次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機として、機内部に封入した所定数のパチンコ球を循環させて遊技に用いる封入式パチンコ機を例にして説明する。また、方向や位置関係等を説明する際には、特に断りのない限り、パチンコ機を前側(遊技者側)から見た状態での上、下、左、右を基準とする。
(遊技店内でのパチンコ機10の設置環境について)
実施例1に係るパチンコ機10は、図1に示すように矩形状をなし、遊技店の設置島に縦置き姿勢で設置される。遊技店では、遊技者が金銭と引き換えにパチンコ球の貸し出しを受け、貸し出されたパチンコ球(貸球)を用いて遊技(後述する「実遊技」)を行う。このため、設置島には、紙幣を挿入可能な紙幣挿入口51等を備えた球貸ユニット50がパチンコ機10の左隣に設置されている。パチンコ機10は、球貸ユニット50と電気的に接続されており、遊技者が球貸ユニット50の紙幣挿入口51に紙幣を挿入して貸球操作を行うことにより、パチンコ球(貸球)を遊技者に供給する。この貸球操作後の残額は、遊技者の返却操作に応じて、球貸ユニット50の内部において残額記憶媒体に記憶される。遊技者は、返却操作時の残額を記憶した残額記憶媒体を媒体排出口52から受け取り、店内払戻機にて現金へと交換する。なお、実施例1のパチンコ機10は、所定の条件を満たす場合(後述する移行条件の成立時)に限り、有料の貸球を用いずに遊技(後述する「試遊技」)を行うことができる点に特徴がある。
(パチンコ機10の概略構成について)
パチンコ機10は、遊技店に固定される外枠(固定枠)11と、この外枠11に組み付けられて遊技盤20を着脱可能に保持する中枠(遊技機本体)12(図2参照)と、この中枠12の前面側に組み付けられて遊技盤20の前面を覆う前枠(装飾枠)13とを備えている。前枠13は、パチンコ機10の前面を形成する扉体であり、遊技盤20との対向位置に窓口13aが前後に貫通形成されて、この窓口13aにガラス板等の透視保護板13bが配設されている。従って、遊技を行う遊技者は、機前側から窓口13a(透視保護板13b)を通じて遊技盤20の前面を視認することができる。また、前枠13には、音声や効果音を出力可能なスピーカ(音出力手段)18と、LED等の光によって機前面の色彩を変化させる(発光する)枠ランプ(発光手段)19とが配設されている。
前枠13には、窓口13aの下方に、遊技者が球貸ユニット50の紙幣挿入口51に挿入した紙幣の内の残額を表示する残額表示部13cと、遊技者が有料の貸球の供給を受ける際の貸球操作の対象となる貸球操作ボタン13dと、遊技者が残額(残額記憶媒体)の返却を受ける際の返却操作の対象としての返却操作ボタン13eと、が設けられている。
前枠13の右下部には、遊技者が操作可能な操作ハンドル16が設けられている。操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、遊技者はこの操作レバー16aを付勢力に抗して右回転方向へと回動操作することができる。また、機内部には、図2に示すように、遊技領域20a(後述)に向けてパチンコ球を発射する球発射装置14と、この球発射装置14によるパチンコ球の打出し位置にパチンコ球を1個ずつ送り出す球送り装置15とが設けられている。そして、操作ハンドル16の操作レバー16aが操作されることに応じて球発射装置14および球送り装置15が作動して、球送り装置15が打出し位置24aに送り出すパチンコ球を球発射装置14が発射する一連の動作を繰り返し、所定間隔(0.6秒)毎に1個ずつパチンコ球を発射するよう構成されている。
また前枠13の前面には、球数表示器13fが設けられている。この球数表示器13fは、例えば「000000」から「999999」までの数字を表示可能に構成されている。ここで、実施例1のパチンコ機10は、機内部に封入した30個のパチンコ球を循環させて遊技に用いる。すなわち、パチンコ球を機前側へ払い出す構成(球払出機構や球受皿)を省略している。そして、遊技者が遊技に用いることのできるパチンコ球の個数(遊技者所有のパチンコ球数)を、記憶データとして管理し、当該個数を球数表示器13fに表示することで遊技者に認識させるようになっている。なお、以下の説明では、遊技者が遊技に使用可能な(遊技者所有の)パチンコ球のことを「持ち球」といい、この持ち球の数のことを「持ち球数」という。すなわち、球数表示器13fは、持ち球数を表示する表示器である。なお、持ち球(持ち球数)については後述する。
(遊技盤20について)
遊技盤20は、光透過性を有する所定板厚の平板により構成されている。図2に示すように、遊技盤20の前面(透視保護板13bの後面との間)には、略円形状の案内レール22の内周側に、パチンコ球が流下する遊技領域20aが形成されている。なお、案内レール22は、遊技領域20aの外周側に、球発射装置14から発射されたパチンコ球を遊技領域20aの上部に導くための発射球通路22aを形成している。ここで、遊技領域20aには、パチンコ球が入球可能な入球口が複数設けられている。この入球口には、パチンコ球の入球に対し特典(遊技者に付与する利益)としての賞球を付与する入賞口31,32,33等と、パチンコの入球に対して賞球を付与しないゲート口34とがある。なお、入賞口31,32,33に入球(以下「入賞」ともいう)したパチンコ球が遊技盤20の後面側に誘導されるのに対し、ゲート口34に入球(通過)したパチンコ球はそのまま遊技領域20aを流下する。また、遊技領域20aを流下する過程でどの入賞口31,32,33にも入賞しなかったパチンコ球は、遊技領域20aの下端部に形成されたアウト口23から遊技領域20aの外へ排出される。
実施例1のパチンコ機10では、遊技者が操作ハンドル16を操作して遊技領域20aに打ち出したパチンコ球を入賞口としての始動入賞口31,32および特別入賞口33に入賞させることが、遊技の基本となる。すなわち、始動入賞口31,32への入賞(始動入賞)を契機として、遊技者に有利な大当り遊技状態(特別遊技状態)を生起させるか否かの特図当り判定(当否判定)が実行され、この特図当り判定において当りの判定結果となったことに応じて大当り遊技状態が生起される。特別入賞口33は、開閉可能に構成されており、大当り遊技状態中に限って開放される。大当り遊技状態では、予め定めた回数(例えば9回)のラウンド遊技が実行される。ラウンド遊技は、遊技者が特別入賞口33への入賞を狙うことのできる期間であり、規定入賞数のパチンコ球が特別入賞口33に入賞するか規定時間が経過するまで、当該特別入賞口33が開放状態となる。なお、始動入賞口31,32は、第1始動入賞口31の開口寸法が一定(不変)である一方、第2始動入賞口32は開閉可能に構成されている(開口寸法が可変である)。第2始動入賞口32は、常には閉鎖状態とされ、ゲート口34への入球を契機とする普図当り判定が当りの判定結果となった場合に、開放される。
遊技盤20の略中央には、図柄(飾図)等の画像を表示可能な図柄表示装置17が設けられている。パチンコ機10では、特図当り判定の判定結果(当りか外れ)を、図柄表示装置17の表示部17aに表示する図柄変動演出の態様によって示唆・報知する。図柄変動演出は、表示部17aにおいて図柄を変動開始させた後、特図当り判定の結果に応じて決定された複数の停止図柄の組み合わせを表示することで、大当り(大当り遊技状態が生起される)か否かを報知する演出である。この図柄変動演出には、図柄(飾図)の変動表示の他、当該変動表示の結果に対する期待度を高めるための、当該変動表示中に行われる各種の表示演出(例えばリーチ演出等)が含まれる。また、図柄変動演出に合わせて、スピーカ18の音出力による演出や、枠ランプ19の発光による演出が行われる。
(パチンコ球の循環構造について)
図2に示すように、中枠12の前面における遊技盤20の設置位置より下側に、前述した球発射装置14によるパチンコ球の打出し方向に沿って左上がりに延在する発射レール24が設けられている。そして、前述した球送り装置15がその上部の球出口15bから発射レール24の右下端部に設定されている打出し位置24aにパチンコ球を1個ずつ送り出し、これを球発射装置14が発射レール24に沿って打ち出して発射球通路22aへと飛翔させるようになっている。また、中枠12における遊技盤20の設置位置の下方には、アウト口23を通過したパチンコ球(以下「排出球」という)および入賞口31,32,33を通過したパチンコ球(以下「入賞球」という)を回収する第1回収部26と、発射レール24上を通過したものの遊技領域20aに到達しなかった(例えば、発射球通路22aの途中で勢いを失って落下に転じた)パチンコ球(以下「ファール球」という)を回収する第2回収部27と、第1および第2回収部26,27で回収されたパチンコ球が導かれる貯留通路28と、が設けられ、貯留通路28の下流端部が球送り装置15の球入口15aに接続している。
すなわち、機内部に封入されたパチンコ球は、遊技が行われる前の状態において、貯留通路28から打出し位置24aまでの間に位置し、遊技者による操作ハンドル16の操作に応じて1個ずつ打ち出し位置に送り出され、発射される。この発射されたパチンコ球は、発射レール24上および発射球通路22a内を通過して遊技領域20aの上部に導かれ、当該遊技領域20aを流下した結果、入賞球または排出球として第1回収部26から貯留通路28に導かれる。なお、発射されたパチンコ球のうち遊技領域20aに到達しなかったファール球は、第2回収部27から貯留通路28に導かれる。すなわち、入賞球、排出球およびファール球が、最終的に貯留通路28で合流するよう構成されている。この貯留通路28は球送り装置15の球入口15aに向けて傾斜しているため、球送り装置15および球発射装置14が作動している状態では貯留通路28内のパチンコ球が球送り装置15の球入口15aに1個ずつ流入し、球送り装置15の内部を上昇してその球出口15bから打出し位置に供給される。
ここで、発射レール24に沿う位置には、発射球を検出する発射球検出センサSEaが配設されている。また、第1回収部26の下流端部には、入賞球および排出球を検出する使用済み球検出センサSEbが配設されている。更に、第2回収部27の下流端部には、ファール球を検出するファール球検出センサSEcが配設されている。
(制御基板59,60,65,66について)
図3に示すように、パチンコ機10は、パチンコ球数の計数(例えば、持ち球数の更新等に関する制御等)に関する制御等を実行する球数制御基板59と、遊技に関する統括的な制御(例えば、特図当り判定に関する制御等)を実行する遊技制御基板60と、演出に関する統括的な制御(例えば、図柄表示装置17やスピーカ18や枠ランプ19等の制御)を実行する演出制御基板65と、図柄表示装置17の表示制御を実行する表示制御基板66とを備えている。以下、遊技制御基板60、球数制御基板59、演出制御基板65、表示制御基板66の順に、各制御基板の主な構造や制御内容に関して説明する。
(遊技制御基板60)
遊技制御基板60は、制御処理を実行する遊技制御CPU60a、遊技制御CPU60aが実行する制御プログラムを記憶する遊技制御ROM60b、遊技制御CPU60aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な遊技制御RAM60c等を備えている。
遊技制御CPU60aは、第1始動入賞口31に入賞したパチンコ球を検出する第1始動入賞検出センサSE1、第2始動入賞口32に入賞したパチンコ球を検出する第2始動入賞検出センサSE2、特別入賞口33に入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出センサSE3、ゲート口34に対するパチンコ球の入球(通過)を検出するゲートセンサSE4等の各種の入球検出センサと電気的に接続されている。遊技制御CPU60aは、入賞の発生を契機として、その入賞が生じた入賞口31,32,33の種類に対応する数の賞球を付与するよう球数制御CPU59aに指示する。具体的には、始動入賞検出センサSE1,SE2からの検出信号の入力(始動入賞口31,32への入賞)に応じて、第1賞球指定コマンド(図4参照)を球数制御基板59(後述する球数制御CPU59a)に出力すると共に、特別入賞検出センサSE3からの検出信号の入力(特別入賞口33への入賞)に応じて、第2賞球指定コマンド(図4参照)を球数制御基板59(後述する球数制御CPU59a)に出力するよう構成されている。
また、遊技制御CPU60aは、第1始動入賞検出センサSE1および第2始動入賞検出センサSE2の何れかからの検出信号を入力したことを契機として特図当り判定を実行すると共に、ゲートセンサSE4からの検出信号を入力したことを契機として普図当り判定を実行する。遊技制御CPU60aは、始動入賞検出センサSE1,SE2による検出を契機として特図当り判定用乱数の値を取得し、この取得した特図当り判定用乱数の値に基づいて、特図当り判定を実行する。遊技制御ROM60bには、特図当り判定において特図当り判定用乱数の値が当りか否かを判定するための当否判定テーブルとして、遊技状態が後述する低確状態の場合に用いる低確用当否判定テーブルと、遊技状態が後述する高確状態の場合に用いる高確用当否判定テーブルとが記憶されている。すなわち、遊技状態が低確状態の時に遊技制御CPU60aが実行する特図当り判定は、低確用当否判定テーブルにより定められる大当り確率(通常時確率)で、当りの判定結果となる。一方、遊技状態が高確状態の時に遊技制御CPU60aが実行する特図当り判定は、高確用当否判定テーブルにより定められる大当り確率(確変時確率)で、当りの判定結果となる。
遊技制御CPU60aは、特図当り判定の判定結果(当りであるか外れであるか)を、特別図柄の変動表示(特図変動表示)の結果として、図示しない特図表示部に表示するよう構成されている。ここで、遊技制御CPU60aは、特図当り判定の判定結果に応じた特図変動パターンテーブル(図6参照)を参照し、特図変動表示の実行時間(変動時間)を含む特図変動パターン(特図変動P)を決定する。そして、決定した特図変動パターンを特定可能な特図変動パターン指定コマンド(図4参照)を、特図変動表示の開始タイミングで演出制御基板65(後述する演出制御CPU65a)に出力する。図柄表示装置17で実行される図柄変動演出は、特図変動パターンに対応して決定される演出パターン基づき、特図変動表示に合わせて開始・終了するよう演出制御基板65(演出制御CPU65a)により制御される。なお、特図変動表示(図柄変動演出)の実行期間(変動時間)中に新たに始動入賞が発生した場合は、その始動入賞を契機とした特図当り判定に対応する特図変動表示(図柄変動演出)の実行が保留される(但し、保留数が上限数に達している場合は、特図当り判定の対象とならない)。
図3に示すように、遊技制御CPU60aは、第2始動入賞口32を開放する駆動手段である始動入賞ソレノイドSL1や、特別入賞口33を開放する駆動手段である特別入賞ソレノイドSL2と電気的に接続されている。そして、普図当り判定が当りの判定結果となったことを契機として始動入賞ソレノイドSL1を駆動することで、第2始動入賞口32の開放状態を生起させる。また、特図当り判定が当りの判定結果となったことを契機として特別入賞ソレノイドSL2を駆動することで、特別入賞口33の開放状態(ラウンド遊技)を含む大当り遊技状態を生起させる。
なお、遊技制御CPU60aは、特図当り判定が当りの判定結果となった場合に、大当り遊技状態の種類(ラウンド遊技の回数等)と、大当り遊技状態の終了後の遊技状態(当り後遊技状態)の種類および期間とを決定する(特別図柄の大当り図柄を決定する)。ここで、遊技制御CPU60aは、特図当り判定が当りの判定結果となる確率を向上させる確率変動機能と、第2始動入賞口32へのパチンコ球の入賞し易さ(入賞確率)を向上させる入賞率向上機能とを有しており、確率変動機能が作動する高確状態(確率変動状態(確変状態)ともいう)とするかしない(低確状態とする)か、および、入賞率向上機能が作動する高ベース状態(変短状態や入賞容易状態ともいう)とするかしない(低ベース状態とする)か、の組み合わせにより、複数種類の遊技状態を生起し得るようになっている。なお、実施例1において、遊技制御CPU60aは、確率変動機能および入賞率向上機能の何れも作動させない低確低ベース状態と、確率変動機能および入賞率向上機能を作動させる高確高ベース状態と、確率変動機能を作動させ、入賞率向上機能を作動させない高確低ベース状態と、確率変動機能を作動させず、入賞率向上機能を作動させる低確高ベース状態とを、大当り遊技状態の終了後の遊技状態として生起させ得る。
(球数制御基板59)
球数制御基板59は、図3に示すように、制御処理を実行する球数制御CPU59a、球数制御CPU59aが実行する制御プログラムを記憶する球数制御ROM59b、球数制御CPU59aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な球数制御RAM59c等を備えている。
球数制御CPU59aは、前枠13の前面に設けられた残額表示部13c(図3参照)と電気的に接続され、残額表示部13cの表示内容(遊技者による投入額のうちの残額を示す表示)を制御する。また、球数制御CPU59aは、前枠13の前面に設けられた貸球操作ボタン13d(の操作検出センサ)および返却操作ボタン13e(の操作検出センサ)と電気的に接続され、各操作ボタン13d,13eに対する操作の有無を判定する等の制御を実行する。
球数制御CPU59aは、球貸ユニット50に備えられるユニット制御基板53(図3参照)と電気的に接続されている。このユニット制御基板53は例えば、紙幣挿入口51に挿入された紙幣の種類(すなわち遊技者による投入額)を特定する制御等を実行している。これに対し、球数制御CPU59aは、ユニット制御基板53が紙幣挿入口51に挿入された紙幣の種類(投入額)を特定したことに応じて出力する信号としての投入額通知信号(図4参照)を入力した場合に、この投入額通知信号により特定される投入額を、球数制御RAM59cにおける残額記憶エリア71に記憶し、かつ当該時点の残額として残額表示部13cに表示する。例えば、球貸ユニット50の紙幣挿入口51に一万円札が挿入された場合には、投入額である一万円に対応する値が残額を示す値として残額記憶エリア71に記憶され、残額表示部13cには「10000」が表示される。
また、球数制御CPU59aは、貸球操作ボタン13dの操作(貸球操作)がなされたことに応じて、その貸出操作前の残額から貸出操作による使用金額を差し引いた金額を新たな残額として残額記憶エリア71に記憶すると共に、その残額の減少に合わせて残額表示部13cの表示を更新する。例えば、遊技者が一万円を投入した後に貸球操作ボタン13dの操作(貸球操作)を行って五百円分のパチンコ球の貸し出しを受ける場合には、残額記憶エリア71に記憶される値を投入額(一万円)を示す値から使用金額(五百円)を差し引いた残額分に相当する値に変更し、これに合わせて残額表示部13cの表示を「10000」から「9500」に変更する。なお、球数制御CPU59aは、貸球操作による使用金額を特定可能な信号としての貸球通知信号(図4参照)をユニット制御基板53に出力することで、ユニット制御基板53側での残額の管理を可能としている。
球数制御CPU59aは、返却操作ボタン13eの操作がなされたことに応じて、遊技者に対する残額の返却を指示する信号としての返却通知信号(図4参照)をユニット制御基板53に出力する。この場合に、球数制御CPU59aは、球数制御RAM59cに記憶されている残額をクリアすると共に、残額表示部13cでの表示を「00000」に変更する。なお、ユニット制御基板53では、返却通知信号の入力に応じて、球貸ユニット50の内部に位置している残額記憶媒体に対し、残額として管理している金額を記憶させると共に、当該残額記憶媒体の排出を制御する。
また、球数制御CPU59aは、遊技盤20に設けられた球数表示器13f(図2および図3参照)と電気的に接続されている。球数制御CPU59aは、球数制御RAM59cに備えられる持ち球記憶エリア72(図3参照)に記憶される持ち球数に基づいて球数表示器13fの表示制御を実行し、この球数表示器13fに表示される数値を持ち球記憶エリア72に記憶される持ち球数の数値に対応させるよう構成されている。
ここで、球数制御CPU59aは、遊技制御CPU60aから入力した賞球指定コマンドの種類に応じて(入賞が発生した入賞口31,32,33の種類に応じて)付与する賞球数(加算する持ち球数)を特定するように構成されている。また、球数制御CPU59aは、発射球を検出する発射球検出センサSEaおよびファール球を検出するファール球検出センサSEcと電気的に接続され、発射球検出センサSEaによる検出毎に1個の発射球を計数すると共に、ファール球検出センサSEcによる検出毎に1個のファール球を計数する。更に、球数制御CPU59aは、貸球操作ボタン13dの操作(貸球操作)がなされたことに応じて、その貸球操作による使用金額を貸球数に換算する(例えば、貸球操作の仕様金額が500円の場合、その500円を貸球125個に換算する)よう構成されている。そして、球数制御CPU59aが、貸球、発射球、賞球、ファール球の各球数に基づいて持ち球数を計数し、持ち球記憶エリア72に記憶すると共に、球数表示器13fに持ち球数を示す数値を表示するようになっている。
具体的に、球数制御CPU59aは、持ち球数の計数に関し、貸球操作による使用金額に相当する貸球数を、持ち球記憶エリア72に記憶される持ち球数の値に加算する。また、ファール球検出センサSEcによるファール球の検出毎に、持ち球記憶エリア72に記憶される持ち球数の値を「1」ずつ加算する。更に、第1・第2賞球指定コマンドの入力毎に、当該コマンドにより特定される賞球数を、持ち球記憶エリア72に記憶される持ち球数の値から加算する。一方、球数制御CPU59aは、発射球検出センサSEaによる発射球の検出毎に、持ち球記憶エリア72に記憶される持ち球数の値を「1」ずつ減算する。なお、実施例1のパチンコ機10は、後述する営業モードの種類に応じて、球数制御CPU59aが第2賞球指定コマンドを入力した場合の賞球数(加算する持ち球数の数)を異ならせている。
また、球数制御CPU59aは、使用済み球(入賞球・排出球)を検出する使用済み球検出センサSEbと電気的に接続されている。ここで、球数制御RAM59cは、浮き球記憶エリア73(図3参照)を備えている。球数制御CPU59aは、浮き球記憶エリア73の値を、発射球の発生毎に「1」ずつ加算し、使用済み球やファール球の発生毎に「1」ずつ減算することで、発射されて貯留通路28に戻っていない「浮き球」の数(以下「浮き球数」という)を計数可能に構成されている。なお、前述の遊技制御CPU60aは、球数制御CPU59aにより計数される浮き球数が「0」でない場合に、後述する営業モードの移行を許容しないよう構成されている。
(演出制御基板65)
演出制御基板65は、図3に示すように、制御処理を実行する演出制御CPU65a、演出制御CPU65aが実行する制御プログラムを記憶する演出制御ROM65b、演出制御CPU65aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な演出制御RAM65c等を備えている。
演出制御ROM65bには、図柄変動演出等の具体的な演出内容(演出パターン)が記憶されている。演出制御CPU65aは、遊技制御基板60からの特図変動パターン指定コマンドに基づいて図柄変動演出の演出内容(演出パターン)を決定し、その決定した演出内容を制御信号(コマンド)として表示制御基板66へ出力する。また、演出制御CPU65aは、決定した演出内容に応じて、スピーカ18や枠ランプ19等を制御する。これにより演出制御CPU65aは、演出実行手段としての図柄表示装置17、スピーカ18および枠ランプ19により実行される演出内容を統括的にコントロールし得る。
(表示制御基板66)
表示制御基板66は、図3に示すように、制御処理を実行する表示制御CPU66a、表示制御CPU66aが実行する制御プログラムを記憶する表示制御ROM66b、表示制御CPU66aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な表示制御RAM66c等を備えていると共に、図柄表示装置17が接続されている。
表示制御CPU66aには、表示制御ROM66bおよび表示制御RAM66cが接続されている。表示制御ROM66bには、図柄表示装置17の表示内容を制御するための表示制御プログラムや、各種の演出に関する各種の画像データ(図柄、背景画像、文字やキャラクタなどの画像データ)が記憶されている。また、表示制御RAM66cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶(設定)される。
(営業モードについて)
ここで、パチンコ機10の営業モードについて、図4~図9を参照しながら以下に説明する。
実施例1のパチンコ機10は、遊技者が遊技を行うことのできる制御状態(遊技可能状態)において、2種類の営業モード(実遊技モード・試遊技モード)を設定可能であり、条件変化に合わせて、実遊技モードおよび試遊技モードの一方から他方へと営業モードを変更可能に構成されている。ここで、実遊技モードは、遊技者が実遊技(有料の貸球による遊技)を実行可能な営業モードであり、試遊技モードは、遊技者が試遊技(無料の貸球による遊技)を実行可能な営業モードである。
パチンコ機10の遊技制御CPU60aは、パチンコ機10の電源投入に伴う初期設定の実行後(遊技可能状態への移行時)、営業モードとして実遊技モードを設定する。この実遊技モードを、移行条件が成立した場合に限り、試遊技モードへと移行し、この試遊技モードについての終了条件が成立した場合は、実遊技モードに復帰する。なお、遊技制御CPU60aは、遊技制御RAM60cに備えられるモードフラグの値を「0」とすることで、実遊技モードを設定し、当該モードフラグの値を「1」とすることで、試遊技モードを設定するよう構成されている。すなわち、遊技制御CPU60aは、営業モードを実遊技モード・試遊技モードの一方から他方に移行させる営業モード移行手段として機能している。
(試遊技モードの開始時)
ここで、実施例1のパチンコ機1(遊技制御CPU60a)における試遊技モードへの移行条件は、「モード移行可能状態」において「モード移行操作」が行われること、となっている。この場合の「モード移行操作」は、遊技店の店員により、球貸ユニット50に対して行われる所定の操作を指し、「モード移行可能状態」は、浮き球(発射されて貯留通路28に戻っていないパチンコ球)が存在しないこと(第1の開始状況)、実遊技モード中であること(第2の開始状況)、遊技状態が低確低ベース状態であること(第3の開始状況)、保留数が「0」で、特図変動表示(図柄変動演出)が終了していること(第4の開始状況)、の4つの状況が全て揃った状態を指す。
ここで先ず、営業モードの移行に関連する球貸ユニット50の構成について説明する。図1に示すように、球貸ユニット50には、前述した紙幣挿入口51および媒体排出口52の他、遊技店の店員が所有する携帯端末からの操作信号を受信する受信部55が設けられている。この受信部55は、球貸ユニット50に備えられるユニット制御基板53と電気的に接続されている(図3参照)。
ユニット制御基板53は、受信部55での操作信号の入力に応じて、パチンコ機10の営業モードを実遊技モードから試遊技モードに移行させるためのモード移行通知信号(図4参照)をパチンコ機10に向けて出力する。このモード移行通知信号は、球数制御基板59(球数制御CPU59a)を介して遊技制御基板60(遊技制御CPU60a)に入力される。
ここで、球数制御CPU59aは、モード移行通知信号を入力した場合に、球数制御RAM59cの浮き球記憶エリア73に記憶される浮き球数を判定し、浮き球数が「0」である場合(前述した第1の開始状況である場合)に限り、ユニット制御基板53から入力したモード移行通知信号の、遊技制御CPU60aへの出力を許容する。すなわち、球数制御CPU59aは、発射球検出センサSEaによって検出されたものの使用済み球検出センサSEbやファール球検出センサSEcで検出されていないパチンコ球(浮き球)が存在している状況であれば、入力したモード移行通知信号を無効として処理する。なお、球数制御CPU59aは、モード移行通知信号を有効として処理(遊技制御CPU60aに出力)する場合は、貸球操作の無効期間を開始させる。すなわち、試遊技モード中は、遊技者による貸球操作が無効となる。
遊技制御CPU60aは、球数制御CPU59aを通じてモード移行通知信号を入力することにより、前述した第1の開始状況(浮き球が存在しない状況)であり、かつ前述したモード移行操作が行われたこと(球貸ユニット50の受信部55での操作信号の入力)を把握する。この場合に、遊技制御CPU60aは、モードフラグの値が「0」(実遊技モード中)であるか(前述した第2の開始状況であるか)を判定し、当該第2の開始状況である場合に、低確低ベース状態であるか(前述した第3の開始状況であるか)を判定し、当該第3の開始状況である場合に、保留数が「0」で特図変動表示が終了しているか(前述した第4の開始状況であるか)を判定する。そして、遊技制御CPU60aは、モード移行操作がモード移行可能状態(前述の第1~第4の開始状況が生じている場合)において行われたと判定した場合に、モードフラグの値を「0」から「1」に変更することで、試遊技モードを設定する(試遊技モードを開始する)。すなわち、遊技制御CPU60aは、移行条件の成立を契機として(モード移行操作を契機として)試遊技が可能な状態(試遊技モード)を開始する試遊技開始手段として機能している。
なお、遊技制御CPU60aは、モード移行通知信号を入力した時点でモードフラグの値が「1」であるか、高確状態および高ベース状態の何れかである場合には、入力したモード移行通知信号を無効と判定する。これに対し、モード移行通知信号を入力した時点でモードフラグの値が「0」(第2の開始状況)かつ低確低ベース状態(第3の開始状況)であるものの、第4の開始状況が生じていない場合は、所定時間(例えば1分間)にわたり、保留数が「0」で特図変動表示が終了したか否かの判定を定期的に実行し、この第4の開始状況が生じた時点で、モードフラグの値を「1」として試遊技モードを設定する。
ここで、球数制御CPU59aは、モードフラグの値が「0」の場合(実遊技中)と「1」の場合(試遊技中)とで、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72に設けられる別個の記憶領域72a,72bにおいて、持ち球数を記憶・更新するよう構成されている。具体的に、実遊技モード中における遊技者の持ち球数は、持ち球記憶エリア72における通常記憶領域72aに記憶され、その記憶された持ち球数に対応する値が球数表示器13fに表示される。一方、試遊技モード中における遊技者の持ち球数は、持ち球記憶エリア72における特別記憶領域72bに記憶され、その記憶された持ち球数に対応する値が球数表示器13fに表示される。
遊技制御CPU60aは、モードフラグの値を「0」から「1」に変更すること(実遊技モードから試遊技モードへの移行)に伴い、球数制御CPU59a(および演出制御CPU65a)に対し、試遊技モード開始指定コマンド(図4参照)を出力する。これに対し、球数制御CPU59aは、遊技者の持ち球数を記憶する対象の記憶領域を、通常記憶領域72aから特別記憶領域72bへと変更する。また、球数表示器13fには、特別記憶領域72bにおける持ち球数の値が表示される。
球数制御CPU59aは、通常記憶領域72aから特別記憶領域72bへの記憶領域の変更に伴い、特別記憶領域72bに所定数の持ち球(例えば、125個の持ち球)に相当する値を記憶させる。すなわち、球数制御CPU59aは、試遊技モードの開始に伴い、無料の貸球(持ち球)を遊技者に対して付与するよう制御を行う。なおこの場合に、通常記憶領域72aに記憶されている持ち球数の値は、クリアせず保持しておく。そして、以後の試遊技モードにおいて、球数制御CPU59aは、特別記憶領域72bに記憶される持ち球数の値を、貸球数に応じて加算し、ファール球の発生および賞球の発生に応じて加算すると共に、発射球の検出毎に減算する。なお、試遊技モード中の遊技状態や演出に関する制御については後述する。
(試遊技モードの終了時)
実施例1のパチンコ機1(遊技制御CPU60a)における試遊技モードの終了条件は、浮き球(発射されて貯留通路28に戻っていないパチンコ球)が存在しないこと(第1の終了状況)、試遊技モードの開始時に遊技者に無料で付与された貸球(所定数の持ち球)を遊技者が全て使い果たしたこと(第2の終了状況)、試遊技モード中であること(第3の終了状況)、保留数が「0」で、特図変動表示(図柄変動演出)が終了していること(第4の終了状況)、の4つの状況が全て揃うこと、となっている。パチンコ機10は、全ての状況が揃った時点で試遊技モードを終了し、実遊技モードに移行するよう制御を行う。
球数制御CPU59aは、試遊技モード中において定期的(例えば4ms毎)に、球数制御RAM59cの浮き球記憶エリア73に記憶される浮き球数を判定し、浮き球数が「0」である場合(前述した第1の終了状況である場合)には、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72における特別記憶領域72bに記憶される持ち球数を判定する。そして、持ち球数が「0」である場合(前述した第2の終了状況である場合)に、遊技制御CPU60aに向けて球無し通知コマンド(図4参照)を出力する。
遊技制御CPU60aは、球数制御CPU59aからの球無し通知コマンドを入力することにより、前述した第1の終了状況(浮き球が存在しない状況)であり、かつ前述した第2の終了状況(持ち球が存在しない状況)であることを把握する。この場合に、遊技制御CPU60aは、モードフラグの値が「1」(試遊技モード中)であるか(前述した第3の終了状況であるか)を判定し、当該第3の終了状況である場合に、保留数が「0」で特図変動表示が終了しているか(前述した第4の終了状況であるか)を判定する。そして、遊技制御CPU60aは、第1~第4の終了条件が全て生じたことに応じて、モードフラグの値を「1」から「0」に変更することで、実遊技モードを設定する(試遊技モードを終了する)。すなわち、遊技制御CPU60aは、終了条件の成立を契機として試遊技が可能な状態(試遊技モード)を終了する試遊技終了手段として機能している。
なお、遊技制御CPU60aは、球無し通知コマンドを入力した時点でモードフラグの値が「0」の場合には、入力した球無し通知コマンドを無効と判定する。これに対し、球無し通知コマンドを入力した時点でモードフラグの値が「1」(第3の終了状況)であるものの、第4の終了状況が生じていない場合は、保留数が「0」で特図変動表示が終了したか否かの判定を、定期的かつ継続的に実行し、この第4の終了状況が生じた時点で、モードフラグの値を「0」として実遊技モードを設定する。
遊技制御CPU60aは、モードフラグの値を「1」から「0」として実遊技モードを設定することに伴い、球数制御CPU59aに向けて貸球許可コマンド(図4参照)を出力する。これに対し、球数制御CPU59aは、貸球許可コマンドの入力を契機として貸球操作の無効期間を終了させる。すなわち、試遊技モードから実遊技モードへの移行タイミングに合わせて、遊技者による貸球操作が有効となる。
また、遊技制御CPU60aは、モードフラグの値を「1」から「0」として実遊技モードを設定することに伴い、球数制御CPU59a(および演出制御CPU65a)に向けて試遊技モード終了指定コマンド(図4参照)を出力する。これに対し、球数制御CPU59aは、特別記憶領域72bに記憶されている持ち球数の値をクリアしたもとで、遊技者の持ち球数を記憶する対象の記憶領域を、特別記憶領域72bから通常記憶領域72aへと変更する。この場合に、通常記憶領域72aは、試遊技モードが開始される直前と同じ持ち球数の値が記憶された状態で、持ち球数を記憶する対象として設定される。以後の実遊技モードにおいて、球数制御CPU59aは、通常記憶領域72aに記憶される持ち球数の値を、貸球数に応じて加算し、ファール球の発生および賞球の発生に応じて加算すると共に、発射球の検出毎に減算する。また、球数表示器13fには、通常記憶領域72aにおける持ち球数の値が表示される。
すなわち、実施例1のパチンコ機10は、試遊技モードでの遊技の結果が遊技者の利益の増減に反映しないようにするため、試遊技モードの開始前の持ち球数、すなわち実遊技モードでの遊技の結果として遊技者が所有することになった持ち球数(通常記憶領域72aの値)と、試遊技モードを終了して実遊技モードに移行した時点での遊技者の持ち球数(通常記憶領域72aの値)と、を一致させるように構成されている。
(試遊技モード中の遊技状態・大当り確率)
ここで、試遊技モード中の遊技状態について説明する。試遊技モードでは前述の如く、遊技者が金銭を使わずに遊技を行うことができる。この試遊技モードを設けることは、遊技店にとって、パチンコ機10での遊技の面白さを遊技者に理解して貰う機会を付与し得る点でメリットがある。しかし、試遊技モードとする期間が過度に長いと、遊技店側にとって実質的な利益が充分に得られず、デメリットが大きくなる。そこで、実施例1のパチンコ機10では、試遊技モード中の大当り確率(特図当り判定の当り確率)を、実遊技モード中の低確低ベース状態(すなわち通常遊技状態)での大当り確率(低確率)より高い確率である特定確率に維持することで、試遊技モードを開始してから大当り遊技状態が生起されるまでの時間(平均時間)を短縮し、試遊技モードが短時間であっても遊技者が高い確率で大当り遊技状態を体験できるようにしている。
具体的には、図5に示すように、試遊技モード中、遊技状態として高確低ベース状態が設定される。すなわち、遊技制御CPU60aは、試遊技モードが開始された時点で遊技状態を高確低ベース状態とし、また試遊技モード中に大当り遊技状態が生起された場合は、その大当り遊技状態の終了後の遊技状態を高確高ベース状態とする。なお、試遊技モード中(高確低ベース状態)の大当り確率(特定確率)は、実遊技モード中の高確状態での大当り確率(高確率)と等しく、当該実遊技モード中の低確状態での大当り確率(低確率)より高くなっている。また、試遊技モード中における始動入賞口31,32への入賞し易さは、実遊技モード中の高確低ベース状態と同じになっている。
また、試遊技モードは、所定の入賞口(特別入賞口)33への入賞に対する賞球数が実遊技モードと異なっている。前述のように、実施例1のパチンコ機10では、持ち球記憶エリア72の特別記憶領域72bに記憶される持ち球数が「0」であること(遊技者が持ち球を全て使い果たしたこと、第2の終了状況)が、試遊技モードの終了条件として設定されている。このため、試遊技モードにおいて大当り遊技状態が生起されると、遊技者による持ち球数が大幅に増加して試遊技モードの期間が過度に長くなり、遊技店側にとってデメリットが大きくなる。そこで、実施例1のパチンコ機10では、大当り遊技中に開放される特別入賞口33への入賞に対して付与する賞球数を、実遊技モードでの賞球数(例えば9個)よりも少ない数(例えば1個)とする。
具体的に、球数制御CPU59aは、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72における通常記憶領域72aが持ち球数を記憶する対象として設定されている状態(すなわち実遊技モード中)において第2賞球指定コマンドを入力した場合、通常記憶領域72aに記憶される持ち球数の値を「9」加算する。これに対し、持ち球記憶エリア72における特別記憶領域72bが持ち球数を記憶する対象として設定されている状態(すなわち試遊技モード中)において第2賞球指定コマンドを入力した場合は、特別記憶領域72bに記憶される持ち球数の値を「1」加算するようになっている。
(試遊技モード中の図柄変動演出)
次に、試遊技モード中の図柄変動演出について説明する。前述のように、試遊技モードでは、遊技者が金銭を使わずに遊技を行うことができるので、この試遊技モードでの遊技を通じて当該パチンコ機10での遊技(実遊技)に対する遊技者の関心を高めることができる。しかしながら、遊技者が試遊技モードで遊技を行う際、期待感を高めるような演出を確認できないと、逆効果になる。そこで、実施例1のパチンコ機10では、実遊技モード中に遊技者の期待感を高めるために実行され得る所定の演出(所定の図柄変動演出)を、試遊技モードにおいて実遊技モードより高い確率で実行するようにしている。そこで、実遊技モードおよび試遊技モードにおける図柄変動演出の実行確率の違いについて説明する。
遊技制御CPU60aは、複数種類の特図変動パターンHP1~HP8の何れかを特図変動P決定テーブルT1,T2に基づいて決定するように構成されている。ここで、遊技制御CPU60aは、モードフラグの値が「0」の期間(実遊技モード中)には、図6(a)に示す実遊技用の特図変動P(パターン)決定テーブルT1を参照して特図変動パターンを決定する一方、モードフラグの値が「1」の期間(試遊技モード中)には、図6(b)に示す試遊技用の特図変動P(パターン)決定テーブルT2を参照して特図変動パターンを決定する。なお、実施例1では、実遊技モード中、実遊技用の特図変動P決定テーブルT1(図6(a)参照)を遊技状態に関わらず参照するよう構成されているが、低確低ベース状態でのみ当該テーブルT1を参照し、高確状態や高ベース状態では別のテーブルを参照して特図変動パターンを決定するように構成してもよい。また、図6(a)および図6(b)では、対応する営業モード(実遊技モードまたは試遊技モード)で決定することのない特図変動パターンを含めた全ての特図変動パターンHP1~HP8を各テーブルT1,T2に設定しているが、実行確率が「0%」の特図変動パターンを除外してもよい。
図6(a)および図6(b)に示すように、各特図変動P決定テーブルT1,T2には、特図当り判定が外れの判定結果となった場合に遊技制御CPU60aが決定可能な特図変動パターン(外れ特図変動パターン)として、変動時間10秒を特定する「通常はずれ変動パターンHP1」、変動時間5秒を特定する「短縮はずれ変動パターンHP2」、変動時間15秒を特定する「外れノーマルR(リーチ)変動パターンHP3」、変動時間20秒を特定する「外れ発展R(リーチ)変動パターンHP4」、変動時間30秒を特定する「外れ再発展R(リーチ)変動パターンHP5」が設定されている。図6(a)および図6(b)では、特図当り判定が外れの判定結果となった場合に実行する外れ特図変動パターン抽選での各外れ特図変動パターンHP1~HP5の決定確率を右端部に示してある。
また、各テーブルT1,T2には、特図当り判定が当りの判定結果となった場合に遊技制御CPU60aが決定可能な特図変動パターン(当り特図変動パターン)として、変動時間15秒を特定する「当りノーマルR(リーチ)変動パターンHP6」、変動時間20秒を特定する「当り発展R(リーチ)変動パターンHP7」、変動時間30秒を特定する「当り再発展R(リーチ)変動パターンHP8」が設定されている。図6(a)および図6(b)では、特図当り判定が当りの判定結果となった場合に実行する当り特図変動パターン抽選での各当り特図変動パターンHP6~HP8の決定確率を右端部に示してある。
各特図変動パターンHP1~HP8により特定される図柄変動演出を大まかに分類すると、大当りとなる期待度が低い方から順に、特図変動パターンHP1,HP2に対応する「はずれ(非リーチ)」、特図変動パターンHP3,HP6に対応する「ノーマルリーチ」、特図変動パターンHP4,HP7に対応する「発展リーチ」、特図変動パターンHP5,HP8に対応する「再発展リーチ」、の4種類となる。「はずれ(非リーチ)」は、リーチが成立せず終了する図柄変動演出であり、「ノーマルリーチ」は、リーチ成立後、図柄の背景画像がリーチ成立前から変化しない未発展演出の段階で終了する図柄変動演出であり、「発展リーチ」は、リーチ成立後、未発展演出から背景画像が変化して発展演出となって終了する図柄変動演出であり、「再発展リーチ」は、リーチ成立後、未発展演出から発展演出となり、更に背景画像が変化して再発展演出となって終了する図柄変動演出である。なお、図柄変動演出のより細かな演出内容は、演出制御CPU65aが特図変動パターン指定コマンドの入力に応じて決定する。すなわち、演出制御CPU65aは、特図当り判定の判定結果に基づいて演出を決定する演出決定手段として機能している。
ここで、図6(a)および図6(b)における特図変動パターンHP1,HP2の決定確率から明らかなように、リーチを成立させない「はずれ(非リーチ)」に対応する特図変動パターンとして、実遊技モード中は「通常はずれ変動パターンHP1」のみ決定される可能性があるのに対し、試遊技モード中は「短縮はずれ変動パターンHP2」のみ決定される可能性がある。すなわち、試遊技モード中における「はずれ(非リーチ)」の図柄変動演出の変動時間(5秒)は、実遊技モード中における「はずれ(非リーチ)」の図柄変動演出の変動時間(10秒)よりも短く、試遊技モードの長時間化が防止されている。
また、図6(a)および図6(b)における特図変動パターンHP4,HP5の決定確率から明らかなように、特図当り判定が外れの判定結果となった場合の図柄変動演出(図柄表示装置17による演出)の決定確率が、実遊技モードと試遊技モードとで異なっている。具体的には、特図当り判定が外れの判定結果となった場合、「外れ発展R変動パターンHP4」に対応する種類の図柄変動演出は、実遊技モード中「8%」の確率で決定・実行されるのに対し、試遊技モード中は「40%」の確率で決定・実行される。一方、「外れ再発展R変動パターンHP5」に対応する種類の図柄変動演出は、実遊技モード中「2%」の確率で決定・実行されるのに対し、試遊技モード中は決定・実行されない(「0%」)。すなわち、実遊技モードから試遊技モードに移行した場合、「ノーマルリーチ」よりも大当りの期待度が高い「発展リーチ」の決定確率が高められ、試遊技モードにおいて遊技を行う遊技者が「発展リーチ」を確認できる機会が高い確率で付与される。また、実遊技モードから試遊技モードに移行した場合、大当りの期待度が最も高い「再発展リーチ」が実行されると必ず大当りとなる(大当り遊技状態が生起される)ため、試遊技モードにおいて遊技を行う遊技者に対し、「再発展リーチ」を期待度の高い図柄変動演出として印象付けることができる。
遊技制御CPU60aは、前述の特図変動P決定テーブルT1,T2を参照して決定した特図変動パターンHP1~HP8を特図変動パターン指定コマンドとして演出制御CPU65aに出力する。演出制御CPU65aは、入力した特図変動パターン指定コマンドに基づいて特定した特図変動パターンHP1~HP8の種類と、図7(a)および図7(b)に示す演出パターン決定テーブルT3,T4とに基づいて、図柄変動演出の具体的な内容に対応する複数種類の演出パターンの何れかを決定するよう構成されている。但し、演出制御CPU65aは、実遊技モード中(試遊技モード開始指定コマンドの未入力状態)には実遊技用の演出パターン決定テーブルT3を参照して演出パターンを決定し、試遊技モード中(試遊技モード開始指定コマンドの入力から試遊技モード終了指定コマンドの入力まで)には試遊技用の演出パターン決定テーブルT4を参照して演出パターンを決定する。
図7(a)および図7(b)に示すように、演出制御CPU65aは例えば、特図変動パターンHP1~HP8として「外れ発展R変動パターンHP4」を特定した場合、第1~第4外れ発展R(リーチ)演出パターンEPhA~EPhDの何れかを決定し、「当り発展R変動パターンHP7」を特定した場合、第1~第4当り発展R(リーチ)演出パターンEPaA~EPaDの何れかを決定する。ここで、実遊技モード中における外れ発展R演出パターンEPhA~EPhDの決定確率(図7(a)参照)は、上段の演出パターンから順に「20%」、「30%」、「20%」、「30%」と設定され、実遊技モード中における当り発展R演出パターンEPaA~EPaDの決定確率(図7(a)参照)は、上段の演出パターンから順に「20%」、「30%」、「20%」、「30%」に設定されている。これに対し、図7(b)に示すように、試遊技モード中における外れ発展R演出パターンEPhA~EPhDおよび当り発展R演出パターンEPaA~EPaDの決定確率は、何れも「25%」に設定されている。すなわち、実遊技モードから試遊技モードに移行した場合、試遊技モードにおいて遊技を行う遊技者が4種類の「発展リーチ」の夫々を確認できる機会が満遍なく付与される。
(説明演出)
次に、試遊技モード中にのみ実行され得る(試遊技モード特有の)説明演出について説明する。前述のように、試遊技モードでは、遊技者が金銭を使わずに遊技を行うことができる。しかし、この試遊技モードの遊技方法や演出内容が理解し難いものであったりすると、パチンコ機10での遊技(実遊技)に対する遊技者の関心を高めることができない虞がある。そこで、演出制御CPU65aは、試遊技モードにおいて、実遊技モードと共通する遊技や演出を行い、その遊技方法(遊技のしかた)や演出内容に関する所定の説明を含む説明演出を、演出実行手段としての図柄表示装置17に実行させるよう制御を行う。
図8は、遊技方法に関する説明を含む説明演出の一例として、遊技領域20aを表す遊技領域画像75の第1位置(遊技領域20aの上部中央)を指す矢印および「ここを狙って打ち出します」という文字情報を含む第1の説明演出Saと、遊技領域画像75の第2位置(第1始動入賞口31)を指す矢印および「ここに入れて下さい」という文字情報を含む第2の説明演出Sbとが図柄表示装置17に表示された状態を示している。すなわち、第1の説明演出Saにより、試遊技モードで遊技を行う遊技者に対し、パチンコ球の適切な打出し位置が示され、第2の説明演出Sbにより、試遊技モードで遊技を行う遊技者に対し、パチンコ球を入球させる対象の入球口が示される。演出制御CPU65aは、試遊技モードの開始タイミングから第1始動入賞口31への最初の入賞が発生するまでの間、図柄表示装置17に遊技領域画像75、第1の説明演出Saおよび第2の説明演出Sbを表示させる。
図9には、図柄変動演出中における図柄表示装置17での表示内容の変化のしかたと、演出に関する説明を含む第3・第4の説明演出Sc,Sdが実行される各タイミングとを示している。「ノーマルリーチ」、「発展リーチ」および「再発展リーチ」の各図柄変動演出においてリーチ成立直後から行われる未発展演出は、リーチ成立前と共通の「背景画像1」の前側にリーチの組み合わせの図柄(図示せず)を表示した状態で行う演出であり、「背景画像1」の表示状態で図柄が大当りの組み合わせまたは外れの組み合わせで表示されて終了するか、「背景画像1」から別の背景画像に変化してリーチ演出が継続する。試遊技モードでは、このような流れを理解容易とするための第3の説明演出Scが、未発展演出の実行期間に合わせて図柄表示装置17に表示される。この第3の説明演出Scは例えば、「背景画像1」から別の背景画像に変化すると大当りの期待度が高いことや、別の背景画像として具体的にどのような背景画像に変化する可能性があるか等の説明を含む演出として実行される。
「発展リーチ」および「再発展リーチ」の各図柄変動演出において未発展演出の後に行われる発展演出は、「背景画像1」(「ノーマルリーチ演出」の背景画像)から変化した別の背景画像(「背景画像2-1」~「背景画像2-4」の何れか)の前側にリーチの組み合わせの図柄(図示せず)を表示した状態で行う演出である。例えば「背景画像2-1」を表示する発展演出は、「背景画像2-1」の表示状態で図柄が大当りの組み合わせまたは外れの組み合わせで表示されて終了するか、「背景画像2-1」から別の背景画像に変化してリーチ演出が継続する。試遊技モードでは、このような流れを理解容易かつ予測可能とするための第4の説明演出Sdが、「発展リーチ演出」の実行期間に合わせて図柄表示装置17に表示される。この第4の説明演出Sdは例えば、「背景画像2-1」の表示中に「キャラX」が表示され、かつ動作1を行う(動作2を行わない)と、結果的に図柄が大当りの組み合わせで表示されることや、「背景画像2-1」の表示中に「キャラY」が表示されると、その後に「背景画像2-1」が別の背景画像に変化してリーチ演出が継続すること等の説明を含む演出として実行される。
(実施例1の作用)
次に、前述した実施例1に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
実施例1のパチンコ機10で実遊技(有料の貸球による遊技)を開始する場合、遊技者は、球貸ユニット50の紙幣挿入口51に紙幣を挿入する。遊技者が例えば一万円札を紙幣挿入口51に挿入すると、球貸ユニット50のユニット制御基板53からの投入額通知信号がパチンコ機10の球数制御CPU59aに入力される。球数制御CPU59aは、入力した投入額通知信号により投入額を特定する。その結果、球数制御RAM59cの残額記憶エリア71には、投入額(一万円)に対応する値が記憶する。
遊技者がパチンコ機10の貸球操作ボタン13dを操作して五百円分の貸球操作を行うと、貸球操作前に残額記憶エリア71に記憶されていた残額(一万円)が、貸球操作による使用金額(五百円)を差し引いた金額(九千五百円)に変更される。また、球数制御CPU59aは、貸球操作による使用金額(五百円)に対応する貸球数(125個)を特定し、この貸球数に対応する値を持ち球記憶エリア72の通常記憶領域72aに記憶する。なお、パチンコ機10は、30個のパチンコ球を機内部に封入した封入式パチンコ機であり、遊技者の持ち球数を記憶データとして持ち球記憶エリア72に記憶して管理すると共に、記憶した持ち球数を球数表示器13fに表示して遊技者に報知している。貸球数(125個)が遊技者の持ち球数となるので、球数制御CPU59aは、球数表示器13fの表示を「000000」から「000125」に変更する。
遊技者が操作ハンドル16の操作レバー16aを操作して発射したパチンコ球が遊技領域20aに到達すると、当該パチンコ球は遊技領域20aを流下して入賞口31,32,33に入賞したり、またはどの入賞口31,32,33にも入賞せずアウト口23から排出される。例えばパチンコ球が始動入賞口31,32に入球すると、そのパチンコ球は始動入賞検出センサSE1,SE2により検出される。パチンコ機10の遊技制御CPU60aは、始動入賞検出センサSE1,SE2による検出を契機として、第1賞球指定コマンドを球数制御CPU59aに向けて出力する。また、遊技制御CPU60aは、始動入賞検出センサSE1,SE2による検出を契機として特図当り判定(当否判定)を実行し、この特図当り判定が当りの判定結果となった場合は、大当り遊技状態を生起させる。大当り遊技状態では、特別入賞口33が開放される。特別入賞口33に入球したパチンコ球は特別入賞検出センサSE3により検出される。これに対し、遊技制御CPU60aは、特別入賞検出センサSE3による検出を契機として、第2賞球指定コマンドを球数制御CPU59aに向けて出力する。
球数制御CPU59aは、第1賞球指定コマンドの入力に応じて、始動入賞口31,32への入賞に対応する数の賞球を付与し、第2賞球指定コマンドの入力に応じて、特別入賞口33への入賞に対応する数の賞球を付与する。この場合に球数制御CPU59aは、賞球指定コマンドの入力に応じて特定される賞球数を、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72における通常記憶領域72aに記憶される持ち球数に加算し、これにより賞球を付与する。また、球数制御CPU59aは、ファール球検出センサSEcによるファール球の検出毎に通常記憶領域72aの持ち球数を「1」加算し、発射球検出センサSEaによる発射球の検出毎に通常記憶領域72aの持ち球数を「1」減算する。
ここで、遊技者が試遊技(無料の貸球による遊技)を行う場合、遊技店員を呼び出して試遊技モードへの移行を指示する。これに対し、遊技店員は、パチンコ機10の遊技状態を確認し、低確低ベース状態であれば、モード移行操作を行って(携帯端末を操作して)球貸ユニット50の受信部55に操作信号を送信する。この場合に、遊技者の持ち球数が例えば125個であれば、通常記憶領域72aには、125個の持ち球に対応する値が記憶されており、この持ち球数(125個)を示す「000125」の数値が球数表示器13fに表示されている。
球貸ユニット50のユニット制御基板53は、受信部55での操作信号の受信に基づいて、モード移行通知信号をパチンコ機10に出力する。このモード移行通知信号は、パチンコ機10において球数制御CPU59aを介して遊技制御CPU60aに入力する。但し、球数制御CPU59aは、浮き球記憶エリア73に記憶される浮き球数が「0」である場合に限り、遊技制御CPU60aへのモード通知信号の出力を許容する。
遊技制御CPU60aは、モード移行通知信号を入力した場合に、モードフラグの値が「0」(実遊技モード中)であることを確認すると共に、特図変動表示の保留数が「0」であって特図変動表示が終了している(行われていない)ことを判定すると、モードフラグの値を「0」から「1」に変更する。これにより、試遊技モードが開始される。この場合、遊技制御CPU60aは、試遊技モード開始指定コマンドを出力する。球数制御CPU59aは、試遊技モード開始指定コマンドの入力に応じて、持ち球を記憶する対象を、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72における通常記憶領域72aから、当該持ち球記憶エリア72における特別記憶領域72bへと変更する。なお、通常記憶領域72aの値(試遊技モードを開始する前の持ち球数(125個))は、クリアせず保持しておく。
遊技制御CPU60aは、モードフラグの値を「0」から「1」に変更する場合(実遊技モードから試遊技モードに移行する場合)において、遊技状態を高確低ベース状態に設定する。また、試遊技モード中に大当り遊技状態が生起された場合は、その大当り遊技状態の終了時に、遊技状態を高確低ベース状態に設定する。すなわち、試遊技モード中における特図当り判定が当りの判定結果となる確率(大当り確率)は、実遊技モードでの低確低ベース状態(通常遊技状態)よりも高確率となる。
演出制御CPU65aは、実遊技モードの開始タイミング(すなわち試遊技モード開始指定コマンドの入力時)から当該試遊技モードにおける最初の第1始動入賞口31の入賞時までの間、遊技者が遊技領域20aのどこを狙ってパチンコ球を打ち出せばよいかに関する説明(遊技方法に関する説明)を含む第1の説明演出Saと、遊技者がパチンコ球をどの入球口に入球させればよいかに関する説明(遊技方法に関する説明)を含む第2の説明演出Sbとを、図柄表示装置17に表示させる。
球数制御CPU59aは、試遊技モードにおいて、賞球指定コマンドの入力に応じて特定される賞球数を、特別記憶領域72bに記憶される持ち球数に加算し、これにより賞球を付与する。また、球数制御CPU59aは、ファール球検出センサSEcによるファール球の検出毎に特別記憶領域72bの持ち球数を「1」加算し、発射球検出センサSEaによる発射球の検出毎に特別記憶領域72bの持ち球数を「1」減算する。
また、遊技制御CPU60aは、特図変動パターンを決定する場合、モードフラグの値が「0」の場合(実遊技モード中)には、実遊技用の特図変動P決定テーブルT1を参照して複数の特図変動パターンHP1,HP3~HP8の何れかを決定する一方、モードフラグの値が「1」の場合(試遊技モード中)には、試遊技用の特図変動P決定テーブルT2を参照して複数の特図変動パターンHP2~HP8の何れかを決定する。これにより、例えば、特図当り判定が外れの判定結果の場合における「外れ発展R変動パターンHP4」の決定確率は、実遊技モード中が「8%」であるのに対し、試遊技モード中は「40%」となり、実遊技モード中よりも試遊技モード中の方が決定され易くなる。
演出制御CPU65aは、実遊技モード中(試遊技モード開始指定コマンドの未入力状態)には、実遊技用の演出パターン決定テーブルT3を参照して演出パターンを決定する一方、試遊技モード中(試遊技モード開始指定コマンドの入力から試遊技モード終了指定コマンドの入力まで)には、試遊技用の演出パターン決定テーブルT4を参照して演出パターンを決定する。これにより、例えば、「外れ発展R変動パターンHP4」に対応する特図変動パターン指定コマンドの入力時における第3外れ発展R演出パターンEPhCの決定確率は、実遊技モード中が「10%」であるのに対し、試遊技モード中は「25%」となり、実遊技モード中よりも試遊技モード中の方が決定され易くなる。
また、演出制御CPU65aは、試遊技モード中(試遊技モード開始指定コマンドの入力から試遊技モード終了指定コマンドの入力まで)の図柄変動演出に対応して、未発展演出から発展演出への変化や、発展演出から再発展演出への変化に関する第3の説明演出Scおよび第4の説明演出Sd等の説明演出を、図柄表示装置17に表示させる。
球数制御CPU59aは、試遊技モード中において、浮き球数が「0」であり、試遊技モードでの持ち球(すなわち、特別記憶領域72aに記憶される持ち球数)が「0」となった場合に、球無し通知コマンドを遊技制御CPU60aに向けて出力する。この球無し通知コマンドを入力した遊技制御CPU60aが、モードフラグの値が「1」であって特図変動表示の保留数が「0」であり、特図変動表示が終了している場合に、モードフラグの値を「1」から「0」に変更して試遊技モードを終了(実遊技モードに移行)し、球数制御CPU59aに向けて、貸球許可コマンドおよび試遊技モード終了指定コマンドを出力する。これに対し、球数制御CPU59aは、貸球操作を有効にすると共に、持ち球を記憶する対象を、球数制御RAM59cの持ち球記憶エリア72における特別記憶領域72bから、当該持ち球記憶エリア72における通常記憶領域72aへと変更する。なおこの場合に、通常記憶領域72aには、試遊技モードの開始前にクリアせず保持しておいた持ち球数(125個)に対応する値が記憶されている。このため、試遊技モードを終了して実遊技モードに移行する際、球数表示器13fの表示は「000000」から「000125」に変更される。
すなわち、実施例1のパチンコ機10は、遊技者によるパチンコ球(遊技媒体)の所有数である持ち球数を球数制御CPU59aの記憶データとして管理する封入式パチンコ機であり、遊技制御CPU60a(営業モード移行手段)が、営業モードを実遊技モード・試遊技モードの一方から他方に移行させるようになっており、試遊技モードの開始直前と当該試遊技モードの終了直後とで、遊技者の持ち球数を示す記憶データ上の数値が同じになるように構成されているので、試遊技モードの期間を、遊技結果が遊技者の持ち球数に影響しない期間として遊技者に付与することができる。従って遊技者は、試遊技モードでの遊技に応じて演出や遊技方法に関する理解を高めた後、実遊技モードでの遊技を行うことができる。遊技者が試遊技モードにおいて演出や遊技方法を気軽に確認できるようにすることで、パチンコ機10で採用されている演出や遊技方法に遊技者を惹き付け、実遊技への意欲を高めることができる。すなわち、遊技結果が遊技媒体の所有数に影響しない試遊技モードでの遊技を可能としたことで、パチンコ機10での遊技に対する興趣向上、延いては遊技店の集客力の向上に貢献し得る。
また、パチンコ機10は、遊技制御CPU60aにより設定される試遊技モード中、特図当り判定(当否判定)の大当り確率が実遊技モード中の低確状態(通常遊技状態)より高確率に維持されるので、試遊技モードでの遊技に応じて大当り遊技状態(特別遊技状態)が生起されるまでの平均時間を短縮することができる。そして、試遊技モードが比較的短い期間であっても高い確率で遊技者に大当り遊技状態を経験させることができる。
更に、パチンコ機10は、遊技制御CPU60aによる特図当り判定が外れの判定結果となった場合の演出制御CPU65a(演出決定手段)による演出パターンの決定確率が、試遊技モードと実遊技モードとで異なるので、試遊技モードでの遊技に応じて所定の演出(例えば高期待演出)が実行されるまでの平均時間を短縮することができる。そして、試遊技モードが比較的短い期間であっても高い確率で遊技者に所定の演出を経験させることができる。
更にまた、パチンコ機10は、演出実行手段としての図柄表示装置17が、演出または遊技方法に関する説明を含む第1および第2の説明演出Sa,Sbや、図柄変動演出中の演出に関する説明を含む第3および第4の説明演出Sc,Sdを、実遊技モードおよび試遊技モードのうち試遊技モードにのみ実行し得る。このため、遊技者が試遊技モードでの遊技を行って説明演出Sa,Sb,Sc,Sdを確認することに応じて、演出や遊技方法に関する理解を深めることができる。