以下、本発明のバランサ装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
(バランサ装置の構造)
図1は、第1の実施形態のバランサ装置の分解斜視図である。
バランサ装置は、図示せぬクランクケースと図示せぬオイルパンとによって取り囲まれた空間に配置されており、図示せぬ内燃機関、例えば直列4気筒のレシプロエンジンの二次振動を抑制するものである。バランサ装置は、駆動側バランサシャフト1、従動側バランサシャフト2、第1ギア3、第2ギア4、従動ギア5、第1バランサウエイト6、第2バランサウエイト7、第1ハウジング8および第2ハウジング9を備えている。第1バランサシャフトである駆動側バランサシャフト1には、第1ギア3、従動ギア5および第1バランサウエイト6が設けられている。一方、第2バランサシャフトである従動側バランサシャフト2には、第2ギア4および第2バランサウエイト7が設けられている。そして、第1ギア3と第2ギア4とを噛み合わせた状態のバランサシャフト1,2は、ハウジングを構成する半割状の第1、第2ハウジング8,9内に収容されるとともに、第1、第2ハウジング8,9によって回転可能に支持される。第2ハウジング9は、6つの固定部材、例えばボルト10(図1には、5つのボルト10が図示されている)によって第1ハウジング8に取付固定される。
駆動側バランサシャフト1は、図示せぬクランクシャフトからの回転力が伝達されることにより駆動されるシャフトである。駆動側バランサシャフト1は、該駆動側バランサシャフト1の回転軸線の方向がクランクシャフトの回転軸線の方向、つまり内燃機関の前後方向と一致するように配置されている。ここで、駆動側バランサシャフト1の回転軸線に沿った方向を「軸方向」と定義し、この軸方向と直交する方向を「径方向」と定義し、さらに、軸方向周りの方向を「周方向」と定義する。さらに、駆動側バランサシャフト1の一対の軸方向端部のうち第1ギア3が固定されている側を「一端6a」と定義し、一方、第1ギア3が固定されていない側を「他端」(図1では、第1ハウジング8によって隠されている)と定義する。駆動側バランサシャフト1は、一端6a側から順に、第1ギア固定部6b、図示せぬ従動ギア固定部、図示せぬ第1シャフト第1軸部、第1バランサウエイト6および図示せぬ第1シャフト第2軸部を有している。
第1ギア固定部6bは、一端6a側に位置しており、円柱状に形成されている。第1ギア固定部6bの外周部には、第1ギア3が固定されている。
従動ギア固定部は、第1ギア固定部6bと軸方向に隣接しており、円柱状に形成されている。従動ギア固定部の外周部には、クランクシャフトより伝達される回転力によって回転する従動ギア5が固定されている。
第1シャフト第1軸部は、従動ギア固定部と軸方向に隣接しており、円柱状に形成されている。第1シャフト第1軸部は、第2ハウジング9に設けられた第1シャフト用第1軸受部21と、第1ハウジング8に設けられ、第1シャフト用第1軸受部21と対応する図示せぬ軸受部との間で回転可能に支持される。
第1バランサウエイト6は、第1シャフト第1軸部と軸方向一端側に隣接しており、駆動側バランサシャフト1の回転軸線を中心として径方向に偏位した状態で拡径する半円柱状に形成されている。第1バランサウエイト6は、第1、第2ハウジング8,9の間に形成される空間であるウエイト収容空間11内に収容される。
第1シャフト第2軸部は、第1バランサウエイト6と軸方向他端側に隣接しており、円柱状に形成されている。第1シャフト第2軸部は、第2ハウジング9に設けられた第1シャフト用第2軸受部23と、第1ハウジング8に設けられ、第1シャフト用第2軸受部23に対応する図示せぬ軸受部との間で回転可能に支持される。
第1ギア3は、駆動側のヘリカルギアであり、従動側のヘリカルギアである第2ギア4と噛み合う。第1ギア3の歯数は、第2ギア4の歯数と同じである。第1ギア3は、第1、第2ハウジング8,9の間に形成されるギア収容空間12内に収容される。
従動ギア5は、第1ギア3の外径よりも大きな外径を有するヘリカルギアである。従動ギア5は、第1、第2ギア3,4と共にギア収容空間12内に収容される。また、従動ギア5はギア収容空間12内に収容された状態では、従動ギア5において周方向に連続する一定数の歯が、第1ハウジング8に開口形成された長方形の開口部13から第1ハウジング8の外側に突出するようになっている。開口部13から突出した上記一定数の歯は、図示せぬクランクシャフトに設けられた図示せぬ駆動ギアと噛み合い、駆動ギアおよび従動ギア5を介してクランクシャフトからの回転力が駆動側バランサシャフト1に伝達されるようになっている。上記駆動ギアの歯数は、従動ギア5の歯数の2倍となっている。
従動側バランサシャフト2は、第1、第2ギア3,4を介して伝達される駆動側バランサシャフト1からの回転力により回転するシャフトである。従動側バランサシャフト2は、駆動側バランサシャフト1と平行となるように設けられている。従って、従動側バランサシャフト2の軸方向は、駆動側バランサシャフト1の軸方向と同じである。従動側バランサシャフト2の一対の軸方向端部のうち第2ギア4が固定されている側を「一端2a」と定義し、第2ギア4が固定されていない側を「他端2b」と定義する。従動側バランサシャフト2は、一端2a側から順に、第2ギア固定部2c、連結軸部2d、第2シャフト第1軸部2e、第2バランサウエイト7および第2シャフト第2軸部2fを有している。
第2ギア固定部2cは、一端2a側に位置しており、円柱状に形成されている。第2ギア固定部2cの外周部には、第1ギア3と噛み合う第2ギア4が固定されている。
連結軸部2dは、第2シャフト第1軸部2eよりも小さい外径を有する円柱状をなしており、第2ギア固定部2cと第2シャフト第1軸部2eとを連結する(図6参照)。
第2シャフト第1軸部2eは、連結軸部2dと軸方向に隣接しており、連結軸部2dよりも大きい外径を有する円柱状に形成されている。第2シャフト第1軸部2eは、第2ハウジング9に設けられた第2シャフト用第1軸受部22と、第1ハウジング8に設けられ、第2シャフト用第1軸受部22と対応する図示せぬ軸受部との間で回転可能に支持される。
第2バランサウエイト7は、第2シャフト第1軸部2eと軸方向一端側に隣接しており、従動側バランサシャフト2の回転軸線を中心として径方向に偏位した状態で拡径する半円柱状に形成されている。第2バランサウエイト7は、第1、第2ハウジング8,9の間に形成されるウエイト収容空間11内に第1バランサウエイト6と共に収容される。
第2シャフト第2軸部2fは、第2バランサウエイト7と軸方向他端側に隣接しており、円柱状に形成されている。第2シャフト第2軸部2fは、第2ハウジング9に設けられた第2シャフト用第2軸受部24と、第1ハウジング8に設けられ、第2シャフト用第2軸受部24に対応する図示せぬ軸受部との間で回転可能に支持される。
第2ギア4は、第1ギア3と同様の形状を有する従動側のヘリカルギアであり、第1ギア3と噛み合う。第2ギア4は、第1、第2ハウジング8,9の間に形成されるギア収容空間12内に、第1ギア3および従動ギア5と共に収容される。
第1ハウジング8は、金属材料、例えばアルミニウムによるダイカストによって半割状に形成されており、同じく半割状に形成された第2ハウジング9と共に、バランサシャフト1,2等を収容するハウジングを構成する。第1ハウジング8の四隅には、4つの脚部14が形成されており、各脚部14には、脚部14の長手方向(図1の上下方向)に沿った図示せぬ貫通孔が形成されている。各貫通孔の一端部には、脚部14の平坦な先端面14aに開口するとともに脚部14の貫通孔と連通する円形の凹部14bが形成されている。凹部14bは、貫通孔の径よりも大きく形成されており、内周面に中空の位置決めピン15が圧入されている。脚部14は、該脚部14の貫通孔および位置決めピン15の内部を通して図示せぬ固定部材、例えばボルトをねじ留めすることにより、図示せぬシリンダブロックの下面に取付固定されている。バランサシャフト1,2等を収容するための第1ハウジング8の内部側の形状は、第2ハウジング9の内部側の形状と同様に形成されている。
第2ハウジング9は、金属材料、例えばアルミニウムによるダイカストによって半割状に形成されている。第2ハウジング9は、平面矩形状をなしており、第1ハウジング8との合わせ箇所の外周部に、軸方向に沿って延びる一対の枠状デッキ部16,17と、該枠状デッキ部16,17の一端同士並びに他端同士を結合する一対の横梁デッキ部18,19とを有している。これら枠状デッキ部16,17および横梁デッキ部18,19によって、半割状の第2ハウジング9の概ね長方形に連続した開口端面20は、第1ハウジング8との第2ハウジング9側の合わせ面を形成する。
横梁デッキ部18のうち駆動側バランサシャフト1の図示せぬ第1シャフト第1軸部に対応した部位には、該第1シャフト第1軸部が軸受けされる半円弧溝状の第1シャフト用第1軸受部21が形成されている。また、横梁デッキ部18のうち従動側バランサシャフト2の第2シャフト第1軸部2eに対応した部位には、第2シャフト第1軸部2eが軸受けされる半円弧溝状の第2シャフト用第1軸受部22が形成されている。
同様に、横梁デッキ部19のうち駆動側バランサシャフト1の図示せぬ第1シャフト第2軸部に対応した部位には、該第1シャフト第2軸部が軸受けされる半円弧溝状の第1シャフト用第2軸受部23(図2参照)が形成されている。また、横梁デッキ部19のうち従動側バランサシャフト2の第2シャフト第2軸部2fに対応した部位には、第2シャフト第2軸部2fが軸受けされる半円弧溝状の第2シャフト用第2軸受部24が形成されている。
また、第2ハウジング9の一対の枠状デッキ部16,17および一対の横梁デッキ部18,19によって囲まれる空間は、第1ハウジング8と第2ハウジング9との間で、第1、第2バランサウエイト6,7を収容するウエイト収容空間11となっている。
図2は、第2ハウジング9の平面図であり、図3は、外側から見たときの第2ハウジング9の斜視図である。図2では、第1ハウジング8の合わせ面と当接する第2ハウジング9の合わせ面を格子状のハッチングによって示している。図4は、図2の線A-Aに沿って切断した第1補強リブ49等の断面図である。図4では、第2ギア収容部40c、接続部42および固定部材設置部27と、第1補強リブ49との境界部を破線で示している。図5は、図2の線B-Bに沿って切断した第2補強リブ50等の断面図である。
図2に示すように、横梁デッキ部18のうち第1シャフト用第1軸受部21と隣接する外側の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔25aを有する固定部材設置部25が設けられている。貫通孔25aは、固定部材設置部25のうち第1シャフト用第1軸受部21寄りの位置に形成されている。同様に、横梁デッキ部18のうち第1シャフト用第1軸受部21と第2シャフト用第1軸受部22との間の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔26aを有する固定部材設置部26が設けられている。貫通孔26aは、固定部材設置部26の中央部に形成されている。同じく、横梁デッキ部18のうち第2シャフト用第1軸受部22に隣接する外側の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔27aを有する固定部材設置部27が設けられている。貫通孔27aは、固定部材設置部27の第2シャフト用第1軸受部22寄りの位置に形成されている。固定部材設置部25,26,27は、それぞれボルト10の軸力が作用する比較的剛性が高い部位となっている。
また、横梁デッキ部18には、第1ハウジング8に設けられた通路を介して供給される潤滑油を、第1シャフト用第1軸受部21および第2シャフト用第1軸受部22へ導く一連の第1潤滑油通路28が形成されている。第1シャフト用第1軸受部21および第2シャフト用第1軸受部22へ導かれた潤滑油は、第1シャフト用第1軸受部21に軸受けされる第1シャフト第1軸部と、第2シャフト用第1軸受部22に軸受けされる第2シャフト第1軸部2eとを潤滑する。第1潤滑油通路28は、固定部材設置部25、第1シャフト用第1軸受部21、固定部材設置部26および第2シャフト用第1軸受部22に沿って連続する通路を貫通孔25a,26aと共に構成する。つまり、第1潤滑油通路28は、固定部材設置部25側から順に、潤滑油溜まり部29、貫通孔25a、小通路部30、貫通孔26aおよび小通路部31を有している。
潤滑油溜まり部29は、固定部材設置部25と、この固定部材設置部25と一体に形成された張り出し部32とに跨るように形成されている。潤滑油溜まり部29に供給された潤滑油は、貫通孔25a、小通路部30、貫通孔26aを介して小通路部31へ流れる。張り出し部32は、図2に示すように固定部材設置部25から横梁デッキ部19と平行となるように径方向に膨出している。換言すれば、張り出し部32は、貫通孔25aに挿入されるボルト10と直交するように固定部材設置部25から径方向に膨出している。潤滑油溜まり部29には、第1ハウジング8に設けられた通路を介して潤滑油が供給される。小通路部30は、横梁デッキ部18に沿って延びる通路部であり、貫通孔25aと貫通孔26aとを連通する。小通路部31は、横梁デッキ部18に沿って延びる通路部であり、貫通孔26aと連通している。
横梁デッキ部19のうち第1シャフト用第2軸受部23と隣接する外側の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔33aを有する固定部材設置部33が設けられている。貫通孔33aは、固定部材設置部33のうち、軸方向において固定部材設置部25の貫通孔25aとオーバーラップする位置に形成されている。同様に、横梁デッキ部19のうち第1シャフト用第2軸受部23と第2シャフト用第2軸受部24との間の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔34aを有する固定部材設置部34が設けられている。貫通孔34aは、固定部材設置部34のうち、軸方向において固定部材設置部26の貫通孔26aとオーバーラップする位置に形成されている。同じく、横梁デッキ部19のうち第2シャフト用第2軸受部24に隣接する外側の部位には、ボルト10が挿入される貫通孔35aを有する固定部材設置部35が設けられている。貫通孔35aは、固定部材設置部35のうち、軸方向において固定部材設置部27の貫通孔27aとオーバーラップする位置に形成されている。固定部材設置部33,34,35は、固定部材設置部25,26,27と同様に、それぞれボルト10の軸力が作用する比較的剛性が高い部位となっている。
また、横梁デッキ部19には、潤滑油溜まり部29と、固定部材設置部25、枠状デッキ部17および固定部材設置部33に亘って形成された溝部36とを介して供給される潤滑油を、第1シャフト用第2軸受部23および第2シャフト用第2軸受部24へ導く一連の第2潤滑油通路37が形成されている。第1シャフト用第2軸受部23および第2シャフト用第2軸受部24へ導かれた潤滑油は、第1シャフト用第2軸受部23に軸受けされる第1シャフト第2軸部と、第2シャフト用第2軸受部24に軸受けされる第2シャフト第2軸部2fとを潤滑する。第2潤滑油通路37は、固定部材設置部33、第1シャフト用第2軸受部23、固定部材設置部34および第2シャフト用第2軸受部24に沿って連続する通路を貫通孔33a,34aと共に構成する。つまり、第2潤滑油通路37は、固定部材設置部33側から順に、貫通孔33a、小通路部38、貫通孔34aおよび小通路部39を有している。小通路部38は、横梁デッキ部19に沿って延びる通路部であり、貫通孔33aと貫通孔34aとを連通する。小通路部39は、横梁デッキ部19に沿って延びる通路部であり、貫通孔34aと連通している。このように、潤滑油溜まり部29に導かれた潤滑油が溝部36を介して第2潤滑油通路37に導かれ、貫通孔33a、小通路部38、貫通孔34aを介して小通路部39へ流れる。
図2および図3に示すように、第2ハウジング9は、比較的剛性が高い部位である固定部材設置部25,26,27を含む横梁デッキ部18から軸方向に膨出した膨出部であるギア収容部40を備えている。ギア収容部40は、第1ハウジング8と共に、従動ギア5を収容する従動ギア収容部40aと、第1ギア3を収容する第1ギア収容部40bと、第2ギア4を収容する第2ギア収容部40cと、を構成する。
従動ギア収容部40aは、固定部材設置部25,26および第1シャフト用第1軸受部21と軸方向に隣接する位置、つまり固定部材設置部25,26等を挟んでウエイト収容空間11と軸方向反対側の位置に形成されている。図3に示すように、従動ギア収容部40aは、横梁デッキ部18と一体に形成されており、固定部材設置部25,26の平坦な外面25b,26bよりも外側へ半円弧状に突出している。
第1ギア収容部40bは、従動ギア収容部40aと軸方向に隣接する位置で従動ギア収容部40aと一体に形成されており、従動ギア収容部40aよりも小さい半円弧溝状に形成されている。第1ギア収容部40bは、剛性が高い固定部材設置部25,26に接続された従動ギア収容部40aと一体化されているため、第2ギア収容部40cと比べて剛性が比較的高い部位となっている。
第2ギア収容部40cは、固定部材設置部26,27および第2シャフト用第1軸受部22から軸方向に離間した位置に第1ギア収容部40bと径方向に隣接するように設けられており、第1ギア収容部40bと同じ大きさを有する半円弧溝状に形成されている。第2ギア収容部40cは、従動ギア収容部40aおよび第1ギア収容部40bと一体に形成されている。図3に示すように、第2ギア収容部40c、従動ギア収容部40aおよび横梁デッキ部18に囲まれた空間は、第1ハウジング8側へ窪む窪み部41となっている。この窪み部41には、該窪み部41の一部を構成し、固定部材設置部26の固定部材設置部27側の端部26cから固定部材設置部27の外縁27dまでの長さに対応した長さで連続する概ね板状の接続部42が形成されている。接続部42は、第2ギア収容部40c、従動ギア収容部40aおよび横梁デッキ部18と一体に形成されている。図3に示すように、接続部42は、固定部材設置部27の平坦な外面27bに対し内側(第1ハウジング8側)にオフセットした位置に設けられている。また、図4に示すように、接続部42は、固定部材設置部27の平坦な内面27cよりも外面27b側に僅かにオフセットした位置に設けられている。
また、図2に示すように、ギア収容部40は、固定部材設置部27側に形成された枠状部43と、固定部材設置部25側に形成された枠状部44と、枠状部43と枠状部44とを接続する接続枠状部45とを有している。枠状部43,44および接続枠状部45は、ギア収容空間12の周囲で連続し、内側に、第1ハウジング8の合わせ面と当接する合わせ面を有している。
枠状部43は、いわゆるクランク状を呈し、固定部材設置部27の縁部のうち第2シャフト用第1軸受部22付近から軸方向に沿って連続する第1小枠状部46と、この第1小枠状部46と一体に形成され、横梁デッキ部18と平行となるように径方向外側へ連続する第2小枠状部47と、該第2小枠状部47と一体に形成され、第1小枠状部46とは反対側に向かって軸方向に沿って連続する第3小枠状部48と、を備えている。第1小枠状部46の一端46aは、固定部材設置部27に接続されており、第1小枠状部46の他端46bは、第2小枠状部47の一端47aに接続されている。第2小枠状部47の他端47bは、第3小枠状部48の一端48aに接続されている。第3小枠状部48の他端48bは、接続枠状部45の一端に接続されている。第1小枠状部46よりも内側の空間は、連結軸部2dが収容される連結軸部収容空間となっている。第2小枠状部47は、固定部材設置部27と軸方向にオーバーラップしている。第1~第3小枠状部46,47,48は、開口端面20と同一平面上にあり、第2ハウジング9の合わせ面の一部を構成する第1~第3合わせ面部46c,47c,48cを有している。
第1~第3小枠状部46,47,48を有する枠状部43では、第1小枠状部46の一端46aが、剛性の高い固定部材設置部27に支持されているが、第3小枠状部48の他端48bは、固定部材設置部によって保持されていない。従って、枠状部43は、軸方向において、固定部材設置部27に、他端48bを自由端としたいわゆる片持ち状態で支持されている。このため、枠状部43は、他端48b側に向かうにつれて剛性が低くなっている。また、第1小枠状部46の裏側には、従動ギア収容部40aと比べて剛性の低い窪み部41が設けられていることも、枠状部43の剛性を低くする要因の一つとなっている。
このような剛性が低い部位である枠状部43を補強するため、図3に示すように、横梁デッキ部18と第2ギア収容部40cとの間の窪み部41には、固定部材設置部27、第2ギア収容部40cおよび接続部42と一体に形成された補強部である第1補強リブ49が形成されている。第1補強リブ49は、矩形の平板状をなしており、図2に破線で示すように、ほぼ同じ厚さ幅でもって軸方向に沿って連続している。第1補強リブ49は、第2小枠状部47の一端47aと他端47bとの間で、固定部材設置部27の貫通孔27aと軸方向にオーバーラップするように設けられている。図4に示すように、第1補強リブ49は固定部材設置部27や第2ギア収容部40cと比べて突出量が小さく、第1補強リブ49の縁部49aは、固定部材設置部27の外面27bおよび第2ギア収容部40cの外周面40dよりも内側にオフセットした位置にある。
また、図2に示すように、固定部材設置部25の径方向外側では、固定部材設置部25から膨出した板状の張り出し部32が、枠状部44に接続されている。ここで、張り出し部32には、潤滑油溜まり部29からの潤滑油の漏れを抑制するために、第1ハウジング8の合わせ面との間で高いシール性が要求される。そこで、図3に示すように、第2ハウジング9の外側から張り出し部32を補強する補強部である第2補強リブ50(図2に破線の長方形で示す)が、固定部材設置部25および張り出し部32と一体に形成されている。第2補強リブ50は、三角形の平板状をなし、潤滑油溜まり部29の裏側に設けられている。また、図5に示すように、第2補強リブ50は、固定部材設置部25の外縁部25cと張り出し部32の縁部32b付近とを結ぶ傾斜部50aを有している。このように、第2補強リブ50が設けられることで、張り出し部32の内側面32aと第1ハウジング8の合わせ面との密着性が高められている。
かかるバランサ装置では、内燃機関が始動されてクランクシャフトが回転すると、従動ギア5、第1ギア3を介して駆動側バランサシャフト1がクランクシャフトの2倍の回転速度で回転する。これに伴い、従動側バランサシャフト2は、第1、第2ギア3,4の噛み合い伝達を経て駆動側バランサシャフト1とは反対の方向へ駆動側バランサシャフト1と同じ回転速度で回転する。これにより、第1バランサウエイト6および第2バランサウエイト7も反対方向へ回転しながら駆動側バランサシャフト1および従動側バランサシャフト2自体の左右の遠心力を相殺し、上下方向にのみ起振力を発生させる。このようにバランサシャフト1,2の回転に伴い、第1、第2バランサウエイト6,7が回転して起振力を内燃機関に伝達することにより、内燃機関の二次振動が抑制される。
[第1の実施形態の効果]
図6は、従動側バランサシャフト2の軸方向に沿って切断した従来技術のバランサ装置の断面図である。
従来技術のバランサ装置では、従動側バランサシャフト2の第2シャフト第1軸部2eの周囲に設けられた一対の固定部材設置部26,51から、膨出部であるギア収容部40,52が、従動側バランサシャフト2の軸方向に膨出している。そして、ギア収容部40,52の先端面40e,52a同士が付き合わされることで、ギア収容部40,52は第2ギア4を収容している。固定部材設置部26,51は、固定部材であるボルト10の軸力が掛かるため第1、第2ハウジング8,9の間の締結力が高い部位となっている。
第1ハウジング8のギア収容部52は、ボルト10の軸力により第1、第2ハウジング8,9の間の締結力が高い固定部材設置部51に接続されるとともに、脚部14を介して内燃機関のクランクケースの下面に固定さているので、内燃機関から生じる振動や、バランサシャフト1,2が発生させる起振力に伴い振動し難い部位となっている。
一方、第2ハウジング9のギア収容部40は、その一端40fが、第1、第2ハウジング8,9の間の締結力が高い固定部材設置部26によって支持されているが、他端40gが固定部材設置部によって支持されていない。つまり、ギア収容部40は、従動側バランサシャフト2の軸方向において、固定部材設置部26に、他端40gを自由端としたいわゆる片持ち状態で支持されている。このため、ギア収容部40は他端40g側に向かうにつれて第1、第2ハウジング8,9の間の締結力が低くなっており、内燃機関から生じる振動や、バランサシャフト1,2が発生させる起振力に伴い振動し易い部位となっている。ギア収容部40の先端面40eを含む合わせ面は、内燃機関から生じる振動や、バランサシャフト1,2が発生させる起振力に伴って振動することにより、ギア収容部52の先端面52aを含む合わせ面と衝突する。これにより、異音や、一対の合わせ面同士に微小な摩擦が繰り返し作用することで表面損傷を生じさせるフレッチングが発生する虞がある。
これら異音やフレッチングの問題に対する解決策としては、ギア収容部40,52の先端面40e,52a側にも固定部材設置部を設け、ギア収容部40,52同士をボルトにより固定することが考えられる。しかし、固定部材設置部やボルトを新たに設けると、バランサ装置の部品点数が増加し、これに伴い、製造コストも増加してしまう。また、バランサ装置のレイアウト上の制約からも、上記固定部材設置部やボルトを新たに設けることが困難な場合がある。
これに対し、第1の実施形態では、固定部材設置部27と、該固定部材設置部27から膨出する膨出部と、が補強部によって接続されている。
より詳細には、膨出部であるギア収容部40が、固定部材設置部27から軸方向に膨出しており、補強部である第1補強リブ49が、ギア収容部40の第2ギア収容部40cと固定部材設置部27との間の窪み部41において第2ギア収容部40cと固定部材設置部27とを接続している。
このため、第2ギア収容部40cの剛性が第1補強リブ49によって高くなり、第2ギア収容部40cの合わせ面と第1ハウジング8の合わせ面との密着性が向上する。これにより、第2ギア収容部40cは、内燃機関から生じる振動や、バランサシャフト1,2が発生させる起振力に伴って振動し難くなり、第2ギア収容部40cの合わせ面と第1ハウジング8の合わせ面との衝突が抑制される。従って、この衝突に伴って生じる異音やフレッチングを抑制することができる。
また、第1の実施形態では、固定部材設置部27は、ボルト10が挿入される貫通孔27aを有しており、第1補強リブ49は、貫通孔27aと従動側バランサシャフト2の軸方向にオーバーラップしている。
このため、第1補強リブ49は、ボルト10の軸力により特に剛性が高くなる固定部材設置部27の貫通孔27a付近の部位に接続される。よって、第1補強リブ49は、固定部材設置部27の他の部位に接続される場合と比べて高い剛性を得ることができ、第2ギア収容部40cの合わせ面と第1ハウジング8の合わせ面との密着性がさらに向上する。従って、異音やフレッチングをより効果的に抑制することができる。
また、第1の実施形態では、ギア収容部40の枠状部43は、固定部材設置部27から軸方向に連続する第1合わせ面部46cと、固定部材設置部27と軸方向にオーバーラップする位置に設けられ、第1合わせ面部46cから第1補強リブ49を超えて径方向に連続する第2合わせ面部47cと、第1合わせ面部46cとは反対側に向かって軸方向に連続する第3合わせ面部48cを有している。
第1~第3合わせ面部46c,47c,48cは、ギア収容部40の合わせ面の中でも内燃機関から生じる振動や、バランサシャフト1,2が発生させる起振力の影響を特に受け易く、異音やフレッチングが発生し易い箇所である。そこで、図2に示すように、第2合わせ面部47cが第1補強リブ49を超えて径方向に連続するようにすると、第1補強リブ49が第1、第3合わせ面部46c,48cの間に配置される。従って、第2合わせ面部47cが第1補強リブ49によって堅固に保持された状態で、第1合わせ面部46cに生じる異音やフレッチングと、第3合わせ面部48cに生じる異音やフレッチングとの双方を同時に抑制することができる。なお、当然のことながら、第1補強リブ49に最も近くに位置する第2合わせ面部47cについても、異音やフレッチングを抑制することができる。
また、第1の実施形態では、第2合わせ面部47cが第1補強リブ49を超えて径方向に連続する構成を開示したが、第2合わせ面部47cは、必ずしもこの構成に限定されるわけではない。第2合わせ面部47cは、少なくとも第1補強リブ49の位置まで連続していれば良い。第2合わせ面部47cが第1補強リブ49の位置まで連続する場合には、第1補強リブ49と第3合わせ面部48cとが従動側バランサシャフト2の軸方向にオーバーラップすることになる。これにより、第1補強リブ49に近い第3合わせ面部48cに生じる異音やフレッチングをより効果的に抑制することができる。
また、第1の実施形態では、第1補強リブ49は、固定部材設置部27および第2ギア収容部40cと一体に形成された接続部42に接続されている。
これにより、第2ギア収容部40cの剛性がさらに高くなり、第2ギア収容部40cの合わせ面と第1ハウジング8の合わせ面との密着性が向上する。従って、異音やフレッチングをさらに抑制することができる。
さらに、第1の実施形態では、膨出部である張り出し部32が、ボルト10と直交するように従動側バランサシャフト2の回転軸線に対する径方向に膨出しており、潤滑油が溜まる潤滑油溜まり部29を有している。また、第2補強リブ50は、固定部材設置部25と張り出し部32とを接続している。
潤滑油溜まり部29を有する張り出し部32は、潤滑油溜まり部29からの潤滑油の漏れを抑制するため、第1ハウジング8の合わせ面との間で高いシール性が要求される。そこで、このような張り出し部32と固定部材設置部25とを第2補強リブ50で接続することで、張り出し部32の内側面32aと第1ハウジング8の合わせ面との密着性を向上させている。これにより、内側面32aと第1ハウジング8の合わせ面のシール性が高められ、張り出し部32の内側面32aと第1ハウジング8の合わせ面の間の隙間からの潤滑油の漏れを抑制することができる。
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態の第1補強リブ49等の断面図である。図7では、第2ギア収容部40cおよび固定部材設置部27と、第1補強リブ49との境界部を2つの破線で示している。
第2の実施形態では、第1補強リブ49の一部に肉盗み部53が設けられている。肉盗み部53は、第1補強リブ49、接続部42、第2ギア収容部40cおよび固定部材設置部27に隣接するように設けられている。これにより、固定部材設置部27の内面27cと直交する方向に沿った本実施形態の第1補強リブ49の幅WAは、固定部材設置部27の内面27cと直交する方向に沿った第1の実施形態の第1補強リブ49の幅WBよりも狭くなっている。
なお、本実施形態では、肉盗み部53が第1補強リブ49、接続部42、第2ギア収容部40cおよび固定部材設置部27に隣接する構成を開示したが、第1補強リブ49の中央部に肉盗み部53が設けられて、この肉盗み部53が第1補強リブ49によって囲まれるように、第1補強リブ49を構成しても良い。
図8は、第2の実施形態の第2補強リブ50等の断面図である。
第2の実施形態では、第2補強リブ50が、固定部材設置部25の外縁部25cと張り出し部32の縁部32b付近とを結ぶ傾斜した棒状のリブとして形成されている。換言すれば、第2補強リブ50と、固定部材設置部25および張り出し部32との間に、駆動側バランサシャフト1の軸方向に見たときに概ね三角形状となる肉盗み部54が形成されている。
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態では、固定部材設置部27は、窪み部41において接続部42を介してギア収容部第2ギア収容部40cに接続されており、第1補強リブ49は、接続部42との間に肉盗み部53を有している。
このため、第2の実施形態の第1補強リブ49は、第2の実施形態の第1補強リブ49と比べて小型に形成されている。これにより、バランサ装置を軽量化し、バランサ装置の製造コストを削減することができる。
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態の第1ハウジング55の斜視図である。図10は、第3の実施形態の第1ハウジング55の平面図である。図10では、第1ハウジング55の合わせ面を格子状のハッチングで示してあり、第1、第2の実施形態と同様の構成を有する部位、例えば、開口端面20に関する部位には同様の符号を付してある。図11は、第3の実施形態の第1ハウジング55の部分平面図である。
第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と異なり、オイルポンプ付きのバランサ装置のハウジングの一部を構成し、内燃機関のクランクケース側に配置される第1ハウジング55が示されている。
図10に示すように、横梁デッキ部19を挟んでウエイト収容空間11とは反対側に、図示せぬ第2ハウジングとの間で、図示せぬ駆動側バランサシャフトおよび従動側バランサシャフトに設けられた図示せぬ第1ギアおよび第2ギアを収容するギア収容部56が形成されている。
また、横梁デッキ部18を挟んでウエイト収容空間11とは反対側には、固定部材設置部25,26および第1シャフト用第1軸受部21と隣接する位置に、図示せぬオイルポンプを駆動するためのオイルポンプ駆動ギアおよびオイルポンプ従動ギアが収容されるポンプ用ギア収容部57が形成されている。
ポンプ用ギア収容部57を挟んで固定部材設置部25と反対側には、図示せぬオイルポンプのポンプハウジングを取り付けるための取付面58aを有した取付部58が形成されている。図9に示すように、取付部58は、剛性が高い固定部材設置部25よりも大型に形成されており、固定部材設置部25の外面25bよりも外側に突出している。従って、取付部58は、高い剛性を有する部位となっている。
また、図10に示すように、固定部材設置部25から、張り出し部59がポンプ用ギア収容部57の側方側に傾斜している。張り出し部59は、図11に示す概ね平板状の接続部60と一体に形成されている。接続部60は、取付部58、固定部材設置部25および後述する第3、第4補強リブ63,64に接続されている。
張り出し部59および固定部材設置部25には、図示せぬ第2ハウジングに形成された通路と連通する連通凹部61と、該連通凹部61と貫通孔25aとを連通する潤滑油溝部62とが形成されている。連通凹部61を介して潤滑油溝部62内に供給された潤滑油は、貫通孔25a、小通路部30、貫通孔26aを介して小通路部31へ流れるとともに、貫通孔25a、溝部36、貫通孔33a、小通路部38、貫通孔34aを介して小通路部39へ流れる。
ここで、張り出し部59には、潤滑油溝部62からの潤滑油の漏れを抑制するために、第2ハウジングの合わせ面との間で高いシール性が要求される。そこで、図9および図11に示すように、接続部60には、第1ハウジング55の外側から張り出し部59を補強する補強部である第3補強リブ63および第4補強リブ64が設けられている。これにより、板状の張り出し部59の内面59aと第2ハウジング9の合わせ面との密着性が向上されている。
第3補強リブ63は、三角形の平板状をなしており、固定部材設置部25の側面25dと張り出し部59の外面59bとを接続している。第3補強リブ63は、固定部材設置部25の側面25dから取付部58の側方に向かって突出量が漸次縮小するように傾斜している。
また、第4補強リブ64は、三角形の平板状をなしており、取付部58の側面58bと接続部60の外面60aとを接続している。第4補強リブ64は、取付部58の側面58bから第3補強リブ63の先端部63a付近まで延びている。
図12は、図11の線C-Cに沿って切断した第3補強リブ63等の断面図である。
図12に示すように、第3補強リブ63は、連通凹部61の裏側において、固定部材設置部25の外面25b付近から連通凹部61付近にかけて突出量が漸次縮小するように傾斜する傾斜部63bを有している。
図13は、図11の線D-Dに沿って切断した第4補強リブ64等の断面図である。
図13に示すように、第4補強リブ64は、取付部58の側面58bから連通凹部61付近にかけて突出量が漸次縮小するように傾斜する傾斜部64aを有している。
このように構成された第1ハウジング55を有する第3の実施形態のバランサ装置についても、本発明を適用することができる。
以上説明した実施形態に基づくバランサ装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
バランサ装置は、その一態様として、内燃機関に取り付けられる第1ハウジングと、前記第1ハウジングに設けられ、端部から順に、ギア固定部と、第1軸部と、バランサウエイトと、第2軸部とを有するバランサシャフトと、前記ギア固定部に固定されたギアと、前記第1ハウジングとの間で前記バランサシャフトを回転可能に支持する第2ハウジングであって、前記第1ハウジングとの間で前記第1軸部を回転可能に支持する第1軸受部と、前記第1ハウジングとの間で前記第2軸部を回転可能に支持する第2軸受部と、前記第1軸受部に隣接し、固定部材を介して前記第1ハウジングに固定された固定部材設置部と、前記固定部材設置部から膨出する膨出部と、を有する第2ハウジングと、前記固定部材設置部と前記膨出部とを接続する補強部と、を備える。
前記バランサ装置の好ましい態様において、前記膨出部は、前記バランサシャフトの回転軸線に沿った方向である軸方向に膨出し、前記ギアを収容するギア収容部を有し、前記ギア収容部は、前記バランサシャフトの回転軸線に対する径方向に突出し、前記ギア収容部と前記固定部材設置部との間には前記第1ハウジング側へ窪む窪み部が形成されており、前記窪み部に、前記ギア収容部と前記固定部材設置部とを接続する前記補強部が設けられている。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記固定部材設置部は、前記固定部材が挿入される貫通孔を有しており、前記補強部は、前記貫通孔と前記軸方向にオーバーラップする。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記補強部は、前記軸方向に沿って連続する。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記ギア収容部は、前記第1ハウジングとの合わせ面となる合わせ面を有し、前記合わせ面は、前記固定部材設置部から前記軸方向に連続する第1合わせ面部と、前記固定部材設置部と前記軸方向にオーバーラップする位置に設けられ、前記第1合わせ面部から少なくとも前記補強部の位置まで径方向に連続する第2合わせ面部と、前記第1合わせ面部とは反対側に向かって前記軸方向に沿って連続する第3合わせ面部とを有する。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記補強部は、前記固定部材設置部および前記ギア収容部と一体に形成された接続部に接続されている。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記固定部材設置部は、前記窪み部において接続部を介して前記ギア収容部に接続されており、前記補強部の一部に肉盗み部が設けられている。
別の好ましい態様では、前記バランサ装置の態様のいずれかにおいて、前記膨出部は、前記固定部材と直交するように前記バランサシャフトの回転軸線に対する径方向に膨出し、潤滑油が通過する潤滑油通路が内部に形成された張り出し部を有し、前記補強部は、前記固定部材設置部と前記張り出し部とを接続する。
また、以上説明した実施形態に基づく他のバランサ装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
バランサ装置は、その一態様として、内燃機関に取り付けられる第1ハウジングと、前記第1ハウジングに設けられ、端部から順に、ギア固定部と、第1軸部と、バランサウエイトと、第2軸部とを有するバランサシャフトと、前記ギア固定部に固定されたギアと、前記第1ハウジングとの間で前記バランサシャフトを回転可能に支持する第2ハウジングであって、前記バランサシャフトの回転軸線に対する径方向に突出し、前記ギアを収容するギア収容部と、前記第1ハウジングとの間で前記第1軸部を回転可能に支持する第1軸受部と、前記第1ハウジングとの間で前記第2軸部を回転可能に支持する第2軸受部と、前記第1軸受部に隣接し、固定部材を介して前記第1ハウジングに固定された固定部材設置部と、を有する第2ハウジングと、前記固定部材設置部と前記ギア収容部とを接続する補強部と、を備える。
さらに、以上説明した実施形態に基づく別のバランサ装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
バランサ装置は、その一態様として、内燃機関に取り付けられる第1ハウジングと、前記第1ハウジングに設けられ、端部から順に、第1ギア固定部と、第1シャフト第1軸部と、第1バランサウエイトと、第1シャフト第2軸部とを有する第1バランサシャフトと、前記第1ギア固定部に固定された第1ギアと、前記第1ハウジングに前記第1バランサシャフトと並行して設けられ、端部から順に、第2ギア固定部と、第2シャフト第1軸部と、第2バランサウエイトと、第2シャフト第2軸部とを有する第2バランサシャフトと、前記第2ギア固定部に固定され、前記第1ギアと噛み合う第2ギアと、前記第1ハウジングとの間で前記第1バランサシャフトおよび前記第2バランサシャフトを回転可能に支持する第2ハウジングであって、前記第1ギアおよび前記第2ギアを収容するギア収容部と、前記第1ハウジングとの間で前記第1シャフト第1軸部を回転可能に支持する第1シャフト用第1軸受部と、前記第1ハウジングとの間で前記第1シャフト第2軸部を回転可能に支持する第1シャフト用第2軸受部と、前記第1ハウジングとの間で前記第2シャフト第1軸部を回転可能に支持する第2シャフト用第1軸受部と、前記第1ハウジングとの間で前記第2シャフト第2軸部を回転可能に支持する第2シャフト用第2軸受部と、前記第2シャフト用第1軸受部に隣接し、固定部材を介して前記第1ハウジングに固定された固定部材設置部と、を有する第2ハウジングと、前記第2ハウジングの外側において前記ギア収容部と前記固定部材設置部との間の窪み部に設けられ、前記固定部材設置部と前記ギア収容部とを接続する補強部と、を備える。