JP7086339B2 - 光学ガラスレンズ及び光学ガラスレンズの製造方法 - Google Patents

光学ガラスレンズ及び光学ガラスレンズの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は光学ガラスに関するものである。
紫外線発光素子は、殺菌、消毒、浄水、センシング、樹脂硬化等の各種用途に用いられる。従来、紫外線発光素子として水銀灯が多く使用されてきたが、近年は、より環境負荷の少ないLED(発光ダイオード)への転換が検討されつつある(例えば特許文献1参照)。
紫外線LEDには、光出射部分に光学ガラスが取り付けられることがある。当該光学ガラスは、紫外線LEDチップを保護するカバー部材としての機能を果たすため、機械的強度が要求される。また、紫外線LEDの用途により、当該光学ガラスに要求される機能(光の集光、拡大等)が異なるため、光学ガラスの形状は多種多様である。当該光学ガラスの材料として、例えば、概ね波長350nm以下の短波長域(深紫外域)において透過特性に優れた石英ガラスが用いられている。
特開2005-203481号公報
しかしながら、シリカガラスはガラス転移点、軟化点が高いため、プレス成型性に劣り、所望の形状を得にくい、及び、機械的強度が不十分であり破損しやすいという問題があった。
本発明の目的は上記課題に鑑み、紫外線透過率が高く、プレス成型性に優れ、かつ、機械的強度が高い光学ガラスを提供することである。
本発明の光学ガラスは、表面に圧縮応力層を有する光学ガラスであって、質量%で、SiO 40~75%、B 0~30%、Al 3~15%、RO 0.1~10%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)、LiO 0.1~10%、NaO+KO 3~20%、ZrO 0~3%、F 0~5%を含有することを特徴とする。ここで、「NaO+KO」とは、NaO及びKOの含有量の合量を意味する。本発明では、紫外線透過率を高めるSiOの含有量を40質量%以上、紫外線透過率を低下させるLiOの含有量を10質量%以下、及び、NaO+KOの含有量を20質量%以下に規制することにより高い紫外線透過率を達成している。また、ガラス転移点を低下させるRO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)の含有量を0.1質量%以上、LiOの含有量を0.1質量%以上、及び、NaO+KOの含有量を3質量%以上に規制することにより、優れたプレス成型性を達成している。さらに、表面に圧縮応力層を有しているため機械的強度に優れる。
本発明の光学ガラスは、さらに、質量%で、La+Nb+Bi+WO 0~0.05%を含有することが好ましい。ここで、「La+Nb+Bi+WO」とは、La、Nb、Bi及びWOの含有量の合量を意味する。
本発明の光学ガラスは、さらに、質量%で、TiO 100ppm以下、Fe 50ppm以下を含有することが好ましい。
本発明の光学ガラスは、屈折率(nd)が1.45~1.55であることが好ましい。なお、「nd」は、d線における屈折率である。
本発明の光学ガラスは、ガラス転移点が550℃以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、軟化点が750℃以下であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、肉厚1mmで、波長270nmにおける光透過率が50%以上であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、肉厚1mmで、波長300nmにおける光透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、プレス成型体であることが好ましい。
本発明の光学ガラスは、圧縮応力層の圧縮応力値が50~1000MPa、圧縮応力層の厚みが1~100μmであることが好ましい。ここで、「圧縮応力層の圧縮応力値」及び「圧縮応力層の厚み」は、表面応力計を用いて干渉縞の本数とその間隔を観察して算出したものである。
本発明の光学ガラスの製造方法は、質量%で、SiO 40~75%、B 0~30%、Al 3~15%、RO 0.1~10%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)、LiO 0.1~10%、NaO+KO 3~20%、ZrO 0~3%、F 0~5%を含有するガラス母材をプレス成型し、プレス成型ガラスを得る工程、及び、化学強化法にて前記プレス成型ガラスの表面に圧縮応力層を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、紫外線透過率が高く、プレス成型性に優れ、かつ、機械的強度が高い光学ガラスを提供することができる。
本発明の光学ガラスは、表面に圧縮応力層を有する光学ガラスであって、質量%で、SiO 40~75%、B 0~30%、Al 3~15%、RO 0.1~10%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)、LiO 0.1~10%、NaO+KO 3~20%、ZrO 0~3%、F 0~5%を含有することを特徴とする。
まず、ガラス組成を上記のように限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiOは、紫外線透過率と耐候性を向上させ、また屈折率を低下させ、さらに液相粘度を高める成分である。SiOの含有量は40~75%であり、45~70%、特に50~65%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、屈折率を低下させることが困難になったり、紫外線透過率が低下する傾向がある。一方、SiOの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇しプレス成型性が低下する傾向がある。また、ガラスの溶解性が悪化したり、SiOを含む失透物が析出しやすくなる。
は、イオン交換性能を高めることにより圧縮応力値を向上させ、また屈折率を低下させ、さらに耐候性を向上させる成分である。Bの含有量は0~30%であり、0.5~27.5%、1~25%、特に2.5~22%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇しプレス成型性が低下する傾向がある。また、成形時に蒸発しやすいため脈理が発生しやすくなる。さらに、紫外線透過率が低下しやすくなる。なお、イオン交換、圧縮応力値については後で詳述する。
Alは、イオン交換性能を向上させ、また屈折率を低下させ、さらに耐候性を向上させる成分である。Alの含有量は3~15%であり、3.5~12.5%、4~10%、特に5~9%であることが好ましい。Alの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Alの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇しプレス成型性が低下する傾向がある。また、ガラスの溶解性が悪化したり、Alを含む失透物が析出しやすくなる。
SiO+Alの含有量は55~80%、57.5~77.5%、60~75%、特に62.5~72.5%であることが好ましい。SiO+Alの含有量が少なすぎると、屈折率が高くなりすぎたり、紫外線透過率が低下しやすくなる。一方、SiO+Alの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇しプレス成型性が低下する傾向がある。なお、「SiO+Al」とは、SiO及びAlの含有量の合量を意味する。
なお、SiO/Bは10以下、7.5以下、5以下、4以下、特に3以下であることが好ましい。SiO/Bが大きすぎると、ガラスの溶解性が悪化し、SiOを含む失透物が析出しやすくなる。また、SiO/Bの下限は特に限定されないが、現実的には、1.4以上であることが好ましい。なお、「SiO/B」とは、SiOの含有量をBの含有量で除した値を指す。
また、SiO/Alは10以下、7.5以下、5以下、4以下、特に3以下であることが好ましい。SiO/Alが大きすぎると、ガラスの溶解性が悪化し、SiOを含む失透物が析出しやすくなる。また、SiO/Alの下限は特に限定されないが、現実的には、2.7以上であることが好ましい。なお、「SiO/Al」とは、SiOの含有量をAlの含有量で除した値を指す。
RO(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)は、ガラス転移点を低下させ、またガラスの高温粘性を低下させる成分である。ROの含有量(合量)は0.1~10%であり、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。ROの含有量が少なすぎると、ガラス転移点を低下させることが困難になる。一方、ROの含有量が多すぎると、失透傾向が強くなってガラス化しにくくなり、プレス成型する際にガラスがプレス金型に融着しやすくなる。また、イオン交換性能が低下しやすくなる。
なお、ROの各成分の含有量の範囲は以下の通りである。
MgOの含有量は0~10%、0.1~10%、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。
CaOの含有量は0~10%、0.1~10%、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。
SrOの含有量は、0~10%、0.1~10%、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。
BaOの含有量は、0~10%、0.1~10%、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。
ZnOの含有量は、0~10%、0.1~10%、0.5~9.5%、1~9%、特に2~8%であることが好ましい。
LiOは、イオン交換成分であり、またガラス転移点を低下させ、さらにガラスの高温粘性を低下させる成分である。LiOの含有量は、0.1~10%であり、0.5~7.5%、1~7%、特に2~6%であることが好ましい。LiOの含有量が少なすぎると、イオン交換性能が低下したり、ガラス転移点を低下させることが困難になる。一方、LiOの含有量が多すぎると、紫外線透過率が低下したり、耐候性が悪化しやすくなる。また、プレス成型する際にガラスがプレス金型に融着しやすくなる。
NaO及びKOは、イオン交換成分であり、またガラス転移点を低下させ、さらにガラスの高温粘性を低下させる成分である。NaO+KOの含有量は、3~20%であり、4~18%、5~17%、特に6~16%であることが好ましい。NaO+KOの含有量が少なすぎると、イオン交換性能が低下したり、ガラス転移点を低下させることが困難になる。一方、NaO+KOの含有量が多すぎると、紫外線透過率が低下したり、耐候性が悪化しやすくなる。また、プレス成型する際にガラスがプレス金型に融着しやすくなる。
なお、NaO及びKOの含有量の好ましい範囲は以下の通りである。
NaOは、圧縮応力値を顕著に向上させる成分である。NaOの含有量は、1~20%、1.5~19%、2~18%、特に3~17%であることが好ましい。
Oの含有量は、0~10%、0.5~8%、1~7%、特に2~6%であることが好ましい。
なお、(NaO+KO)/Alは、0.5~2、0.6~1.8、0.7~1.5であることが好ましい。(NaO+KO)/Alが小さすぎると、イオン交換性能が低下したり、ガラス転移点を低下させることが困難になる。一方、(NaO+KO)/Alが大きすぎると、紫外線透過率が低下したり、耐候性が悪化しやすくなる。また、プレス成型する際にガラスがプレス金型に融着しやすくなる。ここで、「(NaO+KO)/Al」とは、NaO及びKOの含有量の合量をAlの含有量で除した値を指す。
ZrOは、イオン交換性能を顕著に向上させ、また耐候性を向上させる成分である。ZrOの含有量は、0~3%であり、0~2%、特に0.1~2%であることが好ましい。ZrOの含有量が多すぎると、紫外線透過率が低下したり、液相粘度が低下し失透しやすくなる。
は紫外線透過率を高める成分である。Fの含有量は0~5%であり、0.5~3%、特に1~2%であることが好ましい。Fの含有量が多すぎると、溶融時の蒸発が増加して脈理等が発生し、ガラスが不均質になりやすい。また、プレス成型する際にガラスがプレス金型に融着しやすくなる。さらに、ヤング率が低下したり、圧縮応力値が低下しやすくなる。なお、蒸発等の抑制を優先する場合、Fは含有しないことが好ましい。
上記成分以外にも、以下に示す種々の成分を含有させることができる。
La、Nb、Bi及びWOは耐侯性及び化学耐候性を高める成分である。また、これらの成分を含有させることにより、屈折率を調整することができる。La+Nb+Bi+WOの含有量は0~0.05%であることが好ましい。これらの成分の含有量が多すぎると、耐失透性の低下、溶融温度の上昇、あるいは紫外線透過率の低下等の不具合が生じやすくなる。なお、La、Nb、Bi及びWOの各成分の含有量も、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
TiOは紫外線透過率を低下させやすいため、その含有量は極力少ないほうが好ましい。具体的には、TiOの含有量は、100ppm以下、特に50ppm以下であることが好ましい。なお、TiOの含有量の下限値は特に限定されないが現実的には0.1ppm以上である。
不純物として混入しやすいFeは紫外線透過率を低下させやすいため、その含有量は極力少ないほうが好ましい。具体的には、Feの含有量は、50ppm以下、特に30ppm以下であることが好ましい。なお、Feの含有量の下限値は特に限定されないが現実的には0.1ppm以上である。
ガラスを溶融する際に還元剤となるカーボンや金属スズ等の成分を1%以下添加しても構わない。
また、Cu、Ag、Pr、Brはガラスを着色させる成分であることから、実質的に含有しないことが好ましい。Cdは環境に対する影響を考慮し、実質的に含有しないことが好ましい。なお、「Cu、Ag、Pr、Br、Cdを実質的に含有しない」とは、原料として意図的に含有させないことを意味し、客観的には、Cu、Ag、Pr、Br、Cdの含有量が各々0.05%未満であることをいう。
以上の組成を有する光学ガラスは、屈折率ndが1.45~1.55、1.48~1.53、特に1.49~1.52になりやすい。また、アッベ数が50~65、52~63、特に54~60になりやすい。
本発明の光学ガラスは、上記のように屈折率が比較的低いため、光入射効率が高い。そのため、表面に反射防止膜を設けなくても実質上問題ない。ただし、必要に応じて、反射防止膜を形成しても構わない。
本発明の光学ガラスは、ガラス転移点が550℃以下、530℃以下、特に500℃以下であることが好ましい。ガラス転移点の下限は特に限定されないが、現実的には400℃以上である。また、軟化点が750℃以下、730℃以下、特に710℃以下であることが好ましい。軟化点の下限はイオン交換処理に用いる溶液の温度以上であることが好ましい。具体的には、400℃以上、特に450℃以上であることが好ましい。ガラス転移点、軟化点が低いため、プレス成型温度が低くなりプレス金型の劣化を抑制しやすい。
本発明の光学ガラスは、ガラス転移点と軟化点の差が245℃以下、220℃以下、特に200℃以下であることが好ましい。ガラス転移点と軟化点の差が小さいと、プレス成型し冷却する際にガラスが早く固化しやすくなるため、ガラスがプレス金型に融着しにくくなる。
本発明の光学ガラスは、30~300℃の範囲における熱膨張係数が50×10-7/℃以上、60×10-7/℃以上、特に70×10-7/℃以上であることが好ましい。熱膨張係数が低すぎると、プレス成型し、冷却した後、プレス金型からガラスが離型しにくくなる。なお、熱膨張係数の上限は特に限定されないが、現実的には150×10-7/℃以下である。
本発明の光学ガラスは、概ね波長350nm以下の深紫外域において良好な光透過率を有する。具体的には、本発明の光学ガラスは、肉厚1mmで波長270nmにおける光透過率が50%以上、60%以上、特に70%以上であることが好ましい。また、肉厚1mmで波長300nmにおける光透過率が80%以上、85%以上、特に90%以上であることが好ましい。
次に、本発明の光学ガラスを製造する方法を述べる。
まず、所望の組成になるようにガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉で溶融する。ガラスの溶融温度は1150℃以上、1200℃以上、特に1250℃以上であることが好ましい。なお溶融容器を構成する白金金属からのPt溶け込みによるガラス着色を防止する観点から、溶融温度は1450℃以下、1400℃以下、1350℃以下、特に1300℃以下であることが好ましい。
また溶融時間が短すぎると、十分に脱泡できない可能性があるので、溶融時間は2時間以上、特に3時間以上であることが好ましい。ただし溶融容器からのPt溶け込みによるガラス着色を防止する観点から、溶融時間は8時間以内、特に5時間以内であることが好ましい。
次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して液滴状ガラスを作製し、ガラス母材を得る。または、溶融ガラスを急冷鋳造して一旦ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄してガラス母材を得る。
続いて、精密加工を施した金型中にガラス母材を投入して軟化状態となるまで加熱しながらプレス成型し、金型の表面形状をガラス母材に転写させる。このようにして、プレス成型ガラスを得ることができる。なお、プレス成型ガラスの形状は、平板形状以外の形状を有し、例えば曲面形状、レンズ形状等が挙げられる。
その後、化学強化法にて、プレス成型ガラスの表面に圧縮応力層を形成し、光学ガラスを得る。なお、化学強化法とは、イオン交換によりガラスの表面にイオン半径の大きいアルカリイオンを導入する方法である。化学強化法で圧縮応力層を形成すれば、ガラスの厚みが薄くても、イオン交換処理を行うことができ、所望の機械的強度を得ることができる。なお、イオン交換処理は、例えば400~550℃の硝酸カリウム溶液中にプレス成型ガラスを1~8時間浸漬することで行うことができる。
得られた光学ガラスにおいて、圧縮応力層の圧縮応力値は50~1000MPa、100~900MPa、300~800MPa、450~700MPa、特に500~600MPaであることが好ましい。圧縮応力層の圧縮応力値が大きくなるにつれて、光学ガラスの機械的強度が高くなる。一方、表面に極端に大きな圧縮応力が形成されると、表面にマイクロクラックが発生したり、内在する引っ張り応力が極端に高くなり、逆に光学ガラスの機械的強度が低下する虞があり、また、光学ガラスの内部と圧縮応力層の屈折率差が大きくなり、色収差のバラツキが生じやすくなる。
得られた光学ガラスにおいて、圧縮応力層の厚みは1~100μm、5~50μm、特に10~30μmであることが好ましい。圧縮応力層の厚みが大きい程、光学ガラスが破損し難くなる。但し、表面に極端に大きな圧縮応力層の厚みが形成されると、表面にマイクロクラックが発生したり、内在する引っ張り応力が極端に高くなり、逆に光学ガラスの機械的強度が低下する虞があり、また内部と圧縮応力層の屈折率差が大きくなり、色収差のバラツキが生じやすくなる。
以下、本発明の光学ガラスを実施例に基づいて詳細に説明する。
表1及び表2は本発明の実施例(試料No.1~14)及び比較例(試料No.15~17)を示している。
Figure 0007086339000001
Figure 0007086339000002
各試料は、次のようにして作製した。
まず、表1及び2に記載の組成となるように調合したガラス原料を白金ルツボに入れ、1300℃でそれぞれ2時間溶融した。次に、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、冷却固化した後、アニールを行ってガラスブロックを作製した。その後、研削、研磨、洗浄してガラス母材を得た。このようにして得られたガラス母材について、屈折率、ガラス転移点、軟化点、熱膨張係数及び光透過率を測定した。結果を表1及び2に示す。
次に、精密加工を施した金型中に得られたガラス母材を投入して軟化点で加熱しながら加圧成型し、金型の表面形状をガラス母材に転写し、前面曲率半径 20mm、中心厚み 4mmの平凸レンズを得た。
その後、得られた平凸レンズを440℃に保持されたKNO槽に8時間浸漬し、イオン交換処理を行い光学ガラスを得た。得られた光学ガラスの圧縮応力層の圧縮応力値及び厚みを測定した。結果を表1及び2に示す。
屈折率ndは、屈折率計を用いて、d線(波長:587.6nm)における測定値で示した。
ガラス転移点は、ディラトメーターを用いて測定した。
軟化点は、ファイバーエロンゲーション法を用いて測定した。
熱膨張係数は、ディラトメーターを用いて、30~300℃の温度範囲における値を測定した。
光透過率は、分光光度計(島津製作所製UV-3100)により測定した。
圧縮応力層の圧縮応力値及び厚みは、表面応力計(株式会社東芝製FSM-6000)を用いて干渉縞の本数とその間隔を観察することで算出した。算出に際し、光学弾性定数を28[(nm/cm)/MPa]とした。
表1及び2から明らかなように、本発明の実施例であるNo.1~14の各試料は、屈折率ndが1.46~1.54、ガラス転移点が440~505℃、軟化点が601~710℃、光透過率(270nm)が55~78%、光透過率(300nm)が81~93%、圧縮応力値が461~589MPa、圧縮応力層の深さが12~45μmであった。これに対して比較例であるNo.15の試料は、光透過率(270nm)が45%、光透過率(300nm)が70%と低かった。No.16の試料は、ガラス転移点が630℃、軟化点が785℃と高くプレス成型性に劣ることが分かった。No.17の試料は、圧縮応力層を有していないため、機械的強度に劣ることが分かった。

Claims (10)

  1. 表面に圧縮応力層を有する光学ガラスレンズであって、質量%で、SiO 40~75%、B 0~30%、Al 3~15%、RO 0.1~10%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)、LiO 0.1~10%、NaO+KO 3~20%、Na O 1~6.1%、ZrO 0~3%、F 0~5%を含有し、肉厚1mmで、波長270nmにおける光透過率が50%以上であることを特徴とする光学ガラスレンズ。
  2. さらに、質量%で、La+Nb+Bi+WO 0~0.05%を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学ガラスレンズ。
  3. さらに、質量%で、TiO 100ppm以下、Fe 50ppm以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光学ガラスレンズ。
  4. 屈折率(nd)が1.45~1.55であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  5. ガラス転移点が550℃以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  6. 軟化点が750℃以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  7. 肉厚1mmで、波長300nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  8. プレス成型体であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  9. 圧縮応力層の圧縮応力値が50~1000MPa、圧縮応力層の厚みが1~100μmであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の光学ガラスレンズ。
  10. 質量%で、SiO 40~75%、B 0~30%、Al 3~15%、RO 0.1~10%(RはMg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択される少なくとも1種)、LiO 0.1~10%、NaO+KO 3~20%、Na O 1~6.1%、ZrO 0~3%、F 0~5%を含有するガラス母材をプレス成型し、プレス成型ガラスを得る工程、及び、化学強化法にて前記プレス成型ガラスの表面に圧縮応力層を形成する工程を含むことを特徴とする光学ガラスレンズの製造方法。
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