JP7085039B1 - 予測モデル作成装置、排ガス濃度制御システム、予測モデル作成方法、及び排ガス濃度制御方法 - Google Patents

予測モデル作成装置、排ガス濃度制御システム、予測モデル作成方法、及び排ガス濃度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度の予測精度を向上させる排ガス濃度予測モデルを速やかに作成することができる。【解決手段】炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成装置は、炉の燃焼領域が撮像された画像を取得する画像取得部と、画像を色画像データに変換し、該色画像データから特徴量を抽出する抽出部と、画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の排ガスに含まれる気体成分の濃度を燃焼領域よりも後流において取得する排ガス濃度取得部と、抽出部によって抽出された特徴量と、排ガス濃度取得部によって取得された気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、排ガス濃度予測モデルを作成するモデル作成部と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成装置と予測モデル作成方法、および排ガス濃度予測モデルを用いて、炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を制御する排ガス濃度制御システムと排ガス濃度制御方法に関する。
例えば、特許文献1には、炉内を撮像した画像から得られる画像情報と、画像を撮像した時から所定の時間経過後の状態量(例えば、CO濃度)とが対応付けられた学習データの機械学習により作成される推定モデル(排ガス濃度予測モデル)を使って、炉内を撮像した画像(特徴量)からCO濃度(炉のプロセス値)を推定する技術が開示されている。
特開2019-074240号公報
ところで、特徴量は排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させるような情報であることが望ましいが、プラントの燃焼領域の画像データから特徴量を抽出する具体的な手法については開示されていない。
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる予測モデル作成装置、及び予測モデル作成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示に係る予測モデル作成装置は、炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成装置であって、前記炉の燃焼領域が撮像された画像を取得する画像取得部と、前記画像を色画像データに変換し、該色画像データから特徴量を抽出する抽出部と、前記画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得する排ガス濃度取得部と、前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するモデル作成部と、を備える。
上記目的を達成するため、本開示に係る予測モデル作成方法は、炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成方法であって、前記炉の燃焼領域が撮像された画像を取得するステップと、前記画像を色画像データに変換し、該色画像データから特徴量を抽出するステップと、前記画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得するステップと、前記特徴量と、前記画像が撮像された時間より設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するステップと、を備える。
本開示の予測モデル作成装置及び予測モデル作成方法によれば、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。
第1実施形態に係る予測モデル作成装置が設置された炉の構成を概略的に示す図である。 第1実施形態に係る予測モデル作成装置の概略的な機能ブロック図である。 色画像データを示す図である。 第2実施形態に係る予測モデル作成装置が設置された炉の構成を概略的に示す図である。 第2実施形態に係る予測モデル作成装置の概略的な機能ブロック図である。 第3実施形態に係る排ガス濃度制御システムの構成を概略的に示す図である。 第3実施形態に係る排ガス濃度制御システムの作用・効果を説明するための図である。 第3実施形態の変形例に係る排ガス濃度制御システムの構成を概略的に示す図である。 一実施形態に係る予測モデル作成方法を示すフローチャートである。 一実施形態に係る排ガス濃度制御方法を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態による予測モデル作成装置、排ガス濃度制御システム、予測モデル作成方法、及び排ガス濃度制御方法について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
<第1実施形態>
(炉の構成)
図1は、第1実施形態に係る予測モデル作成装置1が設置された炉100の構成を概略的に示す図である。図1に例示する形態では、炉100は、都市ごみ、産業廃棄物、又はバイオマスなどを固体燃料Fsとするストーカ式のごみ焼却炉である。尚、炉100は、ストーカ式のごみ焼却炉に限定されない。以下において、炉100内を固体燃料Fsが移動する方向を移動方向W1とする。
図1に示すように、炉100は、ホッパー102と、フィーダ104と、燃焼室106と、空気供給装置108と、煙道110と、を含む。
ホッパー102から投入された固体燃料Fsは、燃焼室106に向かって延びる通路103に堆積する。フィーダ104は通路103に配置されており、通路103の延びる方向(移動方向W1)に沿って往復運動可能に構成されている。フィーダ104は、通路103に堆積した固体燃料Fsを燃焼室106に押し出すようになっている。
燃焼室106は、燃焼室106の床部に相当し、燃焼室106に押し出された固体燃料Fsが落下する火格子112(ストーカ)を含む。火格子112は、火格子112上の固体燃料Fsを燃焼室106の受入口114から離れていく方向(移動方向W1の上流側から下流側)に移動させるように構成されている。このような燃焼室106は、移動方向W1の上流側から下流側に向かって順番に並ぶ乾燥領域128、燃焼領域130、及び後燃焼領域132、を含む。乾燥領域128では、燃焼室106内の熱によって固体燃料Fsを乾燥させる。燃焼領域130では、火炎Frを上げて固体燃料Fsを燃焼させる。後燃焼領域132では、燃焼領域130で燃え切らなかった燃え切りを完全燃焼させる。燃焼室106で乾燥、燃焼、後燃焼された固体燃料Fsは灰Faとなり、炉100外に排出される。
燃焼領域130は、可視カメラのような撮像装置116によって撮像されている。図1に例示する形態では、燃焼領域130は、燃焼室106の炉尻118に設けられる撮像装置116によって撮像されている。尚、撮像装置116は、燃焼領域130を撮像可能であるならば可視カメラに限定されない。例えば、撮像装置116は、赤外カメラであってもよい。また、撮像装置116が設けられる位置も、燃焼室106の炉尻118に限定されない。
空気供給装置108は、固体燃料Fsの燃焼に用いられる1次空気、及び、固体燃料Fsの燃焼によって発生する排ガスEgをさらに燃焼するために用いられる2次空気を燃焼室106に供給するように構成される。図1に例示する形態では、空気供給装置108は、空気供給管120と、空気供給管120に設けられたブロワ122と、を含む。空気供給管120を流通する空気は、一部が1次空気として第1流量調節弁124を介して火格子112から燃焼室106の下部に供給されるとともに、残りの一部が2次空気として第2流量調節弁126を介して燃焼室106の側壁から燃焼室106の上部に供給されるようになっている。つまり、空気供給装置108は、燃焼室106の下部に1次空気を供給する1次空気供給装置として機能するとともに、燃焼室106の上部に2次空気を供給する2次空気供給装置として機能する。尚、図1に例示する形態では、燃焼室106の乾燥領域128、燃焼領域130、及び後燃焼領域132のそれぞれに1次空気が供給されるように構成されている。
煙道110は、燃焼室106の上部と連通しており、固体燃料Fsの燃焼によって発生する排ガスEgが流通する。煙道110の出口部111には、ガス分析計140が設けられている。ガス分析計140は、炉100から排出される排ガスEgに含まれる酸素や一酸化炭素のような気体成分の濃度を計測する。
尚、図1に例示する形態では、炉100は、焼却システム150の一部として構成されている。図1に示すように、焼却システム150は、炉100と、減温塔152と、集じん装置154と、煙突156と、を備える。減温塔152は、炉100の煙道110の出口部111と接続されている。減温塔152は、炉100(炉100の煙道110)から排出された排ガスEgの温度を下げる。集じん装置154は、減温塔152と接続されている。集じん装置154は、減温塔152から排出された排ガスEg中に含まれる飛灰を捕集する。煙突156は、集じん装置154と接続されている。煙突156は、集じん装置154から排出された排ガスEgを、大気中のような焼却システム150の外部に排出する。
(予測モデル作成装置の構成)
上述した炉100に設置される予測モデル作成装置1は、撮像装置116及びガス分析計140のそれぞれからデータ(画像、及び気体成分の濃度)を取得し、この取得したデータに基づいて、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する。尚、予測モデル作成装置1は、撮像装置116及びガス分析計140のそれぞれと電気的に接続され、リアルタイムでデータを取得するように構成されてもよい。あるいは、撮像装置116及びガス分析計140のそれぞれから予め取得したデータをデータベースに記憶させ、予測モデル作成装置1はデータベースからデータを取得するように構成されてもよい。
予測モデル作成装置1は、電子制御装置などのコンピュータであって、図示しないCPUやGPUといったプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、及びI/Oインターフェイスなどを備える。予測モデル作成装置1は、メモリにロードされたプログラムの命令に従ってプロセッサが動作(演算等)することで、予測モデル作成装置1が備える各機能部を実現する。図2を参照して、一実施形態に係る予測モデル作成装置1の各機能部について説明する。
図2は、第1実施形態に係る予測モデル作成装置1の概略的な機能ブロック図である。図2に示すように、予測モデル作成装置1は、画像取得部2と、抽出部4と、排ガス濃度取得部6と、モデル作成部8と、を備える。
画像取得部2は、炉100の燃焼領域130が撮像された画像を撮像装置116から取得する。
抽出部4は、画像取得部2が取得した画像を色画像データ160に変換する。具体的には、抽出部4は、画像取得部2が取得した画像をクラスタリング処理により色情報に応じて複数の色領域Aに区分された色画像データ160に変換する。そして、抽出部4は、この色画像データ160から特徴量を抽出する。
「画像をクラスタリング処理により色情報に応じて複数の色領域Aに区分する」の一例について説明する。色情報はRGBの各色成分であり、複数の色領域Aのそれぞれは、RGBの各色成分が互いに重複しないようにクラスタリング処理によって設定されている。抽出部4は、画像取得部2が取得した画像を画素ごとにRGBの各色成分に分解し、この画素が含まれる色領域Aを決定する。尚、色情報はRGBの各色成分に限定されず、輝度や彩度であってもよい。
クラスタリング処理のアルゴリズムは、特に限定されず、公知のクラスタリングアルゴリズムを用いることが可能である。例えば、k-means等のクラスタ数を指定できるアルゴリズムを用いてクラスタリング処理を行ってもよいし、flowsom等の自動的にクラスタ数を決定するようなアルゴリズムを用いてクラスタリング処理を行ってもよい。
図3は、色画像データ160を示す図である。図3に例示する形態では、色画像データ160は、クラスタリング処理によって7つの色領域Aに区分されており、輝度が高い順に第1色領域A1(A)、第2色領域A2(A)、第3色領域A3(A)、第4色領域A4(A)、第5色領域A5(A)、第6色領域A6(A)、第7色領域A7(A)を含んでいる。第1色領域A1~第7色領域A7のそれぞれは、白黒(グレースケール)の濃淡の値に変換されており、第1色領域A1から第7色領域A7に進むにつれて濃くなっている。
次に「色画像データから特徴量を抽出する」の一例について説明する。抽出部4は、第1色領域A1に区分された画素数の合計を算出し、この合計画素数を特徴量として抽出する。そして、抽出部4は、所定の時間ごと(例えば1秒ごと)に第1色領域A1の合計画素数を抽出する。抽出部4は、第2色領域A2から第7色領域A7のそれぞれに対しても所定の時間ごとの合計画素数を算出し、それぞれの合計画素数を特徴量として抽出する。
尚、第1実施形態では、特徴量は、複数の色領域Aのうち全ての色領域(第1色領域A1から第7色領域A7)の合計画素数を含むが、本開示はこの形態に限定されない。特徴量は、複数の色領域Aのうちの少なくとも1つの色領域Aの合計画素数を含めばよい。幾つかの実施形態では、特徴量は、複数の色領域Aのうち気体成分の濃度と高い相関を有する色領域Aの合計画素数を含む。ここで高い相関の色領域Aとは、予め定められた相関より高い相関を有する色領域Aであってもよいし、複数の色領域Aのうち相関の高い順に選択された色領域Aであってもよい。
排ガス濃度取得部6は、画像が撮像された時間より予め設定された設定時間tが経過した後の排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を燃焼領域130よりも後流において取得する。言い換えると、排ガス濃度取得部6は、合計画素数を抽出した画像が撮像された時間より設定時間tが経過したときにガス分析計140によって計測された気体成分の濃度を取得する。設定時間tは、例えば、煙道110の長さや燃焼領域130からガス分析計140までの距離に基づいて算出される。
モデル作成部8は、抽出部4によって抽出された合計画素数(特徴量)と、排ガス濃度取得部6によって取得された気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、排ガス濃度予測モデルを作成する。具体的には、モデル作成部8は、画像を撮像した時間が互いに異なる複数の学習データに対して回帰分析を実行し、合計画素数から気体成分の濃度を算出するための回帰式を作成する。
(予測モデル作成装置の作用・効果)
本発明者らの知見によれば、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度は、炉100の燃焼領域130が撮像された画像から得られる情報のうち、色情報に応じて複数の色領域Aに区分された色画像データ160から抽出される合計画素数と高い相関を持つ。
第1実施形態によれば、モデル作成部8によって作成される排ガス濃度予測モデルは、色画像データ160から抽出される合計画素数と、合計画素数を抽出した画像が撮像された時間より設定時間tが経過したときにガス分析計140によって計測された気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データの機械学習によって作成されている。このため、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。また、画像を色画像データ160に変換する際にはクラスタリング処理を適用するため、教師データを用意する必要がない。また、クラスタリング処理は、前処理や閾値の設定などのような人手による調整作業が不要である。よって、特徴量の抽出の自動化を容易化することができる。
ガス分析計140が設けられる位置は、排ガスEgが発生する発生地点よりも後流に位置することがある。このため、ガス分析計140によって計測される気体成分の濃度は、排ガスEgの発生地点から計測地点に到達するまでのタイムラグを含む。これに対して第1実施形態によれば、排ガス濃度取得部6は、画像が撮像された時間より設定時間tが経過したときにガス分析計140によって計測された気体成分の濃度を取得する。このため、タイムラグを考慮して学習データが作成されるので、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。
合計画素数は速やかに抽出できる情報の1つである。第1実施形態によれば、抽出部4は合計画素数を特徴量として抽出しているので、モデル作成部8は速やかに排ガス濃度予測モデルを作成することができる。
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る予測モデル作成装置1について説明する。第2実施形態は、プロセスデータ取得部10がさらに設けられている点で第1実施形態とは異なるが、それ以外の構成は第1実施形態で説明した構成と同じである。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
(炉の構成)
まず、第2実施形態に係る予測モデル作成装置1が設置される炉100の構成について説明する。図4は、第2実施形態に係る予測モデル作成装置1が設置された炉100の構成を概略的に示す図である。第2実施形態に係る炉100は、炉100のプロセスデータを計測するために圧力計142、温度センサ144、及び熱回収ボイラ146をさらに備える。
圧力計142は、燃焼室106の上部に設けられており、燃焼室106内(炉100内)の圧力を計測する。温度センサ144は、煙道110に設けられており、炉100内の温度として煙道110を流通する排ガスEgの温度を計測する。熱回収ボイラ146は、煙道110に設けられており、煙道110を流通する排ガスEgの熱エネルギから蒸気を発生させる。本実施形態では、この熱回収ボイラ146は、熱回収ボイラ146が発生させた蒸気量を計測可能に構成されている。尚、図4に例示する形態では、煙道110には、排ガスEgの流通方向の上流側から下流側に向かって温度センサ144、熱回収ボイラ146、ガス分析計140の順番に設けられているが、本開示はこの形態に限定されない。
(予測モデル作成装置の構成)
図5は、第2実施形態に係る予測モデル作成装置1の概略的な機能ブロック図である。図4及び図5に例示するように、予測モデル作成装置1は、撮像装置116、ガス分析計140、圧力計142、温度センサ144、及び熱回収ボイラ146のそれぞれからデータ(画像、炉100内の温度・圧力、蒸気量、及び気体成分の濃度)を取得し、この取得したデータに基づいて、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する。
図5に示すように、予測モデル作成装置1は、プロセスデータを取得するプロセスデータ取得部10をさらに備える。図5に例示する形態では、プロセスデータ取得部10は、圧力計142が計測した燃焼室106内の圧力(炉100内の圧力)、温度センサ144が計測した煙道110を流通する排ガスEgの温度(炉100内の温度)、及び熱回収ボイラ146が発生させた蒸気量を取得する。プロセスデータ取得部10は、画像が撮像された時間と同じ時間に計測されたプロセスデータを取得する。尚、第2実施形態では、プロセスデータは、炉100内の圧力、炉100内の温度、及び蒸気量を含んでいたが、本開示はこの実施形態に限定されない。プロセスデータは、炉100内の圧力、炉100内の温度、及び蒸気量のうち少なくとも1つを含めばよい。
モデル作成部8は、抽出部4によって抽出された合計画素数(特徴量)と、排ガス濃度取得部6によって取得された気体成分の濃度と、プロセスデータ取得部10によって取得されたプロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、排ガス濃度予測モデルを作成する。具体的には、モデル作成部8は、画像を撮像した時間が互いに異なる複数の学習データに対して線形回帰分析を実行し、プロセスデータと合計画素数から気体成分の濃度を算出するための回帰式を作成する。尚、線形回帰における基底関数は、多項式やガウス関数等、回帰分析による予測値の誤差が小さくなるようにいずれを選んでも良い。
(予測モデル作成装置の作用・効果)
炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度は、プロセスデータとも高い相関を持つ。第2実施形態によれば、排ガス濃度予測モデルはプロセスデータも考慮して作成されているので、排ガス濃度予測モデルの予測精度をさらに向上させることができる。
幾つかの実施形態では、排ガス濃度取得部6は、画像が撮像された時間の排ガスEgに含まれる気体成分の濃度である補正前濃度をさらに取得する。そして、モデル作成部8は、抽出部4によって抽出された合計画素数(特徴量)と、排ガス濃度取得部6によって取得された気体成分の濃度及び補正前濃度と、プロセスデータ取得部10によって取得されたプロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、排ガス濃度予測モデルを作成する。
本発明者らの知見によれば、補正前濃度も含められた学習データを機械学習することで、排ガス濃度予測モデルの誤差(RMSE)を小さくすることができる。このような構成によれば、排ガス濃度予測モデルは補正前濃度も考慮して作成されているので、排ガス濃度予測モデルの予測精度をさらに向上させることができる。
<第3実施形態>
本開示の第3実施形態に係る排ガス濃度制御システム50について説明する。排ガス濃度制御システム50は、上述した予測モデル作成装置1によって作成された排ガス濃度予測モデルを用いて、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を制御する。第3実施形態では、排ガス濃度制御システム50は、第1実施形態に係る予測モデル作成装置1によって作成された排ガス濃度予測モデルを用いて、酸素の濃度を制御する。別の実施形態では、排ガス濃度制御システム50は、第2実施形態に係る予測モデル作成装置1によって作成された排ガス濃度予測モデルを用いて、酸素の濃度を制御する。尚、排ガス濃度制御システム50が制御する気体成分の濃度は、酸素の濃度に限定されず、例えば、一酸化炭素の濃度や窒素酸化物(NOx)の濃度であってもよい。
(排ガス濃度制御システムの構成)
図6は、第3実施形態に係る排ガス濃度制御システム50の構成を概略的に示す図である。図6に示すように、排ガス濃度制御システム50は、撮像装置52と、調整装置54と、を備える。
撮像装置52は、炉100の燃焼領域130を撮像する。第2実施形態では、撮像装置52は、上述した撮像装置116と同じ装置であって、燃焼室106の炉尻118に設けられている。尚、別の実施形態では、撮像装置52は、炉100の燃焼領域130を撮像するように構成されるのであれば、撮像装置116とは異なる装置であってもよい。
調整装置54は、撮像装置52と電気的に接続されており、撮像装置52によって撮像された撮像画像をリアルタイムで取得する。調整装置54は、この撮像画像から上述した方法で合計画素数(特徴量)を抽出し、抽出された合計画素数を予測モデル作成装置1によって作成された排ガス濃度予測モデルに入力する。調整装置54は、排ガス濃度予測モデルへの合計画素数の入力によって出力される酸素の濃度(以下、予測値X1とする)に基づいて、炉100に供給する空気の量を調整する。
尚、図6に例示する形態では、調整装置54は、予測モデル作成装置1とは別体に設けられ、予測モデル作成装置1から排ガス濃度予測モデルを取得するようになっている。別の実施形態では、調整装置54は、予測モデル作成装置1として機能するように構成され、調整装置54自身によって作成された排ガス濃度予測モデルに撮像画像から抽出された合計画素数を入力する。
第3実施形態に係る調整装置54の動作の一例を説明する。図6に例示する形態では、調整装置54は、ブロワ122、第1流量調節弁124及び第2流量調節弁126のそれぞれと電気的に接続されており、ブロワ122、第1流量調節弁124及び第2流量調節弁126のそれぞれに電気的な信号を送信すること(以下、「指示すること」と記載)で、ブロワ122のファンの回転数、第1流量調節弁124の開度、第2流量調節弁126の開度を調整可能となっている。そして、調整装置54は、予測値X1が、調整装置54の基準値より小さくなった場合、ブロワ122にファンの回転数を大きくするように指示し、第1流量調節弁124に開度を大きくするように指示し、第2流量調節弁126に開度を大きくするように指示する。つまり、調整装置54は、予測値X1が調整装置54の基準値より小さくなると、炉100に供給する空気の量を増加する。調整装置54の基準値は、予め設定される値であって、炉100から排出される排ガスEgに含まれる酸素の濃度が下回ると炉100の燃焼状態が不安定となる値である。基準値は、例えば、2wet%以下となるように設定される。炉100の出口(煙道110の出口部111)における酸素濃度は、燃焼状態が安定であれば約1wet%の範囲内でばらつく。このため、燃焼状態が不安定でなければ、基準値が2wet%以下になることはほとんどない。よって、基準値を2wet%以下と設定することで、調整装置54は、不安定状態への過渡期のタイミング(つまりは、適切なタイミング)で炉100に供給する空気の量を増加し、安定状態へ戻すことができる。
幾つかの実施形態では、炉100に供給する空気の量は、予測値X1と予め設定されている目標値との差に応じて決められる。目標値は、上述した調整装置54の基準値より大きくなるように設定される。この目標値は、任意に設定可能な値であり、例えば、空気比が1.2になるように排ガスEgに含まれる酸素の濃度が3wet%といったように設定される。
尚、第3実施形態では、調整装置54は、ブロワ122のファンの回転数、第1流量調節弁124の開度、第2流量調節弁126の開度のそれぞれを調整していたが、本開示はこの実施形態に限定されない。調整装置54は、ブロワ122のファンの回転数、第1流量調節弁124の開度、第2流量調節弁126の開度のうちの少なくとも1つを調整してもよい。
調整装置54は、炉100に供給する空気の量を増加することによって予測値X1が基準値まで戻ると、ブロワ122にファンの回転数を小さくするように指示し、第1流量調節弁124に開度を小さくするように指示し、第2流量調節弁126に開度を小さくするように指示する。つまり、調整装置54は、予測値X1が基準値まで戻ると、炉100に供給する空気の量を減少する。幾つかの実施形態では、調整装置54は、予測値X1が基準値まで戻ると、調整装置54によって調整する前(大きくする前)のブロワ122のファンの回転数、第1流量調節弁124の開度、第2流量調節弁126の開度に調整する。
(排ガス濃度制御システムの作用・効果)
図7は、第3実施形態に係る排ガス濃度制御システム50の作用・効果を説明するための図である。図7には、縦軸を酸素濃度とし、横軸を時間とするグラフが示されている。実線は、排ガス濃度予測モデルから出力された酸素の濃度(予測値X1)である。一点鎖線は、ガス分析計140からリアルタイムで取得される酸素の濃度(以下、実測値X2とする)である。点線は、一点鎖線を設定時間tの分だけずらした酸素の濃度(以下、補正値X3とする)である。
上述したように、ガス分析計140によって計測される酸素の濃度は、排ガスEgの発生地点から計測地点に到達するまでのタイムラグを含む。このため、実測値X2に基づいて、炉100に供給する空気量の調整を実行することは適切でない場合がある。図7に示すように、実測値X2は、設定時間tの分だけ遅れており、補正値X3に基づいて炉100に供給する空気量の調整を実行することが適切である。
第3実施形態によれば、タイムラグを考慮して作成された排ガス濃度予測モデルから予測される酸素の濃度(予測値X1)に基づいて、炉100から排出される排ガスEgに含まれる酸素の濃度を制御する。このため、実測値X2に基づいて酸素の濃度を制御する場合と比較して、炉100から排出される排ガスEgに含まれる酸素の濃度を早い段階で制御することができる。また、第3実施形態によれば、炉100から排出される排ガスEgに含まれる酸素の濃度の制御を自動化することができる。
排ガスEgに含まれる酸素の濃度が低い場合には、排ガスEgに含まれる一酸化炭素の濃度が高くなっており、炉100の燃焼状態が不安定になっていることが多い。第3実施形態によれば、予測値X1(酸素の濃度)が基準値より小さくなった場合に、炉100に供給する空気の量を増加する。このため、炉100の燃焼状態を安定化させ、炉100から排出される排ガスEgに含まれる一酸化炭素の濃度を低減することができる。
一方で、炉100に供給する空気の量を増やすと、燃焼室106内で固体燃料Fsを燃焼する際に窒素酸化物の発生を促進する虞がある。第3実施形態によれば、炉100に供給する空気の量を増やすことによって予測値X1が基準値まで戻ると、炉100に供給する空気の量を減少する。このため、炉100から排出される排ガスEgに含まれる一酸化炭素の濃度を低減しつつ、該排ガスEgに含まれる窒素酸化物の濃度を低減することができる。
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態では、調整装置54は、炉100に供給する空気の量を調整していたが、これに代わり、又はこれとともに、炉100に供給する固体燃料Fsの量を調整してもよい。図8は、第3実施形態の変形例に係る排ガス濃度制御システム50の構成を概略的に示す図である。図8に示すように、調整装置54は、フィーダ104と電気的に接続されており、フィーダ104に電気的な信号を送信することで、フィーダ104の往復速度を調整可能となっている。
第3実施形態の変形例に係る調整装置54の動作の一例を説明する。調整装置54は、予測値X1が調整装置54の基準値より小さくなった場合、フィーダ104の往復速度を小さくするように指示する。つまり、調整装置54は、予測値X1が調整装置54の基準値より小さくなると、炉100に供給する固体燃料Fsの量を減少する。
このような構成によれば、予測値X1が基準値より小さくなった場合に、炉100に供給する固体燃料Fsの量を減少するので、炉100から排出される排ガスEgに含まれる一酸化炭素の濃度を低減することができる。
幾つかの実施形態では、調整装置54は、火格子112の速度を調整可能に構成されており、予測値X1が調整装置54の基準値より小さくなった場合、火格子112の速度を小さくする。このような構成によれば、予測値X1が基準値より小さくなった場合に、燃焼室106に供給されている固体燃料Fsの撹拌を抑制するので、炉100から排出される排ガスEgに含まれる一酸化炭素の濃度を低減することができる。
<予測モデル作成方法>
本開示に係る予測モデル作成方法は、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する方法である。図9は、一実施形態に係る予測モデル作成方法を示すフローチャートである。図9に示すように、予測モデル作成方法は、画像取得ステップS2と、特徴量抽出ステップS4と、濃度取得ステップS6と、モデル作成ステップS8と、を備える。
画像取得ステップS2は、炉100の燃焼領域130が撮像された画像を取得する。特徴量抽出ステップS4は、画像取得ステップS2で取得された画像をクラスタリング処理により色情報に応じて複数の色領域Aに区分された色画像データ160に変換し、該色画像データ160から特徴量を抽出する。濃度取得ステップS6は、画像が撮像された時間より予め設定された設定時間tが経過した後の排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を燃焼領域130よりも後流において取得する。モデル作成ステップS8は、特徴量抽出ステップS4で抽出された特徴量と、濃度取得ステップS6で取得された気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、排ガス濃度予測モデルを作成する。尚、濃度取得ステップS6は、モデル作成ステップS8より前に実行されればよく、図9に例示する形態に限定されない。
このような予測モデル作成方法によれば、排ガス濃度予測モデルは、炉100の燃焼領域130が撮像された画像をクラスタリング処理により色に応じて複数の色領域Aに区分された色画像データ160に変換し、該色画像データ160から抽出される特徴量と、画像が撮像された時間より設定時間が経過した後の排ガスEgに含まれる気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データの機械学習によって作成されている。このため、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。また、画像を色画像データ160に変換する際にはクラスタリング処理を適用するため、教師データを用意する必要がなく、速やかに排ガス濃度予測モデルを作成できる。
<排ガス濃度制御方法>
本開示に係る排ガス濃度制御方法は、上述した予測モデル作成方法によって作成された排ガス濃度予測モデルを用いて、炉100から排出される排ガスEgに含まれる気体成分の濃度を制御する方法である。図10は、一実施形態に係る排ガス濃度制御方法を示すフローチャートである。図10に示すように、排ガス濃度制御方法は、撮像ステップS52と、調整ステップS54と、を備える。
撮像ステップS52は、炉100の燃焼領域130を撮像する。調整ステップS54は、撮像ステップS52で撮像された撮像画像を排ガス濃度予測モデルに入力することで出力される気体成分の濃度に基づいて、炉100に供給する空気の量および炉に供給する固体燃料Fsの量のうちの少なくとも一方を調整する。
このような排ガス濃度制御方法によれば、排ガス濃度予測モデルから出力される(予測される)気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御するので、リアルタイムで取得される気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御する場合と比較して、気体成分の濃度を適切に制御することができる。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
[1]本開示に係る予測モデル作成装置(1)は、
炉(100)から排出される排ガス(Eg)に含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成装置であって、
前記炉の燃焼領域(130)が撮像された画像を取得する画像取得部(2)と、
前記画像を色画像データ(160)に変換し、該色画像データから特徴量を抽出する抽出部(4)と、
前記画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得する排ガス濃度取得部(6)と、
前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するモデル作成部(8)と、を備える。
本発明者らの知見によれば、排ガスに含まれる気体成分の濃度は、炉の燃焼領域が撮像された画像から得られる情報のうち、色画像データから抽出される特徴量(情報)と高い相関を持つ。上記[1]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルは、炉の燃焼領域が撮像された画像を色画像データに変換し、該色画像データから抽出される特徴量と、画像が撮像された時間より設定時間が経過した後の排ガスに含まれる気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データの機械学習によって作成されている。このため、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、
前記色画像データは、前記画像をクラスタリング処理により色情報に応じて複数の色領域(A)に区分されたことを含む。
上記[2]に記載の構成によれば、画像を色画像データに変換する際にはクラスタリング処理を適用するため、教師データを用意する必要がない。また、クラスタリング処理は、前処理や閾値の設定などのような人手による調整作業が不要である。よって、特徴量の抽出の自動化を容易化することができる。
[3]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]に記載の構成において、
前記特徴量は、前記複数の色領域のうちの少なくとも1つの前記色領域の面積を含む。
色領域の面積は速やかに取得できる情報の1つである。上記[3]に記載の構成によれば、特徴量は色領域の面積を含むので、速やかに学習データを準備することができる。
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]から[3]の何れか1つに記載の構成において、
前記炉内の温度、前記炉内の圧力、及び前記炉内における燃料の燃焼によって発生させる蒸気量のうち少なくとも1つを含むプロセスデータを取得するプロセスデータ取得部(10)をさらに備え、
前記モデル作成部は、前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度と、前記プロセスデータ取得部によって取得された前記プロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成する。
炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度は、プロセスデータとも高い相関を持つ。上記[4]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルはプロセスデータも考慮して作成されているので、排ガス濃度予測モデルの予測精度をさらに向上させることができる。
[5]幾つかの実施形態では、上記[4]に記載の構成において、
前記排ガス濃度取得部は、前記画像が撮像された時間の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度である補正前濃度をさらに取得し、
前記モデル作成部は、前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度及び前記補正前濃度と、前記プロセスデータ取得部によって取得された前記プロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成する。
本発明者らの知見によれば、補正前濃度も含められた学習データを機械学習することで、排ガス濃度予測モデルの誤差(RMSE)を小さくすることができる。上記[5]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルは補正前濃度も考慮して作成されているので、排ガス濃度予測モデルの予測精度をさらに向上させることができる。
[6]本開示に係る排ガス濃度制御システム(50)は、
上記[1]から[5]の何れか1つに記載の予測モデル作成装置によって作成された前記排ガス濃度予測モデルを用いて、前記炉から排出される前記排ガスに含まれる気体成分の濃度を制御する排ガス濃度制御システムであって、
前記炉の前記燃焼領域を撮像する撮像装置(52)と、
前記撮像装置によって撮像された撮像画像から抽出した前記特徴量を前記排ガス濃度予測モデルに入力することで出力される前記気体成分の濃度に基づいて、前記炉に供給する空気の量および前記炉に供給する燃料の量のうちの少なくとも一方を調整するように構成された調整装置(54)と、を備える。
リアルタイムで取得される気体成分の濃度に基づいて、炉に供給する空気の量や炉に供給する燃料の量を調整することは適切でない場合がある。上記[6]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルから出力される(予測される)気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御するので、リアルタイムで取得される気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御する場合と比較して、気体成分の濃度を適切に制御することができる。また、上記[6]に記載の構成によれば、気体成分の濃度の制御を自動化することができる。
[7]幾つかの実施形態では、上記[6]に記載の構成において、
前記気体成分は酸素を含み、
前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値より小さくなった場合、前記炉に供給する空気の量を増加する。
排ガスに含まれる酸素の濃度が低い場合には、排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度が高くなっており、炉の燃焼状態が不安定になっていることが多い。上記[7]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が基準値より小さくなった場合に、炉に供給する空気の量を増加する。このため、炉から排出される排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減することができる。
[8]幾つかの実施形態では、上記[7]に記載の構成において、
前記炉に供給する空気の量は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度と予め設定されている目標値との差に応じて決められる。
上記[8]に記載の構成によれば、炉に供給する空気の量は、排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度と目標値との差に応じて決められるので、炉から排出される排ガスに含まれる酸素の濃度を目標値に近づけることができる。
[9]幾つかの実施形態では、上記[7]又は[8]に記載の構成において、
前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値まで戻ると、前記炉に供給する空気の量を減少する。
炉に供給する空気の量を増やすと、炉内で燃料を燃焼する際に窒素酸化物の発生を促進する虞がある。上記[9]に記載の構成によれば、炉に供給する空気の量を増やすことで、排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が基準値まで戻ると、炉に供給する空気の量を減少する。このため、炉から排出される排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減しつつ、該排ガスに含まれる窒素酸化物の濃度を低減することができる。
[10]幾つかの実施形態では、上記[6]から[9]の何れか1つに記載の構成において、
前記気体成分は酸素を含み、
前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値より小さくなった場合、前記炉に供給する燃料の量を減少する。
上記[10]に記載の構成によれば、排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が基準値より小さくなった場合に、炉に供給する燃料の量を減少する。このため、炉から排出される排ガスに含まれる一酸化炭素の濃度を低減することができる。
[11]本開示に係る予測モデル作成方法は、
炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成方法であって、
前記炉の燃焼領域が撮像された画像を取得するステップ(S2)と、
前記画像をクラスタリング処理により色情報に応じて複数の色領域に区分された色画像データに変換し、該色画像データから特徴量を抽出するステップ(S4)と、
前記画像が撮像された時間より予め設定された前記設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得するステップ(S6)と、
前記特徴量と、前記画像が撮像された時間より設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するステップ(S8)と、を備える。
上記[11]に記載の方法によれば、排ガス濃度予測モデルは、炉の燃焼領域が撮像された画像を色画像データに変換し、該色画像データから抽出される特徴量と、画像が撮像された時間より設定時間が経過した後の排ガスに含まれる気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データの機械学習によって作成されている。このため、排ガス濃度予測モデルの予測精度を向上させることができる。
[12]本開示に係る排ガス濃度制御方法は、
上記[11]に記載の予測モデル作成方法によって作成された前記排ガス濃度予測モデルを用いて、前記炉から排出される前記排ガスに含まれる気体成分の濃度を制御する排ガス濃度制御方法であって、
前記炉の前記燃焼領域を撮像する撮像ステップ(S52)と、
前記撮像ステップで撮像された撮像画像から抽出した前記特徴量を前記排ガス濃度予測モデルに入力することで出力される前記気体成分の濃度に基づいて、前記炉に供給する空気の量および前記炉に供給する燃料の量のうちの少なくとも一方を調整する調整ステップ(S54)と、を備える。
上記[12]に記載の方法によれば、排ガス濃度予測モデルから出力される(予測される)気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御するので、リアルタイムで取得される気体成分の濃度に基づいて気体成分の濃度を制御する場合と比較して、気体成分の濃度を適切に制御することができる。
1 予測モデル作成装置
2 画像取得部
4 抽出部
6 排ガス濃度取得部
8 モデル作成部
10 プロセスデータ取得部
50 排ガス濃度制御システム
52 撮像装置
54 調整装置
100 炉
116 撮像装置
130 燃焼領域
140 ガス分析計
142 圧力計
144 温度センサ
146 熱回収ボイラ
160 色画像データ
A 色領域
Eg 排ガス
S2 画像取得ステップ
S4 特徴量抽出ステップ
S6 濃度取得ステップ
S8 モデル作成ステップ
S52 撮像ステップ
S54 調整ステップ

Claims (10)

  1. 炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成装置であって、
    前記炉の燃焼領域が撮像された画像を取得する画像取得部と、
    前記画像をクラスタリング処理によりRGB値に応じて複数の色領域に区分した色画像データに変換し、前記複数の色領域のうち前記気体成分の濃度と所定以上の相関を有する少なくとも1つの前記色領域の合計画素数を特徴量として抽出する抽出部と、
    前記画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得する排ガス濃度取得部と、
    前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するモデル作成部と、を備える、
    予測モデル作成装置。
  2. 前記炉内の温度、前記炉内の圧力、及び前記炉内における燃料の燃焼によって発生させる蒸気量のうち少なくとも1つを含むプロセスデータを取得するプロセスデータ取得部をさらに備え、
    前記モデル作成部は、前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度と、前記プロセスデータ取得部によって取得された前記プロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成する、
    請求項に記載の予測モデル作成装置。
  3. 前記排ガス濃度取得部は、前記画像が撮像された時間の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度である補正前濃度をさらに取得し、
    前記モデル作成部は、前記抽出部によって抽出された前記特徴量と、前記排ガス濃度取得部によって取得された前記気体成分の濃度及び前記補正前濃度と、前記プロセスデータ取得部によって取得された前記プロセスデータと、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成する、
    請求項に記載の予測モデル作成装置。
  4. 請求項1からの何れか一項に記載の予測モデル作成装置によって作成された前記排ガス濃度予測モデルを用いて、前記炉から排出される前記排ガスに含まれる気体成分の濃度を制御する排ガス濃度制御システムであって、
    前記炉の前記燃焼領域を撮像する撮像装置と、
    前記撮像装置によって撮像された撮像画像から抽出した前記特徴量を前記排ガス濃度予測モデルに入力することで出力される前記気体成分の濃度に基づいて、前記炉に供給する空気の量および前記炉に供給する燃料の量のうちの少なくとも一方を調整するように構成された調整装置と、を備える、
    排ガス濃度制御システム。
  5. 前記気体成分は酸素を含み、
    前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値より小さくなった場合、前記炉に供給する空気の量を増加する、
    請求項に記載の排ガス濃度制御システム。
  6. 前記炉に供給する空気の量は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度と予め設定されている目標値との差に応じて決められる、
    請求項に記載の排ガス濃度制御システム。
  7. 前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値まで戻ると、前記炉に供給する空気の量を減少する、
    請求項又はに記載の排ガス濃度制御システム。
  8. 前記気体成分は酸素を含み、
    前記調整装置は、前記排ガス濃度予測モデルから出力される酸素の濃度が、前記調整装置の基準値より小さくなった場合、前記炉に供給する燃料の量を減少する、
    請求項4から7の何れか一項に記載の排ガス濃度制御システム。
  9. 炉から排出される排ガスに含まれる気体成分の濃度を予測する排ガス濃度予測モデルを作成する予測モデル作成方法であって、
    前記炉の燃焼領域が撮像された画像を取得するステップと、
    前記画像をクラスタリング処理によりRGB値に応じて複数の色領域に区分した色画像データに変換し、前記複数の色領域のうち前記気体成分の濃度と所定以上の相関を有する少なくとも1つの前記色領域の合計画素数を特徴量として抽出するステップと、
    前記画像が撮像された時間より予め設定された設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度を前記燃焼領域よりも後流において取得するステップと、
    前記特徴量と、前記画像が撮像された時間より前記設定時間が経過した後の前記排ガスに含まれる前記気体成分の濃度と、が対応付けられた学習データを機械学習することによって、前記排ガス濃度予測モデルを作成するステップと、を備える、
    予測モデル作成方法。
  10. 請求項に記載の予測モデル作成方法によって作成された前記排ガス濃度予測モデルを用いて、前記炉から排出される前記排ガスに含まれる気体成分の濃度を制御する排ガス濃度制御方法であって、
    前記炉の前記燃焼領域を撮像する撮像ステップと、
    前記撮像ステップで撮像された撮像画像から抽出した前記特徴量を前記排ガス濃度予測モデルに入力することで出力される前記気体成分の濃度に基づいて、前記炉に供給する空気の量および前記炉に供給する燃料の量のうちの少なくとも一方を調整する調整ステップと、を備える、
    排ガス濃度制御方法。
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