JP7085262B2 - トマチジンの製造法 - Google Patents
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Description
非特許文献5には、トマチンからトマチジンを調製する方法として、10%硫酸による加水分解法が記載されている。
更に、非特許文献6には、青トマトを含むトマト植物体中のトマチン含量の測定法が開示されている。
また、前記トマチジンを沈澱させるアルカリ溶液としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選ばれた溶液を用いることができる。
(1)酸溶液によるトマチンの抽出
トマトの茎を含む葉と脇芽を含むトマト植物体を粉砕して試料とし、重量当たり3 倍量の水を加えて撹拌混合した。その後、4N塩酸を用いて、各試料のpH2~6へ調整し、60℃において30分間撹拌混合してトマチンを抽出した。pHと抽出量(抽出率)の結果を(表2)に示す。
トマト植物体から酸溶液で抽出されたトマチンは不純物を大量に含んでいる。そこでこれらの不純物を分離するために試料溶液のpHをアルカリ性にしてトマチンを沈澱させ、沈殿物を回収することによってトマチンの純度を向上させることができる。その至適pHを検討するために、酸溶液抽出により得られたトマチンを凍結乾燥し、5%水酸化アンモニウム溶液を用いてそれぞれのpHに調整し、トマチン沈殿物の回収率を比較した。比較結果を以下の(表3)に示す。
上記のpH8におけるアルカリ沈澱法で回収されたトマチンを凍結乾燥して試験に使用した。
凍結乾燥粉末をそれぞれの濃度の塩酸溶液に溶解し、60~80℃で60分間混合してトマチンからトマチジンへの変換率とトマチジンの回収率を比較した。結果を以下の(表4)に示す。
トマチンもトマチジンもエタノール溶液に溶解することが知られているが、トマチジンの中に共存する不純物をエタノールで沈殿除去するための条件を検討した。
上記の塩酸濃度1Nでトマチンからトマチジンへ変換した試料を凍結乾燥し、その中に含まれる不純物を沈澱除去するためのアルコール濃度の条件を試験した。各濃度のエタノール溶液にトマチジン試料を溶解させ、沈澱物を遠心分離で除去したあとの上清を回収して蒸発乾固し、トマチジンの回収率と純度を測定した。その結果、トマチジンはエタノール濃度70%で処理することによって共存する不純物の大半が沈澱して除去されることが判明した。結果を(表5)に示す。
乾燥トマト葉100gに水900mLを加え、酢酸溶液でpH4.0に調整し、80℃、2時間加熱抽出した液からトマト葉残渣と不溶物をろ過除去したものを使用した。
該酸抽出液へキレート剤としてエデト酸ナトリウムを20g添加し、次に1N苛性ソーダでpHを9.0に調整した後、5,000rpm、30分間遠心分離してトマチンを回収した。回収トマチンを再度、水に溶解した液のミネラル成分をICP発光分光分析計(アジレントテクノロジーズ、ICP-OES700型)で定量した。
結果は表6に示すように、トマト葉抽出液中のミネラル成分はほぼ完全に除去された。
上記表6のキレート剤非添加アルカリ沈殿溶液のpHを1N塩酸でpH3.0に調整し、その100mL(電気伝導度25mS/cm)を、H+型にした強酸性陽イオン交換体(ダイアイオンSK1B)100mLを充填したカラムへ通液し、カラム通過液を回収して、該溶液中のミネラル成分をICP発光分光分析計(同上)で定量した。
結果は表7に示すように、トマチン溶液中のミネラル成分はほぼ完全に除去された。
次に、具体的な実験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
乾燥させた茎を含むトマトの葉 1.2kgを粉砕し、16L の水を加えて混合した。ついで4N塩酸を加えてpHを3.5に調整した後、60℃で60分間撹拌してトマチンを抽出した。
抽出液を50メッシュのろ過器でろ過し、該ろ過液を4N水酸化ナトリウム溶液で pH9.0に調整してトマチンを沈澱させ、遠心分離機で沈殿物を回収し、上清を廃棄した。次いで沈殿物を200mLの水に溶解し、塩酸濃度が0.5Nになるように塩酸を添加して、60℃で120分間撹拌してトマチンをトマチジンへ変換させた後、4Nの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH9.0に調整し、トマチジンを沈澱させて、遠心分離機で沈殿物を回収した。
該沈殿物を70%エタノール溶液に溶解し、共存する不純物を遠心分離機で除去した後、エバポレーターでエタノールを蒸発させて濃縮し、最終的に凍結乾燥してトマチジン粉末約6gを得た。この時のトマチジンの含量は80%であった。
トマトの脇芽500gを裁断し、4.5Lの水を加えて混合した。ついで4N硫酸を加えてpHを4に調整し、60℃において120分間攪拌してトマチンを抽出した。抽出液を50メッシュのろ過器でろ過し、該ろ過液を4N水酸化カリウム溶液でpH8.0に調整してトマチンを沈殿させ、遠心分離機で沈殿物を回収し、上清を廃棄した。ついで沈殿物を100mLの水に溶解し、硫酸濃度が1Nになるように添加して、60℃、120分間攪拌してトマチンをトマチジンへ変換し、ついで4N水酸化カリウム溶液pHを8.0に調整してトマチジンを沈殿させ、遠心分離機で沈殿物を回収し、上清を廃棄した。
該沈殿物を水50mLで回収し、凍結乾燥してトマチジン粉末約3gを得た。この時のトマチジン含量は35%であった。
また、50メッシュのろ過器でろ過した酸抽出液にクエン酸三ナトリウム50gを添加して、以下同様のpHに調整してトマチンを沈殿させて調製した時のトマチジン含量は66%であった。
また、50メッシュのろ過器でろ過した酸抽出液の電気伝導度を30mS/cmに調整して強酸性陽イオン交換体カラム(レバチットモノプラスS100、ランクセス社製)を通過させて液を、以下同様にトマチンを沈殿させて調製した時のトマチジンの含量は45%であった。
トマトの脇芽500gを裁断し、1.5Lの水を加えて混合した。ついで4N硫酸を加えて pHを4に調整し、室温において120分間攪拌してトマチンを抽出した。
抽出液を50メッシュのろ過器でろ過し、該ろ過液を4N水酸化カリウム溶液で pH8.0に調整してトマチンを沈殿させ、遠心分離機で沈殿物を回収し、上清を廃棄した。ついで沈殿物を100mLの水に溶解し、硫酸濃度が1Nになるように添加して、60℃で180分間攪拌してトマチンをトマチジンへ変換し、ついで4N水酸化カリウム溶液でpHを8.0に調整してトマチジンを沈殿させ、遠心分離機で沈殿物を回収し、上清を廃棄した。
該沈殿物を水50mLで回収し、凍結乾燥してトマチジン粉末約3gを得た。この時のトマチジン含量は35%であった。
Claims (5)
- トマトの成熟果実を除く葉、茎、脇芽、花奔、未成熟果実、および根を裁断したもの、または乾燥後粉砕したものの重量当たり3~15倍量の水を加え、さらに酸溶液を加えてpH2~5に調整した後、室温から80℃の温度下で30~120分間撹拌混合してグリコアルカロイドのデヒドロトマチンを含むトマチンを抽出し、該抽出液にアルカリ溶液を添加して室温においてpH8以上且つpH10未満に調整することによってトマチンを沈殿させ、該トマチン沈殿物を回収した後、0.5~2Nの酸溶液に溶解した後、60~80℃で1~4時間加熱してトマチンをトマチジンへ変換させ、ふたたびアルカリ溶液を用いてpH8以上且つpH10未満に調整してトマチジンを沈澱させ、該沈殿物を更に70%濃度以上のエタノール溶液に溶解して混在する不純物を沈殿させて除去した後に、エタノールを蒸発させることを特徴とするトマチジンの製造法。
- トマトの成熟果実を除く葉、茎、脇芽、花奔、未成熟果実、および根を裁断したもの、または乾燥後粉砕したものの重量当たり3~15倍量の水を加え、さらに酸溶液を加えてpH2~5に調整した後、室温から80℃の温度下で30~120分間撹拌混合してグリコアルカロイドのトマチンを抽出し、必要ならば該抽出溶液に上記トマト原料1kg当り0.1~0.4kgのキレート剤を添加して混在するミネラルを可溶化させるか、または該抽出溶液の電気伝導度を20~40mS/cm2に調整して強酸性陽イオン交換樹脂と接触させてミネラルを吸着除去した後、該抽出液にアルカリ溶液を添加して室温においてpH8以上且つpH10未満に調整することによってトマチンを沈殿させ、該トマチン沈殿物を回収した後、0.5~2Nの酸溶液に溶解した後、60~80℃で1~4時間加熱してトマチンをトマチジンへ変換させ、ふたたびアルカリ溶液を用いてpH8以上且つpH10未満に調整してトマチジンを沈澱させ、該沈殿物を回収することを特徴とするトマチジンの製造法。
- 上記のグルコアルカロイドのトマチン抽出用の酸溶液またはトマチン加水分解用の酸溶液が酢酸、塩酸または硫酸から選ばれた酸溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載のトマチジンの製造法。
- 上記のアルカリ溶液が水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選ばれた溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載のトマチジンの製造法。
- 上記のキレート剤が、エデト酸ナトリウムまたはクエン酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸などの有機カルボン酸群から選ばれたものであることを特徴とする請求項2に記載のトマチジンの製造法。
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