JP7092225B1 - 基地局、無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ネットワークトポロジや通信路環境を複合的に考慮してフラッディングの効率化を図る。【解決手段】本発明は、各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするシステムの基地局側の無線通信装置であって、各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を決定するフラッディング制御手段と、各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を補正するスロット時間長補正手段と、スロット時間長補正手段により補正されたホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成する制御情報生成手段と、制御情報を送受信する無線送受信手段とを備える。【選択図】 図1
Description
この発明は、基地局、無線通信装置及び無線通信方法に関し、例えば、移動体を含むマルチホップ無線センサネットワークに適用し得るものである。
従来、無線通信システムとして、基地局(以下、「BS(Base Station)」とも呼ぶ。)と移動局(以下、「ノード」とも呼ぶ)で構成され、ノードのセンサがデータを検知し、ノードが定期的にデータを基地局に送信するセンサネットワークシステムが知られている。
従来、センサネットワークシステムの通信に特定小電力無線を用いる場合、使用する周波数帯の特性や送信出力の制限により、ノード間の通信距離が十分に確保できないことがある。そのため、従来のセンサネットワークシステムでは、1つの基地局で管理されるエリア内のすべてのノードが、基地局と直接通信できるとは限らない。
そこで、このようなセンサネットワークシステムでは、各ノードは自身と直接通信可能なエリア内に存在する他のノード(以下、「隣接ノード」とも呼ぶ。)にデータを伝送し、さらに、そのデータを受信したノードが隣接ノードにデータを伝送するというマルチホップ無線通信でデータ伝送が行われる。以下、マルチホップ無線通信が採用されたネットワークシステムを「マルチホップ無線通信システム」とも呼ぶ。
マルチホップ無線通信システムを採用しているセンサネットワークでは、ネットワークに参加するノード間、又は基地局とノードとの間で制御パケットを通信してデータ伝送経路の構築(ルーティング)が行われる。この制御パケットの通信方式の1つにフラッディング方式がある。
フラッディング方式は、各ノードが、受信した制御パケットの再ブロードキャストを繰り返すことで、ネットワーク全体に制御パケットを行き渡らせる方法である。
しかし、フラッディング方式は全ノードが制御パケットの再ブロードキャストを行うため、パケットの衝突や輻輳が起こりやすい。
そこで、効率的に制御パケットをネットワーク全体に行き渡らせるフラッディング方式が求められている。
例えば、特許文献1には、ホップ数ごとに時間軸を特定の長さで区切り(以下、その期間を「スロット」と呼ぶ。)、そのスロット内にパケットの送信を行う送信タイミング制御を行うことで、パケットの衝突を削減することが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のフラッディング方式は、スロット長とノード数との関係を考慮していない。一般的に、マルチホップ無線通信のセンサネットワークシステムでは、通信路特性の時間変動に伴い、ノードのホップ数は時々刻々と変動する。そのため、各ホップに属するノード数も時々刻々と変動し、トポロジも変動する。
このとき、いずれのホップ数においてもスロット長が一律であると、特定のホップ数のノードが多い際に、スロットの期間内に全ノードの制御パケット送信が完了しなくなる可能性がある。送信されない制御パケットが存在するということは、すなわち、制御パケットの到達性を下げることに繋がり、ネットワークの信頼性の低下を招く。
一方、特定のホップ数のノードが少ない際は、通信に利用されない時間が増え、ネットワークの冗長性が増す。
このようなネットワークトポロジや通信路環境が時々刻々と変動するような環境において、特許文献1に記載の方式だけで、ネットワークの信頼性を担保することはできない。
以上のような課題に鑑みて、ネットワークトポロジや通信路環境を複合的に考慮して、効率的なフラッディングを行なう基地局、無線通信装置及び無線通信方法が求められている。
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局の無線通信装置であって、(1)各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を決定するフラッディング制御手段と、(2)各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を補正するスロット時間長補正手段と、(3)フラッディング制御手段から取得した、スロット時間長補正手段により補正されたホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成する制御情報生成手段と、(4)制御情報を送信すると共に、各ノードが返信した制御情報を受信する無線送受信手段とを備えることを特徴とする。
第2の本発明は、各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局であって、(1)各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を決定するフラッディング制御手段と、(2)各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を補正するスロット時間長補正手段と、(3)フラッディング制御手段から取得した、スロット時間長補正手段により補正されたホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成する制御情報生成手段と、(4)制御情報を送信すると共に、各ノードが返信した制御情報を受信する無線送受信手段とを備えることを特徴とする。
第3の本発明は、各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局の無線通信方法であって、(1)フラッディング制御手段が、各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を決定し、(2)スロット時間長補正手段が、各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、ホップ数毎のスロット時間長を補正し、(3)制御情報生成手段が、フラッディング制御手段から取得した、スロット時間長補正手段により補正されたホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成し、(4)無線送受信手段が、制御情報を送信すると共に、各ノードが返信した制御情報を受信することを特徴とする。
本発明によれば、ネットワークトポロジや通信路環境を複合的に考慮して、効率的なフラッディングを行なうことができる。
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る基地局、無線通信装置及び無線通信方法の主たる実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下では、本発明に係る基地局、無線通信装置及び無線通信方法の主たる実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態では、マルチホップ無線通信システムを採用したセンサネットワークにおいて、基地局及びノードが、ホップ数毎のノード数、ネットワークトポロジを考慮したフラッディング方式を行なう。
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)システム全体構成
図2は、実施形態に係る無線通信システム(ネットワーク)の全体構成の一例を示す全体構成図である。
(A-1-1)システム全体構成
図2は、実施形態に係る無線通信システム(ネットワーク)の全体構成の一例を示す全体構成図である。
図2において、実施形態に係る無線通信システムNTは、基地局(BS)10と、複数(図1では4台)の移動局(ノード)20(20-1~20-4)とを有する。
無線通信システムNTは、基地局10を「根」とし、各ノード20を「節」、「葉」としたツリー型トポロジのマルチホップ無線通信システムである。基地局10及びノード20の数は限定されない。
基地局10及び各ノード20を総じて「局」とも呼ぶ。また、各ノード20は、基地局10を最終的な宛先としてデータパケットを送信する。各ノード20が基地局10宛のパケット送信を「上り通信」と呼び、基地局10が各ノード20側へのパケット送信を「下り通信」と呼ぶ。
図2において、基地局10とノード20とを結ぶ直線、若しくは、各ノード20間を結ぶ直線は、2個の局同士が通信可能であることを示している。
基地局10及び各ノード20には、それぞれネットワーク上で固有のアドレス(例えば、MACアドレス、ショートアドレス、IPアドレス等)が割り当てられている。
各ノード20がデータパケットを送信(下り通信)する際に、次に転送するノードを「親ノード」と呼び、自ノード20を「子ノード」と呼ぶ。つまり、あるノード20から基地局10までの経路において、基地局10に近い側に位置しているノード20を「親ノード」と呼び、親ノードと通信可能であって基地局10から遠い側のノード20を「子ノード」と呼ぶ。
図2において、ノード20-1~20-4を示す円内の“(1)”等の数字は、基地局10までのホップ数を示しており、子ノードのホップ数は、親ノードのホップ数よりも小さいものとなっている。
基地局10は、固定配置された無線通信装置(無線機)であり、無線通信システムNT全体を管理するものである。基地局10を固定局とも呼ぶ。基地局10は、マルチホップ無線通信により、各ノード20が送信したパケットを受信し、センシングデータを収集する。なお、基地局10は、収集したデータを基地局10内で保存してもよいし、若しくは、無線接続又は有線接続する他の情報処理装置に提供してもよい。
各ノード20は、例えば移動体などに取り付けられた無線通信装置(無線機)である。各ノード20は、センサを備え、センサがセンサデータを取得すると、各ノード20は、最終的な宛先を基地局10とした、センサデータを含むパケットをマルチホップ無線通信する。なお、各ノード20としての移動体は、例えば、人体、自転車、自動車、可動型ロボット、無人航空機等の移動可能なものを広く適用することができる。
なお、マルチホップ無線通信方式は、例えば、IEEE802.15.4等を適用できるが、各局間でマルチホップが可能であれば、IEEE802.15.4に限定されない。
(A-1-2)基地局の無線通信装置
この実施形態では、無線マルチホップセンサネットワークにおいて、基地局10及びノード20がホップ数毎のノード数、ネットワークトポロジを考慮したフラッディング方式を行う。
この実施形態では、無線マルチホップセンサネットワークにおいて、基地局10及びノード20がホップ数毎のノード数、ネットワークトポロジを考慮したフラッディング方式を行う。
図1は、実施形態に係る基地局10の無線通信装置100の内部構成を示す内部構成図である。
図1において、無線通信装置100は、アンテナ部101、無線信号送受信部102、データ処理部103、フラッディング制御部104、スロット時間長補正部110、パケット生成部108を有する。また、スロット時間長補正部110は、ホップ比率計算部105、バランス調整部106、トポロジ考慮部107を有する。
また、無線通信装置100は外部システム109と接続している。外部システム109は、例えばセンサ、パーソナルコンピュータ、無線通信機能、アプリケーションなどを適用できる。この実施形態では、説明を容易にするために、外部システム109がセンサであるものとして説明する。
無線通信装置100は、ハードウェア的な無線通信インタフェース(例えば、アンテナ部101等)を除くほかは、コンピュータにプログラム(実施形態に係る無線通信プログラム等)をインストールすることにより実現するようにしてもよく、その場合でも機能的構成は、図1のように示すことができる。
アンテナ部101は、基地局10とノード20との間の無線信号を送受信する。
無線信号送受信部102は、アンテナ部101を用いて無線信号を送受信する処理を行なう。例えば、無線信号送受信部102は、アンテナ部101で捕捉した電波の受信信号を復調し、受信信号に含まれているパケットを受信し、パケットのデータをデータ処理部103に与える。また、無線信号送受信部102は、パケット生成部108から取得したパケットデータを変調し、その変調した信号をアンテナ部101に与える。
データ処理部103は、無線信号送受信部102により受信されたパケットを処理する。例えば、データ処理部103は、無線信号送受信部102で得られたパケットの種類を判別し、制御パケットであると判断すると、制御パケット内に記載されているフラッディング制御に関する情報を、フラッディング制御部104に与える。また、データ処理部103は、受信したパケットが外部システム109に与えるべきデータ(例えば基地局10からのセンサデータ送信指示コマンド等のデータ)である場合には、当該データを外部システム109に与える。
フラッディング制御部104は、データ処理部103からフラッディング制御に関する情報を用いて、フラッディング制御を行なう。フラッディング制御部104は、ブロードキャスト機能で制御パケットをフラッディングする。
フラッディング制御部104は、初期値として事前に定められたホップ数毎のスロット長と、データ処理部103からのフラッディング制御に関する情報とを保持しており、スロット長の情報とホップ数毎のノードの情報をホップ比率計算部105に与える。
ここで、フラッディング制御に関する情報は、今回のフラッディングで、各ノード20が基地局10に向けて送信した制御パケットに含まれる情報である。例えば、フラッディング制御に関する情報は、各ノード20のアドレス情報(例えば、IPアドレス、MACアドレス、ショートアドレス等)、各ノード20から基地局10までのホップ数、自ノードの親ノード及び子ノードを示す情報等を含む。
また、フラッディング制御部104は、ホップ比率計算部105により得られた新たなスロット長の情報をバランス調整部106に与え、バランス調整部106により調整されたスロット長を受け取る。
さらに、フラッディング制御部104は、スロット長の情報と各ノード20と、その子ノードの情報をトポロジ考慮部107に与える。そして、フラッディング制御部104は、トポロジ考慮部107から与えられるスロット長の情報を受け取り、得られたスロット長の情報をパケット生成部108に与える。
スロット時間長補正部110は、フラッディング制御部104の制御により、ホップ数毎のスロットのスロット時間長を変動させる。
ホップ比率計算部105は、フラッディング制御部104から与えられた各ノード20のホップ数の情報とスロット長の情報とに基づいて、次のフラッディングにおけるスロット長を計算し(「以下、スロット長を更新する」と呼ぶ)、その結果をフラッディング制御部104に与える。ホップ比率計算部105は、ホップ数毎のノード数に応じて、スロット長を補正する機能を有する。ホップ比率計算部105を第1の補正手段とも呼ぶ。ホップ比率計算部105の処理の詳細な説明は動作の項で行う。
バランス調整部106は、フラッディング制御部104から与えられた最大ホップ数の情報とスロット長の情報とに基づいて、スロット長を更新し、その結果をフラッディング制御部104に与える。バランス調整部106は、孤立ノードの発生をなくすため、比較的ホップ数が小さい位置に存在するノード20のスロット長を補正する機能を有する。バランス調整部106を第2の補正手段とも呼ぶ。バランス調整部106の処理の詳細な説明は動作の項で行う。
トポロジ考慮部107は、フラッディング制御部104から与えられたネットワークトポロジの情報に基づいて、スロット長を更新し、その結果をフラッディング制御部104に与える。トポロジ考慮部107は、あるノード20が接続している子ノード数の大小を基に、スロット長を補正する機能を有する。トポロジ考慮部107を第3の補正手段とも呼ぶ。トポロジ考慮部107の処理の詳細な説明は動作の項で行う。
パケット生成部108は、フラッディング制御部104から与えられた情報と外部システム109から与えられた情報とを用いてパケット化を行い、無線信号送受信部102にそのパケットを与える。
(A-2)実施形態の動作
まず、実施形態に係る無線通信システムNTにおけるマルチホップ無線通信ネットワークの概要を説明する。
まず、実施形態に係る無線通信システムNTにおけるマルチホップ無線通信ネットワークの概要を説明する。
例えば、IEEE802.15.4に準拠するマルチホップ無線通信ネットワークは、基地局10と、複数のノード20とにより構成されたツリー型トポロジが採用される。
ツリー型トポロジでは、より下位のノード20が、最終的な宛先を基地局10としたデータパケットを親ノードに伝送する。データパケットを受信したノードが更に上位の親ノードにデータパケットを伝送し、マルチホップ通信で最終的に基地局10にデータを伝送する。
無線通信システムNTは、基地局10が管理するエリアのサイズ、データの送信周期による制約などの条件により、マルチホップの最大回数があらかじめ定められている。
簡単のため無線通信システムNTは、ネットワークに参加するノード20それぞれが親ノードを決定するための通信期間と、親ノード宛にデータパケットを送信しマルチホップ通信で基地局10までデータを伝送するための通信期間からなるものとする。
前者の通信期間を「下り通信期間」と呼び、後者の通信期間を「上り通信期間」と呼ぶ。下り通信期間と上り通信期間とからなる構成をスーパーフレーム構成と呼び、スーパーフレームの構成は図3のようになる。
ツリー型トポロジの無線通信システムNTでは、データ伝送経路の構築のため、基地局10がトリガーとなってフラッディングを行ない、全てのノード20に制御パケットが行き渡るように通知する。基地局10は、スーパーフレームの下り通信期間でフラッディングを行なう。
以下では、図1、図5及び図6を参照して、フラッディング手法を説明する。
図4は、実施形態に係る下り通信期間のスロット構成を示す構成図であり、図5は、実施形態に係るネットワーク構成を示す構成図であり、図6は、実施形態において補正したスロット構成を示す構成図である。図5を参照してノード20を区別しながら説明する場合、簡単のため「ノードA」等と呼んで説明する。
図4に示すように、下り通信期間はスロット化されている。つまり、下り通信時間は、時系列に並んだ時間が割り当てられている。図4では、最大ホップ数がKホップとしている。
ここで、図4の「スロット1」は基地局10が制御パケットを送信する時間、「スロット2」は1ホップ目に位置しているノード(以下、「1ホップノード」と呼ぶ。)が制御パケットを送信する時間、「スロット2」は2ホップノードが送信する時間、「スロット3」は3ヒップノードが送信する時間を表している。
下り通信期間の長さは、事前に定められている。また、下り通信期間の各スロットの期間の長さの初期値は事前に定められている。
図5に例示するネットワークは、11個のノードA~ノードKと、基地局(BS)10とを有して構成されており、最大ホップ数は4ホップとする。局間を結ぶ直線は、前回のスーパーフレームにおいて、直線の両端のノードが親ノードと子ノードとして接続状態の関係にあることを表している。
図6において、「スロット2」の長さを「L2」、「スロット3」の長さを「L3」、「スロット4」の長さを「L4」と表し、その合計の長さ(下りスロット長とも呼ぶ。)を「L」と表している。
「スロット1」の長さは基地局10のみが制御パケットを送信する時間であるため、常に一定長とすることができる。これに対して、下りスロット長L(=L2+L3+L4)は、11個のノード20の全てがそれぞれ、制御パケットを送信(すなわち、再ブロードキャスト)するため、十分な時間を確保されているとは限らない。
そこで、基地局10は、上述したL2、L3、L4を動的に変更することで効率的なフラッディングを実現する。
まず、スーパーフレームが開始すると、下り通信期間において、基地局10のフラッディング制御部104は、L2,L3、L4の初期値を用いて制御パケットをフラッディングする。
ここで、基地局10及びノード20は、下り通信期間における多重アクセス方式として、CSMA(Career Sense Multiple Access)を採用するものとする。例えば、多重アクセス方式としてTDMA(Time Division Multiple Access)を採用してもよい。なお、上り通信期間の通信方式は問わない。
次に、上り通信期間において、各ノード20は、自ノードのホップ数と、自ノードの親ノード及び自ノードに接続している子ノードの情報をデータパケットに載せて基地局10に向けて送信する。これにより、基地局10は、各ノード20からデータパケットを受信することで、ネットワークトポロジや各ノード20のホップ数を知る。
次のスーパーフレームが開始すると、基地局10のフラッディング制御部104は、L2~L4を決定するため、前回のスーパーフレームにおける各ノード20のホップ数の情報とスロット長の情報(L2~L4)をホップ比率計算部105に与える。
ホップ比率計算部105は、フラッディング制御部104から受け取った各スロット長とホップ数の情報から各ホップ数におけるノード20の比率を考慮した更新スロット長を計算する。
所属するノード数が多いスロットほど、再ブロードキャストに必要な時間が長いと考え、ホップ比率計算部105は、式(1)に従って、全ノード数に対して当該スロットに属するノード数の割合を用いて、更新スロット長Li’(i=2,3,4)を計算する。
Li’=L×(N_(i-1)/ΣN_(i-1))(i=2,3,4)…(1)
ここで、N_(i-1)は(i-1)ホップノードの数を表す。つまり、第i-1ホップ目に位置しているノードの数を表しており、ΣN_(i-1)は、無線通信システムNTを構成しているノードの全数を表している。
Li’=L×(N_(i-1)/ΣN_(i-1))(i=2,3,4)…(1)
ここで、N_(i-1)は(i-1)ホップノードの数を表す。つまり、第i-1ホップ目に位置しているノードの数を表しており、ΣN_(i-1)は、無線通信システムNTを構成しているノードの全数を表している。
例えば、図5に例示するネットワークトポロジの場合、1ホップノード数は「3(台)」、2ホップノード数は「3(台)」、3ホップノード数は「4(台)」である。したがって、ホップ比率計算部105は、式(1)に従って、「スロット2」、「スロット3」、「スロット4」の各長さL2、L3、L4を、L2’、L3’、L4’に更新する。
L2’=L×3/11(1ホップノード数は3) …(2)
L3’=L×3/11(2ホップノード数は3) …(3)
L4’=L×4/11(3ホップノード数は4) …(4)
ホップ比率計算部105は、得られた更新スロット長L2’~L4’をフラッディング制御部104に返す。
L2’=L×3/11(1ホップノード数は3) …(2)
L3’=L×3/11(2ホップノード数は3) …(3)
L4’=L×4/11(3ホップノード数は4) …(4)
ホップ比率計算部105は、得られた更新スロット長L2’~L4’をフラッディング制御部104に返す。
フラッディング制御部104は、ホップ比率計算部105から取得した、更新スロット長L2’~L4’と、最大ホップ数の情報(図5の例の場合、最大ホップ数「4」)とをバランス調整部106に与える。
バランス調整部106は、フラッディング制御部104から取得した、更新スロット長の情報と最大ホップ数の情報とに基づいて、ホップ数のバランスを考慮したスロット長を計算する。
ここで、ホップ数の大きいノード(つまり、基地局10から遠いノード)が制御パケットを受信し、孤立ノードにならないためには、ホップ数の小さいノード(つまり、基地局に近いノード)が制御パケットの再ブロードキャストに成功する必要がある。
そこで、バランス調整部106は、ホップ数のバランスを考慮して、式(5)~式(7)に従って、スロット2~スロット4の長さL2’、L3’、L4’を、更新スロット長L2’’、L3’’、L4’’に補正する。
L2’’=L2’×α_2+β_2 …(5)
L3’’=L3’×α_3+β_3 …(6)
L4’’=L-(L2’’+L3’’) …(7)
ここで、α_i,β_i(i=2,3)は補正パラメータであり、α_iの値,β_iの値はネットワークの規模やパケット長、通信路環境などを考慮し、事前に定められる。
L2’’=L2’×α_2+β_2 …(5)
L3’’=L3’×α_3+β_3 …(6)
L4’’=L-(L2’’+L3’’) …(7)
ここで、α_i,β_i(i=2,3)は補正パラメータであり、α_iの値,β_iの値はネットワークの規模やパケット長、通信路環境などを考慮し、事前に定められる。
例えば、図5のネットワークトポロジにおいて、1ホップノード数が3台である。それら3台のノード(ノードF、ノードJ、ノードK)が制御パケットの再ブロードキャストに成功しなければ、2ホップノード以下の8台のノードが孤立ノードとなってしまう。そのため、1ホップノードの重要性が高いと判断した場合、1ホップノードの送信時間である「スロット2」の長さが長くなるようにするため、バランス調整部106は、例えば、α_2=1.5,β_2=L×N_2/ΣN_i等と設定してもよい。
逆に、第iホップ目に位置しているノード20が制御パケットを送信するスロット長として長さが十分であると判断したとき、バランス調整部106は、スロットiのスロット長L_i’について、α=0,β=0としてもよい。
バランス調整部106は、以上の手続きで得られた更新スロット長L2’’~L4’’をフラッディング制御部104に返す。
フラッディング制御部104は、バランス調整部106から更新スロット長を受け取ると、次に、その更新スロット長(L2’’~L4’’)の情報とネットワークトポロジの情報をトポロジ考慮部107に渡す。ここで、ネットワークトポロジの情報とは、ノード間の親子関係の接続状況である。
トポロジ考慮部107は、フラッディング制御部104から送られてきた更新スロット長の情報とネットワークトポロジの情報とに基づいて、重要ノード数と非重要ノード数に注目し、スロット長を更新する。
ここで、「重要ノード」とは、自ノードに接続する子ノードが多いノードを意味し、そのノードが制御パケットの再ブロードキャストできれば多くのノードがネットワークに接続可能になるノードを意味する。一方、「非重要ノード」とは、自ノードに接続する子ノードが少ないノードを意味する。なお、自ノードに接続している子ノードの数が多い又は少ないについては、事前に設定された閾値を用いて判断する。
トポロジ考慮部107は、「非重要ノードが多いスロット」を、「多くのノードが制御パケットの再ブロードキャストを行わないと孤立ノードが発生しやすいスロット」と考える。すなわち、トポロジ考慮部107は、式(8)~式(10)に従って、スロット2~スロット4の長さL2’’、L3’’、L4’’を、L2’’’、L3’’’、L4’’’に補正する。
L2’’’=L2’’-A_2×N’_2+B_2×N’’_2 …(8)
L3’’’=L3’’-A_3×N’_3+B_3×N’’_3 …(9)
L4’’’=L-(L2’’’+L3’’’) …(10)
ここで、N’_i,N’’_i(i=2,3)はそれぞれ、(i-1)ホップノードの内の重要ノード数、非重要ノード数を意味し、A_i、B_i(i=2,3)はそれぞれ補正パラメータであり、これらの値はネットワークの規模やパケット長、通信路環境などを考慮し、事前に定められる。
L2’’’=L2’’-A_2×N’_2+B_2×N’’_2 …(8)
L3’’’=L3’’-A_3×N’_3+B_3×N’’_3 …(9)
L4’’’=L-(L2’’’+L3’’’) …(10)
ここで、N’_i,N’’_i(i=2,3)はそれぞれ、(i-1)ホップノードの内の重要ノード数、非重要ノード数を意味し、A_i、B_i(i=2,3)はそれぞれ補正パラメータであり、これらの値はネットワークの規模やパケット長、通信路環境などを考慮し、事前に定められる。
例えば、図5のネットワークにおいて、N’_2はノードFの1台、N’_3はノードEの1台であり、N’’_2とN’’_3はそれぞれノードJ、KとノードI、Gの2台である。
また、A_i,B_iは制御パケットの送信にかかる時間を与えるなどとしてよい。
トポロジ考慮部107は、以上の手続きで得られたスロット長L2’’’、L3’’’、L4’’’を更新スロット長としてフラッディング制御部104に返す。
フラッディング制御部104は、トポロジ考慮部107から更新スロット長L2’’’、L3’’’、L4’’’を受け取ると、その更新スロット長を、これから開始するスーパーフレームにおける下り通信期間のスロット構成として採用し、その構成をパケット生成部108に送る。
パケット生成部108は、外部システム109から得られた情報とフラッディング制御部104から得られたスロット構成の情報を基に制御パケットを生成し、無線信号送受信部102にその制御パケットのブロードキャストを依頼する。
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
以上のように、この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
ネットワークトポロジが時々刻々と変動する環境において、スロット化されたフラッディングでルーティングを構築する際、事前に定められたスロット期間内で、制御パケットの再ブロードキャストを完了できないノードが発生し得、その結果としてデータ収集率の劣化を招く。
また、単純に各ホップに属するノード数の比率のみを利用した場合、ホップ数の小さいノードが属するスロット長が短くなることがある。このとき、制御パケットの再ブロードキャストを完了できないホップ数の小さいノードが発生すると、そのノードに接続するすべての子ノードが孤立ノードになるため、結果としてデータ収集率の劣化を招く。
この実施形態によれば、上述したような課題を解決し、事前に定められた下り通信期間長を効率的にスロット分割することが可能になり、孤立ノードの低減とデータ収集率を向上できる。
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用することができる。
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用することができる。
(B-1)上述した実施形態では、下り通信期間と上り通信期間からなるスーパーフレーム構成を採用したが、本発明を採用できるマルチホップ無線通信センサネットワークは、このスーパーフレーム構成に限定するものでなく、下り通信方式にフラッディングを採用し、かつ、そのフラッディング期間がスロット化されている構成であればよい。
(B-2)上述した実施形態では、トポロジ考慮部がノード間の接続情報を基に更新スロット長を算出したが、本発明を適用するためには必ずしもその形式でならないわけではなく、各ノードの位置情報を用いたり、あるいは接続情報と位置情報の両方を用いたりするなど、用いるネットワークトポロジの情報については問わない。
10…基地局、20(20-1~20-4)…ノード、100…無線通信装置、101…アンテナ部、102…無線信号送受信部、103…データ処理部、104…フラッディング制御部、105…ホップ比率計算部、106…バランス調整部、107…トポロジ考慮部、108…パケット生成部、109…外部システム、110…スロット時間長補正部。
Claims (7)
- 各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局の無線通信装置であって、
前記各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を決定するフラッディング制御手段と、
前記各ノードのホップ数、前記最大ホップ数、前記ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正するスロット時間長補正手段と、
前記フラッディング制御手段から取得した、前記スロット時間長補正手段により補正された前記ホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を送信すると共に、前記各ノードが返信した制御情報を受信する無線送受信手段と
を備えることを特徴とする無線通信装置。 - 前記スロット時間長補正手段が、
前記各ノードのホップ数に関する情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正する第1の補正手段と、
前記最大ホップ数に関する情報に基づいて、前記第1の補正手段により補正された前記ホップ数毎のスロット時間長を補正する第2の補正手段と、
前記ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記第2の補正手段により補正された前記ホップ数毎のスロット時間長を補正する第3の補正手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。 - 前記第1の補正手段が、前記ホップ数毎のノード比率に応じて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正するものであることを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
- 前記第2の補正手段が、前記最大ホップ数と、全ノード数と、前記ホップ数毎のノード数とに基づいて設定した補正係数を用いて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正することを特徴とする請求項2又は3に記載の無線通信装置。
- 前記第3の補正手段が、接続している子ノード数に基づいて区別した重要ノード数と非重要ノード数とに基づいて設定した補正係数を用いて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正することを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の無線通信装置。
- 各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局であって、
前記各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を決定するフラッディング制御手段と、
前記各ノードのホップ数、前記最大ホップ数、前記ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正するスロット時間長補正手段と、
前記フラッディング制御手段から取得した、前記スロット時間長補正手段により補正された前記ホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報を送信すると共に、前記各ノードが返信した制御情報を受信する無線送受信手段と
を備えることを特徴とする基地局。 - 各ノードがホップ数毎に区分されたスロット時間内に制御情報をフラッディングするマルチホップ無線通信システムにおける基地局の無線通信方法であって、
フラッディング制御手段が、前記各ノードのホップ数、最大ホップ数、ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を決定し、
スロット時間長補正手段が、前記各ノードのホップ数、前記最大ホップ数、前記ネットワークトポロジ情報に基づいて、前記ホップ数毎のスロット時間長を補正し、
制御情報生成手段が、前記フラッディング制御手段から取得した、前記スロット時間長補正手段により補正された前記ホップ数毎のスロット時間長を用いて制御情報を生成し、
無線送受信手段が、前記制御情報を送信すると共に、前記各ノードが返信した制御情報を受信する
ことを特徴とする無線通信方法。
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WO2013114465A1 (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-08 | 株式会社日立製作所 | 無線マルチホップ通信装置及び通信制御方法 |
JP2013197746A (ja) * | 2012-03-16 | 2013-09-30 | Fujitsu Ltd | 無線通信装置および通信制御方法 |
JP2019041264A (ja) * | 2017-08-25 | 2019-03-14 | 沖電気工業株式会社 | 無線通信装置、プログラム及び方法、並びに、無線通信システム |
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