JP7088804B2 - 冷却機能付き刻印機 - Google Patents
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このマーキング装置を用いて金属やプラスチックからなるワークの表面に印字を行うには、ピストンおよびスタイラスを振動させてワーク表面の規定位置に点打刻を行い、このスタイラスを振動ペンごと移動させながら必要な位置毎に打刻を繰り返す。この操作により、ワークの表面の必要な位置に文字、数字、記号などをマーキングすることができる。 また、スタイラスを一ヵ所で振動させるとその部分にドットが形成されるので、そのドットを所定のパターンになるように複数形成することにより、いわゆる二次元コードを形成することができる。
シリンダー100の先端側に軸受け部材105が設けられ、鉄心102の先端側にロッド状のスタイラス106が取り付けられ、スタイラス106の先端部が軸受け部材105の先方に突出されている。このスタイラス106の先端部がワーク107に対向され、ワーク107の表面に打刻できるようになっている。
シリンダー100の先端側にはスタイラス106に戻り力を作用させるための圧縮ばね110が収容され、圧縮ばね110により鉄心102に対しスタイラス106を従属動作させることでスタイラス106を往復駆動することができる。
ところで、図11に示す刻印機Dは連続的に多数の文字や図形などを刻印するので、長時間高速で連続運転できることが望ましい。しかし、刻印機Dを長時間、高速連続運転するとシリンダー内部に熱が篭もることとなり、電磁コイル101が過度に加熱されると刻印機Dの動作に支障を来すおそれがある。
このため、現状では電磁コイル101に送る駆動用矩形波の休止時間を長く取り、電磁コイル101の温度が過度に上昇しないように調整しているが、可能ならばスタイラス106の動作をより高速にして長時間連続運転できることが望ましい。
本発明は、シリンダーと、該シリンダーの内部に収容された円筒状の電磁コイルと、この電磁コイルによって形成された磁界により電磁コイル内側の移動空間に沿って駆動される鉄心と、前記シリンダーの先端前方側に設けられた軸受部と、前記鉄心の先端部に取り付けられて前記軸受部を挿通したスタイラスを有し、前記軸受部の周壁に該周壁を厚さ方向に貫通する通気孔が設けられたことを特徴とする。
従って、刻印機を従来よりも高速連続運転できるようになり、仮に高速連続運転を長時間行ったとして、従来構造よりも電磁コイルを低い温度に保持できるようになる。このため、従来の刻印機と比較し、高速連続運転が可能となる。
通気孔の開口部から排出された空気を直接シリンダー側に吹き出すことができると、シリンダーを外部から効率良く空冷できる。
シリンダー先端側の通気孔に加えてシリンダーの基端側にも他の通気孔を設けることでシリンダー内部の空気をよりよりスムーズに外部に排出できるようになり、電磁コイルの過熱を抑制できる。このため、従来の刻印機と比較し、高速連続運転が可能となる。
空気供給口をシリンダーの基端側に設けることで、圧縮空気をシリンダーの内部に流して強制冷却できるようになる。また、圧縮空気に潤滑油を含ませておくと、刻印機を分解しなくともシリンダーの内部に潤滑油を供給出来るようになり、より高頻度動作可能な刻印機を提供できる。
従って、刻印機を従来よりも高速連続運転できるようになり、仮に高速連続運転を長時間行ったとして、従来構造よりも電磁コイルを低い温度に保持しつつ運転できるようになる。このため、従来の刻印機と比較し、高速連続運転が可能となる。
図1~図3は第1実施形態の冷却機能付き刻印機を示すもので、この実施形態の刻印機Aは、図示略の3軸ステージ機構などの駆動機構により全体を水平方向のX軸方向とY軸方向に移動自在に、かつ、鉛直方向のZ軸方向に沿って移動自在に支持されている。
3軸ステージ機構はX軸とY軸とZ軸のそれぞれの軸に沿って移動自在にステージが設けられ、それらの各軸のステージを支持する支柱や支持体、アクチュエーターなどを備えて構成される公知の駆動機構である。
各軸をスクリュウ軸としてスクリュウ軸に沿ってステージが移動される機構、各軸に取り付けられたリニアアクチュエーターによってステージが移動される機構など公知の種々の機構があるが、本実施形態では刻印機AをX軸方向とY軸方向とZ軸方向に3軸移動できる構造であれば、公知の範囲でいずれの構造の3軸ステージ機構を用いても良い。
XYZ軸に沿う方向に刻印機Aを移動するステージ機構は、XYZ軸に沿う方向それぞれ設けられた案内レールに加工ヘッドを支持するステージ(架台)を備え、各ステージを案内レールに沿って移動自在に支持した一般的な3軸ステージ機構を広く採用することができる。
シリンダー2の上端部にケース部材5が装着され、シリンダー2の上部側が閉じられるとともに、下端部には小径部からなる軸受部6が形成されている。軸受部6の内部に厚肉筒型の軸受け部材7が設けられ、この軸受け部材7の貫通孔7aを通過して下方に突出するようにスタイラス3が設けられている。
ケース部材5には、凹部12の内側面に開口部16を有し、ケース部材15の周縁部下面に開口部17を有する上部通気孔18が形成されている。この上部通気孔18は凹部12の周囲を囲むようにケース部材15の底部側に複数、例えば4つ形成されている。上部通気孔18の開口部17は、ケース部材5の周縁部下面に開口されているが、この開口位置はシリンダー2の周壁より外側に位置されている。
スタイラス3の先端部3aは円錐形状に加工されている。スタイラス3は鉄心13に対し取付部20を介し着脱自在に取り付けられ、スタイラス3の先端部が摩耗した場合にスタイラス3を単独で交換できるように構成されている。スタイラス3は取付部20を介しばね部材21により取付部20を鉄心13に押し当てられ、必要に応じて交換できるようになっている。
下部通気孔22において、軸受部6の内部側の開口部22aの形成位置が低く、軸受部6の外部側の開口部22bの形成位置が高く形成されている。即ち、下部通気孔22は斜め上向きに、換言すると、外側開口部22bはその上方のシリンダー2に向くように形成されている。
鉄心13が下降することでスタイラス3も下降する。鉄心13が下降するとばね部材21を圧縮するので鉄心13に反力が作用する。ここで制御回路25から電磁コイル8への通電を停止すると、ばね部材21の反力により鉄心13は元の位置に戻り、スタイラス3も元の位置に戻る。制御回路25から、例えば矩形波を印加するとスタイラス3は上下に所定距離間欠的に移動するので、スタイラス3を上下方向に振動させることができる。
図1に示す構成の刻印機Aでは、鉄心13が図1に示す上死点に位置している状態から、図2に示すように下降して下死点まで鉄心13が下降する。すると、鉄心13の下方であってシリンダー2の底部側に存在している空気は下部通気孔22から外部に排出される。また、鉄心13の上方であってシリンダー2の内上部側には上部通気孔18から外気が吸引される。
また、図2に示す下死点の位置から鉄心13が上昇して図3に示す上死点まで戻る場合、下部通気孔22から矢印に示すようにシリンダー2の底部側に外気が吸引され、シリンダー2の内上部側の空気が上部通気孔18から外部に放出される。
上述の動作を連続的に繰り返すことにより、シリンダー2の内部空気を逐次間欠的に排出し、シリンダー2の内部に外気を逐次間欠的に取り込むことができる。このため、従来の刻印機Dよりシリンダー2の内部に熱が篭もり難く、電磁コイル8の温度を従来よりも低い温度に維持できる刻印機Aを提供できる。
電磁コイル101を構成する通常の電線の耐熱温度は120℃程度であるため、この駆動条件で動作に問題は無いが、電磁コイル101の温度をより低い温度に維持できるなら望ましい。また、より高速な運転条件として、45ms程度の休止時間とするならば、電磁コイル101の温度は更に高温に上昇する。
このため、本実施形態の刻印機Aは、従来の刻印機Dより電磁コイル8の温度を7℃程度低く保つことができる。また、このため、駆動する場合の休止時間を130msより短い時間、例えば、45ms程度として駆動しても、電磁コイル8の温度上昇をできるだけ低く保つことができる。
従って、本実施形態の刻印機Aであるならば、従来構造よりも電磁コイル8を低い温度に保持しつつ運転できるようになる。また、刻印機Aであるならば、従来構造よりも休止時間を短くして高速運転したとしても電磁コイル8の過熱を抑制できる。
空気供給孔30の上部はケース部材5の上面中央部に開口され、下部は凹部12の頂面中央に開口されている。また、鉄心13の上面に空気流動用の溝部13aを設け、シリンダー内上部における空気の流れをスムーズにすることができる。
空気供給孔30を空気供給源31にエア配管を介し接続して第2実施形態の刻印機Bが構成されている。その他の構成は第1実施形態の刻印機Aと同等であるため、その他の構成について説明を略する。
刻印機Bは、空気供給源31から空気供給孔30を介し圧縮空気をシリンダー2の内部に強制的に送り込むことができる。このため、シリンダー2の内部に設置されている電磁コイル8を強制冷却することができる。凹部12の頂面中央に形成されている空気供給孔30の開口部から、シリンダー内に空気を供給する際、鉄心13の上面中央に溝部13aを形成しておくことで空気供給孔30の開口部からシリンダー側に流動しようとする空気の流れを振動中の鉄心13が阻止することがない。
この実施形態の刻印機Cは、シリンダー2、スタイラス3、ケース部材5、軸受け部材7、電磁コイル8、軸受筒9、鉄心13、クッション部材15、下部通気孔36(第1、第2実施形態では下部通気孔22に相当)、空気供給孔30等が設けられている点については第2実施形態の刻印機Bと同等構造である。
シリンダー2の下部に小径部2Aが形成され、この小径部2Aの外周部に形成されたねじ部を介し筒型のスタイラスホルダ(軸受部)35が螺合されている。このスタイラスホルダ35の基端側に下部通気孔36が形成されている。下部通気孔36において、スタイラスホルダ35の内部側の開口部36aよりスタイラスホルダ35の外周側の開口部36bの方が上方に形成されている。ただし、この形態では、下部通気孔36は開口部36a側が水平に形成され、開口部36b側が上向きに傾斜されている。
スタイラスホルダ35の基端側に鍔部35aが形成され、この鍔部35aの下面側に先の開口部36bの傾斜方向に沿う傾斜面35bが形成されている。
凹部34の内部側には、収容部37の内周面から凹部34の頂面を経由して凹部34の開口部に至る通気溝38が凹部34の周回りに4つ形成されている。また、凹部34にシリンダー2の上部を嵌合することでシリンダー2の上部周りに通気溝38に沿う4つの上部通気孔39が形成される。
なお、図9に示す符号40は凹部34の頂面に形成されたシリンダー2の周り止めピンである。
刻印機Cは、空気供給源31から空気供給孔30を介し圧縮空気をシリンダー2の内部に強制的に送り込むことができる。このため、シリンダー2の内部に設置されている電磁コイル8を強制冷却することができる。また、シリンダー2に送る圧縮空気に必要に応じ潤滑油を混入しておくことで、シリンダー2の内部の必要箇所を分解せずに潤滑油を供給出来る点についても刻印機Bと同等の作用効果を奏する。
その他の作用効果について、先の刻印機Bと同等の作用効果を得ることができる。
この刻印機には、シリンダーの内壁部に274回巻きコイルを有する電磁コイルを適用した。図10に電磁コイルの温度変化を経過時間とともに計測した結果を示す。駆動条件は、24.5A/4.3ms通電ON、130ms通電OFFの条件とした。
本発明に係る刻印機は、図7~図9に示す構成であり、従来の刻印機と電磁コイルは共通、駆動条件も共通である。
本発明の刻印機は、シリンダー下部の軸受部の周壁に直径1.2mmの下部通気孔を6個形成した。また、シリンダー上部のケース部材に直径2mmの上部通気孔を2個形成した。
駆動回路による電磁コイルの駆動条件は、24.5A/4.3ms通電ON、130ms通電OFFを繰り返す矩形波を電磁コイルに印加し、駆動した。駆動部の電圧:80V(コンデンサ充放電回路)、ペン部=鉄心(スタイラス振幅):10mm、コイル巻き数:274、コイル線径:0.8mm、スタイラス軸径:5mmに設定している。
このため、本発明に係る構造を採用することで、電磁コイルの過熱を抑制することができることが分かった。
このため、高速駆動に耐える刻印機を提供できることがわかる。
6…軸受部、7…軸受部材、8…電磁コイル、9…軸受筒、12…凹部、
13…鉄心、15…クッション部材、16、17…開口部、18…上部通気孔、
21…ばね部材、22…下部通気孔、25…駆動回路、30…空気供給孔、
31…空気供給源、34…凹部、35…スタイラスホルダ、36…下部通気孔、
36a、36b…開口部、38…通気溝、39…上部通気孔、W…ワーク。
Claims (4)
- シリンダーと、該シリンダーの内部に収容された円筒状の電磁コイルと、この電磁コイルによって形成された磁界により電磁コイル内側の移動空間に沿って駆動される鉄心と、前記シリンダーの先端前方側に設けられた軸受部と、前記鉄心の先端部に取り付けられて前記軸受部を挿通したスタイラスを有し、
前記軸受部の周壁に該周壁を厚さ方向に貫通する通気孔が設けられたことを特徴とする冷却機能付き刻印機。 - 前記シリンダーに隣接する前記周壁の一部分に前記通気孔が形成され、前記通気孔の開口部が前記シリンダー側に向けられたことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き刻印機。
- 前記シリンダーの基端側に他の通気孔が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却機能付き刻印機。
- 前記シリンダーの基端側に空気供給孔が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の冷却機能付き刻印機。
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