JP7089841B2 - 新規なコアシェル型ナノ粒子およびその製造方法 - Google Patents

新規なコアシェル型ナノ粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なコアシェル型ナノ粒子およびその製造方法に関する。
磁性材料からなるナノ粒子は、外部磁場によってマニピュレートできることやナノ粒子が発する磁気シグナルを利用し、磁気分離、磁気免疫診断、MRI造影等への応用が期待されている。一方、金属ナノ粒子は、バルク金属とは異なる物理的、化学的特性を有しており、基礎・応用双方の観点から極めて重要な物質である。特に金属ナノ粒子のうち、AuやAgなどの貴金属のナノ粒子は、局在表面プラズモン共鳴や表面増強ラマン散乱といった特異な光学的効果を発現する興味深い物質である。
近年、磁性-プラズモニック複合ナノ粒子(Magnetic-plasmonic hybrid nanoparticles)が、プラズモニックイメージングと磁性を利用したマニュピレーションを同時に行うことができる有望な材料として注目されている。非特許文献1は、磁性-プラズモニック複合ナノ粒子として、Agで構成されるコアと、FeCoで構成される磁性のシェルと、さらにその外側にAgで構成されるシェルを有する(Ag@FeCo@Agと表される。)ナノ粒子について報告する。また非特許文献2は、AgAu@FeCo@AgAu型のナノ粒子の酸化に対する耐性を、Ag@FeCo@Ag型のナノ粒子と比較し、報告する。
一方、金属ナノ粒子の製造方法として、金属塩の還元による方法がよく知られている。金属塩としては、ハロゲン化物や硝酸塩等が主に用いられる。前掲非特許文献2においては、ポリオール法とホットインジェクション法を組み合わせた製造方法により、ナノ粒子を合成している。ここでは、硝酸銀、オレイルアミン、オレイン酸、1,2-ヘキサデカンジオール、およびテトラエチレングリコールの混合溶液に、昇温した後、鉄(III)アセチルアセトナート、コバルト(II)アセチルアセトナート、オレイルアミン、およびトルエンの混合溶液を添加し、さらに昇温後に、硝酸銀、オレイルアミン、およびトルエンの混合溶液(AgAu@FeCo@AgAu型を合成する場合はさらに酢酸金(III)を含む。)を添加することにより、所望のナノ粒子を得たことが報告されている。
S. Nishimura et al., J. Phys. Chem. C 116 (2012) 4511 M. Takahashi et Al., 2016 MRS Spring Meeting & Exhibit J.P.13(March 28-April 1, 2016)
本発明は、飽和磁化の経時変化を抑制することが可能であり、そのため経時変化後の飽和磁化をより高く維持することが可能な、新規なナノ粒子を提供することを課題としてなされたものである。
今般、本発明者らは、新規な製造方法により、Auで構成されるコアとFeCo合金で構成されるシェルからなるナノ粒子、Au@FeCoナノ粒子を合成した。従来のAg@FeCo@Agナノ粒子においては、FeCoで構成される中間シェルの酸化が、AgコアからFeCoシェルへの電子移動によりある程度抑制されているが、実際に使用される場面を想定すると、空気中での長期間の化学的安定性が十分ではないおそれがある。この点、Au@FeCoナノ粒子は、AuがAgよりも電気陰性度が大きく、そのためコアからシェルへの電子移動の度合いがより大きいことから、飽和磁化の経時的な低下が抑制可能であり、実用上、Ag@FeCo系よりも優れた酸化耐性を有することが期待できる。
本発明は、以下を提供する。
[1](a)Auを含むコアと、
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含むシェルと、
を含むコアシェル型ナノ粒子。
[2]部分(a)が、Auからなる、 1に記載のナノ粒子。
[3]部分(b)が、FeおよびCoを含む、1または2のいずれか1項に記載のナノ粒子。
[4]磁性を有する、1から3のいずれか1項に記載のナノ粒子。
[5]部分(b)が、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つの金属状態のものを含む、1から4のいずれか1項に記載のナノ粒子。
[6]部分(b)が、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物を有する、1から5のいずれか1項に記載のナノ粒子。
[7]酢酸金(III)を還元して部分(a)を得る工程を含む、1から6のいずれか1項に記載のナノ粒子を製造する方法。
[8]酢酸金(III)を、Fe塩およびCo塩の存在下で還元する、7に記載の製造方法。
本発明により、新規なコアシェル型ナノ粒子、およびその製造方法が提供される。
得られたAu@FeCoナノ粒子のTEM画像 得られたAu@FeCoナノ粒子のXRDパターン
本発明により、飽和磁化の経時変化を抑制することが可能であり、そのため経時変化後の飽和磁化をより高く維持することが可能な、新規な構造を有するコアシェル型ナノ粒子が提供される。
<ナノ粒子>
本発明は、下記の部分(a)および部分(b)を含む、コアシェル型ナノ粒子を提供する。
(a)Auを含むコア
(b)Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含むシェル
<部分(a)>
ナノ粒子における部分(a)は、少なくとも金(Au)を含む。AuはAg(銀)より電気陰性度が大きく、そのためコアからシェルへの電子移動の度合いがより大きいことから、Ag@FeCo系よりも優れた酸化耐性を有すると考えられるからである。部分(a)は、Au以外の貴金属である、Ag、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、およびオスミウム(Os)からなる群より選択される少なくとも一つ、またはAuおよびAgと同じく11属同族元素であり、それらと性質の似た、銅(Cu)を含んでいてもよい。これらの材料は、不活性かつ安定であることから、Auと同様、ナノ粒子の酸化に対する安定性を高めることができる。また、プラズモン吸収等による着色により、ナノ粒子の存在の検出や、吸光度測定による粒子濃度の定量が可能であるという利点も有する。好ましい態様において部分(a)は、部分(b)がいずれの材料であっても、Au、またはAgとAuの合金からなる(Au単体、すなわち実質的にAuのみからなるか、または実質的にAgとAuの合金のみからなる)ことが好ましく、Au単体であることがより好ましい。プラズモン吸収による着色が強く、液中で濃度が低い場合であっても吸光度を測定することで、粒子濃度を決定することが容易だからである。
<部分(b)>
ナノ粒子における部分(b)は、Fe(鉄)、Co(コバルト)、およびNi(ニッケル)からなる群より選択される少なくとも1つを含む材料で構成される。
好ましい態様において部分(b)は、部分(a)がいずれの材料であっても、FeおよびCoを含む。その理由は、FeおよびCoを含むと、FeCo合金を形成するなどして、高い飽和磁化、および高い透磁率を示すからである。一般に、FeへのCoの添加は飽和磁化を高くすることが知られており、より好ましい態様において部分(b)は、Fe30-70とCoとの合金で構成され、さらに好ましい態様において部分(b)はFe40-60とCoの合金、例えばFe50Co50を含む磁性材料で構成される。
部分(b)は、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つの金属状態のものを含んでもよい。これらを含んでいると、飽和磁化が大きくなる傾向にあり、好ましい。また部分(b)は、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物を含んでもよい。酸化物を有していると、経時によるナノ粒子の酸化による着色や磁性等の諸物性の変化が小さくなり、実用上好ましい。特に、マグネタイト(Fe34)、マグヘマイト(γ-Fe23)CoFe24やNiFe24等のフェライト類の酸化物等、酸化物が磁性を有していると、経時的に磁性が変化した場合であっても高い飽和磁化を示すため、実用上特に好ましい。Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つの金属状態のものの例は、FeCoである。Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つの酸化物の例は、NiO、NiO2等ニッケルの酸化物、CoO、CoO2、CoO3、Co34等コバルトの酸化物、FeO、Fe23、Fe34、Fe45等鉄の酸化物、CoxFe1-xO、CoxFe2-x4CoFe 2 4 等コバルトと鉄の複合酸化物、NixFe1-xO、NixFe2-x4、Ni2FeO4等ニッケルと鉄の複合酸化物、CoNi24等ニッケルとコバルトの複合酸化物、Co0.5Ni0.5Fe24等ニッケル、コバルト、鉄の複合酸化物である。特に好ましい例は、CoFe24,Fe34である。Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つの金属状態のものが含まれることは、XPS(X線光電子分光法)測定により確認することができ、Fe、Co、およびNiからなる群より選択される少なくとも1つを含む酸化物が含まれることは、XRD(X線回折)測定により確認することができる。
部分(b)を構成する材料として、磁性材料から適宜選択すると、ナノ粒子に磁性を付与することができ、好ましい。公知の磁性材料としては、例えば、Fe単体、Co単体、Ni単体、マグネタイト(Fe34)、マグヘマイト(γ-Fe23)等これらの酸化物、またはFe、CoおよびNiから選択される2以上の元素を含む磁性材料が挙げられる。Fe、CoおよびNiから選択される2以上の元素を含む磁性材料としては、例えば、FeCo合金、FeNi合金、CoNi合金、FeCoNi合金等や、CoFe24、NiFe24等のフェライト類の酸化物等が挙げられる。
部分(b)を構成する材料は、さらに他の元素を含んでいてもよい。他の元素の例は、窒素(N)もしくは炭素(C)、またはMg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn、希土類元素から選ばれる少なくとも1つの非磁性金属であり得る。
<コア、シェル、ダブルシェル>
本発明のナノ粒子は、コアシェル型であるが、部分(a)がコアであり、かつ部分(b)がシェルである。好ましい態様においては、ナノ粒子は、シェルの外側に第二のシェルを有するダブルシェル型であってもよい。本発明でコアシェル型というときは、特に記載した場合を除き、ダブルシェル型を含み、またシェルというときは、第二のシェル(「ダブルシェル」ともいう。)を含む。なお本発明に関し、ナノ粒子の構成を「@」を用いて表す場合、特に記載した場合を除き、より内側のものを左側により外側のものを右側に示している。例えば「Au@FeCo@Ag」は、ダブルシェル型(コア―シェル―第二のシェル型)のナノ粒子であって、Auで構成されるコアと、FeおよびCoを含む材料で構成されるシェルと、Agで構成される最外側のシェル(ダブルシェル)を含む、ナノ粒子を表す。
本発明のナノ粒子におけるコアの平均粒径は、特に限定されないが、例えば1nm以上500nm以下であり、2nm以上200nm以下であることが好ましく、4nm以上100nm以下であることがより好ましい。また、本発明のナノ粒子における、ダブルシェル型でない場合の最外側シェル、およびダブルシェル型である場合の、内側のシェルの平均厚さも特に限定されないが、例えば0.5nm以上250nm以下であり、1nm以上100nm以下であることが好ましく、2nm以上50nm以下であることがより好ましい。さらに、本発明のナノ粒子における、ダブルシェル型である場合の最外側シェルの平均厚さも特に限定されないが、例えば0.5nm以上20nm以下であり、0.7nm以上10nm以下であることが好ましく、1nm以上5nm以下であることがより好ましい。
ナノ粒子全体の平均粒径もまた、特に限定されないが、ダブルシェル型でない場合であってもダブルシェル型である場合であっても、例えば3nm以上1000nm以下であり、5nm以上500nm以下であることが好ましく、8nm以上200nm以下であることがより好ましい。
ナノ粒子のコアの平均粒子径およびシェルの平均厚さは、次のようにして求めることができる。エタノール等適切な溶媒で希釈したナノ粒子試料をマイクログリット上に滴下し、乾燥させてTEM観察用サンプルを作製する。その後、サンプルのSTEM-HAADF画像を撮影する。このとき、併せて、EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置等を用いて構成元素の定性分析を行うこともできる。得られたSTEM-HAADF画像におけるナノ粒子の面積範囲を画像解析ソフトを用いて処理し、複合ナノ粒子に含まれるコアの粒径(円面積相当径)とシェルの厚みを測定して平均値を算出し、値に基づき、コアの平均粒子径およびシェルの厚さを求める。 なお、試料によっては、TEM画像から、コアシェル構造を確認できる場合がある。またナノ粒子の平均粒径は、以下のようにして測定することができる。まず、視野内に十分多数のナノ粒子を含むTEM(透過型電子顕微鏡)写真を用意する。次に、このTEM写真において、複数個、好ましくは300~500個のナノ粒子の粒径をそれぞれ測定する。ナノ粒子の形状が真円ではない場合、長軸径を測定する。測定した粒径の平均値を算出し、これをナノ粒子の平均粒子径とする。
<磁性>
ナノ粒子は、磁性を有することが好ましい。ナノ粒子が強磁性、フェリ磁性、または超常磁性を有すると、磁気を利用してナノ粒子を分離・泳動することができ、またナノ粒子の存在を磁気シグナルに基づき検出することができるからである。ナノ粒子は、超常磁性を有することがより好ましい。外部磁場が存在しない場合、ナノ粒子が磁気モーメントを有さないため、ナノ粒子の凝集を抑制できるからである。ナノ粒子が強磁性、フェリ磁性、または超常磁性を有することは、ナノ粒子の磁気特性を超伝導量子干渉磁束計(SQUID)を備えた磁気特性測定装置により測定することで、確認することができる。
磁性を有する本発明のナノ粒子は、実用的な使用条件において、飽和磁化の経時変化が抑制されている。そのため経時変化した場合であっても、ナノ粒子は、従来のものより高い飽和磁化を維持することが可能である。飽和磁化の経時変化が抑制されているかどうかは、合成直後の粒子の磁化の測定を行ったナノ粒子を、実用的な条件(例えば、25℃、相対湿度50%の雰囲気)で、数日~数週間保存し、保存後のナノ粒子について測定された磁化の値に基づき、飽和磁化の維持率(維持率(%)=(保存後の飽和磁化)/(合成直後の飽和磁化)×100)を求めることにより、判断できる。維持率は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。
<原子組成比>
本発明においては、次式で表されるナノ粒子に含まれるAuの、Fe、CoおよびNiに対する原子組成比、すなわち(ナノ粒子におけるAu原子濃度):(ナノ粒子におけるFe、CoおよびNiの合計の原子濃度)を、1以上99以下:99以下1以上の範囲とすることができる。ただし(ナノ粒子におけるAu原子濃度)+(ナノ粒子におけるFe、CoおよびNiの合計の原子濃度)=100である。原子組成比は、好ましくは2以上80以下:98以下20以上であり、より好ましくは3以上60以下:97以下40以上であり、さらに好ましくは5以上50以下:95以下50以上である。
原子組成比は、対象となるナノ粒子を王水等の適切な酸に溶解し、プラズマ発光分光分析装置を用いて組成分析を行い、得られた測定値に基づき、算出できる。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、当該原子組成比が、上記の範囲であると、ナノ粒子表面における酸化還元等の反応活性を促進しうることを見出した。この理由は明らかではないが、部分(a)と部分(b)のフェルミエネルギーや電気陰性度の違いから、電荷分離が促進されてナノ粒子表面物質への電子供与が起こり、酸化還元等の反応活性を促進するためであると推察される。また、原子組成比が上記の範囲であると、部分(b)が磁性材料で構成される場合、磁性を十分に維持しつつ、部分(a)の作用により、液中でのナノ粒子の分散安定性を保つことができ、またナノ粒子の酸化に対する安定性を十分に高めることができる点でも好ましい。
当該原子組成比は、好ましくは2以上80以下であり、より好ましくは3以上60以下であり、さらに好ましくは5以上50以下である。
<ナノ粒子の製造方法>
本発明のナノ粒子の製造方法としては特に限定されず、種々の物理的な方法(気相蒸着、レーザーアブレーション等)や、化学的方法(金属塩の還元、ゾルゲル法、ミセル、熱分解)等を用いることができる。特に好ましい製造方法の一つは、金属塩の還元を用いる方法である。
(出発原料)
本発明におけるナノ粒子の出発原料となる金属塩としては、目的とする金属イオンの各種の塩、金属のアルコキシド、有機金属錯体等の、金属の化合物を用いればよい。
Au塩(金化合物)としては、種々のものを用いることができる。例えば、塩化金(I
)、ヨウ化金(I)、シアン化金(I)、クロロカルボニル金(I)、シアン化金(I)
カリウム、シアン化金(I)ナトリウム、硫化金(I)、臭化金(III)、塩化金(I
II)、ヨウ化金(III)、酢酸金(III)、ジメチル(アセチルアセトナート)金(III)、塩化金酸(III)4水和物、塩化金酸(III)3水和物、塩化金酸(III)ナトリウム2水和物、塩化金酸カリウム(III)、硫化金(III)等を用いることができる。特に、酢酸金(III)を用いることが、本発明のナノ粒子を得ることが容易であるため、生産性の観点から好ましい。本発明者らの検討によると、塩化金や塩化金酸等その他のAu塩からは、本発明のナノ粒子を得ることは困難である場合が多い。なお前掲非特許文献2においては、酢酸金(III)を用いてAgAu合金@FeCo@AgAu合金であるナノ粒子を製造することが試みられている。
また、金原料として、金コロイドを使用することができる。金コロイドの粒径としては特に限定されないが、分散安定性の観点から2nm以上100nm以下が好ましい。
Ag塩(銀化合物)としては、種々のものを用いることができる。例えば、硫酸銀、炭酸銀、硝酸銀、酢酸銀、ヨウ化銀、過塩素酸銀、燐酸銀、安息香酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、トリフルオロ酢酸銀、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸銀等を用いることができる。
Fe塩(鉄化合物)としては、種々のものを用いることができる。例えば、酢酸鉄(II)、水酸化酢酸鉄(III)、塩化鉄(III)、塩化鉄(III)6水和物、塩化鉄(II)4水和物、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)7水和物、硫酸鉄(III)アンモニウム、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、硫酸鉄(III)9水和物、硫酸鉄(II)水和物、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硝酸鉄(III)9水和物、過塩素酸鉄(III)、ピロ燐酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、リン酸鉄(II)8水和物、リン酸鉄(III)n水和物、クエン酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)水和物、クエン酸鉄(III)アンモニウム、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)水和物、シュウ酸鉄(III)アンモニウム3水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム3水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウム10水和物、フマル酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、乳酸鉄(II)3水和物、グルコン酸鉄(II)2水和物、鉄(II)エトキシド、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)(鉄(III)アセチルアセトナート)、トリスジジピバリン酸鉄(III)、カルボニル鉄Fe(CO)5、Fe3(CO)12、Fe2(CO)9、硫酸アンモニウム鉄(II)6水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム2水和物等を用いることができる。
Co塩(コバルト化合物)としては、種々のものを用いることができる。例えば、酢酸コバルト(II)、酢酸コバルト(III)、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)6水和物、塩化アンモニウムコバルト(II)6水和物、硫酸コバルト(II)7水和物、炭酸コバルト、臭化コバルト(II)、臭化コバルト(II)6水和物、ヨウ化コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、硫酸コバルト(III)9水和物、硫酸コバルト(II)7水和物、硫酸コバルト(II)アンモニウム6水和物、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)6水和物、硝酸コバルト(III)、硝酸コバルト(III)9水和物、亜硝酸コバルト(III)ナトリウム、過塩素酸コバルト(II)、燐酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)2水和物、クエン酸コバルト(III)4水和物、シュウ酸アンモニウムコバルト(III)3水和物、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト、フマル酸コバルト(II)、グルコン酸コバルト(II)2水和物、コバルト(II)エトキシド、アセチルアセトンコバルト(II)(コバルト(II)アセチルアセトナート)、アセチルアセトンコバルト(III)、アセチルアセトンコバルト(II)2水和物、トリスジピバリン酸コバルト(III)、硫酸アンモニウムコバルト(II)6水和、チオシアン酸コバルト(II)、ヘキサアミンコバルト(III)塩化物、カルボニルコバルト、ナフテン酸コバルト、ヘキサニトロコバルト(III)酸ナトリウム等を用いることができる。
Ni塩(ニッケル化合物)としては、種々のものを用いることができる。例えば、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、塩化ニッケル6水和物、塩化ニッケル4水和物、硫酸ニッケル7水和物、硫酸ニッケルアンモニウム6水和物、炭酸ニッケル、ヨウ化ニッケル、臭化ニッケル、臭化ニッケル3水和物、沃化ニッケル、硫酸ニッケル、硫酸ニッケル6水和物、硝酸ニッケル、硝酸ニッケル6水和物、過塩素酸ニッケル6水和物、燐酸ニッケル、酢酸ニッケル4水和物、シアン化ニッケルカリウム1水和物、シュウ酸ニッケル2水和物、安息香酸ニッケル、クエン酸ニッケル水和物、アンモニウムシュウ酸ニッケル3水和物、フマル酸ニッケル、グルコン酸ニッケル2水和物、アセチルアセトン酸ニッケル、アセチルアセトン酸ニッケル2水和物、ビスジジピバリン酸ニッケル、アンモニウム硫酸ニッケル6水和、ヘキサアミンニッケル塩化物、シクロへキサンブチルニッケル、2-エチルシクロへキサンニッケル、オクタン酸ニッケル、トリフルオロメタンスルホン酸ニッケル、ジ亜リン酸ニッケル6水和物等を用いることができる。
製造に際しては、金属塩の還元のために、還元作用のある種々の成分を用いることができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-ヘキサデカンジオールなどの1,2-アルカンジオールの1種または2種以上を用いることができる。これらのポリオールは加熱下で熱分解して酸化される際に還元作用を示す。
ポリオールの量(2種以上用いる場合は合計の量)は、金属塩に対するモル比で0.1~10であることが好ましい。
製造に際しては、必要により分散剤を用いてもよい。分散剤としては、アミン系、ジアミン系、エタノールアミン系、アルコキシアミン系、ジアミンアルコール系、ジアミノアルコキシ系、環状アミン系、アルキルチオール系、カルボン酸系又は高分子系分散剤から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。特に好ましい例は、アミン系、およびカルボン酸系である。アミン系では、例えば、オレイルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ヘキシルアミン、N-メチルヘキシルアミン、ジ-N-オクチルアミン、トリ-N-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジ(2-エチルヘキシル)アミン、アリルアミン、ジアリルアミン、3-ペンチルアミン、2-オクチルアミン等を用いることができる。カルボン酸系では、例えばポリカルボン酸、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、クエン酸等を用いることができる。
分散剤の添加量(2種以上を用いる場合は合計の添加量)は、金属塩に対するモル比で0.1~10であることが好ましい。
本発明においては、溶媒としては、水、極性溶剤としてアルコール、ジオキサン、テトラエチレングリコール等、非極性溶剤としてn-ヘキサン、シクロへキサン、オクタン、デカン、ドデカン等、芳香族系溶剤としてトルエン、キシレン等、高沸点系溶剤としてジオクチルエーテル等である。
(製造条件)
本発明のナノ粒子を製造する上で、酢酸金を、Fe塩、Co塩およびNi塩からなる群より選択されるいずれか(以下、「Fe塩等」という。)と混合し、加熱還元する順序は特に限定されないが、1)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製した後、加熱しても良いし、2)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金を混合しても良いし、3)酢酸金溶液を事前に加熱した後、Fe塩等を混合しても良いし、4)酢酸金溶液を事前に加熱した後、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合しても良いし、5)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金溶液を混合しても良いし、6)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱した後、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合しても良いし、7)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合しても良いし、8)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、Fe塩等を混合しても良いし、9)酢酸金溶液を事前に加熱した後、Fe塩等を混合し、さらに酢酸金を混合しても良いし、10)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金溶液を混合し、さらにFe塩等を混合しても良いし、11)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金を混合し、さらにFe塩等を混合しても良い。室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製した後に加熱すると、本発明のナノ粒子が収率よく得られるため、生産性の観点から好ましい。酢酸金の代わりに金コロイドを用いる場合、金コロイドは酢酸金と同様、Fe塩等と種々の段階で混合し、加熱することで、本発明のナノ粒子を製造することができる。また他のAu塩も、酢酸金と同様、Fe塩等と種々の段階で混合し、加熱することで、本発明のナノ粒子を製造することが可能な場合がある。
Agを含むナノ粒子を製造する場合、Ag塩を混合し、加熱還元する順序は特に限定されないが、1)酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱した後、a)Fe塩等、もしくはb)Fe塩等とAg塩の混合溶液、もしくはc)Fe塩等と酢酸金の混合溶液、もしくはd)Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、2)酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱し、Fe塩等を混合した後、さらにa)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、3)酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱し、Fe塩等とAg塩の混合溶液を混合した後、さらにa)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、4)酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱し、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合した後、さらにa)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、5)酢酸金溶液を事前に加熱し、Fe塩等を混合した後、さらにa)Ag塩、もしくはb)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、6)酢酸金溶液を事前に加熱し、Ag塩を混合した後、さらにa)Fe塩等、もしくはb)Fe塩等とAg塩の混合溶液、もしくはc)Fe塩等と酢酸金の混合溶液、もしくはd)Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、7)酢酸金溶液を事前に加熱し、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合した後、さらにa)Ag塩、もしくはb)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、8)酢酸金溶液を事前に加熱し、Fe塩等とAg塩の混合溶液を混合した後、さらにa)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、9)酢酸金溶液を事前に加熱した後、Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、10)酢酸金溶液を事前に加熱しFe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合した後、さらにa)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、11)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱し、酢酸金を混合した後、さらにa)Ag塩、もしくはb)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、12)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、13)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱し、Fe塩等と酢酸金の混合溶液を混合した後、さらにa)Ag塩、もしくはb)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、14)Fe塩等の混合溶液を調製し、加熱した後、Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、15)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、a)Ag塩、もしくはb)酢酸金とAg塩の混合溶液を混合してもよいし、16)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱した後、Ag塩を混合し、さらに酢酸金を混合してもよいし、17)室温でFe塩等と酢酸金の混合溶液を調製し、加熱し、さらに酢酸金を混合した後、Ag塩を混合しても良いし、18)Ag塩溶液を事前に加熱し、酢酸金を混合した後、さらにa)Fe塩等、もしくはb)Fe塩等とAg塩の混合溶液、もしくはc)Fe塩等と酢酸金の混合溶液、もしくはd)Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、19)室温でFe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を調製した後、加熱しても良いし、20)室温でFe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱した後、a)酢酸金、もしくはb)Ag塩、もしくはc)酢酸金とAg塩の混合溶液、もしくはd)Fe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を混合しても良いし、21)室温でFe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱した後、酢酸金を混合し、さらにAg塩を混合しても良いし、22)室温でFe塩等と酢酸金とAg塩の混合溶液を調製し、加熱した後、Ag塩を混合し、さらにAg塩を混合しても良い。金コロイドは酢酸金と同様、Fe塩等やAg塩と種々の段階で混合し、加熱することで、本発明のナノ粒子を製造することができる。また別のAu塩も、酢酸金と同様、Fe塩等やAg塩と種々の段階で混合し、加熱することで、本発明のナノ粒子を製造することが可能な場合がある。
本発明のナノ粒子を製造する上で、酢酸金やその他のAu塩と、Fe塩等を混合する際には、それぞれを前述の溶媒に溶解した溶液を用いて混合することが好ましい。Ag塩を混合する場合も同様である。Au塩、Fe塩等、Ag塩いずれの溶液も、さらに前述のポリオール等還元作用を有する化合物や、アミン系等の分散剤を添加した後、混合してもよい。
典型的な合成においては、ポリオール(例えば、テトラエチレングリコールおよび1,2-ヘキサデカンジオール)、オレイルアミン、オレイン酸、Fe塩、Co塩、酢酸金(III)の混合溶液を調製して用いる。製造条件は、これに限定されるものではないが、例えば、該溶液をアルゴン雰囲気下撹拌しながら加熱し、80~120℃に数分~数十分間保持することにより、酢酸金(III)を、Fe塩およびCo塩の存在下で還元してコア部を形成させることができる。次いで、シェルを形成させるため反応混合物の温度を250~330℃に上昇させ、数分~数十分間保持する。その後、加熱をやめ、系を時間をかけて降温する。
降温後の反応溶液をアセトンで希釈し、遠心分離機により、ナノ粒子を沈殿させることができる遠心加速度で遠心分離を行う。遠心分離後、上澄みを捨て、沈殿したナノ粒子にヘキサンを加え、超音波で分散させた後、再度アセトンで希釈し、遠心分離し、上澄みを捨て、得られた沈殿を真空乾燥することにより、Au@FeCoナノ粒子が得られる。このようにして得られたナノ粒子は、1,2-ヘキサデカンジオールやテトラエチレングリコールの還元作用により、金属状態のAu、Fe、Coを有している。得られた乾燥粒子は、水分散性を向上する分散剤等により修飾することで、水等の適当な分散媒中に再分散させることができる。
得られたナノ粒子の平均サイズおよびサイズ分布は、TEMにより決定することができる。また、ナノ粒子の化学的組成はICP-OES、EDSおよびXPSを用いて分析することができる。また、ナノ粒子の磁性特性におけるエイジングの効果は、SQUID磁性メータ―を用いて解析することができる。
なお得られたナノ粒子の濃度(粒子数/mL、またはμg/mL等を単位とすることができる。)は、ナノ粒子を含む液の光学濃度(OD、吸収度合を対数で表示したもの。)または吸光度のピークが液中のナノ粒子の濃度に直線的に相関することを利用して、各サイズの粒子に応じてあらかじめ求めた係数を用いて計算することができる。
<ナノ粒子の用途>
本発明のナノ粒子は、様々な用途にもちいることができる。本発明のナノ粒子は、磁性-プラズモニック複合ナノ粒子とすることができ、特にライフサイエンス分野において、物質の分離・精製、病気の検査、診断、イメージング、温熱療法、ドラッグデリバリー等への適用が期待できる。
以下に実施例による本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
[X線回折(XRD)測定]
ナノ粒子を真空乾燥し、株式会社リガク製X線回折装置MiniFlex600を使用し、X線源はCuKαを利用して、X線回折(XRD)の測定を行った。測定範囲は2θ=20°~90°とした。得られたピークの結晶相への帰属には、Au相としてはPDFカード番号00-004-0784のデータを、Co50Fe50相としてはPDFカード番号00-049-1567のデータを、CoFe24相としてはPDFカード番号00-022-1086のデータを、Fe34相としてはPDFカード番号00-019-0629のデータを用いた(粉末回折データベース PDF-2、販売元:株式会社ライトストーン)。
[透過電子顕微鏡(TEM)観察]
試料をヘキサンで希釈して、マイクログリット上に滴下後乾燥してTEM観察用サンプルとし、株式会社日立ハイテクノロジーズ製透過電子顕微鏡H-7650によりTEM観察を行った。
[磁性測定]
合成直後のナノ粒子を真空乾燥し、カンタム・デザイン社製の磁気特性測定装置MPMSにより温度300Kで、磁場-50~50(kOe)の範囲で磁化の測定を行ない、飽和磁化を表1の合成直後の欄に記載した。また、測定後のナノ粒子を25℃相対湿度50%の雰囲気で21日保持後、温度300Kで、磁場-50~50(kOe)の範囲で磁化の測定を行ない、飽和磁化を表1の21日後の欄に記載した。
また、21日間の飽和磁化の維持率を、下式により求め、表1の21日後の維持率の欄に記載した。
維持率(%)=(21日後の飽和磁化)/(合成直後の飽和磁化)×100
[実施例]
Au@FeCoナノ粒子の合成:
50mL三つ口フラスコを使用し、0.0706gの鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac)3)と、0.0514gのコバルト(II)アセチルアセトナート(Co(acac)2)と、0.0187gの酢酸金(III)、0.129gの1,2-ヘキサデカンジオール、2.15mLのオレイルアミン、1.28mLのオレイン酸、5mLのテトラエチレングリコールの混合溶液を、アルゴン雰囲気に置換後、撹拌しながら加熱して、100℃10分保持した。
その後、290℃まで加熱し、15分間保持した後、加熱をやめて、室温まで自然冷却した。
反応溶液を2本の50mL遠沈管(1)に均等に取り分け、そこヘアセトンを全量が45mLとなるようにそれぞれに加えた。そして遠心分離機により、20℃で遠心加速度3760(×g)で5分間遠心分離を行った。遠心分離後、上澄みを捨て、ヘキサンを400μLずつそれぞれの遠沈管(1)へ加え、沈殿した粒子を超音波で分散させた後、新しい4本の遠沈管(2)ヘ2本の遠沈管(1)からそれぞれ200μLの粒子分散液を分注した。これら4本の遠沈管(2)に対してアセトンを全量が45 mLとなるまで加え、遠心分離機により、20℃で遠心加速度3760(×g)で5分間遠心分離を行った。最後に上澄みを捨て、得られた沈殿を真空乾燥機し、Au@FeCoナノ粒子を得た。
得られたナノ粒子のTEM画像、およびXRDパターンを図1、および図2に示す。これらの結果から、得られたナノ粒子は、明確なコア―シェル構造を有すること、および結晶構造としてAu相とFe50Co50相の他に、酸化物相としてCoFe24およびFe34に帰属される相を有していることが分かった。
また合成直後の飽和磁化、21日保持後の飽和磁化と維持率を表1に示す。
[比較例]
Ag@FeCo@Agナノ粒子の合成:
50mL三つ口フラスコを使用し、0.0170gのAgNO3、0.258gの1,2-ヘキサデカンジオール、2.68gのオレイルアミン、2.26gのオレイン酸、10mLのテトラエチレングリコールの混合溶液を、アルゴン雰囲気に置換後、撹拌しながら加熱して、100℃10分保持した。
その後、170℃まで加熱し、0.0514gのコバルト(II)アセチルアセトナート(Co(acac)2)と、0.0706gの鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac)3)と、2mLのオレイルアミンおよび2mLのトルエンからなる混合溶液をゆっくり添加した。
続いて、温度を更に250℃まで上げ、0.0170gのAgNO3と、1mLのオレイルアミンと、1mLのトルエンからなる混合溶液を素早く添加した。添加後、温度を230℃まで10分かけて降温し、その後は加熱をやめ、室温まで自然冷却した。
反応溶液を2本の50mL遠沈管(1)に均等に取り分け、そこヘアセトンを全量が45mLとなるようにそれぞれに加えた。そして遠心分離機により、遠心加速度3760(×g)で5分間遠心分離を行った。遠心分離後、上澄みを捨て、ヘキサンを400μLずつそれぞれの遠沈管(1)へ加え、沈殿した粒子を超音波で分散させた後、新しい4本の遠沈管(2)ヘ2本の遠沈管(1)からそれぞれ200μLの粒子分散液を分注した。これら4本の遠沈管(2)に対してアセトンを全量が45 mLとなるまで加え、遠心分離機により、遠心加速度3760(×g)で5分間遠心分離を行った。最後に上澄みを捨て、得られた沈殿を真空乾燥機し、Ag@FeCo@Agナノ粒子を得た。
Ag@FeCo@Agナノ粒子の合成直後の飽和磁化、21日保持後の飽和磁化と維持率を表1に示す。
Figure 0007089841000001
本発明によれば、新規なコアシェル型ナノ粒子は、磁性-プラズモニック複合ナノ粒子とすることができ、特にライフサイエンス分野において、物質の分離・精製、病気の検査、診断、イメージング、温熱療法、ドラッグデリバリー等への適用が期待できる。

Claims (6)

  1. (a)Auからなるコアと、
    (b)FeとCoの合金で構成されるシェルと、
    を含むコアシェル型ナノ粒子。
  2. FeとCoの合金が、Fe50Co50である、請求項1に記載のナノ粒子。
  3. さらに、シェルが、FeO、Fe23、Fe34、Fe45、CoxFe1-xO、CoxFe2-x4、およびCoFe 2 4 からなる群より選択される少なくとも1つの酸化物を有する、請求項1または2に記載のナノ粒子。
  4. 酸化物として、Fe34およびCoFe 2 4 を有する、請求項3に記載のナノ粒子。
  5. 酢酸金(III)を還元してコアを得る工程を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のナノ粒子を製造する方法。
  6. 酢酸金(III)を、Fe塩およびCo塩の存在下で還元する、請求項5に記載の製造方法。
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