JP7094039B2 - 無線通信方式 - Google Patents

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Description

本発明は、水道メータなど各種センサ情報を閉域無線通信網を利用して一括管理する無線通信方式で、センサで発生するデータ長の短い、いわゆるテレメタリング(遠隔計測)データを送受信する無線通信方式に関する。
近年、サブギガ波と称し、920MHz帯の周波数を用いた無線通信方式が、カバーエリアが半径20キロメートルとかの地域の閉域無線通信網として、誰もが構築できるため、普及してきている。普及の背景としては、IoT時代(モノのインタネット)をキーワードに、水道、電気等の計測情報(広義的にはセンサ情報)を、リモートセンシングが可能なテレメタリング事業が活性化していることにある。そのため、一般社団法人「電波産業会」では、標準規格を、ARIB STD-T108として、「920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備」として平成24年2月に策定している。
このARIB STD-T108では、通信端末は、通信を開始する前に、使用する電波に対し、誰も使用していないことを確認してから送信すること(これをキャリアセンスという)が求められている。また、通信データとしては、テレメタリングデータのような少ないデータを前提としていて、通信時間に関しても、一通信当たり最大4秒、1時間当たりの通信の総和が360秒以下とかの定めがある。これは、閉域無線通信網を、任意に使用するものが発生する電波のお互いの干渉をできるだけ避け、できるだけ短い時間内に所望の通信を終了させ、より多くの人が自由に閉域無線通信網を利用することができるようにするための配慮である。特許文献1には、LTE通信とPHS通信では使用電波が一部重複するため、その干渉を防ぐため、通信に先立ち、キャリアセンスによって空いているチャネルを見つけ、そのチャネルを使って通信を行う技術が開示されている。
しかしながら、上記したARIB STD-T108規格に準拠のテレメタリング端末が多数存在してくると、それぞれの端末が、規格に準拠していても、無線通信網内では、キャリアが存在する時間が長くなり、通信を開始できるタイミングを掴むのが難しくなってくる。また、できるだけ短い時間に通信を終了するためには、無線通信網内で通信可能な最大の通信速度でデータ通信することが望ましいが、通信可能な最大の通信速度を予め知ることも重要なことになってくる。
特開2016-9973
無線通信網内で、キャリアセンスして、送信が可能なキャリアオフの状態(キャリアの存在しない)にある時間帯を把握しておき、キャリアセンスして、なかなか送信できないときはその時間帯を利用して送信開始する、あるいは、最初からその時間帯を利用して送信開始するようにするのが望ましい。
また、テレメタリング端末が無線通信網内で使用可能な最大通信速度を事前に把握しておき、通信の都度、通信可能な速度の確認に必要な時間をなくすことで、テレメタリング通信時間をできるだけ短くするのが望ましい。
あわせて、電池で駆動されることの多いテレメタリング端末の省電力化に取り組む。
無線通信網内にある管理局が管理局下にあるテレメタリング端末とともに、通信すべきテレメタリングデータがないときに、管理局、端末の周辺で、管理下にない他の端末の利用状況、つまり電波の発生状況をキャリアセンスによって把握・学習する。
また、通信すべきテレメタリングデータがないとき、前記キャリアセンス情報とともに、管理局とテレメタリング端末間で通信可能な最大の通信速度を把握・学習する。
テレメタリング端末の通信日時を管理局が管理することで、テレメタリング端末は、その通信日時のみに電源を消費することにする。
テレメタリングデータを送信したいとき、即、送信できる可能性が高まり、かつ通信可能な最大通信速度でデータ通信を行うため、通信時間が短くなり、無線通信網全体の利用効率が向上する。また、テレメタリング端末の電池寿命が長期化できる。
本発明によるメータ情報を集中管理する無線通信システムの全体構成図である。 本発明による子機と親機とのつながりを示すブロック線図である。 本発明による親機の電気回路構成を示すブロック線図である。 本発明による子機の電気回路構成を示すブロック線図である。 本発明による、親機、子機間の通信シーケンスを示す図である。 本発明による、親機、子機間の通信信号の形式を示す図である。 本発明による、親機が複数の定期信号を送出するときの、子機間との通信シーケンスを示す図である。
以下本発明を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態として、水道メータやガスメータ、電気メータの計測情報を、無線通信網を利用して一括管理するシステムの全体構成を示すもので、センタサーバー1、通信網2、基地局3、メータ4よりなる。
センタサーバー1は、水道会社に置かれるもので、水道ユーザのすべての水道の使用量などのデータを一括管理している。通信網2は、こんにちでは、LTE公衆無線通信網を利用することが現実的であろうが、公衆電話回線でもよく、要は、センタサーバー1に対しメータ情報などのデータ通信が可能な通信網であれば、特に形態は問わない。
基地局3は、基地局エリア内にあるメータ4と無線通信によってメータ情報の集積を行い、センタサーバー1に届けるものである。メータ4は、水道メータに基地局と交信するための無線通信回路を付加したものである。
典型的な使用例は、月一度のメータ検針である。月の使用量を把握するには、センタサーバー1が各基地局3に、メータ情報を届けるように指示を出し、各基地局3はメータ4からメータ情報、つまり月の水道使用量のデータを吸い上げ、センタサーバー1に届け、すべての基地局から吸い上げたデータをセンタサーバー1に届けることで、センタサーバー1はすべてのユーザの月間使用量を把握するという例である。
本発明における無線通信方式としては、ARIB STD-T108規格で定める「920MHz帯の特定小電力無線方式」を利用するものとするが、本発明はその他の閉域無線通信網に対しても適用可能である。特定小電力無線方式で、変調方式に拡散スペクトラム通信方式を用いると、一つの基地局の通信距離は2キロメートルから20キロメートルまで届くといわれている。
一つの基地局が、基地局から半径2キロメートルの住戸のメータ情報を管轄すると仮定し、2キロメートル内の住戸の数が2000住戸とすると、一つの基地局は、2000個のメータ情報を管轄することになる。
図2は一つの基地局(ここでは親機5と記述し、以後基地局のことを親機という)に複数個のメータ(ここでは子機と記述し、以後メータのことを子機という)が存在している例と、この親機エリア内に基地局の管理対象でない他の無線機7が置かれている例を示す。
親機5は、複数の子機6との通信は、自分が一括管理しているが、無線機7がいつ通信するのかについては、無線機7を管理している者からの情報がなければ全く不明であり、屋外では、これが一般的な形態であろう。屋内であれば、施設の所有者(ビルの管理者など)を介し、無線機7がいつ通信するのかなどの情報を得ることができる可能性があり、その情報を活用しながら、子機6との通信を行うという方法が採れよう。
前記したARIB STD-T108規格では、通信の開始時に、キャリアセンスを行うことが必要で、図2の例では、無線機7が通信中でないことをキャリアセンスによって事前に確認してから通信を開始することになる。
図3は、親機5の内部構成を示すもので、センタ通信回路51、親機通信制御回路52、無線通信回路53、子機情報管理メモリ54、キャリアセンス回路55、試験信号発生回路56、親機時計57、キャリアセンスタイマ58よりなる。親機5の電源は、図示しないが、商用電源が使用される。
センタ通信回路51は、通信網2を介して、センタサーバー1と通信を行うための回路で、物理的構成は、下記のように、利用する通信網で異なる。
通信網としてLTEを利用するときは、LTE無線回路となり、一般電話回線を利用するときは、電話線インタフェース回路で、これまで一般的には、NCU(網制御回路)と呼ばれていたものになる。もちろん光ファイバを用いたインタネット回線も、利用の一形態である。
親機通信制御回路52は、センタサーバー1からの指令を受け、親機5が管理している情報をセンタサーバー1に届けたり、子機6の情報を吸い上げたり、あるいは子機6に何らかの指令を行ったりする通信制御を行うもので通信シーケンスの例は図5、図7、通信信号構成は図6に示す。無線通信回路53は、子機6と無線通信するのに必要な無線回路である。キャリアセンス回路55は、通信に先立ち、通信網内にキャリアが存在しているかどうか、つまり他人が通信しているかどうかを確認する回路であり、所定の受信感度を設定することでキャリアセンスを行う。キャリアセンス回路の内部構成は図示しないが、前記したように電波の受信感度を設定し信号の振幅を検出するのが一般的である。検出精度をさらに高めるために、特定の周波数成分(本発明においては、920MHz帯の周波数)を検出するためのフィルタを設ける方法、さらに、信号を復調し、所定の変調方式を採用した電波であるのかを確認する方法もある。
キャリアセンス回路55の出力は、無線通信回路53で、キャリアを送出、つまり通信を開始するかの判定に用いられる。子機情報管理メモリ54は、親機5が管理する子機6の情報を一括管理するもので、管理している項目を表1に示す。親機時計57の日時情報は、通信時に日時情報を送信するために親機通信制御回路52と子機情報管理メモリ54で使用される。子機情報管理メモリ54は、表1の情報を履歴とともに管理するため親機5の時計情報が必要である。
表1では子機の数は4個としているが、実際は前記したように、2000個、あるいはそれ以上はありうる数字である。表1の「距離」とは、親機5の設置位置からの距離である。この表では距離は近、中、遠で示しているが、距離そのものの数字情報でもよい。一般に、設置位置が遠いほど(距離が大きいほど)、親機、子機間の通信は電波の減衰が大きくなり、信号対雑音比(いわゆるS/N比)が悪くなり、データ通信の通信速度は低くなろう。
Figure 0007094039000001
M:Minute H:Hour D:Day

表1の「キャリアオフ傾向時間帯」は、親機・子機間での無線通信圏内に、親機5の管理対象外の無線機が使われていて、その無線機が使用中に、親機5が通信開始しても、キャリアセンスして通信が開始できないケースを想定し、その場合、いつになったら通信が開始できそうなのかを知っておくために管理するもので、キャリアセンスで、なかなか通信が開始できないとき、いったんその通信を断念し、表1のキャリアオフ傾向時間帯情報を利用して通信を再開する。
表1の「通信速度」は、子機との通信速度であり、次回の通信時に最適な通信速度で通信できるよう学習・管理している。
この通信速度や前記したキャリアオフ傾向時間帯を学習・把握するには、親機、子機間でデータ通信すべきデータがないときにおこなうが、そのための方法は後記する。
表1の「通信間隔」とは、センタサーバー1と子機6との通信間隔である。水道メータの測定は基本的には月1度でよいが、水道供給会社では、実際には日々の使用量を把握し、ユーザに、使用量の低減法を提案したりするようなサービスメニュがあり、その場合は、24時間とか1時間とかの通信間隔を設定する。また、単に使用量測定だけでなく、子機6の動作パラメータの設定変更をセンタサーバー1あるいは親機5より子機6に要求するようなこともある。子機6は、省電力化のため、予め決められた日時にのみ、通信するようにしているので、親機5あるいはセンタサーバー1が子機6に通信したいことがあれば、この通信間隔のタイミングを利用して行う。
表1の「次回通信日時」は、日時情報がAB月CD日EF時GH分JK秒と秒までを含むが、前記通信間隔情報をもとに算出した次回の通信日時を示すもので、この情報は子機6に通信で伝える。なお、この通信間隔情報に無関係に親機5が、キャリアオフ傾向や通信速度を学習するために、任意の日時を設定することもできる。
表1の「時計誤差」とは、親機5と子機6の時計の誤差を管理するものである。前記したように親機5が子機6に次回の通信日時を知らせ、子機6はその日時になると、親機5からの送信を待つ。このため、子機6と親機5の時計は、できるだけ一致させておくことが必要で、親機5と子機6がそれぞれの時計情報を交換し、両者の時計誤差情報を管理し、次回通信時に、この情報を利用して、後記するが、「リンク設定要求」信号の送出時間を決める。
図4は、子機6の内部構成を示すもので、センサ(本発明ではメータ)61、子機通信制御回路62、無線通信回路53、キャリアセンス回路55、時計校正回路63、電池残量検知回路64、スイッチ65、電池66、子機時計67、次回通信日時メモリ68よりなる。
センサ61は本発明の実施の態様では水道メータであるが、一般的には、温度センサ、塵埃センサ、放射線センサなど多様なセンサがある。子機通信制御回路62はセンサ情報を、無線通信回路53により、親機5と通信するための信号形成や通信制御を実行する回路である。キャリアセンス回路55は、子機6の周りでのキャリアセンスを行う回路である。電池66の電源は、子機時計67、次回通信日時メモリ68には常時給電されるが、その他の回路には受信時にスイッチ65を介して給電される。なお、センサの構造によっては常時給電が必要なセンサもあり、その場合はセンサにも常時給電が必要となる。
電池残量検知回路64は、親機5に、電池残量を報告する通信時に残量が検知され、その情報は子機通信制御回路62で信号形成される。時計校正回路63は、親機5の時計情報をもとに、子機時計67を親機5の時計情報と一致するよう校正するための回路であり、校正は通信終了時に行う。時計の校正結果は、子機6の時計がどの程度ずれていたかを、一日当たりの誤差情報として、子機通信制御回路62を介して、子機6から親機5に、「リンクOK」信号の中で、前記電池残量とともに送信される。なお、この誤差情報は、親機5が、子機6の日時情報を、通信の都度受信している(メータ情報や定期信号など)ので、親機5で計算することも可能であり、その場合、子機6からの誤差情報の伝送は不要となる。
次回通信日時メモリ68は、親機5から伝送されてきた日時情報を保存しておく回路である。
図5は、センタサーバー1と親機5と子機6間の信号シーケンス、図6は、親機5と子機6間で通信される信号の信号形式を示す。
月1回など、定期的なメータ情報の検針時間になるとセンタサーバー1は、親機に全メータ情報要求信号を送る。親機5は、この信号を受信すると、管理下にある各々の子機6に、「リンク設定要求」信号を送る。子機6は「リンク設定要求」信号を受信したら「リンクOK」信号を返す。その後、親機5は「メータ情報要求」信号を送る。子機6は、その信号を受信すると「メータ情報」を親機5に送信し、親機5は受信終了すると、「通信終了信号」を子機6に送り、子機6から「OK」信号を受信し、通信を終了する。
なお、このとき「リンク設定要求」信号を送るため、キャリアセンスすると、キャリアセンス時間が長く、なかなかキャリアオフを検出できず、リンク設定信号を送信できないときは、前記したように、その通信を断念し、学習したキャリアオフ傾向時間帯を利用してリンク設定を再開する。
親機5は、引続き他の子機6からも同様の「メータ情報取得シーケンス」でメータ情報を要求し、親機5が管理するすべての子機6からのメータ情報が得られると、一括して親機5からセンタサーバー1へ全メータ情報を転送する。
センタサーバー1からの定期的な検針時間は、親機5は予め把握しているので、親機5はセンタサーバー1からの全メータ情報要求信号を受信しなくても、毎月定められたメータ検針の日になると、自発的に、子機6からのメータ情報取得シーケンスを開始してもよい。
図6は、親機5から子機6への信号、または子機6から親機5への信号の形式を示す。「信号種別」フィールドは、表2で後記するが、親機、子機間で行き交う信号の種類を示すものである。「信号種別」フィールドは8ビットとし、内7ビットを信号種別に利用し(128種の信号を定義できる)、残りの1ビットを信号に続きがあるかないかを示すものに使う。
ARIB STD-T108規格では、1回当たりの送信時間を400ミリ秒以下にするなどの規定があり、通信速度が600bpsとか低いときは、400ミリ秒で送れるデータは240ビットになり、図6のデータが240ビットを超えるときは分割して送ることが必要になる。このため送信データに続きがあることを知らせるため「信号種別」フィールドの1ビットを使用する。
因みに、図6のデータ長を試算してみると、「子機ID」フィールドを12桁、「チャネル番号」フィールドを2桁、「日時情報」フィールドを、AB月CD日EF時GH分JK秒と、10桁、「データ(メータ情報など)」フィールドを6桁と仮定すると合計は30桁で、1桁に4ビット使用すると、120ビット、さらに、「信号種別」フィールドに8ビット、「通信速度」フィールドには8ビット要すとし合計で136ビットとなるが、信号フレームを構成するためのオーバヘッド(ヘッダや、謝り検出符号など)分があり、フレーム構成に、周知のHDLCフォーマットを利用すると48ビット必要になる。その結果1フレームの全データ長は136+48=184ビットとなる。この数字では、通信速度が600bpsの場合、1回の通信でデータ伝送は可能であるが、現実の桁数は多くなる可能性もあり、1回の通信では送信しきれないケースも発生するので、データに続きがあるかどうかの通知をできるようにしておくことは必要である。
図6にも示すが、前記したチャネル番号について説明する。
ARIB STD-T108規格では、無線で使う搬送波の周波数として、920.6MHz~928.0MHzと7.4MHzの帯域幅があり、その帯域幅内では200KHz単位で周波数分割多重通信ができるようになっていて、実際のデータ伝送は、その200KHzの帯域を用いる。帯域の数は、計算上では7.4/0.2=37で、37チャネルあるが、どの帯域(チャネル)を使用するのかを示すために、「チャネル番号」が規定されている。したがってデータ通信の場合、どのチャネルを用いて通信するかの宣言は必要なことである。一般的には、どのチャネルを使用するのかについては、通信の開始前には、その親機、子機間で予め決められているが、そのチャネルを他の誰かが使っていると、キャリアオンが長いので、実際のデータ通信には異なるチャネルを使用するケースも多々ある。そのため図6では、チャネル番号を宣言し、この通信で使用するチャネル番号を相手に伝えられるようにしている。
あわせて、通信速度についても、図6に示すように、どの速度で行うのかの宣言も必要である。通信開始時(リンク設定時)には、リンク設定が確実にできやすいように、600bpsとかの遅い通信速度を予め決めておき、その速度で通信するが、対象子機とのデータ通信に使用する通信速度は、通信すべきデータの無い時に試験的に測定していて、この速度なら通信可能と学習した速度で行う。通信速度としてとりうる値は、変調方式によって異なるが、ここでは、28.8kbps、19.2kbps、14.4kbps、12kbps、9.6kbps、7.2kbps、4.8kbps、2.4kbps、1.2kbps、0.6kbpsの10ランクあるとする。なお、「リンク設定要求」信号の返答として後記する「リンクOK」か「NG」かの信号を返すが、その速度も「リンク設定要求」信号と同様に、600bpsで行う。
「チャネル番号」と「通信速度」は、リンク設定時には予め決められているチャネル番号と通信速度を用いるので、「リンク設定要求」信号においては、「メータ情報要求」信号などこれからの通信に使用するチャネル番号と通信速度を示す。
表2は親機・子機間で行き交う通信信号のすべてを表すものである。
各信号に対して、図5に示した信号形式に記述した信号フィールドが使われるのかどうかを、有、無で示している。
2番目に記述した「リンクOK」信号は、リンク設定要求に対する返事であるが、「リンクOK」信号においては、日時情報の代わりに電池残量情報と時計誤差情報を送信する。親機5は各子機6の電池残量を常時監視していて、残量が少なくなった子機に対しては必要な措置を採れるようにするためである。
Figure 0007094039000002
3番目の「OK」信号は、データ受信に成功したとき、4番目の「NG」信号は、データ受信に失敗した時に返す信号である。受信側では、送信側からの信号と思われるキャリアを検出できたが、信号受信に失敗したときに「NG」信号を返すが、キャリアを検出できないときは何も返さない。信号受信を待機しているときに、検出したキャリアオンが、親機5からのキャリアかどうかを推定するには、表2から信号送出時間が予め判っているので、受信信号のキャリアオン時間を計測することで行う。
親機5は「NG」信号を受信すると、同じ信号を再送するが、「NG」信号を2度受信すると、通信速度を1ランク下げて再通信を試みる。それでも通信成功しないときは、その通信は一旦断念し、後記する通信速度試験信号を送り、通信可能な速度を把握し、その速度を用いて一旦断念した通信を再開する。
「メータ情報要求」信号は、文字どおり、メータ情報を要求する信号であり、その返答が「メータ情報」である。
「定期信号」とは、メータ検針は月に1回としても、親機5が子機6の動作パラメータを設定変更したり、あるいは子機6の毎日の水道の使用量を、水道会社の都合あるいは顧客の要請により、一日1回あるいは1時間毎に管理したりするケースがある。このため、前記したように、親機5は子機6との間で、通信間隔を定め表1で管理している。親機5は、通信間隔情報から次回の通信日時を算出し、子機6に次回の通信日時を「通信終了」信号の中で伝えておき、子機6は次回通信日時メモリ68で管理している。子機6は、次回通信日時を知らされることで、子機6が電源を常時消費するのは、子機時計67と次回通信日時メモリ68の2つだけにでき、子機全体の省電力化が図れる。
「定期信号」のデータフィールド部の情報は、親機5が子機6に何を要求するかを示すために使用する。情報の種類としては、メータ情報、動作パラメータ変更要求、キャリア検出依頼などがある。「設定完了」信号は、親機5が「定期信号」で、子機6の動作パラメータ設定変更を要求した時の返答信号である。動作パラメータとしては、無線通信回路53における受信感度や送信電力の調整やセンサの感度調整などがあろう。「定期信号」は、複数の信号を連続して送信することが可能である。例えば、「定期信号」としてメータ情報を要求し、そのメータ情報を受信した後に、「定期信号」としてキャリア検出依頼を要求することが可能である。親機5が、特定の子機に対し、キャリアオフの情報が不足しているときなどは、この方法を採るとよい。複数の「定期信号」を使用するときの通信シーケンスの例を図7に示す。
親機5からのキャリア検出依頼は、親機5が子機6に要求するデータがないときに、子機6がキャリア検出を行い、キャリアがオンかオフかの情報を親機5に届ける。キャリア検出結果は、表2の「キャリア報告」信号を用い、データフィールドにチャネル番号とオンかオフかを示す。キャリア検出は図示しないが、キャリアセンス回路55にチャネルと対応した帯域通過型フィルタを指定することで行う。キャリア検出は複数のチャネルに対しても行うことは可能であり、子機6は普段使用するチャネルがキャリアがオンだったときに、オフのチャネルがないかを探し、このチャネルはキャリアオフという情報を親機5に送っておくこともできる。データフィールドに複数のチャネルでの結果を書き込むには、チャネル表示に8ビット、オンかオフに1ビットと1チャネル当たり9ビットでデータを構成する。
親機5はすべての子機6に対し、親機5の管理対象でない周辺の通信機が使用中になる時間帯を把握し、キャリアオフとなる時間傾向を学習している。
合わせて、親機5も通信するデータがないときに、キャリアセンスタイマ58で、定期的に親機5のキャリアオフ、オン状況も検知し結果を表1に管理している。キャリアオフ傾向時間の把握には、親機5、子機6の両者がキャリアセンスしない時間を把握しておく。例えば親機5の近くに無線機7があり、その無線機7が通信中、親機5はキャリアセンスするが、子機6はキャリアセンスしないケースがあるし、無線機7が子機6の近辺にあるときは、子機6はキャリアセンスしても親機5はキャリアセンスしない。親機・子機間の通信に、合計で1分要すとすると、親機は子機のキャリアセンスを含め1分間のキャリアオフ時間をベースに、キャリアオフ傾向時間を把握している。つまりキャリアオフの検知には少なくとも1分間の観察時間を設けている。
親機5が子機6に対し要求するデータがないとき、「定期信号」の送信に変え「通信速度試験信号」を送ることができる。これは、親機、子機間で通信可能な通信速度を常時把握しておくためである。親機、子機間の間に、ある日ビルが建設されたりして電波伝搬状況が変化すると、いつもは9.6kbpsで通信できていたものが、4.8kbpsに低下したりする。また、親機・子機間に、ある日突然、通信機が設置され、親機・子機間で通信中にその通信機が電波を発生し、通信速度へ影響を与える可能性が高い。
このため、親機・子機間で通信可能な通信速度を学習把握しておき、次回の通信は、その速度で行えるように準備しておくことは、次回通信時の通信エラーを回避するためにも有用である。「通信速度試験」信号は、それまで通信可能であった通信速度(表1)で、表2に示す情報を親機5が子機6に送り、子機6が受信できればOKを返し、受信できなければNGを返す。NGを受信した親機5は、次に速度を1ランク下げて同様に信号を送る。この繰り返しで、通信成功した通信速度を表1で管理し、子機情報管理メモリ54に保存し、次回の通信には、その速度で通信を開始する。
例えば、子機6に対し前回通信成功したときの通信速度が12kbpsであったと表1に書かれていると、通信速度信号は12kbpsで送り、子機6よりOKが返答されれば、表1を、12kbpsと書き直す。もし、子機6からNGが返答されたら、通信速度を1ランク下げ9.6kbpsとして「通信速度試験」信号を送る。OKが返答されたら、表1を9.6kbpsに書き換え、NGが返答されたら、もう1ランク下げ7.2kbpsで「通信速度試験」信号を送る。通信成功するまで速度を下げていき、成功した時の速度を表1に書き換え、通信速度試験を終了する。
親機5で各子機6との通信速度を管理しているが、その履歴や、親機5から見て同じような距離にある子機6の通信速度が600bpsとか異常に低い場合は、前回の通信時には、何らかの突発的な異常が起きていたのかも知れないと考え、本来、通信できておかしくない速度を4.8kbpsとすると、「通信速度試験」信号は、4.8kbpsから始めて見る方法も採れよう。
なお、変調方式に、QAM方式を採用していれば、信号空間ダイアグラム中で、受信信号のポイントと、定められた信号ポイントとの誤差(これを、エラーパワーという)が測定可能であり、試験中の通信路で、採りうるポイント数が計算でき、通信可能な通信速度がわかるので、試験信号の再送信の繰り返しは必要なくなる。この場合、「通信速度試験」信号の返答は、表2に示す「試験結果報告」信号となり、「通信速度」フィールドのデータ部に通信可能な通信速度を報告する。なお、QAM変調方式での試験信号データは、通信速度としては、受信側ではエラーパワー量の測定を行うのが目的であるので、QAMのモデムトレーニングシーケンスのように、1回の通信で伝送可能な時間長である400msの時間を区切り、最初の200msに信号空間ダイアグラム上で、2ポイント(通信速度としては、600bps)となるランダムデータを送り、受信側では、エラーパワー量を測定する。2ポイントのランダムデータは、子機6の試験信号発生回路56で生成される。受信側のモデムトレーニングは、エラーパワー量を測定しながら、受信モデムの内部パラメータ(適応型等価器のタップ係数など)を調整していくことで、エラーパワー量を最小にする動作であり、それゆえ、エラーパワー量は時間とともに減少するものである。200msの間にどこまで減少できたかを知り、200ms後のエラーパワー量に、もとづき、QAMで使える信号のポイント数が判定でき、そのポイント数で、通信可能な通信速度が分かるので、その速度を送信側に伝える。変調方式にQAMを用いるときのデータ伝送は、常時最初の200msは2ポイントのランダムデータを送り、残りの200msに通信すべきデータを送るようにする。通信速度が、1.2kbpsあれば、200msの間に240ビットのデータが伝送でき、メータ情報の伝送は、前記したデータ長の試算が136ビットであることを考慮し、十分可能であろう。もし、前記したエラーパワー量が200msの間に減少傾向を見せず、ポイント数の判定が困難であったときは、「通信速度」フィールドのデータは、最低速度の600bpsとする。
なお、表1の通信間隔が10日とか長い周期が設定されているときは、親機5は、1日に1回はキャリアセンスや通信速度の試験を親機5の判断で行うことも必要だろう。その時は、子機6に伝送する次回通信日時を親機5の希望する日時に設定すればよい。
図5では、全メータ情報要求の時のシーケンスを示したが、定期報告や通信速度試験の時も、最初は「リンク設定要求」信号を送り、「リンクOK」,「NG」を確認してからデータ通信を行い、最後は「通信終了」で終わる。
表3は、これまでに述べた親機5から子機6への指示信号と、それに対する子機6から親機5への返答信号を整理するものである。
Figure 0007094039000003
親機が子機から得た情報は、メータ情報などセンタサーバー1へ転送するものや、通信速度情報など転送を必要としないものがあり、さらに表3に示されてないが、センタサーバー1が、水道の温度など別途子機に求める情報もあるだろう。その場合、別途信号を定義して、図5に例示した信号シーケンスのように、子機情報を親機5からセンタサーバー1へ転送すればよい。
子機6は省電力化のため、各回路への給電時間をできるだけ少なくなるように工夫している。図4の次回通信日時メモリ68が、その時刻になると、スイッチ65をオンにし、無線通信回路53などへ給電を行い、親機5からの信号を待つ。子機6の時計が親機5の時計とどの程度ずれているかについては、表1の時計誤差情報を利用する。例えば1日1秒ずれるとし、前回通信日時と今回通信日時の間隔が10日であるとすれば、10秒ずれていることになる。親機5は、所定の時刻になると、「リンク設定要求」信号を送出するが、この場合、子機6との時間ずれが10秒あるので、「リンク設定要求」信号は、ARIB STD-T108規格に準拠し、400ミリ秒送信、2ミリ秒の休止を1サイクルとし、この繰り返しを10秒間以上(例えば、1秒プラスして11秒間)行うことが必要である。
また、メータ情報の通信などリンク設定要求以外の通信信号も3回とかの複数回連続送信し、受信をより確実になるようにする。
実際に、通信に必要な時間は、表3に示したすべての信号のケースに対し、リンク設定から通信終了まで、通信速度にもよるが、ほとんどの場合、1分程度で収まるだろう。因みに「メータ情報要求」信号の場合で試算してみると、リンク設定に11秒(前記したように11秒の間「リンク設定要求」信号を連続送信する)、「メータ情報要求」信号とメータ情報は3回通信が繰り返されるとして(402+402)×3=2412ミリ秒≒2.5秒(402の意味は、1回の通信時間は400ミリ秒以内、かつ2ミリ秒の休止時間が必要)であり、11+2.5=13.5秒、これに通信終了シーケンスを足しても15秒あれば十分である。
子機6は次回通信日時メモリ68で指定される時刻に1分間以内の通信を行うのみで、それ以外の時間はスリープ状態であり、大幅な省電力化が図れる。
表1では、キャリアオフ傾向時間帯と通信速度は直前の測定結果を示しているが、親機5の子機情報管理メモリ54では、測定履歴も合わせて管理していて、履歴を考慮しながら、次回通信時に使用するチャネルと通信速度を決定し、子機6に伝える。
キャリアオフ傾向時間帯は、チャネル番号ごとに親機5と子機6の情報を見ながら、曜日や月の旬(上旬、中旬)、さらに月の日付けでの変化がないかなども観察管理しているし、通信速度も、同じような傾向がないかも見ている。
サブギガ波を用いた無線通信ネットワークは、アンライセンスドネットワークと呼ばれ、民間事業者が容易に構築できるので、今後普及に弾みがかかろう。
そうなったとき、本発明によってネットワークの利用効率を高める技術は、有用・不可欠なものとなり、産業上の利用は高まる。
また本発明では子機の省電力化のために、通信時以外は子機をスリープ状態にしているので、電池駆動が多い子機に、有用な技術である。
1 センタサーバー
2 通信網
3 基地局
4 メータ
5 親機
6 子機
7 無線機
51 センタ通信回路
52 親機通信制御回路
53 無線通信回路
54 子機情報管理メモリ
55 キャリアセンス回路
56 試験信号発生回路
57 親機時計
58 キャリアセンスタイマ
61 センサ(メータ)
62 子機通信制御回路
63 時計校正回路
64 電池残量検知回路
65 スイッチ
66 電池
67 子機時計
68 次回通信日時メモリ

Claims (1)

  1. 親機と複数の子機間でQAM方式を用いたデータ通信を行う無線通信網内で、子機が内蔵するセンサで検知された計測情報が親機と子機間でデータ通信されるとともに、データ通信信号として前記計測情報の他に通信速度試験信号があり、親機は計測情報のデータ通信を行わない時間に、各々の子機に前記通信速度試験信号を送ることで、各々の子機とで通信可能な通信速度を信号空間ダイアグラム中のエラーパワーを測定することで学習し、親機と子機間での次回通信時には、前記学習した通信速度で通信を行うことを特徴とした無線通信方式。
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