JP7091674B2 - 表示装置および導光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回折素子を利用して画像を表示する表示装置、および導光装置に関するもの
である。
ホログラフィック素子等の回折素子を用いた装置としては、ホログラム記録再生装置や
、画像光を回折素子によって利用者の瞳に入射させる表示装置等を例示することができる
。ホログラフィック素子では、特定波長で最も高い回折効率が得られるように干渉縞のピ
ッチを最適化してある。しかしながら、図10に示すように、光源の種類等によっては、
赤色光(R)、緑色光(G)、および青色光(B)の各々の帯域λR、λG、λGにおい
て、ある程度のスペクトル幅が存在しており、特定波長からずれた波長の光は、解像度を
低下させる原因となる。
一方、光源から出射された光を偏向する反射型体積ホログラムを設けるともに、光源か
ら反射型体積ホログラムに到る光路上に透過型体積ホログラムを配置した観察光学系が提
案されている(特許文献1参照)。
特開2002-139695号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光学系のように透過型体積ホログラムおよび反射型
体積ホログラムを配置した場合、特定波長からずれた波長の光が到達目標地点から大きく
外れた位置に到達してしまい、解像度を逆に低下させるという問題点がある。また、装置
の小型化や各種収差の補正のために、透過型体積ホログラムから反射型体積ホログラムに
到る光路にミラーやレンズ等の光学部品を配置した場合も、特許文献1に記載の光学系の
ように透過型体積ホログラムおよび反射型体積ホログラムを配置した場合、特定波長から
ずれた波長の光が到達目標地点から大きく外れた位置に到達してしまい、解像度を逆に低
下させるという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光源から出射された光に波長変動が発生した
ときでも、解像度の低下等を抑制することのできる表示装置および導光装置を提供するこ
とにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置の一態様は、画像光を出射する画像
光生成装置と、第1入射面に入射した前記画像光を観察者の眼に向かうように偏向する反
射型の第1回折素子と、前記画像光生成装置と前記第1回折素子との光路上に配置され、
第2入射面に入射した前記画像光を前記第1回折素子に向かうように偏向する透過型の第
2回折素子と、を有し、前記第1回折素子および前記第2回折素子は、前記第2回折素子
から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶数である
場合には、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想面の法線
方向から見て、前記第1入射面に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向が前記第
2入射面に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向とが互いに同一であり、前記第
2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が
奇数である場合には、前記仮想面の法線方向から見て、前記第1入射面に入射した光を最
も高い回折効率で回折する方向が前記第2入射面に入射した光を最も高い回折効率で回折
する方向とが互いに異なるように配置されていることを特徴とする。本発明における「前
記第2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との
和が偶数である場合」とは、光の反射回数、および中間像の生成回数のいずれもが0回の
場合を含む意味である。
本発明に係る導光装置の一態様は、第1入射面に入射した光源からの光を偏向する反射
型の第1回折素子と、前記光源と前記第1回折素子との光路上に配置され、第2入射面に
入射した前記光を前記第1回折素子に向かうように偏向する透過型の第2回折素子と、を
有し、前記第1回折素子および前記第2回折素子は、前記第2回折素子から前記第1回折
素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶数である場合には、前記第
1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想面の法線方向から見て、前
記第1入射面に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向が前記第2入射面に入射し
た光を最も高い回折効率で回折する方向が互いに同一であり、前記第2回折素子から前記
第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が奇数である場合には
、前記仮想面の法線方向から見て、前記第1入射面に入射した光を最も高い回折効率で回
折する方向が前記第2入射面に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向とが互いに
異なるように配置されていることを特徴とする。
本発明において、反射型の第1回折素子は、画像光生成装置から出射された画像光を偏
向して観察者の眼に入射させ、透過型の第2回折素子は、画像光生成装置の光源から第1
回折素子までの間に配置されて波長変動を吸収する。ここで、第1回折素子および第2回
折素子はホログラフィック素子やブレーズ化回折素子であり、第1回折素子および第2回
折素子は、法線方向から光線が入射したときに、1つの方向に回折効率が最も高い回折光
を出射する。このため、第1回折素子と第2回折素子との向きが不適当であると、波長変
動を吸収できず、波長変動に起因する解像度の低下が大きくなる。しかるに本発明では、
第2回折素子から第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶
数であるか奇数であるかに応じて、第1回折素子および第2回折素子を適正に配置してあ
る。このため、光源から出射される光に波変動が発生しても、かかる波長変動は、第1回
折素子と第2回折素子とにおいて相殺される。それ故、光源から出射された光に波長変動
が発生したときでも、解像度の低下等を抑制することできる。
本発明において、前記第1回折素子は、前記第1入射面の法線方向から光を入射した際
に、第1方向が最も高い回折効率となる素子であり、前記第2回折素子は、前記第2入射
面の法線方向から光を入射した際に、第2方向が最も高い回折効率となる素子であり、前
記第2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との
和が偶数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想
面の法線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向が互いに異なる方向である場合、前
記第2入射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記第2回折
素子の出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より大きく、前記第2
回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶
数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想面の法
線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向が互いに同じ方向である場合、前記第2入
射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記出射面の法線方向
と前記出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より小さい態様を採用
することができる。
本発明において、前記第1回折素子は、前記第1入射面の法線方向から光を入射した際
に、第1方向が最も高い回折効率となる素子であり、前記第2回折素子は、前記第2入射
面の法線方向から光を入射した際に、第2方向が最も高い回折効率となる素子であり、前
記第2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との
和が奇数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想
面の法線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向が互いに異なる方向である場合、前
記第2入射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記第2回折
素子の出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より小さく、前記第2
回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が奇
数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む仮想面の法
線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向が互いに同じ方向である場合、前記第2入
射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記出射面の法線方向
と前記出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より大きい態様を採用
することができる。
本発明において、前記第1回折素子は、反射型体積ホログラフィック素子であり、前記
第2回折素子は、透過型体積ホログラフィック素子である態様を採用することができる。
本発明において、前記第1回折素子および前記第2回折素子では、ピッチが異なる複数
種類の干渉縞が設けられている態様を採用することができる。
本発明において、前記第1回折素子は、周辺部に対して凹んだ湾曲形状を有する態様を
採用することができる。
本発明において、前記画像光生成装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を備
えている態様を採用することができる。
本発明において、前記画像光生成装置は、液晶装置と、照明光源とを備えている態様を
採用することができる。
本発明を適用した表示装置の外観の一態様を示す説明図。 本発明を適用した表示装置の光学系の一態様を示す説明図。 本発明を適用した表示装置で用いた第1回折素子および第2回折素子の説明図。 図2に示す第1回折素子の具体的構成例1を示す断面図。 図2に示す第1回折素子の具体的構成例2を示す断面図。 図2に示す第2回折素子および第1回折素子での波長補償の説明図。 本発明の比較例の説明図。 本発明を適用した表示装置において反射回数と中間像の形成回数の和が偶数の場合の説明図。 本発明を適用した表示装置において反射回数と中間像の形成回数の和が奇数の場合の説明図。 光源光等のスペクラムを示す説明図。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明においては、各部材等を認識
可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度や角度を実際とは異ならせしめている。
[実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明を適用した表示装置100の外観の一態様を示す外観図である。図2は
、図1に示す表示装置100の光学系10の一態様を示す説明図である。なお、図1およ
び図2では、前後方向にZを付し、前側にZ1を付し、後側にZ2を付してある。また、
横方向にXを付し、上下方向にYを付し、上側にY1を付し、下側にY2を付してある。
また、左眼用光学系10bを示す図2では、左右方向にXを付し、右側(鼻側)にX1を
付し、左側(耳側)にX2を付してある。また、図2は、第1回折素子70の第1入射面
71の法線方向と第2回折素子50の第2入射面51の法線方向とを含む仮想面の法線方
向から見た様子を示してある。
図1に示す表示装置100は、頭部装着型の表示装置であり、画像光L0aを右眼Ea
に入射させる右眼用光学系10aと、画像光L0bを左眼Ebに入射させる左眼用光学系
10bとを有している。表示装置100は、例えば、眼鏡のような形状に形成される。具
体的には、表示装置100は、右眼用光学系10a、および左眼用光学系10bを保持す
るフレーム90を有しており、フレーム90は観察者の頭部に装着される。フレーム90
は、後述する右眼用光学系10aの第1回折素子70a、および左眼用光学系10bの第
1回折素子70bを各々、保持する前部分91を有しており、フレーム90の右側のテン
プル92a、および左側のテンプル92bの各々に、後述する右眼用光学系10aの画像
光投射装置、および左眼用光学系10bの画像光投射装置等が保持されている。
右眼用光学系10aと左眼用光学系10bとは基本的な構成が同一である。従って、以
下の説明では、右眼用光学系10aと左眼用光学系10bとを区別せずに光学系10とし
て説明する。また、図2には、光学系10として、左眼用光学系10bのみを示し、右眼
用光学系10aの説明を省略する。
図2に示すように、光学系10では、画像光投射装置30から出射された画像光L0を
偏向して観察者の眼Eに入射させる反射型の第1回折素子70と、画像光投射装置30か
ら第1回折素子70に到る光路において、波長変動を吸収する透過型の第2回折素子50
とを有しており、光学系10では、第1回折素子70と第2回折素子50とを有する導光
装置11が構成されている。第1回折素子70および第2回折素子50はホログラフィッ
ク素子やブレーズ化回折素子であり、第2回折素子50および第1回折素子70は、法線
方向から光線が入射したときに、1つの方向に回折効率が最も高い回折光を出射する。
かかる光学系10において、画像光L0の前後方向Zでの進行方向に着目すると、画像
光投射装置30は、前後方向Zの前側Z1に向けて画像光L0を出射し、画像光L0は第
2回折素子50に入射する。第2回折素子50は、入射した画像光L0を前側Z1に向け
て出射する。第1回折素子70は、第2回折素子50から出射された画像光L0を後側Z
2に向けて出射する。第1回折素子70から出射された画像光L0は、観察者の眼Eに入
射する。
本形態では、第2回折素子50から第1回折素子70に向かう光路に導光系60が配置
されている。従って、第2回折素子50から前後方向Zの前側Z1に向けて出射された画
像光L0は、導光系60を介して第1回折素子70に入射する。
画像光投射装置30は、画像光L0を生成する画像光生成装置31と、画像光生成装置
31が生成した画像光L0を前後方向Zの前側Z1に向けて投射する投射光学系32とを
有している。投射光学系32は複数のレンズ321によって構成されている。画像光生成
装置31は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(光源)等の表示パネル310を備
えている態様を採用することができる。かかる態様によれば、小型で高画質な画像表示が
可能な表示装置100を提供することができる。また、画像光生成装置31は、照明光源
(図示せず)と、照明光源から出射された照明光を変調する液晶表示装置等の表示パネル
310とを備えている態様を採用してもよい。かかる態様によれば、照明光源の選択が可
能なため、画像光L0の波長特性の自由度が広がるという利点がある。ここで、画像光生
成装置31は、カラー表示可能な1枚の表示パネル310を有する態様を採用することが
できる。また、画像光生成装置31は、各色に対応する複数の表示パネル310と、複数
の表示パネル310から出射された各色の画像光を合成する合成光学系とを有する態様を
採用してもよい。さらに、画像光投射装置30は、光源から出射されたレーザー光をマイ
クロミラーデバイスで変調する態様を採用してもよい。
導光系60は、第2回折素子50から出射された画像光L0が入射するレンズ系61と
、レンズ系61から前後方向Zの前側Z1に向けて出射された画像光L0を前後方向Zの
前側Z1から左右方向Xの右側X1に斜めに傾いた方向に出射する反射部材62とを有し
ている。レンズ系61は、前後方向Zの後側Z2から前側Z1に向けて配置された複数の
レンズ611からなる。反射部材62は、前後方向Zの後側Z2に向けて斜めに傾いた反
射面620を有している。本形態において、レンズ系61は、中間像の形成を1回行う。
(第1回折素子70等の詳細構成)
図3は、図2に示す第1回折素子70の干渉縞751の説明図である。図2において、
第1回折素子70は、反射型体積ホログラフィック素子75であり、反射型体積ホログラ
フィック素子75は部分反射型回折光学素子である。このため、第1回折素子70は、部
分透過反射性のコンバイナーを構成している。従って、外光も第1回折素子70を介して
眼Eに入射するため、観察者は、画像光生成装置31で形成した画像光L0と外光(背景
)とが重畳した画像を認識することができる。
第1回折素子70は、観察者の眼Eと対向しており、画像光L0が入射する第1回折素
子70の第1入射面71は、眼Eから離れる方向に凹んだ凹曲面になっている。換言すれ
ば、第1回折素子70は、画像光L0の入射方向において、周辺部に対して中央部が凹ん
で湾曲した形状となっている。このため、画像光L0を観察者の眼Eに向けて効率良く集
光させることができる。
図3に示すように、第1回折素子70は、特定波長に対応するピッチを有した干渉縞7
51を有している。干渉縞751は屈折率等の差としてホログラム感光層に記録されてお
り、干渉縞751は特定入射角度に対応するように、第1回折素子70の第1入射面71
に対して一方方向に傾いている。従って、第1回折素子70は、一点鎖線L70で示すよ
うに、第1入射面71に入射した画像光L0を所定の方向に回折して第1入射面71から
出射する。特定波長および特定入射角度とは、画像光L0の波長と入射角度に対応する。
かかる構成の干渉縞751は、参照光Lrおよび物体光Lsを用いてホログラフィック感
光層に干渉露光を行うことにより形成することができる。
第2回折素子50は、透過型体積ホログラフィック素子55であり、第1回折素子70
と同様、干渉縞551を有している。かかる第2回折素子50は、二点鎖線L50で示す
ように、第2入射面51から出射した光を回折して出射面52から出射する。
ここで、第2回折素子50、および第1回折素子70は、波長による回折角度のずれが
相殺するように作られている。例えば、第2回折素子50および第1回折素子70を、図
3に示す干渉縞551、751のピッチおよび傾きが面内方向で等しくなるようにすると
波長による回折角度のずれを相殺できる。但し、第2回折素子50と第1回折素子70と
の間に配置される光学部品による影響を考慮すると、干渉縞551、751のピッチおよ
び傾きが面内方向で異なる態様を採用する方が好ましい場合もある。その場合においては
、第1回折素子70から出射された画像光L0が集光するように、光学部品による影響を
考慮して干渉縞551、751のピッチおよび傾きをいずれかに異ならせる。例えば、第
1回折素子70では、中心部と端部とでは、観察者の眼に入射するように画像光L0を回
折させるときの角度が異なるため、それに応じて干渉縞751のピッチを相違させてもよ
い。この場合でも、第1回折素子70の干渉縞751のピッチは、第2回折素子50の干
渉縞55の1/2倍から2倍までの範囲であることが好ましい。
(回折方向等の定義)
図3には、反射型の第1回折素子70において、第1入射面71の法線方向から入射し
た光L0が最も高い回折効率で第1入射面71から出射される方向を「第1方向P1」と
し、第1方向P1が時計周りCWか反時計周りCCWのいずれであるかを示してある。よ
り具体的には、第1入射面71の法線方向から入射した光L0が回折せずに、第1入射面
71で鏡面反射する方向を基準としたとき、最も高い回折効率で第1入射面71から出射
される方向が基準から時計周りCWか反時計周りCCWのいずれであるかを示してある。
図3には、第1回折素子70において、第1入射面71の法線方向から入射した光L0が
最も高い回折効率で第1入射面71から出射される方向(第1方向P1)を一点鎖線L7
0で示してあり、図3に示す態様において、第1方向P1は時計周りCWの方向である。
また、図3には、透過型の第2回折素子50において、第2入射面51の法線方向から
入射した光L0が最も高い回折効率で出射面52から出射される方向を「第2方向P2」
とし、第2方向P2が時計周りCWか反時計周りCCWのいずれであるかを示してある。
より具体的には、第2入射面51の法線方向から入射した光L0が回折せずに、直線的に
透過する方向を基準としたとき、最も高い回折効率で出射面52から出射される方向が基
準から時計周りCWか反時計周りCCWのいずれであるかを示してある。図3には、第2
回折素子50において、第2入射面51の法線方向から入射した光L0が最も高い回折効
率で出射面52から出射される方向(第2方向P2)を一点鎖線L50で示してあり、図
3に示す態様において、第2方向P2は反時計周りCCWの方向である。
(第2回折素子50および第1回折素子70の具体的構成例)
図4は、図2に示す第1回折素子70の具体的構成例1を示す断面図である。図5は、
図2に示す第1回折素子70の具体的構成例2を示す断面図である。図1および図2に示
す表示装置において、画像光L0がカラー表示用の場合、第2回折素子50および第1回
折素子70は、図4または図5に示すように構成される。なお、第1回折素子70と第2
回折素子50とは基本的な構成が同様であるため、図4および図5には、第1回折素子7
0のみを示し、第2回折素子50の図示を省略してある
図4に示す構成例において、第1回折素子70では、反射型体積ホログラフィック素子
75R、75G、75Bが積層されており、反射型体積ホログラフィック素子75R、7
5G、75Bの各々には、特定波長に対応するピッチで干渉縞751R、751G、75
1Bが形成されている。例えば、干渉縞751Rは、580nmから700nmの波長範
囲のうち、例えば、波長615nmに対応するピッチで形成される。干渉縞751Gは、
500nmから580nmの波長範囲のうち、例えば、波長535nmに対応するピッチ
で形成される。干渉縞751Bは、400nmから500nmの波長範囲のうち、例えば
、波長460nmに対応するピッチで形成される。かかる構成は、各波長に対応する感度
を有するホログラフィック感光層を形成した状態で、各波長の参照光LrR、LrG、L
rB、および物体光LsR、LsG、LsBを用いてホログラフィック感光層に干渉露光
を行うことにより形成することができる。
また、各波長に対応する感度を有する感光材料をホログラフィック感光層に分散させて
おき、各波長の参照光LrR、LrG、LrBおよび物体光LsR、LsG、LsBを用
いてホログラフィック感光層に干渉露光を行うことによって、図5に示すように、1つの
層に干渉縞751R、751G、751Bを形成してもよい。
図4および図5に示すいずれの構成例においても、参照光LrR、LrG、LrBおよ
び物体光LsR、LsG、LsBとして球面波の光を用いることもある。この場合、湾曲
した複数の干渉縞751が並列した状態に形成される。また、球面波の場合における「入
射方向および出射方向」については、波源から遠ざかった位置では、球面が平面に近づく
ので、波源から平面に直交する方向に延在する方向で定義することができる。なお、第1
回折素子61は、横断面が鋸歯状をなす溝が形成されている表面レリーフ型回折素子(ブ
レーズドグレーティング)や、ホログラフィック素子と表面レリーフ型回折素子とを組み
合わせた表面レリーフホログラフィック素子(ブレーズドホログラフィックグレーティン
グ)等であってもよく、いずれの場合も、法線方向から光線が入射したときに、1つの方
向に回折効率が最も高い回折光を出射する。
(波長補償)
図6は、図2に示す第2回折素子50および第1回折素子70での波長補償の説明図で
ある。なお、図6では、画角の中央の光線における波長補償のみを示してあるが、画角の
他の光線においても同様の波長補償が行われる。図6では、画像光L0の特定波長の光L
1(実線)を図示しており、例えば画像光L0の強度ピークとなる波長の光とする。また
、図5では、特定波長に対して長波長側の光L2(一点鎖線)、および特定波長に対して
短波長側の光L3(点線)を図示してある。
図6に示す光学系では、第2回折素子50に入射した画像光L0は、第2回折素子50
によって回折し、偏向される。このとき、特定波長に対して長波長側の光L2の回折角度
は、特定波長の光L1の回折角度より大きくなる。また、特定波長に対して短波長側の光
L3の回折角度は、特定波長の光L1の回折角度より小さくなる。従って、第2回折素子
50を出射した画像光L0は、波長毎に偏向されて分散することとなる。
ここで、第2回折素子50から第1回折素子70までの光路において、中間像の形成が
1回行われ、反射部材62での反射が1回行われる。すなわち、第2回折素子50から第
1回折素子70までの光路において、中間像の形成回数と反射回数の和は2回であり、偶
数である。
また、第1回折素子70は、第1入射面71の法線方向から光を入射した際に、最も高
い回折効率となる第1方向P1が時計周りCWの方向である。これに対して、第2回折素
子50は、第2入射面51に対して干渉縞551が傾いている方向が、第1回折素子70
において第1入射面71に対して干渉縞751が傾いている方向と同じであり、第2入射
面51の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる第2方向P2が反時計
回りCCWである。従って、第1方向P1と第2方向P2が互いに異なる方向である。
また、第2回折素子50では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入
射方向とが成す角度(入射角)が約60°程度であり、第2回折素子50の出射面52の
法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約0°である
。このため、第1入射面71に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向が時計周り
CWであり、第2入射面51に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向も時計周り
CWであり、第1入射面71に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向(時計周り
CW)と、第2入射面51に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向(時計周りC
W)と同じ方向である。
従って、画像光L0が第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対
して長波長側の光L2は、特定波長の光L1よりも大きな入射角となり、特定波長に対し
て短波長側の光L3は、特定波長の光L1よりも小さな入射角となる。また、特定波長に
対して長波長側の光L2の回折角度は、特定波長の光L1の回折角度よりも大きく、特定
波長に対して短波長側の光L3の回折角度は、特定波長の光L1の回折角度よりも小さい
それ故、特定波長に対して長波長側の光L2は、特定波長の光L1よりも大きな入射角
で第1回折素子70に入射するが、特定波長に対して長波長側の光L2の回折角度が、特
定波長の光L1の回折角度よりも大きいため、結果として第1回折素子70から出射する
ときには、特定波長に対して長波長側の光L2と特定波長の光L1は略平行な光となる。
これに対して、特定波長に対して短波長側の光L3は、特定波長の光L1よりも小さな入
射角で第1回折素子70に入射するが、特定波長に対して短波長側の光L3の回折角度が
、特定波長の光L1の回折角度よりも小さいため、結果として第1回折素子70から出射
するときには、特定波長に対して短波長側の光L3と特定波長の光L1は略平行な光とな
る。それ故、第1回折素子70を出射した画像光L0は、略平行な光として観察者の眼E
に入射するので、波長毎の網膜での結像位置ずれが抑制される。従って、図10に示すよ
うに、赤色光(R)、緑色光(G)、および青色光(B)の各々の帯域λR、λG、λG
において、ある程度のスペクトル幅が存在している場合でも、解像度の高いカラー画像を
表示することができる。
(比較例)
図7は、本発明の比較例の説明図であり、図6に示す態様とは、第2回折素子70およ
び画像光投射装置30のレイアウトが相違し、その他の構成は、図6に示す態様と同様で
ある。
図7においても、第2回折素子50に入射した画像光L0は、第2回折素子50によっ
て回折し、偏向される。このとき、特定波長に対して長波長側の光L2の回折角度は、特
定波長の光L1の回折角度より大きくなる。また、特定波長に対して短波長側の光L3の
回折角度は、特定波長の光L1の回折角度より小さくなる。従って、第2回折素子50を
出射した画像光L0は、波長毎に偏向されて分散することとなる。
ここで、第2回折素子50から第1回折素子70までの光路において、中間像の形成が
1回行われ、反射部材62での反射が1回行われる。すなわち、図6に示す光学系と同様
、2回折素子50から第1回折素子70までの光路において、中間像の形成回数と反射回
数の和は2回であり、偶数である。
また、図6に示す光学系と同様、第1回折素子70は、第1入射面71の法線方向から
光を入射した際に、最も高い回折効率となる第1方向が時計周りCWの方向である。これ
に対して、第2回折素子50は、第2入射面51に対して干渉縞551が傾いている方向
が、第1回折素子70において第1入射面71に対して干渉縞751が傾いている方向と
同じであり、第2入射面51の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる
第2方向が反時計周りCCWの方向であり、第1方向P1と第2方向P2が互いに異なる
方向である。
但し、図6に示す光学系と違って、第2回折素子50では、第2入射面51の法線方向
と第2入射面51への光の入射方向とが成す角度(入射角)が約0°程度であるのに対し
て、第2回折素子50の出射面52の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射
される方向と成す角度が約60°である。このため、第1入射面71に入射した光を最も
高い回折効率で回折する方向が時計周りCWであるのに対して、第2入射面51に入射し
た光を最も高い回折効率で回折する方向は反時計周りCCWであり、第1入射面71に入
射した光を最も高い回折効率で回折する方向(時計周りCCW)と、第2入射面51に入
射した光を最も高い回折効率で回折する方向(時計周りCW)と異なる方向である。
従って、図6に示す態様とは逆に、第1回折素子70の第1入射面71では、特定波長
に対して長波長側の光L2は、特定波長の光L1よりも小さな入射角となり、特定波長に
対して短波長側の光L3は、特定波長の光L1よりも大きな入射角となる。ここで、特定
波長に対して長波長側の光L2の回折角度は、特定波長の光L1の回折角度よりも大きく
なり、特定波長に対して短波長側の光L3の回折角度は、特定波長の光L1の回折角度よ
りも小さい。このため、結果として第1回折素子70から出射するときには、特定波長に
対して長波長側の光L2と特定波長の光L1と、特定波長に対して短波長側の光L3とは
、異なる方向に出射されるため、波長毎の網膜での結像位置がずれてしまう。
(他の実施形態)
図8は、本発明を適用した表示装置100において反射回数と中間像の形成回数の和が
偶数の場合の説明図である。図9は、本発明を適用した表示装置100において反射回数
と中間像の形成回数の和が奇数の場合の説明図である。なお、図8および図9には、実施
例および比較例を纏めて示してある。また、図8および図9では、第1回折素子70を平
板状に表してある。また、図8および図9では、第1回折素子50および第2回折素子7
0の干渉縞ピッチに最適な波長の光を実線L1で示し、最適な波長より長波長側に波長変
動した光線については点線L2で示し、干渉縞751、551の傾き方向を模式的に斜線
で示してある。また、図8および図9には、以下の組み合わせを示してある。
反射回数と中間像の形成回数の和=偶数(図8)
P1≠P2 第2回折素子50の入射角>出射角・・実施例1
P1=P2 第2回折素子50の入射角<出射角・・実施例2
反射回数と中間像の形成回数の和=奇数(図9)
P1≠P2 第2回折素子50の入射角<出射角・・実施例3
P1=P2 第2回折素子50の入射角>出射角・・実施例4
図8では、第2回折素子50から第1回折素子70までの間での光の反射回数と中間像
の生成回数との和が偶数である。より具体的には、第2回折素子50から第1回折素子7
0までの間には、2つのミラーM1、M2が配置されている様子を例示してある。
実施例1および比較例1では、第2回折素子50において第2入射面51に対して干渉
縞551が傾いている方向が、第1回折素子70において第1入射面71に対して干渉縞
751が傾いている方向と同じである。このため、第1入射面71の法線方向から光を入
射した際に、最も高い回折効率となる第1方向P1(時計周りCW)と、第2入射面51
の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる第2方向P2(反時計周りC
CW)とが互いに異なる方向である。
ここで、実施例1では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入射方向
とが成す角度(入射角)が約60°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射面5
2の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約0°で
あり、入射角は出射角より大きい。このため、第1入射面71に入射した光を最も高い回
折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向(時計周りCW)とは同じ方向である。従って、画像光L0が第1回
折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L2は、特定
波長の光L1よりも大きな入射角となる。それ故、波長補償を適正に行うことができるの
で、波長毎の網膜での結像位置ずれが抑制される。
これに対して、比較例1では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入
射方向とが成す角度(入射角)が約0°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射
面52の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約6
0°であり、入射角は出射角より小さい。このため、第1入射面71に入射した光を最も
高い回折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高
い回折効率で回折する方向(反時計周りCCW)とは異なる方向である。従って、画像光
L0が第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光
L2は、特定波長の光L1よりも小さな入射角となる。それ故、波長補償を行うことが困
難である。
実施例2および比較例2では、第2回折素子50において第2入射面51に対して干渉
縞551が傾いている方向が、第1回折素子70において第1入射面71に対して干渉縞
751が傾いている方向と異なっている。このため、第1入射面71の法線方向から光を
入射した際に、最も高い回折効率となる第1方向P1(時計周りCW)と、第2入射面5
1の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる第2方向P2(時計周りC
W)とが同じ方向である。
ここで、実施例2では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入射方向
とが成す角度(入射角)が約0°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射面52
の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約60°で
あり、入射角は出射角より小さい。このため、第1入射面71に入射した光を最も高い回
折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向(時計周りCW)とは同じ方向である。従って、画像光L0が第1回
折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L2は、特定
波長の光L1よりも大きな入射角となる。それ故、波長補償を適正に行うことができるの
で、波長毎の網膜での結像位置ずれが抑制される。
これに対して、比較例2では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入
射方向とが成す角度(入射角)が約60°程度であるのに対して、第2回折素子50の出
射面52の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約
0°であり、入射角は出射角より大きい。このため、第1入射面71に入射した光を最も
高い回折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高
い回折効率で回折する方向(反時計周りCCW)とは異なる方向である。従って、画像光
L0が第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光
L2は、特定波長の光L1よりも小さな入射角となる。それ故、波長補償を行うのが困難
である。
このように、第2回折素子70から第1回折素子50までの間での光の反射回数と中間
像の生成回数との和が偶数である場合には、第1入射面71に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向が第2入射面51に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向と
が互いに同一であれば、波長補償を適正に行うことができる。例えば、実施例1のように
、第2回折素子70から第1回折素子50までの間での光の反射回数と中間像の生成回数
との和が偶数であって、第1方向P1と第2方向P2が互いに異なる方向である場合、第
2入射面51への入射角が出射面52からの出射角より大きければ、波長補償を適正に行
うことができる。また、実施例2のように、第2回折素子70から第1回折素子50まで
の間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶数であって、第1方向P1と第2方
向P2が互いに同じ方向である場合、第2入射面51への入射角が出射面52からの出射
角より小さければ、波長補償を適正に行うことができる。なお、図8には、第2回折素子
50から第1回折素子70までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が偶数で
ある場合として、和が2回の場合を示してあるが、和が0回、4回、6回等であってもよ
い。
図9では、第2回折素子50から第1回折素子70までの間での光の反射回数と中間像
の生成回数との和が奇数である。より具体的には、第2回折素子50から第1回折素子7
0までの間には、1つのミラーM1が配置されている様子を例示してある。
実施例3および比較例3では、第2回折素子50において第2入射面51に対して干渉
縞551が傾いている方向が、第1回折素子70において第1入射面71に対して干渉縞
751が傾いている方向と同じである。このため、第1入射面71の法線方向から光を入
射した際に、最も高い回折効率となる第1方向P1(時計周りCW)と、第2入射面51
の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる第2方向P2(反時計周りC
CW)とが互いに異なる方向である。
ここで、実施例3では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入射方向
とが成す角度(入射角)が約0°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射面52
の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約60°で
あり、入射角は出射角より小さい。このため、第1入射面71に入射した光を最も高い回
折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向(反時計周りCCW)とは異なる方向である。従って、画像光L0が
第1回折素子70の第1第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L
2は、特定波長の光L1よりも大きな入射角となる。それ故、波長補償を適正に行うこと
ができるので、波長毎の網膜での結像位置ずれが抑制される。
これに対して、比較例3では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入
射方向とが成す角度(入射角)が約60°程度であるのに対して、第2回折素子50の出
射面52の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約
0°であり、入射角は出射角より大きい。このため、第1入射面71に入射した光を最も
高い回折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高
い回折効率で回折する方向(時計周りCW)とは同じ方向である。従って、画像光L0が
第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L2は
、特定波長の光L1よりも小さな入射角となる。それ故、波長補償を行うことが困難であ
る。
実施例4および比較例4では、第2回折素子50において第2入射面51に対して干渉
縞551が傾いている方向が、第1回折素子70において第1入射面71に対して干渉縞
751が傾いている方向と異なっている。このため、第1入射面71の法線方向から光を
入射した際に、最も高い回折効率となる第1方向P1(時計周りCW)と、第2入射面5
1の法線方向から光を入射した際に、最も高い回折効率となる第2方向P2(時計周りC
W)とが同じ方向である。
ここで、実施例4では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入射方向
とが成す角度(入射角)が約60°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射面5
2の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約0°で
あり、入射角は出射角より大きい。このため、第1入射面71に入射した光を最も高い回
折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向(反時計周りCCW)とは異なる方向である。従って、画像光L0が
第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L2は
、特定波長の光L1よりも大きな入射角となる。それ故、波長補償を適正に行うことがで
きるので、波長毎の網膜での結像位置ずれが抑制される。
これに対して、比較例4では、第2入射面51の法線方向と第2入射面51への光の入
射方向とが成す角度(入射角)が約0°程度であるのに対して、第2回折素子50の出射
面52の法線方向と出射面52から最も高い回折効率で出射される方向と成す角度が約6
0°であり、入射角は出射角より小さい。このため、第1入射面71に入射した光を最も
高い回折効率で回折する方向(時計周りCW)と、第2入射面51に入射した光を最も高
い回折効率で回折する方向(時計周りCW)とは同じ方向である。従って、画像光L0が
第1回折素子70の第1入射面71に入射する際、特定波長に対して長波長側の光L2は
、特定波長の光L1よりも小さな入射角となる。それ故、波長補償を行うのが困難である
このように、第2回折素子70から第1回折素子50までの間での光の反射回数と中間
像の生成回数との和が奇数である場合には、第1入射面71に入射した光を最も高い回折
効率で回折する方向が第2入射面51に入射した光を最も高い回折効率で回折する方向と
が互いに異なれば、波長補償を適正に行うことができる。例えば、実施例3のように、第
2回折素子70から第1回折素子50までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との
和が奇数であって、第1方向P1と第2方向P2が互いに異なる方向である場合、第2入
射面51への入射角が出射面52からの出射角より小さければ、波長補償を適正に行うこ
とができる。また、実施例4のように、第2回折素子70から第1回折素子50までの間
での光の反射回数と中間像の生成回数との和が奇数であって、第1方向P1と第2方向P
2が互いに同じ方向である場合、第2入射面51への入射角が出射面52からの出射角よ
り大きければ、波長補償を適正に行うことができる。なお、図9には、第2回折素子50
から第1回折素子70までの間での光の反射回数と中間像の生成回数との和が奇数である
場合として、和が1回の場合を示してあるが、和が3回、5回、7回等であってもよい。
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、画像光生成装置31に液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス
表示装置を用いたが、マイクロミラーデバイスを用いた画像生成装置によって画像光を生
成する表示装置に本発明を適用してもよい。
10…光学系、10a…右眼用光学系、10b…左眼用光学系、11…導光装置、30…
画像光投射装置、31…画像光生成装置、32…投射光学系、50…第2回折素子、51
…第2入射面、52…出射面、55…透過型体積ホログラフィック素子、60…導光系、
61…レンズ系、62…反射部材、70…第1回折素子、71…第1入射面、75…反射
型体積ホログラフィック素子、90…フレーム、100…表示装置、310…表示パネル
、620…反射面。

Claims (6)

  1. 画像光を出射する画像光生成装置と、
    第1入射面に入射した前記画像光を観察者の眼に向かうように偏向する反射型体積ホロ
    グラフィック素子である第1回折素子と、
    前記画像光生成装置と前記第1回折素子との光路上に配置され、第2入射面に入射した
    前記画像光を前記第1回折素子に向かうように偏向して第2射出面から射出する透過型体
    積ホログラフィック素子である第2回折素子と、
    前記第1回折素子と前記第2回折素子との光路上に配置され、前記第2射出面から射出
    された前記画像光が入射するレンズ系と
    記レンズ系から射出された前記画像光を前記第1回折素子に向けて反射する反射部材
    と、
    を有し、
    前記第1回折素子は、前記第1入射面の法線方向から光を入射した際に、第1方向が最
    も高い回折効率となる素子であり、
    前記第2回折素子は、前記第2入射面の法線方向から光を入射した際に、第2方向が最
    も高い回折効率となる素子であり、
    前記第2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数
    との和が偶数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む
    仮想面の法線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向とが互いに異なる方向であ
    前記第2入射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記第2回
    折素子の出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より大きいことを特
    徴とする表示装置。
  2. 請求項1に記載の表示装置において、
    前記第1回折素子および前記第2回折素子では、ピッチが異なる複数種類の干渉縞が設
    けられていることを特徴とする表示装置。
  3. 請求項1および2の何れか一項に記載の表示装置において、
    前記第1回折素子は、周辺部に対して凹んだ湾曲形状を有することを特徴とする表示装
    置。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載の表示装置において、
    前記画像光生成装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置を備えていることを特
    徴とする表示装置。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載の表示装置において、
    前記画像光生成装置は、液晶装置と、照明光源とを備えていることを特徴とする表示装
    置。
  6. 第1入射面に入射した光源からの光を偏向する反射型体積ホログラフィック素子である
    第1回折素子と、
    前記光源と前記第1回折素子との光路上に配置され、第2入射面に入射した前記光を前
    記第1回折素子に向かうように偏向して第2射出面から射出する透過型体積ホログラフィ
    ック素子である第2回折素子と、
    前記第1回折素子と前記第2回折素子との光路上に配置され、前記第2射出面から射出
    された前記画像光が入射するレンズ系と
    記レンズ系から射出された前記画像光を前記第1回折素子に向けて反射する反射部材
    と、
    を有し、
    前記第1回折素子は、前記第1入射面の法線方向から光を入射した際に、第1方向が最
    も高い回折効率となる素子であり、
    前記第2回折素子は、前記第2入射面の法線方向から光を入射した際に、第2方向が最
    も高い回折効率となる素子であり、
    前記第2回折素子から前記第1回折素子までの間での光の反射回数と中間像の生成回数
    との和が偶数であって、前記第1入射面の法線方向と前記第2入射面の法線方向とを含む
    仮想面の法線方向から見て、前記第1方向と前記第2方向が互いに異なる方向であ
    前記第2入射面の法線方向と前記第2入射面への光の入射方向とが成す角度が前記第2回
    折素子の出射面から最も高い回折効率で出射される方向とが成す角度より大きいことを特
    徴とする導光装置。
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