JP7086429B1 - 液相拡散接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属薄板などを、より短時間で液相拡散接合を行うこと。【解決手段】液相拡散接合方法は、インサート金属の粒子とバインダとを含有したペーストを製造するペースト製造工程(S1)と、印刷によりペーストの層を形成する印刷工程(S2)と、ペーストを硬化させるペースト硬化工程(S3)と、被印刷板と被接合板を加圧するように治具を組み付ける組付け工程(S4)と、加熱してバインダを消滅させるバインダガス化工程(S5)と、被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して液相拡散接合を行う液相拡散接合工程(S6)を含み、印刷により必要十分な厚みのインサート金属の層を形成し、より短時間で液相拡散接合ができる。【選択図】図1

Description

本発明は、液相拡散接合方法に係り、より詳しくは、より迅速かつ選択的箇所を効率的に接合できる液相拡散接合方法に関する。
近年、精密機械部品の製造には、寸法精度、機械的強度等の観点から、液相拡散接合が使用されるようになってきた。一方で液相拡散接合は、一般に技術的に難度が高いだけでなく、接合面の面一性の厳格化、および準備または工程そのものに量産品に対して工程時間が掛かることが課題として残されていた。
そこで、本発明者らは、特許文献1に開示されたような、金属機械部品の液相拡散接合方法を提案した。この方法では、金属材料の開先面に液相拡散接合用のインサート金属である非晶質合金箔を介在させ、一次接合をする。一次接合は、抵抗溶接により非晶質合金箔と金属材料とを、加圧力を10~1,000MPaとして溶融圧接する。その結果、断面組織における未等温凝固組織の加圧方向の厚みが平均で10μm以下である継ぎ手部を形成する。次いで、二次接合として、継ぎ手部を前記非晶質合金箔の融点以上に再加熱する。その後、保持して継ぎ手部の凝固過程を完了させる液相拡散接合を行う。このような液相拡散接合方法であれば、拡散律速で進行する、液相拡散接合の等温凝固過程において、拡散処理時の応力負荷手順の省略、接合相幅の大幅な減少が一次接合で達成できる。そのため、比較的短時間で液相拡散接合をすることができた。
特開2005-324245号公報
しかしながら、大量生産のためには、より高い生産効率が求められている。液相拡散接合をする時間を短縮するには、液相拡散接合用の非晶質合金箔の厚みをより薄くすることが考えられる。しかしながら、接合箔自体の厚みの減少は、接合箔自体の厚みの製造限界が数十μmと、接合相幅としては比較的厚くなってしまう。そのため液相の消滅に時間がかかるため拡散処理に時間を要し、生産効率が低下するという問題があった。
また、液相拡散接合用の非晶質合金箔の厚みをより薄くすることができたとしても、そのハンドリングが困難で、短時間で正確な位置に貼り付けることは事実上困難であった。
本発明が解決しようとする課題は、液相拡散接合を含む機械部品の生産工程時間を短縮することである。
本発明の液相拡散接合方法では、液相拡散接合用のインサート金属の粒子と、バインダとを含有したペーストの層を印刷により一方の接合対象である被印刷板の接合面に形成する印刷工程と、前記被印刷板に形成され硬化したペーストの層を他方の接合対象である被接合板により挟んで接合面に荷重を掛けながら前記バインダのガス化温度以上に加熱してバインダを消滅させるバインダガス化工程と、前記被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して等温凝固処理を進行させて液相拡散接合を行う液相拡散接合工程とを含むことを特徴とする。
前記液相拡散接合工程は、予熱工程を備えることが望ましい。前記予熱工程は、抵抗溶接とすることができる。
前記バインダガス化工程は、前記バインダのガス化温度以上であって、前記液相拡散接合工程での加熱温度以下で加熱することで、前記液相拡散接合工程前に硬化した前記ペーストの層からバインダを消滅させるようにすることができる。
前記バインダは、前記ガス化温度においてガス化する有機樹脂とすることができる。前記有機樹脂は、熱可塑性樹脂とすることができる。前記熱可塑性樹脂は、エチルセルロースからなるものとすることができる。
前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂からなり、加熱工程からなる硬化工程を含むようにしてもよい。また、前記有機樹脂は、紫外線硬化樹脂であり、紫外線照射工程からなる硬化工程を含むようにしてもよい。また、前記バインダは、揮発性の溶剤により溶解された樹脂であり、乾燥工程からなる硬化工程を含んでもよい。
前記インサート金属の粒子は、箔状のインサート金属を粉砕して粒子状にしてもよい。
前記印刷工程は、スクリーン印刷によってもよく、インクジェット印刷、静電印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷のいずれかとしてもよい。
前記印刷工程は、被印刷板の接合面に形成されたペーストの層の硬化後の厚みが50~100[μm]としてもよく、被印刷板の接合面に形成されたペーストの層の硬化後の厚みが20~70[μm]としてもよい。
前記バインダガス化工程と前記液相拡散接合工程は、10-1torr以下の酸素を含有する不活性ガス炉、または10-5torr以下の無酸化真空炉において連続して実施することができる。
前記液相拡散接合工程は、加熱温度1100~1250°C、加熱時間60分以下、面圧0.0129MPa以上で行うことができる。
前記インサート金属が、Ni又はFeを主体とし、Siを含む非晶質合金とすることができ、さらに、B、V、Mo、W、Fe、P、Cの少なくともいずれかを含むこともできる。
前記インサート金属の粒子の平均粒子径が1~100[μm]とすることができる。
前記液相拡散接合工程において、前記被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで2~10MPaで加圧しながら加熱して等温凝固処理を進行することができる。
前記接合対象が、0.3mm以下の金属板において好適に実施できる。
下治具と、下治具上で支持される被印刷板と、被印刷版と対向配置される被接合板と、被接合板上に配置され前記被接合板を押圧する上治具を備え、前記下治具と上治具は、前記被印刷板と前記被接合板と、同じ材質から形成してもよい。下治具と、下治具上で支持される被印刷板と、被印刷版と対向配置される被接合板と、被接合板上に配置され前記被接合板を押圧する上治具を備え、前記下治具と上治具の少なくともいずれか一方には、接合部分に対応した部分にセラミックからなる押圧部材を配設し、当該押圧部材により接合部分を押圧するようにしてもよい。前記セラミックは、ジルコニアとすることも好ましい。前記押圧部材は、中空パイプ状の構造を有するものとしてもよい。この場合、前記押圧部材の変形を抑制する金属製の芯材を備えることも望ましい。
本発明によれば、液相拡散接合を含む機械部品の生産工程時間を短縮することができる。
第1実施形態の液相拡散接合方法の手順を示すフローチャートである。 (a)被接合板を示す平面図である。(b)被印刷板を示す平面図である。 (a)は、図2(a)の被接合板に形成されたセレーションのSの部分を拡大した図である。(b)は、図3(a)の部分を正面から見た正面図である。 (a)被印刷板と被接合板との接合前の状態を示す斜視図である。(b)被印刷板と被接合板との接合後の状態を示す斜視図である。 別例の被印刷板と被接合板との接合後の状態を示す斜視図である。 実施形態の液相拡散接合用のインサート金属の組成の一例を示す表である。 ペーストの組成の例を示す表である。 (a)~(e)スクリーン印刷の手順を示す模式図である。 (a)上治具の平面図である。(b)上治具の側面図である。 本実施形態の上治具のセレーション部分に設けられた別部材からなる押圧部材を示す一部断面の斜視図である。 (a)下治具の平面図である。(b)下治具の側面図である。 (a)下治具と上治具により被印刷板と被接合板を保持した状態の側面図。(b)同平面図である。 (a)被接合板のセレーションの部分を上治具と下治具により被印刷板と接合する前の関係を示す図である。(b)被接合板のセレーションの部分を上治具と下治具により被印刷板と接合した後の関係を示す図である。 別例の被接合板と被印刷板のセレーションの部分を上治具と下治具により接合する前の関係を示す図である。 第1実施形態の不活性ガス炉または無酸化真空炉の概略を示すブロック図である。 液相拡散接合部分の断面図の走査電子顕微鏡(SEM)写真の一例である。 接合温度と接合時間の違いによる、接合部断面の組織の均一性指標B/Aを指標とした本発明の液相拡散接合の結果を示す表である。 第2実施形態の液相拡散接合方法の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態の不活性ガス炉または無酸化真空炉の概略を示すブロック図である。
本発明の液相拡散接合方法の一実施形態を、金属の薄板からなる接合対象であるパネルの液相拡散接合方法により説明する。なお、実施形態は例示であり、本発明を薄板に限定するものではない。
(第1実施形態)
例えば、SU304などの厚さ0.1mmのステンレス鋼の薄板同士を気密に面接合する場合、従来から処理速度の見地からレーザ接合手段などが採用されている。しかしながら、極めて薄い薄板では表面の変形によるレーザの加熱焦点変位によりレーザ照射位置の制御ができず、接合不良を起こしたり、逆に、接合部に穿孔穴が発生したりして問題が生じていた。
そこで、レーザ接合に代えて、液相拡散接合方法が提案された。金属製品の液相拡散接合方法では、一般にレーザ接合と比較して接合に時間がかかる。特に、過大な量のインサート金属を接合面に配置すると接合に必要以上の時間を要する。したがって、金属製品の液相拡散接合方法を効率的に行うためには、必要十分な量のインサート金属を接合面に正確に配置することが重要である。そこで、従来は、特許文献1に記載したように、非晶質合金を薄い箔状の金属として、この金属箔をより薄くすることで効率化を高めていた。
しかしながら、金属箔を例えば0.04mm程度まで薄くすると静電気で張り付いたり、微小な空気の流れで折れ曲がったり、微小な力で破損してしまったりする。また、金属箔を正確な位置への貼付けにかえって取扱の困難性が生じてしまう点で、金属箔を薄くするには、限界があった。
そこで、本発明者は、インサート金属となる非晶質合金を含んだペーストの層を、印刷と同じ方法を使って形成することに着想した。しかしながら、印刷によりインサート金属の層を形成する場合、前例がなく、実際には多くの解決すべき問題があり、本発明者は、実験を重ね、試行錯誤によりこれらを解決することで実用化し、初めて本発明に至ったものである。
なお、このような開発の経緯から、SU304などの厚さ0.1mmのステンレス鋼の薄板同士を気密に面接合するパネル1を例示した。しかしながら本発明は、要はインサート金属をペースト状にして液相拡散接合を行う点にあり、その適用対象は肉厚の部材同士の接合など広く適用できる。
<本実施形態の特徴>
本実施形態では、従来の金属箔に代えて、印刷と同じ方法によりインサート金属含んだペーストを接合面に配置する点に特徴がある。但し、従来の液相拡散接合方法と同等の液相拡散接合方法とするため、多くの問題があった。
本実施形態の液相拡散接合は、具体的には、まず、液相拡散接合用のインサート金属の粒子とバインダとを含有した最適なペーストを調製する。そして、印刷工程によりこのペーストを適切な方法の印刷により一方の接合対象である被印刷板の接合面の正確な位置に、適量のペーストを適正な厚みで形成する。ペーストの材質によっては、さらに硬化工程によりこのペーストを液相拡散接合の圧接に耐えるように硬化させる。液相拡散接合工程に先立ち、まず、バインダガス化工程でペーストの層から液相拡散接合において不純物となる不必要なバインダを完全に消失させる必要がある。そのため、ペーストのバインダには、接合部に残存物がないような材質にする。そして、液相拡散接合工程により、被印刷板及び被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して液相拡散接合を行う。
それぞれの工程は前例がないため、本発明者らは試行錯誤を重ねて本発明を完成させたものである。
(第1実施形態の構成)
以下、第1実施形態により本発明の液相拡散接合方法を図1~17を参照して説明する。
図1は、液相拡散接合方法の手順を示すフローチャートである。図1に沿って、まず液相拡散接合方法の手順の概略を説明する。まず、手順の説明に先立って液相拡散接合の対象となるパネル1について説明する。
<パネル1>
図2は、(a)本実施形態の金属の薄板からなる接合対象であるパネル1の上側を構成する被接合板2の平面図と、(b)本実施形態の接合対象であるパネルの下側を構成する被印刷板3の平面図である。この説明では、図2(a)、(b)の右側を正面とし、左側を背面とする。
本実施形態の適用範囲は、形状や大きさ、用途で限定されるものではないが、接合対象のテスト用のサンプルの一例としてパネル1を示す。例示するパネル1は、被印刷板3と被接合板2を備える。被印刷板3と被接合板2を液相拡散接合をすることで、パネル1を製造する。
<被接合板2>
図2(a)に示す、被接合板2は、被印刷板3と同じ輪郭形状で、同じ位置に一対の位置決め穴2aが穿設されている。被印刷板3と被接合板2は、位置決め穴3a,3aと位置決め穴2a,2aとがそれぞれ重なるようにして、下治具7の位置決めピン7aにセットされる。
本実施形態のパネル1は、例示のため、薄板状のものを例示したが、接合部分にペーストを印刷することができれば、その形状は限定されるものではない。
また、材質もステンレス鋼(SUS304)を例示したが、液相拡散接合が可能な材質であれば、様々な材質を本実施形態の液相拡散接合を実施することができる。また、パネル1の材質に応じて、下治具7や上治具6の材質もこれに応じて適正な材質を適宜採用することができる。
<セレーション2c>
図2(b)に示すように、被接合板2の背面側にはセレーション2cが形成される。図3(a)は、図2(a)の被接合板2に形成されたセレーション2cのSの部分を拡大した図である。図3(b)は、図3(a)の部分を正面から見た正面図である。図4(a)は、被印刷板3と被接合板2との接合前の状態を示す斜視図である。図4(b)は、被印刷板3と被接合板2との接合後の状態を示す斜視図である。
図3(a)、(b)に示すようにセレーション2cは、正面から背面に向けた溝部2dと突条部2eが交互に形成された構成となっている。
図4(a)に示すように、被接合板2の接合部2fが、被印刷板3に対向するような状態から、図4(b)に示すように被接合板2の接合部2fが、被印刷板3に気密に液相拡散接合され、管状の多数の管部2gを形成する。
<被印刷板3>
図2(b)に示す被印刷板3は、厚さ0.1mmのステンレス鋼(SUS304)のほぼ30cm四方の概ね正方形の平坦な薄板からなる。本実施形態の液相拡散接合方法に関しては、材質や厚みに関して制限はないが、レーザ接合が適用困難な0.3mm以下の場合に、特に好適に適用できる。
この被印刷板3には、背面側の一辺の両端の角付近に、背面側の端部から5mm、側端部から30mm程度オフセットされた位置に、一対の位置決め穴3aが穿設されている。
被印刷板3の上面には、周縁から一定距離のマージンを取って、内側にオフセットされた位置に、印刷領域3bが設けられている。オフセットの距離は、本実施形態では、およそ5mmとしている。印刷領域3bは、印刷工程(図1・S2)において、ペースト4が印刷される領域で、輪郭を形成する略長方形の環状の一定幅の領域と、セレーション2cの接合部2fに対応する領域である。本実施形態では、印刷領域3bの幅は、1.5mmの幅としている。なお、印刷領域3bの背面側の角部は、ここに穿設された一対の位置決め穴2aを避けるように、背面側に向けて内側に30度、さらに概ね60度屈曲されて背面側の辺に接続されて迂回するように設けられている。また、印刷領域3bの正面側の角部も、正面側に向けて内側に45度、さらに概ね45度屈曲されて正面側の辺に接続されて、角部に応力が集中しないような形状となっている。
また、被印刷板3の前後方向の中央部で、右端から1/3の位置と、左端から1/3の位置に、一対の円形の開口部3c、3cが穿設されている。開口部3c、3cは、本実施形態のテストピースでは、バインダガス化工程で発生するガスを排出するために設けられているが、接合対象の構成によっては、必ずしも必要ない。
<被印刷板3の別例>
図5は、被印刷板3の別例を示す。本実施形態では、概ね正方形の平坦な薄板からなる。一方、図5に示す被印刷板3の別例では、被接合板2のセレーション2cと面対象となるような形状となっている。すなわち、被接合板2のセレーション2cの溝部2dに対向する部分は、被印刷板3の溝部3dが設けられる。同様に突条部2eに対向する部分は、被印刷板3の突条部3eが設けられる。管部2gに対向する部分は、被印刷板3の管部3gが設けられる。なお、接合部2fに対向する部分は、被印刷板3の液相拡散接合のためのペーストが印刷される印刷領域3bが設けられる。このように、スクリーン印刷の容易さを考慮すると、被印刷板3は、実施形態に示すような概ね正方形の平坦な薄板が適しているが、必ずしもこのような平坦なものに限らず、図5に示すような立体的な形状のものであってもよい。
<液相拡散接合方法の手順の概略>
本実施形態の液相拡散接合にあたり、事前にインサート金属を含むペースト製造(S1)を行う。そして製造したペーストを用いて、スクリーン印刷で被印刷板3の印刷領域3bに印刷をする印刷工程(S2)を行う。本実施形態において有機樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合は、印刷したままでも一定時間放置すれば自然冷却して硬化する。このため、ペースト硬化工程(S3)として特別な処理はしない。しかし、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂など印刷工程とは別途硬化処理が必要な場合は、液相拡散接合に伴う圧接に耐えることができないので、ペースト硬化工程(S3)によりペーストを硬化させる。続いて、パネル1を上治具6と下治具7の間にセットして、加圧及び加熱する装置に組み付ける組付け工程(S4)を行う。この状態で、無酸化真空炉8により、加熱してバインダから液相拡散接合に不要な樹脂成分をガス化させて消滅させるバインダガス化工程(S5)を行う。その後、無酸化真空炉8により加圧及び加熱して液相拡散接合工程(S6)により、パネル1を接合して完成させる。以下、それぞれの工程について説明する。
<ペースト製造工程(S1)>
ペースト製造工程(S1)は、印刷工程(S2)に先立って行われる。
<インサート金属の構成>
インサート金属は、液相拡散接合に使用する、例えば合金箔を粉体化し、液相拡散接合に機能する非晶質合金の粒子である。
<インサート金属の組成>
図6は、本実施形態のインサート金属の一例を示す組成の例を示す表である。図6に示すように、インサート金属として、B、Si、V、Niを含む非晶質合金に含有している。本実施形態では、例えば、Bが3~4[重量%]、Siが4~5[重量%]、Vが2~3[重量%]、残余をNiとしている。
なお、本実施形態における液相拡散接合用のインサート金属の組成は、図6に例示したものには限定されない。例えば、特許文献1にも記載されているようにNiまたはFeを基材とし、拡散原子としてB、P及びCのうちの1種または2種以上を各々0.1~20.0[原子%]含有する。さらに、一次接合の際に接合面間において生成された酸化物を低融点化する作用を有するVを0.1~10.0[原子%]含有するものであることが好ましい。
<B、P及びCの配合>
液相拡散接合用合金箔中のB、P及びCは、液相拡散接合を達成するために必要な等温凝固処理を実現させるための拡散元素として、あるいは融点を被接合材よりも低くするために必要な元素である。その作用を充分に得るために0.1[原子%]以上含有する必要があるが、過度に添加すると、結晶粒に粗大な硼化物、金属化合物、または、炭化物が生成し接合部強度が低下するためその上限を20.0[原子%]とするのが好ましい。
<Vの配合>
液相拡散接合用合金箔中のVは、加熱時に生成した酸化物あるいは残留酸化物(Fe)と瞬時に反応し、低融点複合酸化物(V-Fe、融点:約800℃以下)に変える作用を有する。抵抗溶接時の加圧応力により低融点複合酸化物を溶融金属とともに溶融・排出し、接合部の酸化物系介在物を低減する効果がえられる。この作用・効果を充分に得るためには、Vを0.1[原子%]以上含有させるのが好ましい。一方、Vを10.0[原子%]を超えて過度に添加すると、V系酸化物の個数が増加し残留酸化物が却って増加し、また、液相拡散接合用合金箔の融点を高め、二次接合としての液相拡散接合を困難とするため、その上限を10.0[原子%]とするのが好ましい。
また、さらにインサート金属の材質は、実施形態の配合に限定されず、さらに、ステンレス鋼などでは、Niを主体とし、B、Siを含む非晶質合金が基本的な組成として実施できる。さらに接合対象とする材料に応じて材質均一性の観点からV,Mo、W,Fe、Pなどから選択される。さらにパネル1の材質に応じて、材質を最適化することができる。例えば、Ni合金のパネルに対しては、Ni-3Bなどを用いてもよい。
<インサート金属の特性>
インサート金属は、粒子状が好ましいが、形状は限定されない。この粒子状のインサート金属は、当初から射出法等で粒子状に作成してもよい。また、液相拡散接合用の金属箔があれば、これをミルなどで粉砕して粒子化してもよい。粒子形状も特に限定されず、接合部に均等に配置できれば、どのような形状でもよい。
また、本実施形態では、例えばインサート金属の粒子の平均粒子径は、3~65[μm]である。なお、本明細書において、「平均粒子径」は、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における球相当直径での粒径を意味する。
インサート金属の粒子の平均粒子径は実施形態に限定されず、パネルを圧接する荷重などに応じて、当業者において最適化される。粒子径が小さいほど、ペースト中に均等に分散するため、例えば、平均径は、1[μm]程度のものでも実施できる。但し、あまり小さい場合は、材質によっては凝集しやすくなるので、凝集しないでバインダに均等に分散するものが好ましい。また、あまり粒子径が小さい場合は、比表面積[m/g]が大きくなる。そうすると微粉化等に際して、金属が雰囲気と接して酸化することで粉塵爆発の可能性が生じるため、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で粉砕を行う必要が生じる。この点からは、概ね3[μm]以上が好ましい。
一方、十分に高い荷重を掛けることができる場合は、最大径100[μm]も許容できるが、その場合の荷重は10[MPa]以上とする。一方、荷重が2[MPa]よりも低いような場合には、球相当平均粒子径は30[μm]以下とすることが望ましい。
<ペーストの構成>
ペーストは、インサート金属の粒子を含有する。また、印刷する工程ではこれらの液相拡散接合用のインサート金属の粒子のバインダとして、樹脂などを含む。バインダはインサート金属の粒子以外の樹脂成分として、樹脂の溶媒となる溶剤、分散材、滑剤等をも含む。
本実施形態の実施例の具体的なペーストの配合例は、インサート金属が81[Wt%]、バインダ(エチルセルロース)が1.3[Wt%]、溶剤が、17.7[Wt%]となっている。
ペーストの条件として、第1に被印刷板3の印刷領域3bの所定位置に印刷ができる流動性及び粘度があることが挙げられる。
第2に、印刷後に液相拡散接合をするが、事前に一定の加圧を行うため、この時点でペーストが硬化してこの加圧により潰れて拡がったり、位置がずれたりするようなことがあってはいけない。そのため、一定の硬度になることが条件とされる。この条件からは、溶剤の乾燥などで硬化するもののほか、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂などが挙げられる。なお、紫外線硬化樹脂は、インサート金属の粒子により未硬化の樹脂ができないように小さな径の粒子を用いるような留意が必要となる。
第3には、原子単位で拡散をする液相拡散接合の時点では、バインダの成分は、除去されるべき不純物であり、液相拡散接合の時点で完全に消滅していることが望ましい。そのため灰分などを含まず、H,C,Oなどから構成される樹脂などが好ましい。
<バインダ>
熱可塑性樹脂は、硬化温度は50~300°C、ガス化温度450~500°Cの熱可塑性樹脂が例示できる。印刷時にペーストを加熱することで、印刷に適した粘度となり、ペースト硬化工程では印刷後放置するだけで硬化する。
そこで本実施形態では、熱可塑性のエチルセルロース樹脂に溶剤、添加剤をバインダとして使用している。エチルセルロース(Ethyl cellulose)は、繰り返しグルコース単位のヒドロキシル基がエチルエーテル基に置換した誘導体である。植物由来の有機物であり、C、O、Hのみから構成され、基本的に加熱することで完全に熱分解してガス化する。エチルセルロース樹脂の化学成分の成分別比率は、C:68%、H:9%、O;23%の割合である。
具体的には、融点165℃~185℃、熱分解終了温度450℃~480℃のThe Dow Chemical Company製のETHOCEL(登録商標)などが例示できる。溶剤(例えばターピネオール・BCA等の高沸点溶剤)により溶解することで、スクリーン印刷に適した粘度とすることができる。
なお、バインダの構成は、実施形態は一例でありこれに限定されない。例えば、バインダの例として、熱可塑性樹脂を例示したが、温度管理さえできれば熱硬化性の樹脂であってもよい。この場合は、印刷後ペースト硬化工程として加熱処理などが必要となる。また、樹脂に限定されるものではなく、バインダガス化工程(S5)において消滅させることができるものであればよい。例えば、C、O、Hのみから構成される他の有機物、無機物であっても印刷が可能で、かつ印刷後になんらかの方法で硬化し、そしてバインダガス化工程でガス化して、消滅するものであればよい。
以上のような理由から、バインダは、粒子印刷用、セラミック焼成用、粉末金属焼結用などのバインダも流用することができる。
さらに、粒子が十分小さい場合は、熱硬化性樹脂に代えて、紫外線硬化樹脂を用いてもよい。この場合、紫外線の照射時に、インサート金属の陰になって、未硬化の部分が生じないように留意すれば、紫外線硬化樹脂をむらなく硬化させることもできる。さらに揮発性の溶剤を含有したペーストにより、ペースト硬化工程として印刷後溶剤を乾燥させることで硬化させるようなペーストでもよい。
<インサート金属の配合>
従来技術では、液相拡散接合のために、金属箔を用いたインサート金属の場合には、およその厚さが25μm以下が適正であるとされた。本実施形態の場合、印刷したペーストの平均厚さを80~100μmとする。これは、バインダ等が加熱によりガス化して厚さが薄くなるため、バインダガス化工程(S5)完了時に、インサート金属の厚さが、25μm以下の適正値になるようにするためである。
図7は、インサート金属とバインダとの、質量比率及び体積比率の好ましい範囲を示す表である。インサート金属以外の熱可塑性エチルセルロース樹脂+溶剤+添加剤などを含めて「バインダ」としたとき、インサート金属とバインダとの質量比率は、インサート金属:バインダ=75~80:25~20とする。これは、インサート金属の粒子の体積比率でいえば、インサート金属:バインダ=28~32:72~68となる。
本実施形態では、ペーストの層の厚さは、80~100μmを例示したが、接合の目的や要求される強度により、最適化することができる。本実施形態では、従来技術の金属箔のように、厚みが薄すぎる場合に貼り付いたり、折れ曲がったり、重なったり、切れたりというハンドリングの困難性がない。そのため、バインダガス化工程(S5)後のインサート金属の厚さを考慮すると100μm以下、望ましくは20~70μmであることが好ましい。
ここで、本実施形態での体積比をバインダ:インサート金属の質量比とすると、バインダ:インサート金属=25.2:74.8%となる。この比率であれば、バインダガス化工程(S5)後のインサート金属の層を90μmとしたときに、適正であるとされたインサート金属の金属箔が厚さ25μmとされたときに相当する厚さ、あるいはそれ以下の厚さとなる。
基本的にペーストに要求されることは、印刷されたペーストの層が、バインダガス化工程(S5)後に必要とされるインサート金属の層が存在することが条件なる。また、インサート金属の特性により、印刷するときに必要な粘度や流動性も条件となる。
よって、本実施形態では、ペーストの組成は、バインダと、インサート金属の質量比率を、25.2:74.8としている。
なお、本実施形態では、ペーストの組成は、バインダと、インサート金属の質量比率を、25.2:74.8としているがこれに限定されるものではない。図7に示したように、必要なインサート金属の層が形成できれば、例えば20:80~25:75などでも実施できる。なお、ペーストの粘度等により、本発明はこのような範囲に限定されるものではない。
<印刷工程(S2)>
本実施形態では、被印刷板3の印刷領域3bに正確な位置に適正なペーストの層を形成することが要求される。そこで、インクによる印刷と同様な方法で、インクに替えてペーストにより印刷する。印刷方法にはオフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷など様々な印刷方法があるが、金属板からなる被印刷板3では、印刷ロールなどでは一般的に印刷が困難であるので、その場合は、スクリーン印刷やインクジェット印刷などが好適に実施できる。
なお、本実施形態では、印刷工程は、スクリーン印刷を例示したが、ペースト層の形成が可能であれば、ペーストジェット印刷や、静電印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷を排除するものではない。その場合、ペーストの配合やインサート金属の粒子の平均径などは、その印刷方式において最適化されるのは言うまでもない。
本実施形態では、スクリーン印刷によりペースト層を被印刷板3上に形成している。
<スクリーン印刷機の構成>
図8(a)~(e)は、本実施形態のスクリーン印刷の手順を示す模式図である。本実施形態で用いるスクリーン印刷機5は、汎用の印刷機であり、長方形の型枠5dの内側に、あらかじめ印刷領域3bに対応する位置に穿孔であるパターン5eが形成された印刷マスク5a(スクリーン)が張設されている。被印刷板3は、印刷マスク5aの下方に、印刷領域3bがパターン5eの位置に配置される。最初の状態では、まだ、印刷マスク5aと被印刷板3とは一定の間隙をもって離間している。
まず、事前準備として、ペースト4は、熱可塑性樹脂がスクリーン印刷に適した粘度、例えば100~200Pa.Sとなるように加熱しておく。
スクレッパ5cは、印刷マスク5aの一辺と同じ長さで、印刷マスク5a上を一端部から他端部に移動させてペースト4を印刷マスク5aの全体に均一に延ばす。スキージ5bも印刷マスク5aの一辺と同じ長さで、印刷マスク5a上を一端部から他端部に移動させる。スキージ5bは弾性を有したブレード状の部材で、その先端で印刷マスク5aを強く押し付けながら移動する。そうすると、印刷マスク5aが、被印刷板3に強く押し付けられ、余分なペースト4を排除しながら、パターン5eの穴にペースト4を充填させる。これとともに、ペースト4がしっかりと被印刷板3に押し付けられる。スキージ5bがパターン5eを通過すると、印刷マスク5aは、自らの弾性で、被印刷板3から離間する。このとき、被印刷板3の印刷領域3bには、ほぼ印刷マスク5aの厚みのペースト4が付着して、目標である80~100μm(平均90μm)のペーストの層が、形成される。
<スクリーン印刷>
次に、図8(a)~(e)を参照しながらスクリーン印刷の手順を説明する。図8(a)は、スクレッパ5cが印刷マスク5aに接触した状態で、パターン5eに充填するためのペースト4を外部から補充した状態を示す。図8(b)は、スクレッパ5cを印刷マスク5aに接触した状態で左方に移動させて、印刷マスク5aの穿孔であるパターン5eにペースト4を充填した状態である。図8(c)は、スクレッパ5cを印刷マスク5aから離間させて、スキージ5bを印刷マスク5aに接触させた状態である。図8(d)は、弾力のあるスキージ5bの下端を印刷マスク5aに押し付けながら、右方向に移動させている状態である。この動作で、被印刷板3の印刷領域3bに、ペーストの層が形成されていく。図8(e)は、印刷が完了した状態を示す。
<ペースト硬化工程(S3)>
ペースト硬化工程(S3)は、印刷工程(S2)で形成されたペースト4を、液相拡散接合の加圧に備えて硬化する工程である。本実施形態では、ペースト4のバインダが熱可塑性のエチルセルロース樹脂に溶剤、添加剤をバインダとして使用している。また、印刷は、スクリーン印刷で行っている。そのため、本実施形態のペースト硬化工程(S3)は、熱可塑性樹脂が硬化するように、自然冷却や冷風による冷却工程からなる。
具体的には、本実施形態の熱可塑性樹脂は、融点165~185°C、熱分解終了温度450~480°Cの熱可塑性エチルセルロース樹脂からなる。そこで本実施形態のペースト硬化工程(S3)は、80~100°Cになるように10~60分冷却することでペースト4を硬化する。
なお、バインダとして、熱硬化性樹脂を用いる場合は、それぞれの硬化温度に加熱して硬化させる。また、紫外線硬化樹脂であれば、十分な量の紫外線を照射して硬化させる。また、溶剤による粘度調整をした場合は、乾燥工程で溶剤が十分に乾燥するまで乾燥させる。それぞれの手順については、ここでは詳しく説明しない。
<組付け工程(S4)>
ペースト硬化工程(S3)が完了したら、バインダガス化工程(S5)及び液相拡散接合工程(S6)のために、治具にパネル1をセットする。治具は下治具7と上治具6とから構成される。
<上治具6>
図9(a)は、上治具6の底面図である。図9(b)は、上治具6の側面図である。図9(a)に示すように、上治具6の底面には、上治具の上面に対応するように、同じ長方形の輪郭である。また、下治具7に上方に向けて突出された位置決めピン7aが挿入されるように、位置決めピン7aと対応する位置に一対の基準穴6aが穿設されている。基準穴6aの内径は、位置決めピン7aの外径に対して、略隙間なく挿入される。そのため、基準穴6aに位置決めピン7aが挿入されると、下治具7と上治具6の水平方向の位置関係が正確に位置決めされる。上治具6と下治具7の水平方向の位置関係が正確に位置決めされると、下治具7の押圧部材7bと上治具6の押圧部材6bとが正確に対応する位置となる。
上治具6は、バインダガス化工程(S5)においても使用されるが、バインダガス化工程(S5)では、ペースト4を加熱して固体のバインダをガス化させて気体とする。このため、本実施形態のパネル1では、昇華により発生するガスが被印刷板3に気密に接合した被接合板2の印刷領域3b、すなわち接合領域2bに囲まれた部分に気体が閉じ込められる。この内圧が高くなれば、接合部の不良を引き起こす原因となる。炉内の圧力を低減している理由は、このガス化を促進するためである。そこで、被接合板2のガス抜き穴2hに対応する位置にガス抜き穴6cが穿設されている。なお、ガス抜き穴6cは、この実施形態のパネル1が、被接合板2と被印刷板3の周縁が気密に接合されるためガス抜きが必要であるが、接合対象の構造によっては、必ずしも必要ではない。
<押圧部材>
下治具7と上治具6の少なくともいずれか一方には、接合部分に対応した部分に加圧突起としての押圧部材6b、7bを配設する。押圧部材6b,7bは、上治具6、下治具7に形成した突条である。この押圧部材6b、7bにより接合領域2bのみを押圧する。
なお、本実施形態では、押圧部材6b、7bを別部材で構成しているが、押圧部材6b、7bは、上治具6、下治具7に一体に形成した突条としてもよい。
図10は、図9(a)の上治具6のB-B部分の押圧部材6bを示す一部断面の斜視図である。図10に示す押圧部材6bは、本実施形態の図2(a)に示す被接合板2のセレーション2cに対応するに設けられた別部材からなる押圧部材6bである。図10に示すように、上治具6に半分埋まるように中空の円筒状のパイプ形状の押圧部材6bが、セレーション2cに対応するように整列して設けられる。この押圧部材6bの材質としてセラミックが用いられている。本実施形態では、ジルコニアが用いられている。大きさは、セレーション2cの溝部2dに嵌るように、外径1.2mmとされている。このような別部材としたのは、上治具6は、加熱時にパネル1と同じ熱膨張をすることが望ましいためパネル1と同じ素材になっている。この場合、同じ素材のパネル1と上治具6とが高熱下で大きな力で圧接されると、固着することがある。そこで、セラミックなど固着しにくい材料を介することで固着を抑制し、治具の離脱を円滑にしている。なお、押圧部材6bの材質は他の金属材料など限定されるものではないが、耐熱性や耐圧強度からセラミックが好適に利用できる。また、セラミックには、SSA-Sアルミナなど各種の材料が適用できる。特に、ジルコニアは、SUS304などと熱膨張係数が近いため好適に使用できる。
本実施形態では、厚さ0.2mm、外径1.2mmの中空の円筒状のパイプ形状の押圧部材6bの内部に、その内径とほぼ等しい外形の金属製の丸棒からなる芯材6dが配設されている。材質は、各種の金属が使用できるが、白金などが好適に適用できる。この芯材6dは、押圧部材6bの耐荷重性を高めるが、セラミック製のパイプを接続したり、その位置決めを行うなどの機能も有する。特に、特にパネル1の周縁部において、切れ目なく連続した均一の荷重をかけるために、連続した芯材6dにより正確な位置決めをすることができる。
なお、本実施形態の押圧部材6bは、中空の円筒状のパイプ形状のものを用いているが、中空に限らず中実の円柱状や半割円中状等の部材であってもよい。
<下治具7>
図11(a)は、下治具7を示す平面図である。図11(b)は、下治具7の側面図である。図11(a)に示すように下治具7は、平面視で被印刷板3や被接合板2よりも一回り大きな長方形の輪郭を持つ。
下治具7の上面には、また、被印刷板3の位置決め穴3aや被接合板2の位置決め穴2aと対応する位置に、垂直上方に向けて突出した一対の円柱状の位置決めピン7aが突設されている。位置決めピン7aの上端は、半球状の形状とされ、被印刷板3、被接合板2、上治具7の組付けを容易にしている。
また、下治具7の上面には、被印刷板3の印刷領域3bと対応する位置に、押圧部材7bを備える。押圧部材7bは、基本的に、上治具6の押圧部材6bと同一の構成であるので説明は省略する。
<治具の組付け>
図12(a)は、上治具6と下治具7により被接合板2と被印刷板3からなるパネル1を保持したパネルセット9の平面図である。図12(b)は、上治具6と下治具7により被接合板2と被印刷板3からなるパネル1を保持したパネルセット9のA-A部分の分解端面図である。
治具の組付けは、以下の手順で行う。まず、下治具7を、底面を下になるようにし、水平に設置する。ペースト4が印刷されて印刷領域3b形成された被印刷板3をこの下治具7上に、ペースト4が上面となるように重ねる。そして下治具7の位置決めピン7aを、被印刷板3の位置決め穴2aに挿入する。次に、被接合板2の位置決め穴2aに下治具7の位置決めピン7aを挿入するようにして、被接合板2を重ねる。そして、押圧部材7bが底面となるようにして上治具6の基準穴6aに下治具7の位置決めピン7aを挿入するようにして、上治具7を重ねる。
図13(a)は、上治具6と下治具7により被印刷板3と接合する前の被接合板2のセレーション2cの部分を示す模式図である。図13(b)は、上治具6と下治具7により被印刷板3と接合した後の被接合板2のセレーション2cの部分を示す模式図である。
図13(a)のように組付けた場合、被印刷板3の印刷領域3bは、下治具7の押圧部材7bのみと接触する。また、被接合板2の接合領域2bは、上治具6の押圧部材6bのみと、被印刷板3を介して接触する。さらに、被接合板2の接合領域2bは、被印刷板3の印刷領域3bに印刷されたペースト4のみと接触する。このため、下治具7と上治具6を上下から加圧した場合、その圧力は印刷領域3bに印刷されたペースト4の部分のみに集中する。
図12に示すように上治具6と下治具7が組付けられた被印刷板3と被接合板2からなるパネル1を、以下「パネルセット9」という。
このように組付けられたパネルセット9は、図示しない圧接器具で、所定の圧力で圧接されるように拘束される。本実施形態では、この圧接器具で圧接された状態で、搬送コンベア8aで搬送される。なお、搬送コンベア8a自体に圧接装置が設けられ、圧接装置とともにパネルセット9を搬送するようにしてもよい。また、パネルセット9のみを固定した状態で搬送し、無酸化真空炉8内の圧接装置により圧接するような構成でもよい。
<別例の治具の組付け>
図14は、別例の被接合板と被印刷板のセレーションの部分を上治具と下治具により接合する前の関係を示す図である。別例のパネル1は、図5に示すように、被印刷板3においても、被接合板2と同様にセレーションが形成されている。
この場合も、図14に示すように、下治具7と上治具6を上下から加圧した場合、その圧力は印刷領域3bに印刷されたペースト4の部分のみに集中する。
<バインダガス化工程(S5)>
パネルセット9が以上のような手順の組付け工程(S4)で組付けられるとバインダガス化工程(S5)が行われる。
<無酸化真空炉8>
ここで、図15は、無酸化真空炉8全体の概略を示すブロック図である。本実施形態の無酸化真空炉8は、搬送コンベア8a、脱気室8b、バインダガス化加熱炉8c、液相拡散接合炉8e、冷却室8f、調圧室8gを備えている。
搬送コンベア8aは、パネルセット9を、脱気室8b、バインダガス化加熱炉8c、液相拡散接合炉8e、冷却室8f、調圧室8gの順に搬送する。
本実施形態では、バインダガス化加熱炉8c、液相拡散接合炉8e、冷却室8fは、一体に内圧管理がなされ、真空の雰囲気とされる。なお、それぞれ独立して真空の雰囲気とすることができる。また、例えば液相拡散接合炉8eと冷却室8fの複数の空間を一体として内圧の調整を行うような構成でもよい。脱気室8bと調圧室8gは、搬入口と搬出口をそれぞれ備え、気密な空間を作り出す。これらの空間により、例えばバインダガス化加熱炉8c内の真空を維持したまま、パネルセット9の搬入が可能となる。
<脱気室8b>
脱気室8bは、搬送コンベア8aにより搬送されてくるパネルセット9を受け入れる搬入口と、次の工程を行うバインダガス化加熱炉8cにつながる搬出口を備える。搬入口からパネルセット9を受け入れると、搬入口と搬出口のいずれも閉鎖され、気密な状態とされる。続いて、真空ポンプが、内部を脱気し、真空状態とする。また、内部の空気を窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスで置換してもよく、さらに不活性ガスで空気を追い出すようにしてから脱気することも望ましい。脱気室8b内が設定された一定の真空状態となったら、搬入口を閉鎖したまま、搬出口を開口して、搬送コンベア8aでパネルセット9を、真空状態のバインダガス化加熱炉8cに搬送し、搬出口を閉じて気密とする。そして、搬入口を開放して、次のパネルセット9を搬入する。
<バインダガス化加熱炉8cでの加熱>
バインダガス化加熱炉8cは、真空状態に維持されており、脱気室8bで脱気された状態で、パネルセット9を受け入れる。
本実施形態のバインダガス化工程(S5)と液相拡散接合工程(S6)は、無酸化真空炉8において実施される。本実施形態での無酸化真空炉8は、10-5torr以下の無酸化真空炉である。なお、無酸化真空炉に替えて、10-1torr以下の酸素を含有する不活性ガス炉により実施してもよい。本実施形態では、バインダガス化加熱炉8cと、液相拡散接合炉8eは、共通して雰囲気が管理され連続して処理を実施するが、それぞれ独立した構成としてもよい。
バインダガス化加熱炉8cは、例えば赤外線ヒータにより、パネル1を、バインダを構成している熱硬化性樹脂のガス化温度以上の温度に加熱する。本実施形態では、ガス化温度が500°C未満であるので、500°Cに維持して、15分加熱している。温度と時間は、バインダの物性に依存することになる。バインダは、酸素、水素、炭素からなる有機物である樹脂の場合、熱分解すると完全に気体となる。バインダに金属成分などの灰分が含有されていると、完全に消滅せず残存し、液相拡散接合時のインサート金属の不純物となるため、好ましくない。
バインダガス化工程でバインダが分解・気体化すると、80~100[μm]の厚みのペーストの層は、理論的にはペーストのインサート金属の体積含有率である27.8%に相当する、22.24~27.8[μm]のインサート金属の層となる。すなわち、金属箔では到底達成できない、薄いインサート金属の層とすることができる。また、本実施形態では、インサート金属として液相拡散接合に適した非晶質のアモルファス金属を用いている。バインダガス化工程(S5)では、500°Cに維持してガス化させているので、アモルファス金属を溶融したり結晶化させたりすることなく、非晶質の状態を維持している。このため、液相拡散接合工程(S6)において、厚みが22.24~27.8[μm]の薄い非晶質金属からなるインサート金属の層により好適に液相拡散接合を行うことができる。そのため、必要十分なインサート金属により液相拡散接合を行うことができるので、無駄がなく短時間に液相拡散接合を行うことができる。
<液相拡散接合工程(S7)>
パネルセット9は、液相拡散接合炉8eに移送される。液相拡散接合炉8eは、無酸化真空炉として構成されており、内部は真空に維持されている。ここでは、赤外線ヒータなどで内部の温度が1200°Cまで昇温されている。パネル1は、1200°Cの状態で15分維持される。
このとき、接合面における最低面圧は、0.0129MPa(およそ129g/cm)以上の圧力が掛けられる。
本実施形態では、液相拡散接合工程(S6)は、加熱温度1200°C、加熱時間15分、面圧0.0129MPaを例示したが、本発明はこれに限定されず、パネル1の材質や、インサート金属の材質により、最適化される。たとえば、液相拡散接合工程(S6)は、加熱温度1100~1250°C、加熱時間60分以下、面圧0.0129MPa以上とすることができ、この条件においても接合部の均質化の推進に有効である。
<液相拡散接合の原理と実験例>
液相拡散接合は、「拡散接合の一種で、接合面間のインサート金属などを一時的に溶融液化した後、拡散を利用して等温凝固する方法」と定義されるが、一定の圧力と温度により、時間の経過とともに接合対象が原子的なレベルで均質化する。そのため、顕微鏡写真で見ると、元の接合面が「均質組織領域」となり、一体化してわからなくなっている。このため、機械的な強度や電気的な導通、経時的な劣化が少ないなど、極めて優れた接合方法であるといえる。そのためには、等温凝固させる温度管理と、拡散するための時間が必要となる。
図16は、液相拡散接合部分の断面図の走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)写真である。図16において、Aの部分は、初期液相幅で、接合金属溶融開始時の溶融金属の領域である。この領域が狭いほど、他の指標が良くなる。
また、Bの部分は、均質組織領域である。液相拡散接合によって生成した均質組織領域(接合層を含む)の領域である。AとBの間の部分が拡散現象で均質化していく。したがって、Aの領域が狭く、Bの領域が広いものが、液相拡散接合によって生成した均質組織領域がしっかり生成されているより接合状態である。
図17は、接合温度と接合時間の違いによる液相拡散接合の結果を示す表である。ここでAは接合温度における、初期液相幅であり、Bは低融点化を担う拡散原子の拡散範囲を画像の横方向の長さで代表した数値である。
条件は、「ガス抜き温度と時間」+「接合温度と時間」では、「ガス抜き温度と時間」を一定にし、接合温度を「1150°C」若しくは「1200°C」とした。また、接合時間を「5分」若しくは「15分」として、例1~4の4通りの実験を行った。ここでの判定は、B/Aの値を実験的に1.3と決定して閾値とし、1.3以上の値を合格とし、1.3未満の値を不合格として合否を判定した。
例1では、初期液相幅Aが「35μm」で、均質組織領域Bが「40μm」となり、B/Aが「1.14」となった。その結果は、不合格である。
例2では、例1と同じ温度条件で、時間を長くした。その結果、初期液相幅Aが「30μm」で、均質組織領域Bが「35μm」でとなり、B/Aが「1.17」となった。ここでの判定は、例1よりもB/Aの値が大きいものの、1.3を閾値として合否を判定すると、やはり結果は、不合格である。
例3では、例1と温度条件を高くして、加熱時間は同じ5分とした。その結果、初期液相幅Aが「25μm」で、均質組織領域Bが「30μm」でとなり、B/Aが「1.2」となった。ここでの判定は、例1、例2よりもB/Aの値が大きいものの、1.3を閾値として合否を判定すると、やはり結果は、不合格である。
例4は、温度条件は例3と同じ1200°Cとして、加熱時間は、例2と同じ15分とした。その結果、初期液相幅Aが「10μm」で、均質組織領域Bが「20μm」となり、全体に狭い範囲となった。またB/Aが「2」となった。ここでの判定は、B/Aの値が閾値の1.3以上となったため、結果は合格である。
以上の実験から導かれるのは、十分な加熱温度と、十分な接合時間のいずれもが必要であることである。
なお、この実験は、本実施形態のパネル1やインサート金属などを前提としたものであり、本発明がこの接合温度や接合時間に限定されるものではない。
以上のような手順で、所定の加圧をしながら最適な接合温度と接合時間により液相拡散接合が完了する。
<冷却室8f>
液相拡散接合炉8eで液相拡散接合されたパネル1は、搬送コンベア8aで、冷却室8fに搬送されて、所定の温度で冷却される。
<調圧室8g>
所定の温度に冷却されたパネル1は、搬送コンベア8aで、調圧室8gに搬送される。調圧室8gは、冷却室8fと気密に隔離され、装置内部の外部に搬送される。
以上で、液相拡散接合工程(S6)の手順が完了する。
その後、接合されたパネル1は、下治具7、上治具6が外されて、完成品となる。
(第1実施形態の効果)
本実施形態の液相拡散接合方法では、上記のような構成を備えるため、以下のような効果を奏する。
(1-1)本実施形態の液相拡散接合方法では、液相拡散接合用のインサート金属の粒子とバインダとを含有したペーストの層を印刷により一方の接合対象である被印刷板3の接合面に形成する印刷工程(S2)を備える。そのため、液相拡散接合用のインサート金属を必要十分に含有した薄いペーストの層を形成できる。
(1-2)さらに、ペースト4は、バインダとして熱可塑性樹脂を用いているため、加熱により円滑に印刷することができる。また、印刷後は、自然冷却で速やかに硬化する。
(1-3)被印刷板3に形成され硬化したペーストを他方の接合対象である被接合板2により挟んで加圧しながらバインダのガス化温度以上に加熱してバインダを消滅させるバインダガス化工程(S5)を備える。このため、液相拡散接合工程において障害となる残存物が無く、インサート金属のみを介在させて良好な液相拡散接合をすることができる。
(1-4)被印刷板3及び被接合板2によりバインダを消滅させてインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して液相拡散接合を行う液相拡散接合工程(S6)を備える。このため、正確な位置に適量のインサート金属を介在させて速やかに液相拡散接合をすることができる。
(1-5)また、バインダとしてガス化可能な植物由来のエチルセルロースからなる熱可塑性樹脂を含有する。このため、バインダガス化工程(S5)でバインダのガス化温度以上で加熱することで、バインダをガス化させて消滅させ、インサート金属のみを介在させて液相拡散接合をすることができる。
(1-6)印刷工程(S2)は、スクリーン印刷によるため、所定の位置に設定した均一の厚さでペーストを印刷できる。そのため、適正量のインサート金属で、均一な液相拡散接合をすることができる。特に印刷工程(S2)で、被印刷板3の接合面に熱硬化後の厚みが50~100[μm]に形成されたペーストの層を印刷することができる。そのため、必応十分なインサート金属の適正量で液相拡散接合をすることができるため、短時間の処理をすることができる。
(1-7)本実施形態のパネル1では、被印刷板3の環状の印刷領域3bにペーストを印刷して、被接合板2と接合するため、バインダガス化工程(S5)で発生したガスを、炉内圧力の低減で外部へ放出することが可能である。
(1-8)バインダガス化工程(S5)と液相拡散接合工程(S6)とは、無酸化真空炉8において連続して実施されるため、効率的に液相拡散接合工程(S6)を行うことができる。
(1-9)液相拡散接合工程(S6)は、加熱温度1150~1200°C、加熱時間20分以下、面圧0.0129MPa以上で行うため、確実に液相拡散接合方法を実施することができる。
(1-10)本実施形態では、インサート金属が、B、Si、V、Niを含む非晶質合金からなるため、無酸化真空炉8で好適に液相拡散接合工程(S6)を行うことができる。
(1-11)また、インサート金属の粒子の平均粒子径が、5~65[μm]であるため、ペースト内でインサート金属が、凝固したり沈殿したりせず、好適にペースト内で分散させることができる。
(1-12)本実施形態のパネル1は、0.1mm厚のSUS304からなる金属薄板であるが、本実施形態の液相拡散接合であれば、均一に接合できるため、穿孔を開けたり、未接合の部分などを生じさせたりすることがない。
(1-13)また、パネル1、上治具6、下治具7は、材質がいずれも同じSUS304である。そのため、加熱工程、冷却工程において熱膨張率が同じであるため、ひずみを生じる応力が発生しにくい。
(1-14)上治具6及び下治具7には、被印刷板3に形成されたペースト層からなる印刷領域3bを両側から押圧する押圧部材6b、7bを備える。このため、上治具6及び下治具7の外部から受けた圧力を、印刷領域3bに集中して荷重をかけることができる。そのため、パネル1の変形もなく、大きな圧力で印刷領域3bのインサート金属に加圧することができる。
(1-15)押圧部材6b、7bは、セラミックを用いているので、高い強度や耐摩耗性、耐熱性を備える。また、パネル1を高温で長時間接していても固着が生じない。
(1-16)特に、押圧部材6b、7bとしてジルコニアを用いた場合は、熱膨張係数がパネル1及び上治具6、下治具7を構成するSUS304と近似するため、無用の応力や歪を生じさせない。
(1-17)押圧部材6b、7bは、中空パイプ状のものを用い、これらの中空部を隙間なく貫通する金属線からなる芯材6dを用いる。そのためパイプ状の押圧部材6b、7bを内部から補強することができる。また、柔軟性のないセラミックからなる押圧部材6b、7bを、塑性変形できる白金などの金属からなる芯材6dにより位置決めなどを容易にする。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と予熱工程(S16)を含む点で異なる。以下、共通する部分については、説明を省略し、相違する部分のみを説明する。
本発明者は、従来技術で述べたように、特許文献1に記載された発明を開示した。これは、通常通り、非晶質合金箔の融点以上に加熱、保持して継ぎ手部の凝固過程を完了させる液相拡散接合を行う。しかし、それに先立って金属材料の開先面に液相拡散接合用のインサート金属である非晶質合金箔を介在させ一次接合をする点が特徴である。
特許文献1には、インサート金属として金属箔を用いたものを例示しているが、本発明のように金属箔に替えてペーストを用いても、一次接合を行うことが有効であることを、本発明者らは実証した。第2実施形態は、第1実施形態において、液相拡散接合工程(S6)の前に、この一次接合に相当する「予熱工程(S16)」を行うものである。
図18は、第2実施形態の液相拡散接合方法の手順を示すフローチャートである。第2実施形態では、図1に示す第1実施形態の液相拡散接合方法の手順を示すフローチャートのインク製造工程(S1)~バインダガス化工程(S5)を備えている。第2実施形態でもこれと共通な、インク製造工程(S11)~バインダガス化工程(S15)を備えている。
そして、第1実施形態では、バインダガス化工程(S5)に続き、液相拡散接合工程(S6)が行われる。これに対し、第2実施形態では、バインダガス化工程(S15)に続き、予熱工程(S16)を備えている。予熱工程(S16)に続いて、第1実施形態の液相拡散接合工程(S6)に相当する液相拡散接合工程(S17)を行う。
<予熱工程(S16)>
ここで、第2実施形態の予熱工程(S16)について説明する。バインダガス化工程(S15)で、印刷領域3bがインサート金属のみとなったら、液相拡散接合を行うことができる。しかしながら、本実施形態では、液相拡散接合工程(S17)に先立って、予熱工程(S16)を行う。本発明者は、背景技術で説明したように、特許文献1(特開2005-324245号公報)で「金属機械部品の液相拡散接合方法」を開示した。この発明の特徴は、液相拡散接合に先立って「一次接合として、抵抗溶接により非晶質合金箔と金属材料とを溶融圧接」する点にある。
この発明は、本実施形態においても適用できる技術である。この発明の技術的思想を本実施形態に適用した工程を本実施形態では「予熱工程(S6)」という。但し、「予熱工程(S6)」は、必ずしも特許文献1の開示内容に限定されるものではなく、抵抗溶接に限定されるものではなく、特許文献1に開示のない予熱方法も含まれる。さらに、本発明は、第1実施形態のように予熱工程(S16)がない態様としても実施することができることは言うまでもない。
抵抗溶接は、例えば、通電加熱方式のスポット溶接、プロジェクション溶接、アップセット溶接およびフラシュバット溶接などが挙げられる。
<無酸化真空炉8>
図19は、第2実施形態の無酸化真空炉8全体の概略を示すブロック図である。第2実施形態の無酸化真空炉8は、第1実施形態の無酸化真空炉8と同様に、搬送コンベア8a、脱気室8b、バインダガス化加熱炉8c、予熱室8d、液相拡散接合炉8e、冷却室8f、調圧室8gを備えている。
<予熱工程(S16)の手順>
バインダガス化工程(S15)が完了したら、パネルセット9をバインダガス化加熱炉8cから予熱室8dに移動する。予熱室8dは、バインダガス化加熱炉8cや液相拡散接合炉8eと同じ真空状態に維持されている。予熱室8dにおいて、パネルセット9を分解し、パネル1の接合領域2bの両面を露出させるとともに、被印刷板3と被接合板2が重ね合わせた状態がずれないように図示しない拘束具で拘束する。
接合領域2bの両面を露出させたパネル1の接合領域2bを溶融圧接する。溶融圧接は、図示しない溶接ロボットなどにより抵抗溶接により行われる、抵抗溶接は、被接合板2と被印刷板3と、その間に挟まれたインサート金属とを、加圧力を10~1,000[MPa]として溶融圧接する。これにより、断面組織における未等温凝固組織の加圧方向の厚みが平均で10[μm]以下である継ぎ手部を形成する。抵抗溶接の時間は、例えば10秒以下である。また、抵抗溶接における電流量は、100~100,000[A/mm]である。
本実施形態の予熱工程(S16)により、被印刷板3と被接合板2の間の印刷領域3bに形成したインサート金属の層を短時間で溶融圧接することによって溶融、凝固する。この結果、極めて薄い厚みの接合合金層を形成できる。本発明者らによる実験では、光学顕微鏡による観察結果から、予熱工程(S16)で得られたインサート金属の層が溶融、凝固した組織からなる接合合金層の厚みは最大で7[μm]以下、平均厚みで3[μm]以下となることを確認している。
<予熱工程の効果>
このように極めて薄い液相拡散接合用のインサート金属が溶融、凝固して接合合金層が形成される。その後の液相拡散接合工程(S17)では、インサート金属の融点以上の温度で約15秒間保持することにより実質的に等温凝固はほぼ終了する。さらに、本実施形態では約30秒間の保持であれば、被接合材料としてSUS304を用いる場合では、完全な等温凝固組織を得られることを、拡散方程式による推定計算および実験により確認している。
(第2実施形態の効果)
(2-1)本実施形態の液相拡散接合工程(S17)は、これに先立って予熱工程(S16)を備える。そのため、極めて薄い液相拡散接合用のインサート金属が溶融、凝固して接合合金層が形成される。つまり液相拡散接合ができやすい状態とすることができる。その後の液相拡散接合工程(S17)では、インサート金属の融点以上の温度で短時間維持するだけ、実質的に等温凝固はほぼ終了する。このため、液相拡散接合を短時間に完了することができる。
(2-2)予熱工程(S16)では、抵抗溶接の溶接入熱によってパネル1のインサート金属は溶融し、その加圧応力でアップセットされて加熱溶融時に生成した酸化物および接合面表面に存在していた爽雑物を溶融メタルと共に接合面外に排出することができる。
(2-3)予熱工程(S16)は、周知の抵抗溶接の熱を利用できるため、特殊な設備などは必要としない。
(変形例)
本発明は、上記第1実施形態及び第2実施形態の記載により限定された解釈されず、例えば下記のように実施することもできる。
○本実施形態では、接合対象を、SU304などの厚さ0.1mmのステンレス鋼の薄板同士を気密に面接合するパネル1を例示した。しかしながら、本実施形態は、要はインサート金属をペースト状にして液相拡散接合を行う点にあり、肉厚の部品同士の接合など、その適用対象は広く適用できる。
○接合対象は、一部にセレーションを用いた管部を備えた構造を例示しているが、その形状や構造は限定されるものではない。
○例示した数値や、数値範囲は一例であり、本発明は当業者により数値の最適がなされて実施できる。
○図面は、説明を目的とするものであり、寸法バランスなどは説明のために強調されている場合があるため、本発明がそれらの図面により限定されることはない。
○図1、図18に示すフローチャートは一例であり、当業者により適宜工程を削除、付加、変更することができる。
○また、予熱工程は、抵抗溶接を例に説明したが、インサート金属が溶融すれば、摩擦熱、超音波振動、火炎を含む高温ガス、レーザ光照射、他の加熱方法であってもよい。
○上治具6の押圧部材6b、下治具7の押圧部材7bは、セラミック製の中空パイプを例示したが、これに限定されない。金属製の丸棒などでも実施できる。
○以上、本発明を実施形態により説明したが、本実施形態は、本発明の一例であり、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者によりその構成を付加し、削除し、または変更して実施することができる。
1…パネル(接合対象)
2…被接合板(上側)
2a…位置決め穴
2b…接合領域
2c…セレーション
2d…溝部
2e…突条部
2f…接合部
2g…管部
2h…ガス抜き穴
3…被印刷板(下側)
3a…位置決め穴
3b…印刷領域
3d…溝部
3e…突条部
3f…接合部
3g…管部
4…ペースト
5…印刷機
5a…印刷マスク(スクリーン版)
5b…スキージ
5c…スクレッパ
5d…枠
5e…パターン
6…上治具(拡散成立用加圧板)
6a…基準穴
6b…押圧部材
6c…ガス抜き穴
6d…芯材
7…下治具
7a…位置決めピン
7b…押圧部材
7c…芯材
8…無酸化真空炉
8a…搬送コンベア
8b…脱気室
8c…バインダガス化加熱炉
8d…予熱室
8e…液相拡散接合炉
8f…冷却室
8g…調圧室
9…パネルセット

Claims (21)

  1. 液相拡散接合用のインサート金属の粒子と、バインダとを含有したペーストの層を印刷により一方の接合対象である厚み0.3mm以下の薄鋼板からなる被印刷板の接合面に形成する印刷工程と、
    前記被印刷板に形成され硬化したペーストの層を他方の接合対象である被接合板により挟んで接合面に荷重を掛けながら前記バインダのガス化温度以上に加熱してバインダを消滅させるバインダガス化工程と、
    前記被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して等温凝固処理を進行させて液相拡散接合を行う液相拡散接合工程とを含み、
    前記インサート金属が、Ni又はFeを主体とし、Bを含む非晶質合金からなる箔状のインサート金属を粉砕して粒子状にしたことを特徴とする液相拡散接合方法。
  2. 前記インサート金属が、前記Bを3~4[重量%]含有することを特徴とする請求項1に記載の液相拡散接合方法。
  3. 前記インサート金属が、さらに、Siを4~5[重量%]、Vを2~3[重量%]含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液相拡散接合方法。
  4. 前記インサート金属が、さらに、Mo、W、P、Cの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  5. 液相拡散接合用のインサート金属の粒子と、バインダとを含有したペーストの層を印刷により一方の接合対象である厚み0.3mm以下の薄鋼板からなる被印刷板の接合面に形成する印刷工程と、
    前記被印刷板に形成され硬化したペーストの層を他方の接合対象である被接合板により挟んで接合面に荷重を掛けながら前記バインダのガス化温度以上に加熱してバインダを消滅させるバインダガス化工程と、
    前記被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで加圧しながら加熱して等温凝固処理を進行させて液相拡散接合を行う液相拡散接合工程とを含み、
    前記インサート金属が、Ni又はFeを主体とし、B,P及びCのうち1種または2種以上を各々0.1[原子%]以上含有する非晶質合金からなる箔状のインサート金属を粉砕して粒子状にしたことを特徴とする液相拡散接合方法。
  6. Vを0.1[原子%]以上、10.0[原子%]以下含有することを特徴とする請求項5に記載の液相拡散接合方法。
  7. B、P及びCは、20.0[原子%]以下含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の液相拡散接合方法。
  8. 接合部断面の電子顕微鏡観察によって、初期液相幅aに対する均質相幅bの比が1.3以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  9. 前記液相拡散接合工程は、予熱工程を備えたことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  10. 前記予熱工程は、抵抗溶接であることを特徴とする請求項9に記載の液相拡散接合方法。
  11. 前記印刷工程は、前記被印刷板の接合面に形成されたペーストの層の硬化後の厚みが50~100[μm]であることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  12. 前記印刷工程は、被印刷板の接合面に形成されたペーストの層の硬化後の厚みが20~70[μm]であることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  13. 前記バインダガス化工程と前記液相拡散接合工程は、10-1torr以下の酸素を含有する不活性ガス炉、または10-5torr以下の無酸化真空炉において連続して実施することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  14. 前記液相拡散接合工程は、加熱温度1100~1250°C、加熱時間60分以下、面圧0.0129MPa以上で行うことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  15. 前記インサート金属の粒子の平均粒子径が1~100[μm]であることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  16. 前記液相拡散接合工程において、前記被印刷板及び前記被接合板によりインサート金属の粒子を挟んで2~10MPaで加圧しながら加熱して等温凝固処理を進行することを特徴とする請求項15に記載の液相拡散接合方法。
  17. 下治具と、下治具上で支持される前記被印刷板と、当該被印刷板と対向配置される前記被接合板と、被接合板上に配置され前記被接合板を押圧する上治具を備え、
    前記下治具と上治具は、前記被印刷板と前記被接合板と、同じ材質から形成されていることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  18. 下治具と、下治具上で支持される前記被印刷板と、当該被印刷板と対向配置される前記被接合板と、被接合板上に配置され前記被接合板を押圧する上治具を備え、
    前記下治具と上治具の少なくともいずれか一方には、接合部分に対応した部分にセラミックからなる押圧部材を配設し、当該押圧部材により接合部分を押圧することを特徴とする請求項17に記載の液相拡散接合方法。
  19. 前記セラミックは、ジルコニアからなることを特徴とする請求項18に記載の液相拡散接合方法。
  20. 前記押圧部材は、中空パイプ状の構造を有することを特徴とする請求項19に記載の液相拡散接合方法。
  21. 前記押圧部材の変形を抑制する金属製の芯材を備えたことを特徴とする請求項20に記載の液相拡散接合方法。
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