JP7091661B2 - オイルレベル推定装置 - Google Patents

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Description

本開示は、自動車のオイルパンに於けるエンジンオイルのオイルレベルを推定するオイルレベル推定装置に関する。
主にエンジンの潤滑作用、冷却作用、気密保持作用、清浄分散作用、及び防錆防蝕作用をもたらすエンジンオイルは、オイルパンに於けるオイルレベルが上限レベルを上回るとコネクティングロッドの破損が生じたり、下限レベルを下回るとエンジンの焼き付きが生じたりする原因に成る。
エンジンの故障を防止する為にオイルレベルを把握する事が重要に成るが、エンジン稼働中は、エンジンオイルがオイルパンからエンジンに供給される為、オイルレベルが変動しオイルレベルを正確に把握する事が困難に成る。
従来は、エンジン停止後に暫く時間を置きエンジンオイルがエンジンからオイルパンに落ち切った後、人がオイルレベルゲージを使用しオイルレベルを測定しているが、人がオイルレベルを測定するのは煩雑である為、人の手を介さずオイルレベルを把握する事が出来る装置の開発が望まれている。
従って、オイルレベルが所定のオイルレベルに到達した時にオンに成るオイルレベルスイッチをオイルパンに設置し、エンジン始動時を基準にオイルレベルスイッチがオンに成る迄の時間を計測し、計測した時間を基にオイルレベルを推定するオイルレベル推定装置が開発されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特開2017-008723号公報 特開2016-153627号公報 特開2007-231832号公報 特開2004-044432号公報
然し乍ら、従来のオイルレベル推定装置に於いては、オイルレベルスイッチがオンに成る迄の間はオイルレベルを推定する事が出来ない為、オイルレベルを把握する事が出来る様に成る迄に長時間を要するという課題があった。
以上の事情を鑑み、本開示は、人の手を介さずオイルパンに於けるエンジンオイルのオイルレベルを早期に把握する事が出来るオイルレベル推定装置を提供する事を目的とする。
本発明の態様は、オイルパンに於けるエンジンオイルのオイルレベルを測定するオイルレベルセンサと、前記エンジンオイルが前記オイルパンに落ち切っていると判定した場合に前記オイルレベルの推定を許可するオイルレベル推定許可部と、前記オイルレベル推定許可部が前記オイルレベルの推定を許可した場合に、エンジン始動後に複数回に亘り前記オイルレベルセンサが測定した前記オイルレベルを基にエンジン始動後の前記オイルレベルの時間当たりの変化量を算出するオイルレベル変化量算出部と、前記オイルレベル変化量算出部が算出した前記オイルレベルの前記時間当たりの変化量を基にエンジン始動時の前記オイルレベルの初期レベルを推定するオイルレベル推定部と、を備えるオイルレベル推定装置を提供する。
エンジン冷却水温を測定するエンジン冷却水温センサを更に備え、前記オイルレベル推定許可部は、エンジン停止時の前記エンジン冷却水温と次のエンジン始動時の前記エンジン冷却水温との差が判定閾値以上の場合に前記エンジンオイルが前記オイルパンに落ち切っていると判定する事が望ましい。
吸気温を測定する吸気温センサと、エンジンオイル温を測定するエンジンオイル温センサと、を更に備え、前記オイルレベル推定許可部は、前記吸気温と前記エンジン冷却水温と前記エンジンオイル温の何れか一つ以上に応じ前記判定閾値を変更する事が望ましい。
前記オイルレベル推定部が推定した前記オイルレベルの前記初期レベルが上限レベルを上回っている場合又は下限レベルを下回っている場合に前記オイルレベルの異常を警告するオイルレベル異常警告部を更に備える事が望ましい。
前記オイルレベル異常警告部は、前記オイルレベル推定部が推定した前記オイルレベルの前記初期レベルが複数回に亘り前記上限レベルを上回っている場合又は前記下限レベルを下回っている場合に前記オイルレベルの異常を警告する事が望ましい。
前記オイルレベル異常警告部は、前記オイルレベルセンサが故障している場合に前記オイルレベルの異常を警告しない事が望ましい。
前記オイルレベル異常警告部は、前記エンジン冷却水温センサが故障している場合に前記オイルレベルの異常を警告しない事が望ましい。
本開示によって、人の手を介さずオイルパンに於けるエンジンオイルのオイルレベルを出来る限り早期に把握する事が出来るオイルレベル推定装置を提供する事が出来る。
本発明の実施の形態に係るオイルレベル推定装置の構成を示す構成図である。 オイルレベルの初期レベルを推定する手法を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るオイルレベル推定装置の動作を示す流れ図である。 本発明の実施の形態に係るオイルレベル推定装置の動作を示す流れ図である。 本発明の実施の形態に係るオイルレベル推定装置の動作を示す流れ図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
図1に示す様に、本発明の実施の形態に係るオイルレベル推定装置100は、自動車に搭載され、オイルレベルセンサ101と、オイルレベル推定許可部102と、オイルレベル変化量算出部103と、オイルレベル推定部104と、を備える。
オイルレベルセンサ101は、オイルパン105に於けるエンジンオイル106のオイルレベル107を測定する。オイルレベルセンサ101は、例えばフロート式オイルレベルセンサによって構成される。
オイルレベル推定許可部102は、エンジンオイル106がオイルパン105に落ち切っていると判定した場合にオイルレベル107の推定を許可する。
具体的に言えば、オイルレベル推定装置100は、エンジン冷却水温を測定するエンジン冷却水温センサ108を更に備え、オイルレベル推定許可部102は、エンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が判定閾値以上の場合にエンジンオイル106がオイルパン105に落ち切っていると判定する。
エンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が判定閾値以上の場合は、エンジン停止後に十分に時間が経過したと言える為、エンジンオイル106がオイルパン105に落ち切ったと考える事が出来る。
オイルレベル推定許可部102は、エンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が判定閾値より低い場合に、オイルレベル107の推定を許可しないようにしても良い。
尚、エンジン停止時のエンジン冷却水温は、イグニッションオフ時に記憶しておく。
また、オイルレベル推定装置100は、吸気温(外気温)を測定する吸気温センサ109と、エンジンオイル温を測定するエンジンオイル温センサ110と、を更に備え、オイルレベル推定許可部102は、吸気温とエンジン冷却水温とエンジンオイル温の何れか一つ以上に応じ判定閾値を変更する。
吸気温とエンジン冷却水温とエンジンオイル温の何れか一つ以上が変化すると、エンジン停止後のエンジン冷却水温度の低下速度も変化する為、エンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が同一であっても、エンジンオイル106のオイルパン106への回収量が同一であるとは限らない。従って、吸気温とエンジン冷却水温とエンジンオイル温の何れか一つ以上に応じ判定閾値を変更する事によって如何なる場合に於いてもエンジンオイル106がオイルパン105に落ち切った事を確実に判定する事が出来る。
例えば、吸気温が低い場合は、エンジン冷却水温の時間当たりの低下量が大きく成る為、判定閾値を大きい値に変更したり、エンジン冷却水温が低い場合は、エンジン冷却水温の時間当たりの低下量が小さく成る為、判定閾値を小さい値に変更したりする。
尚、判定閾値は、例えば予め実験やシミュレーションを行う事によって、吸気温毎、エンジン冷却水温毎、及びエンジンオイル温毎に決定しマップ化しておく。
また、吸気温とエンジン冷却水温とエンジンオイル温は、エンジン停止時に取得された値を採用しても構わないし、次のエンジン始動時に取得された値を採用しても構わない。
図2に示す様に、オイルレベル変化量算出部103は、オイルレベル推定許可部102がオイルレベル107の推定を許可した場合に、エンジン始動後に複数回(少なくとも2回)に亘りオイルレベルセンサ101が測定したオイルレベル107(黒丸)を基にエンジン始動後のオイルレベル107の時間当たりの変化量(破線の傾き)を算出する。
尚、エンジン始動後は、エンジンオイル106がオイルパン105からエンジンに供給される為、オイルレベル107は徐々に低下していく。従って、オイルレベル107の時間当たりの変化量は、オイルレベル107の時間当たりの減少量と換言する事が出来る。
オイルレベル推定部104は、オイルレベル変化量算出部103が算出したオイルレベル107の時間当たりの変化量を基にエンジン始動時のオイルレベル107の初期レベル(破線の切片たる白丸)を推定する。
尚、オイルレベル107の初期レベルは、エンジン停止後に暫く時間を置きエンジンオイル106がエンジンからオイルパン105に落ち切った時のオイルレベル107を意味する。
再び図1を参照し、オイルレベル推定装置100は、オイルレベル推定部104が推定したオイルレベル107の初期レベルが上限レベルを上回っている場合又は下限レベルを下回っている場合にオイルレベル107の異常を警告するオイルレベル異常警告部111を更に備える。
オイルレベル異常警告部111は、例えばインスツルメントパネルに配置した警告ランプを点灯させる事によってオイルレベル107の異常を警告する。
尚、オイルレベル異常警告部111は、オイルレベル推定部104が推定したオイルレベル107の初期レベルが複数回に亘り上限レベルを上回っている場合又は下限レベルを下回っている場合にオイルレベル107の異常を警告する。
オイルレベル107は例えば自動車の揺れや傾きによって変化する事が有る為、初期レベルが一度だけ上限レベルを上回ったり下限レベルを下回ったりしたからと言ってオイルレベル107が異常であるとは限らず、複数回に亘り判定を行う事によって異常診断の確度を向上させる事が出来る。
更に、オイルレベル異常警告部111は、オイルレベルセンサ101が故障している場合又はエンジン冷却水温センサ108が故障している場合にオイルレベル107の異常を警告しない。
オイルレベルセンサ101が故障している場合又はエンジン冷却水温センサ108が故障している場合は、異常診断の結果に過誤が有る可能性が高い為、オイルレベル107の異常を警告しない事によって、誤診を防止する事が出来る。
尚、オイルレベル推定許可部102、オイルレベル変化量算出部103、オイルレベル推定部104、及びオイルレベル異常警告部111は、例えばエンジンコントロールユニットによって実現される。
次に、オイルレベル推定装置100を使用しオイルレベル107を推定する手順を説明する。
図3に示す様に、エンジン始動時に制御を開始し、最初のステップS101に於いてオイルレベル推定許可部102によってエンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が判定閾値以上であるか否かを判定する。
エンジン停止時のエンジン冷却水温と次のエンジン始動時のエンジン冷却水温との差が判定閾値以上の場合にオイルレベル推定を開始し、判定閾値未満の場合にオイルレベル推定を開始せず制御を終了する。
図4に示す様に、オイルレベル推定の開始後は、最初のステップS201に於いてオイルレベル変化量算出部103によってエンジン始動後に複数回に亘りオイルレベルセンサ101が測定したオイルレベル107を基にエンジン始動後のオイルレベル107の時間当たりの変化量を算出する。
次のステップS202に於いては、オイルレベル推定部104によってオイルレベル変化量算出部103が算出したオイルレベル107の時間当たりの変化量を基にエンジン始動時のオイルレベル107の初期レベルを推定する。
次のステップS203に於いては、オイルレベル異常警告部111によってオイルレベル推定部104が推定したオイルレベル107の初期レベルが上限レベルを上回っている又は下限レベルを下回っているか否かを判定する。
オイルレベル推定部104が推定したオイルレベル107の初期レベルが上下限レベル内の場合はステップS204に於いてオイルレベル異常警告部111によってカウンタをデクリメントしステップS206に進む。尚、カウンタがゼロの場合は更にデクリメントしなくても構わない。
オイルレベル推定部104が推定したオイルレベル107の初期レベルが上下限レベル外の場合はステップS205に於いてオイルレベル異常警告部111によってカウンタをインクリメントしステップS201に戻る。
図5に示す様に、ステップS206に於いては、オイルレベル異常警告部111によってカウンタが異常閾値以上であるか否かを判定する。
カウンタが異常閾値以上の場合にステップS207に於いてオイルレベル異常警告部111によってオイルレベル107の異常を警告し、カウンタが異常閾値未満の場合にステップS201に戻る。
尚、カウンタは、例えばイグニッションオフ時にリセットされるか又はイグニッションオン時にリセットされる。また、カウンタが複数回に亘り連続的にインクリメントされた時に異常を警告する様にしても構わない。
以上に説明した様に、オイルレベル推定装置100に於いては、人の手を介さずオイルパン105に於けるエンジンオイル106のオイルレベル107を把握する事が出来る。
更に、オイルレベル推定装置100に於いては、オイルレベルスイッチを使用しておらず、エンジン始動後に複数回に亘りオイルレベルセンサ101が測定したオイルレベル107を取得するだけでオイルレベル107を推定する事が出来る為、オイルレベル107を早期に把握する事が出来る。
100 オイルレベル推定装置
101 オイルレベルセンサ
102 オイルレベル推定許可部
103 オイルレベル変化量算出部
104 オイルレベル推定部
105 オイルパン
106 エンジンオイル
107 オイルレベル
108 エンジン冷却水温センサ
109 吸気温センサ
110 エンジンオイル温センサ
111 オイルレベル異常警告部

Claims (6)

  1. オイルパンに於けるエンジンオイルのオイルレベルを測定するオイルレベルセンサと、
    前記エンジンオイルが前記オイルパンに落ち切っていると判定した場合に前記オイルレベルの推定を許可するオイルレベル推定許可部と、
    前記オイルレベル推定許可部が前記オイルレベルの推定を許可した場合に、エンジン始動後に複数回に亘り前記オイルレベルセンサが測定した前記オイルレベルを基にエンジン始動後の前記オイルレベルの時間当たりの変化量を算出するオイルレベル変化量算出部と、
    前記オイルレベル変化量算出部が算出した前記オイルレベルの前記時間当たりの変化量を基にエンジン始動時の前記オイルレベルの初期レベルを推定するオイルレベル推定部と、
    エンジン冷却水温を測定するエンジン冷却水温センサと、
    吸気温を測定する吸気温センサと、
    を備え
    前記オイルレベル推定許可部は、エンジン停止時の前記エンジン冷却水温と次のエンジン始動時の前記エンジン冷却水温との差が判定閾値以上の場合に前記エンジンオイルが前記オイルパンに落ち切っていると判定し、前記吸気温に応じ前記判定閾値を変更する
    事を特徴とするオイルレベル推定装置。
  2. エンジンオイル温を測定するエンジンオイル温センサと、
    を更に備え、
    前記オイルレベル推定許可部は、前記エンジン冷却水温と前記エンジンオイル温の何れか一つ以上に応じ前記判定閾値を変更する
    請求項に記載のオイルレベル推定装置。
  3. 前記オイルレベル推定部が推定した前記オイルレベルの前記初期レベルが上限レベルを上回っている場合又は下限レベルを下回っている場合に前記オイルレベルの異常を警告するオイルレベル異常警告部を更に備える
    請求項1または2に記載のオイルレベル推定装置。
  4. 前記オイルレベル異常警告部は、前記オイルレベル推定部が推定した前記オイルレベルの前記初期レベルが複数回に亘り前記上限レベルを上回っている場合又は前記下限レベルを下回っている場合に前記オイルレベルの異常を警告する
    請求項に記載のオイルレベル推定装置。
  5. 前記オイルレベル異常警告部は、前記オイルレベルセンサが故障している場合に前記オイルレベルの異常を警告しない
    請求項3または4に記載のオイルレベル推定装置。
  6. 前記オイルレベル異常警告部は、前記エンジン冷却水温センサが故障している場合に前記オイルレベルの異常を警告しない
    請求項3乃至5の何れか一項に記載のオイルレベル推定装置。
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