JP7087224B2 - ロボットハンド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットハンド装置に関する。
従来、人間の手を模倣したロボットハンド装置の研究開発がなされている。例えば、下記の特許文献1では、手の各指に対応する複数の指機構を、それぞれ独立したアクチュエータで駆動させる技術が開示されている。
特開2008-264896号公報
ロボットハンド装置には、多数のアクチュエータが搭載されているため、ロボットハンド装置の軽量化が要請されている。しかし、軽量化のために、例えば各指機構のアクチュエータを小型化すると、指機構を駆動させる駆動力が小さくなってしまう。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、指機構を適切に駆動できる駆動機構を備えるロボットハンド装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様においては、人間の手の人差し指、中指、薬指、小指に対応しており、それぞれ駆動用の第1ワイヤを有する複数の指機構と、前記指機構の各々を曲げるように、各指機構の前記第1ワイヤをそれぞれ独立して駆動させる複数の曲げ駆動部と、複数の前記第1ワイヤのうちの少なくとも一組の前記第1ワイヤ同士の間を連結している連結部材と、前記曲げ駆動部による各指機構の前記第1ワイヤの駆動を制御する駆動制御部と、を備え、前記駆動制御部は、前記複数の指機構のうちの少なくとも第1指機構と第2指機構が曲げ動作する際に、前記第1指機構の第1姿勢と前記第2指機構の第2姿勢との差異が所定差よりも大きい場合には、前記第2指機構の前記第1ワイヤを駆動させる曲げ駆動部に、伸長した前記連結部材を介して前記第1指機構の曲げ動作をアシストさせる、ロボットハンド装置を提供する。
また、前記第2指機構は、前記複数の指機構のうちの前記第1指機構に対して、前記人差し指から前記小指へ向かう方向において隣接する指機構であることとしてもよい。
また、前記ロボットハンド装置は、前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構を伸ばすための第2ワイヤと、前記指機構の各々を伸ばすように、前記第2ワイヤを駆動させる第1伸ばし駆動部と、を更に備えることとしてもよい。
また、前記第1伸ばし駆動部は、各指機構の前記第2ワイヤをまとめて駆動させることとしてもよい。
また、前記ロボットハンド装置は、前記人差し指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第3ワイヤと、前記人差し指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第3ワイヤを駆動させる第2伸ばし駆動部と、を更に備えることとしてもよい。
また、前記ロボットハンド装置は、前記小指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第4ワイヤと、前記小指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第4ワイヤを駆動させる第3伸ばし駆動部と、を更に備えることとしてもよい。
また、前記駆動制御部は、前記第1伸ばし駆動部で前記第2ワイヤを駆動させる際に、前記第2伸ばし駆動部に前記第3ワイヤを駆動させると共に、前記第3伸ばし駆動部に前記第4ワイヤを駆動させることとしてもよい。
また、複数の関節部を含む各指機構の前記第1ワイヤは、根元側の関節部を曲げるための第1根元側ワイヤと、指先側の関節部を曲げるための第1指先側ワイヤとであり、前記連結部材は、2つの指機構の第1根元側ワイヤ同士の間を連結している根元側連結部材と、前記2つの指機構の第1指先側ワイヤ同士の間を連結している指先側連結部材とであることとしてもよい。
また、前記第1ワイヤは、各指機構の指先側に連結され、各指機構の複数の関節部を曲げる一つのワイヤであり、前記ロボットハンド装置は、各指機構の両側に設けられ、指機構を左右方向に移動させる一対の第5ワイヤを更に備え、前記駆動制御部は、一の指機構の前記一対の第5ワイヤと前記第1ワイヤを駆動させて、前記一の指機構を曲げさせることとしてもよい。
また、前記駆動制御部は、前記一の指機構の前記一対の第5ワイヤを同時に駆動させると共に、前記一の指機構の前記第1ワイヤを駆動させて、前記一の指機構を曲げさせることとしてもよい。
また、前記ロボットハンド装置は、前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構の指先側に連結され指機構を伸ばすための第2ワイヤを更に備え、前記駆動制御部は、一の指機構の前記第2ワイヤを駆動させると共に、前記一の指機構の前記一対の第5ワイヤの片方のワイヤを駆動させて、前記一の指機構を前記左右方向に移動させることとしてもよい。
本発明の第2の態様においては、人間の手の人差し指、中指、薬指、小指に対応しており、それぞれ駆動用の第1ワイヤを有する複数の指機構と、前記指機構の各々を曲げるように、各指機構の前記第1ワイヤをそれぞれ独立して駆動させる複数の曲げ駆動部と、前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構を伸ばすための第2ワイヤと、前記指機構の各々を伸ばすように、前記第2ワイヤを駆動させる第1伸ばし駆動部と、を備え、前記第1伸ばし駆動部は、各指機構の前記第2ワイヤをまとめて駆動させる、ロボットハンド装置を提供する。
本発明によれば、指機構を適切に駆動できる駆動機構を備えるロボットハンド装置を提供できるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る多指ロボット1の外観構成の一例を説明するための模式図である。 多指ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。 指機構10、20、30、40、50の関節部を説明するための模式図である。 屈曲ワイヤによる指機構20の屈曲の一例を説明するための模式図である。 多指ロボット1の掌側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。 多指ロボット1の手の甲側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。 指機構20の屈曲ワイヤ及び伸3の配置の一例を説明するための模式図である。 駆動力の分配状態を説明するための模式図である。 駆動力の非分配状態を説明するための模式図である。 変形例を説明するための模式図である。 第2変形例を説明するための模式図である。 第3変形例を説明するための模式図である。 第4変形例を説明するための模式図である。 第2の実施形態に係る多指ロボット2の掌側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。 多指ロボット2の手の甲側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。 指機構20の屈曲ワイヤと伸展ワイヤを説明するための模式図である。 開閉ワイヤを説明するための模式図である。 第3の実施形態に係る指機構120、130を説明するための模式図である。 指機構120における屈曲ワイヤ123b及び開閉ワイヤ125a、125bの配置を説明するための模式図である。 指機構120の変形例を説明するための模式図である。
<第1の実施形態>
(多指ロボットの構成)
本発明の第1の実施形態に係るロボットハンド装置である多指ロボット1の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施形態に係る多指ロボット1の外観構成の一例を説明するための模式図である。図2は、多指ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。
多指ロボット1は、例えば、図1に示すように人間の手に倣って形成された人型のロボットハンドである。また、多指ロボット1は、操作者によって遠隔操作される遠隔操作用のロボットである。具体的には、多指ロボット1は、操作者の手の動きに連動して、当該手と同じように動作する。多指ロボット1は、物体に触れたり、物体を掴んだりする。なお、図1には、多指ロボット1として、人間の右手に倣ったロボットハンドが示されているが、人間の左手に倣ったロボットハンドも同様な構成である。
多指ロボット1は、図2に示すように、指機構10、20、30、40、50と、駆動部70a、70b、70c、70d、70eと、制御部80とを有する。
指機構10、20、30、40、50は、人間の手の5本指に対応した指構造である。ここでは、指機構10は人間の手の親指に倣った指構造であり、指機構20は人差し指に倣った指構造であり、指機構30は中指に倣った指構造であり、指機構40は薬指に倣った指構造であり、指機構50は小指に倣った指構造である。指機構10、20、30、40、50は、屈曲したり伸展したりする。また、指機構20、30、40、50は、機構同士の間の距離を近づけたり遠ざけたりする(以下、「開閉する」とも呼ぶ)。
指機構10、20、30、40、50は、それぞれ複数の節部を含む。例えば、指機構20では、図1に示すように、指先から末節部21a、中節部21b、基節部21cの順に形成されている。また、指機構10、20、30、40、50は、それぞれ複数の関節部を有する。
図3は、指機構10、20、30、40、50の関節部を説明するための模式図である。指機構10は、複数の関節部12a、12b、12c、12dを有する。関節部12b、12c、12dは、それぞれ指機構10を屈曲したり伸展したりする部位である。関節部12aは、指機構10をねじるための部位である。
指機構20は、4つの関節部22a、22b、22c、22dを有する。同様に、指機構30は、4つの関節部32a、32b、32c、32dを有し、指機構40は、4つの関節部42a、42b、42c、42dを有し、指機構50は4つの関節部52a、52b、52c、52dを有する。指機構20の関節部22b、22c、22d、指機構30の関節部32b、32c、32d、指機構40の関節部42b、42c、42d及び指機構50の関節部52b、52c、52dは、それぞれ指機構20、30、40、50を屈曲したり伸展したりする部位である。指機構20の関節部22a、指機構30の関節部32a、指機構40の関節部42a及び指機構50の関節部52aは、指機構20、30、40、50同士を開閉するように移動させる部位である。
指機構10、20、30、40、50は、第1ワイヤである屈曲ワイヤ(後述する屈曲ワイヤ23a、23b等)を駆動させることで屈曲し、第2ワイヤである伸展ワイヤ(後述する伸展ワイヤ24a、24b等)を駆動させることで伸展する。例えば、指機構20は、図4に示すように、屈曲ワイヤ23a、23bによって屈曲される。
図4は、屈曲ワイヤ23a、23bによる指機構20の屈曲の一例を説明するための模式図である。図4に示すように、指機構20は、掌側に配置された屈曲ワイヤ23a、23bが駆動することで、屈曲する。ここでは、屈曲ワイヤ23a、23bが共に駆動することで、指機構20全体が屈曲している。なお、指機構10、20、30、40、50に設けられたワイヤの詳細については、後述する。
上記では、屈曲ワイヤ23a、23bで指機構20全体を屈曲させ、伸展ワイヤ24a、24bで指機構20全体を伸展させることとしたが、これに限定されない。例えば、それぞれ独立駆動される屈曲ワイヤ23a、23b(伸展ワイヤ24a、24b)の適切な制御により、指機構20の各関節を任意に制御してもよい。
駆動部70a、70b、70c、70d、70e(図2)は、アクチュエータを含み、指機構10、20、30、40、50の各々を駆動させる。駆動部70a、70b、70c、70d、70eは、指機構10、20、30、40、50の各々を独立してワイヤ駆動させることで、指機構10、20、30、40、50を屈曲させたり伸展させたりする。例えば、駆動部70bは、指機構20の屈曲ワイヤ23a、23bを駆動させることで指機構20を屈曲させ、指機構20の伸展ワイヤ24a、24bを駆動させることで指機構20を伸展させる。このように、駆動部70a、70b、70c、70d、70eは、それぞれ曲げ駆動部及び伸ばし駆動部として機能する。
駆動部70cは、駆動部70bが指機構20を曲げ動作(屈曲)させる際に、指機構20の曲げ動作をアシスト可能である。駆動部70dは、駆動部70cが指機構30を曲げ動作させる際に、指機構30の曲げ動作をアシスト可能である。駆動部70eは、駆動部70dが指機構40を曲げ動作させる際に、指機構40の曲げ動作をアシスト可能である。また、駆動部70eは、駆動部70bが指機構20を曲げ動作させる際に、指機構20の曲げ動作をアシスト可能である。
制御部80は、多指ロボット1の動作を制御する。制御部80は、駆動部70a、70b、70c、70d、70eによる指機構10、20、30、40、50のワイヤ駆動を制御することで、指機構10、20、30、40、50の各々を独立して屈曲、伸展させる。すなわち、制御部80は、ワイヤの駆動を制御する駆動制御部として機能する。制御部80は、例えばCPUを有する。
(指機構のワイヤ配置)
指機構10、20、30、40、50のワイヤ配置について、図5~図7を参照しながら説明する。
図5は、多指ロボット1の掌側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。図6は、多指ロボット1の手の甲側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。図7は、指機構20の屈曲ワイヤ及び伸展ワイヤの配置の一例を説明するための模式図である。図5及び図6では、説明の便宜上、ワイヤが破線又は一点鎖線で示されている。
多指ロボット1の掌側には、図5に示すように、屈曲ワイヤ13a、13bと、屈曲ワイヤ23a、23bと、屈曲ワイヤ33a、33bと、屈曲ワイヤ43a、43bと、屈曲ワイヤ53a、53bと、連結ワイヤ61、62、63、64と、連結ワイヤ65、66、67、68が設けられている。
屈曲ワイヤ13a、13bは、指機構10に設けられており、指機構10を屈曲させるために駆動するワイヤである。屈曲ワイヤ13aはその先端部が指機構10の長手方向の中央側(例えば、関節部12cと12dの間)と連結され、屈曲ワイヤ13bはその先端部が指機構10の先端側(例えば、関節部12dの更に先端側)と連結されている。屈曲ワイヤ13aは指機構10の根元側を屈曲させ、屈曲ワイヤ13bは指機構10全体を屈曲させる。屈曲ワイヤ13a、13bは、それぞれ駆動部70aの別々の駆動源(アクチュエータ)にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。例えば、屈曲ワイヤ13aが単独で指機構10を屈曲させたり、屈曲ワイヤ13a、13bが共に駆動して指機構10を屈曲させたりする。
屈曲ワイヤ23a、23bは、指機構20に設けられており、指機構20を屈曲させるために駆動する。屈曲ワイヤ33a、33bは、指機構30に設けられており、指機構30を屈曲させるために駆動する。屈曲ワイヤ43a、43bは、指機構40に設けられており、指機構40を屈曲させるために駆動する。屈曲ワイヤ53a、53bは、指機構50に設けられており、指機構50を屈曲させるために駆動する。屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53aは、それぞれの先端部が指機構20、30、40、50の長手方向の中央側(例えば、屈曲ワイヤ23aは関節部22bと22cの間、屈曲ワイヤ33aは関節部32bと32cの間、屈曲ワイヤ43aは関節部42bと42cの間、屈曲ワイヤ53aは関節部52bと52cの間)と連結され、屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53bは、それぞれの先端部が指機構20、30、40、50の先端側(例えば、屈曲ワイヤ23bは関節部22dの更に先端側、屈曲ワイヤ33bは関節部32dの更に先端側、屈曲ワイヤ43bは関節部42dの更に先端側、屈曲ワイヤ53bは関節部52dの更に先端側)と連結されている(図7参照)。屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53aは、それぞれ指機構20、30、40、50の根元側を屈曲させ、屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53bは、それぞれ指機構20、30、40、50全体を屈曲させる。
屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53a、23b、33b、43b、53bは、各屈曲ワイヤの先端部が連結された連結部の他に、各屈曲ワイヤの先端部より手前側に配置された各指機構のガイド部に接触し、その動きが制約される構成となっている(ただし、常にガイド部に接触しているとは限らず、各屈曲ワイヤに所定方向の力が働いた時に接触可能となっていればよい。)。
ここで、屈曲ワイヤ23a、23bを例に挙げて説明する。図4に示すように、指機構20には、屈曲ワイヤ23bの先端と連結されている連結部81と、複数のガイド部82、83、84と、屈曲ワイヤ23aの先端と連結されている連結部85とが設けられている。連結部85は、ここではガイド部83の先端に設けられている。ガイド部82は、関節部22dと関節部22cの間に設けられ、ガイド部83は、関節部22cと関節部22bの間に設けられ、ガイド部84は、関節部22bと関節部22a(図3参照)の間に設けられている。ガイド部82、83、84は、例えば屈曲ワイヤ23bが接するような引っ掛け部を有し、指機構20が屈曲・伸展する際に屈曲ワイヤ23bの姿勢を規制する。また、ガイド部84は、例えば屈曲ワイヤ23aが接するような引っ掛け部を有し、指機構20が屈曲・伸展する際の屈曲ワイヤ23aの姿勢も規制する。これにより、屈曲ワイヤ23a、23bに作用する力は、ガイド部82、83、84を介して指機構20にも作用するため、より実際の指関節の動きに似せた駆動制御が可能となる。例えば、連結部85付近には、屈曲ワイヤ23a、23bの両方の力が作用するため、比較的小さい駆動力で大きな力を連結部85に働かせることが可能となる。
屈曲ワイヤ23a、23bは、それぞれ駆動部70bの別々の駆動源(アクチュエータ)にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。例えば、屈曲ワイヤ23aが単独で指機構20を屈曲させたり、屈曲ワイヤ23a、23bが共に駆動して指機構20を屈曲させたりする。同様に、屈曲ワイヤ33a、33b、屈曲ワイヤ43a、43b及び屈曲ワイヤ53a、53bも、それぞれ駆動部70c、70d、70eの別々の駆動源にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。
連結ワイヤ61、62、63、64は、指機構20、30、40、50の屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53aのうちの少なくとも一組の屈曲ワイヤ同士の間を連結している。具体的には、連結ワイヤ61は屈曲ワイヤ23aと屈曲ワイヤ33aを連結し、連結ワイヤ62は屈曲ワイヤ33aと屈曲ワイヤ43aを連結し、連結ワイヤ63は屈曲ワイヤ43aと屈曲ワイヤ53aを連結している。すなわち、連結ワイヤ61、62、63は、指機構20、30、40、50のうちの隣接する指機構の屈曲ワイヤ同士を連結している。なお、連結ワイヤ64は、屈曲ワイヤ53aと屈曲ワイヤ23aを連結している。すなわち、連結ワイヤ64は、小指に対応する指機構50の屈曲ワイヤ53aと、人差し指に対応する指機構20の屈曲ワイヤ23aとを連結している。
連結ワイヤ65、66、67、68は、指機構20、30、40、50の屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53bのうちの少なくとも一組の屈曲ワイヤ同士の間を連結している。具体的には、連結ワイヤ65は、屈曲ワイヤ23bと屈曲ワイヤ33bを連結し、連結ワイヤ66は、屈曲ワイヤ33bと屈曲ワイヤ43bを連結し、連結ワイヤ67は、屈曲ワイヤ43bと屈曲ワイヤ53bを連結している。すなわち、連結ワイヤ65、66、67は、指機構20、30、40、50のうちの隣接する指機構の屈曲ワイヤ同士を連結している。なお、連結ワイヤ68は、屈曲ワイヤ53bと屈曲ワイヤ23bを連結している。すなわち、連結ワイヤ68は、小指に対応する指機構50の屈曲ワイヤ53bと、人差し指に対応する指機構20の屈曲ワイヤ23bとを連結している。
なお、図5では、連結ワイヤ61、62、63、64が屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53aに直接連結され、連結ワイヤ65、66、67、68が、屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53bに直接連結されているが、これに限定されない。例えば、連結ワイヤ61、62、63、64は、金具やロッド等を介して屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53aに間接的に連結され、連結ワイヤ65、66、67、68は、金具やロッド等を介して屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53bに間接的に連結されていてもよい。
本実施形態では、連結ワイヤ61、62、63、64が根元側連結部材に該当し、連結ワイヤ65、66、67、68が指先側連結部材に該当する。なお、図5では、連結ワイヤ61~68が伸長しているように示されているが、実際には、弛んだ状態で屈曲ワイヤ同士の間を連結している。連結ワイヤ61~68は、隣接する指機構の姿勢が異なると、伸長した状態となる。
連結ワイヤ61、62、63、64と連結ワイヤ65、66、67、68は、駆動部70a、70b、70c、70dによって指機構20、30、40、50を屈曲させる際の駆動力を分配する機能を有する。本実施形態では、制御部80(図2)は、指機構20、30、40、50のうちの少なくとも2つの指機構(例えば、指機構20、30)が曲げ動作する際に、指機構20の第1姿勢と指機構30の第2姿勢との差異が所定差よりも大きい場合には、指機構30の屈曲ワイヤ33a、33bを駆動させる駆動部70bに、伸長した連結ワイヤ61、65を介して指機構20の曲げ動作をアシストさせる。これにより、駆動部70b、70cの駆動力によって、指機構20が曲げ動作することになる。なお、上記の所定差とは、通常は屈曲ワイヤ23a(23b)と屈曲ワイヤ33a(33b)との間で弛んだ状態で連結している連結ワイヤ61(65)が張った状態となるような2つの姿勢の差である。
以下では、指機構20の屈曲ワイヤ23bと指機構30の屈曲ワイヤ33bとを連結している連結ワイヤ65を例に挙げて、図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は、駆動力の分配状態を説明するための模式図である。図9は、駆動力の非分配状態を説明するための模式図である。図8(b)及び図9(b)は、図8(a)及び図9(a)の矢印Aから見た模式図である。なお、図8及び図9では、説明の便宜上、連結ワイヤ65の位置を図5に示す位置とは異ならせている。
ここでは、指機構20が指機構10とで物体Mを掴んでいる(動作に寄与している)のに対して、指機構30は物体Mに対して働きかけをしていない(動作に寄与していない)ものとする。この場合、指機構20が第1指機構に該当し、指機構30が第1指機構に隣接する第2指機構に該当する。なお、第2指機構は、人差し指から小指へ向かう方向において第1指機構に隣接する指機構である。
連結ワイヤ65は、指機構20の屈曲ワイヤ23bと指機構30の屈曲ワイヤ33bとを連結しているが、指機構20と指機構30の姿勢の差に応じて弛んだ状態と張った状態の間で遷移する。例えば、図9に示すように、指機構20と指機構30がほぼ同じ姿勢となっている場合(2つの姿勢の差が所定差よりも小さい場合)には、連結ワイヤ65が弛んでいる。一方で、図8に示すように、指機構30が指機構20に比べて大きく屈曲している場合(2つの姿勢の差が所定差よりも大きい場合)には、連結ワイヤ65の連結点65a、65bの距離が大きくなり、連結ワイヤ65が張った状態となっている。
そして、連結ワイヤ65は、図8に示すように張った状態では駆動力を分配する機能を発揮する。すなわち、連結ワイヤ65は、屈曲ワイヤ33bを駆動させる駆動力F2の一部の力F2aを屈曲ワイヤ23bに伝達させる。これにより、指機構20は、屈曲ワイヤ23bが連結された駆動部70bによる駆動力F1と、連結ワイヤ65を経由して伝達される駆動力F2aによって、屈曲することになる。この結果、屈曲ワイヤ23bが連結された駆動部70bのみによって屈曲させる場合に比べて、大きな駆動力で指機構20を屈曲させることができる。別言すれば、屈曲ワイヤ23bが連結された駆動部70b(駆動源)を大型化しなくても、指機構20を適切に動作させることができる。また、指機構30は動作に寄与していないが、指機構30の駆動部70cの駆動力を活用することで、駆動部70cを有効に活用できる。
特に、図8に示すように物体Mを掴む際には、指機構20だけでなく、指機構30、40、50も一緒に動作する。すなわち、指機構30、40、50を曲げながら、指機構20は指機構10とで物体Mを掴む。このため、上記のように連結ワイヤ61~68を設けた場合には、複雑な機構等を設けなくても、指機構20、30、40、50が共に動作する際に自動的に指機構20の曲げ動作をアシストできる。
一方で、連結ワイヤ65は、図9に示すように弛んだ状態では駆動力を分配する機能を発揮しない。すなわち、屈曲ワイヤ33bを駆動させる駆動力F2が連結ワイヤ65を介して屈曲ワイヤ23bに伝達されない。
図8では指機構20と指機構30の間の連結ワイヤ65について説明したが、指機構20が指機構10と共に物体Mを掴む際には、指機構50も指機構30と同じ姿勢となっている。本実施形態では、指機構20の屈曲ワイヤ23a、23bと指機構50の屈曲ワイヤ53a、53bとの間にも連結ワイヤ64、68が連結されている(図5参照)。このため、指機構50の駆動部70eの駆動力が、伸長した連結ワイヤ64、68を介して指機構20に伝達される。これにより、指機構20が、本来なら動作に寄与しない駆動部70c、70eによっても駆動されるので、駆動部70c、70eを有効活用できる。
多指ロボット1の手の甲側には、図6に示すように、伸展ワイヤ14a、14bと、伸展ワイヤ24a、24bと、伸展ワイヤ34a、34bと、伸展ワイヤ44a、44bと、伸展ワイヤ54a、54bが設けられている。
伸展ワイヤ14a、14bは、指機構10に設けられており、指機構10を伸展させるために駆動するワイヤである。伸展ワイヤ14aは指機構10の長手方向の中央側と連結され、伸展ワイヤ14bは指機構10の先端側と連結されている。伸展ワイヤ14aは指機構10の根元側を伸展させ、伸展ワイヤ14bは指機構10全体を伸展させる。伸展ワイヤ14a、14bは、それぞれ駆動部70aの別々の駆動源(アクチュエータ)にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。例えば、伸展ワイヤ14aが単独で指機構10を伸展させたり、伸展ワイヤ14a、14bが共に駆動して指機構10を伸展させたりする。
伸展ワイヤ24a、24bは、指機構20に設けられており、指機構20を伸展させるために駆動する。伸展ワイヤ34a、34bは、指機構30に設けられており、指機構30を伸展させるために駆動する。伸展ワイヤ44a、44bは、指機構40に設けられており、指機構40を伸展させるために駆動する。伸展ワイヤ54a、54bは、指機構50に設けられており、指機構50を伸展させるために駆動する。伸展ワイヤ24a、34a、44a、54aは、それぞれ指機構20、30、40、50の長手方向の中央側と連結され、伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bは、それぞれ指機構20、30、40、50の先端側と連結されている。伸展ワイヤ24a、34a、44a、54aは、それぞれ指機構20、30、40、50の根元側を伸展させ、伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bは、それぞれ指機構20、30、40、50全体を伸展させる。
ここで、図7を参照しながら、伸展ワイヤ24a、24bの連結構成について説明する。伸展ワイヤ24a、24bの連結構成は、前述した屈曲ワイヤ23a、23bの連結構成と同様である。具体的には、伸展ワイヤ24bはガイド部92、93、94によってガイドされ、伸展ワイヤ24bの先端は連結部91に連結されている。同様に、伸展ワイヤ24aはガイド部94によってガイドされ、伸展ワイヤ24aの先端は連結部95に連結されている。
伸展ワイヤ24a、24bは、それぞれ駆動部70bの別々の駆動源(アクチュエータ)にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。例えば、伸展ワイヤ24aが単独で指機構20を伸展させたり、伸展ワイヤ24a、24bが共に駆動して指機構20を伸展させたりする。同様に、伸展ワイヤ34a、34b、伸展ワイヤ44a、44b及び伸展ワイヤ54a、54bも、それぞれ駆動部70c、70d、70eの別々の駆動源にプーリ等を介して連結されており、互いに独立して駆動可能である。
(変形例)
上記では、指機構20、30、40、50の伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bの各々が異なる駆動部70b、70c、70d、70eによって駆動されることとしたが、これに限定されない。例えば、図10に示すように、4つの伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bが、一つの駆動部によって駆動されてもよい。
図10は、変形例を説明するための模式図である。図10には、手の甲側のワイヤ配置が示されている。伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bは、図10にように結合点にて一つに纏められている。一つに纏められたワイヤは、駆動部70fに接続されている。駆動部70fは、纏められた一つのワイヤを駆動させることで、伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bを同時に伸展させる。このように、駆動部70fが伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bをまとめて駆動させることで、伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bを駆動させる駆動部の数を抑制できる。なお、変形例では、駆動部70fが第1伸ばし駆動部に該当する。
また、変形例においては、図10に示すように、人差し指に対応する指機構20には、伸展ワイヤ24a、24bとは別に第3ワイヤである伸展ワイヤ24cが設けられ、小指に対応する指機構50には、伸展ワイヤ54a、54bとは別に第4ワイヤである伸展ワイヤ54cが設けられている。伸展ワイヤ24cは、指機構20の先端側に連結されており、指機構20を伸展させるワイヤである。伸展ワイヤ54cは、指機構50の先端側に連結されており、指機構50を伸展させる。伸展ワイヤ24cは指機構20全体を伸展させ、伸展ワイヤ54cは指機構50全体を伸展させる。
伸展ワイヤ24cは、駆動部70gに接続されており、駆動部70gによって独立してワイヤ駆動される。伸展ワイヤ54cは、駆動部70hに接続されており、駆動部70hによって独立してワイヤ駆動される。駆動部70f、70g、70hによるワイヤ駆動は、制御部80(図2)によって制御されている。例えば、制御部80は、駆動部70fで伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bを駆動させる際に、駆動部70gに伸展ワイヤ24cを駆動させると共に、駆動部70hに伸展ワイヤ54cを駆動させる。なお、変形例では、駆動部70gが指機構20を単独で伸ばす第2伸ばし駆動部に該当し、駆動部70hが指機構50を単独で伸ばす第3伸ばし駆動部に該当する。
人間は、人差し指、中指、薬指及び小指のうちで、人差し指と小指のいずれか一方を伸展させたり、人差し指及び小指を一緒に伸展させたりする。このため、変形例においては、人差し指に対応する指機構20に伸展ワイヤ24cを設け、小指に対応する指機構50に伸展ワイヤ54cを設けることで、多指ロボット1が人間の手の動きと同じ動きを真似ることができる。また、変形例においては、指機構20、30、40、50の先端側に連結された伸展ワイヤ24b、34b、44b、54b及び伸展ワイヤ24c、54cを駆動する駆動部70f、70g、70hの数が3つである。すなわち、図6で説明した構成で伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bを駆動させる駆動部の数(駆動部70b、70c、70d、70e)よりも少ない。よって、多指ロボット1の駆動部の数を抑制しつつ、人間の手の動きに近い動きを再現できる。
また、上記では、屈曲ワイヤ23aと屈曲ワイヤ53aを連結している連結ワイヤ64と、屈曲ワイヤ23bと屈曲ワイヤ53bを連結している連結ワイヤ68が設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、連結ワイヤ64及び連結ワイヤ68は、設けられていなくてもよい。
図11は、第2変形例を説明するための模式図である。第2変形例では、連結ワイヤ61、62、63が、屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53a同士の間を連結し、連結ワイヤ65、66、67が、屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53b同士の間を連結している。
また、上記では、屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53a、23b、33b、43b、53bが、図4に示したガイド部82、83、84によってガイドされていることとしたが、これに限定されない。
図12は、第3変形例を説明するための模式図である。図12では、説明の便宜上、屈曲ワイヤ23b及びガイド部82、83が示されている。第3変形例のガイド部82、83は、指機構20が屈曲・伸展する際の屈曲ワイヤ23bの姿勢を規制するリング部82a、83aを有している。屈曲ワイヤ23bは、リング部82a、83aの空洞を挿通している。指機構20が屈曲・伸展する際に、屈曲ワイヤ23bがリング部82a、83aに接することで、姿勢が規制される。なお、図12には示されていないが、屈曲ワイヤ23aも、ガイド部83と同様な形状のガイド部84のリング部を挿通している。また、屈曲ワイヤ23aの連結部85(図4)は、リング部83aの先端に設けられてもよいし、中節部21bに直接設けられていてもよい。
図13は、第4変形例を説明するための模式図である。図13では、説明の便宜上、屈曲ワイヤ23b及びガイド部82、83が示されている。第4変形例では、屈曲ワイヤ23bは、指機構20の末節部21a、中節部21b及び基節部21cに形成された凹部81b、82b、83bに沿って配置されている。そして、ガイド部82は、中節部21bの凹部82bに設けられ、ガイド部83は、基節部21cの凹部83bに設けられている。ガイド部82、83は、例えばピンである。屈曲ワイヤ23bは、ガイド部82、83の周面に接している。これにより、指機構20の限られたスペースを有効活用して、屈曲ワイヤ23bを配置できる。
また、上記では、連結ワイヤ61~68が、屈曲ワイヤ同士を連結する連結部材であることとしたが、これに限定されない。例えば、連結ワイヤ61~68に代えて、チェーンやスプリングが、屈曲ワイヤ同士を連結してもよい。
また、上記では、連結ワイヤ61~68が指機構20、30、40、50の部分に設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、連結ワイヤ61~68は、駆動部70b、70c、70d、70e側にて、屈曲ワイヤ同士を連結してもよい。
(第1の実施形態における効果)
第1の実施形態の多指ロボット1は、指機構20、30、40、50の屈曲ワイヤ23a、33a、43a、53a(屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53b)同士の間を連結している連結ワイヤ61、62、63、64(連結ワイヤ65、66、67、68)を有する。そして、多指ロボット1においては、指機構20、30、40、50のうちの少なくとも2つの指機構(ここでは、指機構20、30)が曲げ動作する際に、指機構20の姿勢と指機構30の姿勢との差異が所定差よりも大きい場合には、指機構30の屈曲ワイヤ33a、33bを駆動させる駆動部70cに、伸長した連結ワイヤ61、65を介して指機構20の曲げ動作をアシストさせる。
2つの指機構20、30の姿勢の差異が大きい場合には、一方の指機構が動作に寄与する(例えば、指機構20が指機構10と共に物体Mを掴む)一方で、他方の指機構(指機構30)は動作に寄与しないケースが想定される。この場合、本来なら動作に寄与しない指機構30を駆動させる駆動部70cが指機構20の駆動をアシストすることで、駆動部70cを有効活用できる。また、駆動部70b、70cで一つの指機構20を駆動できるので、指機構20を駆動部70bのみで駆動させる場合に比べて、駆動部70bを小型化することが可能となる。同様に、駆動部70c、70d、70eも小型化できる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態の多指ロボット2は、上述した第1の実施形態の多指ロボット1に対して、ワイヤの配置が異なる。多指ロボット2のワイヤ以外の構成については、多指ロボット1と同様な構成である。
(指機構のワイヤ配置)
多指ロボット2の指機構10、20、30、40、50のワイヤ配置について、図14~図17を参照しながら説明する。
図14は、第2の実施形態に係る多指ロボット2の掌側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。図15は、多指ロボット2の手の甲側のワイヤ配置の一例を説明するための模式図である。図16は、指機構20の屈曲ワイヤと伸展ワイヤを説明するための模式図である。図14及び図15では、説明の便宜上、ワイヤが破線又は一点鎖線で示されている。
多指ロボット2の掌側には、図14に示すように、屈曲ワイヤ13b、23b、33b、43b、53bと、連結ワイヤ65、66、67、68が設けられている。多指ロボット2の手の甲側には、図15に示すように、伸展ワイヤ14a、14bと、伸展ワイヤ24a、24b、24cと、伸展ワイヤ34a、34bと、伸展ワイヤ44a、44bと、伸展ワイヤ54a、54b、54cが設けられている。
屈曲ワイヤ13bは、指機構10の先端側と連結されており、駆動することで指機構10を屈曲させる。屈曲ワイヤ23bは、指機構20の先端側と連結されており、駆動することで指機構20を屈曲させる。屈曲ワイヤ33bは、指機構30の先端側と連結されており、駆動することで指機構30を屈曲させる。屈曲ワイヤ43bは、指機構40の先端側と連結されており、駆動することで指機構40を屈曲させる。このように、多指ロボット2の指機構10、20、30、40、50には、それぞれ一つの屈曲ワイヤが設けられており、多指ロボット1の屈曲ワイヤ13a、23a、33a、43a、53aは設けられていない。
連結ワイヤ65は、屈曲ワイヤ23bと屈曲ワイヤ33bを連結している。連結ワイヤ66は、屈曲ワイヤ33bと屈曲ワイヤ43bを連結している。連結ワイヤ67は、屈曲ワイヤ43bと屈曲ワイヤ53bを連結している。連結ワイヤ68は、屈曲ワイヤ53bと屈曲ワイヤ23bを連結している。連結ワイヤ65、66、67、68は、第1の実施形態と同様に、指機構20、30、40、50を屈曲させる際の駆動力を分配する機能を有する。
伸展ワイヤ14a、14bは、駆動することで指機構10を伸展させる。伸展ワイヤ24a、24bは、駆動することで指機構20を伸展させる。伸展ワイヤ34a、34bは、駆動することで指機構30を伸展させる。伸展ワイヤ44a、44bは、駆動することで指機構40を伸展させる。伸展ワイヤ54a、54bは、駆動することで指機構50を伸展させる。伸展ワイヤ24a、34a、44a、54aは、それぞれ別々の駆動部に連結されている。伸展ワイヤ24b、34b、44b、54bは、一つの駆動部に連結されている。
伸展ワイヤ24cは、指機構20に設けられており、駆動することで指機構20を伸展させる。伸展ワイヤ54cは、指機構50に設けられており、駆動することで指機構50を伸展させる。伸展ワイヤ24c及び伸展ワイヤ54cは、それぞれ別々の駆動部に連結されている。
また、指機構20、30、40、50には、指機構20、30、40、50同士を近づけたり遠ざけたりする(別言すれば開閉する)開閉ワイヤが設けられている。指機構20、30、40、50の開閉ワイヤは同様な構成であるので、以下では、図17を参照しながら、指機構20及び指機構30に設けられた開閉ワイヤを例に挙げて説明する。
図17は、開閉ワイヤを説明するための模式図である。図17に示すように、指機構20の両側には一対の開閉ワイヤ25a、25bが設けられており、指機構30の両側には一対の開閉ワイヤ35a、35bが設けられている。開閉ワイヤ25a、25bと開閉ワイヤ35a、35bが、それぞれ指機構20、30を左右方向に移動させる第5ワイヤに該当する。
開閉ワイヤ25aは、例えば指機構20の左側面に連結されており、駆動することで指機構20を左側に移動させるワイヤである。開閉ワイヤ25bは、例えば指機構20の右側面に連結されており、駆動することで指機構20を右側に移動させるワイヤである。開閉ワイヤ35a、35bは、開閉ワイヤ25a、25bと同様に指機構30に連結されており、指機構30を左右方向に移動させる。そして、開閉ワイヤ25bと開閉ワイヤ35aが駆動することで、指機構20と指機構30が近づく(閉じる)。一方で、開閉ワイヤ25aと開閉ワイヤ35bが駆動することで、指機構20と指機構30が遠ざかる(開く)。
第1の実施形態では、制御部80は、2つの屈曲ワイヤ23a及び屈曲ワイヤ23bを駆動させて、指機構20を曲げさせる。これに対して、第2の実施形態では、制御部80は、屈曲ワイヤ23b及び開閉ワイヤ25a、25bを用いて、指機構20を曲げさせる。例えば、制御部80は、指機構20の開閉ワイヤ25a、25bを同時に駆動させると共に、指機構20の屈曲ワイヤ23bを駆動させて、指機構20を曲げさせる。これにより、屈曲ワイヤ23bが一つであっても、開閉ワイヤ25a、25bで指機構20を支持することで、指機構20を適切に屈曲させやすくなる。同様に、制御部80は、屈曲ワイヤ33b、43b、53bと開閉ワイヤ、35a、35b、45a、45b、55a、55bを用いて、指機構30、40、50を曲げさせる。
また、制御部80は、指機構20の伸展ワイヤ24bを駆動させると共に、指機構20の開閉ワイヤ25a、25bの片方のワイヤを駆動させて、指機構20を左右方向に移動させる。例えば、制御部80は、伸展ワイヤ24b及び開閉ワイヤ25aを駆動させて指機構20を左側に移動させ、伸展ワイヤ24b及び開閉ワイヤ25bを駆動させて指機構20を右側に移動させる。伸展ワイヤ24bが指機構20を支えることで、指機構20を左右方向に移動させやすくなる。
また、第1の実施形態では開閉ワイヤについて説明していないが、第1の実施形態の多指ロボット1は、指機構20、30、40、50にそれぞれ設けられた一対の開閉ワイヤによって左右方向に移動する。
(第2の実施形態における効果)
第2の実施形態でも、多指ロボット1は、指機構20、30、40、50の屈曲ワイヤ23b、33b、43b、53b同士の間を連結している連結ワイヤ65、66、67、68を有する。そして、制御部80は、例えば動作に関与する指機構20と動作に関与しない指機構30を曲げる際に、指機構30の駆動部70cの駆動力を連結ワイヤ65を介して指機構20に伝達させる。これにより、動作に寄与しない駆動部70cを有効活用できる。
また、第2の実施形態では、一つの屈曲ワイヤと一対の開閉ワイヤを駆動させることで、指機構20、30、40、50を曲げさせている。これにより、屈曲ワイヤの数を減らしつつ、指機構20、30、40、50を適切に曲げることができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る多指ロボットの指機構の構成について、図18及び図19を参照しながら説明する。第3の実施形態に係る指機構120、130においては、前述した図17に示す指機構20、30の構成に対して、4つの関節部の配列順番と開閉ワイヤの配置状態とが異なる。
図18は、第3の実施形態に係る指機構120、130を説明するための模式図である。図19は、指機構120における屈曲ワイヤ123b及び開閉ワイヤ125a、125bの配置を説明するための模式図である。
図18に示すように、指機構120は、4つの関節部122a、122b、122c、122dを有し、指機構130も、4つの関節部132a、132b、132c、132dを有する。4つの関節部122a、122b、122c、122dは、図17に示す関節部22a、22b、22c、22dのうちの関節部22aと関節部22bの位置を入れ替えた構成となっている。関節部122bが、指機構120の左右方向へ移動させる関節である。同様に、4つの関節部132a、132b、132c、132dも、図17に示す関節部32a、32b、32c、32dのうちの関節部32a、32bの位置を入れ替えた構成となっている。
指機構120の4つの関節部122a、122b、122c、122dには、図19に示すように、一本の屈曲ワイヤ123bと、二本の開閉ワイヤ125a、125bとが設けられている。指機構120は、図18や図19には示していないが、指機構120を伸展させる伸展ワイヤも有する。なお、指機構130におけるワイヤの配置は、指機構120と同様であるので、詳細な説明は省略する。
屈曲ワイヤ123bは、図19に示すように、指機構120の中央を長手方向に沿って(具体的には、根元である関節部122aから指先である関節部122dまで)設けられている。屈曲ワイヤ123bは、関節部122dに連結されており、駆動することで指機構120を屈曲させる。
開閉ワイヤ125a、125bは、図19に示すように、屈曲ワイヤ123bの両側に配置されている。開閉ワイヤ125a、125bは、ここでは屈曲ワイヤ123bに略平行に設けられている。開閉ワイヤ125a、125bは、駆動することで指機構120を左右方向に移動させる。例えば、開閉ワイヤ125a、125bは、一方が駆動することで指機構120を指機構130に対して近づけたり遠ざけたりする。開閉ワイヤ125a、125bは、図18に示すように、根元から関節部122bまで設けられている。
変形例においても、屈曲ワイヤ123bが駆動する際に、開閉ワイヤ125a、125bが共に駆動することで、指機構120を曲げさせる。すなわち、開閉ワイヤ125a、125bが指機構120を支持した状態で、屈曲ワイヤ123bが指機構120を曲げる。上述したように、開閉ワイヤ125a、125bが関節部122bまで設けられていることで、屈曲ワイヤ123bが一本であっても指機構120の屈曲動作がより安定しやすくなる。指機構130の開閉ワイヤ135a、135bも、同様に駆動することで、指機構130の屈曲動作が安定しやすくなる。
なお、上記では、多指ロボットの人差し指に倣った指機構120及び中指に倣った指機構130の構成について説明したが、薬指に倣った指機構及び小指に倣った指機構も同様な構成である。これにより、多指ロボットの全体が、最適な動きを行うことが可能となる。
また、上記では、開閉ワイヤ125a、125bが屈曲ワイヤ123bに対して略平行になるように配置されていることとしたが、これに限定されない。例えば、開閉ワイヤ125a、125bは、交差するように配置されてもよい。
図20は、指機構120の変形例を説明するための模式図である。変形例に係る指機構120は、開閉ワイヤ125a、125bの代わりに、互いに交差するように配置された開閉ワイヤ126a、126bを有する。開閉ワイヤ126a、126bは、図20に示すように、X字状に配置されている。このように開閉ワイヤ126a、126bが交差するように配置された場合には、指機構120の左右方向への回動が安定化する。なお、開閉ワイヤ126a、126bは、互いに接触しないように、高さ方向でずれるように配置されてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
1、2 多指ロボット
20 指機構
23a、23b 屈曲ワイヤ
24a、24b、24c 伸展ワイヤ
30 指機構
33a、33b 屈曲ワイヤ
34a、34b 伸展ワイヤ
40 指機構
43a、43b 屈曲ワイヤ
44a、44b 伸展ワイヤ
50 指機構
53a、53b 屈曲ワイヤ
54a、54b、54c 伸展ワイヤ
61、62、63、64 連結ワイヤ
65、66、67、68 連結ワイヤ
70b、70c、70d、70e 駆動部
70f、70g、70h 駆動部
80 制御部

Claims (13)

  1. 人間の手の人差し指、中指、薬指、小指に対応しており、それぞれ駆動用の第1ワイヤを有する複数の指機構と、
    前記指機構の各々を曲げるように、各指機構の前記第1ワイヤをそれぞれ独立して駆動させる複数の曲げ駆動部と、
    複数の前記第1ワイヤのうちの少なくとも一組の前記第1ワイヤ同士の間を連結している連結部材と、
    前記曲げ駆動部による各指機構の前記第1ワイヤの駆動を制御する駆動制御部と、
    を備え、
    前記駆動制御部は、前記複数の指機構のうちの少なくとも第1指機構と第2指機構が曲げ動作する際に、前記第1指機構の第1姿勢と前記第2指機構の第2姿勢との差異が所定差よりも大きい場合には、前記第2指機構の前記第1ワイヤを駆動させる曲げ駆動部に、伸長した前記連結部材を介して前記第1指機構の曲げ動作をアシストさせ
    前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構を伸ばすための第2ワイヤと、
    前記指機構の各々を伸ばすように、前記第2ワイヤを駆動させる第1伸ばし駆動部と、を更に備え、
    前記第1伸ばし駆動部は、各指機構の前記第2ワイヤをまとめて駆動させる、
    ロボットハンド装置。
  2. 人間の手の人差し指、中指、薬指、小指に対応しており、それぞれ駆動用の第1ワイヤを有する複数の指機構と、
    前記指機構の各々を曲げるように、各指機構の前記第1ワイヤをそれぞれ独立して駆動させる複数の曲げ駆動部と、
    複数の前記第1ワイヤのうちの少なくとも一組の前記第1ワイヤ同士の間を連結している連結部材と、
    前記曲げ駆動部による各指機構の前記第1ワイヤの駆動を制御する駆動制御部と、
    を備え、
    前記駆動制御部は、前記複数の指機構のうちの少なくとも第1指機構と第2指機構が曲げ動作する際に、前記第1指機構の第1姿勢と前記第2指機構の第2姿勢との差異が所定差よりも大きい場合には、前記第2指機構の前記第1ワイヤを駆動させる曲げ駆動部に、伸長した前記連結部材を介して前記第1指機構の曲げ動作をアシストさせ、
    前記第1ワイヤは、各指機構の指先側に連結され、各指機構の複数の関節部を曲げる一つのワイヤであり、
    各指機構の両側に設けられ、指機構を左右方向に移動させる一対の第5ワイヤを更に備え、
    前記駆動制御部は、一の指機構の前記一対の第5ワイヤと前記第1ワイヤを駆動させて、前記一の指機構を曲げさせる、
    ロボットハンド装置。
  3. 前記第2指機構は、前記複数の指機構のうちの前記第1指機構に対して、前記人差し指から前記小指へ向かう方向において隣接する指機構である、
    請求項1又は2に記載のロボットハンド装置。
  4. 前記人差し指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第3ワイヤと、
    前記人差し指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第3ワイヤを駆動させる第2伸ばし駆動部と、を更に備える、
    請求項に記載のロボットハンド装置。
  5. 前記小指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第4ワイヤと、
    前記小指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第4ワイヤを駆動させる第3伸ばし駆動部と、を更に備える、
    請求項に記載のロボットハンド装置。
  6. 前記駆動制御部は、前記第1伸ばし駆動部で前記第2ワイヤを駆動させる際に、前記第2伸ばし駆動部に前記第3ワイヤを駆動させると共に、前記第3伸ばし駆動部に前記第4ワイヤを駆動させる、
    請求項に記載のロボットハンド装置。
  7. 複数の関節部を含む各指機構の前記第1ワイヤは、根元側の関節部を曲げるための第1根元側ワイヤと、指先側の関節部を曲げるための第1指先側ワイヤとであり、
    前記連結部材は、2つの指機構の第1根元側ワイヤ同士の間を連結している根元側連結部材と、前記2つの指機構の第1指先側ワイヤ同士の間を連結している指先側連結部材とである、
    請求項1からのいずれか1項に記載のロボットハンド装置。
  8. 前記駆動制御部は、前記一の指機構の前記一対の第5ワイヤを同時に駆動させると共に、前記一の指機構の前記第1ワイヤを駆動させて、前記一の指機構を曲げさせる、
    請求項に記載のロボットハンド装置。
  9. 前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構の指先側に連結され指機構を伸ばすための第2ワイヤを更に備え、
    前記駆動制御部は、一の指機構の前記第2ワイヤを駆動させると共に、前記一の指機構の前記一対の第5ワイヤの片方のワイヤを駆動させて、前記一の指機構を前記左右方向に移動させる、
    請求項又はに記載のロボットハンド装置。
  10. 人間の手の人差し指、中指、薬指、小指に対応しており、それぞれ駆動用の第1ワイヤを有する複数の指機構と、
    前記指機構の各々を曲げるように、各指機構の前記第1ワイヤをそれぞれ独立して駆動させる複数の曲げ駆動部と、
    前記複数の指機構の各々に設けられ、各指機構を伸ばすための第2ワイヤと、
    前記指機構の各々を伸ばすように、前記第2ワイヤを駆動させる第1伸ばし駆動部と、
    を備え、
    前記第1伸ばし駆動部は、各指機構の前記第2ワイヤをまとめて駆動させる、
    ロボットハンド装置。
  11. 前記人差し指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第3ワイヤと、
    前記人差し指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第3ワイヤを駆動させる第2伸ばし駆動部と、を更に備える、
    請求項10に記載のロボットハンド装置。
  12. 前記小指に対応する指機構に前記第2ワイヤとは別に設けられ、当該指機構を伸ばすための第4ワイヤと、
    前記小指に対応する指機構を単独で伸ばすように、前記第4ワイヤを駆動させる第3伸ばし駆動部と、を更に備える、
    請求項11に記載のロボットハンド装置。
  13. 前記第1伸ばし駆動部で前記第2ワイヤを駆動させる際に、前記第2伸ばし駆動部に前記第3ワイヤを駆動させると共に、前記第3伸ばし駆動部に前記第4ワイヤを駆動させる駆動制御部を更に備える、
    請求項12に記載のロボットハンド装置。
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