次に、本発明に係る実施形態である段ボールシート用印刷機について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機の構造とその動作方法を説明し、その後、第2、第3実施形態に係る段ボールシート用印刷機について、主にその相違点を中心に詳細に説明する。
<第1実施形態の構造及びその動作方法>
まず、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機の構造及びその動作方法を、図1~図3を用いて説明する。図1に、本発明に係る第1実施形態の段ボールシート用印刷機における概略構成図を示す。図2に、図1に示す印刷ユニットの模式的断面図を示す。図3に、図1に示す段ボールシート用印刷機における制御系ブロック図を示す。
図1~図3に示すように、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機20A(20)は、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、印刷シリンダ1の印版1aに段ボールシートWを押圧するプレスロール2と、印版1aにインキX(例えば、フレキソインキ)を転写するアニロックスロール3と、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節する絞りロール4A(インキ量調節部4に相当)と、アニロックスロール3と絞りロール4Aとの間に形成されるインキ溜まり部5と、インキXを貯留するインキタンク6と、インキタンク6とインキ溜まり部5とを連通してインキXを供給・回収させるインキ供給・回収機構7と、インキ供給・回収機構7に接続されインキ粘度Aを測定するインキ粘度測定機構8と、インキタンク6又はインキ供給・回収機構7に希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する希釈液供給機構9と、を備えた複数の印刷ユニット10A(10)が段ボールシートWの搬送方向に並設された印刷機である。なお、絞りロール4Aは、アニロックスロール3に対して、外周面同士が当接し互いの軸方向が平行になるように配置されている。絞りロール4Aの軸方向長さは、アニロックスロール3の軸方向長さと略同一に形成されている。また、絞りロール4Aとアニロックスロール3とは、互いの外周面が略同外径で形成され、略同一高さで水平状に配置されている。
また、複数の印刷ユニット10A(10)は、段ボールシートWを搬送する上流側から下流側に向けて、例えば、1色目印刷ユニット、2色目印刷ユニット、3色目印刷ユニット・・・として、直列状に隣接して配置されている。インキ粘度測定機構8は、インキ供給・回収機構7に切換え弁81を介して並列状に接続されている。各印刷ユニット10A(10)には、段ボールシートWを種類やサイズ等に応じて所定の搬送速度で上流側から下流側へ搬送する上下一対の送りローラ11、11が装着されている。
また、本段ボールシート用印刷機20A(20)には、印刷ユニット10A(10)を管理する管理装置21を備え、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10A(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令をインキ粘度測定機構8及び希釈液供給機構9に対して行う。ここで、オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーは、印刷ユニット毎に異なる場合がある。例えば、一色目印刷ユニットでは、現オーダーの直後のオーダー(現オーダーより1つ先のオーダー)で印刷に供する場合、現オーダーより1つ先のオーダーが、オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーに当たる。一方、2色目印刷ユニットでは、現オーダーの直後のオーダーが印刷休止であり、その次のオーダー(現オーダーより2つ先のオーダー)で印刷に供する場合、現オーダーより2つ先のオーダーが、オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーに当たる。
また、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、直前に生産されたオーダーで使用したインキ粘度Aの設定値をフィードバック値として記憶し、次に生産するオーダーに対して過去に生産された同じ仕様のオーダーがある場合は、過去に生産された同じ仕様のオーダーの内、最新のオーダーのフィードバック値をインキ粘度Aの設定値として指示する。一方、管理装置21は、管理装置21の操作パネル213におけるモニター画面で、オペレータがインキ粘度Aの設定値を手入力で変更できる。この場合、オペレータの手入力で変更した値が、優先されてインキ粘度Aの設定値となる。なお、「設定値」は、インキ粘度の目標粘度値として設定される値を意味する。
より具体的には、管理装置21には、複数のオーダーに関する制御指令情報を記憶する上位管理装置(FEM)211と、上位管理装置211から送られる制御指令情報に従って、各装置又は機関に指示する下位管理装置(PLC)212とを備えている。上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、当該オーダーチェンジ直後に生産するオーダーの制御指令情報を下位管理装置212に送る。この時送る情報を、プリセット値と呼ぶ。また、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、生産が終わったオーダーの各設定値を下位管理装置212から吸い上げて記憶する。この時吸い上げて記憶した情報を、フィードバック値と呼ぶ。下位管理装置212は、手入力OFF状態の場合には、上位管理装置211から送られたプリセット値を設定値とするが、手入力ON状態の場合には、プリセット値より手入力で変更された値(変更値)を優先して設定値とする。手入力の方法については、後述する。
上位管理装置211は、フィードバック値が記憶されている場合、プリセット値としてフィードバック値を下位管理装置212に送る。これによって、前回生産したときと同じ生産状態が再現できる。ただし、一度も生産したことがないオーダーのときは、上位管理装置211にフィードバック値が記憶されていないので、上位管理装置211は、プリセット値として初期値を下位管理装置212に送る。例えば、インキ粘度Aの初期値は、過去の経験則等に基づいて、複数のオーダーの印刷仕様に共通の目標値として設定する。
また、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、段ボールシートWの生産速度など搬送に必要な情報については、印刷に供するか否かを問わず当該オーダーチェンジ直後に生産するオーダー分のみを下位管理装置212に送信するが、インキ粘度情報については、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダー分のみを下位管理装置212に送信する。
すなわち、段ボールシートWの搬送に必要な情報については、オーダー毎に設定されていて、印刷に供するか否かを問わず、段ボールシートWを上流側から下流側へ所定の速度で搬送するため、各印刷ユニット10A(10)に共通に指示する必要がある。また、上位管理装置211が、複数のオーダーの段ボールシートWに関して、搬送に必要な情報を一度に下位管理装置212に送信すると、下位管理装置212の情報処理に伴う負担が過大となり各装置又は機関に対する応答性が遅くなる。そのため、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、段ボールシートWの搬送に必要な情報については、どの印刷ユニット10A(10)が印刷に供するか否かを問わず、すべての印刷ユニット10A(10
)に共通となるオーダーチェンジ直後に生産するオーダー分のみを下位管理装置212に送信する。
また、インキ粘度情報については、オーダーチェンジ直後に生産するオーダーで印刷に供さない印刷ユニット10A(10)に対して、当該オーダーチェンジ直後に生産するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの目標値をわざわざ指示する必要がない。そのため、インキ粘度情報については、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、各印刷ユニット10A(10)にとってオーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダー分のみを下位管理装置212に送信する。
また、インキ粘度Aの目標粘度値は、同じオーダーであっても、様々な要因で変化する可能性がある。また、インキ粘度Aの目標粘度値を、オペレータが、いちいち正確に記憶するのは容易ではない。そのため、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、直前に生産されたオーダーで使用したインキ粘度Aの設定値をフィードバック値として記憶し、次に生産するオーダーに対して過去に生産された同じ仕様のオーダーがある場合は、過去に生産された同じ仕様のオーダーの内、最新のオーダーのフィードバック値をインキ粘度Aの設定値として下位管理装置212に指示する。これにより、オペレータの負担が軽減され、インキ粘度Aの調整時間も短縮できる。
一方、下位管理装置212の操作パネル213のモニター画面で、インキ粘度目標値手入力ボタンを押して、手入力キーを表示させ、インキ粘度Aの設定値をオペレータの手入力で変更した場合、変更した値を優先させる。これにより、オペレータが外部環境の変化などに合わせて柔軟かつ適切にインキ粘度Aの設定値を変更することができる。また、オペレータが、段ボールシートWへ実際に印刷を行った後の印刷状況(テスト印刷結果)を見てインキ粘度Aの目標粘度値を変更したい場合でも、オペレータの意思を尊重させることができる。
なお、オペレータは、インキ粘度目標値手入力ボタンを押すことにより、手入力ON状態と手入力OFF状態とを切換えることができる。手入力ON状態の場合には、下位管理装置212は手入力で変更された値(変更値)を設定値とする。例えば、印刷に供するオーダーへのオーダーチェンジの前に、印刷に供さないオーダーへのオーダーチェンジが複数回ある場合、上位管理装置211は、オーダーチェンジの度に下位管理装置212にプリセット値を送信するが、手入力ON状態の場合には、下位管理装置212は手入力で変更された値(変更値)を設定値として維持する。これにより、オペレータが手入力で変更した値を、印刷に供するオーダーに確実に反映することができる。手入力ON状態から手入力OFF状態に変わった場合には、下位管理装置212は、プリセット値を設定値とする。
また、各印刷ユニット10A(10)には、左右一対の側枠SKを備えている。両側枠SKには、印刷シリンダ1と、プレスロール2と、アニロックスロール3と、絞りロール4Aとが、回転可能に軸支されている。また、印刷シリンダ1等は、公知の動力伝達機構を介して給紙ユニット(図示しない)に装着された主モータMMと連結されている。また、他方の側枠SKには、印刷シリンダ1に対するアニロックスロール3の隙間を調節するアニロックスロール隙間調整モータAMが装着されている。アニロックスロール隙間調整モータAMは、アニロックスロール3を「離間位置/待機位置/接触位置」の3つの位置に移動させる。各印刷ユニット10A(10)には、主モータMMとアニロックスロール隙間調整モータAMなどを制御する駆動制御装置KSを備えている。駆動制御装置KSは、下位管理装置212に接続されている。
ここで、「離間位置」は、印刷シリンダ1とアニロックスロール3との隙間が最も広い状態である。機械停止時や、運転中に印刷をしない印刷ユニット(印刷休止の印刷ユニット)10A(10)では、アニロックスロール3を「離間位置」に移動させる。「待機位置」は、アニロックスロール3が印刷シリンダ1上の印版1aと接触しないが、「離間位置」よりも隙間が狭い状態である。印刷を行う印刷ユニット10A(10)では、下位管理装置212の操作パネル213に設けた主モータボタンを押して主モータMMをONにすると、アニロックスロール隙間調整モータAMも作動してアニロックスロール3を「離間位置」から「待機位置」に移動させる。
また、「接触位置」は、アニロックスロール3と印版1aとが接触する状態である。このとき、印版1aにアニロックスロール3のインキXが転移し、段ボールシートW上に印刷が施される。下位管理装置212の操作パネル213に設けた一枚給紙ボタンがON又は給紙開始ボタンがONのとき、段ボールシートWがその印刷ユニット10A(10)へ到達する直前に、アニロックスロール隙間調整モータAMが作動して、アニロックスロール3を「待機位置」から「接触位置」に移動させる。
また、インキ供給・回収機構7には、インキタンク6に貯留したインキXをインキポンプPを介してインキ溜まり部5に供給する供給管路71と、インキ溜まり部5に貯留するインキXをインキポンプPを介してインキタンク6に回収する回収管路72とを備えている。供給管路71の入口側には、インキタンク6内のインキを吸い上げるインキノズル711を昇降可能に備えている。インキ吸引用のインキノズル711は、インキタンク位置とインキ洗浄位置との間を移動させることができる。
また、供給管路71の出口側は、インキ溜まり部5の長手方向の中央部近傍に挿入されている。インキ溜まり部5の長手方向の両端部には、回収管路72の入口側を形成するインキ回収用のインキパン51が装着されている。回収管路72の出口側には、インキタンク6内にインキを回収するインキノズル721を備えている。インキ回収用のインキノズル721は、インキ吸引用のインキノズル711の支持具に保持され、インキ吸引用のインキノズル711と共にインキタンク位置とインキ洗浄位置との間を移動することができる。
なお、インキタンク6には、2つのインキ缶をセットすることができる。その場合、インキ缶を交互に使用するように、インキ吸引用のインキノズル711及びインキ回収用のインキノズル721は、前回使用した一方のインキ缶から前回使用しなかった他方のインキ缶へ自動的に移動可能に形成することができる。インキポンプPとインキノズル711は、下位管理装置212の指令により作動する。
また、供給管路71の中間部には、インキ粘度測定機構8を並列状に接続する2つの切換え弁81を備えている。切換え弁81は、インキ経路を切換える電磁切換え弁であって、下位管理装置212の指令により作動する。切換え弁81をインキ粘度測定機構8と連通する方向に切換えると、インキ溜まり部5に供給されるインキXが、切換え弁81に接続された分岐路83を経由してインキ粘度測定機構8に供給される。なお、切換え弁81には、インキ供給・回収機構7の管路内等の洗浄をより効果的に行うため、高圧のエアZを供給する供給源を切換え可能に接続しても良い。
また、インキ粘度測定機構8には、オーダーチェンジの際又は生産中の適宜時に、インキ粘度Aを測定するため、例えば、落体式のインキ粘度測定機82を備えている。インキ粘度測定機82は、切換え弁81を分岐路83と連通させて測定部にインキXを充填した後、切換え弁81を閉じて落体821が測定部側壁に設けた上下2つの落体検出センサ822、823間を落下するときの検出信号を下位管理装置212に送信する。
下位管理装置212は、落体検出センサ822、823の検出信号から落体821の落下時間を算出し、落体821の落下時間に基づいてインキ粘度Aを測定する。測定したインキ粘度Aが目標粘度(=設定値)と下限粘度の範囲内(許容範囲内)であれば、下位管理装置212は、インキ粘度Aが正常と判断する。なお、下限粘度は、予め設定されており、オーダーによらない値である。
また、希釈液供給機構9には、希釈液供給弁91と流量計92と希釈液供給管路93とを備えている。希釈液供給弁91は、希釈液経路を開閉する電磁開閉弁であって、下位管理装置212の指令により作動する。希釈液供給弁91の入口側には、水などの希釈液Yを貯留する希釈液供給源が接続され、希釈液供給弁91の出口側には、希釈液Yの流量を測定する流量計92が接続されている。
また、流量計92の出口側に接続された希釈液供給管路93は、二股に分岐され、その先端部は、インキ供給・回収機構7におけるインキ回収用のインキパン51に挿入されている。下位管理装置212は、インキ粘度測定機82の検出信号に基づいて測定したインキ粘度Aが目標粘度(=設定値)より高い場合、目標粘度と測定粘度との差に応じて希釈液Yの供給量を算出し、希釈液供給弁91に開き指令を出す。流量計92は、希釈液Yの流量に応じたパルス信号を下位管理装置212に送信する。下位管理装置212は、流量計92のパルス信号を積算し目標の供給量に達したとき、希釈液供給弁91に閉じ指令を出す。
また、オペレータが、下位管理装置212の操作パネル213のモニター画面で、インキ回収・洗浄予約ボタンを押すと、操作パネル213のロット完了ボタンを押した後のロット終了オーダーチェンジの際に、下位管理装置212がインキ供給・回収機構7及び希釈液供給機構9に対してインキ回収・洗浄指令を行い、インキ回収・洗浄が行われる。なお、オペレータがロット完了ボタンを押した際には、給紙テーブル(図示しない)に積載されていた段ボールシートWがすべて給紙された段階で、又は所定の枚数管理によって、オーダーチェンジが自動的に開始される。ただし、オペレータが、操作パネル213のロット完了ボタンを押さず、給紙停止ボタンを押してオーダーチェンジを行う場合は、オペレータが各印刷ユニット10A(10)の操作パネル22に設けたインキ回収・洗浄ボタンを押す。インキ回収・洗浄ボタンを押すと、下位管理装置212がインキ回収・洗浄指令を行い、インキXの回収・洗浄が行われる。下位管理装置212がインキ回収・洗浄指令を行うと、自動的に手入力OFF状態となる。これは、手入力ON状態でインキXを回収した場合、次に供給するインキXの設定値に前回使用済みのインキXに対する変更値が反映されてしまうのを防止するためである。手入力OFF状態となると、下位管理装置212は、プリセット値を設定値とする。
また、オペレータが、下位管理装置212の操作パネル213のモニター画面で、インキ供給予約ボタンを押しておくと、操作パネル213のロット完了ボタンを押した後、ロット終了オーダーチェンジが開始後、インキ回収・洗浄後に自動的にインキ供給が行われる。ただし、オペレータが、操作パネル213のモニター画面で、操作パネル213のロット完了ボタンを押さず、操作パネル213の給紙停止ボタンを押してオーダーチェンジを行う場合には、オペレータが各印刷ユニット10A(10)の操作パネル22のインキ供給ボタンを押してインキ供給を行う。
<第2実施形態の構造及びその動作方法>
次に、第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機の構造及びその動作方法を、図2、図4、図5を用いて説明する。図4に、本発明に係る第2実施形態の段ボールシート用印刷機における概略構成図を示す。図5に、図4に示す段ボールシート用印刷機における制御系ブロック図を示す。
図2、図4、図5に示すように、第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機20B(20)は、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、印刷シリンダ1の印版1aに段ボールシートWを押圧するプレスロール2と、印版1aにインキXを転写するアニロックスロール3と、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節する絞りロール4A(インキ量調節部4に相当)と、アニロックスロール3と絞りロール4Aとの間に形成されるインキ溜まり部5と、インキXを貯留するインキタンク(右インキタンク)6と、インキタンク(右インキタンク)6とインキ溜まり部5とを連通してインキXを供給・回収させるインキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7と、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に接続されインキ粘度Aを測定するインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8と、インキタンク(右インキタンク)6又はインキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9と、を備えた複数の印刷ユニット10B(10)が段ボールシートWの搬送方向に並設された印刷機である。
また、複数の印刷ユニット10B(10)は、段ボールシートWを搬送する上流側から下流側に向けて、例えば、1色目印刷ユニット、2色目印刷ユニット、3色目印刷ユニット・・・として、直列状に隣接して配置されている。インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8は、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に切換え弁81を介して並列状に接続されている。各印刷ユニット10B(10)には、段ボールシートWを所定の搬送速度で上流側から下流側へ搬送する上下一対の送りローラ11、11が装着されている。
また、本段ボールシート用印刷機20B(20)には、印刷ユニット10B(10)を管理する管理装置21を備え、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10B(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令をインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8及び希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9に対して行う。また、管理装置21には、複数のオーダーに関する制御指令情報を記憶する上位管理装置211と、上位管理装置211から送られる制御指令情報に従って、各装置又は機関に指示する下位管理装置212とを備えている。以上の構成は、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機20A(20)と共通する。
しかし、本段ボールシート用印刷機20B(20)の印刷ユニット10Bには、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとを連通してインキXを供給・回収させる第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRを備え、管理装置21(上位管理装置211、下位管理装置212)は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10B(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダー(該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーより一つ先の印刷に供するオーダー)の印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令を準備ルートJRに対して行う点が、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機20A(20)と相違する。ここでは、第1実施形態に係る段ボールシート用印刷機20A(20)と共通する構成には、共通の符号を付してその説明は原則として割愛し、相違点を中心に説明する。
第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機20B(20)では、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、プレスロール2と、アニロックスロール3と、絞りロール4Aと、インキ溜まり部5と、インキタンク(右インキタンク)6と、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7と、インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8と、希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9とを有し印刷に供する使用ルートSRと、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRとを備えている。使用ルートSR及び準備ルートJRの各装置と各機構は、それぞれ下位管理装置212に接続されている。
具体的には、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bには、インキ粘度Aを測定するため、例えば、落体式の第2のインキ粘度測定機82Bを備えている。第2のインキ粘度測定機82Bは、第2の切換え弁81Bに接続された第2の分岐路83Bを経由して測定部にインキXを充填した後、第2の切換え弁81Bを閉じて落体821Bが測定部側壁に設置した上下2つの落体検出センサ822B、823B間を落下するときの検出信号を下位管理装置212に送信する。下位管理装置212は、落体検出センサ822B、823Bの検出信号から落体821Bの落下時間を算出し、落体821Bの落下時間に基づいてインキ粘度Aを測定する。測定したインキ粘度Aが目標粘度(=設定値)と下限粘度の範囲内(許容範囲内)であれば、下位管理装置212は、インキ粘度Aが正常と判断する。
また、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bには、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに貯留したインキXをインキポンプPを介して第2のインキ粘度測定機82Bに供給する第2の供給管路71Bと、第2のインキ粘度測定機82Bに供給したインキXをインキポンプPを介して第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに回収する第2の回収管路72Bとを備えている。第2の供給管路71Bの入口側には、第2のインキタンク(左インキタンク)6B内のインキを吸い上げる第2のインキノズル711Bを昇降可能に備えている。第2のインキノズル711Bは、第2のインキタンク位置とインキ洗浄位置との間を移動させることができる。
また、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと連通する第2の回収管路72Bの途中には、第2の希釈液供給弁91Bと第2の流量計92Bとを備えた第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bが接続されている。第2の希釈液供給弁91Bは、希釈液経路を開閉する電磁開閉弁であって、入口側に水などの希釈液Yを貯留する希釈液供給源が接続され、出口側に希釈液Yの流量を測定する第2の流量計92Bが接続されている。第2の流量計92Bの出口側は、第2の回収管路72Bに接続されている。
下位管理装置212は、第2のインキ粘度測定機82Bの検出信号に基づいて測定したインキ粘度Aが目標粘度(=設定値)より高い場合、目標粘度と測定粘度との差に応じて希釈液の供給量を算出し、第2の希釈液供給弁91Bに開き指令を出す。第2の流量計92Bは、希釈液Yの流量に応じたパルス信号を下位管理装置212に送信する。下位管理装置212は、第2の流量計92Bのパルス信号を積算し目標の供給量に達したとき、第2の希釈液供給弁91Bに閉じ指令を出す。
そして、オーダーチェンジの際に、使用ルートSRで使用済のインキタンク(右インキタンク)6と、準備ルートJRでインキ粘度Aの調整済みの第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとを、手動又は自動的に交換する。なお、各印刷ユニット10Bの操作パネル22Bには、使用ルートSR及び準備ルートJRのインキXを回収し、管路内等を洗浄する右インキ回収・洗浄ボタン及び左インキ回収・洗浄ボタンと、インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8及び第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bに新しいインキXを供給する右インキ供給ボタン及び左インキ供給ボタンを備えている。
ここで、上記使用ルートSRのみでも、管理装置21が、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10B(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を事前に行うようインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8及び希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9に対して指令することによって、印刷休止となる印刷ユニット10Bでは、印刷に供するオーダーへのオーダーチェンジが始まる前に、インキ粘度の調整作業を完了することができ、その結果、オーダーチェンジに伴うインキ粘度の調整作業を簡略化又は短時間化させることができる。ところが、使用ルートSRのみでは、印刷ユニット10Bが連続して印刷に供される場合、インキ粘度Aの調整作業の簡略化又は短時間化が困難な場合がある。
その点、本段ボールシート用印刷機20B(20)では、印刷に供する使用ルートSRと、インキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRとを備えているので、使用ルートSRを用いて当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を行うこととは別に、準備ルートJRを用いて当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダー(オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーより一つ先の印刷に供するオーダー)の印刷仕様に適合させるインキ粘度Aの調整作業を行うことができる。
そのため、印刷ユニット10Bが連続して印刷に供される場合であっても、当該オーダーチェンジが終わり生産開始するオーダー(オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーに相当)の印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を、印刷使用中のインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8及び希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9を利用して生産中又は事前に行うことができる。また、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適合させるインキ粘度の調整作業を、印刷に供せずインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRを利用して事前に行うことができる。その結果、生産中のオーダーが終わった後に、使用ルートSRで使用済のインキタンク(右インキタンク)6と、準備ルートJRでインキ粘度Aの調整済みの第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとを交換するだけでよく、オーダーチェンジに伴うインキ粘度の調整作業を、より一層簡略化又は短時間化させることができる。
<第3実施形態の構造及びその動作方法>
次に、第3実施形態に係る段ボールシート用印刷機の構造及びその動作方法を、図2、図6、図7、図8を用いて説明する。図6に、本発明に係る第3実施形態の段ボールシート用印刷機における概略構成図を示す。図7に、図6に示す第3実施形態の段ボールシート用印刷機において使用ルートと準備ルートを左右入れ換えた場合の概略構成図を示す。図8に、図6に示す段ボールシート用印刷機における制御系ブロック図を示す。
図2、図6、図7、図8に示すように、第3実施形態に係る段ボールシート用印刷機20C(20)は、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、印刷シリンダ1の印版1aに段ボールシートWを押圧するプレスロール2と、印版1aにインキXを転写するアニロックスロール3と、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節する絞りロール4A(インキ量調節部4に相当)と、アニロックスロール3と絞りロール4Aとの間に形成されるインキ溜まり部5と、インキXを貯留するインキタンク6(右インキタンク)と、インキタンク(右インキタンク)6とインキ溜まり部5とを連通してインキXを供給・回収させるインキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7と、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に接続されインキ粘度Aを測定するインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8と、インキタンク(右インキタンク)6又はインキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9と、を備えた複数の印刷ユニット10C(10)が段ボールシートWの搬送方向に対して直列状に配置された印刷機である。
また、複数の印刷ユニット10C(10)は、段ボールシートWを搬送する上流側から下流側に向けて、例えば、1色目印刷ユニット、2色目印刷ユニット、3色目印刷ユニット・・・として、直列状に隣接して配置されている。インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8は、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7に切換え弁81を介して並列状に接続されている。各印刷ユニット10B(10)には、段ボールシートWを所定の搬送速度で上流側から下流側へ搬送する上下一対の送りローラ11、11が装着されている。
また、本段ボールシート用印刷機20C(20)には、印刷ユニット10C(10)を管理する管理装置21を備え、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10C(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令をインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8及び希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9に対して行う。
また、本段ボールシート用印刷機20C(20)の印刷ユニット10Cには、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとを連通してインキXを供給・回収させる第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルート(左準備ルート)JRを備えている。
また、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10C(10)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダー(該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーより一つ先の印刷に供するオーダー)の印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令を準備ルート(左準備ルート)JRに対して行う。また、管理装置21には、複数のオーダーに関する制御指令情報を記憶する上位管理装置211と、上位管理装置211から送られる制御指令情報に従って、各装置又は機関に指示する下位管理装置212とを備えている。以上の構成は、第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機20B(20)と共通する。
しかし、本段ボールシート用印刷機20C(20)の印刷ユニット10Cにおけるインキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7には、インキ溜まり部5とインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8との間に第1の切換え機構73を備え、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bには、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの間に第2の切換え機構73Bを備え、第1の切換え機構73及び第2の切換え機構73Bを介してインキ溜まり部5を経由せずにインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8とインキタンク(右インキタンク)6とを連通し、インキタンク(右インキタンク)6に希釈液Yを供給する第3の希釈液供給機構9Cを接続して、インキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルート(右準備ルート)JRへ切換え可能に形成するとともに、第1の切換え機構73及び第2の切換え機構73Bを介してインキ溜まり部5を第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの間に接続して、印刷に供する使用ルート(左使用ルート)SRへ切り替え可能に形成した点が、第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機20B(20)と相違する。ここでは、第2実施形態に係る段ボールシート用印刷機20B(20)と共通する構成には、共通の符号を付してその説明は原則として割愛し、相違点を中心に説明する。
第3実施形態に係る段ボールシート用印刷機20C(20)では、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、プレスロール2と、アニロックスロール3と、絞りロール4Aと、インキ溜まり部5と、インキタンク(右インキタンク)6と、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7と、インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8と、希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9とを有し印刷に供する使用ルート(右使用ルート)SRと、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルート(左準備ルート)JRとを備えている(図6を参照)。
また、第3実施形態に係る段ボールシート用印刷機20C(20)では、印版1aを巻装した印刷シリンダ1と、プレスロール2と、アニロックスロール3と、絞りロール4Aと、インキ溜まり部5と、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9とを有し印刷に供する使用ルート(左使用ルート)SRと、インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8と、インキタンク(右インキタンク)6と、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7と、第3の希釈液供給機構9Cとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルート(右準備ルート)JRとを備えている。
また、左右使用ルートSR及び左右準備ルートJRの切換えを行う、第1の切換え機構73及び第2の切換え機構73Bは、以下の構成を備えている。すなわち、第1の切換え機構73には、インキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8とインキ溜まり部5とを連通する供給管路71の途中に接続した第1切換え弁731と、インキ溜まり部5とインキタンク(右インキタンク)6とを連通する回収管路72の途中に直列状に接続した第2切換え弁732及び第3切換え弁733と、第1切換え弁731と第3切換え弁733とを連通可能に接続した第1連通管路734と、第2切換え弁732と第2の希釈液供給弁91Bとを連通可能に接続した第2連通管路735とを備えている。第2連通管路735には、インキXを送るインキポンプPを備えている。
また、第2の切換え機構73Bには、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとを連通する第2の回収管路72Bの途中に直列状に接続した第4切換え弁731B及び第5切換え弁732Bと、インキ溜まり部5とインキタンク(右インキタンク)6とを連通する回収管路72の途中に接続した第6切換え弁733Bと、第1切換え弁731とインキ溜まり部5とを連通する供給管路71の途中に接続した第7切換え弁737Bと、第5切換え弁732Bと第6切換え弁733Bとを連通可能に接続した第3連通管路735Bと、第4切換え弁731Bと第7切換え弁737Bとを連通可能に接続した第4連通管路736Bとを備えている。
また、第1切換え弁731と第7切換え弁737Bとが供給管路71をそれぞれ連通させるように作動し、第2切換え弁732と第3切換え弁733と第6切換え弁733Bとが回収管路72をそれぞれ連通させるように作動することによって、図6に示す使用ルート(右使用ルート)SRを形成する。また、第4切換え弁731Bと第5切換え弁732Bとが第2の回収管路72Bをそれぞれ連通させるように作動することによって、図6に示す準備ルート(左準備ルート)JRを形成する。このとき、第1連通管路734と第2連通管路735と第3連通管路735Bと第4連通管路736Bとが、それぞれ遮断されている。
また、第2切換え弁732が第2連通管路735を連通させるように作動し、第4切換え弁731Bと第7切換え弁737Bとが第4連通管路736Bを連通させるように作動し、第5切換え弁732Bと第6切換え弁733Bとが第3連通管路735Bを連通させるように作動することによって、図7に示す使用ルート(左使用ルート)SRを形成する。また、第1切換え弁731と第3切換え弁733とが第1連通管路734を連通させるように作動することによって、図7に示す準備ルート(右準備ルート)JRを形成する。
なお、第1切換え弁731、第2切換え弁732、第3切換え弁733、第4切換え弁731B、第5切換え弁732B、第6切換え弁733B、及び第7切換え弁737Bは、それぞれ下位管理装置212に接続され、各印刷ユニット10C(10)の操作パネル22Bに備えられた使用ルート接続先左右切替ボタンによって操作する。また、操作パネル22Bには、使用ルートSRの接続先を表示する使用ルート接続先表示ランプと、使用ルートSRの接続先を自動的に切り替えないようにする使用ルート接続先自動切り替え無効ボタンが備えられている。使用ルート接続先自動切り替え無効ボタンは、インキXの種類を継続して使用するとき等に用いられる。
以上のように、本段ボールシート用印刷機20C(20)では、印刷に供する左右の使用ルートSRと、インキ粘度の調整作業のみに供する左右の準備ルートJRとを、第1の切替え機構73と第2の切替え機構73Bとを用いて、簡単に切り替えることができる。そのため、インキタンク(右インキタンク)6に接続するインキノズル711、721と第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに接続するインキノズル711B、721Bとを入れ替える、又はインキタンク(右インキタンク)6と第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの位置を入れ替える等の煩雑な作業を回避することができる。その結果、オーダーチェンジに伴うインキ粘度の調整作業を、更に一層簡略化又は短時間化させることができる。
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)に係る段ボールシート用印刷機20(20A、20B、20C)によれば、印刷ユニット10(10A、10B、10C)を管理する管理装置21を備え、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10(10A、10B、10C)の各々について、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令をインキ粘度測定機構8及び希釈液供給機構9に対して行う。そのため、オーダーチェンジ直後に生産する段ボールシートWの搬送に必要な指令等とは別に、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を開始する指令をタイミングを早めて事前に行うことができる。したがって、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を段ボールシート用印刷機全体として簡略化又は短時間化させることができる。
すなわち、複数の印刷ユニット10が段ボールシートWの搬送方向に並設された段ボールシート用印刷機20では、オーダーチェンジの際に、管理装置21が、予め計画された生産順序に従って、各印刷ユニット10に対して必要な指令を行う。例えば、オーダーチェンジ直後に生産するオーダーにおいて、段ボールシートWの生産速度など搬送に必要な指令は、各印刷ユニット10に対して共通に指令する必要がある。しかし、通常、すべての印刷ユニット10を用いて印刷することは少なく、オーダーチェンジ直後に生産するオーダーでは印刷に供さない印刷休止となる印刷ユニット10がある。この印刷休止となる印刷ユニット10は、段ボールシートWを所定の搬送速度で上流側から下流側へ通過させることができればよい。したがって、管理装置21は、オーダーチェンジ直後に生産するオーダーで印刷休止となる印刷ユニット10に対して、段ボールシートWの搬送速度等の指令とは別に、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適合させるインキ粘度の調整指令を事前に行うことができる。この場合、印刷休止となる印刷ユニットでは、印刷に供するオーダーへのオーダーチェンジが始まる前に、インキ粘度Aの調整作業を開始することができ、その結果、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を早期に完了させることができる。したがって、段ボールシート用印刷機20全体として見たとき、印刷休止となる印刷ユニット10におけるインキ粘度Aの調整作業の時間だけ、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業の時間をトータルとして短縮できたことになる。
よって、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)によれば、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を段ボールシート用印刷機全体として簡略化又は短時間化させることができる段ボールシート用印刷機20を提供することができる。
また、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)によれば、インキ溜まり部5に貯留されるインキXのインキ粘度Aが薄くなり過ぎてしまった場合に、インキ溜まり部5が密閉されていないので適切なインキ粘度Aに短時間で調整できる。また、絞りロール4Aの絞り作用によってアニロックスロール3の外周面にインキ皮膜を形成するので、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節しやすい。したがって、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業をより一層早期に完了させることができる。
また、本実施形態(第2実施形態及び第3実施形態)によれば、印刷ユニット10(10B、10C)には、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと、第2のインキタンク(左インキタンク)6Bと、第2のインキ粘度測定機構8Bと第2のインキタンク6Bとを連通してインキXを供給・回収させる第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bと、第2のインキタンク6Bに希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する第2の希釈液供給機構(左希釈液供給機構)9Bとを有しインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRを備え、管理装置21は、オーダーチェンジの際に、複数の印刷ユニット10(10B、10C)の各々において、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整指令を準備ルートJRに対して行う。そのため、印刷ユニット10が印刷休止状態の場合(オーダーチェンジ直後に生産するオーダーで印刷ユニット10を使用しない場合)には、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を、印刷休止中のインキ粘度測定機構8及び希釈液供給機構9を利用して事前に行うことができる。また、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適合させるインキ粘度Aの調整作業を、印刷に供せずインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRを利用して事前に行うことができる。
また、印刷ユニット10が印刷使用状態の場合(オーダーチェンジ直後に生産するオーダーで印刷ユニット10を使用する場合)には、当該オーダーチェンジが終わり生産開始するオーダー(オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダーに相当)の印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を、印刷使用中のインキ粘度測定機構8及び希釈液供給機構9を利用して生産中又は事前に行うことができる。また、当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適合させるインキ粘度Aの調整作業を、印刷に供せずインキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRを利用して事前に行うことができる。
その結果、印刷ユニット10が印刷使用状態か印刷休止状態かによらず、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を、より早期に完了させることができる。そして、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を、段ボールシート用印刷機20(20B、20C)全体として、より一層簡略化又は短時間化させることができる。
また、本実施形態(第3実施形態)によれば、インキ供給・回収機構(右インキ供給・回収機構)7には、インキ溜まり部5とインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8との間に第1の切換え機構73を備え、第2のインキ供給・回収機構(左インキ供給・回収機構)7Bには、第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの間に第2の切換え機構73Bを備え、第1の切換え機構73及び第2の切換え機構73Bを介してインキ溜まり部5を経由せずにインキ粘度測定機構(右インキ粘度測定機構)8とインキタンク(右インキタンク)6とを連通し、インキタンク(右インキタンク)6に希釈液Yを供給する第3の希釈液供給機構9Cを接続して、インキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルート(右準備ルート)JRへ切換え可能に形成するとともに、第1の切換え機構73及び第2の切換え機構73Bを介してインキ溜まり部5を第2のインキ粘度測定機構(左インキ粘度測定機構)8Bと第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの間に接続して、印刷に供する使用ルート(左使用ルート)SRへ切換え可能に形成した。そのため、印刷に供する使用ルートSRと、インキ粘度Aの調整作業のみに供する準備ルートJRとを、第1の切換え機構73と第2の切換え機構73Bとを用いて、簡単に切換えることができる。そして、インキタンク(右インキタンク)6に接続するインキノズル711、721と第2のインキタンク(左インキタンク)6Bに接続するインキノズル711B、721Bとを入換える、又はインキタンク(右インキタンク)6と第2のインキタンク(左インキタンク)6Bとの位置を入換える等の煩雑な作業を回避することができる。したがって、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を、簡略化して更に早期に完了させることができる。その結果、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を、段ボールシート用印刷機全体として、更に一層簡略化又は短時間化させることができる。
また、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)によれば、管理装置21は、オーダーチェンジの際、直前に生産されたオーダーで使用したインキ粘度Aの設定値をフィードバック値として記憶し、次に生産するオーダーに対して過去に生産された同じ仕様のオーダーがある場合は、過去に生産された同じ仕様のオーダーの内、最新のオーダーのフィードバック値をインキ粘度Aの設定値として指示する。また、インキ粘度Aの設定値をオペレータによる手入力で変更可能とする。そのため、過去に生産されたオーダーの内、最新のオーダーで使用したインキ粘度Aの設定値をフィードバック値として管理装置21が記憶するので、オペレータの記憶に頼らなくても、短時間でインキ粘度
Aを最新の実績値と同じ粘度値に調整することができる。その一方、インキ粘度Aの目標粘度値は、温度等の外部環境などによっても変動する。また、段ボールシートWへ実際に印刷を行った後の印刷状況(テスト印刷結果)を見てインキ粘度Aの目標粘度値を変更したい場合がある。これらにオペレータが適切に対応できるため、オペレータの手入力で変更した値を優先させることによって、柔軟かつ適切に、インキ粘度Aを変更したい目標粘度値に調整することができる。そのため、オーダーチェンジに伴うインキ粘度Aの調整作業を、最新の実績値に基づいて自動的に行うことにより、更に一層早期に完了させることができると同時に、オペレータが外部環境などに合わせて柔軟かつ適切にインキ粘度Aの設定値を変更することができる。
また、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)によれば、手入力ON状態の場合には、例えば、印刷に供するオーダーへのオーダーチェンジの前に、印刷に供さないオーダーへのオーダーチェンジが複数回ある場合でも、下位管理装置212は手入力で変更された値(変更値)を設定値として維持する。これにより、オペレータが手入力で変更した値を、印刷に供するオーダーに確実に反映することができる。また、下位管理装置212がインキ回収・洗浄を指令すると、自動的に手入力ON状態から手入力OFF状態とすることによって、手入力ON状態でインキXを回収した場合、次に供給するインキXの設定値に前回使用済みのインキXに対する変更値が反映されてしまうのを防止することができる。手入力ON状態から手入力OFF状態に変わった場合には、下位管理装置212は、プリセット値を設定値とする。
また、本実施形態(第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態)によれば、管理装置21には、複数のオーダーに関する制御指令情報を記憶する上位管理装置211と、上位管理装置211から送られる制御指令情報に従って、各装置に指示する下位管理装置212とを備え、上位管理装置211は、オーダーチェンジの際、段ボールシートWの生産速度など搬送に必要な情報については、印刷に供するか否かを問わず当該オーダーチェンジ直後に生産するオーダー分のみを下位管理装置212に送信する。また、インキ粘度情報については、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダー分のみを、又は当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダー分と当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダー分のみを、下位管理装置212に送信する。そのため、下位管理装置212に送信する情報量を低減させることができ、下位管理装置212の情報処理に伴う負担を軽減して各装置に対する応答性を向上させることができる。また、印刷休止の印刷ユニット10では、当該オーダーチェンジ直後に生産するオーダーで印刷しない段ボールシートWを通過させるために、プレスロール2など搬送装置を回転させつつ、当該オーダーチェンジ以降で一番目に印刷に供するオーダー又は当該オーダーチェンジ以降で二番目に印刷に供するオーダーの印刷仕様に適したインキ粘度Aの調整作業を事前に行うことができる。そのため、下位管理装置212における各装置に対する応答性を高めつつ、インキ粘度Aの調整作業を、より一層早期に完了させることができる。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で、様々に変更することができることは言うまでもない。例えば、第3実施形態では、インキタンク6(右インキタンク)又はインキ供給・回収機構7に希釈液Yを供給してインキ粘度Aを調整する希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9と、インキタンク(右インキタンク)6に希釈液Yを供給する第3の希釈液供給機構9Cとを備えているが、希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9を無くして、第3の希釈液供給機構9Cで兼用することもできる。また、第1実施形態及び第2実施形態の希釈液供給機構(右希釈液供給機構)9を、第3実施形態の第3の希釈液供給機構9Cに置き換えることもできる。
また、本実施形態では、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節するインキ量調節部4として、絞りロール4Aを採用し、インキ溜まり部5がアニロックスロール3と絞りロール4Aとの間に形成される構成となっているが、必ずしも、上記構成に限る必要はない。例えば、図10、図11に示すように、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節するインキ量調節部4として、絞りロール4Aに代えて、インキチャンバ4Bを採用し、インキ溜まり部5がアニロックスロール3とインキチャンバ4Bとの間に形成される構成としてもよい。
具体的には、上記インキチャンバ4Bは、アニロックスロール3の軸方向に延設された略コ字状断面のフレーム本体4B1とフレーム本体4B1の上下端からアニロックスロール3の外周面まで延びるブレード4B2、4B3とから構成されている。この場合、インキ溜まり部5は、インキチャンバ4Bのフレーム本体4B1及びブレード4B2、4B3とアニロックスロール3とで囲まれた内部空間として形成されている。
また、フレーム本体4B1の後壁下部には、インキ供給口712が形成され、インキ供給口712には、インキタンク6に貯留したインキXをインキ溜まり部5に供給する供給管路71が接続されている。また、フレーム本体4B1の側壁上部には、インキ溜まり部5の余剰インキを排出するインキ排出口713が形成され、インキ排出口713には、インキ回収用のインキパン51に延びる排出管路511が接続されている。
以上のように、アニロックスロール3に付着するインキ量を調節するインキ量調節部4として、絞りロール4Aに代えて、インキチャンバ4Bを採用することによって、インキ溜まり部5の上方が閉じた構造となり、インキ溶剤の蒸発が抑えられることによって、適切なインキ粘度を維持しやすくなるという作用効果を奏することができる。