と表現する。
また、本実施形態の造形物21では、特に熱膨張層33を利用して基材31を変形させるため、図3(a)に示すように、基材31の変形量Δh1は、熱膨張層33の発泡高さ(差分)Δh2と比較して大きいことが好適である。なお、変形量Δh1は、基材31の変形していない領域の表面と比較した凸部31aの高さである。また、熱膨張層33の発泡高さΔh2は、熱膨張層33の膨張後の高さから、熱膨張層33の膨張前の高さを引いたものである。また、差分Δh2は、熱膨張性材料の膨張によって生じた熱膨張層33の高さの増加量とも言いうる。
基材31が透明又は半透明である場合、造形物21は、造形物21の裏側から基材31を介してカラーインク層32を視認することができる。特に、凹部31bを形成した後に凹部31bに沿うようにしてカラーインク層を形成することは容易ではない。しかし、本実施形態のように、基材31と熱膨張層33との間にカラーインク層32を設けておくことにより、凹部31bにおいて、良好にカラーインク層32(カラー画像)を形成することが可能となる。
また、造形物21の観察は、造形物21の表側(熱膨張層33側)から行ってもよい。本実施形態では、熱膨張層33は、基材31の変形に足る程度の厚みを備えればよい。従って、熱膨張層33が膨張していない又はほぼ膨張していない領域(図3(b)に示す領域B)において、熱膨張層33を介してカラーインク層32を視認することができるような厚みを有する熱膨張層33を形成することができる。なお、熱膨張層33のうち膨張した領域(例えば、図3(b)に示す領域A)は、熱膨張材料の膨張により光が散乱しやすくなり、カラーインク層32を視認しにくくなる又は視認できなくなる。従って、造形物21を表側から観察した場合、熱膨張層33が膨張しているか膨張していないかにより、カラーインク層32を視認できるか、できないかが変わる。これを利用することにより、造形物21上における表現のバリエーションを拡張することができる。
(造形物21の製造方法)
次に、上述した樹脂成形シート11を成形することによる造形物の製造方法(造形物製造処理、樹脂成形処理)の流れを説明する。以下の造形物の製造方法では、ロール状に巻かれた樹脂成形シート11を使用する場合(ロール式)を例に挙げて説明するが、枚葉式であってもよい。
まず、本実施形態の造形物21の製造方法で用いる印刷装置(図示せず)と膨張装置50について説明する。
まず、熱変換層81を、樹脂成形シート11の製造方法と同様にオフセット印刷装置を用いて形成する。この場合、オフセット印刷装置のインクローラーに供給するインクを、電磁波熱変換材料を含むインク(以下、発泡インクと称する)とする。電磁波熱変換材料(熱変換材料)は、電磁波を熱に変換可能な材料である。熱変換材料の一例としては、カーボン分子であるカーボンブラック(グラファイト)が挙げられる。この場合、電磁波を照射することにより、グラファイトが電磁波を吸収して熱振動し、熱が発生する。なお、オフセット印刷装置以外の印刷装置を用いることも可能である。
熱変換材料は、グラファイトに限られず、例えば、赤外線吸収材料などの無機材料も使用することができる。具体的には、六ホウ化金属化合物又は酸化タングステン系化合物が好ましく、特に近赤外領域で吸収率が高く(透過率が低く)、かつ可視光領域の透過率が高いことから六ホウ化ランタン(LaB6)又はセシウム酸化タングステンが好ましい。なお、上記無機赤外線吸収剤はいずれかを単独で用いてもよく、又は2つ以上の異なる材料を併用してもよい。
次に、熱膨張層33を膨張させる膨張装置50を図4に示す。膨張装置50は、照射部51、反射板52、温度センサ53、冷却部54及び筐体55を備え、照射部51、反射板52、温度センサ53及び冷却部54は筐体55内に収められている。樹脂成形シート11は、膨張装置50の下を搬送される。
照射部51は、ランプヒータ、例えばハロゲンランプを備えており、樹脂成形シート11に対して、近赤外領域(波長750~1400nm)、可視光領域(波長380~750nm)、又は、中赤外領域(波長1400~4000nm)の電磁波(光)を照射する。熱変換材料を含む発泡インクによる熱変換層81が印刷された樹脂成形シート11に電磁波を照射すると、熱変換層81が印刷された部分では、熱変換層81が印刷されていない部分に比べて、より効率良く電磁波が熱に変換される。そのため、樹脂成形シート11のうちの熱変換層81が印刷された部分が主に加熱され、膨張を開始する温度に達すると熱膨張性材料が膨張する。なお、照射部51はハロゲンランプに限られず、電磁波を照射可能であれば、他の構成を採ることも可能である。また、電磁波の波長も上記の範囲に限定されるものではない。
反射板52は、照射部51から照射された電磁波を受ける被照射体であって、ランプヒータから照射された電磁波を樹脂成形シート11に向けて反射する機構である。
温度センサ53は、熱電対、サーミスタ等であって、反射板52の温度を測定する測定手段として機能する。反射板52の温度を測定することで、照射部51が照射している電磁波の強さ、すなわち電磁波のエネルギーの大きさの指標とすることができる。
冷却部54は、反射板52の上側に設けられる。冷却部54は、少なくとも1つの給気ファンを備え、膨張装置50の内部を冷却する冷却手段として機能する。
膨張装置50において、樹脂成形シート11は、ロールから取り出され、図示しない搬送ローラーによって搬送されながら、照射部51によって照射される電磁波を受ける。その結果、樹脂成形シート11に設けられた熱変換層81が熱を帯びる。この熱が基材31及び熱膨張層33へと伝達する。基材31は、この熱によって軟化し、熱膨張層33の少なくとも一部は膨張する。結果として基材31が変形する。熱膨張層33の膨張後、樹脂成形シート11は巻き取られる。なお、基材31の変形量によっては、樹脂成形シート11は巻き取られずに、成形後すぐに裁断されてもよい。
次に、図5に示すフローチャート及び図6(a)及び図6(b)に示す樹脂成形シート11の断面図を参照して、樹脂成形シート11を成形し、シート上に造形物を形成する処理の流れを説明する。
第1に、オフセット印刷装置等を用いて、樹脂成形シート11の一方の面(表面)に熱変換層81を印刷する(ステップS1)。熱変換層81は、電磁波熱変換材料を含む発泡インクにより形成された層である。オフセット印刷装置は、指定された発泡データに従って、樹脂成形シート11の表面に、熱変換材料を含む発泡インクを印刷する。その結果、図6(a)に示すように、樹脂成形シート11の表面に熱変換層81が形成される。なお、熱変換層81を濃く印刷すると発熱量が増えるため、熱膨張層33が高く膨張する。従って、基材31の高い変形量が得られる。これを利用して熱変換層81の濃淡の制御により、変形高さを制御することもできる。
第2に、熱変換層81が印刷された樹脂成形シート11を、表面が上側を向くように膨張装置50へと搬送する。膨張装置50では、搬送された樹脂成形シート11へ照射部51によって電磁波を照射する(ステップS2)。具体的に説明すると、膨張装置50では、照射部51によって樹脂成形シート11の表面に電磁波を照射する。樹脂成形シート11の表面に印刷された熱変換層81に含まれる熱変換材料は、照射された電磁波を吸収することによって発熱する。その結果、熱変換層81が発熱し、基材31が軟化する。更に、熱変換層81で生じた熱は熱膨張層33に伝達し、熱膨張性材料が発泡、膨張する。その結果、図6(b)に示すように、樹脂成形シート11の熱膨張層33のうちの熱変換層81が印刷された領域が膨張し、盛り上がる。熱変換層81からの熱により軟化された基材31は、熱膨張層33の膨張する力に引かれて変形する。また、基材31は冷却後、変形した形状を維持する。
以上のような手順によって、造形物21が製造される。
本実施形態の造形物の製造方法では、熱膨張層33が膨張する力を利用し、基材31を変形させるため、金型を用いることがなく容易に基材31を変形させることができる。
また、本実施形態では、樹脂成形シート11が基材31と熱膨張層33との間にカラーインク層32を備えることにより、変形させた後にカラーインク層32を形成することを省略することができる。特に、基材31の凹部31bにカラーインク層を形成する場合、凹部31bを形成した後に凹部31bへ印刷を施すことは難しいという問題があった。しかし、本実施形態では、基材31の一方の面上の凹部31bが形成される領域に、カラーインク層32が事前に形成されている。基材31が半透明又は透明であり、造形物21の裏面から造形物を観察する場合、カラーインク層32は基材31を介して視認できるため、凹部31b内にも良好にカラー画像を設けることができる。結果として、基材と熱膨張層のみを備える樹脂成形シートと比較して造形物21における表現を多様化させることが可能となる。
また、造形物21の表面から造形物を観察する場合、熱膨張層33による透過性の差を利用することができる。熱膨張層33下に設けられたカラーインク層32が熱膨張層33を介して視認できる領域と視認できない領域と透けない領域を設けることができる。これによっても、造形物21における表現の幅を拡げることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、樹脂成形シート11の表面のみに熱変換層81を形成する場合を例に挙げて説明しているが、熱変換層81に代えて、樹脂成形シート11の他方の面(裏面、図1に示す下面)に熱変換層を設けてもよい。この場合、上記のステップS1において、熱変換層を形成する面を裏面とする。また、ステップS2において、膨張装置50へ搬送する場合に樹脂成形シート11の裏面が上側に向くように搬送すると好適である。
また、樹脂成形シート11の表側及び裏側の両方の面上に熱変換層を設け、それぞれに電磁波を照射し、熱膨張層33を膨張させることも可能である。図7は、この場合の造形物製造処理のフローチャートを示し、図8(a)~図8(d)は、造形物製造処理を説明する断面図を示す。
まず、実施形態1と同様にして、例えば、オフセット印刷装置を用い、図8(a)に示すように、樹脂成形シート11の表側に熱変換層81を形成する(ステップS21)。続いて、樹脂成形シート11の表側が上を向くようにして、膨張装置50中に樹脂成形シート11を搬送し、熱変換層81に対して電磁波を照射する(ステップS22)。結果として、図8(b)に示すように、熱膨張層33のうち熱変換層81が設けられた領域が膨張し、凸部33dが形成される。なお、この時点では基材31は変形しても変形しなくともよい。
続いて、任意の印刷装置を用い、図8(c)に示すように、樹脂成形シート11の裏側に裏側熱変換層82を設ける(ステップS23)。次に、樹脂成形シート11の裏側が上を向くようにして、膨張装置50中に樹脂成形シート11を搬送し、裏側熱変換層82に対して電磁波を照射する(ステップS24)。結果として、図8(d)に示すように、熱膨張層33のうち裏側熱変換層82が設けられた領域が膨張し、凸部33aが形成される。また、熱膨張層33の膨張する力に引かれ、基材31が変形し、凸部31a及び凹部31bが形成される。
図7及び図8(a)~図8(d)に示す造形物の製造方法によれば、熱膨張層33の一部だけを更に膨張させることができ、造形物における表現の幅が更に拡大する。
なお、熱変換層81と裏側熱変換層82とが形成される領域は、図8(a)~図8(d)に示すように同じである必要はなく、異なっていてもよい。また、樹脂成形シートの表面及び裏面の両方に熱変換層を設けた上で、膨張工程は1回とすることも可能である。この場合は、図7に示すフローチャートのステップS21及びステップS23を、この順または逆の順で実施した後、ステップS22またはステップS24を実行する。加えて、表面と裏面とのいずれに先に熱変換層を形成してもよい。
<実施形態2>
以下、実施形態2に係る樹脂成形シート、樹脂成形シートの製造方法、造形物及び造形物の製造方法について、図を用いて説明する。本実施形態の樹脂成形シート及び造形物が実施形態1に係る樹脂成形シート及び造形物と異なるのは、熱膨張層33上に第2のカラーインク層34を備える点にある。実施形態1と共通する部分については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
(樹脂成形シート12)
樹脂成形シート12は、図9に示すように、基材31と、カラーインク層32と、熱膨張層33と、第2のカラーインク層34とを備える。
第2のカラーインク層34は、熱膨張層33上に設けられる。第2のカラーインク層34は、第1のカラーインク層32と同様に、文字、図形、模様等の任意の画像を表現する。第2のカラーインク層34が形成される位置は任意であり、熱膨張層33上の全体に形成されてもよく、熱膨張層33上の一部に設けられてもよい。例えば、第2のカラーインク層34は、図示するように熱膨張層33が膨張する部分(図11に示す凸部33a)上に設けられる。第2のカラーインク層34が設けられる領域は、図示した例に限られず、任意である。例えば、第2のカラーインク層34は、凸部33aの一部を覆って設けられてもよく、熱膨張層33の凸部33a以外の領域に設けられてもよく、凸部33aの一部又は全部と凸部33a以外の領域の一部又は全部とに設けられてもよい。
また、第2のカラーインク層34は、第1のカラーインク層32と同様にオフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等、任意の印刷方式を用いて形成される。従って、第2のカラーインク層34は、これらの印刷方式を利用する印刷装置で用いられるインクから形成される層である。また、インクは、用いる印刷装置に応じ、水性インク、溶剤系インク、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等のいずれであってもよい。第2のカラーインク層34は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。
(樹脂成形シート12の製造方法)
次に、本実施形態の樹脂成形シート12の製造方法について図を用いて説明する。まず、実施形態1と同様の手順で、図10(a)~図10(c)に示すように、基材31上に、カラーインク層32と熱膨張層33とを形成する。続いて、カラーインク層32と同様にオフセット印刷装置等を利用して、図10(d)に示すように、第2のカラーインク層34を熱膨張層33上に形成する。なお、第2のカラーインク層34は、オフセット印刷装置以外の印刷装置を用いて形成してもよい。これにより、樹脂成形シート12が形成される。
(造形物22)
造形物22は、樹脂成形シート12を成形加工したシートである。造形物22の基材31、カラーインク層32及び熱膨張層33については、実施形態1と同様である。具体的には、図11に示すように、基材31は、凸部31aに対応する形状を有する凹部31bを備える。熱膨張層33は、上面に凸部33aを備える。基材31の凸部31a及び熱膨張層33の凸部33aは、周囲の領域から突出している。カラーインク層32は、基材31と熱膨張層33との間に延びるように設けられる。特に本実施形態では、第2のカラーインク層34が熱膨張層33の凸部33a上に設けられる。また、第2のカラーインク層34上には熱変換層81が設けられる。なお、第2のカラーインク層34が設けられる領域は、上記のように図示した例に限られず任意である。
造形物22が第2のカラーインク層34を備えることにより、造形物22における表現の幅を拡げることが可能となる。具体的には、造形物22を表側(第2のカラーインク層34が設けられた側)から観察する場合、膨張していない又はほぼ膨張していない領域(図11に示す領域B)では、熱膨張層33を介してカラーインク層32を視認することができる。加えて、図11に示す領域Aでは熱膨張層33上に設けられた第2のカラーインク層34を視認することができる。従って、造形物22を表側から観察した場合、直接視認することができる第2のカラーインク層34だけでなく、熱膨張層33を介してカラーインク層32を視認することができる。また、熱膨張層33の形状によって、立体的な形状の表現も可能となる。これらを組み合わせることによって、造形物22における表現の幅を拡げることが可能となる。
また、基材31が透明又は半透明である場合、造形物22は、造形物22の裏側から基材31を介してカラーインク層32を視認することができる。加えて、熱膨張層33が膨張していない領域(図11に示す領域B)では、カラーインク層32と第2のカラーインク層34との形状により、熱膨張層33を介して第2のカラーインク層34を視認することもできる。従って、造形物22を裏側から観察した場合、基材31の形状、カラーインク層32、熱膨張層33及び第2のカラーインク層34によって造形物が表現される。結果として造形物22における表現の幅を拡げることが可能となる。
熱変換層81は、図11に示すように第2のカラーインク層34上に設けられる場合は、色味が抑えられた発泡インクによって形成されることが好適である。このような発泡インクは、例えば赤外線吸収材料(例えば、セシウム酸化タングステン、六ホウ化ランタン)を含む。また、熱変換層81は、第2のカラーインク層34の下に設けられていてもよい。この場合は、樹脂成形シート12を製造する際に、第2のカラーインク層34を形成する前に、熱変換層81を形成し、その上に第2のカラーインク層34を形成してもよい。
(造形物22の製造方法)
次に、樹脂成形シート12を成形することによる、造形物22の製造方法について説明する。造形物22の製造方法は、実施形態1と同様にして行われるため、実施形態1のフローチャート等を用いて説明する。
具体的には、第1に、オフセット印刷装置等を用いて、樹脂成形シート12の表面に熱変換層81を印刷する(ステップS1)。続いて、第2に、熱変換層81が印刷された樹脂成形シート12を、表面が上側を向くように膨張装置50へと搬送する。膨張装置50では、搬送された樹脂成形シート12へ照射部51によって電磁波を照射する(ステップS2)。これにより、熱変換層81が発熱し、基材31が軟化する。更に、熱変換層81で生じた熱は熱膨張層33に伝達し、熱膨張性材料が発泡、膨張する。その結果、熱変換層81からの熱により軟化された基材31は、熱膨張層33の膨張する力に引かれて変形する。また、基材31は冷却後、変形した形状を維持する。
以上のような手順によって、樹脂成形シート12の表面上に造形物が形成され、造形物22が製造される。
第2のカラーインク層34については、造形物22の製造する際に形成することができる。この場合は、上述したステップS1の前又は後に、オフセット印刷装置等を用いて熱膨張層33上に第2のカラーインク層34を形成する。ステップS1の前に第2のカラーインク層34を印刷する場合は、第2のカラーインク層34上に熱変換層81が形成されることがある。この場合は、熱変換層81は、色味を抑えた発泡インクで印刷されることが好ましい。また、ステップS1の後に熱変換層81を印刷する場合は、図11に示す例とは異なり、熱変換層81上に第2のカラーインク層34が形成される。
また、第2のカラーインク層34は、造形物22の成形後に形成してもよい。この場合は、上述したステップS2の後に、第2のカラーインク層34を形成する工程を設ける。なお、ステップS2の後では、熱膨張層33には既に凸部33aが形成されているため、フレキソ印刷装置等、凹凸のある面にも可能な印刷方式を採用することが好適である。
本実施形態の造形物の製造方法では、実施形態1と同様に、金型を用いず容易に基材31を変形させることができる。また、カラーインク層32に加え、第2のカラーインク層34を有することにより、更に造形物22によって表現可能な範囲を拡げることが可能となる。
基材31の下面には、図12(a)及び図12(b)に示すように、更に第3のカラーインク層35を設けてもよい。第3のカラーインク層35は、第1のカラーインク層32等と同様に、文字、図形、模様等の任意の画像を表現する層である。第3のカラーインク層35は、基材31の下面に設けられる。なお、第3のカラーインク層35が形成される位置は任意であり、基材31の下面の全体に形成されてもよく、一部であってもよい。また、第3のカラーインク層35は、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等、任意の印刷方式を用いて形成される。従って、第3のカラーインク層35は、これらの印刷方式を利用する印刷装置で用いられる水性インク、溶剤系インク、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等のインクから形成される層である。第3のカラーインク層35は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。
第3のカラーインク層35は、熱膨張層33を膨張させる前に形成されてもよく、熱膨張層33の膨張後であってもよい。例えば、熱膨張層33を膨張させる前に形成する場合は、樹脂成形シート12の製造方法において、基材31上にカラーインク層32を形成する前、カラーインク層32を形成した後、又は熱膨張層33を形成した後のいずれかで、第3のカラーインク層35を形成することができる。この場合は、例えばオフセット印刷装置を利用してもよく他の印刷装置を用いてもよい。また、造形物22の製造時に形成することも可能である。この場合は、図5に示すフローチャートのステップS1の前又は後に、例えばオフセット印刷装置を利用し、基材31の下面に第3のカラーインク層35を形成する。また、熱膨張層33を膨張させた後に第3のカラーインク層35を形成することもできる。この場合は、図5に示すステップS2の後に、第3のカラーインク層35を形成する工程を加える。なお、熱膨張層33の膨張後は基材31の下面には凹部31bが形成されているため、フレキソ印刷方式等、凹凸のある面にも可能な印刷方式を採用することが好適である。
造形物22を表側から観察した場合には、基材31が透明又は半透明であれば、熱膨張層33が膨張していない、ほぼ膨張していない領域(図11に示す領域B)では、カラーインク層32が設けられる位置、色等によって第3のカラーインク層35を視認することができる。従って、熱膨張層33下に設けられたカラーインク層32と、熱膨張層33の隆起(凸又は凹凸)と、第2のカラーインク層34と、第3のカラーインク層35とによって造形物を表現することができる。また、造形物21を裏側から観察する場合も、基材31が透明又は半透明であればカラーインク層32を視認することができる。加えて、熱膨張層33が膨張していない、ほぼ膨張していない領域では、カラーインク層32が設けられる位置、色等によって第2のカラーインク層34を基材31及び熱膨張層33を介して視認することができる。従って、造形物21を裏面から観察する場合は、基材31の形状と、カラーインク層32と、第2のカラーインク層34と、第3のカラーインク層35とで造形物を表現することができる。従って、第3のカラーインク層35を備えることにより、更に造形物22における表現の幅を拡げることができる。
特に、造形物22の表側には熱膨張層33が形成されているため、熱膨張層33上に設けられた第2のカラーインク層34はマットな質感を呈する。一方、造形物22の裏面には樹脂からなる基材31が設けられるため、基材31の裏面上に設けられる第3のカラーインク層35は、光沢のある質感、いわゆるグロス感を呈する。このような材料の質感の違いを利用し、造形物22の表側と裏側とで異なる質感を表現することも可能である。
なお、樹脂成形シート12及び造形物22は、図12(a)及び図12(b)に示す構成に限られず、第2のカラーインク層34を省略することも可能である。
上述した実施形態では、樹脂成形シート12の表面のみに熱変換層81を形成する場合を例に挙げて説明しているが、実施形態1で述べたように、熱変換層81に代えて、樹脂成形シート12の裏面(図9に示す下面)に熱変換層を設けてもよい。この場合、上記のステップS1において、熱変換層を形成する面を裏面とする。また、ステップS2において、膨張装置50へ搬送する場合に裏面が上側に向くように搬送すると好適である。また、実施形態1で述べたように、樹脂成形シートの表面及び裏面の両方に熱変換層を設けることも可能である。この場合は、樹脂成形シートの表側及び裏側の両方の面上に熱変換層を設け、1回の膨張工程で熱膨張層を膨張させてもよい。また、図7及び図8(a)~図8(d)に示す例と同様に、樹脂成形シートの表側及び裏側の両方の面上に熱変換層を設け、それぞれに電磁波を照射し、熱膨張層を膨張させることも可能である。
<実施形態3>
以下、実施形態3に係る樹脂成形シート13及び造形物23について、図を用いて説明する。本実施形態の樹脂成形シート13及び造形物23が実施形態1に係る樹脂成形シート11及び造形物21と異なるのは、熱膨張層36がパターニングされており、樹脂成形シート13の全体に形成されていない点にある。実施形態1と共通する部分については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
(樹脂成形シート13)
樹脂成形シート13は、図13に示すように、基材31と、カラーインク層32と、熱膨張層36とを備える。
基材31及びカラーインク層32は、実施形態1と同様である。なお、カラーインク層32は、基材31の全体を覆うように図示されているが、これに限られない。カラーインク層32は、基材31上に部分的に設けられてもよい。また、熱膨張層36下においても熱膨張層36下に全体的に設けられている必要はなく、部分的に設けられていてもよい。加えて、図13に示すように、カラーインク層32は、熱膨張層36に覆われずに露出している領域を有してもよい。また、図13とは異なり、カラーインク層32は、熱膨張層36下のみに形成されていてもよい。
熱膨張層36は、基材31上に設けられ、基材31と熱膨張層36との間にカラーインク層32が設けられる。本実施形態では、熱膨張層36はパターニングされている。またカラーインク層32は、表現する画像により形成される領域が変化する。従って、熱膨張層36がカラーインク層32全体を覆っているとは限らず、熱膨張層36はカラーインク層32の少なくとも一部上に設けられている。熱膨張層36は、実施形態1と同様に加熱の程度(例えば、加熱温度、加熱時間)に応じた大きさに膨張する層であって、バインダ中に熱膨張性材料(熱膨張性マイクロカプセル、マイクロパウダー)が分散配置されている。本実施形態の熱膨張層36は、パターニングされており、樹脂成形シート13の表側の面において部分的に設けられている。熱膨張層36は、少なくとも基材31を変形させる領域に設けられる。なお、熱膨張層36は、樹脂成形シート13によって表現する造形物によっては、基材31を変形させない領域にも設けることができる。熱膨張層36のパターニング形状は任意であり、文字、図形、模様等の形であってもよい。
また、本実施形態でも、後述するように、基材31及び熱膨張層33の厚み、材料等は、熱膨張層36の発泡による高さの増加量よりも、基材31の変形量が多くなるように設定されることが好適である。また、特に本実施形態でも、基材31を所望の形に変形させることを目的とする。このため、熱膨張層36は、少なくとも基材31を所望の形に変形可能な程度の厚みを備えればよく、熱膨張層33は、基材31の厚みと同じ又は薄く形成されることが好適である。もっとも、例えば、基材31が変形しにくい材料である、造形物の形状により熱膨張層36を高く発泡させる必要がある等、熱膨張層36を厚く形成する必要がある場合には、熱膨張層36は基材31よりも厚く形成されてもよい。
(樹脂成形シート13の製造方法)
次に、本実施形態の樹脂成形シート13の製造方法を、図14(a)~図14(c)を参照して説明する。
まず、実施形態1と同様に、図14(a)に示すように、基材31を準備する。続いて、図14(b)に示すように、オフセット印刷装置等を使用し、基材31上にカラーインク層32を形成する。続いて、図14(c)に示すように、カラーインク層32上に、熱膨張層36を形成する。本実施形態では、熱膨張層36は、スクリーン印刷、オフセット印刷等の印刷方式によって形成する。具体的にはバインダ中に熱膨張性材料を含むインクを調製し、スクリーン印刷装置を用いて、カラーインク層32上に印刷を施す。これにより、樹脂成形シート13の表側の面において特定の領域のみに熱膨張層36を設けることができる。
(造形物23)
造形物23は、樹脂成形シート13を成形加工したシートである。具体的には、図15に示すように基材31は、凸部31aに対応する形状を有する凹部31bを備える。熱膨張層36は、上面に凸部36aを備える。基材31の凸部31a及び熱膨張層36の凸部36aは、周囲の領域から突出している。また、熱膨張層36の凸部36a上には熱変換層81が設けられる。カラーインク層32は、基材31と熱膨張層33との間に設けられる。また、カラーインク層32は、図13に示すように、熱膨張層36に覆われず、露出している領域を有していてもよく、図13とは異なり、全てが熱膨張層36下に形成されていてもよい。
(造形物23の製造方法)
次に、樹脂成形シート13を成形し、造形物を製造する処理は、実施形態1と同様にして行われるため、実施形態1に示すフローチャート(図5)を用いて説明する。
具体的には、第1に、オフセット印刷装置等を用いて、樹脂成形シート13の表面に熱変換層81を形成する(ステップS1)。続いて、第2に、熱変換層81が形成された樹脂成形シート13を、表面が上側を向くように膨張装置50へと搬送する。膨張装置50では、搬送された樹脂成形シート13へ照射部51によって電磁波を照射する(ステップS2)。これにより、熱変換層81が発熱し、基材31が軟化する。更に、熱変換層81で生じた熱は熱膨張層36に伝達し、熱膨張性材料が発泡、膨張する。その結果、熱変換層81からの熱により軟化された基材31は、熱膨張層36の膨張する力に引かれて変形する。また、基材31は冷却後、変形した形状を維持する。
以上のような手順によって、樹脂成形シート13の表面上に造形物が形成され、造形物23が製造される。
本実施形態の造形物の製造方法では、実施形態1と同様に、金型を用いず容易に基材31を変形させることができる。また、熱膨張層36がパターニングされていることにより、更に造形物23によって表現可能な範囲を拡げることが可能となる。
造形物23は、パターニングされた熱膨張層36を備えることにより、造形物23における表現の幅を拡げることが可能となる。造形物23を表側(熱膨張層36が設けられた側)から観察する場合、熱膨張層36が形成されていない領域では、直接カラーインク層32及び/又は基材31を視認することができる。また、熱膨張層36を、基材31を変形させない領域にも形成し、当該領域では熱膨張層36を膨張させなければ、熱膨張層36を介してカラーインク層32を視認することもできる。
また、基材31が透明又は半透明である場合、造形物23では、造形物23の裏側から基材31を介してカラーインク層32を視認することができる。加えて、熱膨張層36が形成されていない領域では、基材31が透明又は半透明であることを利用し、透光性を持たせることもできる。
従って、本実施形態の造形物23では、基材31、カラーインク層32及び熱膨張層36によって造形物が表現され、結果として造形物23における表現の幅を拡張することができる。
<実施形態4>
以下、実施形態4に係る樹脂成形シート14及び造形物24について、図を用いて説明する。本実施形態の樹脂成形シート14及び造形物24が、上述した各実施形態に係る樹脂成形シート及び造形物と異なるのは、熱膨張層36が実施形態3と同様にパターニングされており、更に熱膨張層36上に実施形態2と同様の第2のカラーインク層34を備える点にある。上述した実施形態と共通する部分については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
(樹脂成形シート14)
樹脂成形シート14は、図16に示すように、基材31と、カラーインク層32と、熱膨張層36と、第2のカラーインク層34とを備える。
第2のカラーインク層34は、第1のカラーインク層32と同様に、文字、図形、模様等の任意の画像を表現する。第2のカラーインク層34が形成される位置は任意であり、基材31とカラーインク層32と熱膨張層36との少なくともいずれか1つの上に形成される。例えば、第2のカラーインク層34は図16に示すように熱膨張層36上の全体(図18に示す凸部36a)に形成されてもよく、熱膨張層36上に部分的に設けられてもよい。また、熱膨張層36の凸部36a以外の領域に設けられてもよく、凸部36aの一部又は全部と凸部36a以外の領域の一部又は全部とに設けられてもよい。また、第2のカラーインク層34は、基材31上のカラーインク層32が設けられていない領域に設けられてもよい。
また、第2のカラーインク層34は、フレキソ印刷等の任意の印刷装置を用いて形成される。従って、第2のカラーインク層34は、印刷装置で用いられるインクから形成される層である。また、インクは、用いる印刷装置に応じ、水性インク、溶剤系インク、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等のいずれであってもよい。第2のカラーインク層34は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。
(樹脂成形シート14の製造方法)
本実施形態の樹脂成形シート14のカラーインク層32及び熱膨張層36は、図17(a)~図17(c)に示すように、実施形態3と同様の方法によって基材31上に形成される。本実施形態では、熱膨張層36を形成した後、基材31とカラーインク層32と熱膨張層36との少なくともいずれか1つの上に、図17(d)に示すように、第2のカラーインク層34を形成する。なお、第2のカラーインク層34は、フレキソ印刷等の任意の印刷装置を用いて形成される。
(造形物24)
造形物24は、樹脂成形シート14を成形加工したシートである。具体的には、図18に示すように基材31、カラーインク層32及び熱膨張層36は、実施形態3の造形物23と同様である。基材31は、凸部31aに対応する形状を有する凹部31bを備える。熱膨張層36は、上面に凸部36aを備える。基材31の凸部31a及び熱膨張層36の凸部36aは、周囲の領域から突出している。カラーインク層32は、基材31と熱膨張層36との間に延びるように設けられる。特に本実施形態では、第2のカラーインク層34が熱膨張層36の凸部36a上に設けられる。また、熱変換層81は凸部36aが設けられる領域に形成され、図18に示す例では、第2のカラーインク層34上に設けられている。なお、第2のカラーインク層34が設けられる領域は、上記のように図示した例に限られず任意である。
造形物24が第2のカラーインク層34を備えることにより、造形物24における表現の幅を拡げることが可能となる。造形物24を表側(第2のカラーインク層34が設けられた側)から観察する場合、熱膨張層36が形成されていない領域では、直接基材31と、カラーインク層32と、第2のカラーインク層34との少なくともいずれか1つを視認することができる。また、熱膨張層36を、基材31を変形させない領域にも形成し、当該領域では熱膨張層36を膨張させなければ、熱膨張層36を介してカラーインク層32を視認することもできる。
また、基材31が透明又は半透明である場合、造形物24では、造形物24の裏側から基材31を介してカラーインク層32等を視認することができる。加えて、熱膨張層36が形成されていない領域では、基材31が透明又は半透明であることを利用し、透光性を持たせることもできる。
従って、基材31、カラーインク層32、熱膨張層36及び第2のカラーインク層34によって造形物が表現され、結果として造形物24上で表現可能なバリエーションを拡張することができる。
(造形物24の製造方法)
次に、樹脂成形シート14を成形し、造形物を製造する処理は、実施形態1と同様にして行われるため、実施形態1に示すフローチャート(図5)を用いて説明する。
具体的には、第1に、フレキソ印刷装置等の好適な印刷装置を用いて、樹脂成形シート14の表面に、熱変換層81を印刷する(ステップS1)。続いて、第2に、熱変換層81が印刷された樹脂成形シート14を、表面が上側を向くように膨張装置50へと搬送する。膨張装置50では、搬送された樹脂成形シート14へ照射部51によって電磁波を照射する(ステップS2)。これにより、熱変換層81が発熱し、基材31が軟化する。更に、熱変換層81で生じた熱は熱膨張層36に伝達し、熱膨張性材料が発泡、膨張する。その結果、熱変換層81からの熱により軟化された基材31は、熱膨張層36の膨張する力に引かれて変形する。また、基材31は冷却後、変形した形状を維持する。
以上のような手順によって、樹脂成形シート14の表面上に造形が施され、造形物24が製造される。
なお、第2のカラーインク層34については、造形物24を製造する際に形成することもできる。この場合は、上述したステップS1の前又は後に、任意の印刷装置を使用し、樹脂成形シート14上に第2のカラーインク層34を形成する。
また、第2のカラーインク層34は、造形物24の製造後に形成してもよい。この場合は、上述したステップS2の後に、第2のカラーインク層34を形成する工程を設けてもよい。なお、ステップS2の後では、熱膨張層36には既に凸部36aが形成されているため、フレキソ印刷装置等、凹凸のある面にも可能な印刷方式を採用することが好適である。
本実施形態の造形物の製造方法では、実施形態1と同様に、金型を用いず容易に基材31を変形させることができる。また、カラーインク層32に加え、第2のカラーインク層34を有することにより、更に造形物24によって表現可能な範囲を拡げることが可能となる。
本実施形態でも、実施形態2と同様に、基材31の下面に、図19(a)及び図19(b)に示すように、更に第3のカラーインク層35を設けてもよい。第3のカラーインク層35は、第1のカラーインク層32等と同様に、文字、図形、模様等の任意の画像を表現する層である。第3のカラーインク層35は、基材31の下面に設けられる。第3のカラーインク層35が形成される位置は任意であり、基材31の全体に形成されてもよく、一部であってもよい。また、第3のカラーインク層35は、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット方式等、任意の印刷方式を用いて形成される。従って、第3のカラーインク層35は、これらの印刷方式を利用する印刷装置で用いられる水性インク、溶剤系インク、紫外線硬化型インク又は電子線硬化型インク等のインクから形成される層である。第3のカラーインク層35は、有彩色に限らず、無彩色であってもよい。
また、第3のカラーインク層35は、熱膨張層36を膨張させる前に形成されてもよく、熱膨張層36の膨張後であってもよい。例えば、熱膨張層36を膨張させる前に形成する場合は、樹脂成形シート14の製造方法において、基材31上にカラーインク層32を形成する前、カラーインク層32を形成した後、又は熱膨張層36を形成した後のいずれかで、第3のカラーインク層35を形成することができる。この場合は、例えばオフセット印刷装置を利用してもよく他の印刷装置を用いてもよい。また、造形物24の製造時に形成することも可能である。この場合は、図5に示すフローチャートのステップS1の前又は後に、任意の印刷装置を利用し、基材31の下面に第3のカラーインク層35を形成する。また、熱膨張層36を膨張させた後に第3のカラーインク層35を形成することもできる。この場合は、図5に示すステップS2の後に、第3のカラーインク層35を形成する工程を加える。なお、熱膨張層36の膨張後は基材31の下面には凹部31bが形成されているため、フレキソ印刷方式等、凹凸のある面にも可能な印刷方式を採用することが好適である。
造形物24を表面から観察した場合には、基材31が透明又は半透明であれば、熱膨張層36が膨張していない、ほぼ膨張していない領域では、カラーインク層32が設けられる位置、色等によって第3のカラーインク層35を視認することができる。従って、熱膨張層36下に設けられたカラーインク層32と、熱膨張層36の隆起(凸又は凹凸)と、第3のカラーインク層35とによって造形物を表現することができる。
また、造形物24を裏面から観察する場合も、基材31が透明又は半透明であればカラーインク層32を視認することができる。加えて、熱膨張層36が膨張していない、ほぼ膨張していない領域では、カラーインク層32が設けられる位置、色等によって第2のカラーインク層34を基材31及び熱膨張層36を介して視認することができる。従って、造形物21を裏面から観察する場合は、基材31の形状と、カラーインク層32と、第2のカラーインク層34と、第3のカラーインク層35とで造形物を表現することができる。従って、第3のカラーインク層35を備えることにより、更に造形物21に形成される造形物の表現の幅を拡げることができる。
特に、造形物24の表面には熱膨張層36が形成されているため、熱膨張層36上に設けられた第2のカラーインク層34はマットな質感を呈する。一方、造形物22の裏面には樹脂からなる基材31が設けられるため、基材31の裏面上に設けられる第3のカラーインク層35は、光沢のある質感、いわゆるグロス感を呈する。このような材料の質感の違いを利用し、造形物22の表面と裏面とで異なる質感を表現することも可能である。
なお、第2のカラーインク層34を省略し、第3のカラーインク層35だけが形成されてもよい。
本実施形態でも、実施形態1で述べたように、熱変換層81に代えて、樹脂成形シート14の裏面(図16に示す下面)に裏側熱変換層を設けることもできる。この場合、上記のステップS1において、熱変換層を形成する面を裏面とする。また、ステップS2において、膨張装置50へ搬送する場合に裏面が上側に向くように搬送すると好適である。また、実施形態1で述べたように、樹脂成形シート14の表面及び裏面の両方に熱変換層を設けることも可能である。この場合は、樹脂成形シートの表側及び裏側の両方の面上に熱変換層を設け、1回の膨張工程で熱膨張層を膨張させてもよい。また、図7及び図8(a)~図8(d)に示すように、樹脂成形シート14の表側及び裏側の両方の面上に熱変換層を設け、それぞれに電磁波を照射し、熱膨張層を膨張させることも可能である。
本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変形、応用が可能である。また、各実施形態に記載の構成を適宜組み合わせてもよい。
また、上述した各実施形態では、造形物の製造方法において、印刷装置と膨張装置が独立した構成を例に挙げて説明したがこれに限られず、印刷装置と膨張装置とが同じ筐体に収められた印刷システムのような装置を用いることも可能である。また、各カラーインク層は、インクジェット方式によって印刷することも可能である。特に水性インクジェット方式によってカラーインク層を形成する場合は、必要に応じてインクを定着させるためのインク受容層を更に備えてもよい。
また、上述した各実施形態では、熱変換層を樹脂成形シートの表面に形成した場合は、表面から熱変換層へ電磁波を照射する構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、熱変換層を樹脂成形シートの表面に形成し、電磁波の照射は樹脂成形シートの裏面から行うことも可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記]
[付記1]
樹脂からなる基材の一方の面上に設けられたカラーインク層と、前記カラーインク層の少なくとも一部上に設けられ、熱膨張性材料を含む熱膨張層とを備える樹脂成形シートを用い、
前記樹脂成形シートの一方の面と他方の面との少なくともいずれか一方の面に、電磁波を熱に変換する熱変換材料を含む熱変換層を形成し、
前記熱変換層に電磁波を照射することにより生じた熱によって、前記熱膨張層を膨張させ、前記熱膨張層の膨張に追従させて前記基材を変形させる、
ことを特徴とする造形物の製造方法。
[付記2]
前記カラーインク層は、前記基材が前記熱膨張層の膨張に追従して変形する領域に設けられる、
ことを特徴とする付記1に記載の造形物の製造方法。
[付記3]
樹脂からなる基材の一方の面上に設けられたカラーインク層と、
前記カラーインク層の少なくとも一部上に設けられ、熱膨張性材料を含む熱膨張層と、
を備えることを特徴とする樹脂成形シート。
[付記4]
前記カラーインク層は、前記熱膨張層が電磁波を熱に変換する熱変換材料を含む熱変換層によって膨張される領域下に設けられる、
ことを特徴とする付記3に記載の樹脂成形シート。
[付記5]
前記熱膨張層上に設けられた第2のカラーインク層と、前記基材の他方の面上に設けられた第3のカラーインク層との少なくともいずれか一方を更に備える、
ことを特徴とする付記3又は4に記載の樹脂成形シート。
[付記6]
前記熱膨張層は、パターニングされている、
ことを特徴とする付記3乃至5のいずれか1つに記載の樹脂成形シート。
[付記7]
前記基材は、透明又は半透明である、
ことを特徴とする付記3乃至6のいずれか1つに記載の樹脂成形シート。
[付記8]
付記3乃至6のいずれか1つに記載の樹脂成形シートを備え、
前記樹脂成形シートの一方の面と他方の面との少なくともいずれか一方の面に、電磁波を熱に変換する熱変換材料を含む熱変換層が設けられており、
前記熱変換層が形成された領域の前記熱膨張層が膨張されており、
前記基材は、前記熱膨張層の膨張に追従して変形されている、
ことを特徴とする造形物。
[付記9]
前記カラーインク層は、前記基材が前記熱膨張層の膨張に追従して変形する領域に設けられる、
ことを特徴とする付記8に記載の造形物。
[付記10]
樹脂からなる基材の一方の面上にカラーインク層を形成する工程と、
前記カラーインク層の少なくとも一部上に、熱膨張性材料を含む熱膨張層を形成する熱膨張層形成工程と、
を備えることを特徴とする樹脂成形シートの製造方法。
[付記11]
前記カラーインク層を、前記熱膨張層が電磁波を熱に変換する熱変換材料を含む熱変換層によって膨張される領域下に形成する、
ことを特徴とする付記10に記載の樹脂成形シートの製造方法。
[付記12]
前記熱膨張層上に第2のカラーインク層を形成する工程と、
前記基材の他方の面上に第3のカラーインク層を形成する第3のカラーインク層を形成する工程と、の少なくとも一方を更に備える、
ことを特徴とする付記10又は11に記載の樹脂成形シートの製造方法。
[付記13]
前記熱膨張層形成工程では、パターニングにより前記熱膨張層を形成する、
ことを特徴とする付記10乃至12のいずれか1つに記載の樹脂成形シートの製造方法。
[付記14]
前記基材は、透明又は半透明である、
ことを特徴とする付記10乃至13のいずれか1つに記載の樹脂成形シートの製造方法。