JP7090901B2 - 静電容量式近接センサ - Google Patents
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Description
ところが、ユーザの足部を検出してバックドアやスライドドアの開閉装置に用いられる静電センサでは、例えばフロントドアのアウトドアハンドル内に設置される静電センサよりも広い検出領域が要求される。
このため、特許文献1と特許文献2に記載のものでは、車両ドア開閉装置やセンサユニットの設置に必要な面積が大きくなり、車種によっては適用できない問題がある。また、2つ以上の静電センサを用いる必要があるため、コストアップの問題もある。
自動車の下部に略直線状に配された1本の細長いセンサ電極と、
所定の間隔を空けて前記センサ電極に対して略平行に配された1本の細長い接地電極と、を備え、
前記センサ電極は、前記接地電極よりもユーザが通過する領域から遠い側に配され、
前記センサ電極には、ユーザの足部を検知するために高周波信号が入力され、
前記接地電極の設置高さは、前記センサ電極の設置高さ以上である、
ことを特徴とする。
「前記センサ電極と前記接地電極の水平方向の間隔は、3cm以上12cm以下であること」、
「前記センサ電極と前記接地電極の垂直方向の間隔は、0cm以上12cm以下であること」、
「前記センサ電極と前記接地電極の少なくとも一方は電線からなること」、
「前記電線は1往復以上となるように折り曲げられていること」、
「前記電線は同軸ケーブルであること」、
「前記センサ電極は同軸ケーブルであり、前記同軸ケーブルの外部導体に前記高周波信号が入力されること」、
「前記接地電極は同軸ケーブルであり、前記同軸ケーブルの外部導体が接地されること」、
「前記センサ電極と前記接地電極の水平方向の間隔は、3cm以上12cm以下であり、前記高周波信号の周波数は、200kHz以上1000kHz以下であること」、
「前記センサ電極の自己静電容量の変化に応じて、前記高周波信号が間欠発振から連続発振に切り替えられ、
前記高周波信号が間欠発振中に、キャリブレーションを実施するか否かのキャリブレーション実施判定が行われること」、
「前記キャリブレーション実施判定において、
一定期間中に物体が前記センサ電極に近接していないときの検出電圧が所定値以上変化した場合、もしくは、前記高周波信号の周波数を上げた後と上げる前の検出電圧の差が所定値以下の場合、キャリブレーションのフラグがONされること」、
を含む。
センサ電極11には、自動車100のユーザの足部を検知するために、高周波信号生成部33から所定の高周波信号S0が入力される。
センサ電極11は、コイルLの下流側で且つコンデンサCの上流側のセンサ電極接続点P1に、コンデンサCと並列に接続されている。このセンサ電極11に人体の足部等が近接すると、センサ電極11の自己静電容量が増加する。
本例のコイルLのインダクタンスは10mH、コンデンサCの静電容量は7pF、抵抗Rの抵抗は470Ωであるが、これらの値は適宜設定することができる。
センサ電極11と接地電極12の材料は特に限定されるものではなく、絶縁電線、同軸ケーブル、銅板等の導電性金属板などを用いることができ、絶縁電線や同軸ケーブルを用いる場合には、1往復以上となるように折り曲げて使用することにより容易に電極面積を増して感度調整を行うことができる。
なお、本例では同軸ケーブルの内部導体を利用していないが、内部導体にも高周波信号を入力したり接地(回路GNDしてもよい。
このように両電極を配置することにより、ユーザがリアバンパ101の下側に足部(足の甲)を差し入れる動作を行った際、センサ電極11がユーザの足部(足の甲)の近くに位置し、ユーザの足部を検出することができる。一方、ユーザがリアバンパ101の近くを通過しただけでは、ユーザの脚部(脛)の近くに接地電極12が位置することになるため、ユーザの脚部(脛)には反応しない。
また、センサ電極11と接地電極12の垂直方向の間隔Hは、0cm以上12cm以下が好ましく、2cm以上10cm以下が特に好ましい。センサ電極11が接地電極12よりも高い位置にあったり、接地電極12がセンサ電極11よりも12cm超高い位置にあると、ユーザが自動車100に接近したまま通過しただけでも脚部全体に反応し易くなり、誤検出の原因となり易い。
この検出回路20は、センサ回路10から出力された電気信号に基づいて、センサ電極11の自己静電容量に応じた判定電圧信号S1を出力する。具体的には、検出回路20は、コンデンサCの下流側で且つ抵抗Rの上流側の検出点P3における電気信号に基づいて判定電圧信号S1を出力する。ダイオード21はコンデンサCと検出点P3の間の整流点P2に接続されている。
なお、検出回路20は、センサ電極11の自己静電容量に応じた判定電圧信号S1を出力するものであれば任意の回路構成が可能である。また、抵抗Rの抵抗値を低くすることにより、ノイズの影響を受けにくくすることができる。
ADコンバータ31は、検出回路20から入力された判定電圧信号S1をA/D変換し、判定信号S2として制御部32に出力する。
制御部32は、詳しくは後述するが、高周波信号生成部33に制御信号S3を出力する他、判定信号S2に基づき人の足部がセンサ電極11に近接したと判断した場合には人の検知信号S4を出力する。
発振手段としての高周波信号生成部33は、詳しくは後述するが、制御部32から入力される制御信号S3に基づき、所定の周波数および所定のデューティ比の高周波信号S0をセンサ回路10に出力する。
図3に示されるように、人の足部がセンサ電極11に近接したときの共振周波数fX1は、物体がセンサ電極11に近接していないときの共振周波数f11よりも低い。これは、人の足部がセンサ電極11に近接するとセンサ電極11の自己静電容量が増えることによる。
本例の近接センサ1では、ある一定の周囲環境下において、f11は約450kHz、fX1は約445kHzであるが、周囲環境が変わってもf11とfX1の差は約5kHzとほぼ一定である。
また、物体がセンサ電極11に近接していないときのピーク電圧(図3の点P11の電圧)と、人の足部がセンサ電極11に近接したときのピーク電圧(図3の点PX1の電圧)は、周囲環境が変わってもほぼ同じVPKである。
まず、物体がセンサ電極11に近接していないときの共振周波数f11よりも5kHz低い周波数を検出周波数に設定する。つまり、本例では人の足部がセンサ電極11に近接したときの共振周波数fX1を検出周波数に設定している。
検知を行う際は、検出周波数fX1の高周波信号S0をセンサ電極11に印加する。だだし、気候や周囲の環境の変化に応じて、物体がセンサ電極11に近接していないときの共振周波数が変化するため、後述のキャリブレーションを実施することによって、検出周波数を再設定している。
VB<Vth1<VPK
の関係を満足する第1の閾値Vth1が設定される。
本例では、
Vth1=(VB+VPK)/2
に設定している。
まず、電子キーを携帯したユーザが自動車100に近づくと、車載の認証システムと電子キーとの間で無線通信が行われ、当該自動車の正規の電子キーであることの認証が行われる。なお、この認証は、スマートエントリーシステムにおける公知の認証方法で行うことができる。
正規の電子キーであることの認証が行われると、近接センサ1が駆動する。
制御部32はセンサーシステムの初期化を実行し、内部レジスタやメモリのクリアを実行するとともに、キャリブレーションのフラグをONする。
制御部32は、高周波信号生成部33から出力する高周波信号S0の周波数を所定のデューティ比で間欠発振させる。本例では、初期のキャリブレーションで得られた検出周波数fX1(445kHz)の高周波信号S0を出力する。
検出回路20から入力された最新の判定電圧信号S1をADコンバータ31がA/D変換すると、ADコンバータ31から最新の判定信号S2が制御部32に出力されるが、ここでは最新の判定信号S2が出力されているか否かを判断する。
最新の判定信号S2が出力されている場合はステップS4に進み、最新の判定信号S2が出力されていなければステップS2に戻る。
キャリブレーションのフラグがONであれば、制御部32は、高周波信号生成部33から出力する高周波信号S0の周波数を所定のデューティ比で間欠発振させ、約300kHzから600kHzの範囲で少なくとも1回走査するように発振制御する。これにより、物体がセンサ電極11に近接していないときの最新の共振周波数が検出される。そして、検出周波数は、この最新の共振周波数よりも5kHz低く設定される。
なお、近接センサ1の駆動初期は、ステップS1においてキャリブレーションのフラグをONにしているため、常にキャリブレーションが行われる。
キャリブレーションのフラグがONのままであればステップS2に戻る。一方、キャリブレーションのフラグがOFFの場合は、制御部32は、高周波信号S0の周波数を検出周波数とする。
検出中フラグがONの場合はステップS7に進み、検出中フラグがOFFの場合はステップS8に進む。なお、検出中フラグがONの間は、センサ回路10に出力される高周波信号S0が検出周波数で連続発振となるように制御されている。
判定電圧信号S1が第1の閾値Vth1よりも低くなったか否かを判定する。
判定電圧信号S1が第1の閾値Vth1より低くなっていれば、検出中フラグをOFFとし、検出解除が行われて連続発振から間欠発振に切り換わり、ステップS2に戻る。
判定電圧信号S1が第1の閾値Vth1以上のままであれば、連続発振のままステップS2に戻って検出が続けられる。
連続発振中であれば、ステップS11に進む。一方、間欠発振中であれば、ステップS9に進む。
図6のフローチャートのステップS91からS98を行い、キャリブレーションの実施判定を行う。
まず、直前のキャリブレーションで設定された検出周波数fxでの現在の判定電圧信号S1と、物体がセンサ電極11に近接していないときの直前の基準電圧VBとの差が、第2の閾値Vth2を超えていればS92に進み、第2の閾値Vth2を超えていなければS94に進む。なお、本例では第2の閾値Vth2は0.5Vに設定されているが、この値は適宜設定することができる。
タイマTrが0(タイムオーバー)であればステップS93に進み、タイマTrが0でなければステップS95に進む。
キャリブレーションのフラグをONし、ステップS95に進む。
所定時間(本例では5秒)のタイマTrをスタ-トさせ、ステップS95に進む。なお、タイマTrは一定時間毎に減算される。
図7は、図3に示したある一定の周囲環境下での状態から、例えばリアバンパーの近くにセンサ電極11の自己静電容量を増加させる物体が存在する状態に変化した際の高周波信号S0の周波数f(横軸)と、判定電圧信号S1(縦軸)との関係を示している。周囲環境が変化した後のグラフは破線で示しており、S12は人の足部がセンサ電極11に近接していないときのグラフであり、SX2は人の足部がセンサ電極11に近接したときのグラフである。
なお、グラフS12の共振周波数f12とグラフSX2の共振周波数f12の差は、グラフS11の共振周波数f11とグラフSX1の共振周波数fX1の差とほぼ同じ約5kHzである。
具体的には、S12に変化後に物体がセンサ電極11に近接していない場合であっても、第1の閾値Vth1よりも高い判定電圧信号V121(図7の点P121の電圧)が検出され、制御部32が人の検知信号S4を出力してしまう。
また、S12に変化後に人の足部がセンサ電極11に近接しても、第1の閾値Vth1よりも低い判定電圧信号VX21(図7の点PX21の電圧)が検出され、人の検出に至らない。
一定期間(本例では10秒間)が経過していなければステップS10に進み、経過していればステップS96に進む。
検出周波数を僅かに(本例では2kHz)上げる。
検出周波数を上げた後の判定電圧信号が、検出周波数を上げる前の判定電圧信号のよりも第3の閾値Vth3以上上昇していればステップS10に進み、第3の閾値Vth3以上上昇していなければステップS98に進む。なお、本例では第3の閾値Vth3は0.5Vに設定されているが、この値は適宜設定することができる。
キャリブレーションのフラグをONし、ステップS10に進む。
このため、キャリブレーション実施判定の第1段階では、図8のように人の足部がセンサ電極11に近接していないときのグラフがS11からS12に変化した場合にはキャリブレーションのフラグはONされない。
仮に、人の足部がセンサ電極11に近接していないときのグラフがS11からS12に変化した後も変化前の検出周波数fX1で検出を続けると、人の足部がセンサ電極11に近接しても、第1の閾値Vth1よりも低い判定電圧信号VX21(図8の点PX21の電圧)が検出され、人の検出に至らない。
具体的には、図9に示すように、周囲環境の変化後の検出周波数がfX2であれば、検出周波数を僅かに上げてfX2+α(本例ではαは2kHz)で検出を行うと、検出点は点PB2から点PC2に移り、判定電圧信号はVBからVC2に上昇する。一方、検出周波数が周囲環境の変化前の誤った検出周波数fX1のままであったとすると、検出周波数を僅かに上げてfX1+αで検出を行うと、検出点は点PB1から点PC1に移り、判定電圧信号はVBからVC1に低下する。
したがって、検出周波数を上げた後の判定電圧信号が、検出周波数を上げる前の判定電圧信号のよりも第3の閾値Vth3以上上昇していなければ、古い検出周波数を使用していると判断し、再度キャリブレーションを行うようにしている。
キャリブレーションの実施判定を行った後、近接判定を行う。この近接判定では、検出周波数における判定電圧信号が第1の閾値Vth1以上になると、キャリブレーションのフラグをOFFにするとともに、間欠発振から連続発振に切り替え、ステップS2に戻る。これは、人体の足部がセンサ電極11に近接している可能性があるため、その後は本格的な検出を行うためである。
ステップ8において連続発振中であれば、検出判定を行う。この検出判定では、ステップS10で近接を検出した後、検出周波数における判定電圧信号が一定時間(もしくは一定回数)連続して第1の閾値Vth1以上であることが検出されると、制御部32は人の検知信号S4を出力し、バックドア102の開閉制御が行われる。
これにより、検出領域41を車体の下方もしくは斜め下方に効果的に限定することができ、ユーザがリアバンパ101の近くを通過しただけでは反応せず、誤検出を抑制することができる。
これにより、周囲環境が変化しても常に最新の検出周波数で検出を行うことができ、誤検出や検出漏れを防止することができる。
なお、本例では、ステップS91からS94のキャリブレーション実施判定の第1段階の後に、ステップS95からS98のキャリブレーション実施判定の第2段階を行っているが、第2段階の後に第1段階を行ってもよい。
10 センサ回路
11 センサ電極
11a 検出領域
12 接地電極
L LCR直列共振回路のコイル
C LCR直列共振回路のコンデンサ
R LCR直列共振回路の抵抗
20 検出回路
21 ダイオード
22 固定抵抗
23 コンデンサ
24 増幅器(バッファ回路)
30 マイコン(マイクロコンピュータ)
31 ADコンバータ
32 制御部
33 高周波信号生成部
40 ユーザ
41 足部
100 自動車
101 リアバンパー
102 バックドア
P1 センサ電極接続点
P2 整流点
P3 検出点
Claims (11)
- 自動車に用いられる静電容量式近接センサであって、
自動車の下部に略直線状に配された1本の細長いセンサ電極と、
所定の間隔を空けて前記センサ電極に対して略平行に配された1本の細長い接地電極と、を備え、
前記センサ電極は、前記接地電極よりもユーザが通過する領域から遠い側に配され、
前記センサ電極には、ユーザの足部を検知するために高周波信号が入力され、
前記接地電極の設置高さは、前記センサ電極の設置高さ以上である、
ことを特徴とする静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極と前記接地電極の水平方向の間隔は、3cm以上12cm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極と前記接地電極の垂直方向の間隔は、0cm以上12cm以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極と前記接地電極の少なくとも一方は電線からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記電線は1往復以上となるように折り曲げられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記電線は同軸ケーブルである、
ことを特徴とする請求項4に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極は同軸ケーブルであり、前記同軸ケーブルの外部導体に前記高周波信号が入力される、
ことを特徴とする請求項6に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記接地電極は同軸ケーブルであり、前記同軸ケーブルの外部導体が接地される、
ことを特徴とする請求項6に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極と前記接地電極の水平方向の間隔は、3cm以上12cm以下であり、
前記高周波信号の周波数は、200kHz以上1000kHz以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記センサ電極の自己静電容量の変化に応じて、前記高周波信号が間欠発振から連続発振に切り替えられ、
前記高周波信号が間欠発振中に、キャリブレーションを実施するか否かのキャリブレーション実施判定が行われる、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の静電容量式近接センサ。 - 前記キャリブレーション実施判定において、
一定期間中に物体が前記センサ電極に近接していないときの検出電圧が所定値以上変化した場合、もしくは、前記高周波信号の周波数を上げた後と上げる前の検出電圧の差が所定値以下の場合、キャリブレーションのフラグがONされる、
ことを特徴とする請求項10に記載の静電容量式近接センサ。
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