<概要>
典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。図1~図13は、本実施形態に係る眼科装置を説明する図である。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用され得る。
<ディスプレイ>
例えば、検眼装置は、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ11)を備えていてもよい。ディスプレイは、被検眼に検査視標を表示する。ディスプレイは、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、プラズマディスプレイ、等の少なくともいずれかであってもよい。
本実施例では、より細かな検査視標を表示するために、高精細なディスプレイを用いている。例えば、ディスプレイの1画素は0.0465mmである。なお、ディスプレイの1画素はこのサイズに限定されず、0.031mm~0.160mmであってもよい。また、本実施例では、2インチのディスプレイを用いている。もちろん、ディスプレイはこのサイズに限定されず、2インチ以外の大きさであってもよい。
例えば、ディスプレイは、遠用検査距離にて被検眼に検査視標を呈示するための遠用検査用光路と、近用検査距離にて被検眼に検査視標を呈示するための近用検査用光路と、で兼用される。また、例えば、ディスプレイは筐体(たとえば、筐体2)の内部に設けられ、光学部材(例えば、凹面ミラー13)を介して、視標光束を被検眼に導光する。
<偏光光学部材>
例えば、検眼装置は、偏光光学部材(例えば、偏光光学部材15)を備えていてもよい。偏光光学部材は、ディスプレイの前面においてライン状又は格子状に交互に配置される左眼用光学領域(例えば、左眼用光学領域57L)と右眼用光学領域(例えば、右眼用光学領域59R)であって、ディスプレイにおける隣接する少なくとも2画素以上の第1画素領域(例えば、画素領域A1)に対応付けて配置される左眼用光学領域と、ディスプレイにおける隣接する少なくとも2画素以上の第2画素領域(例えば、画素領域A2)に対応付けて配置される右眼用光学領域と、を有し、ディスプレイから出射されて左眼用光学領域を通過する視標光束と、ディスプレイから出射されて右眼用光学領域を通過する視標光束と、を互いに直交する偏光軸をもつ視標光束に変換する。
例えば、左眼用光学領域と右眼用光学領域は、ディスプレイの2画素以上の画素領域に対応していればよく、それぞれは同一の幅をもつ画素領域であっても、異なる幅をもつ画素領域であってもよい。例えば、左眼用光学領域と右眼用光学領域を同一の幅をもつ画素領域とする場合には、どちらもディスプレイの2画素の幅をもつ画素領域に対応させてもよい。もちろん、3画素や4画素の幅をもつ画素領域に対応させてもよい。また、例えば、左眼用光学領域と右眼用光学領域を異なる幅をもつ画素領域とする場合には、左眼用光学領域を2画素の幅をもつ画素領域に、右眼用光学領域を3画素の幅をもつ画素領域に対応させてもよい。もちろん、画素領域の幅は一例であり、本実施例に限定されない。
例えば、偏光光学部材としては、直線偏光部材を用いてもよい。この場合には、位相差機能をもつ1/2λ波長板で構成された直線偏光部材を配置してもよい。これによって、左眼用光学領域を通過する視標光束の偏光軸と、右眼用光学領域を通過する視標光束の偏光軸と、を互いに直交させることができる。また、例えば、偏光光学部材としては、円偏光部材を用いてもよい。この場合には、位相差機能をもつ1/4λ波長板で構成された円偏光部材を配置してもよい。これによって、左眼用光学領域を通過する視標光束の偏光軸と、右眼用光学領域を通過する視標光束の偏光軸と、の一方を右回り偏光、他方を左回り偏光とし、互いに直交させることができる。なお、本開示において、直交とは略直交を含む。
例えば、ディスプレイの前面にこのような偏光子学部材を配置すると、ディスプレイの画素と偏光光学部材とが重なり互いに干渉したモアレが発生する。このようなモアレは、ディスプレイの画素が小さい(細かい)ほど、目立ちやすい傾向にある。そこで、本実施例では、偏光光学部材の左眼用光学領域と右眼用光学領域を、ディスプレイにおいて隣接する少なくとも2画素以上の画素領域に対応付けて配置する。これによって、ディスプレイの画素密度に対する偏光光学部材の配置密度が粗くなるため、従来のように左眼用光学領域と右眼用光学領域をディスプレイの隣接する1画素の画素領域に対応付けて配置した場合よりも、モアレを目立たなくすることができる。なお、左眼用光学領域と右眼用光学領域とを少なくとも2画素以上の画素領域に対応付けて配置する本実施例の構成は、1画素がどのようなサイズのディスプレイに対しても適用可能である。
また、例えば、偏光光学部材の左眼用光学領域と右眼用光学領域とを少なくとも2画素以上の画素領域に対応付けて配置することによって、クロストークが軽減する。クロストークは、左眼と右眼にそれぞれ分離してみせるべき視標が分離せずにみえてしまうことであり、被検眼の位置とディスプレイに対する法線方向とのなす角が所定の角度よりも大きくなると生じる。例えば、本実施例のように偏光光学部材を配置することで、所定の角度(すなわち、クロストークが生じない角度)が広くなるため、クロストークが軽減される。
<表示制御手段>
例えば、検眼装置は、表示制御手段(例えば、制御部80)を備えていてもよい。表示制御手段は、左眼用光学領域に対応するディスプレイの第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、右眼用光学領域に対応するディスプレイの第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する。すなわち、表示制御手段は、左眼用光学領域に対応するディスプレイの少なくとも2画素以上の第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、右眼用光学領域に対応するディスプレイの少なくとも2画素以上の第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する。例えば、このように検査視標の表示を制御することで、被検眼にモアレ及びクロストークを低減した適切な検査視標を呈示することができる。1画素のサイズが小さく、高精細なディスプレイを用いた場合には、モアレ及びクロストークの軽減が特に有効となる。
例えば、ディスプレイに表示される検査視標は、被検眼の両眼視を検査するための検査視標(すなわち、両眼視機能検査視標)、被検眼の光学特性を測定するための検査視標、等が挙げられる。両眼視機能検査視標としては、両眼バランス視標(例えば、ランドルト環視標等)、偏光レッドグリーン視標、立体視視標(例えば、精密立体視視標、等)、斜位視標(例えば、十字斜位視標、回旋斜位視標、等)、不等像視視標、等の少なくともいずれかであってもよい。光学特性を測定するための検査視標としては、視力値視標(例えば、ランドルト環視標等)、レッドグリーン視標、点群視標、放射線視標、等の少なくともいずれかであってもよい。
例えば、表示制御手段は、第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する第1モードと、ディスプレイの第1画素領域及び第2画素領域を左眼及び右眼用の画素領域とし、画素領域に検査視標を表示する第2モードと、をモード切替信号に基づいて切替可能としてもよい。モード切替信号は、操作部(例えば、スイッチ部108)の操作により出力されたモードの切替を指示する信号を受信することで発せられてもよい。また、モード切替信号は、予め設定された検査視標の種類が選択された際に発せられてもよい。すなわち、検査視標の種類に応じて、第1モードと第2モードとが切り替えられてもよい。例えば、このような構成であることによって、被検眼の左眼と右眼に対し、検査視標を分離して呈示する場合と、検査視標を分離せずに呈示する場合と、を容易に切り替えることができる。
なお、例えば、第1モードは、被検眼の両眼視機能を検査するための両眼視機能検査モードであって、表示制御手段は、第1モードにおいて、左眼用の検査視標及び右眼用の検査視標として、ディスプレイに両眼視機能検査視標を表示してもよい。これによって、被検眼の光学特性を測定する検査と、両眼視機能検査と、で検査視標の表示を容易に切り替えることができる。
また、例えば、表示制御手段は、近用検査距離において第1モードを設定し、ディスプレイの第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、ディスプレイの第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する構成としてもよい。例えば、モアレは近用検査時において生じやすいが(詳細は後述する)、このような表示制御によって、近用検査時でも被検眼に適切な検査視標を呈示することができる。なお、表示制御手段は、遠用検査距離において第1モードを設定し、ディスプレイの第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、ディスプレイの第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する構成としてもよい。すなわち、表示制御手段は、近用検査距離と遠用検査距離の少なくともいずれかの距離において、第1モードを設定する構成であってもよい。
<光路切替手段>
例えば、検眼装置は、光路切替手段(例えば、遠近切替部20)を備えていてもよい。光路切替手段は、ディスプレイから出射された視標光束を光学部材(例えば、凹面ミラー13)で介して、被検眼に光学的に所定の遠用検査距離にて検査視標を呈示するための遠用検査用光路と、光学部材を介さずに被検眼へディスプレイからの視標光束を導光する近用検査用光路と、を切り替える。例えば、光学部材としては、凹面ミラー、非球面ミラー、自由曲面ミラー、レンズ、等を用いる構成としてもよい。
例えば、本実施例において、光学部材は凹面ミラーである。この場合、光路切替手段は、ディスプレイから出射された視標光束を凹面ミラーで反射させて、被検眼に光学的に所定の遠用検査距離にて視標を呈示するための遠用検査用光路と、凹面ミラーの反射を介さずに被検眼へディスプレイからの視標光束を導光する近用検査用光路と、を切り替える構成としてもよい。本実施例では、遠用検査用光路にて、凹面ミラーを介すことで被検眼に検査視標が呈示され、近用検査用光路にて、凹面ミラーを介さず被検眼に検査視標が呈示される。もちろん、近用検査光路では、凹面ミラーを介さず、その他の光学部材(例えば、平面ミラー、レンズ、等の少なくともいずれか)を介して、被検眼に検査視標が呈示されてもよい。
例えば、遠用検査時には、視標光束が光学部材を介して被検眼に到達し、検査視標が遠く(例えば、5m)に呈示されるので、被検眼の位置が変化することによる視角の変化は、近用検査に比べて小さい。しかし、例えば、近用検査時には、視標光束が光学部材を介さず被検眼に到達するので、検査視標が近く(例えば、40cm)に呈示され、被検眼の位置が変化することによる視角の変化が、遠用検査に比べて大きくなる。このため、遠用検査時に比べて、近用検査時ではモアレが顕著に現れやすくなってしまう。本実施例のように偏光光学部材を設けることによって、近用検査時でもモアレの影響を抑え、被検眼に適切な検査視標を呈示することができる。
例えば、検眼装置は、ディスプレイを有し、ディスプレイから出射された視標光束を被検眼に投光する投光光学系(例えば、投光光学系10)を備えていてもよい。投光光学系は、視標光束の像を光学的に所定の検査距離となるように被検眼に導光する光学部材を有していてもよい。
例えば、投光光学系は、左右一対に設けられた左眼用投光光学系と右眼用投光光学系を有するようにしてもよい。この場合には、左右一対に設けられたディスプレイを用いるようにしてもよい。例えば、左眼用投影光学系と右眼用投影光学系は、左眼用投影光学系を構成する部材と、右眼用投影光学系を構成する部材と、が同一の部材によって構成されていてもよい。また、例えば、左眼用投影光学系と右眼用投影光学系は、左眼用投影光学系を構成する部材と、右眼用投影光学系を構成する部材と、において少なくとも一部の部材が異なる部材によって構成されていてもよい。また、例えば、左眼用投影光学系と右眼用投影光学系は、左眼用投影光学系を構成する部材と右眼用投影光学系を構成する部材とで少なくとも一部の部材が兼用されている構成であってもよい。また、例えば、左眼用投影光学系と右眼用投影光学系は、左眼用投影光学系を構成する部材と右眼用投影光学系を構成する部材とが、別途それぞれ設けられている構成であってもよい。
例えば、検眼装置は、投光光学系を収納する筐体(例えば、筐体2)を備えていてもよい。本実施例においては、ディスプレイを筐体内に設けることで、検眼装置を省スペース化することができる。
例えば、検眼装置は、被検眼の眼前に配置される眼屈折力測定ユニットであって、視標光束の光学特性を変更する眼屈折力測定ユニット(例えば、眼屈折力測定ユニット50)を備えていてもよい。眼屈折力測定ユニットは、視標光束の光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、円柱軸、偏光特性、及び収差量、等の少なくともいずれか)を変更する。なお、例えば、眼屈折力測定ユニットは、波面変調素子を用いる構成であってもよい。また、例えば、眼屈折力測定ユニットは、検査窓に光学素子を切り換え配置する左右一対のレンズ室ユニットを備える構成であってもよい。また、例えば、眼屈折力測定ユニットは、可変焦点レンズ、液体レンズ、等の少なくともいずれかを用いる構成であってもよい。
例えば、眼屈折力測定ユニットは、偏光光学部材がもつ偏光軸と同方向の偏光軸をもつ偏光光学素子を備えていてもよい。例えば、偏光光学素子を介してディスプレイに第1モードで表示された検査視標を被検眼に呈示することによって、被検眼の左眼と右眼に対して、検査視標を分離可能とすることができる。
例えば、検眼装置は、保持手段(例えば、保持ユニット4)を備えていてもよい。保持手段は、筐体と眼屈折力測定ユニットとを一体的に連結する。また、保持手段は、眼屈折力測定ユニットを保持する。
例えば、本実施例における検眼装置は、このように、ディスプレイから出射された視標光束を被検眼に投光する投光光学系と、投光光学系を収納する筐体と、被検眼の眼前に配置され、視標光束の光学特性を変更する眼屈折力測定ユニットと、を備え、筐体と眼屈折力測定ユニットとを一体的に連結することで、眼屈折力測定ユニットを保持する構成であってもよい。
<実施例>
以下、検眼装置について説明する。本実施例では、検眼装置の左右方向をX方向、上下方向をY方向、前後方向をZ方向として表す。なお、符号に付されるL及びRは、それぞれ左眼用及び右眼用を示すものとする。
図1は検眼装置の外観図である。図1(a)は検眼装置1を正面側からみた斜視図である。図1(b)は検眼装置1を背面側からみた斜視図である。例えば、検眼装置1は、筐体2、呈示窓3、コントローラ81、保持ユニット4、投光光学系10、観察ユニット40、眼屈折力測定ユニット50、等を備える。
例えば、本実施例においては、被検者が筐体2の正面に対向する。筐体2は、投光光学系10を収納する。呈示窓3は、被検眼Eに検査視標を呈示する際に用いる。呈示窓3は、投光光学系10による視標光束を透過させる。このため、被検眼には、呈示窓3を介した視標光束が投影される。なお、呈示窓3と被検眼Eとの間に眼屈折力測定ユニット50が配置された場合、被検眼には、呈示窓3及び後述する検査窓53を介した視標光束が投影される。例えば、呈示窓3は、埃などの侵入を防ぐために、透明なパネルで塞がれている。例えば、透明なパネルとしては、アクリル板、ガラス板、等を用いることができる。
コントローラ81には、各種の情報(例えば、被検眼の測定結果、等)を表示するモニタ107、各種の設定(例えば、眼屈折力測定ユニット50が備える光学素子の配置、後述するディスプレイ11の画面表示、等)を行うためのスイッチ部108、等が設けられている。コントローラ81からの信号は、図示なきケーブル(例えば、光ファイバー、有線LAN、等)を介して、制御部80に入力される。なお、コントローラ81からの信号は、光通信(例えば、赤外線等)や電波通信(例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、等)の無線通信を介して制御部80に入力されてもよい。
<保持ユニット>
保持ユニット4は、筐体2と眼屈折力測定ユニット50とを一体的に連結し、眼屈折力測定ユニット50を保持する。また、保持ユニット4は、眼屈折力測定ユニット50を測定位置あるいは待機位置に支持する。図2は眼屈折力測定ユニット50の測定位置を説明する図である。例えば、本実施例において、眼屈折力測定ユニット50の測定位置は、眼屈折力測定ユニット50が筐体2の正面に下降した状態である(図2参照)。また、例えば、本実施例において、眼屈折力測定ユニット50の待機位置は、眼屈折力測定ユニット50が筐体2の上部に上昇した状態である(図1参照)。このような待機位置と測定位置の切り替えは、後述するアーム32を上下移動させることで行われる。
図3は保持ユニット4の内部構成を示す概略図である。なお、図3では、眼屈折力測定ユニット50の図示を省略する。例えば、保持ユニット4は、連結部5、基台31、アーム32、駆動部(モータ)6、シャフト7、支持部材8、等を備える。
連結部5は、回転軸R3を中心として、眼屈折力測定ユニット50を回転可能に連結する。基台31は筐体2の上面に固定配置されている。アーム32は、回転軸R2を中心として、基台31に回転可能に取り付けられている。また、アーム32にはモータ6が固定されている。モータ6は、シャフト7の上部と連結する。シャフト7は、その下部がネジ部となっており、支持部材8と螺合する。支持部材8は、回転軸R1を中心として、基台31に回転可能に取り付けられている。
例えば、モータ6が駆動すると、シャフト7がネジ部の螺旋方向に回転し、支持部材8に対して伸び縮みする。すなわち、モータ6の回転方向によって、シャフト7の支持部材8から突出する部分が長くなるか、あるいは短くなる。例えば、シャフト7が縮むと(支持部材8から突出する部分が長くなると)、支持部材8は回転軸R1を中心として矢印D方向に回転する。このとき、シャフト7も回転軸R1を中心として矢印D方向に回転する。シャフト7に連結したモータ6、及びモータ6が固定されたアーム32は、回転軸R2を中心として一体的に矢印D方向に回転する。これによって、アーム32及び連結部5は下方向に移動する。連結部5に連結された眼屈折力測定ユニット50は、その自重により垂直状態(略垂直状態)が維持される。
また、例えば、シャフト7が伸びると(支持部材8から突出する部分が短くなると)、支持部材8は回転軸R1を中心として矢印U方向に回転する。このとき、シャフト7も回転軸R1を中心として矢印U方向に回転する。シャフト7に連結したモータ6、及びモータ6が固定されたアーム32は、回転軸R2を中心として一体的に矢印U方向に回転する。これによって、アーム32及び連結部5は上方向に移動する。連結部5に連結された眼屈折力測定ユニット50は、その自重により垂直状態(略垂直状態)が維持される。
例えば、本実施例では、このように筐体2に対してアーム32を上下移動させることで、保持ユニット4に保持された眼屈折力測定ユニット50を、測定位置と待機位置とで切り替えることができる。なお、本実施例において、測定位置と待機位置との切り替えは、筐体2の側面に設けられた図示なき操作スイッチにより指示される。
<投光光学系>
投光光学系10(図5参照)は、被検眼に検査視標を呈示する視標呈示部111を有し、被検眼に向けて視標光束を投光する。例えば、視標呈示部111は、少なくともディスプレイ11及び偏光光学部材15で構成される(図4参照)。すなわち、投光光学系10は、ディスプレイ11を有し、ディスプレイ11から出射された視標光束を被検眼に投光する。
図4は視標呈示部111を説明する図である。ディスプレイ11は、被検眼Eに検査視標(例えば、ランドルト環視標、固視標、等)を表示する。例えば、ディスプレイ11としては、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)、プラズマディスプレイ、等を用いることができる。
例えば、ディスプレイ11は、検眼装置1の省スペース化を図るため、筐体2内に配置可能な小型のディスプレイが用いられている。例えば、本実施例において、ディスプレイ11は2インチの大きさである。もちろん、ディスプレイ11はこのサイズに限定されず、2インチ以外の大きさであってもよい。
また、例えば、ディスプレイ11は、より細かな検査視標を表示するため、高精細なディスプレイが用いられている。例えば、本実施例において、ディスプレイの1画素は0.0465mmである。なお、ディスプレイの1画素はこのサイズに限定されず、0.031mm~0.160mmであってもよい。
ディスプレイ11は偏光板を備えており、所定の方向(垂直方向、水平方向、または斜め45度方向、等)に偏光軸をもつ直線偏光を出射する。本実施例では、ディスプレイ11から、矢印50Yで示す垂直方向の偏光軸(偏光面)をもつ視標光束が出射される。
偏光光学部材15はディスプレイ11の前面に配置される。なお、偏光光学部材15は、少なくとも、ディスプレイ11に検査視標が表示される画素領域の前面に配置されていればよい。また、偏光光学部材15は、ディスプレイ11に組み込まれて一体的に配置されてもよい。
偏光光学部材15は、ディスプレイ11の前面においてライン状又は格子状に交互に配置される左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとを有する。ディスプレイ11がもつ画素Pのうち、左眼用光学領域57Lは、隣接する少なくとも2画素以上の第1画素領域(後述する画素領域A1)に対応付けて配置され、右眼用光学領域59Rは、隣接する少なくとも2画素以上の第2画素領域(後述する画素領域A2)に対応付けて配置される。本実施例では、左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとが、ディスプレイ11の2画素の幅をもつ横ライン状に隣接して交互に配置される。また、本実施例では、左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとが、ディスプレイ11にて2画素の幅をもつ横ライン状の画素領域A(後述する画素領域A1及びA2)と一致(略一致)する。
なお、偏光光学部材15は、左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとを、ディスプレイ11の少なくとも2画素以上の画素領域で、かつ、縦ライン状、横ライン状、あるいは格子状、の少なくともいずれかで交互に配置する構成であってもよい。この場合、ディスプレイ11の画素領域Aは、左眼用光学領域57L及び右眼用光学領域59Rと同一の幅及び同一の配置であることが好ましい。
偏光光学部材15は、ディスプレイ11から出射されて左眼用光学領域57Lを通過する視標光束と、ディスプレイ11から出射されて右眼用光学領域59Rを通過する視標光束と、を互いに直交する偏光軸をもつ視標光束に変換する。例えば、本実施例では、偏光光学部材15として直線偏光部材(例えば、位相差機能をもつ1/2λ波長板)が用いられ、左眼用光学領域57Lを通過する視標光束と、右眼用光学領域59Rを通過する視標光束と、が互いに直交する直線偏光に変換される。例えば、左眼用光学領域57Lによって、視標光束は45度方向の偏光軸をもつ直線偏光に変換される。また、例えば、右眼用光学領域59Rによって、視標光束は135度方向の偏光軸をもつ直線偏光に変換される。なお、左右眼における直線偏光の偏光方向は逆でもよく、本実施例に限定されない。
例えば、眼屈折力測定ユニット50の後述する検査窓53に配置される偏光レンズ30L及び30Rは、それぞれ45度方向の偏光軸と135度の偏光軸をもっている。すなわち、左右の偏光レンズは、左右の光学領域と同方向の偏向軸をもっている。このため、被検眼が偏光レンズ30L及び30Rを通して視標呈示部111をみると、左眼には左眼用光学領域57Lからの視標光束が偏光レンズ30Lを通過して到達し、右眼用光学領域59Rからの視標光束は偏光レンズ30Lに遮断されて到達しない。つまり、左眼は、左眼用光学領域57Lからの視標光束のみを視認する。また右眼には右眼用光学領域59Rからの視標光束が偏光レンズ30Rを通過して到達し、左眼用光学領域57Lからの視標光束は偏光レンズ30Rに遮断されて到達しない。つまり、右眼は、右眼用光学領域59Rからの視標光束のみを視認する。これにより、左眼と右眼で検査視標を分離することが可能となり、左眼と右眼には異なる検査視標が呈示される。
図5は投光光学系10を説明する図である。図5(a)は遠用検査時の光学配置である。図5(b)は近用検査時の光学配置である。なお、図4は、筐体2の内部に収納された投光光学系10を、筐体2の右側面(図1の矢印S方向)からみた状態である。例えば、投光光学系10は、視標呈示部111、平面ミラー12、凹面ミラー13、遠近切替部20、等を備える。
例えば、図5(a)に示す遠用検査時は、ディスプレイ11の画面が筐体2の奥側を向き、ディスプレイ11から奥側に向けて視標光束が出射される。なお、視標光束は、ディスプレイ11から水平方向(Z方向)に出射されてもよいし、斜め方向(YZ方向)に出射されてもよい。例えば、図5(b)に示す近用検査時は、ディスプレイ11の画面が筐体2の上側を向き、ディスプレイ11から上側に向けて視標光束が出射される。なお、視標光束は、ディスプレイ11から垂直方向(Y方向)に出射されてもよいし、斜め方向(YZ方向)に出射されてもよい。このようにして、ディスプレイ11から出射した視標光束が被検眼Eに向けて投影される。
平面ミラー12は、ディスプレイ11から出射した視標光束を反射させ、凹面ミラー13に導光する。また、平面ミラー12は、ディスプレイ11から出射した視標光束を反射させ、被検眼Eに導光する。例えば、平面ミラー12は、その下部(図4に示す平面ミラー12の実線部)にのみミラーコートが施されており、上部(図4に示す平面ミラー12の点線部)にはミラーコートが施されていない。このため、本実施例における平面ミラー12の上部は透明となっている。
例えば、近用検査時において、平面ミラー12の焦点距離は、被検眼Eからディスプレイ11までの距離(すなわち、呈示距離)が光学的に40cmとなるように設計されている。なお、本実施例では平面ミラーを用いた構成を例示しているがこれに限定されない。例えば、プリズム、ビームスプリッタ、ハーフミラー、等の反射部材を用いた構成としてもよい。すなわち、視標光束を反射させることが可能であればよい。
凹面ミラー13は、ディスプレイ11から出射した視標光束を反射させ、平面ミラー12に導光する。例えば、凹面ミラー13は、ディスプレイ11に表示された検査視標の呈示距離を遠用検査距離に設定する。例えば、遠用検査時において、凹面ミラー13の焦点距離は、被検眼Eからディスプレイ11までの距離が光学的に5mとなるように設計されている。すなわち、凹面ミラー13によって、視標光束の像は、光学的に所定の検査距離となるように、被検眼に導光される。なお、本実施例では凹面ミラー13を用いた構成を例示しているがこれに限定されない。例えば、非球面ミラー、自由曲面ミラー、等の反射部材を用いた構成としてもよい。また、例えば、レンズを用いた構成としてもよい。例えば、この場合には、ディスプレイ11から出射した視標光束がレンズを介して被検眼Eに投影され、レンズによって呈示距離が光学的に5mとなるように設計されてもよい。
例えば、図5(a)に示す遠用検査時において、被検眼Eには、ディスプレイ11から出射し、平面ミラー12、凹面ミラー13、平面ミラー12の順に光学部材を経由した視標光束が投影される。すなわち、ディスプレイ11から出射した視標光束は、光軸L1を通って平面ミラー12に入射し、光軸L2方向に反射される。この視標光束は、凹面ミラー13に入射し、光軸L3方向に反射される。さらに、この視標光束は、平面ミラー12に入射し、光軸L4方向に反射される。これによって、視標光束は被検眼Eに投影される。また、例えば、図5(b)に示す近用検査時において、被検眼Eには、ディスプレイ11から出射し、平面ミラー12に反射された視標光束が投影される。すなわち、ディスプレイ11から出射した視標光束は、光軸L3を通って平面ミラー12に入射し、光軸L4方向に反射されて、被検眼Eに投影される。例えば、投光光学系10は、このように筐体2の内部から外部へと視標光束を出射する。
遠近切替部20は、ディスプレイ11から出射された視標光束を凹面ミラー13で介して、被検眼に光学的に所定の遠用検査距離にて検査視標を呈示するための遠用検査用光路と、凹面ミラー13を介さずに被検眼へディスプレイ11からの視標光束を導光する近用検査用光路と、を切り替える。例えば、遠近切替部20は、遠用検査時と近用検査時とにおいて、ディスプレイ11の位置を変更する。例えば、遠近切替部20は、保持部21、ギヤ22、モータ23、等を備える。保持部21は、ディスプレイ11を保持する。例えば、ギヤ22は、ウォーム部24とホイール部25とを有する。例えば、ウォーム部24とホイール部25は、互いが噛み合うギヤで形成されている。例えば、ウォーム部24にはモータ23が連結されており、ホイール部25には保持部21が連結されている。例えば、モータ23の駆動によってウォーム部24は回転し、これにともなってホイール部25は矢印方向に回転する。なお、ギヤ22及びモータ23は、ディスプレイ11から被検眼Eに向かう視標光束を妨げない位置(例えば、筐体2の側壁)に配置される。例えば、遠近切替部20は、このように保持部21とともにディスプレイ11を移動させ、ディスプレイ11に表示された検査視標の呈示距離を遠用検査時と近用検査時とで切り替える。
なお、本実施例においては、ディスプレイ11と偏光光学部材15とを重ねた構成であることによって、ディスプレイ11の画素Pと偏光光学部材15とが互いに干渉した干渉縞(言い換えると、モアレ)が生じることがある。また、例えば、本実施例では、遠近切替部20によって、ディスプレイ11を遠用検査時と近用検査時とで兼用する構成である。ディスプレイ11の配置を切り替え、遠用検査距離とした場合には、凹面ミラー14を介すことで被検眼Eとディスプレイ11との距離が離れる。この状態では、被検眼Eと、干渉縞と干渉縞との間隔と、のなす角度が狭くなり、被検眼の位置が変化することによる視角の変化が小さくなる。このため、検査精度へのモアレの影響は小さい。しかし、ディスプレイ11の配置を切り替え、近用検査距離とした場合には、凹面ミラー14を介さないため、被検眼Eとディスプレイ11との距離が近づく。この状態では、被検眼Eと、干渉縞と干渉縞との間隔と、のなす角度が広くなるため、被検眼の位置が変化することによる視角の変化が大きくなり、モアレが強調されてみえやすい。モアレによる明部と暗部が顕在化されて輝度ムラとなるため、検査視標がみづらくなり、検査精度が低下することがある。偏光光学部材15における左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rの配置、及びディスプレイ11の表示を前述のような構成として、モアレを低減させることができる。
<観察ユニット>
観察ユニット40は、被検眼Eと眼屈折力測定ユニット50との位置関係を観察するために用いる。図6は観察ユニット40の概略図である。例えば、観察ユニット40は、観察窓41、遮蔽部42(図4参照)、カバー43、ヒンジ44、等を備える。なお、観察ユニット40は、少なくとも観察窓41を備える構成であってもよい。カバー43はヒンジ44によって筐体2に固定され、観察窓41に対して開閉することができる。例えば、カバー43は、検者が図示なきノブを押し引きすることで開閉可能である。
観察窓41は、被検眼Eと眼屈折力測定ユニット50との位置関係を、筐体2の外部から呈示窓3を介して観察するために用いる。例えば、本実施例における観察窓41は、検者眼OEから被検眼Eの瞳孔位置を確認することが可能な位置に配置されている。例えば、検者が観察窓41を覗き込んだ際に、検者の視線を平面ミラー12が遮らないように、平面ミラー12において検者の視線が通過する領域は、透明に形成されている。遮蔽部42は、投光光学系10による視標光束が観察窓41に入ることを抑制する。例えば、遮蔽部42は、平面ミラー12の透明部(ミラーコートが施されていない部分)と、ミラー部(ミラーコートが施された部分)と、の境界に配置される。
例えば、測定位置にある眼屈折力測定ユニット50は、筐体2に近接して配置される。本実施例においては、眼屈折力測定ユニット50が備える検査窓53から呈示窓3までの距離W(図5参照)が135mm程度に設計されている。このため、検者は眼屈折力測定ユニット50と筐体2との間に頭を入れられず、被検眼Eと眼屈折力測定ユニット50との位置関係を観察することが困難となる。例えば、観察ユニット40は、検者の頭長よりも距離Wが短い本実施例のような場合において、効果的に用いることができる。
<眼屈折力測定ユニット>
眼屈折力測定ユニット50は、被検眼Eの眼前に配置され、視標光束の光学特性を変更する。図7は眼屈折力測定ユニット50の概略図である。例えば、眼屈折力測定ユニットは、額当て51、レンズ室ユニット52(左レンズ室ユニット52L及び右レンズ室ユニット52R)、検査窓53(左検査窓53L及び右検査窓53R)、駆動部54、駆動部55、移動ユニット56、角膜位置照準光学系60、等を備える。額当て51は被検者の額に当接し、被検眼Eと眼屈折力測定ユニット50との距離を一定に保つために用いられる。
レンズ室ユニット52は左右一対であり、検査窓53に光学素子を切り換えて配置する。例えば、レンズ室ユニット52の内部には、レンズディスク57が備えられている。レンズディスク57は、同一円周上に多数の光学素子を配置する。例えば、レンズディスク57は、駆動部54(アクチュエータ等)によって回転制御される。これによって、検者が所望する光学素子が検査窓53に配置される。例えば、検査窓53に配置された光学素子は、駆動部55(モータやソレノイド等)によって回転制御される。これによって、検者が所望する回転角度で光学素子が検査窓53に配置される。
例えば、レンズディスク57は、1枚のレンズディスク、または、複数枚のレンズディスクからなる。例えば、複数枚のレンズディスク(レンズディスク群)を備える場合には、各レンズディスクに対応する駆動部がそれぞれ設けられる。例えば、レンズディスク群の各レンズディスクは、開口(もしくは0Dのレンズ)及び複数の光学素子を備える。各レンズディスクの種類としては、度数の異なる複数の球面レンズを有する球面レンズディスク、度数の異なる複数の円柱レンズを有する円柱レンズディスク、補助レンズディスク、等が代表的である。例えば、補助レンズディスクには、赤フィルタ/緑フィルタ、プリズム、クロスシリンダレンズ、偏光レンズ、マドックスレンズ、オートクロスシリンダレンズ、等の少なくともいずれかが配置される。なお、レンズディスク57の詳細な構成については、例えば、特開2007-68574号公報及び特開2011-72431号公報を参照されたい。
例えば、移動ユニット56は、レンズ室ユニット52の間隔を調整する。例えば、左右レンズ室ユニットの間隔は、スライド機構を有する駆動部58によって調整される。これによって、検査窓53の間隔を、被検眼の瞳孔間距離に合わせて変更することができる。また、移動ユニット56は、左右レンズ室ユニットの輻輳角(内寄せ角)を調整する。例えば、左右レンズ室ユニットの輻輳角は、輻輳機構を有する駆動部59によって調整される。なお、移動ユニット56の詳細な構成については、特開2004-329345号公報を参照されたい。
角膜位置照準光学系60は、被検眼Eの角膜頂点間距離と、レンズ装用時の基準位置と、を確認するために用いる。例えば、角膜位置照準光学系60は、眼屈折力測定ユニット50の内部に配置され、左レンズ室ユニット52Lと、右レンズ室ユニット52Rと、のそれぞれに設けられている。なお、角膜位置照準光学系60の詳細な構成については、例えば、特開2004-229769号公報を参照されたい。
なお、眼屈折力測定ユニット50は、上記の構成に限定されない。例えば、眼屈折力測定ユニット50は、視標光束の光学特性(例えば、球面度数、円柱度数、乱視軸角度、偏光特性、収差量、等の少なくともいずれか)を変更する構成であればよい。例えば、視標光束の光学特性を変更する構成としては、光学素子を制御する構成であってもよい。例えば、波面変調素子を用いる構成であってもよい。
<制御部>
図8は検眼装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部80は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。CPUは、眼科装置100における各部の駆動を制御する。RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。ROMには、CPUが実行する各種プログラム等が記憶されている。なお、制御部80は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
制御部80には、ディスプレイ11、コントローラ81、不揮発性メモリ82(以下、メモリ82)、等が接続されている。また、制御部80には、保持ユニット4が備えるモータ6、遠近切替部20が備えるモータ23、眼屈折力測定ユニット50の各部材が備える駆動部(駆動部54、55、58、59)、等が接続されている。
メモリ82は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ82としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ、等を用いることができる。メモリ82には、検査視標(例えば、視力値0.1~2.0のランドルト環視標)、後述する第1モード及び第2モード、等を記憶してもよい。
<制御動作>
以下、検眼装置1の制御動作について説明する。本実施例では、検査視標の呈示距離を被検眼Eの近方距離とする場合を例示する。つまり、被検眼Eに対して近用検査が実施される場合を例示する。制御部80は、遠近切替部20を制御して、ディスプレイ11を近用検査時の配置に設定する。
例えば、本実施例における検眼装置1は、第1モードと第2モードとを備える。例えば、第1モードと第2モードは、モード切替信号に基づいて切り替えられる。例えば、本実施例においては、ディスプレイ11に表示する検査視標の種類に応じて、モード切替信号が発せられる。
第1モードは、ディスプレイ11の第1画素領域(画素領域A1)に左眼用の検査視標を表示し、第2画素領域(画素領域A2)に右眼用の検査視標を表示する。これによって、ディスプレイ11の表示は、左眼用光学領域と右眼用光学領域とがそれぞれ配置された画素領域毎に制御される。例えば、第1モードは、被検眼Eの両眼バランス、立体視、斜位、不等像視、等を検査する両眼視機能を検査するための両眼視機能検査モードであって、左眼用の検査視標及び右眼用の検査視標として、ディスプレイ11に両眼視機能検査視標を表示する。
第2モードは、ディスプレイの第1画素領域及び第2画素領域を左眼及び右眼用の画素領域として検査視標を表示する。例えば、第2モードは、被検眼の球面度数、柱面度数、乱視軸角度、等を測定するためのモードである。
<第1モード>
ここで、高精細なディスプレイ11を用いた検眼装置である場合、ディスプレイ11の画素領域Aを1画素の幅をもつ横ライン状とし、また、偏光光学部材15の左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとをディスプレイ11の1画素の幅をもつ横ライン状に隣接して交互に配置した場合には、モアレとクロストークが生じることがある。モアレとは、ディスプレイ11と偏光光学部材15とを重ねることによって、ディスプレイ11の画素Pと偏光光学部材15の配置とが互いに干渉して生じる干渉縞である。また、クロストークとは、被検眼Eの位置と、画素Pに対する法線方向と、のなす角が所定の角度よりも大きくなり、被検眼Eに隣の光学領域からの漏れ光が届いてしまうことで生じ、左眼と右眼にそれぞれ分離してみせるべき視標が分離せずにみえてしまうことである(なお、クロストークについての詳細は、特開2014-79613号公報を参照されたい)。
例えば、本実施例においては、両眼視機能検査にて第1モードが設定され、左眼用光学領域57Lに対応したディスプレイ11の隣接する少なくとも2画素の画素領域A1に左眼用の検査視標を表示し、右眼用光学領域59Rに対応したディスプレイ11の隣接する少なくとも2画素の画素領域A2に右眼用の検査視標を表示することで、モアレとクロストークの影響を低減した検査視標を被検眼Eに呈示することができる。以下、被検眼の両眼バランスを検査するため、ディスプレイ11に偏光レッドグリーン視標を表示する場合を例に挙げ、第1モードについて説明する。
例えば、検者がコントローラ81を操作して偏光レッドグリーン視標を選択すると、制御部80はその入力指示に応じて、眼屈折力測定ユニット50の検査窓53に偏光レンズ30を配置する。また、制御部80はその入力指示に応じて、ディスプレイ11の表示制御モードを第1モードに設定するとともに、ディスプレイ11に偏光レッドグリーン視標を表示する。
図9は偏光レッドグリーン視標70を説明する図である。偏光レッドグリーン視標は、左眼用偏光レッドグリーン視標73(以下、左偏光R/G視標73)と、右眼用偏光レッドグリーン視標71(以下、右偏光R/G視標71)と、融像視標75と、により構成される。融像視標75は、左偏光R/G視標73及び右偏光R/G視標71以外の領域90(以降、背景領域90と称す)であり、かつ、右偏光R/G視標71と左偏光R/G視標73との間に配置されている。
左偏光R/G視標73は、その左側に配置される赤色視標73Rと、その右側に配置される緑色視標73Gと、を含む。赤色視標73Rは、赤色視標73R内に配置された黒色視標74aをもつ。緑色視標73Gは、緑色視標73G内に配置された黒色視標74bをもつ。同様に、右偏光R/G視標71は、その左側に配置された赤色視標71Rと、その右側に配置された緑色視標71Gと、を含む。赤色視標71Rは、赤色視標71R内に配置された黒色視標72aをもつ。緑色視標71Gは、緑色視標71G内に配置された黒色視標72bをもつ。
図10は赤色視標73R及び71Rの一部を拡大した図である。例えば、本実施例では、図9に示す赤色視標73R及び71Rのうち、点線で囲んだ部分を拡大して示している。例えば、本実施例において、ディスプレイ11の画素領域Aは、ディスプレイ11の前面に配置された偏光光学部材15の左眼用光学領域57Lに一致する画素領域A1と、ディスプレイ11の前面に配置された偏光光学部材15の右眼用光学領域59Rに一致(略一致)する画素領域A2と、からなる。
なお、本実施例では、左眼用光学領域57Lと、右眼用光学領域59Rと、をディスプレイ11の2画素の画素領域に対応するように配置しているため、この左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとに合わせて、ディスプレイ11の表示が2画素の画素領域毎に制御される。もちろん、それぞれの光学領域を2画素と異なる幅に対応するよう配置した場合は、これに合わせてディスプレイ11の表示を制御してもよい。
制御部80は、左偏光R/G視標73において、赤色視標73Rの領域内にある黒色視標74aを、ディスプレイ11の画素領域A1にのみ表示する。例えば、制御部80は、画素領域A1において、黒色視標74aに対応する画素を黒色で表示し、黒色視標74a以外の領域に対応する画素を赤色で表示する。また、例えば、制御部80は、画素領域A2の画素を白色で表示する。
また、制御部80は、右偏光R/G視標71において、赤色視標71Rの領域内にある黒色視標72aを、ディスプレイ11の画素領域A2にのみ表示する。例えば、制御部80は、画素領域A2において、黒色視標72aに対応する画素を黒色で表示し、黒色視標72a以外の領域に対応する画素を赤色で表示する。また、例えば、制御部80は、画素領域A1の画素を白色で表示する。
例えば、このように、第1モードが設定されたときは、ディスプレイ11の画面表示が2画素の画素領域毎に制御され、赤色視標73Rの領域内にある黒色視標74a、及び、赤色視標71Rの領域内にある黒色視標72aが不連続的に表示される。なお、本実施例では説明を省略するが、緑色視標73Gの領域内にある黒色視標74bはディスプレイ11の画素領域A1にのみ表示され、緑色視標71Gの領域内にある黒色視標72bはディスプレイ11の画素領域A2にのみ表示される。
つまり、本実施例では、制御部80によって、左偏光R/G視標73に対応する領域が、ディスプレイ11の画素領域A1にのみ表示されるよう、2画素の画素領域毎に制御される。また、本実施例では、制御部80によって、右偏光R/G視標71に対応する領域が、ディスプレイ11の画素領域A2にのみ表示されるよう、2画素の画素領域毎に制御される。なお、制御部80は、背景領域90と、融像視標75と、に対応する領域は、画素領域A1及び画素領域A2を左眼用及び右眼用の画素領域として制御してもよい。言い換えると、画素領域にかかわらず、ディスプレイ11の表示を制御してもよい。例えば、本実施例において、制御部80は、背景領域90に対応する画素を白色で、融像視標75に対応する画素を黒色で表示する。すなわち、背景領域90及び融像視標75は連続的に表示される。
図11は被検眼に呈示される偏光レッドグリーン視標を表した図である。図11(a)は左眼に呈示される偏光レッドグリーン視標であり、図11(b)は右眼に呈示される偏光レッドグリーン視標である。例えば、被検者の左眼には、偏光レンズ30Lを介することで、下段の左偏光R/G視標73と中央の融像視標75が呈示される。また、例えば、被検者の右眼には、上段の右偏光R/G視標71と中央の融像視標75が呈示される。被検者が両眼で偏光レッドグリーン視標をみると、左右眼にそれぞれ呈示された同一形状かつ同一色の融像視標75は融像され、被検者は図9のように一体化した視標を視認する。
例えば、検者は、被検者の左眼に呈示された左偏光R/G視標73のうち、赤色視標73Rの領域内にある黒色視標74aと、緑色視標73Gの領域内にある黒色視標74bと、のいずれがはっきり視認されるかを確認することにより、左眼の矯正が低矯正、過矯正、あるいは正視であるかを検査する。同様に、検者は、被検者の右眼に呈示された右偏光R/G視標71のうち、赤色視標71Rの領域内にある黒色視標72aと、緑色視標71Gの領域内にある黒色視標72bと、のいずれがはっきり視認されるかを確認することにより、右眼の矯正が低矯正、過矯正、あるいは正視であるかを検査する。そして、検者は、左偏光R/G視標73の領域内にある黒色視標74a及び74bと、右偏光R/G視標71の領域内にある黒色視標72a及び72bと、を被検者に見比べさせることで、左右眼の矯正状態のバランスを検査する。
例えば、本実施例では、第1モードにおいて、上記のようにディスプレイ11の画素領域Aが2画素の画素領域毎に制御されるため、ディスプレイ11の画素密度に対して偏光光学部材15の配置密度が粗くなり、被検眼Eにモアレを低減した検査視標を呈示することができる。また、例えば、本実施例では、第1モードにおいて、上記のようにディスプレイ11の画素領域Aが2画素の画素領域毎に制御されるため、被検眼Eの位置と、画素Pに対する法線方向と、のなす角である所定の角度を広くすることができる。つまり、画素領域Aを1画素の画素領域毎に制御したときよりも、クロストークが生じない範囲を広くすることができる。このため、被検眼Eにクロストークの影響を低減した検査視標を呈示することができる。
<第2モード>
第2モードでは、ディスプレイ11の画素領域A1及び画素領域A2に、左眼用の検査視標及び右眼用の検査視標が表示される。言い換えると、偏光光学部材15の左眼用光学領域57L及び右眼用光学領域59Rの配置にかかわらず、ディスプレイ11の表示が制御される。以下、被検眼の矯正状態が適正であるかを検査するため、ディスプレイ11にレッドグリーン視標を表示する場合を例に挙げ、第2モードについて説明する。
図12はレッドグリーン視標77を説明する図である。例えば、検者がコントローラ81を操作してレッドグリーン視標を選択すると、制御部80はその入力指示に応じて、ディスプレイ11の表示制御モードを第2モードに設定するとともに、ディスプレイ11にレッドグリーン視標77を表示する。レッドグリーン視標77は、赤色視標77Rと、緑色視標77Gと、により構成される。赤色視標77Rは、赤色視標77R内に配置された黒色視標77aをもつ。緑色視標77Gは、緑色視標77G内に配置された黒色視標77bをもつ。
図13は赤色視標77Rの一部を拡大した図である。例えば、本実施例では、図12に示す赤色視標77Rのうち、点線で囲んだ部分を拡大して示している。例えば、制御部80は、画素領域A1及び画素領域A2を左眼用及び右眼用の画素領域として制御し、黒色視標77aに対応する画素を黒色で表示し、黒色視標77a以外の領域に対応する画素を赤色で表示する。すなわち、制御部80は、ディスプレイ11の画素領域A1と、画素領域A2と、のどちらにおいても、黒色視標77aに対応する画素を黒色で表示し、黒色視標77a以外の領域に対応する画素を赤色で表示する。これによって、黒色視標77aは連続的に表示される。なお、本実施例では説明を省略するが、緑色視標77Gについては、ディスプレイ11の画素領域A1と、画素領域A2と、のどちらにおいても、黒色視標77bに対応する画素が黒色で表示され、黒色視標77a以外の領域に対応する画素が緑色で表示される。
例えば、検者は、被検眼に呈示されたレッドグリーン視標のうち、のいずれがはっきり視認されるかを確認することにより、被検眼の矯正が低矯正、過矯正、あるいは正視であるかを検査する。
以上説明したように、例えば、本実施例における検眼装置は、ディスプレイの前面においてライン状又は格子状に交互に配置される左眼用光学領域と右眼用光学領域であって、ディスプレイにおける隣接する少なくとも2画素以上の第1画素領域に対応付けて配置される左眼用光学領域と、ディスプレイにおける隣接する少なくとも2画素以上の第2画素領域に対応付けて配置される右眼用光学領域と、を有し、ディスプレイから出射されて左眼用光学領域を通過する視標光束と、ディスプレイから出射されて右眼用光学領域を通過する視標光束と、を互いに直交する偏光軸をもつ視標光束に変換する偏光光学部材を備え、左眼用光学領域に対応するディスプレイの第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、右眼用光学領域に対応するディスプレイの第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する。これによって、被検眼にモアレ及びクロストークを低減した適切な検査視標を呈示することができる。1画素のサイズが小さく、高精細なディスプレイを用いた場合には、モアレ及びクロストークの軽減が特に有効となる。
また、例えば、本実施例における検眼装置は、第1画素領域に左眼用の検査視標を表示し、第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する第1モードと、ディスプレイの第1画素領域及び第2画素領域を左眼及び右眼用の画素領域として検査視標を表示する第2モードと、をモード切替信号に基づいて切替可能とする。これによって、被検眼の左眼と右眼に対し、検査視標を分離して呈示する場合と、検査視標を分離せずに呈示する場合と、を容易に切り替えることができる。
また、例えば、本実施例における検眼装置は、被検眼の両眼視機能を検査するための両眼視機能検査モードを第1モードとし、左眼用の検査視標及び右眼用の検査視標として、ディスプレイに両眼視機能検査視標を表示する。これによって、被検眼の光学特性を測定する検査と、両眼視機能検査と、で検査視標の表示を容易に切り替えることができる。
また、例えば、本実施例における検眼装置は、遠用検査距離にて被検眼に検査視標を呈示するための遠用検査用光路と、近用検査距離にて被検眼に検査視標を呈示するための近用検査用光路と、でディスプレイを兼用する構成であり、近用検査距離において第1モードを設定し、第1画素領域に左眼用の検査視標を表示して、第2画素領域に右眼用の検査視標を表示する。例えば、モアレは近用検査時において生じやすいが、このような表示制御によって、近用検査時でも被検眼に適切な検査視標を呈示することができる。
また、例えば、本実施例における検眼装置は、視標光束の像を光学的に所定の検査距離となるように被検眼に導光する光学部材を有し、ディスプレイから出射された視標光束を光学部材で介して、被検眼に光学的に所定の遠用検査距離にて検査視標を呈示するための遠用検査用光路と、光学部材を介さずに被検眼へディスプレイから出射された視標光束を導光する近用検査用光路と、を切り替える。例えば、遠用検査時には、視標光束が光学部材を介して被検眼に到達し、検査視標が遠くにみえるので、被検眼の位置が変化することによる視角の変化は小さい。しかし、例えば、近用検査時には、視標光束が光学部材を介さず被検眼に到達するので、検査視標が近くにみえ、被検眼の位置が変化することによる視角の変化が大きくなる。このため、遠用検査時に比べて、近用検査時ではモアレが顕著に現れやすくなってしまう。本開示のように偏光光学部材を設けることによって、近用検査時でもモアレの影響を抑え、被検眼に適切な検査視標を呈示することができる。
<変容例>
なお、本実施例では、ディスプレイ11から垂直方向の偏光軸(偏光面)をもつ視標光束が出射される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、ディスプレイ11から45度方向の偏光軸をもつ視標光束が出射される構成としてもよい。この場合には、偏光光学部材15として、左眼用光学領域57Lによって視標光束を90度方向の偏光軸をもつ直線偏光に変換し、右眼用光学領域59Rによって視標光束を180度方向の偏光軸をもつ直線偏光に変換する偏光光学部材を用いてもよい。また、この場合には、偏光光学部材15として1/2λ波長板を用いずに(すなわち、1/2λ波長板を用いずに)、45度方向の偏光軸を維持して視標光束を通過させる偏光光学部材15を用いてもよい。
なお、本実施例においては、偏光光学部材15によって、左眼用光学領域57Lを通過する視標光束と、右眼用光学領域59Rを通過する視標光束と、が互いに直交する直線偏光に変換されるため、左眼用光学領域57Lを通過した視標光束が偏光レンズ30Rを介して右眼に到達すること、及び、右眼用光学領域59Rを通過した視標光束が偏光レンズ30Lを介して左眼に到達すること、が抑制される。もちろん、左右眼における直線偏光の偏光方向は、略直交であってもよい。例えば、左右眼における直線偏光の偏光方向が直交でない場合、左眼用光学領域57Lを通過した視標光束は、偏光レンズ30Rを介することで減光されて右眼に到達する。同様に、右眼用光学領域59Rを通過した視標光束は、偏光レンズ30Lを介することで減光されて左眼に到達する。このような構成であると、左眼及び右眼には呈示されるべきではない視標がみえ、左眼と右眼で検査視標を分離することが難しくなる。このため、左眼用光学領域57Lと右眼用光学領域59Rとは、互いに直交(あるいは略直交)する偏光軸をもつことが好ましい。
なお、本実施例では、左眼用光学領域57Lを通過した視標光束と、右眼用光学領域59Rを通過した視標光束と、を互いに直交する直線偏光に変換する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、左眼用光学領域57Lを通過した視標光束と、右眼用光学領域59Rを通過した視標光束と、を互いに直交する円偏光に変換する構成としてもよい。この場合には、偏光光学部材15として、円偏光部材を用いてもよい。例えば、円偏光部材は、位相差機能をもつ1/4λ波長板と直線偏光部材とを含む構成であってもよい。なお、1/4λ波長板と直線偏光部材とは一体的に形成されていてもよい。これによって、左眼用光学領域57Lを通過する視標光束と、右眼用光学領域59Rを通過する視標光束と、のいずれか一方を左回り円偏光とし、他方を右回り円偏光とすることができる。なお、偏光光学部材15として円偏光部材を用いる場合には、左右の光学領域と同じ回転方向の偏向軸をもつ偏光レンズ30L及び30Rを検査窓53に配置するとよい。
なお、本実施例では、被検眼の両眼視機能を検査するための両眼視機能検査視標の一例として、ディスプレイ11に偏光レッドグリーン視標を表示する場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、両眼視機能検査視標としては、両眼バランス視標、立体視視標(例えば、精密立体視視標、等)、斜位視標(例えば、十字斜位視標、回旋斜位視標、等)、不等像視視標、等の少なくともいずれかを表示してもよい。
なお、本実施例では、両眼視機能検査視標をディスプレイ11に表示する際に、第1モードが設定される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、両眼視機能検査視標であっても、第2モードを設定する構成としてもよい。なお、どの検査視標を第1モードに設定してディスプレイ11に表示するか、また、どの検査視標を第2モードに設定してディスプレイ11に表示するか、は予め設定されていてもよいし、検者が任意に設定可能であってもよい。
例えば、両眼視機能検査視標の種類によっては、第1モードを設定して2画素以上の画素領域毎に表示を制御すると、検査視標の不連続さが目立って認識しづらくなることがある。一例としては、視力値の大きなランドルト環視標等、ディスプレイ11の画面に小さく表示されるものであるほど、認識しづらくなることがある。例えば、制御部80は、両眼視機能検査視標であっても、このような場合には第2モードを設定してもよい。検者は、第2モードが設定された両眼視機能検査視標の種類に応じて、眼屈折力測定ユニット50の検査窓53に、赤フィルタ/緑フィルタ、プリズム、等を配置することで、被検眼の両眼視機能をより適切に検査することができる。
また、本実施例では、両眼視機能検査視標をディスプレイ11に表示する際に、第1モードを設定し、さらに、検査視標の表示位置を調整するようにしてもよい。例えば、2画素以上の画素領域毎に表示を制御すると検査視標は不連続になるが、検査視標がどのようなパターンで不連続になるかで、認識しやすい状態と認識しにくい状態ができる。このため、制御部80は、左眼用光学領域に対応するディスプレイの第1画素領域において、検査視標がより視認されやすい位置に左眼用の検査視標を表示し、右眼用光学領域に対応するディスプレイの第2画素領域において、検査視標がより視認されやすい位置に右眼用の検査視標を表示してもよい。
なお、本実施例では、左眼用偏光レッドグリーン視標73をディスプレイ11の画面下側に、右眼用レッドグリーン視標71をディスプレイ11の画面上側に表示している。これにより、左右眼に対して上下方向に視差が設定され、検査視標が浮き上がって視認される。もちろん、例えば、左眼用偏光レッドグリーン視標73をディスプレイ11の画面上側に、右眼用レッドグリーン視標71をディスプレイ11の画面下側に表示してもよい。この場合には、左右眼に対して上下方向に視差が設定され、検査視標が沈み込んで視認される。なお、左右眼の視差は左右方向に設定してもよく、いずれの場合にも検査視標が立体視される。もちろん、偏光レッドグリーン視標に限らず、両眼バランス視標、立体視視標、斜位視標、不等像視視標、等において、左右眼に対する視差を設定してもよい。
なお、本実施例では、左眼用光学領域57Lに一致するディスプレイ11の画素領域A1と、ディスプレイ11の右眼用光学領域59Rに一致する画素領域A2と、がともに2画素の幅の画素領域である構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。画素領域A1と画素領域A2とは、互いに異なる画素数の幅の画素領域であってもよい。一例としては、画素領域A1を2画素の幅とし、画素領域A2を3画素の幅としてもよい。また、画素領域A1毎に、画素の幅が異なっていてもよい。一例としては、ある画素領域A1を2画素の幅とし、ある画素領域A1を3画素の幅としてもよい。同様に、画素領域A2毎に、画素の幅が異なっていてもよい。なお、このように、画素領域A1と画素領域A2とで画素数の幅を変更する場合、ディスプレイ11の全画素数のうち、左眼用光学領域57Lに一致する画素領域A1と、右眼用光学領域59Rに一致する画素領域A2と、にそれぞれ振り分けられる画素数を同程度とすることが好ましい。