JP7086757B2 - インクジェットインク - Google Patents
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Description
しかし近時、溶剤として有機溶剤のみを用いるか、もしくは水を併用する場合でも水より有機溶剤を多くすることで速乾性を付与して、加熱乾燥工程を省略可能とした、HEATLESSINK(登録商標)等のインクジェットインクが実用化されつつある。
非吸収性の被印刷体の表面に、定着性に優れた印刷をするためには、インクジェットインクに、たとえば、有機溶剤可溶の樹脂をバインダとして配合するのが一般的である。
とくに、水を全く含まない溶剤系のインクジェットインクにおいて、コゲーションを生じやすい。
分子量が300以上で、室温(5~35℃)で固体状を呈する上、通常の樹脂よりも低分子量の成分、たとえば、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類を、樹脂に代わるバインダとして用いることが検討されている(特許文献1等)。
すなわち印刷を、たとえば、指先などで擦過した際に、当該印刷が摩擦熱や皮脂などによって軟化したり溶解したりして、かすれたり取れたりしやすくなる場合がある。
金属錯塩染料、
数平均分子量Mnが4500以下であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
前記金属錯塩染料と前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で24時間静置しても析出を生じない第一溶剤、および
前記金属錯塩染料と前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で静置すると1分間以内に析出を生じるが、前記金属錯塩染料、および前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを別個に分散させて、それぞれ室温で24時間静置しても析出を生じない第二溶剤、
を含み、前記第一溶剤の引火点F1(℃)と前記第二溶剤の引火点F2(℃)とは式(1):
F1<F2 (1)
を満足するインクジェットインクである。
金属錯塩染料、
数平均分子量Mnが4500以下であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
金属錯塩染料とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で24時間静置しても析出を生じない第一溶剤、および
金属錯塩染料とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で静置すると1分間以内に析出を生じるが、金属錯塩染料、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを別個に分散させて、それぞれ室温で24時間静置しても析出を生じない第二溶剤、
を含み、かつ第一溶剤の引火点F1(℃)と第二溶剤の引火点F2(℃)とは式(1):
F1<F2 (1)
を満足することを特徴とするものである。
そのため、本発明のインクジェットインクをサーマル方式のインクジェットプリンタに用いても、コゲーションを生じにくくすることができる。
しかし、被印刷体の表面に印刷してインクジェットインクの乾燥が始まると、引火点F1、F2が式(1)を満足する第一溶剤と第二溶剤とでは、第二溶剤より第一溶剤の方が揮発性が高いため、より速くに揮発する。
そして、第二溶剤の比率が徐々に増加するのにともなって、金属錯塩染料、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの析出が徐々に進行する。
したがって、本発明のインクジェットインクによれば、水を含まない溶剤系であって、しかもコゲーションを生じにくい上、とくにアルミニウム箔、OPP、PET等の非吸収性の被印刷体の表面に、定着性、耐擦過性に優れた印刷をすることが可能となる。
すなわち、金属錯塩染料以外の他の油溶性染料は、第二溶剤の比率が増加しても、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとともに析出したり凝集したりすることはなく、被印刷体の表面にしっかり定着されることはない。
なお本発明では、第一溶剤、第二溶剤の引火点F1、F2を、日本工業規格JIS K2265-4:2007「引火点の求め方-第4部:クリーブランド開放法」に規定された測定方法に則って測定した値でもって表すこととする。
金属錯塩染料としては、第一溶剤、および第二溶剤に対して上述した分散性を示す種々の金属錯塩染料を用いることができる。
金属錯塩染料の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種染料が挙げられる。
C.I.ソルベントイエロー19、21、25、32、41、61、62、65、79、81、82、83、83:1、88、89、90、151;オリエント化学工業(株)のVALIFAST(登録商標)YELLOW3108、3120、3150、3170、3180、4120、4121;中央合成化学(株)製のNeo SuperColor Yellow C-131;田岡化学(株)製のOleosol(登録商標) Fast Yellow 2G、GCN;BASFジャパン(株)製のOrasol(登録商標)Yellow 141、152、157、190;Sensient社製のIntraplast(登録商標)Yellow 2GLN、3R;CLARIANT(株)製のSavinyl(登録商標)Yellow 2GLS 01、RLS、RLSN、2RLS。
C.I.ソルベントオレンジ5、6、11、20、41、54、56、58、59、62、99;オリエント化学工業(株)製のVALIFAST ORANGE2210、3208、3209、3210;中央合成化学(株)製のNeo Super Color Orange C-232;BASFジャパン(株)製のOrasol Orange245、247、251、272;Sensient社製のIntraplast Orange G、RLN;CLARIANT(株)製のSavinyl Orange RLS、RLSE。
C.I.ソルベントレッド8、91、99、100、102、109、118、119、122、124、125、127、130、132、142、160、218、233;オリエント化学工業(株)製のVALIFAST Red 2303、2320、3304、3306、3311、3312、3320、PINK 2310N;中央合成化学(株)製のNeo Super Color RED C-431、PINK C-331;田岡化学(株)製のOleosol Fast RED BL、PINK FB;BASFジャパン(株)製のOrasol Red 330、335、355、363、365、385、395、471、Pink 478;Sensient社製のIntraplast Red GC、 Scarlet 3GL;CLARIANT(株)製のSavinyl Red 3BLS、3GLS、Pink 6BLS。
C.I.ソルベントブラウン37、42、43、44;BASFジャパン(株)製のOrasol Brown 324、326;Sensient社製のIntraplast Brown GC。
C.I.ソルベントブルー24、25、38、44、45、55、64、67、70;オリエント化学工業(株)製のVALIFAST Blue2606、2620、2670;中央合成化学(株)のNeo Super Color Blue C-555;BASFジャパン(株)製のOrasol Blue 825、855;Sensient社製のIntraplast Blue GN;CLARIANT(株)製のSavinyl Blue RS、GLS。
C.I.ソルベントブラック22、27、28、29、34、35、43;オリエント化学工業(株)製のVALIFAST BLACK3804、3807、3808、3810、3820、3830、3840、3866、3870、3877、3878;中央合成化学(株)のNeo Super Color Black C-832;BASFジャパン(株)製のOrasol Black X45、X51、X55;Sensient社製のIntraplast Black CN、RLS;CLARIANT(株)製のSavinyl Black RLSN 01。
ただし金属錯塩染料の割合は、インクジェットインクの総量中の5質量%以上、とくに6質量%以上であるのが好ましく、12質量%以下、とくに10質量%以下であるのが好ましい。
なお上記割合は、1種のみの金属錯塩染料を用いる場合は、当該1種のみの金属錯塩染料の割合であり、2種以上を併用する場合は、当該2種以上の金属錯塩染料の合計の割合である。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、通常は非イオン系界面活性剤等として用いられる、分子量が300以上で、室温で固体状を呈する上、コゲーションを生じる通常の樹脂よりも低分子量の化合物である。
しかしこれらの化合物は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに比べて造膜性が低いため、被印刷体の表面に、定着性、耐擦過性に優れた印刷をすることができない。
これに対し、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは高い造膜性を有するため、第一溶剤および第二溶剤と組み合わせることにより、前述したメカニズムによって、コゲーションを生じることなしに、被印刷体の表面に、定着性、耐擦過性、および速乾性に優れた印刷をすることができる。
かかる条件を満たす、好ましいポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、たとえば、(株)ADEKA製のアデカプルロニック(登録商標)LシリーズのうちL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕、L-34〔POE(16)POP(17)、数平均分子量Mn:1700、POE含量:40%〕、L-61〔POE(5)POP(30)、数平均分子量Mn:2000、POE含量:10%〕、L-62〔POE(10)POP(30)、数平均分子量Mn:2500、POE含量:20%〕、L-101〔POE(8)POP(55)、数平均分子量Mn:3800、POE含量:10%〕、L-121〔POE(10)POP(65)、数平均分子量Mn:4500:POE含量:10%〕等の1種または2種以上を用いることができる。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの割合は、金属錯塩染料に対して2.5質量%以上、とくに3質量%以上であるのが好ましく、60質量%以下、とくに50質量%以下であるのが好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの割合が上記の範囲未満、あるいは上記の範囲を超える場合には、このいずれにおいても、印刷の耐擦過性が低下する場合がある。
第一溶剤としては、前述したように金属錯塩染料とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに同一系中に分散させて、室温で24時間静置しても析出を生じない種々の有機溶剤を用いることができる。
ただし、インクジェットプリンタのヘッドの構成部品、特にプラスチック部品などを溶解したりせず、かつ安全性の高いケトンが好ましい。
ケトンの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、アセトン〔ジメチルケトン、炭素数:3、引火点F1:-10.0℃〕、2-ブタノン〔メチルエチルケトン(MEK)、炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕、2-ペンタノン〔メチルプロピルケトン(MPK)、炭素数:5、引火点F1:7.2℃〕、3-ペンタノン〔ジエチルケトン(DEK)、炭素数:5、引火点F1:13.0℃〕、2-メチル-4-ペンタノン〔メチルイソブチルケトン(MIBK)、炭素数:6、引火点F1:24.0℃〕、2,6-ジメチル-4-へプタノン〔ジイソブチルケトン(DIBK)、炭素数:9、引火点F1:60.0℃〕等の1種または2種以上を用いることができる。
また、組み合わせる第二溶剤にもよるが、当該第二溶剤の引火点F2よりも引火点F1が高くなって、先に説明したメカニズムによる、印刷の定着性、耐擦過性を高める効果が得られない場合もある。
また、炭素数が3であるアセトンは引火点F1が低すぎて、組み合わせる第二溶剤にもよるが、当該第二溶剤の引火点F2との差が大きくなりすぎる傾向がある。
そのため、やはり上記のメカニズムによる、印刷の定着性、耐擦過性を高める効果が得られない場合がある。
したがって、第一溶剤としては、炭素数が4または5のケトン、とくにMEK、DEKを用いるのが好ましい。
第二溶剤としては、前述したように、金属錯塩染料とポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに同一系中に分散させて、室温で静置すると1分間以内に析出を生じるが、金属錯塩染料、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを別個に分散させて、それぞれ室温で24時間静置しても析出を生じない種々の有機溶剤を用いることができる。
第二溶剤としてアルコールを用いることにより、被印刷体の表面で、金属錯塩染料をポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとともにゆっくりと凝集させて、当該表面にしっかりと定着させる効果をより一層向上することができる。
そのため、第二溶剤としては炭素数が3以下で、かつ引火点F2が30℃以下のアルコール、中でも炭素数が2以下で、かつ引火点F2が20℃以下であるメタノールおよび/またはエタノール、とくにエタノールを用いるのが好ましい。
第一溶剤、および第二溶剤としては、上記例示の各種溶剤の中から、第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とが式(1):
F1<F2 (1)
を満足するものを選択して組み合わせる必要がある。
ただし、第一溶剤と第二溶剤としては、それぞれの引火点F1、F2ができるだけ近いものを組み合わせるのが好ましい。
F2-F1≦30℃ (2)
を満足するものを選択して用いるのが好ましい。
引火点F1、F2の差が式(2)の範囲を超える場合には、両溶剤の揮発速度が違い過ぎるため、上述したメカニズムによる、印刷の定着性、耐擦過性を高める効果が十分に得られない場合がある。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、引火点F1、F2の差は、上記の範囲でも22℃以下であるのが好ましい。
第二溶剤についても同様である。
第二溶剤として、引火点F2の異なる2種以上を併用する場合は、併用する2種以上の第二溶剤のうち最も量の多い主溶剤の引火点を、第二溶剤の引火点F2として、引火点F1、F2の差を求めることとする。
第一溶剤と第二溶剤の総量中に占める第一溶剤の割合は15質量%以上、とくに30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以下、とくに40質量%以下であるのが好ましい。
一方、第一溶剤の割合が上記の範囲を超える場合には、インクジェットインクの速乾性が高くなりすぎる。
また、たとえば、インクジェットインクをオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用すると、とくに印刷のデキャップタイムにインクジェットプリンタのノズルで目詰まり等して、印刷の再開時にかすれ等を生じやすい場合がある。
インクジェットプリンタには、通常、その運転停止時に、ノズル内のインクジェットインクが外気にさらされることで乾燥して、目詰まり等を生じたりしないようにするために、ノズルを閉じる(キャップする)機能が付与されているのが一般的である。
そしてその間、ノズル内のインクジェットインクは外気にさらされ続けることになるため、上記時間、つまりデキャップタイムが長いほど、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる傾向がある。
目詰まり等を生じないデキャップタイムが長ければ長いほど、インクジェットインクは、間欠印刷性が良好であると評価することができる。
なお、前述した第一溶剤の割合は、1種のみの第一溶剤を用いる場合は、当該1種のみの第一溶剤の割合であり、2種以上を併用する場合は、当該2種以上の第一溶剤の合計の割合である。
すなわち第二溶剤の割合は、第一溶剤と第二溶剤の総量中の50質量%以上、とくに60質量%以上であるのが好ましく、85質量%以下、とくに70質量%以下であるのが好ましい。
上記割合は、やはり1種のみの第二溶剤を用いる場合は、当該1種のみの第二溶剤の割合であり、2種以上を併用する場合は、当該2種以上の第二溶剤の合計の割合である。
インクジェットインクには、本発明の効果を阻害しない範囲で、とくにコゲーションを生じない範囲で、少量の樹脂を配合してもよい。
樹脂を少量配合することで、印刷の定着性、耐擦過性をより一層向上することができる。
かかる樹脂としては、たとえば、ノボラック樹脂等のフェノール樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
樹脂の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、BASFジャパン(株)製のJONCRYL(登録商標)シリーズの各種アクリル樹脂の1種または2種以上を用いることができる。
樹脂の割合がこの範囲未満では、当該樹脂を配合することによる、印刷の定着性、耐擦過性をさらに向上する効果が十分に得られない場合がある。
一方、樹脂の割合が上記の範囲を超える場合には、コゲーションを生じやすくなる場合がある。
他の成分としては、さらにポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール以外の他の界面活性剤や、粘着性付与剤等の各種添加剤を、任意の割合で配合することができる。
〈実施例1〉
下記の各成分を配合したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
着色剤:金属錯塩染料〔前出のオリエント化学工業(株)製のVALIFAST BLACK 3810〕
バインダ:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール〔前出のアデカプルロニックL-31、POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕
第一溶剤:MEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕
第二溶剤:エタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤として、DEK〔炭素数:5、引火点F1:13.0℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は3.0℃であった。
第二溶剤として、エタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕44質量%と、1-ブタノール〔炭素数:4、引火点F2:40.0℃〕13質量%とを併用したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と、第二溶剤としての2種のアルコールの引火点F2とはいずれも式(1)を満足し、かつ第一溶剤の引火点F1と、第二溶剤のうち主溶剤であるエタノールの引火点F2との差F2-F1は21.6℃であった。
第二溶剤として、1-ブタノール〔炭素数:4、引火点F2:40.0℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は45.6℃であった。
第一溶剤として、アセトン〔炭素数:3、引火点F1:-10.0℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は26.0℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである、前出のアデカプルロニックL-34〔POE(16)POP(17)、数平均分子量Mn:1700、POE含量:40%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである、前出のアデカプルロニックL-61〔POE(5)POP(30)、数平均分子量Mn:2000、POE含量:10%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである、前出のアデカプルロニックL-62〔POE(10)POP(30)、数平均分子量Mn:2500、POE含量:20%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである、前出のアデカプルロニックL-101〔POE(8)POP(55)、数平均分子量Mn:3800、POE含量:10%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである、前出のアデカプルロニックL-121〔POE(10)POP(65)、数平均分子量Mn:4500:POE含量:10%〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのアデカプルロニックL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕の割合を3.5質量%、第二溶剤としてのエタノールの割合を56.5質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのアデカプルロニックL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕の割合を4質量%、第二溶剤としてのエタノールの割合を56質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのアデカプルロニックL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕の割合を0.3質量%、第二溶剤としてのエタノールの割合を59.7質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのアデカプルロニックL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕の割合を0.2質量%、第二溶剤としてのエタノールの割合を59.8質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を13.5質量%、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を76.5質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を27質量%、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を63質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を36質量%、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を54質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を45質量%、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を45質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのアデカプルロニックL-31〔POE(3)POP(17)、数平均分子量Mn:1100、POE含量:10%〕の割合を2質量部として、さらにアクリル樹脂〔前出のBASFジャパン(株)製のJONCRYL682〕1質量部を加えたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとしてのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合せず、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を60質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに代えてアクリル樹脂〔前出のBASFジャパン(株)製のJONCRYL682〕15質量%を配合し、第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を31質量%、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を47質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに代えてアクリル樹脂〔前出のBASFジャパン(株)製のJONCRYL682〕15質量%を配合し、第一溶剤としてのMEKに代えて超純水47質量%を配合するとともに、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を31質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
着色剤として、金属錯塩染料でない油溶性染料〔オリエント化学工業(株)製のOIL BLACK860〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
第一溶剤として、DIBK〔炭素数:9、引火点F1:60.0℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足せず、両者の差F2-F1は-44.0℃であった。
第一溶剤を配合せず、第二溶剤としてのエタノール〔炭素数:2、引火点F2:16.0℃〕の割合を90質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製したが、金属錯塩染料、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを良好に分散させることができず析出を生じたため、後述する各試験は実施しなかった。
第一溶剤としてのMEK〔炭素数:4、引火点F1:-5.6℃〕の割合を90質量%として、第二溶剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
バインダとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに代えてアセチレングリコール〔日信化学工業(株)製のオルフィン(登録商標)E1020〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
第一溶剤の引火点F1と第二溶剤の引火点F2とは式(1)を満足し、両者の差F2-F1は21.6℃であった。
オンデマンド型のサーマル方式のインクジェットプリンタ〔ビデオジェット(株)製のPrint Mail Wide Array〕を使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、アルミニウム箔の表面に、300×600dpiの解像度で0.5インチ×0.5インチのベタ画像を連続印刷した。
×:1万回未満。
△:1万回以上、2万回未満。
○:2万回以上。
連続印刷性試験で使用したのと同じインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、アルミニウム箔の表面に、0.2pt(線幅0.07mm)のバーコードを印刷した。
次いで、印刷したバーコードの上に、皮脂の代用として植物油を滴下して一定時間待ってからガーゼで10往復拭き取った際の変化を観察して、下記の基準で耐油性を評価した。
△:滴下から5秒間待ってから拭き取るとバーコードの一部に溶解による伸びが見られたが、欠けは見られなかった。
○:滴下から5秒間待ってから拭き取ってもバーコードに変化は見られなかった。
◎:拭き取りの回数をさらに10往復追加して20往復にしても、バーコードに変化は見られなかった。
連続印刷性試験で使用したのと同じインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、アルミニウム箔の表面に、300×300dpiの解像度で約8.5ptの文字を印刷した。
×:10秒以上。
△:5秒以上、10秒未満。
○:5秒未満。
実施例、比較例で調製したインクジェットインクをスクリュー管瓶に入れて0℃、-20℃の低温環境下で1日間静置後、瓶内のインクジェットインクに析出が生じたか否かを観察して、下記の基準で分散安定性を評価した。
×:0℃、-20℃のいずれにおいても析出が見られた。
△:-20℃では析出が見られたが、0℃では析出は見られなかった。
○:0℃、-20℃のいずれにおいても析出は見られなかった。
連続印刷性試験で使用したのと同じインクジェットプリンタを使用して、実施例、比較例で調製したインクジェットインクにより、アルミニウム箔の表面に、300×300dpiの解像度で約8.5ptの文字を印刷した。
×:1分間未満
△:1分間以上、10分間未満
○:10分間以上
以上の結果を表2~表7に示す。なお表中の「PEPPG」は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを示す。
また、インクジェットインクの吐出性や速乾性を向上することを考慮すると、第二溶剤としては、引火点F2が30℃以下、とくに20℃以下のアルコールを用いるのが好ましいことが判った。
実施例1、11~14の結果より、印刷の定着性、耐擦過性をさらに向上することを考
慮すると、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの割合は、金属錯塩染料に対して2.5質量%以上、とくに3質量%以上であるのが好ましく、60質量%以下、とくに50質量%以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1、19の結果より、バインダとしては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとともに樹脂を併用してもよく、その場合には印刷の定着性、耐擦過性をさらに向上できることが判った。
Claims (6)
- 金属錯塩染料、
数平均分子量Mnが4500以下であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、
前記金属錯塩染料と前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で24時間静置しても析出を生じない第一溶剤、および
前記金属錯塩染料と前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとをともに分散させて、室温で静置すると1分間以内に析出を生じるが、前記金属錯塩染料、および前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを別個に分散させて、それぞれ室温で24時間静置しても析出を生じない第二溶剤、
を含み、前記第一溶剤の引火点F1(℃)と前記第二溶剤の引火点F2(℃)とは式(1):
F1<F2 (1)
を満足するインクジェットインク。 - 前記第一溶剤の引火点F1(℃)と前記第二溶剤の引火点F2(℃)とは、さらに式(2):
F2-F1≦30℃ (2)
を満足する請求項1に記載のインクジェットインク。 - 前記第二溶剤の引火点F2(℃)は30℃以下である請求項1または2に記載のインクジェットインク。
- 前記第一溶剤は炭素数4~5のケトン、前記第二溶剤は炭素数1~3のアルコールである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- 前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、ポリオキシエチレン含量が40%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
- 前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの割合は、前記金属錯塩染料の2.5質量%以上、60質量%以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
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