JP7095127B2 - 導電性粒子の製造方法、及び導電性粒子 - Google Patents

導電性粒子の製造方法、及び導電性粒子 Download PDF

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Description

本発明は、導電性粒子の製造方法、及び導電性粒子に関する。
異方性導電フィルムや異方性導電ペーストといった異方性導電材料の導電性材料として用いられる導電性粒子としては、一般に芯材粒子の表面に金属からなる導電層を形成したものが知られており、この導電層により電極や配線間の電気的な接続を行っている。この導電性粒子の導電層としては、無電解めっき法によるニッケルめっき皮膜がしばしば用いられている。
無電解めっき法によるニッケルめっき皮膜は、還元剤から析出するリンを不純物として含むため、アモルファスを多く含む皮膜を形成している。このため導電性粒子を加熱処理することでニッケルめっき皮膜を結晶化して導電層の種々の特性を向上させる技術が開示されている。
例えば特許文献1では、ニッケルコート層を形成した粉末を、300~600℃の不活性ガス雰囲気若しくは微還元雰囲気中で熱処理して、ニッケルコート層を構成するニッケル組織の結晶子径を調整することで、この工程後に行われる金コート層との密着安定性が高められることが記載されており、これによりニッケル及び金の二層コート粒子粉末を用いて得られる導体が低い電気的抵抗値を有するようになることが開示されている。
また特許文献2では、導電性粒子を200℃以上でアニール処理することで、導電部の水素原子が少なくなり、結晶子サイズ50nm以上の導電部を有する導電性粒子が記載されている。この効果として、導電部の割れが抑えられ、また、耐酸性が高まるため、接続信頼性に優れることが開示されている。
特開2005-200728号公報 特開2016-167449号公報
しかし、導電性粒子を加熱処理することは導電部の金属の結晶子を調整できる反面、高温下に導電性粒子を曝すことになるため、導電層形成時に使用した反応液の残存成分が導電部の金属と反応してしまい、所望する性能の導電性粒子を得難い問題があった。また、加熱処理の際に窒素やアルゴンなどの不活性ガスを使用することは、製造コストの増大につながり経済的でなかった。
したがって本発明の目的は、導電性粒子の品質への影響が少なく、製造コストを抑えた導電性粒子の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、導電性粒子を加熱処理する際に、高真空下で加熱することにより、導電層の金属の結晶化が進みつつも導電性粒子の品質への影響が少なくなることを見出した。具体的には、高真空下で加熱することにより、導電層の欠陥が少なくなり均一性が高くなりつつも品質の劣化は抑えられるため、導電性粒子が、耐電流性に優れ、接続抵抗が低く、且つ、接続信頼性にも優れるものとなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、温度200~600℃で加熱する工程を有する導電性粒子の製造方法を提供するものである。
また本発明は、芯材粒子の表面に導電層が形成されてなる導電性粒子において、圧縮率が30%のときの該導電性粒子1個当たりの耐電流値が200mA以上である導電性粒子を提供するものである。
本発明によれば、耐電流性に優れ、接続抵抗が低く、且つ、接続信頼性にも優れる導電性粒子、及び該導電性粒子を製造する方法を提供することができる。
図1は実施例1で得られた導電性粒子のSEM画像である。
以下、本発明の導電性粒子の製造方法の好ましい実施形態を説明する。
本発明の導電性粒子の製造方法は、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、200~600℃の温度で加熱する、真空加熱工程を有する。
以下、前記真空加熱工程に供する、芯材粒子の表面に導電層を有する導電性粒子の説明をする。
前記導電性粒子は、芯材粒子の表面に導電層が形成されてなるものである。
前記芯材粒子としては、粒子状であれば、無機物であっても有機物であっても特に制限なく用いることができる。無機物の芯材粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ハンダ等の金属粒子、合金、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素等が挙げられる。一方、有機物の芯材粒子としては、例えば、天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
芯材粒子は、上述した無機物及び有機物のいずれか一方からなる材質に代えて、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていてもよい。芯材粒子が無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている場合、芯材粒子における無機物及び有機物の存在態様としては、例えば、無機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様、あるいは、有機物からなるコアと、該コアの表面を被覆する無機物からなるシェルとを備える態様等のコアシェル型の構成等が挙げられる。これらのほか、一つの芯材粒子中に、無機物と有機物が混合されているか、あるいはランダムに融合しているブレンド型の構成等が挙げられる。
芯材粒子は、有機物或いは無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていることが好ましく、無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されていることがより好ましい。前記無機物は、ガラス、セラミック、シリカ、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素であることが好ましい。また、前記有機物は天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような材質からなる芯材を用いることによって、粒子同士の分散安定性を高めることができ、また、電子回路の電気的接続の際に、適度な弾性を発現させて導通を高めることができる。
芯材粒子として有機物を用いる場合、ガラス転移温度を有しないか、又は、ガラス転移温度が100℃超であることが、芯材粒子の形状が維持されやすいことや金属皮膜を形成する工程において芯材粒子の形状を維持しやすい点から好ましい。ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線のベースラインシフト部分における元のベースラインと変曲点の接線の交点として求めることができる。
芯材粒子として有機物を用いる場合において、その有機物が高度に架橋した樹脂であるときは、前記方法にて200℃までガラス転移温度の測定を試みても、ベースラインシフトはほとんど観測されない。本明細書中ではこのような粒子を、ガラス転移温度を有しない粒子ともいい、本発明においては、このような芯材粒子を用いてもよい。ガラス転移温度を有しない芯材粒子材料の具体例としては、前記で例示した有機物を構成する単量体に架橋性の単量体を併用して共重合させて得ることができる。架橋性の単量体としては、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシド(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメテロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能ビニル系単量体、ビニルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン含有系単量体、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル等の単量体が挙げられる。特にCOG(Chip on Glass)分野ではこのような硬質な有機材料による芯材粒子が多く使用される。
芯材粒子の形状に特に制限はない。一般に、芯材粒子は球状である。しかし、芯材粒子は球状以外の形状、例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性に優れる、金属を被覆しやすいといった点で、球状の芯材粒子が好ましい。
芯材粒子の表面に形成される導電層は、導電性を有する金属からなるものである。導電層を構成する金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、鉄、亜鉛、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、コバルト、インジウム、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、クロム、パラジウム、タングステン、モリブデン、カルシウム、マグネシウム、ロジウム、ナトリウム、イリジウム、ベリリウム、ルテニウム、カリウム、カドミウム、オスミウム、リチウム、ルビジウム、ガリウム、タリウム、タンタル、セシウム、トリウム、ストロンチウム、ポロニウム、ジルコニウム、バリウム、マンガン等の金属又はこれらの合金のほか、ITO、ハンダ等の金属化合物等が挙げられる。なかでも金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム又はハンダが、電気抵抗が少ないため好ましく、とりわけ、ニッケル、金、ニッケル合金又は金合金が好適に用いられる。金属は1種でもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
導電層は、単層構造であっても、複数層からなる積層構造であってもよい。複数層からなる積層構造である場合には、最表層が、ニッケル、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル合金、金合金、銀合金、銅合金及びパラジウム合金から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また導電層は、芯材粒子の表面全体を被覆していなくてもよく、その一部のみを被覆していてもよい。芯材粒子の表面の一部のみを被覆している場合は、被覆部位が連続していてもよく、例えばアイランド状に不連続に被覆していてもよい。
導電層の厚みは、0.1nm以上2000nm以下であることが好ましく、1nm以上1500nm以下であることがより好ましい。導電層の厚みが上記範囲内にあることで、電気特性に優れる導電性粒子となる。導電性粒子が後述する突起を有する場合、突起の高さは、ここでいう導電層の厚みに含まないものとする。なお、本発明において、導電層の厚みは、測定対象の粒子を2つに切断し、その切り口の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察して測定することができる。
導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上30μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、導電性粒子の平均粒子径は、SEM観察により測定した値である。具体的には、導電性粒子の平均粒子径は実施例に記載の方法にて測定される。なお、粒子径は、円形の導電性粒子像の径である。導電性粒子が球状でない場合、粒子径は、導電性粒子像を横断する線分のうち最も大きい長さ(最大長さ)をいう。
導電性粒子がその表面に突起を有する場合、すなわち、導電層の外表面が突起を有する形状である場合、突起の高さは、好ましくは20nm以上1000nm以下、更に好ましくは50nm800nm以下である。突起の数は、導電性粒子の粒径にもよるが、導電性粒子1つ当たり、好ましくは1個以上20000個以下、更に好ましくは5個以上5000個以下であることが、導電性粒子の導電性を一層向上させる点で有利である。また、突起の基部の長さは、好ましくは5nm以上1000nm以下、更に好ましくは10nm以上800nm以下である。突起の基部の長さは、粒子の断面をSEM観察したときに、突起が形成されている部位における導電性粒子の表面に沿う長さをいい、突起の高さは、突起の基部から突起頂点までの最短距離をいう。なお、1つの突起に複数の頂点がある場合は、最も高い頂点をその突起の高さとする。突起の基部の長さ及び突起の高さは、電子顕微鏡により観察された20個の異なる粒子について測定した値の算術平均値とする。
導電性粒子の形状は、芯材粒子の形状にもよるが、特に制限はない。例えば、繊維状、中空状、板状又は針状であってもよく、その表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。本発明においては、充填性、接続性に優れるという点で、球状又は外表面に多数の突起を有する形状であることが好ましい。
芯材粒子の表面に導電層を形成する方法としては、蒸着法、スパッタ法、メカノケミカル法、ハイブリダイゼーション法等を利用する乾式法、電解めっき法、無電解めっき法等を利用する湿式法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせて芯材粒子の表面に導電層を形成してもよい。
本発明においては、無電解めっき法により芯材粒子の表面に導電層を形成することが、所望の粒子特性を有する導電性粒子を得るのが容易であるため好ましい。特に、導電性粒子が、芯材粒子の表面に導電層として無電解ニッケル-リンめっき層を形成したものであることが好ましい。
以下、導電層としてニッケル-リンめっき層を形成する場合について説明する。
無電解めっき法により芯材粒子の表面に導電層を形成する場合、芯材粒子は、その表面が貴金属イオンの捕捉能を有するか、又は貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質されることが好ましい。貴金属イオンは、パラジウムや銀のイオンであることが好ましい。貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンをキレート又は塩として捕捉し得ることをいう。例えば芯材粒子の表面に、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基などが存在する場合には、該芯材粒子の表面は貴金属イオンの捕捉能を有する。貴金属イオンの捕捉能を有するように表面改質する場合には、例えば特開昭61-64882号公報記載の方法を用いることができる。
このような芯材粒子を用い、その表面に貴金属を担持させる。具体的には、芯材粒子を塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させる。これによって貴金属イオンを粒子の表面に捕捉させる。貴金属塩の濃度は粒子の表面積1m当たり1×10-7~1×10-2モルの範囲で十分である。貴金属イオンが捕捉された芯材粒子は系から分離され水洗される。引き続き、芯材粒子を水に懸濁させ、これに還元剤を加えて貴金属イオンの還元処理を行う。これによって芯材粒子の表面に貴金属を坦持させる。還元剤は、例えば次亜リン酸ナトリウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等が用いられ、これらのうちから、目的とする導電層の構成材料に基づいて選択されることが好ましい。
貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる前に、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを粒子の表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粒子を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間攪拌すればよい。
このようにして前処理が施された芯材粒子について、導電層の形成処理を行う。導電層の形成処理として、突起を有する導電層を形成する処理、及び表面が平滑な導電層を形成する処理の2種類があるが、まず、突起を有する導電層を形成する処理について説明する。
突起を有する導電層を形成する処理においては、以下の第1工程、及び第2工程を行う。
第1工程は、芯材粒子の水性スラリーと、分散剤、ニッケル塩、還元剤及び錯化剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴とを混合する無電解ニッケルめっき工程である。かかる第1工程では、芯材粒子上への導電層の形成と同時にめっき浴の自己分解が起こる。この自己分解は、芯材粒子の近傍で生じるため、導電層の形成時に自己分解物が芯材粒子表面上に捕捉されることによって、微小突起の核が生成し、それと同時に導電層の形成がなされる。生成した微小突起の核を基点として、突起が成長する。
第1工程では、前述した芯材粒子を好ましくは0.1~500g/L、更に好ましくは1~300g/Lの範囲で水に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。分散操作は、通常攪拌、高速攪拌又はコロイドミル若しくはホモジナイザーのような剪断分散装置を用いて行うことができる。また、分散操作に超音波を併用してもかまわない。必要に応じ、分散操作においては界面活性剤などの分散剤を添加する場合もある。次いで、ニッケル塩、還元剤、錯化剤及び各種添加剤などを含んだ無電解ニッケルめっき浴に、分散操作を行った芯材粒子の水性スラリーを添加し、無電解めっき第1工程を行う。
前述した分散剤としては、例えば非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び/又は水溶性高分子が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル系の界面活性剤を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系の界面活性剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ヒドロキシエチルセルロースなどを用いることができる。これらの分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の使用量は、その種類にもよるが、一般に、液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して0.5~30g/Lである。特に、分散剤の使用量が液体(無電解ニッケルめっき浴)の体積に対して1~10g/Lの範囲であると、導電層の密着性が一層向上する観点から好ましい。
ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度は0.1~50g/Lの範囲とすることが好ましい。還元剤としては、例えば先に述べた貴金属イオンの還元に用いられているものと同様のものを用いることができ、目的とする下地皮膜の構成材料に基づいて選択される。還元剤としてリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムを用いる場合、その濃度は、0.1~50g/Lの範囲であることが好ましい。
錯化剤としては、例えばクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸若しくはそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸(塩)、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、その他のアンモニウム、EDTA又はピロリン酸(塩)など、ニッケルイオンに対し錯化作用のある化合物が使用される。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その濃度は好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの範囲である。この段階での好ましい無電解ニッケルめっき浴のpHは、3~14の範囲である。無電解ニッケルめっき反応は、芯材粒子の水性スラリーを添加すると速やかに始まり、水素ガスの発生を伴う。第1工程は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
次いで第2工程においては、前記の第1工程に続けて、(i)ニッケル塩、還元剤及びアルカリのうちの1種を含む第1の水溶液と、残りの2種を含む第2の水溶液を用いるか、又は(ii)ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤を含む第2の水溶液と、アルカリを含む第3の水溶液とを用い、これらの水溶液をそれぞれ同時にかつ経時的に、第1工程の液に添加して無電解ニッケルめっきを行う。これらの液を添加すると再びめっき反応が始まるが、その添加量を調整することによって、形成される導電層を所望の膜厚に制御することができる。無電解ニッケルめっき液の添加終了後、水素ガスの発生が完全に認められなくなってから暫く液温を保持しながら攪拌を継続して反応を完結させる。
前記の(i)の場合には、ニッケル塩を含む第1の水溶液と、還元剤及びアルカリを含む第2の水溶液とを用いることが好ましいが、この組合せに限られない。この場合には、第1の水溶液には還元剤及びアルカリは含まれず、第2の水溶液にはニッケル塩は含まれない。ニッケル塩及び還元剤としては、先に述べたものを用いることができる。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。前記の(ii)の場合についても同様である。
前記の(ii)の場合には、第1~第3の水溶液にニッケル塩、還元剤及びアルカリがそれぞれ含まれ、かつ各水溶液には当該成分以外の他の2成分は含まれない。
(i)及び(ii)の場合のいずれであっても、水溶液中のニッケル塩の濃度は10~1000g/L、特に50~500g/Lであることが好ましい。還元剤の濃度は、還元剤としてリン化合物を用いる場合、100~1000g/L、特に100~800g/Lであることが好ましい。還元剤としてホウ素化合物を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。還元剤としてヒドラジン又はその誘導体を用いる場合、5~200g/L、特に10~100g/Lであることが好ましい。アルカリの濃度は5~500g/L、特に10~200g/Lであることが好ましい。
第2工程は、第1工程の終了後に連続して行うが、これに代えて、第1工程と第2工程とを断続して行ってもよい。この場合には、第1工程の終了後、濾過などの方法によって芯材粒子とめっき液とを分別し、新たに芯材粒子を水に分散させて水性スラリーを調製し、そこに錯化剤を好ましくは1~100g/L、更に好ましくは5~50g/Lの濃度範囲で溶解した水溶液を添加し、分散剤を好ましくは0.5~30g/L、更に好ましくは1~10g/Lの範囲で溶解し水性スラリーを調製して、該水性スラリーに前記の各水溶液を添加する第2工程を行う方法でもよい。このようにして、突起を有する導電層が形成できる。
続いて、以下では表面が平滑な導電層を形成する処理について説明する。
表面が平滑な導電層の形成は、上記突起を有する導電層を形成する処理の第1工程における無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすることで行うことができる。すなわち、ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケル、硫酸ニッケル又は酢酸ニッケルなどが用いられ、その濃度を好ましくは0.01~0.5g/Lの範囲とする。無電解ニッケルめっき浴中のニッケル塩の濃度を薄くすること以外の上記第1工程、及び第2工程を行う方法により、表面が平滑な導電層を形成できる。
このようにして、本発明の真空加熱工程に供する導電性粒子が得られる。
本発明における真空加熱工程の真空度は、1000Pa以下、好ましくは0.01~900Pa、特に好ましくは0.01~500Paである。真空度をこの範囲にすることで、導電層形成時に使用した反応液の残存成分が首尾よく除去されるため、高温下であっても導電層の金属が副反応し難く、接続信頼性などの所望の特性に優れた導電性粒子を得ることができる。この真空加熱工程は、上記効果を妨げなければ、一定の真空度で実施してもよいし、真空度を変化させて実施してもよい。この真空度の変化は、例えば真空度を下げるときには、窒素、アルゴン等の不活性ガスをパージすることで行うことができる。また真空度を上げるときには、真空ポンプの出力を上げることで行うことができる。なお、本発明における真空度は絶対圧、すなわち絶対真空を0としたときの値である。
本発明における真空加熱工程の加熱温度は、200~600℃、好ましくは250~500℃、特に好ましくは300~450℃である。加熱温度をこの範囲にすることで、導電層の金属の結晶化が進行するため電気抵抗が低くなり、電気的な導通性に優れたものとなる。
本発明における真空加熱工程の室温から加熱温度までの昇温速度は0.1~50℃/分であることが好ましく、0.1~30℃/分であることが更に好ましい。この昇温速度を採用することで、首尾よく導電部の金属の結晶化が進行するため電気抵抗が低くなり、電気的な導通性に優れたものとなる。
本発明における真空加熱工程の降温速度は0.02~50℃/分であることが好ましく、0.02~30℃/分であることが更に好ましい。少なくとも50℃までの降温速度をこの範囲にすることが好ましい。降温速度の制御は、室温あるいは冷却したガスによるパージや加熱炉筐体を冷却水などで冷却することで行うことができる。この降温速度を採用することで、熱履歴による芯材粒子や導電層の変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。
本発明における真空加熱工程の処理時間は0.1~10時間であることが好ましく、0.5~5時間であることが更に好ましい。この処理時間を採用することで、製造コストを抑制することができ、また熱履歴による芯材粒子や導電層の変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。なお、この処理時間は、前記した加熱温度の範囲で加熱する時間を示すものである。
本発明における真空加熱工程は、導電性粒子を静置させた状態で行ってもよく、撹拌しながら行ってもよい。導電性粒子を静置させた状態で真空加熱工程を行う場合、0.1mm~100mmの厚さで静置させておくことが好ましい。この厚さで静置させておくことで、導電層への真空加熱処理が首尾よく行われ、製造コストを抑制することができる。
本発明における真空加熱工程は、導電性粒子を入れた容器を真空引きした後、静置した状態で又は撹拌しながら加熱する。この際、導電性粒子を入れた容器の気相部を窒素等の不活性ガスで置換してから真空引きしてもよいし、そのまま真空引きしてもよい。また、本発明における真空加熱工程は、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
次いで、本発明の導電性粒子を説明する。
本発明の導電性粒子は、導電性粒子1個当たりの耐電流値が200mA以上、特に好ましくは300mA以上である。導電性粒子1個当たりの耐電流値が上記範囲内にあることで、接続抵抗が低く、且つ、接続信頼性に優れるものとなる。耐電流値が大きいことは、導電層に欠陥が少なく、均一性が高いことを意味すると考えられ、そのため導電層の電気特性のみならず機械特性も優れたものとなると考えられる。本発明の導電性粒子は、上述した本発明の製造方法により好適に製造することができる。
本発明における耐電流値とは、導電性微粒子電気特性測定装置(以下、V-I装置ということもある。)を用いて、圧縮率が30%のときの導電性粒子1個当たりの耐電流値を測定したものである。電極を加圧接続する場合、導電性粒子を圧縮して変形させ、電極との接触面積を大きくする必要がある。そのため、圧縮した状態での耐電流値が大きいことが重要である。V-I装置は、導電性微粒子の圧縮率を一定に保持した状態で、電圧-電流特性、及び/又は電流容量が測定可能な装置であればよく、例えば、特開平10-221388号公報に記載の装置を用いることができる。
本発明における耐電流値は、導電性粒子1個を測定した値である。この測定での耐電流値は、実装時により近い条件で測定する観点から測定対象となる導電性粒子の圧縮率が30%であることが好ましい。
本発明の導電性粒子は、後述するように導電性接着剤の導電性フィラーとして用いる場合に、導電性粒子間のショートの発生を防止するため、その表面を更に絶縁樹脂で被覆することができる。絶縁樹脂の被覆は、圧力等を加えない状態では導電性粒子の表面が極力露出しないように、かつ導電性接着剤を用いて2枚の電極を接着する際に加えられる熱及び圧力によって破壊され、導電性粒子の表面のうち少なくとも突起が露出するように形成される。絶縁樹脂の厚さは0.1~0.5μm程度とすることができる。絶縁樹脂は導電性粒子の表面全体を覆っていてもよいし、導電性粒子の表面の一部を覆っているだけでもよい。
絶縁樹脂としては、当該技術分野で公知のものを広く用いることができる。その一例を示せば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド-イミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂(例:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン)、ポリアルキル(メタ)アクリレート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチルセルロース樹脂及び酢酸セルロース樹脂等の有機ポリマーからなる樹脂を挙げることができる。
導電性粒子の表面に絶縁被覆層を形成する方法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in situ重合法及び液中硬化被覆法等の化学的方法、スプレードライング法、気中懸濁被覆法、真空蒸着被覆法、ドライブレンド法、ハイブリダイゼーション法、静電的合体法、融解分散冷却法及び無機質カプセル化法等の物理機械的方法、界面沈澱法等の物理化学的方法が挙げられる。
前記絶縁樹脂を構成する有機ポリマーは、非導電性であることを条件として、ポリマーの構造中にイオン性基を含む化合物をモノマー成分として含んでいてもよい。イオン性基を含む化合物は、架橋性モノマーであってもよく、非架橋性モノマーであってもよい。つまり、架橋性モノマー及び非架橋性モノマーの少なくとも1種がイオン性基を有する化合物を用いて、有機ポリマーが形成されていることが好ましい。「モノマー成分」とは、有機ポリマー中のモノマーに由来する構造を指し、モノマーから誘導される成分である。モノマーを重合に供することによって、該モノマー成分を構成単位として含む有機ポリマーが形成される。
イオン性基は、絶縁樹脂を構成する有機ポリマーの界面に存在することが好ましい。また、イオン性基は、有機ポリマーを構成するモノマー成分に化学結合していることが好ましい。イオン性基が有機ポリマーの界面に存在するか否かは、イオン性基を有する有機ポリマーを含む絶縁樹脂を導電性粒子の表面に形成したときに、走査型電子顕微鏡観察によって絶縁樹脂が導電性粒子の表面に付着しているか否かによって判断することができる。
イオン性基としては、例えば、ホスホニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等のオニウム系官能基が挙げられる。これらのうち、導電性粒子及び絶縁樹脂の密着性を高めて、絶縁性と導通信頼性とを高いレベルで兼ね備えた導電性粒子を形成する観点から、アンモニウム基又はホスホニウム基であることが好ましく、ホスホニウム基であることが更に好ましい。
オニウム系官能基は、下記一般式(1)で表されるものが好ましく挙げられる。
Figure 0007095127000001
(式中、Xはリン原子、窒素原子、又は硫黄原子であり、Rは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、又はアリール基である。nは、Xが窒素原子、リン原子の場合は1であり、Xが硫黄原子の場合は0である。*は結合手である。)
イオン性基に対する対イオンとしては、例えばハロゲン化物イオンが挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
式(1)中、Rで表される直鎖状のアルキル基としては、例えば炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表される分岐鎖状のアルキル基としては、例えば炭素数3以上8以下の分岐鎖状アルキル基が挙げられ、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、s-ペンチル基、t-ペンチル基、イソヘキシル基、s-ヘキシル基、t-ヘキシル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表される環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といったシクロアルキル基等が挙げられる。
式(1)中、Rで表されるアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基、o-キシリル基等が挙げられる。
一般式(1)中、Rは、炭素数1以上12以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1以上10以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基であることが更に好ましい。また、一般式(1)中、Rが直鎖状アルキル基であることも更に好ましい。オニウム系官能基がこのような構成となっていることによって、絶縁樹脂と導電性粒子との密着性を高めて絶縁性を確保するとともに、熱圧着時における導通信頼性を一層高めることができる。
モノマーの入手及びポリマーの合成を容易にするとともに、絶縁樹脂の製造効率を高める観点から、絶縁樹脂を構成するイオン性基を有する有機ポリマーは、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007095127000002
(式中、X、R及びnは前記一般式(1)と同義である。mは0以上5以下の整数である。Anは一価のアニオンを示す。)
Figure 0007095127000003
(式中、X、R及びnは前記一般式(1)と同義である。Anは一価のアニオンを示す。mは1以上5以下の整数である。Rは、水素原子又はメチル基である。)
式(2)及び式(3)中のRの例としては、上述した一般式(1)中のRの官能基の説明が適宜適用される。イオン性基は、式(2)のベンゼン環のCH基に対しパラ位、オルト位、メタ位の何れに結合していてもよく、パラ位に結合することが好ましい。式(2)及び式(3)中、一価のAnとしてはハロゲン化物イオンが好適に挙げられる。ハロゲン化物イオンの例としては、Cl、F、Br、Iが挙げられる。
また、一般式(2)において、mは0以上2以下の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。一般式(3)においてmは1以上3以下が好ましく、1又は2がより好ましく、2が最も好ましい。
イオン性基を有する有機ポリマーは、例えばオニウム系の官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有するモノマー成分を含んで構成されることが好ましい。モノマーの入手及びポリマーの合成を容易にし、絶縁樹脂の製造効率を高める観点から、イオン性基を有する有機ポリマーは、非架橋性モノマー成分を含むことも好ましい。
オニウム系の官能基を有し且つエチレン性不飽和結合を有する非架橋性モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N,N-トリメチル-N-2-メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム基含有モノマー;メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩等のスルホニウム基を有するモノマー;4-(ビニルベンジル)トリエチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリメチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリブチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリオクチルホスホニウムクロライド、4-(ビニルベンジル)トリフェニルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリメチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリエチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリブチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリオクチルホスホニウムクロライド、2-(メタクロイルオキシエチル)トリフェニルホスホニウムクロライド等のホスホニウム基を有するモノマーなどが挙げられる。イオン性基を有する有機ポリマーには、2種以上の非架橋性モノマー成分が含まれていてもよい。
絶縁樹脂を構成する有機ポリマーにおいては、モノマー成分の全てにイオン性基が結合したものであってもよく、あるいは、有機ポリマーの全構成単位中の一部にイオン性基が結合していてもよい。有機ポリマーの全構成単位中の一部にイオン性基が結合している場合、イオン性基が結合したモノマー成分の割合は、0.01モル%以上99モル%以下であることが好ましく、0.02モル%以上95モル%以下であることがより好ましい。ここで、有機ポリマー中のモノマー成分の数は、一つのエチレン性不飽和結合に由来する構造を一つのモノマーの構成単位としてカウントする。イオン性基が架橋性モノマー及び非架橋性モノマーの双方に含まれる場合、モノマー成分の割合はその総量とする。
絶縁樹脂による被覆の形態としては、複数の絶縁性微粒子が層状に配置された形態、或いは、絶縁性の連続皮膜が挙げられる。
前記絶縁樹脂が絶縁性微粒子からなる場合、絶縁性微粒子で被覆された導電性粒子を電極間で熱圧着することで絶縁性微粒子が溶融、変形、剥離又は導電性粒子表面を移動することにより熱圧着された部分における導電性粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能として接続性が得られる。一方、該導電性粒子における熱圧着方向以外の方向を向く表面部分は、絶縁性微粒子による導電性粒子表面の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。
絶縁性微粒子は、その表面に前記イオン性基を含むことにより、導電性粒子に密着しやすく、これによって導電性粒子表面における絶縁性微粒子に被覆される割合を十分なものにできるとともに、導電性粒子からの絶縁性微粒子の剥離などが効果的に防止される。このため、絶縁性微粒子による対向電極間と異なる方向における短絡防止効果が発揮されやすく、当該方向での絶縁性の向上が期待できる。
絶縁性微粒子の形状は、特に制限はなく、球状であってもよく、或いは球状以外の形状であってもよい。球状以外の形状としては例えば、繊維状、中空状、板状又は針状が挙げられる。また絶縁性微粒子はその表面に多数の突起を有するもの又は不定形のものであってもよい。導電性粒子への付着性の点や合成の容易性の点で球状の絶縁性微粒子が好ましい。
絶縁性微粒子の平均粒子径(D)は、好ましくは10nm以上3,000nm以下、より好ましくは15nm以上2,000nm以下である。絶縁性微粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、得られる被覆粒子が対向電極間とは異なる方向での短絡を発生させることなく、対向電極間での導通を確保しやすい。なお、本発明において、絶縁性微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いた観察において測定した値であり、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定される。
前述の方法によって測定された絶縁性微粒子の粒度分布には幅がある。一般に、粉体の粒度分布の幅は、下記計算式(1)で示される変動係数(Coefficient of Variation、以下「C.V.」とも記載する)により表される。
C.V.(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100・・・(1)
このC.V.が大きいということは粒度分布の幅が広いことを示し、一方、C.V.が小さいということは粒度分布がシャープであることを示す。本実施形態の被覆粒子は、C.V.が好ましくは0.1%以上20%以下、より好ましくは0.5%以上15%以下、最も好ましくは1%以上10%以下の絶縁性微粒子を用いることが望ましい。C.V.がこの範囲であることにより、絶縁性微粒子による被覆層の厚みを均一にできる利点がある。
また、絶縁樹脂としては、前記の絶縁性微粒子からなるものに替えて、ポリマーからなりイオン性基を有する連続皮膜であってもよい。絶縁樹脂が、イオン性基を有する連続皮膜である場合、導電性粒子を電極間で熱圧着することで該連続皮膜が溶融、変形又は剥離することにより導電性粒子の金属表面が露出し、これにより電極間での導通を可能とし接続性が得られる。特に、導電性粒子を電極間で熱圧着することで連続皮膜が破けることにより金属表面が露出する場合が多い。一方、導電性粒子における熱圧着方向とは異なる方向を向く表面部分では、連続皮膜による導電性粒子の被覆状態が概ね維持されているため、熱圧着方向以外の方向における導通が防止される。該連続皮膜もイオン性基を表面に有することが好ましい。
連続皮膜の厚さは、10nm以上であることが、対向電極間と異なる方向における絶縁性の向上の点から好ましく、3,000nm以下であることが、対向電極間での導通しやすさの点で好ましい。この点から、連続皮膜の厚さは、10nm以上3,000nm以下であることが好ましく、15nm以上2,000nm以下であることがより好ましい。
絶縁性微粒子と同様、連続皮膜においてイオン性基は、連続皮膜を構成する物質の一部として、該物質の化学構造の一部をなしていることが好ましい。連続皮膜においてイオン性基は、連続皮膜を構成するポリマーの構成単位の少なくとも1種の構造中に含有されていることが好ましい。イオン性基は、連続皮膜を構成するポリマーに化学結合していることが好ましく、より好ましくはポリマーの側鎖に結合している。
絶縁樹脂が連続皮膜である場合、導電性粒子を、その表面にイオン性基を有する絶縁性微粒子で被覆した後、該絶縁性微粒子を加熱させて得られた連続皮膜であることが好ましい。または、該絶縁性微粒子を有機溶剤により溶解させて得られた連続皮膜であることが好ましい。上述したように、イオン性基を有する絶縁性微粒子は、導電性粒子に対し密着しやすく、これによって導電性粒子表面における絶縁性微粒子に被覆される割合が十分なものになるとともに、導電性粒子からの絶縁性微粒子の剥離が防止されやすくなる。このため、導電性粒子を被覆する絶縁性微粒子を加熱又は溶解して得られた連続皮膜は、厚みが均一で且つ導電性粒子表面における被覆割合の高いものとすることができる。
また本発明の導電性粒子は、前記絶縁樹脂との親和性を高めて密着性を優れたものにする目的で、表面処理剤で処理してもよい。
前記表面処理剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、チタン系化合物、高級脂肪酸又はその誘導体、リン酸エステル及び亜リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、必要に応じて複数を組み合わせて用いてもよい。
前記表面処理剤は、導電性粒子における表面の金属と化学的に結合していてもよく、結合していなくてもよい。表面処理剤は、導電性粒子の表面に存在していればよく、その場合、導電性粒子の表面全体に存在していてもよく、表面の一部にのみ存在していてもよい。
前記トリアゾール系化合物としては、5員環に3つの窒素原子を有する含窒素複素環構造を有する化合物が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、他の環と縮合していないトリアゾール単環構造を有する化合物のほか、トリアゾール環と他の環とが縮合した環構造を有する化合物が挙げられる。他の環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が挙げられる。
中でも、絶縁樹脂との密着性に優れることから、トリアゾール環と他の環とが縮合した環構造を有する化合物が好ましく、とりわけトリアゾール環とベンゼン環が縮合した構造を有する化合物であるベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007095127000004
(式中、R11は、負電荷、水素原子、アルカリ金属、置換されていてもよいアルキル基、アミノ基、ホルミル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基又はシリル基であり、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基又はニトロ基である。)
式(I)におけるR11で表されるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。R11で表されるアルカリ金属は、アルカリ金属陽イオンであり、式(I)におけるR11がアルカリ金属である場合、R11と窒素原子との結合はイオン結合となっていてもよい。
式(I)におけるR11、R12、R13、R14及びR15で表されるアルキル基としては、炭素数1~20のものが挙げられ、炭素数1~12が特に好ましい。当該アルキル基は、置換されていてもよく、置換基としてはアミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、ニトロ基、スルホン酸基、第四級アンモニウム基、スルホニウム基、スルホニル基、ホスホニウム基、シアノ基、フルオロアルキル基、メルカプト基、及びハロゲン原子が挙げられる。
11で表されるアルコキシ基としては、炭素数が1~12のものが好ましく挙げられる。
また、R12、R13、R14及びR15で表されるアルキル基の置換基としてのアルコキシ基の炭素数は1~12であることが好ましい。式(I)におけるR12、R13、R14及びR15で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
具体的なトリアゾール系化合物としては、トリアゾール単環構造を有する化合物として1,2,3-トリアゾ-ル、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1H-1,2,4-トリアゾール、5-メルカプト-1H-1,2,3-トリアゾールナトリウム、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、が挙げられるほか、トリアゾール環と他の環とが縮合した環構造を有するベンゾトリアゾール、1-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-エチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-プロピル-1H-ベンゾトリアゾール、5,6-ジメチル-1H-ベンゾトリアゾール、1-アミノベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、4,5,6,7-テトラブロモベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-(メトキシメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、1H-ベンゾトリアゾール-1-カルボキシアルデヒド、1-(クロロメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールブチルエステル、4-カルボキシル-1H-ベンゾトリアゾールブチルエステル、4-カルボキシル-1H-ベンゾトリアゾールオクチルエステル、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2,2’-[[(メチル-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、1-(ホルムアミドメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドテトラフルオロボラート、(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N‘,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-ビス(ペンタメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート、1-(トリメチルシリル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-[2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニルオキシ]ベンゾトリアゾール、1-(トリフルオロメタンスルホニル)-1H-ベンゾトリアゾール、(トリフルオロアセチル)ベンゾトリアゾール、トリス(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メタン、9-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルメチル)-9H-カルバゾール、[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)メチル]トリフェニルホスホニウムクロリド、1-(イソシアノメチル)-1H-ベンゾトリアゾール、1-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニルオキシ]ベンゾトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾールナトリウム塩、ナフトトリアゾール等が挙げられる。
前記チタン系化合物としては、例えば一般式(II)で表される構造を有する化合物が、導電性粒子の表面に有する場合に絶縁樹脂と導電性粒子との親和性を容易に得られる点や溶媒に分散し易く導電性粒子表面を均一に処理できる点で特に好ましい。
Figure 0007095127000005
(R21は2価又は3価の基であり、R22は炭素原子数2以上30以下の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6以上22以下のアリール基又は炭素原子数7以上23以下のアリールアルキル基であり、p及びrはそれぞれ1以上3以下の整数であり、p+r=4を満たし、qは1又は2である整数であり、R21が2価の基である場合、qは1であり、R21が3価の基である場合、qは2である。qが2である場合、複数のR22は同一であっても異なってもよい。*は結合手を表す。)
22で表される炭素原子数4以上28以下の脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素基の例としては、アルケニル基として、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基が挙げられる。
炭素原子数6以上22以下のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
炭素原子数7以上23以下のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
疎水性基としては直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が特に好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がとりわけ好ましい。
絶縁樹脂と導電性粒子との親和性を高める点から、疎水性基としての脂肪族炭化水素基としては、特に炭素原子数4以上28以下のものが更に好ましく、6以上24以下のものが最も好ましい。
21で表される2価の基としては、-O-、-COO-、-OCO-、-OSO-等が挙げられる。R21で表される3価の基としては、-P(OH)(O-)、-OPO(OH)-OPO(O-)等が挙げられる。
一般式(II)において*は結合手であり、当該結合手は導電性粒子の金属皮膜に結合していてもよく、或いは、他の基等に結合していてもよい。その場合の他の基等としては、例えば、炭化水素基が挙げられ、具体的には炭素原子数1以上12以下のアルキル基が挙げられる。
一般式(II)で表される構造を有するチタン系化合物としては、一般式(II)におけるR21が2価の基である構造を有する化合物が、入手容易性や導電性粒子の導電特性を損なうことなく処理できる点で好ましい。一般式(II)においてR21が2価の基である構造は、下記一般式(III)で表される。
Figure 0007095127000006
(R21は、-O-、-COO-、-OCO-、-OSO-から選ばれる基であり、p、r及びR22は一般式(II)と同義である。)
一般式(II)及び(III)において、rは2又は3であることが、絶縁樹脂と導電層の密着性が上がる観点で好ましく、rが3であることが最も好ましい。
本発明に用いられるチタネート系カップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピル(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いることができる。
なお、これらのチタネート系カップリング剤は、例えば、味の素ファインテクノ株式会社から市販されている。
高級脂肪酸としては、飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖のモノ又はポリカルボン酸であることが好ましく、飽和又は不飽和の直鎖又は分枝鎖のモノカルボン酸であることが更に好ましく、飽和又は不飽和の直鎖モノカルボン酸であることが一層好ましい。脂肪酸は、その炭素数が好ましくは7以上である。また、誘導体とは、前記脂肪酸の塩又はアミドを指す。
本発明に用いられる高級脂肪酸又はその誘導体は、高級脂肪酸の炭素数が好ましくは7~23であり、更に好ましくは10~20である。このような高級脂肪酸又はその誘導体としては、例えばカプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、又はこれらの金属塩若しくはアミド等が挙げられる。高級脂肪酸の金属塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Zr、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag等の遷移金属、及びAl、Zn等の遷移金属以外の他の金属の塩が挙げられ、好ましくはAl、Zn、W、V等の多価金属塩である。高級脂肪酸金属塩は、金属の価数に応じて、モノ体、ジ体、トリ体、テトラ体等であり得る。高級脂肪酸金属塩は、これらの任意の組み合わせであってもよい。
リン酸エステル及び亜リン酸エステルとしては、炭素数6~22のアルキル基を有するものが、好ましく用いられる。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル等が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル等が挙げられる。
本発明において、表面処理剤は、絶縁樹脂との親和性に優れ、また、絶縁樹脂の被覆率を高める効果が高い点で、トリアゾール系化合物、チタン系化合物が好ましく、特にベンゾトリアゾール、4-カルボキシベンゾトリアゾール、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピル(ジオクチルホスファイト)チタネートが特に好ましい。
導電性粒子を表面処理剤により処理する方法は、導電性粒子を表面処理剤の溶液中で分散させた後、ろ過することで得られる。表面処理剤による処理前において、導電性粒子は別の処理剤で処理されていてもよく、未処理であってもよい。
導電性粒子を分散させる表面処理剤の溶液(導電性粒子を含む溶液)における表面処理剤の濃度としては、0.01質量%以上10.0質量%以下が挙げられる。また表面処理剤の溶液における溶媒は、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、などのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチル-n-ブチルケトン、などのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、などのエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ノルマルヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。分散、ろ過した表面処理後の導電性粒子は、再度溶媒中に分散させて過剰の表面処理剤を除去することが好ましい。
導電性粒子の表面処理剤による表面処理は、室温で導電性粒子と表面処理剤と溶媒を混合することにより処理することができる。あるいは、導電性粒子と表面処理剤を溶媒中で混合後、加熱して反応を促進してもよい。加熱温度は例えば30℃以上50℃以下が挙げられる。
本発明の導電性粒子は、接続抵抗が低く、且つ、接続信頼性にも優れるため、例えば異方性導電フィルム(ACF)やヒートシールコネクタ(HSC)、液晶ディスプレーパネルの電極を駆動用LSIチップの回路基板へ接続するための導電性材料として好適に使用される。該導電性材料としては、本発明の導電性粒子のそのままの使用、又は本発明の導電性粒子をバインダー樹脂に分散してなるものが挙げられる。導電性材料のその他の形態は特に限定されず、上記したものの他には、例えば、異方性導電ペースト、導電性接着剤、異方性導電インク等の形態が挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂、スチレン-ブタジエンブロック共重合体等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
前記導電性材料は、本発明の導電性粒子及びバインダー樹脂の他に、必要に応じて粘着付与剤、反応性助剤、エポキシ樹脂硬化剤、金属酸化物、光開始剤、増感剤、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤、耐熱添加剤、熱伝導向上剤、軟化剤、着色剤、各種カップリング剤又は金属不活性剤等を配合することができる。
前記導電性材料において、導電性粒子の使用量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、導電性粒子同士が接触することなく電気的導通を得やすくする観点から、例えば導電性材料100質量部に対して0.01質量部以上50質量部以下、特に0.03質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
本発明の導電性粒子は、上記した導電性材料の形態の中でも、特に、導電性接着剤の導電性フィラーとして好適に用いられる。
前記の導電性接着剤は、導電性基材が形成された2枚の基板間に配置され、加熱加圧によって前記導電性基材を接着して導通する異方導電性接着剤として好ましく用いられる。この異方導電性接着剤は、本発明の導電性粒子と接着剤樹脂とを含む。接着剤樹脂としては、絶縁性で、かつ接着剤樹脂として用いられているものであれば、特に制限なく使用できる。熱可塑性樹脂及び熱硬化性のいずれであってもよく、加熱によって接着性能が発現するものが好ましい。そのような接着剤樹脂には、例えば熱可塑性タイプ、熱硬化性タイプ、紫外線硬化タイプ等がある。また、熱可塑性タイプと熱硬化性タイプとの中間的な性質を示す、いわゆる半熱硬化性タイプ、熱硬化性タイプと紫外線硬化タイプとの複合タイプ等がある。これらの接着剤樹脂は被着対象である回路基板等の表面特性や使用形態に合わせて適宜選択できる。特に、熱硬化性樹脂を含んで構成される接着剤樹脂が、接着後の材料的強度に優れる点から好ましい。
接着剤樹脂としては、具体的には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-イソブチルアクリレート共重合体、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、SBSブロック共重合体、カルボキシル変性SBS共重合体、SIS共重合体、SEBS共重合体、マレイン酸変性SEBS共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、カルボキシル変性クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、イソブチレン-イソプレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(以下、NBRと表す。)、カルボキシル変性NBR、アミン変性NBR、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂又はシリコーン樹脂などから選ばれる1種又は2種以上の組合せにより得られるものを主剤として調製されたものが挙げられる。これらのうち、熱可塑性樹脂としては、スチレン-ブタジエンゴムやSEBSなどがリワーク性に優れるので好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましい。これらのうち接着力が高く、耐熱性、電気絶縁性に優れ、しかも溶融粘度が低く、低圧力で接続が可能であるという利点から、エポキシ樹脂が最も好ましい。
前記のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ樹脂であれば、一般に用いられているエポキシ樹脂が使用可能である。具体的なものとしては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、レゾルシン、ビスヒドロキシジフェニルエーテル等の多価フェノール類、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン等のポリアミノ化合物、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸等の多価カルボキシ化合物等とエピクロルヒドリン又は2-メチルエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジル型のエポキシ樹脂が例示される。また、ジシクロペンタジエンエポキサイド、ブタジエンダイマージエポキサイド等の脂肪族及び脂環族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上混合して使用することができる。
なお、上述した各種の接着樹脂としては、不純物イオン(NaやCl等)や加水分解性塩素などが低減された高純度品を用いることが、イオンマイグレーションの防止の観点から好ましい。
異方導電性接着剤における導電性粒子の使用量は、接着剤樹脂成分100質量部に対し通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~25質量部、より好ましくは1~20質量部である。導電性粒子の使用量がこの範囲内にあることにより、接続抵抗や溶融粘度が高くなることが抑制され、接続信頼性を向上させ、接続の異方性を十分に確保することができる。
前記の異方導電性接着剤には、上述した導電性粒子及び接着剤樹脂の他に、当該技術分野において、公知の添加剤を配合することができる。その配合量も当該技術分野において公知の範囲内とすることができる。他の添加剤としては、例えば粘着付与剤、反応性助剤、エポキシ樹脂硬化剤、金属酸化物、光開始剤、増感剤、硬化剤、加硫剤、劣化防止剤、耐熱添加剤、熱伝導向上剤、軟化剤、着色剤、各種カップリング剤又は金属不活性剤などを例示することができる。
粘着付与剤としては、例えばロジン、ロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、イソプレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。反応性助剤すなわち架橋剤としては、例えばポリオール、イソシアネート類、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウトロピン類、アミン類、酸無水物、過酸化物などが挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤としては、1分中に2個以上の活性水素を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的なものとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタフェニレンジアミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン等のポリアミノ化合物;無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の有機酸無水物;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、必要に応じて潜在性硬化剤を用いてもよい。使用できる潜在性硬化剤としては、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素-アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等及びこれらの変性物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上の混合体として使用できる。
前記の異方導電性接着剤は、当該技術分野において通常使用されている製造装置を用いて製造される。例えば、導電性粒子及び接着剤樹脂並びに必要に応じ硬化剤や各種添加剤を配合し、接着剤樹脂が熱硬化性樹脂の場合は有機溶媒中で混合することにより、熱可塑性樹脂の場合は接着剤樹脂の軟化点以上の温度で、具体的には好ましくは約50~130℃程度、更に好ましくは約60~110℃程度で溶融混練することにより製造される。このようにして得られた異方導電性接着剤は、塗布してもよいし、フィルム状にして適用してもよい。
本発明の導電性粒子、又は該導電性粒子を含む導電性材料を用いて二つの回路基板同士を接続することにより、接続構造体が得られる。前記接続構造体の形態としては、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続構造体、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続構造体、半導体チップとガラス基板との接続構造体等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
例中の特性は下記の方法により測定した。
(1)平均粒子径
測定対象の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から、任意に200個の粒子を抽出して、倍率10,000倍にて粒子径を測定し、その算術平均値を平均粒子径とした。
(2)導電層の厚み
導電性粒子を2つに切断し、その切り口の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定した。
(3)耐電流値
導電微粒子電気特性装置(V-I装置、特開平10-221388号公報に記載の装置を参考にして自作した装置)を用いて、導電性粒子の圧縮率が30%のときに流れる電流値(mA)を測定した。
〔実施例1〕
(1)前処理
平均粒子径3.0μmの球状スチレン-アクリレート-シリカ複合系樹脂粒子を芯材粒子として用いた。その9gを、200mLのコンディショナー水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料製の「クリーナーコンディショナー231」)に攪拌しながら投入した。コンディショナー水溶液の濃度は40mL/Lであった。引き続き、液温60℃で超音波を与えながら30分間攪拌して芯材粒子の表面改質及び分散処理を行った。この水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにした。このスラリーへ塩化第一錫0.1gを投入した。常温で5分間攪拌し、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにして60℃に維持した。このスラリーへ0.11mol/Lの塩化パラジウム水溶液1.5mLを投入した。60℃で5分間撹拌し、パラジウムイオンを芯材粒子の表面に捕捉させる活性化処理を行った。引き続きこの水溶液を濾過し、一回リパルプ湯洗した芯材粒子を100mLのスラリーにし、0.5g/Lジメチルアミンボラン水溶液10mLを加え、超音波を与えながら2分間撹拌して前処理済み芯材粒子のスラリーを得た。
(2)めっき浴の調製
5g/Lの酒石酸ナトリウム、2g/Lの硫酸ニッケル六水和物、10g/Lのクエン酸3ナトリウム、0.1g/Lの次亜リン酸ナトリウム、及び2g/Lのポリエチレングリコールを溶解した水溶液からなる無電解ニッケル-リンめっき浴3Lを調製し、70℃に昇温した。
(3)無電解めっき処理
この無電解めっき浴に、前記前処理済み芯材粒子のスラリーを投入し、5分間攪拌して水素の発泡が停止するのを確認した。
このスラリーに、224g/Lの硫酸ニッケル水溶液420mLと、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液420mLを、添加速度はいずれも2.5mL/分として定量ポンプによって連続的に分別添加し、無電解めっきを開始した。
硫酸ニッケル水溶液と、次亜リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの混合水溶液のそれぞれ全量を添加した後、70℃の温度を保持しながら5分間攪拌を継続した。次いで液を濾過し、濾過物を3回洗浄した後、110℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル-リン合金皮膜を有する導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。
(4)真空加熱処理
得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを真空加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、室温から昇温速度5℃/分で390℃まで加熱し、その後この温度で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、窒素パージにより大気圧にした後、窒素ガスを吹き込むことにより降温速度3℃/分で室温まで冷却して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。また、得られた導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1における(4)真空加熱処理を次の操作により行った。実施例1の(3)無電解めっき処理により得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、100Paの真空下、室温から昇温速度5℃/分で390℃まで加熱し、その後この温度で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、窒素パージにより大気圧にした後、窒素ガスを吹き込むことにより降温速度3℃/分で室温まで冷却して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。また、得られた導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1における(4)真空加熱処理を次の操作により行った。実施例1の(3)無電解めっき処理により得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、10Paの真空下、室温から昇温速度5℃/分で320℃まで加熱し、その後この温度で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、窒素パージにより大気圧にした後、窒素ガスを吹き込むことにより降温速度3℃/分で室温まで冷却して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。また、得られた導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1の(3)無電解めっき処理で得られた導電性粒子を比較例1の導電性粒子とした。この導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1における(4)真空加熱処理に代えて次の操作を行った。実施例1の(3)無電解めっき処理により得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、窒素雰囲気の常圧下、260℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。また、得られた導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1における(4)真空加熱処理に代えて次の操作を行った。実施例1の(3)無電解めっき処理により得られた導電性粒子を、5mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを加熱炉(デンケン・ハイデンタル社製、KDF-75)に入れ、窒素雰囲気の常圧下、390℃で2時間の加熱処理を行った。加熱処理後、室温まで放冷して加熱処理済みの導電性粒子を得た。得られた導電性粒子の平均粒子径は3.22μm、導電層の厚みは110nmであり突起を有していた。また、得られた導電性粒子の耐電流値を測定した結果を表1に示す。
Figure 0007095127000007
表1の結果から、実施例で得られた導電性粒子は、高い耐電流値を有することが判る。
〔接続抵抗及び接続信頼性の評価〕
実施例及び比較例の導電性粒子を用いて、接続抵抗及び接続信頼性の評価を以下の方法で行った。
垂直に立てた内径10mmの樹脂製円筒内に、実施例及び比較例で得られた導電性粒子1.0gを入れ、室温下(25℃・50%RH)、2kNの荷重をかけた状態で上下電極間の電気抵抗を測定し、初期体積抵抗値を求めた。初期体積抵抗値が低いほど導電性粒子の接続抵抗が低いと評価できる。
更に、85℃・85%RHの条件で24時間保持後の抵抗値も測定した。室温下での接続抵抗値と差が小さいほど導電性粒子の接続信頼性が優れているものと評価できる。
Figure 0007095127000008
この結果から、実施例で得られた導電性粒子は、比較例で得られた導電性粒子に比べて初期体積抵抗値が低く、接続抵抗が低いことが判る。また、実施例で得られた導電性粒子は、比較例で得られた導電性粒子に比べて、初期体積抵抗値と85℃・85%RHで24時間後の抵抗値との差が小さく、接続信頼性が高いものであることが判る。特に、実施例1及び2で得られた導電性粒子と、比較例3で得られた導電性粒子とを対比すると、真空下で加熱することにより、接続抵抗が低く、接続信頼性にも優れる導電性粒子が得られることが判る。

Claims (6)

  1. 有機物からなる材質又は無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている芯材粒子の表面にニッケル-リン合金皮膜からなる導電層を有する導電性粒子を、1000Pa以下の真空下、温度200~600℃で加熱する工程を有し、室温から加熱温度までの昇温速度が0.1~50℃/分であり、加熱時間が0.5時間以上である導電性粒子の製造方法。
  2. 加熱時間が0.5~10時間である請求項1に記載の導電性粒子の製造方法。
  3. 加熱後の降温速度が0.02~50℃/分である請求項1又は2に記載の導電性粒子の製造方法。
  4. 前記導電性粒子を0.1~100mmの厚さで静置させて加熱する請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法。
  5. 前記芯材粒子の表面に無電解めっき法で前記導電層を形成して得られた導電性粒子を加熱する請求項1~4のいずれか1項に記載の導電性粒子の製造方法。
  6. 有機物からなる材質又は無機物及び有機物の双方からなる材質で構成されている芯材粒子の表面にニッケル-リン合金皮膜からなる導電層が形成されてなる導電性粒子において、圧縮率が30%のときの該導電性粒子1個当たりの耐電流値が200mA以上である導電性粒子。
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