JP7093213B2 - コンテナ - Google Patents

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本発明は、ヒンジ機構によって軸支された開戸を有するコンテナに関するものである。
様々な荷物を収容するコンテナは、通常、略直方体の中空構造を有し、一対の妻面と一対の側面とのうち、少なくとも1つの面に荷物を出し入れするための扉(以下、「開戸」ともいう。)が設けられている。このようなコンテナは、平面視における4隅の夫々に隅柱を備えており、これら4本の隅柱のうち、扉が設けられていない妻面と、扉が設けられた側面とが交わる位置に配置される隅柱の近傍は、例えば図8に示すような構造になっている。すなわち、外側部材102と内側部材104とを有する隅柱100に、ヒンジ機構110が設けられており、このヒンジ機構110を介して、コンテナの側面に設けられた開戸20が、開閉自在に取り付けられている。開戸20の端縁には、ひれ部76と内ひれ部78とを有する防水ゴム74が取り付けられており、ひれ部76及び内ひれ部78が内側部材104に密着することで、コンテナ内部の密閉性が保たれている。一方、特許文献1には、側面の上部に位置する上梁に工夫を施すことで、積載限界を超えることなく容量を拡大したコンテナが示されている。
特許第4003183号公報
ここで、コンテナには、更なる容量の拡大化や開口部の拡大化が望まれており、それを実現するための1つの方法として、例えば、図8に示した隅柱100の厚みを低減する方法が挙げられる。具体的には、隅柱100に必要とされる強度を保つ範囲で、内側部材104の室内側(図中右側)への突出量を低減すればよい。しかしながら、内側部材104の突出量を低減すると、開戸20もそれに伴い妻面側(図中左側)にシフトする必要があるため、開戸20の開閉時における防水ゴム74の回転軌跡の半径が小さくなり、ひれ部76の先端が内側部材104の内側(図中右側)に巻き込まれた状態で、開戸20が閉じられる虞がある。このような状態では、防水ゴム74が、その本来の役割を果たすことができなくなってしまう。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテナの開口部を拡大化した際の、開戸の防水ゴムの巻き込みを防止することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)隅柱に設けられたヒンジ機構によって軸支された開戸が少なくとも一面に設けられ、前記開戸の前記隅柱に沿った端縁部に、前記開戸の閉扉状態において前記隅柱に対して側面側から密着するひれ部を有する防水ゴムが固定されたコンテナであって、前記ヒンジ機構は、前記隅柱に対して回転自在に取り付けられる円筒状又は円柱状の回転部と、該回転部及び前記開戸を接続する接続部とを含み、前記開戸の開閉時における前記防水ゴムのひれ部先端の回転軌跡が、前記隅柱の側面と交わるように、前記隅柱の側面の幅に対応して、前記回転部の外径の大きさが設定されると共に、前記回転部の回転軸が配置されているコンテナ。
本項に記載のコンテナは、荷物を出し入れするための開戸が少なくとも一面に設けられたものであり、その開戸が、隅柱に設けられたヒンジ機構によって軸支されている。又、開戸の隅柱に沿った端縁部に、ひれ部を有する防水ゴムが固定されており、この防水ゴムのひれ部が、開戸が閉じられた状態で、隅柱に対してコンテナの側面側から密着する。すなわち、ここでの開戸は、コンテナの側面に設けられたものであり、その開戸の端縁に固定された防水ゴムのひれ部が、開戸が閉じられた状態で、開戸の正面側から隅柱に密着するものである。
そして、上記のような開戸を軸支するヒンジ機構は、回転部及び接続部を備えている。回転部は、円筒状又は円柱状を成し、その回転軸が隅柱の延在方向(上下方向)と平行になるように、隅柱に対して回転自在に取り付けられる。接続部は、開戸を回転部に接続するものであり、回転部に対して溶接等の固定方法で固定される。これによって、回転部の回転動作に伴い、開戸が開閉動作することになる。又、ヒンジ機構の回転部は、ヒンジ機構が設けられた隅柱の側面の幅(コンテナの妻面と直交する方向の幅)に対応して、その外径の大きさ及び回転軸の配置が設定される。
具体的に、回転部は、開戸の開閉時における防水ゴムのひれ部先端の回転軌跡が、隅柱の側面と交わるように、外径の大きさ及び回転軸の配置が設定される。この際、回転部の外径は、例えば開戸を回転自在に軸支可能な強度を維持する範囲で、可能な限り小さい大きさに設定され、又、回転部の回転軸は、例えば回転部の周縁部分が隅柱から妻面側に突出しない範囲で、コンテナの妻面側に可能な限り近づくような位置に配置される。これにより、隅柱の側面の幅に応じて、上述したひれ部先端の回転軌跡の半径が、可能な限り大きく保たれた状態で、回転部及び接続部を介して軸支されている開戸の位置が、コンテナの妻面側へとシフトされる。従って、隅柱の側面の幅が従来より小さくなる場合であっても、開戸に固定された防水ゴムのひれ部先端の回転軌跡が隅柱の側面と交わるような、防水ゴムと隅柱との位置関係が保たれることとなる。このため、隅柱の幅の低減によってコンテナの開口部が拡大されても、防水ゴムのひれ部先端が隅柱の側面に接触し難くなることに起因する、防水ゴムの巻き込みが防止されるものである。
(2)上記(1)項において、前記ヒンジ機構は、前記隅柱の前記側面側の端部に設けられた切欠き部の上端及び下端に固定され、円形の貫通孔が設けられた一対のヒンジラグと、該一対のヒンジラグの前記貫通孔に上端及び下端が挿通された状態で、前記貫通孔の各々に固定されるヒンジピンとを含み、前記回転部は、円筒状を成し、その中心孔に前記ヒンジピンが挿通されることで、該ヒンジピンに対して回転自在に取り付けられ、前記一対のヒンジラグは、上下方向と直交する断面視で、前記回転部の妻面側の周縁部分が前記隅柱の前記妻面側の面により規定される平面上に配置されるような位置に、前記貫通孔が設けられているコンテナ(請求項)。
本項に記載のコンテナは、ヒンジ機構が、更に一対のヒンジラグとヒンジピンとを含むものであり、一対のヒンジラグは、隅柱に設けられた切欠き部に固定される。この切欠き部は、隅柱の、コンテナの側面側の端部に、上下方向に延在して設けられ、そのような切欠き部の上端及び下端に、一対のヒンジラグが固定される。又、一対のヒンジラグの各々は、円形の貫通孔が設けられており、隅柱の切欠き部に固定された状態で、貫通孔が互いに向き合う配置となる。そして、それら一対のヒンジラグの貫通孔に、ヒンジピンの上端及び下端が挿通され、この状態で貫通孔の各々にヒンジピンが固定される。
一方、ヒンジ機構の回転部は、円筒状を成しており、その中心孔にヒンジピンが挿通されることで、ヒンジピンに対して回転自在に取り付けられる。このため、ヒンジピンは、ヒンジラグへの固定に先立ち、予め回転部の中心孔に挿通され、この状態で一対のヒンジラグに対して固定される。このような構成のヒンジ機構では、一対のヒンジラグに設けられる貫通孔の位置によって、回転部の中心軸の位置が決定される。そこで、本項に記載のコンテナは、上下方向と直交する断面視で、回転部がヒンジラグの端部から妻面側に突出しない範囲で、可能な限り回転部の回転軸が妻面側に近づくような位置に、一対のヒンジラグの貫通孔が設けられたものである。より詳しくは、一対のヒンジラグの貫通孔は、上下方向と直交する断面視で、回転部の妻面側の周縁部分が、隅柱の妻面側の面により規定される平面上に配置されるような位置に設けられる。これにより、隅柱の幅が低減されても、隅柱の幅と回転部の外径の大きさとが考慮された適切な位置に、回転部の回転軸が配置されることになるため、防水ゴムの巻き込みがより確実に防止されるものとなる。
(3)上記(1)(2)項において、前記隅柱は、内張板及び外板が、妻面の室内側及びその反対側に設置されるように固定される外側部材と、上下方向と直交する断面がコの字状を成し、該コの字状の2本の脚部の先端に相当する2つの部位が、室内側から前記外側部材に固定された内側部材と、前記外側部材に少なくとも1つ設けられた前記ヒンジ機構とを含み、前記内側部材は、上下方向と直交する断面視で、前記コの字状の2本の脚部の間に位置する平面部が、前記外側部材に固定された状態の、前記内張板の室内側の面により規定される平面と重なるような大きさを有しているコンテナ(請求項)。
本項に記載のコンテナは、隅柱が、外側部材及び内側部材を含み、上記(1)及び(2)項で言及したヒンジ機構が、少なくとも1つ外側部材に設けられたものである。外側部材には、コンテナの妻面の室内側及びその反対側に設置されるように、内張板及び外板が固定される。この際、外側部材の内張板が固定される部位には、内張板が室内側に重ねられた状態で固定され、外側部材の外板が固定される部位には、外板が室内と反対側に重ねられた状態で固定される。又、内側部材は、上下方向と直交する断面がコの字状を成しており、そのコの字状の2本の脚部の先端に相当する2つの部位が、室内側から外側部材に固定される。この際、内側部材は、コの字状の2本の脚部の間に位置する平面部が、コンテナの妻面と平行になるように固定される。
更に、内側部材は、外側部材に固定された状態で、上述した平面部の室内側面が、外側部材に固定された状態の、内張板の室内側の面により規定される平面に対して、可能な限り近づくような大きさを有している。より詳しくは、内側部材は、上下方向と直交する断面視で、平面部が、側方内張板受部に固定された状態の、内張板の室内側の面により規定される平面と重なるような大きさを有している。この場合の内側部材の大きさとは、内側部材が外側部材に固定されたときに、内側部材の平面部の位置を規定することとなる、コの字状の脚部に相当する部位の長さを示している。又、「可能な限り近づく」という表現は、隅柱に必要とされる強度を保つ範囲で、可能な限り近づくことを示している。これにより、本項に記載のコンテナの隅柱は、従来のコンテナの隅柱と比較して、室内側への突出量が抑制されるため、コンテナ側面に設けられる開戸の開口部の幅と、コンテナの容量との双方が拡大されることとなる。更に、このようにコンテナ側面の開口部の幅が拡大されながらも、開戸に固定された防水ゴムのひれ部先端の回転軌跡が隅柱の側面と交わるような、防水ゴムと隅柱との位置関係が保たれるため、防水ゴムの巻き込みが防止されるものである。
本発明は上記のような構成であるため、コンテナの開口部を拡大化した際の、開戸の防水ゴムの巻き込みを防止することが可能となる。
本発明の実施の形態に係るコンテナを示しており、(a)はコンテナの上面、(b)はコンテナの一方の側面、(c)はコンテナの一方の妻面を示している。 図1のコンテナを示しており、(a)はコンテナの他方の側面、(b)はコンテナの他方の妻面を示している。 本発明の実施の形態に係るコンテナの隅柱を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。 図3のA-A線での断面図である。 本発明の実施の形態に係るコンテナのヒンジ機構を示している。 図5のヒンジ機構のヒンジラグの取り付けイメージを示す断面図である。 (a)は本発明の実施の形態に係るコンテナの隅柱近傍の断面イメージ図であり、(b)はひれ部の先端の回転軌跡を示すためのイメージ図である。 従来のコンテナの隅柱近傍の断面イメージ図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、又、図面の全体を通して、同一部分若しくは相当する部分は、同一の符号で示している。
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係るコンテナ10の構成の一例を模式的に示している。このコンテナ10は、略立方体の中空構造を有し、一対の妻面12、14と一対の側面16、18とのうち、一方の妻面14と双方の側面16、18との3つ面に、荷物を出し入れするための観音開きの開戸20が設けられている。
一方、残りのもう一方の妻面12には、開戸20が設けられておらず、図2(b)で確認できるように、2本の隅柱32(32A、32B)の間の領域を塞ぐようにして、外板88が設置されている。外板88は、図中上下方向に延在する凸条部と凹条部とが、図中左右方向に交互に形成された、波板状を有している。更に、図2(b)での図示は省略しているが、2本の隅柱32A、32Bの間の領域の、外板88とは反対側(すなわち室内側)には、内張板84(図4参照)が設置されている。以下では、上述した隅柱32の近傍領域の構成について、詳しく説明する。
まず、図3及び図4には、2本の隅柱32A、32Bのうち、図2(b)における右側に位置する一方の隅柱32Aを示している。なお、2本の隅柱32A、32Bは、図2(b)に示された配置において、左右対称の構成を有しているため、ここでは、一方の隅柱32Aを例にして、隅柱32の構成について説明する。図3に示すように、隅柱32(32A)は、外側部材34と、外側部材34に対して室内側(図3(b)における右側)から溶接固定された内側部材50とを含んでいる。更に、本実施例では、外側部材34の図3(a)における右側の端部に、上下方向に間隔を空けて3つの切欠き部58が形成されており、3つの切欠き部58の各々に、ヒンジ機構62が取り付けられている。これら3つのヒンジ機構62は、図1及び図2に示したコンテナ10の、側面18に設けられた開戸20を開閉させるためのものである。又、外側部材34の上端部には、上部隅金具60が溶接固定されている。
更に、図4を参照して、上述した外側部材34は、本実施例において、外方部40、段差部42、外板固定部44、曲折部46、内張板受部36、及び、張出部48を含んでおり、これらの部位が一体のプレス加工品として形成されたものである。図4に示された断面視で、外方部40は、左右方向に延在しており、外方部40の右側の端部から、張出部48が上方向へ延びている。外方部40の左側の端部からは、段差部42が左上方向に斜めに延びており、段差部42の左上側の端部から、外板固定部44が左方向へ延びている。又、外板固定部44の左側の端部からは、曲折部46が上方向へ延びており、曲折部46の上側の端部から、内張板受部36が右方向へ延びている。
一方、上述した内側部材50は、図4に示された断面視でコの字状を成すものであり、コの字状の2本の脚部に相当する部位52(52A、52B)と、2本の脚部に相当する部位52の間に位置する平面部54とを含んでいる。そして、一方の脚部に相当する部位52Aの先端が、外側部材34の外方部40に溶接固定され、他方の脚部に相当する部位52Bの先端が、外側部材34の外板固定部44に溶接固定されている。又、内側部材50は、外側部材34に固定された状態で、平面部54が外方部40や外板固定部44と平行になるように、一方の脚部に相当する部位52Aの図中上下方向の長さよりも、他方の脚部に相当する部位52Bの図中上下方向の長さの方が、短くなっている。
ここで、図4には、内張板受部36にネジ90を介してビス止めされた内張板84と、外板固定部44に溶接された外板88とを、二点鎖線で示している。更に、そのように内張板受部36に固定された内張板84の、室内側(図中上側)の面84aによって規定される平面Pを、破線によって示している。このような図4で確認できるように、内側部材50の平面部54の室内側面54aは、内張板84の室内側の面84aによって規定される上述した平面Pに対して、非常に近い位置に配置されている。より詳しくは、内側部材50の平面部54は、内張板84の室内側の面84aによって規定される平面Pと、重なるような位置関係にある。
次に、図5~図7を参照して、隅柱32に設けられたヒンジ機構62について詳しく説明する。図5は、図3(b)に示されたヒンジ機構62の1つを拡大図示したものであり、ヒンジ機構62は、本実施例では円筒状を成す回転部64と、接続部66と、一対のヒンジラグ68と、円柱状のヒンジピン70とを備えている。一対のヒンジラグ68は、隅柱32に形成された切欠き部58の上端及び下端に溶接固定されている。より詳しくは、図6に示すように、切欠き部58は、外側部材34の外方部40の一部から張出部48にかけて形成されており、ヒンジラグ68の各々は、切欠き部58が形成された外方部40及び張出部48の双方に溶接固定される。又、ヒンジラグ68の各々は、円形の貫通孔68aを備えており、図5に示すように、図中上側のヒンジラグ68の貫通孔68aに、ヒンジピン70の上端側が挿通され、図中下側のヒンジラグ68の貫通孔68aに、ヒンジピン70の下端側が挿通されている。そして、ヒンジピン70は、一対のヒンジラグ68の双方に溶接されている。
回転部64は、その中心孔64aにヒンジピン70が挿通された状態で、ヒンジピン70に対して回転軸c周りに回転自在に保持されている。回転部64の下端と、図中下側に配置されたヒンジラグ68との間には、座金72が設置されている。更に図7(a)も参照して、接続部66は、本実施例では屈曲した板状を成しており、図5及び図7(a)における左側端部が、回転部64の周縁部分64bに溶接固定されている。そして、図7(a)に示すように、接続部66には、コンテナ10の側面18(図1参照)に設置される開戸20が溶接固定される。開戸20の図中左側の端部には、防水ゴム74が固定されており、防水ゴム74は、ひれ部76と内ひれ部78とを有している。図7(a)に示す開戸20の閉扉状態において、ひれ部76の先端は、隅柱32の側面56に密着し、内ひれ部78の先端は、隅柱32の室内側面54aに密着する。
ここで、図7(b)には、開戸20の開閉時に、防水ゴム74のひれ部76の先端が、側面56に密着する前或いは側面56から離れた後に描く回転軌跡tを、仮想的に図示している。図示のように、回転軌跡tは、ヒンジピン70に対して回転する回転部64の回転軸cを回転中心としたものである。そして本実施例では、回転軸cが可能な限り図7における左側に配置されるように、ヒンジラグ68に設けられた貫通孔68aの位置と、回転部64の外径dとが設定されている。すなわち、回転部64が相対的に回転するヒンジピン70の位置を定める、ヒンジラグ68の貫通孔68aは、回転部64の周縁部分64bが、図7(a)における断面視でヒンジラグ68よりも図中左側に突出しない範囲で、可能な限り図中左側に設けられている。より詳しくは、ヒンジラグ68の貫通孔68aは、回転部64の周縁部分64bの妻面側が、隅柱32(外側部材34)の妻面側の面により規定される平面上に配置されるような位置に設けられる。
このとき、中心軸cを図中左側へ寄せるためには、回転部64の外径dが小さい方が有利である。このため、回転部64の外径dと、回転部64が相対的に回転するヒンジピン70の外径とは、開戸20を開閉自在に軸支できる強度の範囲で、可能な限り小さくなっている。そして、上記のように配置された回転軸cを回転中心とする回転軌跡tは、図4に示したような大きさの内側部材50を有する、隅柱32の側面56と交わるようになっている。なお、図7には、図2(b)に示した2本の隅柱32A、32Bのうち、一方の隅柱32A近傍の構造を図示しているが、もう一方の隅柱32Bの近傍も、図7を上下反転させた同等の構造を有している。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、図1及び図2に示すように、荷物を出し入れするための開戸20が、一方の妻面14と双方の側面16、18との3面に設けられたものであり、その開戸20が、隅柱32に設けられたヒンジ機構62によって軸支されている。又、開戸20の隅柱32に沿った端縁部に、ひれ部76を有する防水ゴム74(図7参照)が固定されており、この防水ゴム74のひれ部76が、開戸20が閉じられた状態(図7(a)の状態)で、隅柱32に対してコンテナ10の側面18側から密着する。すなわち、ここでの開戸20は、コンテナ10の側面18(又は側面16)に設けられた開戸20を示しており、その開戸20の端縁に固定された防水ゴム74のひれ部76が、開戸20が閉じられた状態で、開戸20の正面側(図7(a)における下側)から隅柱32に密着するものである。
そして、上記のような開戸20を軸支するヒンジ機構62は、図5及び図7に示すように、回転部64及び接続部66を備えている。回転部64は、図示の例では円筒状を成し、その回転軸cが隅柱32の延在方向(図5における上下方向)と平行になるように、隅柱32に対して回転自在に取り付けられる。接続部66は、開戸20を回転部64に接続するものであり、回転部64に対して溶接等の固定方法で固定される。これによって、回転部64の回転動作に伴い、開戸20が開閉動作することになる。又、ヒンジ機構62の回転部64は、ヒンジ機構62が設けられた隅柱32の側面56の幅(図7における左右方向の幅)に対応して、その外径dの大きさ及び回転軸cの配置が設定される。
具体的に、回転部64は、開戸20の開閉時における防水ゴム74のひれ部76先端の回転軌跡tが、隅柱32の側面56と交わるように、外径dの大きさ及び回転軸cの配置が設定される。この際、回転部64の外径dは、開戸20を回転自在に軸支可能な強度を維持する範囲で、可能な限り小さい大きさに設定され、又、回転部64の回転軸cは、回転部64の周縁部分64bが隅柱32から妻面12側(図7における左側)に突出しない範囲で、コンテナ10の妻面12側に可能な限り近づくような位置に配置される。これにより、隅柱32の側面56の幅に応じて、上述したひれ部76先端の回転軌跡tの半径が、可能な限り大きく保たれるための、接続部66に十分な長さを確保した状態で、回転部64及び接続部66を介して軸支されている開戸20の位置が、コンテナ10の妻面12側へとシフトされる。従って、隅柱32の側面56の幅が従来より小さくなる場合であっても、開戸20に固定された防水ゴム74のひれ部76先端の回転軌跡tが隅柱32の側面56と交わるような、防水ゴム74と隅柱32との位置関係を保つことができる。このため、隅柱32の幅の低減によってコンテナ10の開口部が拡大されても、防水ゴム74のひれ部76先端が隅柱32の側面56に接触し難くなることに起因する、防水ゴム74の巻き込みを防止することができる。
又、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、図5及び図6に示すように、ヒンジ機構62が、更に一対のヒンジラグ68とヒンジピン70とを含むものであり、一対のヒンジラグ68は、隅柱32に設けられた切欠き部58に固定される。この切欠き部58は、隅柱32の、コンテナ10の側面18側(図6における下側)の端部に、上下方向に延在して設けられ、そのような切欠き部58の上端及び下端に、一対のヒンジラグ68が固定される。又、一対のヒンジラグ68の各々は、円形の貫通孔68aが設けられており、隅柱32の切欠き部58に固定された状態で、貫通孔68aが互いに向き合う配置となる。そして、それら一対のヒンジラグ68の貫通孔68aに、ヒンジピン70の上端及び下端が挿通され、この状態で貫通孔68aの各々にヒンジピン70が固定される。
一方、ヒンジ機構62の回転部64は、円筒状を成しており、その中心孔64aにヒンジピン70が挿通されることで、ヒンジピン70に対して回転自在に取り付けられる。このため、ヒンジピン70は、ヒンジラグ68への固定に先立ち、予め回転部64の中心孔64aに挿通され、この状態で一対のヒンジラグ68に対して固定される。このような構成のヒンジ機構62では、一対のヒンジラグ68に設けられる貫通孔68aの位置によって、回転部64の中心軸cの位置が決定される。そこで、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、図7(a)の断面視で、回転部64がヒンジラグ68の端部から図中左側に突出しない範囲で、可能な限り回転部64の回転軸cが図中左側に近づくような位置に、一対のヒンジラグ68の貫通孔68aが設けられたものである。これにより、隅柱32の幅が低減されても、隅柱32の幅と回転部64の外径dの大きさとを考慮した適切な位置に、回転部64の回転軸cを配置することができるため、防水ゴム74の巻き込みをより確実に防止することが可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、図3及び図4に示すように、隅柱32が外側部材34及び内側部材50を含み、図示の例では3つのヒンジ機構62が外側部材34に設けられたものである。外側部材34には、コンテナ10の妻面12の室内側及びその反対側に設置されるように、内張板84及び外板88が固定される。この際、内張板84が固定される外側部材34の内張板受部36には、内張板84が室内側(図4における上側)に重ねられた状態で固定され、外板88が固定される外側部材34の外板固定部44には、外板88が室内と反対側(図4における下側)に重ねられた状態で固定される。又、内側部材50は、図4に示す断面がコの字状を成しており、そのコの字状の2本の脚部に相当する部位52A、52Bの先端が、室内側から外側部材34に固定される。この際、内側部材50は、コの字状の2本の脚部に相当する部位52A、52Bの間に位置する平面部54が、コンテナ10の妻面12と平行になるように固定される。
更に、内側部材50は、外側部材34に固定された状態で、上述した平面部54の室内側面54aが、外側部材34に固定された状態の、内張板84の室内側の面84aにより規定される平面Pに対して、可能な限り近づくような大きさを有している。換言すれば、内側部材50の部位52A、52Bは、隅柱32に必要とされる強度を保つ範囲で、平面部54の室内側面54aが、内張板84の室内側の面84aにより規定される平面Pに対して、可能な限り近づくような長さを有している。これにより、本発明の実施の形態に係るコンテナ10の隅柱32は、図8に示した従来のコンテナの隅柱100と比較して、室内側への突出量が抑制されるため、コンテナ10の側面18に設けられる開戸20の開口部の幅と、コンテナ10の容量との双方を拡大することができる。更に、このようにコンテナ10の側面18の開口部の幅を拡大しながらも、図7に示すように、開戸20に固定された防水ゴム74のひれ部76先端の回転軌跡tが隅柱32の側面56と交わるような、防水ゴム74と隅柱32との位置関係が保たれるため、防水ゴム74の巻き込みを防止することができる。
又、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、上述したように、回転部64の直径dが小さくされていることで、ヒンジ機構62の重量が低減されるため、図2(b)で確認できるように、本実施例では6箇所にヒンジ機構62が設けられたコンテナ10全体としての、重量を軽量化することができる。更に、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、上述したようなヒンジ機構62や隅柱32を備えていながらも、それらによって、側面16、18に設けられる開戸20の厚み等に影響を受けるものではない。このため、例えば、従来のコンテナで採用されているような、ルーバー付きの開戸20を側面16、18に備えることにより、コンテナ10の通風化に容易に対応することができる。
なお、本発明の実施の形態に係るコンテナ10は、上述した実施例に限定されるものではなく、例えば、図1及び図2に示したコンテナ10と異なる構成であってもよい。すなわち、側面16、18の2つの面に開戸20が設けられたコンテナ、妻面14と側面18との2つの面に開戸20が設けられたコンテナ、或いは、側面16のみに開戸20が設けられたコンテナ等であってもよい。これらのうち、側面16、18の2つの面に開戸20が設けられたコンテナの場合は、図3~図7に示したような隅柱32やヒンジ機構62を、4本全ての隅柱に有していてもよい。更に、側面16、18の開戸20の有無等に応じて、2本の隅柱32A、32Bのうちの一方の隅柱32のみに、図3~図7に示した隅柱32の構造を有していてもよい。又、ヒンジ機構62の構成も、図5に示した構成に限定されるものではなく、例えば、回転部64が円柱状を成し、回転部64の上下端が一対のヒンジラグ68の貫通孔68aに挿通されることで、回転部64が一対のヒンジラグ68に対して回転するものであってもよい。又、各部材間を接続する固定方法は、上述した溶接やビス止め等に限定されず、各部材間において適切な固定方法を用いることができる。
10:コンテナ、12、14:妻面、16、18:側面、20:開戸、32(32A、32B):隅柱、34:外側部材、50:内側部材、52(52A、52B):脚部に相当する部位、54:平面部、54a:室内側面、56:側面、58:切欠き部、62:ヒンジ機構、64:回転部、d:外径、c:回転軸、64a:中心孔、66:接続部、68:ヒンジラグ、68a:貫通孔、70:ヒンジピン、74:防水ゴム、76:ひれ部、t:回転軌跡、84:内張板、84a:室内側の面、P:平面、88:外板

Claims (2)

  1. 隅柱に設けられたヒンジ機構によって軸支された開戸が少なくとも一面に設けられ、前記開戸の前記隅柱に沿った端縁部に、前記開戸の閉扉状態において前記隅柱に対して側面側から密着するひれ部を有する防水ゴムが固定されたコンテナであって、
    前記ヒンジ機構は、前記隅柱に対して回転自在に取り付けられる円筒状又は円柱状の回転部と、該回転部及び前記開戸を接続する接続部とを含み、
    前記開戸の開閉時における前記防水ゴムのひれ部先端の回転軌跡が、前記隅柱の側面と交わるように、前記隅柱の側面の幅に対応して、前記回転部の外径の大きさが設定されると共に、前記回転部の回転軸が配置され
    前記ヒンジ機構は、前記隅柱の前記側面側の端部に設けられた切欠き部の上端及び下端に固定され、円形の貫通孔が設けられた一対のヒンジラグと、該一対のヒンジラグの前記貫通孔に上端及び下端が挿通された状態で、前記貫通孔の各々に固定されるヒンジピンとを含み、
    前記回転部は、円筒状を成し、その中心孔に前記ヒンジピンが挿通されることで、該ヒンジピンに対して回転自在に取り付けられ、
    前記一対のヒンジラグは、上下方向と直交する断面視で、前記回転部の妻面側の周縁部分が前記隅柱の前記妻面側の面により規定される平面上に配置されるような位置に、前記貫通孔が設けられていることを特徴とするコンテナ。
  2. 前記隅柱は、内張板及び外板が、妻面の室内側及びその反対側に設置されるように固定される外側部材と、上下方向と直交する断面がコの字状を成し、該コの字状の2本の脚部の先端に相当する2つの部位が、室内側から前記外側部材に固定された内側部材と、前記外側部材に少なくとも1つ設けられた前記ヒンジ機構とを含み、
    前記内側部材は、上下方向と直交する断面視で、前記コの字状の2本の脚部の間に位置する平面部が、前記外側部材に固定された状態の、前記内張板の室内側の面により規定される平面と重なるような大きさを有していることを特徴とする請求項1記載のコンテナ。
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