JP7095223B2 - 熱可塑性プラスチック製角型ボトル - Google Patents
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Description
また、内容物を充填する際の被熱などの外的因子により、ボトルが部分的に熱収縮変形してしまう(不正変形)。更に、略四角形が長方形状では、短辺と長辺とでは延伸度合いが異なるため、それらの変形の抑制はより難しいものとなる。
中でも、金型から取り出した後に、底部のヒケ変形に由来するロッカーボトムが発生すると、内容物充填前の空ボトルは自重のみで軽いため、ボトルのぐらつきや傾きを起こしやすく自立安定性に欠け、液体等の内容物の充填・注入が正常に行えない虞がある。
また、特許文献1の技術では、底面中央部を中心に、凹状中央部(10)と接続部(12)と接地部(11)とを同心円状に設けているため、胴部水平断面が略正方形ではなく略長方形の場合は、長辺方向の揺れによって倒れ易い。
更に、接地部(11)以外の底面部は全て凹状に窪んでいるか胴部に向けて上方へ繋がっており、まさに底面の線状部のみで荷重を受けるため、耐荷重性が弱い。
胴部と、該胴部の下方に設けられた底部とを有し、前記胴部の高さ方向に直交する断面の形と前記底部の底面の形とが略四角形であるプラスチック製の角型ブロー成形ボトルであって、前記底面は、その中央部分よりも外側部分に略水平な平面部を有し、前記平面部は、その一部に下方に突出した凸部を有し、ボトルを水平面に正立させた場合に、前記凸部の少なくとも一部が該水平面に接地し、前記底面における前記凸部の位置が下記条件(a)及び条件(b)のうちの少なくとも一方の条件を満たす、角型ブロー成形ボトル
を開示する。
条件(b):前記底面の中央を中心とし前記略四角形の長辺長に対する円直径比が0.70以上1.0以下である1つの円と、前記略四角形の四辺に平行な直線との交点8点を含む。
本願においてボトルの「底部」とは、胴部から曲率を有して底面へ繋がる、底面を含む部位全体である。
本願においてボトルの「底面」とは、ボトルを下から視た面である。
本願において「略四角形」とは、完全な四角形である必要はなく、丸みを帯びた四角形であってもよい。
本願において「略水平の平面部」とは、完全に水平である必要はない。平面部は水平面に対して0~15度以下の角度を有していてもよく、好ましくは12度以下、より好ましくは10度以下である。
本願において「角型ブロー成形ボトル」とは、熱可塑性プラスチックをブロー成形して得られる角型ボトルをいう。すなわち、有底筒形状のパリソン(プレフォーム)を加温し、金型内でブロー延伸して製造されるものである。尚、角形ボトルがブロー成形により得られたものであるか否かは、角型ボトルの表面状態や厚みの状態(胴部が1mm未満の薄厚である、角部が肉厚となる、ボトル内壁がブロー成形特有の滑らかなものとなる、等)を観察することで、当業者は容易に判断することができる。すなわち、「角型ブロー成形ボトル」における「ブロー成形」とは、単に角型ボトルの構造や状態を示すものであり、「ボトルの製造方法が記載されている場合」に該当せず、仮に特許請求の範囲において「角型ブロー成形ボトル」と規定したとしても、プロダクトバイプロセスクレームには該当しない。
図1、2に示すように、角型ボトル10は、胴部1と、胴部1の下方に設けられた底部2とを有し、胴部1の高さ方向に直交する断面の形と底部2の底面の形とが略四角形であるプラスチック製の角型ブロー成形ボトルである。角型ボトル10において、底面は、その中央部分(図1、2においては上方に窪んだ窪み部2aとされている)よりも外側部分に略水平な平面部2bを有する。また、平面部2bは、その一部に下方に突出した凸部2cを有する。角型ボトル10を水平面に正立させた場合、凸部2cの少なくとも一部が該水平面に接地する。角型ボトル10においては、底面における凸部2cの位置が後述の条件(a)及び条件(b)のうちの少なくとも一方の条件を満たすことが重要である。
角型ボトル10において、胴部1は、断面形状が略四角形であって角型ボトルを構成可能なものでれば特に限定されるものではない。「略四角形」の具体例については後述する。これ以外の胴部1の形状等については、当業者にとっては自明な事項であるため、ここでは説明を省略する。
角型ボトル10は底部2の底面の形状に特徴を有する。図1、2に示すように、底面は、その中央部分に上方に窪んだ窪み部2a(図2の一点破線部分)を有するとともに、該窪み部2aの周辺部分に略水平な平面部2bを有する。角型ボトル10において、平面部2bの周縁は曲率を持って胴部1へと接続している。また、平面部2bはその一部に下方向に突出した凸部2c(図2の点線部分)を有している。
角型ボトルにおいて窪み部は必須ではないが、ロッカーボトムをより適切に防止する観点からは、角型ボトル10のように、底面の中央部分に上方に窪んだ窪み部2aを有することが好ましい。窪み部2aの平面視形状は、底面の中央を中心点とし、円形、楕円形、胴部略四角形に相似の略四角形が好ましい。特に、自立安定性の点から、図2に一点破線にて示すように、略四角形の短辺長/長辺長の比と同等の短径/長径の比を有する楕円形が好ましい。
窪み部2aの垂直断面形状は、滑らかな斜面状であっても良いし、曲率を有する段が1つ以上あっても良い。段数は、賦形性、耐荷重強度の点などから、2段が好ましい。
図1、2に示すように、角型ボトル10において、平面部2bの底面中央部側は、窪み部2aへと曲率を有して繋がり、また周縁側は、ボトル胴部1へと曲率を有して繋がっている。底面は、平面視において、中心から窪み部2a、平面部2b及び凸部2cの順に周縁部へと繋がっている。
底面において平面部2bが50%以上の面積を有することにより、平面部2bが厚肉になり難く、冷却が十分に進み、ロッカーボトム変形が起き難い。平面部2bの面積が90%以下であると、加熱成形の樹脂流動で凸部2cを形成しやすい。
角型ボトル10において、平面部2bは、その一部に下方に突出した凸部2cを有する。角型ボトル10を水平面に正立させた場合、凸部2cの少なくとも一部が該水平面に接地する。
条件(a):底面の中央を中心とし略四角形の長辺長に対する円直径比が0.70以上1.0以下である1つの円と、略四角形の対角線との交点4点を含む。
条件(b):底面の中央を中心とし略四角形の長辺長に対する円直径比が0.70以上1.0以下である1つの円と、略四角形の四辺に平行な直線との交点8点を含む。
長辺長に対する円直径比は、下限0.75以上、上限0.9以下がより好ましい。
長辺長に対する円直径比は、下限0.75以上、上限0.9以下がより好ましい。
凸部2cの大きさは、点状の場合は直径1mm以上3mm以下程度、線状の場合は幅1mm以上3mm以下程度が好ましい。
ここで、凸部2cの「突出高さ」とは、中央部側の平面部2bからの高さであり、中央側段差形状の場合も、同様に中央側の平面部2bからの段差の高さを意味する。
突出高さが0.30mm以上であれば、僅かなヒケ変形が生じても、接地部の接地機能をより適切に維持できる。突出高さが0.60mm以下であれば、金型内での冷却も十分に進みヒケ変形が一層抑制され、また良好な賦形性が得られる。
尚、上述の4つの交点又は8つの交点、或いはそれらの倍数個の交点を含む各凸部2cの突出高さは略均一である。
2.3.1.略四角形の辺長
角型ボトル10のように、胴部の断面形状及び底面の形状が略四角形の場合、当該略四角形の辺長が大きくなるほど、ヒケ変形が発生し易い。例えば、略四角形の辺長が65mm以上、更には75mm以上、また更には85mm以上の場合、ヒケ変形が発生し易い。従来技術においては当該ヒケ変形の抑制が困難であったが、角型ボトル10によれば当該ヒケ変形を適切に抑制できる。言い換えれば、角型ボトル10による効果がより顕著となる観点から、略四角形の辺長は好ましくは65mm以上、より好ましくは75mm以上、更に好ましくは85mm以上である。辺長の上限は特に限定されないが、好ましくは150mm以下、より好ましくは120mm以下である。
例えば、略四角形の各辺の長さは、750mL容量のボトルの場合は、短辺60mm以上70mm以下、長辺70mm以上80mm以下程度、また、2L容量の場合は、短辺80mm以上100mm以下、長辺100mm以上120mm以下程度とすることができる。
ボトルの下端(凸部2cの接地部)から上端(口部4の上端)までの高さについては、略四角形の各辺の長さとボトルの容量とに合わせて適宜決定すればよい。例えば、当該高さを好ましくは150mm以上350mm以下、下限はより好ましくは180mm以上、更に好ましくは200mm以上、上限はより好ましくは300mm以下、更に好ましくは250mm以下とすることで、自立安定性を一層高めることができる。
角型ボトル10の材質は、熱可塑性プラスチックであればよい。具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好適であり、特に、強度、耐熱性、透明性、光沢性の点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。角型ボトル10においては、熱可塑性プラスチックに加えて公知の添加剤を使用できる。
角型ボトル10の製造方法は、有底円筒形状のパリソン(プレフォーム)を加温し、金型内でブロー延伸するブロー成形法による。成形後の角型ボトル10の形状が上記したものとなるように、金型の形状を設計すればよい。パリソン形状やその製法、およびブロー延伸条件は、公知の製法および条件である。尚、角型ボトル10は、製造時にヒートセット(熱固定)を施さずとも、また冷却条件(温度、時間)を特に強めなくとも自立安定性に優れたものとなる。具体的な冷却条件としては、例えば表面温度15~75℃の金型に1~4秒間密着させる条件等を挙げることができる。
角型ボトル10の用途は特に限定されるものではないが、内部に液体が充填されることが好ましい。上述の通り、角型ボトル10は、内部に液体を充填したとしても自立安定性に優れる。液体の種類は特に限定されないが、例えば食用油、工業用油、調味料、ジュース等が挙げられる。
成形した角型ボトルの底面について、ヒケ変形、ロッカーボトム変形の有無などの観点で外観観察した。
成形した角型ボトルを水平台に正立させ、胴部水平断面の略四角形の短辺側に12度傾け、その後ボトルを離したときに正立して停止するまでの時間を計測した。試験体3個数に対し、各5回計測し、その平均値を用いて自立安定性を評価した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(一般ボトルグレード、極限粘度0.83dl/g、融点240℃、結晶化温度172℃)製の有底円筒状の長さ95mmパリソンを用い、材質SUS製金型に装填し、2ステップブロー成形法(コールドパリソン法)により、設定条件100℃、40秒間の加熱後に、チラー設定温度15℃の金型で、3.0MPa、1.7秒間(即ち、ボトルが金型に密着した冷却時間は約1.7秒間)の設定条件で、ブロー成形し、その後、ブロー成形したボトルを金型から取り出した。
底面の窪み部は、短径40mm、長径45mmの楕円状(底面に対する平面視面積比37%)で、高さ17mm(短辺長に対する比率0.26)である。
底面の凸部が、実施例1の4つの凸部を含み、中央部側の平面部から段差として突出し、その突出高さのまま周縁部からボトル胴部の垂直面へ曲率を有して繋がった、中央側段差形状の面状凸部である他は、実施例1と同様にしてボトルを成形した。
成形したボトルの底面の窪み中心部の厚みは2.8mm、凸部の厚みは0.35mmであった。
底面外観評価は、底面に設けた凸部で接地しており、ヒケ変形、ロッカーボトム変形は無く良好であった。また、自立安定性評価値は、1.7秒であった。
実施例1において、金型底面の平面部に、下方に突出した凸部を設けない他は、実施例1と同様にしてボトルを成形した。
成型したボトルの底面の窪み中心部の厚みは2.8mmであった。
底面外観評価は、底面の周辺部の略水平面の長辺、短辺の各中心近傍が、ボトル下方向に大きく膨らみ突出し変形しており、不良であった。また、自立安定性評価値は、2.9秒であった。
実施例1において、底面の凸部は、底面の中央を中心とした直径60mmの円弧と、長辺から中央側へ5mm位置の長辺との平行線2本との交点4点(長辺側凸部4点)と、底面の中央を中心とした直径70mmの円弧と、短辺から中央側へ5mm位置の短辺との平行線2本との交点4点(短辺側凸部4点)の計8点の点状凸部である他は、実施例1と同様にしてボトルを成形した。
成形したボトルの底面の窪み中心部の厚みは2.8mm、長辺側凸部4点の厚みは0.35mm、短辺側凸部4点の厚みは0.30mmであった。
底面外観評価は、長辺側凸部4点は賦形性および接地が良好であったが、短辺側凸部4点は賦形性が悪くまた水平台から浮いて接地不良であった。そのため、正立させようとするとぐらつきが長く続き、自立安定性評価値は3.0秒以上であった。
実施例1において、底面の中央部に窪み部を設けず、また平面部に凸部を設けない他は、実施例1と同様にしてボトルを成形した。
成形したボトルの底面の平面部の厚みは2.5mmであった。
底面外観評価は、平面部がボトル下方向に大きく膨出して変形しており(ロッカーボトム変形)、不良であった。また、その膨出により、自立安定性評価は実施できなかった。
2 底部
2a 窪み部
2b 平面部
2c 凸部
3 肩部
4 口部
10 角型ボトル
Claims (7)
- 胴部と、該胴部の下方に設けられた底部とを有し、前記胴部の高さ方向に直交する断面の形と前記底部の底面の形とが略四角形である熱可塑性プラスチック製の角型ブロー成形ボトルであって、
前記略四角形は、短辺長に対する長辺長の比率が1.0より大きく2.0以下であり、
前記底面は、中心から窪み部、該窪み部の外側の周辺部分に該窪み部を囲むように全周にわたって設けられた平面部を順に有し、
前記平面部の角部近傍に下方に突出した突出高さ0.30mm以上0.50mm以下の凸部を有し、
ボトルを水平面に正立させた場合に、前記凸部の少なくとも一部が該水平面に接地し、
前記底面における前記凸部の位置が下記条件(a)及び条件(b)のうちの少なくとも一方の条件を満たす、
角型ブロー成形ボトル。
条件(a):前記底面の中央を中心とし前記略四角形の長辺長に対する円直径比が0.70以上1.0以下である1つの円と、前記略四角形の対角線との交点4点を含む。
条件(b):前記底面の中央を中心とし前記略四角形の長辺長に対する円直径比が0.70以上1.0以下である1つの円と、前記略四角形の四辺に平行な直線との交点8点を含む。 - 前記凸部が、平面視において幅1~3mmの線状である請求項1に記載の角型ブロー成形ボトル。
- 前記凸部における厚みが0.20mm以上0.60mm以下である、
請求項1又は2に記載の角型ブロー成形ボトル。 - 前記略四角形の短辺長が65mm以上である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の角型ボトル。 - 前記底面における前記凸部の位置が前記条件(b)を満たし、且つ、前記凸部の形状が前記8つの交点のうち前記略四角形の各角部の近傍に位置する短辺側と長辺側の2点を含んで繋がった線状又は面状である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の角型ボトル。 - 前記条件(b)において、前記略四角形の四辺に平行な線が、それぞれ、前記四辺から等距離にある、
請求項1~5のいずれか1項に記載の角型ボトル。 - 内部に液体が充填されている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の角型ボトル。
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